JP3854384B2 - 造粒制御装置および造粒制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、造粒工程と乾燥工程とを含む流動層造粒法や転動流動層造粒法などにより、粉粒体を精度よく造粒できる造粒制御装置、造粒制御方法および造粒終点の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や医薬品などの製剤分野において、流動層造粒法や転動流動層造粒法などを利用して種々の有効成分が造粒され、造粒末の粒度分布や粒径がコントロールされている。前記流動層造粒法では、目皿部材などの通気可能な固気分離部材を通じて、造粒装置の下部から上方への気流により粉粒体の流動層を形成しつつ、水やバインダー液をノズルから一定の速度で噴霧し、粒子同士を結合させるとともに、給気エアーにより乾燥しながら粒子を成長させて造粒末を得ている。また、転動流動層造粒法では、流動槽の底部に回転可能に配設された回転板で粉粒体を転動させつつ、上方への気流により流動層を形成し、水,エタノールなどの有機溶媒や水性又は非水性バインダー液を噴霧して粒子を成長させながら乾燥することにより、転動に伴なう圧密作用により重質で球形の造粒末を得ることができる。
前記粒子の成長速度は、装置内の粒子が保持する表面湿分量と噴霧ミストのサイズに大きく影響される。また、造粒系の到達湿分量と造粒末の平均粒径との間には強い相関関係があることが報告されている。しかし、造粒系の湿分量は、数多くの要因、例えば、流動化エアーの特性(露点、温度や給気速度など)、粉粒体の原料特性(粒度、表面形状、湿分含有量、親水性の程度など)、季節(温度,湿度)、バッチ毎の装置内の温度変動、装置内への粉末の付着状態、固気分離部材(目皿部材)やバッグフィルターの目詰まりと圧損の程度などにより変動する。そのため、同一の粒度特性(平均粒径や粒度分布)を有する造粒末を再現性をもって製造することは容易ではない。
【0003】
従来の造粒方法では、流動層に対して所定量の結合剤を含む液体を噴霧注液し、全ての液体の噴霧終了とともに造粒工程を終了し、乾燥工程へ移行することにより、造粒物を乾燥させている。また、一定時間に亘り液体を噴霧した後、造粒工程を終了し、乾燥工程へ移行させることも行われている。しかし、これらの方法では、上記の事情から、造粒末の粒度特性(平均粒径や粒度分布など)を繰り返し再現することが困難である。
【0004】
特開平6−126148号公報には、転動層又は転動流動層造粒装置において、超音波センサなどの層高センサにより検出された粉体層高と、赤外線センサなどの水分計による水分値とに基づいて、エアー供給手段からの空気量を制御し、粉体層の高さを一定にコントロールする方法が開示されている。
特開平6−126149号公報には、基準面より一定の高さに超音波センサなどの層高センサを配置し、層高センサから造粒中の粉体層の上部までの距離を求めることにより粉体層の高さを測定し、この測定値と目標値との差に基づいてエアー供給手段からの空気量を制御し、粉体層の高さを常に目標値に保つための転動流動層の造粒装置が開示されている。
【0005】
しかし、これらの方法では、超音波センサで構成された層高センサが造粒系内での温度,湿度の影響を受ける。また、造粒槽内に超音波センサを設置して流動層の高さを検出するため、粉塵などの付着により超音波センサの検出精度が大きく低下する。また、センサからの検出データに基づいて、流動層の高さをコントロールしても、流動層の内部を検出していないので、得られた造粒末の粒度特性(平均粒径や粒度分布)が変動する。特に、吸湿性や湿分保持能の大きな活性成分(例えば、生薬エキスなど)や添加剤を造粒したり、湿分含量が大きな造粒系において、この方法で造粒すると、均一な造粒末を再現性よく得ることが困難である。
また、前記の方法では風量制御により流動層の高さを一定に維持して造粒しているが、流動層の外縁を検出しているに過ぎないので、造粒末の粒度特性をさらに精度よくコントロールするには限界がある。
【0006】
さらに、イメージセンサを備えた画像処理装置を用いて造粒末の粒度特性を検出することにより、造粒する方法も報告されている。しかし、画像処理装置は価格が極めて高いだけでなく、装置の構成や操作が複雑であるとともに、パラメータの設定を含めて事前の条件設定が煩雑であり、複雑な解析を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、所定の粒度特性の造粒末を高い再現性で繰り返し製造できる造粒制御装置および造粒制御方法、並びに造粒終点検出方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、湿分量の如何に拘らず、簡単な構成で造粒終点を精度よく検出し、迅速かつ精度よく造粒末の粒度特性をコントロールできる造粒制御装置および造粒制御方法、並びに造粒終点検出方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、湿分含量が大きな造粒系であっても、均一な造粒末を高い再現性で得ることができる造粒制御装置および造粒制御方法、並びに造粒終点検出方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、粒度分布がシャープな造粒末を高い収率で再現性よく製造する上で有用な造粒制御装置および造粒制御方法、並びに造粒終点検出方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、一定風量における流動層の流動化状態(透過光量など)と造粒末の粒度特性とが高い相関関係にあることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の造粒制御装置は、(1)液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒するための造粒工程と、流動層を形成しつつ造粒物を乾燥するための乾燥工程とを経て造粒物を得るための装置であって、気流によりチャンバー内で粉粒体の流動層を形成するための流動層エアー供給手段と、液体を噴霧するための液体供給手段と、前記流動層の流動状態を検出するための検出手段と、この検出手段による検出値と流動層の流動状態に関する基準値とを比較するための比較手段と、この比較手段において前記検出値が前記基準値に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段とを備えている。流動層の流動状態に関する基準値は予め実験により求めることができ、造粒工程から乾燥工程への切換えは、流動層エアー供給手段による所定の風量の下、前記検出値が前記基準値に達したときに行ってもよい。前記装置は、検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段と、平均化されたデータから微分データを得るための微分手段と、この微分手段による微分値と流動層の流動状態に関する基準値とを比較するための比較手段と、この比較手段において前記微分手段による微分カーブの立ち下がり領域の微分値が前記基準値に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段とを備えている。
この装置において、(2)検出手段は、流動層の透過光量を検出する手段であってもよく、(3)検出手段による検出データを所定時間毎に平均化し平均化データを得るための平均化手段,又は検出データから所定時間毎に標準偏差データを得るための算出手段を備えていてもよい。
さらに、前記造粒制御装置は、(4)流動層の流動状態を検出するための前記検出手段と、検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段と、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段からの切換え信号が与えられ、かつ平均化されたデータと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果に基づいて、流動層エアー供給手段からの風量、液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度から選択された少くとも1つの制御量を制御するための制御手段とを備えていてもよく、(5)造粒・乾燥系内の湿分量を検出するための湿分量検出手段、および切換え手段からの切換え信号が与えられ、かつ湿分量検出手段による検出データと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果に基づいて、流動層エアー供給手段からの風量、液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度から選択された少くとも1つの制御量を制御するための制御手段を備えていてもよい。さらには、(6)前記(4)及び(5)に記載の構成を備えていてもよい。前記造粒・乾燥プロセスに関する基準データは予めプログラムしておくことができる。(7)前記検出手段は、チャンバーの対向位置に形成された透光部位の外側に配設された発光手段と受光手段とで構成された光センサであってもよい。発光手段から受光手段へ至る光路は、チャンバーの中心を通過しなくてもよい。
【0009】
本発明の造粒方法では、(8)液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒するための造粒工程と、流動層を形成しつつ造粒物を乾燥するための乾燥工程とで構成された造粒方法であって、流動層の流動状態を検出し、検出データを所定時間毎に平均化し、平均化したデータを微分し、微分した微分値と流動層の流動状態に関する基準値とを比較し、前記微分カーブの立ち下がり領域の微分値が基準値に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換えるこの方法において、(9)造粒工程において、風量、給気温度および液体の噴霧量のうち少くとも1つを制御しながら高湿分系で粉粒体を造粒し、乾燥工程において風量および給気温度のうち少くとも1つを制御しながら造粒物を乾燥してもよく、(10)造粒工程において、風量および給気温度のうち少くとも1つを制御しながら液体の一部を噴霧して粉粒体を造粒し、乾燥工程において風量および給気温度のうち少くとも1つを制御するとともに、残余の液体を噴霧しながら、造粒物を乾燥してもよい。
本発明の方法には、(11)液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒する方法であって、所定の風量で流動層を形成して粉粒体を造粒しつつ、前記流動層の流動状態を検出し、検出データを所定時間毎に平均化し、平均化したデータを微分し、微分した微分値を流動層の流動状態に関する基準値と比較し、前記微分カーブの立ち下がり領域の微分値の基準値への到達を指標として造粒終点を検出する方法も含まれる。
【0010】
なお、噴霧される液体は、特に制限されず、アルコール(エタノールなど)などの有機溶媒、水、液状有効成分、生薬エキスなどの水性又は非水性液体の他、水性又は非水性バインダー液が含まれる。本明細書において、水分センサ,エタノールなどの有機溶媒センサを「湿分センサ」と総称する。
さらに、単位時間当りの溶媒の系外への除去量をLa、噴霧注液による系内への溶媒供給量をLbとするとき、Lb/La≧1であるとき(すなわち、系内での溶媒濃度が維持されるかまたは増加するとき)造粒工程と称し、Lb/La<1であるとき(すなわち、系内での溶媒濃度が減少するとき)乾燥工程と称する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1は転動流動層造粒装置の一例を示す概略構成図であり、図2は図1の造粒装置に配設された制御装置の電気的構成を示すブロック図であり、図5は前記制御装置を利用した造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートであり、図6は前記制御装置を利用した造粒・乾燥プロセスのフローチャートである。
前記転動流動造粒装置は、筒状チャンバー1内の下部に回転可能に配設された回転体2と、この回転体の下部に設けられた目皿板2aと、前記回転体を駆動するためのモータ3と、回転体2の下部空間に通じるエアー供給ライン4を通じて、チャンバー1内へ空気を供給するための流動層エアー供給手段としてのブロアー6と、このブロアーからの空気の温度をコントロールするためのヒーター内蔵の加熱ユニット5と、前記チャンバー1のうち回転体2よりも上部の空間に配設され、液体を噴霧するための液体噴霧ノズル7と、この液体噴霧ノズルよりも上部に配設され、流動層の透過光量を検出するため発光素子11aと受光素子11bとで構成された透過型光センサとを備えている。光センサによる流動層の透過光量は、流動層の流動状態を反映している。
【0012】
液体は、ポンプ9により供給されるタンク8内の液体と共にコンプレッサなどのエアー供給手段10からの噴出気体を前記噴霧ノズル7から噴出することにより噴霧される。また、前記発光素子11aと受光素子11bは、チャンバー1のうち対向する透明の透光部位12a,12bに配設されている。
チャンバー1内の上部には、粒状物と気体とを分離するためのバッグフィルタ13が取付けられ、このフィルタ13により分離された気体は、チャンバー1の排気ライン14から排出される。
【0013】
なお、この例では、制御装置20により、前記ブロアー6による給気風量,加熱ユニット5による加熱温度,噴霧ノズル7からの液体の噴霧量がコントロールされている。すなわち、前記ブロアー6による給気風量は、回転体2の下部空間,チャンバー1内、又は排気ライン11などに設けられた風量センサ6aと、この風量センサーの検出値に基づいて給気風量を適正にコントロールするための調節部および操作部を有する制御部6bとで構成された制御装置20により制御されている。また、加熱ユニット5による加熱温度も、回転体2の下部空間やチャンバー1入口に配設された温度センサー5aと、この温度センサーの検出値に基づいてチャンバー1内の温度を適正にコントロールするための調節部および操作部を有する制御部5bとを備えた前記制御装置20により制御され、噴霧ノズル7からの液体の噴霧量は、前記ポンプ9と噴霧ノズル7との間の供給ラインに配設された流量センサー7aと、この流量センサーの検出値に基づいて注液量をポンプ9により適正にコントロールするための調節部および操作部を有する制御部7bとで構成された前記制御装置20により制御されている。噴霧ノズル7からの液体のミストのサイズは、前記ポンプ9による注液速度(注液量)と噴霧ノズル7へのエアー供給速度(エアー量)により調整でき、エアー供給速度が大きくなるにつれてミストのサイズを小さくできる。
前記制御装置20は、各制御部5b,6b,7bに対して、比例制御(P動作),比例・積分制御(PI動作)や比例・積分・微分制御(PID動作)のためのフィードバック制御信号又はプロセス制御信号を与えており、制御対象をフィードバック制御及び/又はプロセス制御している。さらに、排気ライン14には温度センサ14aが設けられ、乾燥終点の検出に利用されている。なお、乾燥終点の検出のためには、前記排気温度センサに代えて、又は排気温度センサとともに水分センサ,エタノールなどの有機溶媒センサなどを利用してもよい。
【0014】
このような装置において、チャンバー1内に粉粒体を導入するとともに、前記流動層エアー供給手段から空気を供給し、回転体2を回転させながらノズル7から液体を噴霧することにより、造粒末を得ることができる。すなわち、前記流動層エアー供給手段からの空気は、通常、加熱ユニット5により加熱され、エアー供給ライン4を通じて、回転体2の下部空間および目皿板2aを経て、チャンバー1内に気流として供給される。この気流によりチャンバー1内の粉粒体は舞い上がって流動層を形成するとともに、噴霧ノズル7から液体が噴霧され、回転体2の表面では粒状物が転動しながら造粒される。
【0015】
なお、通常、流動層造粒法や転動流動層造粒法による造粒プロセスは、チャンバー1内で粉粒体を予熱しつつ混合するための予熱混合工程、粉粒体の流動層を形成し、液体噴霧ノズル7から液体を噴霧して造粒する造粒工程、液体の噴霧を終了した後、ほぼ一定の風量で流動層を形成しつつ乾燥させる乾燥工程を経て造粒する場合が多い。このような造粒プロセスにおいては、前記のように、流動層が上下方向に大きく動くとともに、流動層内の粉体濃度や粒度分布が刻々と変動するため、流動層の透過光量の検出値が瞬時に激しく変動する。
【0016】
図2に示す前記制御装置20は、前記発光素子11aと受光素子11bとで構成された透過型光センサ21からのアナログ検出データを一定時間ごとに移動平均するため、積分回路で構成された算出手段としての平均化回路22を備えている。また、制御装置20は、平均化されたアナログデータをディジタルデータに変換するためのA/D変換回路23、A/D変換回路23からのディジタルデータ(検出値)Vと透過度T1 に対応する透過光量の基準値Vf1との比較データに基づいて、前記流動層エアー供給手段による風量を制御するための中央処理装置(CPU)24を備えている。
【0017】
この中央処理装置24は、A/D変換回路23からのディジタルデータ(検出値)Vと透過度T1 に対応する基準値Vf1とを比較するための比較回路と、この比較回路からの比較データに基づいて風量に関する制御量データを算出するための演算回路と、造粒・乾燥プロセスにおける風量に関する所定のプログラムが格納されたメモリと、このメモリと演算回路との間のデータの授受および演算回路で算出された制御量データを制御信号として制御対象の駆動回路へ与えるための制御回路とを備えている。前記演算回路では、制御対象である流動層エアー供給手段としてのブロアーの制御量(風量)に関するデータがプログラムに従って算出され、演算回路により算出されたデータは制御回路からD/A変換回路25へ与えられ、D/A変換回路により変換されたアナログデータは、ブロアーの駆動回路26に与えられる。
【0018】
なお、造粒過程において、造粒初期や大きな給気風量では、未造粒の粉塵が光センサ21による検出領域に多く舞い上がるので、光センサ21による透過光量が低下する。一方、噴霧ノズル7から液体を噴霧すると、含湿分による重量増加と造粒の進行に伴って粒子成長により粒子径や重量が増加した粉粒体により、光センサ21による検出領域の投影面積が低下するので、光センサ21による透過光量が増加する。このことを利用して、透過光量の検出値Vが基準値Vf1に達した時、給気風量を増加させ、透過光量の検出値Vが基準値Vf1に至らない時には、給気風量を維持する操作を繰り返し行うため、前記中央処理装置24のメモリには、風量に関する計算式、例えば、Qi+1=Qi +αQ(式中、Qi+1は、透過光量が基準値に達した後の給気風量、Qi は透過光量が基準値に至らない時の給気風量、αQは透過光量が基準値に達した時の風量の増加分を示す)のプログラムが記憶されている。すなわち、この中央処理装置24は、光センサ21による透過光量の検出値Vが最初に基準値Vf1に達した時に風量を所定量αQ(例えば、1m3 /分)だけ増加し、二回目に基準値Vf1に達した時に風量をさらにαQだけ増加する操作を繰り返しながら風量を制御する。このようにして、粉粒体(粉塵)から造粒末への変換を促進しながら、粒度特性(粒度分布,平均粒径など)をコントロールする。なお、風量の増加量αQは「i」によって異なっていてもよい(すなわち、αQ1 ,αQ2 ,…αQn は互いに規則的又はランダムに異なっていてもよく、例えば、αQ1 <αQ2 <…<αQn のように規則的に増加させてもよい)。
【0019】
このような制御装置では、光センサ21による検出データ(透過光量データ)を平均化回路22により平均化できる。すなわち、光センサ21からの検出データは、図3に示されるように、激しく変動するので、光センサ21からの検出値だけで流動層を制御することが困難である。これに対して、前記平均化回路により検出データを平均化処理すると、図4に示されるように、検出値の変動を平均化し平均値として精度よく検出し、給気風量を精度よくコントロールできる。 そして、本発明の制御装置では、造粒末の粒度特性を高い精度で再現性よく得るため、図2に示されるように、一定風量において光センサ21で検出され、かつA/D変換回路23でディジタルデータに変換された透過光量の検出値Vは、基準値Vf2と比較するため、比較回路27にも与えられる。この基準値Vf2は、造粒工程から乾燥工程への切換えタイミングに対応する基準値である。すなわち、流動層の透過光量は、粒子の大きさ(微粉量,粗粒量など)、湿分量などによる流動状態の変化をリアルタイムで反映しており、造粒装置,処方および造粒条件を同じにして造粒すると、造粒工程を終了させ、乾燥工程へ切換えるタイミングは、造粒末の品質(密度、粒度のばらつき、平均粒径など)、特に平均粒径や微粉量,粗粒量と強い相関性が認められる。従って、光センサ21により検出された透過光量の平均値、すなわち検出値Vが、前記比較回路27における基準値Vf2に到達したことを指標として造粒終点を検出できる。このように、比較回路27は造粒工程から乾燥工程への切換え手段として機能し、検出値Vが基準値Vf2に到達したとき、切換信号を前記中央処理装置24に与える。そして、中央処理装置24は切換信号に応答して乾燥プロセスを制御する。
【0020】
すなわち、制御装置を構成する中央処理装置は、前記のように切換信号に応答して造粒工程から乾燥工程へ切換えるとともに、造粒工程及び乾燥工程では、平均化されたデータと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果に基づいて、造粒プロセス及び乾燥プロセスにおいて流動層エアー供給手段からの風量などを制御する。
前記制御装置の動作は次の通りである。
図5および図6に示されるように、造粒工程においては、スタート信号に応答して風量をQ0 からQ1 へ増加させ、透過光量の検出値Vが基準値である透過度の設定値T1 未満の流動層を形成し、注液量L1 で液体を噴霧注液する。この注液により湿分量Wが上昇するとともに、造粒の進行と微粉末の減少に伴って検出値Vが上昇し透過度の設定値T1 に達する。検出値Vが透過度の設定値T1 に達すると、前記中央処理装置からの制御信号により流動層エアー供給手段からの風量Q1 を制御量αQだけ増大して風量Q2 とし、検出値Vが透過度の設定値T1 未満の流動層を形成する。
なお、図5に示すタイムチャートでは、風量を1回増加させているが、粒の成長度(造粒の程度)に応じて、風量をコントロールし適正な流動層を維持しつつ、造粒を円滑に行うため、図6のフローチャートに示されるように、風量を複数回に亘り制御してもよい。すなわち、注液を継続すると、造粒に伴って検出値Vが透過度の設定値T1 に達したとき(透過度T1 以上となったとき)、中央処理装置からの制御信号により風量Q2 を制御量αQだけ増大させる動作を繰り返し行ってもよい。
【0021】
そして、風量を制御量αQだけ増大させて風量Q2 を維持し、所定風量Q2 において、検出値Vが透過度の基準値T2 に達したか否かが判別され、透過度の基準値T2 への到達により、造粒工程から乾燥工程への切換が行われる。すなわち、風量Q2 の環境下で、検出値Vが前記基準値Vf2=T2 に達したとき、前記比較回路27からは造粒工程から乾燥工程への切換信号が前記中央処理装置24に与えられる。前記切換信号に応答して中央処理装置24は、ポンプ9の制御部に噴霧注液停止信号を与える。噴霧注液の停止の後、一定風量Q2 を維持しながら造粒物の乾燥が行われる。この乾燥工程では、湿分量がW1 からW0 に次第に低下するとともに、造粒物が軽量化するため、透過度の低下に伴って検出値Vが次第に低下し、排気ラインの温度センサによる排気温度が所定温度以上となったとき、乾燥工程が終了する。なお、乾燥終了は赤外線センサなどの湿分センサによる湿分量が所定の値になったときに行ってもよい。
なお、図5に示す例では、造粒工程で風量を1回増加させているが、複数回に亘り風量を増加させてもよく、風量を増加させることなく一定の風量で造粒を進行させてもよい。
【0022】
図7は前記制御装置を利用した他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートであり、図8は図7に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。なお、液体の種類や液量などによっては、造粒工程では液体の全量を噴霧できず、乾燥工程において液体をさらに噴霧し、造粒末の組成を製造承認された医薬品の組成に調製する必要性が生じる場合がある。そのため、この例では、造粒工程で液体の一部を一次噴霧注液し、乾燥工程で残余の液体を二次噴霧注液している。
図7および図8に示すプロセスにおいて、造粒プロセスは、液体の一部を噴霧注液するための一次噴霧注液(噴霧注液量L1 )が行われる点を除いて図5および図6に示すプロセスと同様に行われる。
そして、所定風量Q2 において、流動層の検出値Vが透過度の基準値T2 に到達すると、造粒工程から乾燥工程への切換が行われるとともに、風量Q2 を維持しながら、残余の液体を二次噴霧注液している。この二次噴霧注液においては、噴霧注液量がL1 からL2 に低減し、すなわち乾燥が進行し、粒状物の成長は抑制されている。そして、二次噴霧注液が終了したか否かが判断され、二次噴霧注液が終了すると、風量Q2 を維持しながら造粒物の乾燥が進行し、前記と同様に、排気温度又は系内の湿分量に基づいて乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥終了に伴って送風が停止し(風量Q0 )、乾燥工程が終了する。
【0023】
図9は前記制御装置を利用したさらに他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートであり、図10は図9に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。図9及び図10に示すプロセスにおいては、造粒工程で多段に風量を増加させる制御を行い、乾燥工程で多段に風量を減少させる制御を行っている。
すなわち、造粒工程において、スタート信号に応答して風量をQ0 からQ1 へ増加させて光センサによる検出値Vが透過度の設定値T1 未満の流動層を形成し、注液量L1 で液体を注液すると、造粒の進行と微粉末の減少に伴って光センサによる検出値Vが上昇する。検出値Vが透過度の設定値T1 に達すると(透過度T1 以上となると)、中央処理装置からの風量増加信号により流動層エアー供給手段からの風量Q1 が制御量αQi だけ増大して風量Q2 となり、検出値Vが透過度の設定値T1 未満の流動層を形成する。さらに、注液を継続すると、造粒に伴って検出値Vが透過度の設定値T1 以上となり、中央処理装置からの風量増加信号により風量Q2 が制御量αQi だけ増大して風量Q3 となる。このような風量制御が光センサによる検出値と透過度の設定値との比較結果に応答して繰り返し行われるので、粒の成長度や造粒の程度に応じて、風量をコントロールすることにより適正な流動層を維持しつつ、造粒を円滑に行うことができる。
この例では、前記風量の制御回数(制御量αQi の増大回数)が2となった後、検出値Vが透過度の設定値T1 に達すると、風量Q3 が増大して風量Q4 となり、所定風量Q4 を維持する。
【0024】
そして、所定風量Q4 を維持すると、造粒の進行に伴って検出値Vが上昇し透過度の基準値T2 に到達する。すなわち、光センサ21による検出値Vが前記基準値Vf2に到達する。検出値Vの基準値T2 への到達に伴って、前記中央処理装置24には、注液量をL1 からL0 として注液が終了するための注液停止信号が与えられるとともに、造粒工程から乾燥工程への切換信号が与えられ、前記切換信号に応答して乾燥プロセスの制御が行われる。透過度T2 に到達しない場合には、前記風量Q4 が維持される。
【0025】
乾燥工程において、風量Q4 を維持しつつ造粒物を乾燥すると、液体濃度(湿分量)がW1 からW0 に次第に低下するとともに、造粒物が軽量化するため、所定の流動層を形成するためには過剰な風量となり、透過度の低下に伴って検出値Vが次第に低下する。そこで、光センサによる検出値Vが低下し透過度の設定値T1 に達したか否か(すなわち、透過度T1 以下か否か)が比較され、検出値Vが設定値T1 に達しない場合には、風量Q4 が維持され、設定値T1 以下となったときには、設定値T1 への到達信号と前記切換信号とに基づいて、中央処理装置からは流動層エアー供給手段へ風量低減信号が与えられ、風量Q4 を制御量αQj だけ低減させて風量Q5 に制御する。さらに、風量Q5 を維持しつつ乾燥を進行させると、再び光センサによる検出値Vが低下して設定値T1 以下となり、適正な流動層を維持できなくなる。そのため、光センサによる検出値Vが透過度の設定値T1 以下となったとき、再び風量低減信号に応答して風量Q5 を制御量αQj だけ低減させて風量Q6 とする。さらに、乾燥工程では、風量がQ6 であるか否かが判断され、風量がQ6 でない場合には、風量低減のための前記乾燥工程のステップに移行し、風量がQ6 である場合には風量Q6 を維持しつつ乾燥が行われる。そして、排気温度や系内の湿分量を基準として、乾燥が終了しているか否かが判別され、乾燥が終了していない場合には、風量Q6 が維持され、乾燥が終了すると、風量がQ0 となり送風を停止し、乾燥工程が終了する。このように、光センサによる検出値および切換信号に応答して風量を多段に低減して制御するため、適性な流動層を維持しつつ造粒された粉粒体を乾燥することができ、粒度分布がシャープな造粒末を高い収率で再現性よく製造できる。また、乾燥工程において、バッグフィルターの目詰まりを抑制できる。さらに、造粒のみならず乾燥に最適な流動状態を維持できるので、長期間に亘り連続的に造粒できる。
【0026】
なお、流動層造粒において、賦形剤と主薬との混合割合が大きく異なったり、賦形剤と主薬との密度差が大きい場合、流動層内の風量による分級効果により、粒度のことなる造粒物において主薬の含量の偏析が生じ易い。
このような場合、本発明の造粒装置を用い、原料末が造粒されていない造粒初期の段階では、センサによる検出値に基づいて、給気風量を小さく抑えて主薬粉末がスプレーノズルやバクフィルタなどに達することを防止し、造粒の進行に応じて風量を段階的に増加させるのが有用である。このような方法では、原料粉体すべてに噴霧液を均一にスプレーでき、均質でシャープな粒度分布を有する造粒物を得ることができる。
【0027】
本発明では、流動層の流動状態に関する検出データ(流動層の透過光量に関する検出データなど)に基づいて造粒工程から乾燥工程へ切換える限り、造粒工程及び乾燥工程は他の検出手段を利用してプロセス制御してもよい。例えば、前記の例では、光センサの検出値に基づいて、乾燥工程への切換と、造粒プロセスおよび乾燥プロセスを制御しているが、造粒プロセス及び乾燥プロセスの少くとも一方のプロセスは、他のセンサ(例えば、赤外線センサなどの湿分センサ,超音波センサなどの層高センサなど)の検出値を利用してプロセス制御してもよい。
【0028】
図11は本発明の他の制御装置の電気的構成を示すブロック図であり、図12は図11の制御装置を利用した造粒・乾燥工程を示すタイムチャートであり、図13は図11の制御装置を利用した造粒・乾燥工程を示すフローチャートである。
図11に示す制御装置は、前記装置に湿分量検出手段を組み合わせた装置であり、流動層の透過光量を検出するための光センサ31、この光センサからの検出データを平均化するための平均化回路32、この平均化回路により平均化されたアナログデータをディジタルデータに変換するためのA/D変換回路33、およびこのA/D変換回路からのディジタルデータ(検出値)Vと基準値Vf2とを比較するための比較回路34とを備えている。
そして、本制御装置は、流動層の湿分量を検出するための湿分センサ35、この湿分センサによる検出データをディジタルデータに変換するためのA/D変換回路36を備えており、A/D変換回路36からのディジタルデータ(検出値)VW は、中央処理装置(CPU)37に与えられる。中央処理装置37では、A/D変換回路36からのディジタルデータ(検出値)Vwと湿分量に関する基準値Vf1とを比較するための比較回路、造粒・乾燥プロセスに関するプログラムが格納されたメモリ、前記比較回路からの比較データに基づいて制御量データを前記プログラムに従って算出するための演算回路、および演算回路で算出された制御量データに基づいて制御対象を制御するための制御回路を備えている。中央処理装置37からの制御データはD/A変換回路38でアナログデータに変換され、制御対象の駆動回路39に与えられる。そして、造粒工程および乾燥工程において、中央処理装置37は、湿分センサ35からの検出信号(ディジタルデータ)に基づいて、制御対象を制御量データに応じて駆動してプロセス制御する。
【0029】
一方、所定の風量の下、光センサ31により検出され、かつA/D変換されたディジタルデータ(検出値)Vが基準値Vf2に到達したとき、比較回路34からは中央処理装置37へ造粒工程から乾燥工程への切換信号が与えられる。
【0030】
前記制御装置において、造粒工程は、前記図9に示す乾燥工程と同様の工程と、その後、湿分量をほぼ一定に保って噴霧注液するフィードバック工程とで構成されている。
図12および図13に示されるように、本装置による造粒工程では、スタート信号に応答して風量をQ0 から予め設定された風量Q1 へ増加させて光センサからの検出値Vが透過度の設定値T1a未満の流動層を形成し、注液量L1 で液体を注液する。この注液により造粒が進行し、検出値Vが透過度の設定値T1a以上となるか否かにより風量を、順次、制御量αQだけ増加させて風量をQ2 ,Q3 ,Q4 とする動作が繰返される(図9の乾燥工程参照)。
前記注液により湿分量Wが上昇して湿分量W1 となり、湿分センサ35による検出値VWが基準値Vf1に達すると、この到達信号に応答して所定の湿分量W1 で造粒するための噴霧注液フィードバック制御が行われる。すなわち、前記到達信号に応答して、中央処理装置は、注液量L1 をほぼL2 に低減してON/OFF制御又は比例・積分・微分制御(PID制御)するための制御信号を、液体供給手段のポンプ及び噴霧ノズルへのエアー供給手段をコントロールする制御部の駆動手段に与えることにより、所定の湿分量W1 を維持しながら所定の風量Q4 で造粒が行われる。
【0031】
そして、風量Q4 において、造粒の進行に伴って光センサによる検出値Vが透過度の基準値T2 に達すると(すなわち、光センサからの検出値Vが基準値Vf2に到達すると)、中央処理装置には、造粒工程から乾燥工程への切換信号が与えら、噴霧注液制御を終了し、噴霧注液が停止する。乾燥工程では、前記図5に示されるのと同様にして乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥が終了すると風量がQ0 となり造粒末の乾燥が終了する。
【0032】
本発明において造粒工程から乾燥工程へ切換えは、流動層の流動状態に関する検出データに基づいて行えばよく、前記平均化されたデータに限らず、検出値の高速フーリエ(FFT)解析データに基づいて行ってもよい。
また、造粒工程から乾燥工程へ切換えや造粒工程の制御は、標準偏差データに基づいて行ってもよい。すなわち、使用する原料によっては、湿分一定の場合、光センサにより検出され、かつ平均化されたデータが余り変化しない場合がある。このような場合であっても、粒径が均一に大きくなるにつれて、流動層内では、脈流的な流動化現象が生じ、造粒物の平均粒径が大きくなるに従って、標準偏差も大きくなる。そして、透過光量に関する標準偏差データは、流動層の脈流の激しさおよび微粉量を反映し、前記標準偏差が造粒工程から乾燥工程への切換タイミングに対応する。
なお、検出手段による検出データから標準偏差データの算出は、前記平均化回路に代えて標準偏差算出回路を用い、所定時間毎に行うことができ、算出された標準偏差データは、前記と同様に比較回路において標準偏差に関する基準値(例えば、標準偏差値をσとするとき、基準値1σなど)と比較される。標準偏差データを算出するための測定間隔は、例えば、1〜100m sec、好ましくは1〜30m sec程度であり、算出間隔は、例えば、0.5〜30sec、好ましくは1〜10sec程度であり、標準偏差データを算出するためのサンプリング数は30〜10000程度であってもよい。
【0033】
図14は本発明の制御装置を利用した造粒・乾燥工程を示すタイムチャートであり、図15は図14の制御装置を利用した造粒・乾燥工程を示すフローチャートである。
この例において、前記乾燥工程への切換は、透過光量の標準偏差データに基づいて行われる。すなわち、本装置による造粒工程では、スタート信号に応答して風量をQ0 から予め設定された風量Q1 へ増加させて光センサからの検出値Vが透過度の設定値T1 未満の流動層を形成し、注液量L1 で液体を注液する。この注液により造粒が進行し、検出値Vが透過度の設定値T1 以上となるか否かが判断され、検出値Vが透過度の設定値T1 以上となると、風量を、制御量αQだけ増加させて風量をQ2 とする動作が行われる。
前記注液により湿分量Wが上昇して湿分量W1 となり、湿分センサ35による検出値VWが基準値Vf1に達すると、この到達信号に応答して、注液量L1 をほぼL2 に低減し、所定の湿分量W1 で造粒するための噴霧注液フィードバック制御(ON/OFF制御又はPID制御)が行われる。
そして、造粒の進行に伴って微粉の量が低減して標準偏差値σが次第に増大し、所定風量Q2 において、光センサによる検出データの標準偏差値σが透過度の標準偏差に関する基準値σ1 (Vf2)に達すると、中央処理装置には、造粒工程から乾燥工程への切換信号が与えら、噴霧注液制御を終了し、噴霧注液が停止する。乾燥工程では、前記図5に示されるのと同様にして乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥が終了すると送風が停止し(風量Q0 )、造粒末の乾燥が終了する。
【0034】
さらに、本発明において造粒工程から乾燥工程への切換えは、平均化されたデータの微分データに基づいて行ってもよい。すなわち、流動層の透過光量などの流動状態に関する検出値(絶対値)は、センサの取付け位置、エアー供給条件などにより大きく変動する場合がある。このような場合、前記透過光量に基づく造粒終点領域において、微分データのカーブが立ち下がる領域の微分値を利用すると、前記変動要因に左右されることなく、造粒工程から乾燥工程への切換タイミングを安定して検出できる。
この制御装置は、検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段(特にスムージング処理された平均化データを得るための平均化手段)に加えて、平均化されたデータから微分データを得るための微分手段と、この微分手段による微分値と流動層の流動状態に関する基準値とを比較するための比較手段と、流動層エアー供給手段による所定の風量の下、前記比較手段において前記微分手段による微分カーブの立ち下がり領域の微分値が前記基準値に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段とを備えている。
なお、光センサによる検出値が変動すると微分値も大きく変動する。そのため、光センサによる検出値を、前記と同様の平均化回路で構成された平均化手段によりスムージングし、このスムージングされた平均化データを、微分回路などで構成された微分手段に与えることにより微分カーブを生成させる。スムージングされた平均化データは、移動平均するための平均化時間を長く(例えば、180〜300秒程度)に設定することにより生成させることができる。前記流動層の流動状態に関する基準値(微分値)は、予め実験により設定することができ、例えば、dT=0.3などの適当な値を選択できる。また、造粒工程の最終の風量一定の環境下において、微分カーブのうち、少なくとも立ち下がり領域における微分値と基準値とを比較すればよい。
【0035】
図16は本発明の制御装置を利用した造粒・乾燥工程を示すタイムチャートであり、図17は図16の制御装置を利用した造粒・乾燥工程を示すフローチャートである。
この例において、前記乾燥工程への切換は、平均化された透過光量データの微分データに基づいて行われる。すなわち、本装置による造粒工程では、スタート信号に応答して風量をQ0 から予め設定された風量Q1 へ増加させて光センサからの検出値Vが透過度の設定値T1 未満の流動層を形成し、注液量L1 で液体を注液する。この注液により造粒が進行し、検出値Vが透過度の設定値T1 以上となるか否かが判断され、検出値Vが前記設定値T1 以上となると、注液量L1 を維持しつつ、風量を、制御量αQだけ増加させて風量をQ2 (造粒工程における最終的な風量)とする動作が行われる。
そして、風量Q2 において、光センサの検出値Vが低下した後、造粒の進行に伴って光センサの検出値Vが増加し、微分値dTは平衡域を経て次第に低減して立ち下がる。この立ち下がり領域は、前記透過光量に基づく造粒終点領域に対応する。そこで、光センサによる検出データの微分カーブが立ち下がり領域であるかが判断され、立ち下がり領域である場合には、微分値dTが透過度の微分値に関する基準値dT1 (Vf2)に達したか否かが判断され、微分値dTが基準値dT1 (Vf2)に達すると、中央処理装置には、造粒工程から乾燥工程への切換信号が与えら、噴霧注液制御を終了し、噴霧注液が停止する。乾燥工程では、前記図5に示されるのと同様にして乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥が終了すると風量がQ0 となり送風が停止し、造粒末の乾燥が終了する。
【0036】
なお、前記のように、本発明の造粒制御装置および制御方法は、転動流動造粒法に限らず流動層造粒法にも適用できる。流動層造粒により造粒する場合、前記回転体に代えて、チャンバーの下部に、例えば、金網、多孔板、スリットなどで構成された通気部を形成すればよい。
【0037】
本発明の装置は、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段を備えていればよい。好ましい制御装置は、造粒および乾燥プロセスを精度よく制御するため、検出手段による検出値を所定時間毎に平均化するための平均化手段、平均化されたデータに基づいて制御対象を制御する中央処理装置(例えば、平均化されたデータと造粒プロセスに関する基準データとを比較するための比較手段、及び比較結果に基づいて制御対象を制御するための制御手段を備えた中央処理装置)を備えており、検出手段からのアナログ検出データは、ディジタルデータに変換して平均化してもよい。例えば、前記の例で、検出手段からの検出データをA/D変換手段によりディジタルデータに変換し、ディジタルデータを平均化手段により平均化し、前記と同様な比較演算及び制御処理を行ってもよい。前記平均化手段において検出手段からの検出データを平均化するためには、積分回路などを利用して移動平均により平均化し、生成した移動平均データを比較手段に逐次与えて制御するのが有用である。平均化の時間間隔は、チャンバーの大きさ、粉粒体の充填量などに応じて設定でき、例えば、10秒〜5分、好ましくは30秒〜3分程度の範囲から選択できる。
【0038】
前記の例では、造粒プロセス及び/又は乾燥プロセスにおいて、一定の透過度の設定値T1 により風量を段階的に制御しているが、風量を連続的に制御してもよい。さらには、粒の成長とともに、小さな粒径の粉塵濃度が小さくなるので、風量などの制御量を制御するための設定値として、粒の成長に応じて複数の設定値を採用してもよい。例えば、風量制御のための設定値として、順次高くなるT1a,T1b,T1cを採用し、センサからの検出値がそれぞれ基準値T1a,T1b,T1cに到達したとき、風量を順次増加させてもよい。また、プロセス制御において、基準データは予めプログラムされた連続的な基準データであってもよい。
また、風量制御においては、センサによる検出データ(光センサによる透過光量など)を一定レベルに維持するように風量をPID制御などによりフィードバック制御してもよい。
給気量は、チャンバーの内容積、粉粒体の量や液体の噴霧量に応じて適当に選択でき、例えば、チャンバーの底部断面積1m2 当り、毎分、5〜200m3 、好ましくは10〜100m3 程度の範囲から選択できる。
【0039】
なお、造粒物の品質は、温湿度により影響を受ける。例えば、空調されていない空気を用いて風量制御する場合、天候の変化や気候の変化により、同じ運転条件でも、造粒物の品質が変動し、著しい場合には流動不良に近い状態となる場合がある。このような場合でも、光センサによる検出データ(光センサによる透過光量など)が流動層内の水分量と相関関係があるため、同じ透過光量となるように流動層を制御することにより、ほぼ同じ造粒物を繰り返し製造できる。
【0040】
本発明は、造粒異常を監視する装置や方法としても有用である。すなわち、例えば、高水分の流動造粒系,重質物の流動造粒系などでは、流動層が消失する流動不良が生じやすい。このような場合であっても、流動不良に伴って、光センサによる透過度が急激に大きくなるとともに、検出データの標準偏差が小さくなる。このことを利用して、前記と同様にして流動層の流動化状態を検出し、この検出値を、比較手段により、造粒異常に対応する基準値と比較し、基準値への検出値の到達を指標として造粒異常を検出できる。なお、比較手段により生成する異常検出信号は、報知手段(例えば、アラーム,ランプなど)の制御回路に与えてもよい。
【0041】
また、前記の例では、光センサによる流動層の透過光量に基づいて、造粒工程から乾燥工程への切換のみならず、風量制御により造粒工程および乾燥工程におけるプロセス制御を行っているが、造粒プロセス制御および乾燥プロセス制御は、各プロセスのステップに応じて、流動層エアー供給手段、温度制御手段および液体供給手段から選択された少くとも1つの制御対象の制御量(風量,給気温度,および噴霧量、特に風量及び/又は噴霧量)を制御することにより行ってもよい。
前記造粒制御装置は、少なくとも流動層エアー供給手段及び液体供給手段を備えていればよいが、通常、加熱給気により乾燥効率及び生産性を高めるため、給気温度を制御するための温度制御手段を備えている場合が多い。好ましい態様では、風量及び/又は噴霧量、特に少くとも風量が制御される。例えば、造粒工程では、液体噴霧ノズルからの液体の噴霧量を制御してもよく、造粒工程や乾燥工程では、チャンバー内への空気の温度を調整する加熱ユニットなどの温度制御手段により給気温度を制御してもよい。
【0042】
噴霧量を制御する場合、センサ(例えば、赤外線センサなど)を用いて流動層を形成する粉粒体の湿分量を検出して平均化処理し、平均化データとメモリに格納された湿分量に関する基準データとを比較し、比較手段からのデータに基づいて、演算手段により制御量である湿分供給量を算出し、噴霧ノズルからの湿分量を制御することができる。
液体供給手段による液体(アルコールなどの有機溶媒、特に水又は水性バインダー液)の噴霧は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。また、センサからの検出データに基づいて、流動層の流動状態を判別し、噴霧量をコントロールしてもよい。なお、流動層の流動化状態は、例えば、センサによる検出値の変動の大きさや、センサによる検出値と閾値とを比較し、閾値を越える検出値の頻度などにより判別することもできる。
造粒に際しては、必要に応じて複数の液体噴霧ノズルから液体を噴霧してもよく、液体の噴霧方法は、特に制限されず、例えば、チャンバーの上部のノズルから噴霧するトップスプレー、および流動する粉粒体の流れに対して接線方向に噴霧するタンジェンシャルスプレーなどであってもよい。
【0043】
また、温度制御手段により給気温度を制御する場合、前記検出手段として温度センサを用いてチャンバー内の温度を検出し、比較手段により温度に関する基準データと比較し、比較手段からのデータに基づいて、演算手段により制御量温度を算出することにより、上記と同様にして制御できる。
また、給気温度は、粉粒体の種類などに応じて選択でき、例えば、30〜100℃程度の範囲から選択する場合が多い。
【0044】
なお、流動層は、温度が高いと、溶媒(水分など)の揮散が多くなり、乾燥気味の造粒となって粉粒体が舞い上がり、前記光センサによる透過光量が低減し、温度が低いと、光センサによる透過光量が増加する。また、噴霧液量が多いと、粉粒体の重量が増加し、前記光センサによる透過光量が増加し、噴霧液量が少ないと、光センサによる透過光量が低減する。このような関係を利用することにより、前記光センサによる検出値を平均化し、前記と同様な制御装置を利用して、風量のみならず、温度又は噴霧液量を制御することも可能である。
【0045】
さらに、造粒工程から乾燥工程への切換のための検出手段は、流動層の流動状態を検出できればよく、超音波センサで構成されたセンサ、流動層での造粒物の衝突により生じる弾性波(AE波,Acqustic Emission)を検出可能な弾性検出手段などであってもよい。この弾性検出手段は圧電型超音波センサで構成できる。前記弾性検出手段において、検出された弾性波のうち特定の周波数成分の事象率(イベントレート)は、造粒物の平均粒径と相関性を有し、特定の周波数成分の強度(AE強度)は、造粒物の硬度と相関性がある(特開平7−246326号公報)。事象率(イベントレート)は、単位時間当りに振幅がしきい値を越えた弾性波信号の発生回数を意味し、AE強度は、AE信号の振幅の先頭値または先頭値の二乗と持続時間の積を意味する。
【0046】
流動層の流動状態を精度よく検出するため、通常、流動層の透過光量が検出可能な光センサ(例えば、光電センサや光電スイッチ、赤外線センサ、レーザセンサなど)、すなわち、発光手段と受光手段とで構成された光センサを用いる場合が多い。好ましい光センサには、光路径が大きく、流動層の流動状態の検出感度が高く、取り付け作業性などに優れる光電センサが含まれ、光電スイッチも好ましい。光電スイッチを用いる場合、光の透過と粒子による遮蔽とをON/OFFで検出し、単位時間当りの光の透過時間(ONの時間)の割合を数値化すると、A/D変換が不要となる。なお、取付位置やチャンバーの容積などに応じて、光センサの光量などは適当に調整できる。
なお、乾燥工程への切換のための流動層の流動状態(透過光量など)の検出や、造粒・乾燥プロセス制御のための検出は、少くとも1つの検出手段で行うことができ、複数の検出手段で検出してもよい。複数の検出手段は、流動層の高さ方向に対して所定の幅をもったほぼ同一の水平面上に配設してもよい。
前記センサの取り付け部位は、センサの種類に応じて流動層の流動状態を検出できる限り特に制限されないが、光センサの場合には、チャンバーの側部のうち、造粒工程での流動層の高さに対応する部位である場合が多い。また、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための基準値Vf2は、センサの取り付け部位に応じて設定できる。なお、噴霧ノズルがチャンバーの上部に位置するスプレー方式の場合、噴霧ゾーンを避け、かつチャンバーのうち噴霧位置の側部などの適所に透過型光センサを位置させてもよい。
【0047】
流動層の流動状態を検出するための検出手段(特に光センサ)は、造粒から乾燥への切換タイミングを検出する手段としてのみならず、造粒工程において注液量を低減するための切換タイミングを検出する手段としても有用である。すなわち、造粒工程において、注液量を段階的に低減させて造粒する場合、注液量の低減タイミングに前記検出手段を利用すると、造粒を円滑に行うことができるとともに、造粒末の粒度特性をコントロールできる。
この装置は、液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒するために有用であり、前記と同様に、気流によりチャンバー内で粉粒体の流動層を形成するための流動層エアー供給手段と、液体を噴霧するための液体供給手段と、前記流動層の流動状態を検出するための検出手段と、この検出手段による検出値と流動層の流動状態に関する設定値とを比較するための比較手段とを備えている。そして、前記流動層エアー供給手段による所定の風量の下、前記比較手段において前記設定値への前記検出値の到達に基づいて、切換え手段により液体の噴霧量を切換えて、前記液体供給手段からの液体の噴霧量を低減させる。
なお、この装置において、乾燥プロセスの制御動作は特に制限されない。前記切換え手段からの切換え信号は、前記設定値への前記検出値の到達に応答して液体供給手段に与えてもよく、前記設定値への前記検出値の到達に応答して、所定量の注液を行った後、液体供給手段に与えてもよい。噴霧量は複数回低減させればよく、噴霧量の低減レベルは適当に選択できる。
【0048】
図18は本発明の他の制御装置による造粒・乾燥プロセスを示すタイムチャート、図19は図18の造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
この例においては、スタート信号に応答して風量をQ0 から予め設定された風量Q1 へ増加させて光センサからの検出値Vが透過度T1 未満の流動層を形成し、注液量L1 で液体を注液する。この注液により造粒が進行して検出値Vが増加し、検出値Vが透過度の設定値T1 以上となるか否かが判断され、検出値Vが前記透過度の設定値T1 以上となると、設定値T1 への検出値Vの到達に応答して、注液量L1 での注液を継続する。
そして、予め設定された設定注液量に到達したか否か判断され、注液量が設定注液量に達したとき、切換え信号が液体供給手段に与えられ、低レベルの注液量L2 での注液が行われる。注液量L2 での注液を継続し、総注液量が予め設定された注液積算量に到達すると、噴霧注液が停止する。乾燥工程では、前記図5に示されるのと同様にして乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥が終了すると送風が停止し(風量Q0 )造粒末の乾燥が終了する。
【0049】
流動層の流動状態を検出するための前記検出手段(特に光センサ)は、造粒から乾燥への切換タイミングを検出する上で有用であるが、切換手段を備えていない制御装置を利用して、液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度のうち少くとも一方を制御することにより、造粒・乾燥プロセス(特に造粒プロセス)を制御することも有用である。流動層エアー供給手段、液体噴霧のための液体供給手段を備えた前記制御装置の構成は、前記切換手段を備えていない点を除いて前記制御装置と同様に、前記流動層の流動状態を検出するための少くとも1つの検出手段、この検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段、平均化されたデータと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとを比較するための比較手段、および比較結果に基づいて、前記液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度のうち少くとも一方を制御するための制御手段を備えている。
図20は本発明の他の制御装置による造粒・乾燥プロセスを示すタイムチャート、図21は図20の造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
この例では、スタート信号に応答して風量をQ0 からQ1 へ増加させて流動層を形成し、光センサによる検出値Vが透過度の設定値T1 未満であるか否かが判断され、注液量L1 による噴霧注液が開始される。注液に伴って造粒が進行し、検出値Vが透過度の設定値T1 以上であるか否かが判断され、検出値Vが設定値T1 未満であるときは噴霧注液が継続され、検出値Vが設定値T1 以上となったとき、噴霧注液量のフィードバック制御が行われる。このフィードバック制御では、所定時間内に透過度をT1 からT2 へ増加させて造粒するための基準データのプログラムが予めメモリに格納され、この基準データと光センサによる検出値Vとを比較しつつ、基準データに追随させて噴霧注液量をプログラム制御している。このような注液制御を行うことにより造粒末の粒度特性を精度よくコントロールできる。
そして、噴霧注液が終了したか否かが判断され、噴霧注液が終了していないときは噴霧注液量のフィードバック制御が行われ、噴霧注液が終了したときは、噴霧注液を停止して、乾燥工程へ移行する。この乾燥工程では、前記と同様にして乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥が終了していないときは、噴霧注液の停止が維持され、乾燥が終了すると、風量がQ0 に低減して造粒末の乾燥が終了する。
図22は本発明の他の制御装置による造粒・乾燥プロセスを示すタイムチャート、図23は図22の造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
この例では、噴霧注液量を多段に制御するとともにフィードバック制御して造粒している。すなわち、スタート信号に応答して風量がQ0 からQ1 へ増加させて流動層を形成し、検出値Vが透過度の設定値T1 未満であるか否かが判断され、検出値Vが透過度の設定値T1 に達すると、注液量L1 による噴霧注液が開始される。注液に伴って造粒が進行し、検出値Vが透過度の設定値T1 以上であるか否かが判断され、検出値Vが透過度の設定値T1 未満であるときは注液量L1 による噴霧注液が継続され、設定値T1 以上となったとき、前記注液量L1 よりも小さな注液量L2 による噴霧注液が行われる。さらに、前記注液量L2 による噴霧注液を継続すると、検出値Vが増加し、検出値Vが透過度の基準値T2 以上であるか否かが判断される。検出値Vが基準値T2 未満では噴霧注液L2 が継続され、基準値T2 以上になると、注液量がさらにL3 に低減してフィードバック制御が行われる。このフィードバック制御では、所定時間内に透過度をT2 からT3 へ増加させるため、予めプログラムされた造粒プロセスの基準データと検出値とが比較され、比較結果に基づいて、基準データに追随して噴霧注液量をプログラム制御している。
そして、噴霧注液が終了したか否かが判断され、噴霧注液が終了していないときは噴霧注液量のフィードバック制御が行われ、噴霧注液が終了したときは、噴霧注液を停止して、乾燥工程へ移行する。この乾燥工程では、前記と同様にして乾燥が終了したか否かが判断され、乾燥が終了していないときは、噴霧注液の停止が維持され、乾燥が終了すると、風量がQ0 に低減して造粒末の乾燥が終了する。
このような造粒制御では、風量制御により流動層の高さを維持する造粒方法に比べて、噴霧注液量を微妙にコントロールできるため、造粒末の粒度特性をさらに精度よくコントロールできる。
なお、噴霧注液の終了は、流量計による総注液量の検出、注液時間、予め設定された透過度への検出値の到達などに基づいて判断できる。
前記図14,図18,図20〜図23の例では、造粒プロセスにおいて、噴霧注液量を制御しているが、造粒プロセス及び/又は乾燥プロセスにおいて、噴霧注液とともに、又は噴霧注液とは独立して流動層エアー供給手段からの給気温度を制御してもよい。さらに、噴霧注液及び/又は給気温度の制御は、給気風量の制御と組合せて行ってもよい。
【0050】
前記検出手段[特に流動層の透過光量を検出するための検出手段(光センサ)]による検出精度が低下するのを防止するため、前記装置は、チャンバーのうち透光部位の内面に粉塵が付着するのを防止するための付着防止手段を備えているのが好ましい。付着防止手段は、前記透光部位の内面を拭くワイパーなどであってもよいが、チャンバー内において前記透光部位に対して斜め方向からエアーを噴出して付着した粉塵を除去するためのエアー噴出手段であるのが好ましい。前記付着防止手段については、特開平5−285363号公報を参照できる。図24は前記透光部位の内面に粉塵が付着するのを防止するための付着防止装置を示す概略部分横断面図である。
【0051】
この付着防止装置は、チャンバー1のうち光センサ(発光素子11aまたは受光素子11b)が配設される透光部位の透明部材12a,12bに隣接して、前記チャンバー1内と通じて形成された気体噴出管41と、チャンバー1のうち気体噴出管41の取り付け部位に対応する内面側に配設されたカバー部材42とを備えている。このカバー部材42の周縁部は、前記透光部位側を残してチャンバー1の内壁と密着して気体溜め空間43を形成し、カバー部材42の透光部位側とチャンバー1の内壁との間には、気体噴出管41からの気体を噴出させるためのスリット44が形成されている。このような付着防止装置を用いると、気体噴出管41からエアーをチャンバー1の内周面に沿って噴出させることができ、透光部位の透明部材12a,12bの内面に粉塵が付着するのを防止できる。そのため、光センサによる検出感度の低下を防止しつつ、確実かつ精度よく造粒工程を制御できる。なお、噴出するエアーは、粉塵の付着を防止できる範囲で適当に設定でき、透光路への影響を少くする点からは、小さい圧力の方が好ましい。
【0052】
図25は付着防止装置の他の例を示す概略部分縦断面図である。
この付着防止装置は、チャンバー1のうち光センサ(発光素子11aまたは受光素子11b)が配設される透光部位の透明部材12a,12bの上部又は下部に、前記チャンバー1内に延びる気体噴出管51を備えている。この気体噴出管51は、チャンバー1内で湾曲し、その先端部のノズル51aが、前記透明部材12a,12bに向かっている。このような付着防止装置でも、気体噴出管51からエアーをチャンバー1の透明部材12a,12bに向かって噴出させることにより、光センサによる検出感度の低下を防止しつつ、確実かつ精度よく造粒工程を制御できる。なお、透明部材12a,12bを全体に亘って均一に清浄化するため、ファイバースコープのように、前記気体噴出管51の先端部は、外部からの操作により屈曲自在であってもよい。
【0053】
チャンバーの対向位置に形成された透光部位の内面に粉塵が付着するのを防止するための付着防止手段は、前記透光部位に対応するチャンバーの内側又は外側に取り付けられ、かつチャンバーの内方側に向って気体が流出可能な開口孔を備えた正圧室と、この正圧室に気体を供給するための供給手段とで構成されているのが好ましい。
【0054】
図26は本発明の造粒装置における付着防止装置のさらに他の例を示す概略部分縦断面図である。
この例において、付着防止手段は、透光部位に配設された透光部材12a,12bに対応するチャンバー1の内側に取り付けられた内面が湾曲した中空部材61と、この中空部材のうちチャンバー1の内方側(すなわち光センサの光路方向)に向って気体が流出可能に形成された開口孔62とで構成された正圧室63を備えている。この正圧室63の空間は、開口孔62に向かって先細状に形成されている。また、前記正圧室63に気体を供給するため、チャンバー1の外方から内方に延び、かつ圧縮気体を供給するための気体供給ライン64が前記中空部材61に接続されている。
このような付着防止手段を用い、気体供給ライン64から圧縮気体を供給すると、正圧室63内の圧力が正圧となり、チャンバー1内で浮遊する粉塵や粉粒体が前記開口孔62から正圧室63に侵入するのを防止できる。そのため、透明部材12a,12bの内面に粉塵が付着するのを防止しつつ、光センサ11a,11bにより精度よく透過光量などを検出でき、確実かつ精度よく造粒工程を制御できる。
【0055】
図27は付着防止装置の他の例を示す概略部分縦断面図である。
この付着防止装置は、チャンバー1の壁面に取り付けられるプレート状部材71と、このプレート状部材に形成され、かつ透明部材12a,12bの閉塞により正圧室72を形成するための孔部と、前記正圧室72に通じる流路73と、この流路の端部に形成された接続凹部74と、この接続凹部に接続可能な気体供給ライン75とを備えている。なお、前記正圧室72を形成するための孔部は、チャンバー1の内方に向って先細となっている。このような装置でも、前記と同様に、透明部材12a,12bの内面に粉塵が付着するのを防止しつつ、光センサ11a,11bにより精度よく透過光量などを検出でき、確実かつ精度よく造粒工程を制御できる。
【0056】
図28は付着防止装置のさらに他の例を示す概略部分縦断面図である。
この例では、付着防止装置がチャンバーの外側に取り付けられている。すなわち、チャンバー1の壁面には装着部材81が装着され、この装着部材はチャンバーと連通し、かつ外方へ延びる筒部82を備えている。この筒部82内は正圧室を形成する。前記筒部82の外方側の開口端部に取り付けられた保持部材83には、押え部材84により透明部材12a,12bが保持され、前記筒部82の外方側の開口端を閉塞している。さらに、前記押え部材に取付けられた取付け台には光センサ11a,11bが設けられている。そして、前記筒部内を正圧(加圧)とするため、前記筒部82のうち外方側には、気体供給パイプ85が接続されている。さらに、前記透明部材12a,12bへ粉塵などが付着するのを防止するため、前記筒部82のうち外方側には、前記透明部材12a,12bの内面に向って圧縮気体を噴出させるための気体噴出パイプ86が接続されている。
なお、小型の造粒装置に前記気体供給パイプなどで構成された付着防止装置を取り付けると、気体供給パイプ85からの気流や気体噴出パイプ86からの噴出気流により流動層が乱される場合がある。そこで、前記流動装置のチャンバー1内のうち筒部82の開口部付近には、筒部82からの気流とは異なる方向に気体を流出または噴出させるため、気体供給パイプ87に取り付けられたノズル88が配設されている。そのため、ノズル88からの気体により、筒部82からの気流を、筒部82の延出方向(すなわち正圧室における気体の流出方向)とは異なる方向に乱すことができ、適性な流動層を形成しつつ、造粒できる。
【0057】
このような装置を利用すると、気体供給パイプ85から加圧気体を供給することにより、正圧室を構成する筒部82内に粉塵が侵入するのを防止できるとともに、万一、透明部材12a,12bに粉塵が付着しても、気体噴出パイプ86から圧縮気体を透明部材12a,12bに向けて噴出させることにより粉塵を透明部材12a,12bから脱落させて除去できる。
なお、前記透明部材12a,12bから粉塵を脱落させるための気体噴出パイプ86、筒部82からの気流を乱すための気体供給パイプ87やノズル88は必ずしも必要ではない。
図28に示す例において、チャンバーの縦方向の中心軸に対して筒部82を適当な角度(例えば、5〜20°程度)で、上下方向、横方向などの適当な方向に向けて配設することにより、流動層の乱れを抑制しつつ透過度測定に対する悪影響を回避することができる。
【0058】
本発明ではセンサによる検出値を平均化および平滑化できるので、流動層に対するセンサ(光センサなど)による検出面積は特に制限されず、光センサを用いる場合、前記光センサによる発光および受光幅は、例えば、2〜200mm、好ましくは5〜150mm、さらに好ましくは10〜100mm程度の範囲から選択できる。なお、発光幅および受光幅とは、光径幅又は光路幅と同義であり、円形のスポット状光である場合には光径(直径)、異形の光である場合には短軸径の長さ(例えば、楕円形の光,スリット状光である場合には、最小幅であるスリット幅)を意味する。
スポット状光の光径幅(発光幅および受光幅)は、通常、10〜200mm、好ましくは20〜150mm、特に30〜100mm程度である。また、スリット状光のスリット幅(発光幅および受光幅)は、2〜200mm程度の範囲から選択でき、通常、2〜100mm、好ましくは3〜50mm、特に5〜20mm程度である。
【0059】
なお、センサによる検出面積を大きくすると、検出値をさらに有効に平均化および平滑化でき、さらに精度よく造粒制御するのに有用である。
図29は光径幅の大きな光センサの一例を示す概略断面図である。
この例では、発光ユニットおよび受光ユニットで構成された光センサのうち発光ユニットが示されている。なお、受光ユニットは、上記発光ユニットと同様の構造を備えている。
【0060】
発光ユニット91は、レーザ光などの光を発光するためのセンサ本体92と、このセンサ本体からの光を拡大し、平行光線とするためのレンズ系とで構成され、このレンズ系は、センサ本体92の収容ボックスと連通する円筒状ケーシング98内に配設されている。より詳細には、この例のレンズ系は、センサ本体92からの光は若干の広がり角を有するため、センサ本体92からの光を平行光線とするための第1の凸レンズ93と、この凸レンズを透過した平行光線を拡大するための凹レンズ94と、円筒状ケーシング98のうち拡径した部位に配設され、この凹レンズからの透過光を平行光線にするための第2の凸レンズ95とで構成されている。この第2の凸レンズ95の前方には、強化ガラスなどの透光部材96が配設され、レンズ系への粉塵の侵入を規制している。また、ケーシング98のうち透光部材96の前方側の側壁には、粉塵の侵入を抑制するためのエアーパージ口97が形成され、ケーシング98のうちチャンバ内に通じる部位には、パージエアーを分散させ、粉塵の侵入をさらに有効に抑制するための板状又は薄板状多孔部材(分散板)99が取り付けられている。
【0061】
一方、受光ユニットは、上記発光ユニットと対称的な構造、すなわち、チャンバから外方へ向かって、多孔部材(分散板),強化ガラスなどの透明部材,第2の凸レンズ,凹レンズ,第1の凸レンズ、および受光センサ本体を順次備えた構造を有している。
【0062】
このようなレンズ系と組み合わせたセンサでは、レンズ系により光路径を大きくして、測定面積を大きくし、測定データの平均化および平滑化を有効に行うことができ、風量制御、温度制御や噴霧量制御などを高い精度で行うことができる。例えば、発光ユニットでは、例えば、センサ本体からの可視光を20mmφの第1の凸レンズで平行光線とし、20mmφの凹レンズで拡大し、50mmφの第2の凸レンズにより光径50mmφの平行光線とすることができる。一方、受光ユニットでは、流動層内を通過した光を50mmφの第2の凸レンズで縮小し、20mmφの凹レンズで平衡光線とし、20mmφの第1の凸レンズによりセンサ本体の受光面に収束できる。そのため、このような大きさのレンズ系を利用すると、レンズ系を備えていないセンサに比べて、約25倍の面積で流動層の流動状態を検出できる。
【0063】
なお、レンズ系はプリズムを備えていてもよい。また、異形の光(例えば、楕円形状,スリット状光など)は、前記透明部材や分散板を所定形状に遮蔽することにより形成できる。スリット状光などの異形光は、縦長,横長であってもよく,斜め方向に傾斜していてもよい。
また、前記多孔部材(分散板)は必ずしも必要ではない。多孔部材(分散板)は、金属製網状体などで構成してもよい。
【0064】
光センサの光径の影響を調べるため、転動流動層造粒装置(パウレック社製,マルチプレックスMP−25)に、乳糖9.0kg、コーンスターチ4.5kgおよび結晶セルロース(アビセル)1.5kgを入れ、バインダー液として7重量%ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)水溶液を用い、給気風量6.8m3 /分,スプレー速度200g/分,給気温度75℃で造粒し、光センサによる透過度(%)の検出値をドット式にプロットした。
そして、光センサとして、レンズ系を備えていない光径10mmφの光センサを用いたところ、図30に示すように、検出透過度が大きく変動した。これに対して、レンズ系を備えた図29に示す光径50mmφの光センサを用いたところ、図31に示すように、透過度の検出値の変動が大きく抑制され、平滑化したデータが得られた。このことから、光径幅の大きな光センサを用いると、平滑化された検出データに基づいて、切換え制御や造粒制御をさらに精度よく行うことができる。
【0065】
本発明の造粒制御方法では、前記より明らかなように、気流(特にチャンバーの下部から上方への気流)により粉粒体の流動層を形成するとともに液体(水,アルコールなどの有機溶媒やバインダー液など)を噴霧して、粉粒体を造粒する。その際、湿分含量の大きな造粒系であっても、前記流動層の流動状態を検出して基準値と比較することにより、粒度特性と関連する造粒終点を検出できるので、所定の粒度特性を有する造粒末を再現性よく得ることができる。また、造粒プロセス及び/又は乾燥プロセスを制御することにより、円滑に造粒できるとともに、造粒末の粒度特性を精度よくコントロールでき、粒度分布のシャープな造粒末を得ることができる。そのため、本発明の方法は、高湿分含量の造粒系、例えば、水分含量10〜50重量%、好ましくは20重量%以上(例えば、25〜40重量%)程度の粉粒体で流動層を形成しながら造粒する上で有用である。
【0066】
造粒は、造粒末の種類に応じて慣用の成分を用いて行なうことができる。例えば、医薬製剤としての造粒末を製造する場合、活性成分、添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤など)を用いる場合が多く、結合剤が水溶性である場合には、結合剤の水溶液を流動層に噴霧したり、粉粒状結合剤を含む流動層に水を噴霧する場合が多い。また、活性成分として吸湿性や粘性の高い成分、例えば、生薬エキスなどを用いる場合、活性成分は、必要に応じて水と混合し、流動層に噴霧してもよい。
【0067】
本発明は、液体(水,アルコールなどの有機溶媒,液状有効成分,生薬エキスなどで構成された液体,水性又は非水性バインダー液など)を噴霧して造粒する方法(特に、高温で造粒すると、活性が低下しやすい活性成分を水又は又は水性バインダー液を噴霧して造粒する方法など)、吸湿性や湿分保持能の高い活性成分や添加剤を、水,アルコールなどの有機溶媒,液状有効成分,生薬エキスなどの液体又はこれらの液体を含むバインダー液を噴霧して造粒する方法などに適用できる。また、本発明は、水,アルコールなどの有機溶媒,液状有効成分,生薬エキスなどを含む液体(水性又は非水性バインダー液など)を噴霧して粉粒体をコーティングするコーティング方法にも適用できる。
【0068】
【発明の効果】
本発明の装置及び方法では、流動層の流動状態(透過光量など)を検出して造粒工程から乾燥工程への切換を行うので、所定の粒度特性の造粒末を高い再現性で繰り返し製造できる。また、湿分量の如何に拘らず、簡単な構成で造粒終点を精度よく検出できるとともに、前記造粒工程から乾燥工程への切換手段と造粒・乾燥プロセスを制御するための制御手段とを組合せることにより、迅速かつ精度よく造粒末の粒度特性をコントロールできる。さらに、湿分含量が大きな造粒系であっても、均一な造粒末や粒度分布がシャープな造粒末を高い収率で再現性よく製造できる。
【0069】
【実験例】
実験例1
結晶セルロース20kg、主薬5kg、乳糖40kg、コーンスターチ15kgを転動流動層造粒装置(パウレック社製,マルチプレックスMP−400)に入れ、バインダー液として5重量%ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)水溶液を用い、回転体を回転数200rpmで回転させながら、転動流動造粒法により造粒した。
また、図1および図2に示す制御装置を用い、予熱工程で、給気風量10m3 /分、給気温度40℃の流動化エアーにより予熱して流動層を形成し、造粒工程では、バインダー液を2000g/分の噴霧速度で噴霧しながら、給気温度40℃の流動化エアーを供給して造粒した。また、透過型光センサによる検出値について、約1分間の移動平均を行い、移動平均データを0.1秒毎にA/D変換し、比較回路において検出値Vが所定の基準値Vf2に達した時、造粒工程から乾燥工程へ切換えた。また、造粒工程では、検出値Vが所定の基準値Vf1に達した時、風量を10m3 /分→20m3 /分→35m3 /分→50m3 /分と順次増加させる風量制御を行いつつ造粒した。さらに、乾燥工程では、給気風量50m3 /分、給気温度50℃で乾燥させた。
そして、基準値Vf2を透過度5〜80%に対応する値の範囲で設定し、光センサによる流動層の透過度Vが所定の基準値Vf2に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換え、前記切換時の透過度と得られた造粒末の粒度特性(平均粒子径,直径0.5mm以上の粗粒量,直径0.1mm以下の微粉量)との関係を調べたところ、図32および図33に示す結果を得た。
【0070】
図32から明らかなように、流動層の透過度と造粒末の平均粒径との間には強い相関関係が認められる。また、図33からも明らかなように、粗粒量および微粉量も透過度と密接な関係が認められ、粗粒量および微粉量の双方を低減させるためには透過度15〜40%(特に20〜30%)を切換信号の基準値とするのが有用である。
【0071】
実験例2
風量40m3 /分,50m3 /分,60m3 /分において、実施例1と同様にして、切換時の透過度(基準値)と得られた造粒末の平均粒子径との関係を調べたところ、図34に示す結果が得られた。
図34から明らかなように、それぞれの風量において、切換時の透過度と平均粒子径との間に相関関係が認められる。
【0072】
実験例3
平均粒子径230μmの造粒末を得るために必要な、風量と切換時の透過度(基準値)との関係を調べたところ、図35に示す結果を得た。
図35から明らかなように、所定の平均粒子径を有する造粒末を得る場合、風量が高い場合には、透過度を小さな値に設定して切換えるのが有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は転動流動造粒装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は図1の制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は平均化処理前の光センサ出力の変動を示すグラフである。
【図4】図4は図3に示す光センサ出力の変動を本発明の方法により平均化したグラフグラフである。
【図5】図5は図2の制御装置を利用した造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図6】図6は図5に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図7】図7は図2の制御装置を利用した他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図8】図8は図7に対応する他の造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図9】図9は図2の制御装置を利用したさらに他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図10】図10は図9に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明の他の制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】図12は図11の制御装置を利用した造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図13】図13は図11の制御装置を利用した造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図14】図14は本発明の他の制御装置を利用した他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図15】図15は図14に対応する他の造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図16】図16は本発明の他の制御装置を利用したさらに他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図17】図17は図16に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図18】図18は本発明の他の制御装置を利用した造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図19】図19は図18に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図20】図20は本発明の他の制御装置を利用した他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図21】図21は図20に対応する他の造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図22】図22は本発明の他の制御装置を利用したさらに他の造粒・乾燥プロセスの概略を示すタイムチャートである。
【図23】図23は図22に対応する造粒・乾燥プロセスを示すフローチャートである。
【図24】図24は付着防止装置の一例を示す概略部分横断面図である。
【図25】図25は付着防止装置の他の例を示す概略部分縦断面図である。
【図26】図26は本発明の造粒装置における付着防止装置のさらに他の例を示す概略部分縦断面図である。
【図27】図27は付着防止装置の他の例を示す概略部分縦断面図である。
【図28】図28は付着防止装置のさらに他の例を示す概略部分縦断面図である。
【図29】図29は光径幅の大きな光センサの一例を示す概略断面図である。
【図30】図30は光径10mmφの光センサを用いたときの透過度の変化を示すグラフである。
【図31】図31は光径50mmφの光センサを用いたときの透過度の変化を示すグラフである。
【図32】図32は実験例1の結果を示すグラフである。
【図33】図33は実験例1の結果を示すグラフである。
【図34】図34は実験例2の結果を示すグラフである。
【図35】図35は実験例3の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…チャンバー
4…流動層エアー供給ライン
7…液体噴霧ノズル
11a…発光素子
11b…受光素子
21,31…光センサ
22,32…平均化回路
23,33,36…A/D変換回路
24,37…中央処理装置(CPU)
25,38…D/A変換回路
26,39…駆動回路
27,34…比較回路
35…湿分センサ
Claims (13)
- 液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒するための造粒工程と、流動層を形成しつつ造粒物を乾燥するための乾燥工程とを経て造粒物を得るための装置であって、気流によりチャンバー内で粉粒体の流動層を形成するための流動層エアー供給手段と、液体を噴霧するための液体供給手段と、前記流動層の流動状態を検出するための検出手段と、この検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段と、平均化されたデータから微分データを得るための微分手段と、この微分手段による微分値と流動層の流動状態に関する基準値とを比較するための比較手段と、この比較手段において前記微分手段による微分カーブの立ち下がり領域の微分値が前記基準値に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段とを備えている造粒制御装置。
- 検出手段が、流動層の透過光量を検出する手段である請求項1記載の造粒制御装置。
- 検出手段による検出データから所定時間毎に標準偏差データを算出するための算出手段を備えている請求項1又は2記載の造粒制御装置。
- 流動層の流動状態を検出するための検出手段と、検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段と、切換え手段からの切換え信号が与えられ、かつ平均化されたデータと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果に基づいて、流動層エアー供給手段からの風量、液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度から選択された少くとも1つの制御量を制御するための制御手段とを備えている請求項1記載の造粒制御装置。
- 造粒・乾燥系内の湿分量を検出するための湿分量検出手段、および造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段からの切換え信号が与えられ、かつ前記湿分量検出手段により検出された湿分量データと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果に基づいて、流動層エアー供給手段からの風量、液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度から選択された少くとも1つの制御量を制御するための制御手段を備えている請求項1記載の造粒制御装置。
- 流動層の流動状態を検出するための検出手段、検出手段による検出データを所定時間毎に平均化するための平均化手段、および造粒工程から乾燥工程へ切換えるための切換え手段からの切換え信号が与えられ、かつ平均化されたデータと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果、および造粒・乾燥系内の湿分量を検出するための湿分量検出手段、および切換え手段からの切換え信号が与えられ、かつ前記湿分量検出手段により検出された検出データと造粒・乾燥プロセスに関する基準データとの比較結果に基づいて、流動層エアー供給手段からの風量、液体供給手段からの噴霧量および流動層エアー供給手段からの給気温度から選択された少くとも1つの制御量を制御するための制御手段を備えている請求項1記載の造粒制御装置。
- 検出手段が、チャンバーの対向位置に形成された透光部位の外側に配設された発光手段と受光手段とで構成された光センサである請求項1又は2記載の造粒制御装置。
- 光センサによる発光および受光幅が2〜200mmである請求項7記載の造粒制御装置。
- 流動層の流動化状態の検出値を、造粒異常に対応する基準値と比較し、基準値への検出値の到達を指標として造粒異常を検出する請求項1記載の造粒制御装置。
- 液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒するための造粒工程と、流動層を形成しつつ造粒物を乾燥するための乾燥工程とで構成された造粒方法であって、流動層の流動状態を検出し、検出データを所定時間毎に平均化し、平均化したデータを微分し、微分した微分値と流動層の流動状態に関する基準値とを比較し、前記微分カーブの立ち下がり領域の微分値が基準値に達したとき、造粒工程から乾燥工程へ切換える造粒方法。
- 造粒工程において、風量、液体の噴霧量および給気温度のうち少くとも1つを制御しながら高湿分系で粉粒体を造粒し、乾燥工程において少くとも風量および給気温度のうち少くとも1つを制御しながら造粒物を乾燥する請求項10記載の造粒方法。
- 造粒工程において、風量および給気温度のうち少くとも1つを制御しながら液体の一部を噴霧して粉粒体を造粒し、乾燥工程において風量および給気温度のうち少くとも1つを制御するとともに、残余の液体を噴霧しながら、造粒物を乾燥する請求項10記載の造粒方法。
- 液体の噴霧により流動層の粉粒体を造粒する方法であって、所定の風量で流動層を形成して粉粒体を造粒しつつ、前記流動層の流動化状態を検出し、検出データを所定時間毎に平均化し、平均化したデータを微分し、微分した微分値を流動層の流動状態に関する基準値と比較し、前記微分カーブの立ち下がり領域の微分値の基準値への到達を指標として造粒終点を検出する方法。
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