JP3909382B2 - 流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法 - Google Patents
流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は流動層処理装置を用いた粉粒体の造粒制御方法に関するものであり、特に平均粒子径、均一度、見掛密度等の特性を数式化することで最適の造粒条件を設定し、所望の特性の粉粒体を得ることのできる造粒制御方法に係るものである。
【0002】
【発明の背景】
流動層造粒法は、粉体を微細な顆粒状の粒子(以下粉粒体という)に造粒する方法として広く用いられている。この流動層造粒法を実行するための流動層処理装置は操作因子が多く、得られる造粒製品を希望の平均粒子径、均一度、見掛密度とするための最適条件は試行錯誤して求める必要があり、このためオペレータの経験と技術に負うところが大きい。具体的には、あらかじめ操作因子の制御値を設定しておいて装置の運転を行い、造粒途中での操作因子の調整は目視観察により制御値を変更して行っている。
【0003】
また原料に天然物等を使用するため、原料物性の変動により同一操作条件での運転は、製品品質の安定性を欠く恐れがある。この点からも操作因子の設定変更は専らオペレータの経験に委ねられ、その結果、操作ミスが引き起こされることもあった。
【0004】
このようなオペレータの経験と技術に負った運転操作を自動化すべく、オンライン計測技術の開発や自動制御システムの開発が行われているが、粉粒体の成長メカニズムが解明されていないため、最適な制御システムの構築には至っていないのが実状である。
【0005】
【解決を試みた技術課題】
本発明はこのような背景の認識に基づいてなされたものであって、粉粒体の平均粒子径、均一度、見掛密度等の特性を数式化し、最小限の造粒実験からこの数式に含まれる定数を決定することで、原料の特性に応じた流動層処理装置の運転条件を決定できる、新規な流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法の開発を試みたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、流動層造粒装置を用いて粉粒体を造粒する方法において、下式に基づいて制御パラメータを制御して希望の平均粒子径の造粒品を得ることを特徴とする。
【0007】
【数4】
平均粒子径=a1 ×噴霧液滴径×実効制御水分値+b1
(ただし、a1 、b1 は原料について実験を行うことによって推定される定数)
【0008】
この発明によれば、粉粒体の平均粒子径を流動層処理装置の操作因子及び原料粉体の物性処方の関数として予測することで、所望の造粒製品物性に応じた流動層処理装置の運転を行うことができる。
【0009】
また請求項2記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記要件に加え、流動層造粒装置を用いて粉粒体を造粒する方法において、下式に基づいて制御パラメータを制御して希望の均一度の造粒品を得ることを特徴とする。
【0010】
【数5】
均一度=(平均粒子径+0.68×標準偏差)/(平均粒子径−0.68×標準偏差)
(ただし、標準偏差=a2 ×噴霧液滴径×実効制御水分値+b2
a2 ,b2 は原料について実験を行うことによって推定される定数、0.68は片側確率25.175%に対する測度
平均粒子径は前記請求項1に記載された式により得られる値)
【0011】
この発明によれば、粉粒体の均一度を流動層処理装置の操作因子及び原料粉体の物性処方の関数として予測することで、所望の造粒製品物性に応じた流動層処理装置の運転を行うことができる。
【0012】
また請求項3記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記請求項2記載の要件に加え、流動層造粒装置を用いて粉粒体を造粒する方法において、下式に基づいて制御パラメータを制御して希望の見掛密度の造粒品を得ることを特徴とする、粉粒体の造粒制御方法。
【0013】
【数6】
見掛密度=a3 ×(平均粒子径/均一度)-1+b3
(ただし、a3 ,b3 は原料について実験を行うことによって推定される定数
平均粒子径は前記請求項1に記載された式により得られる値
均一度は前記請求項2に記載された式により得られる値)
【0014】
この発明によれば、粉粒体の見掛密度を流動層処理装置の操作因子及び原料粉体の物性処方の関数として予測することで、所望の造粒製品物性に応じた流動層処理装置の運転を行うことができる。
【0015】
また請求項4記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記要件に加え、前記制御パラメータは噴霧液滴径であることを特徴とする。
この発明によれば、流動層処理装置の操作因子の一つである噴霧液滴径に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0016】
更にまた請求項5記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記制御パラメータは実効制御水分値であることを特徴とする。
この発明によれば、流動層処理装置の操作因子の一つである実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0017】
更にまた請求項6記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記請求項5記載の要件に加え、前記実効制御水分値は制御水分値により設定することを特徴とする。
この発明によれば、実効制御水分値を流動層処理装置の操作因子である制御水分値により変更し、実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0018】
更にまた請求項7記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記請求項5記載の要件に加え、前記実効制御水分値は加水量により設定することを特徴とする。
この発明によれば、実効制御水分値を流動層処理装置の操作因子である加水量により変更し、実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0019】
更にまた請求項8記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記請求項5記載の要件に加え、前記実効制御水分値は制御水分上昇率により設定することを特徴とする。
この発明によれば、実効制御水分値を流動層処理装置の操作因子である制御水分上昇率により変更し、実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0020】
更にまた請求項9記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、流動中の粉粒体の水分値を近赤外線式水分計を用いて測定し、検量線作成時の運転データを用いて原料物性によって異なる予測式中の定数を求めることを特徴とする。
この発明によれば、流動層処理装置及び原料粉体に応じた予測式を立てることができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決を図っているのである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の適用対象である流動層処理装置1の構成について説明した後、その作動状態と併せて本発明の造粒制御方法について説明する。符号1は流動層処理装置であって、粉粒体Gの乾燥、造粒、コーティング等を行う公知の構成の装置であり、図1に示すように流動風吹込室2、流動室3、噴霧室4、フィルタ室5を連接して構成される。
【0022】
流動風吹込室2は流動層処理装置1の最下部に位置し、上面を開口した円筒状の中空部材から成り、その側周部等に適宜熱風供給装置等が接続される。
また流動室3は前記流動風吹込室2の上部に位置する一例として逆円錐台形の中空室であり、底部つまり流動室3と流動風吹込室2との境界部には、多孔板あるいは金網等を適用した目皿板3Aが設けられる。また近赤外線式水分計3aが、そのセンシング部を流動室3内に臨ませて具えられる。
【0023】
噴霧室4は前記流動室3の上部に位置する円筒状の部材から成り、内部には水あるいは結合剤となるバインダ液Bを噴霧するための噴霧ノズル6が設置されている。噴霧ノズル6には外部に適宜ポンプ6a、バルブ6b等を具え、噴霧ノズル6から噴出されるバインダ液B等の噴霧液速度あるいは噴霧空気圧の調節を可能にしたものである。またバインダ液B用のタンク6cには液面センサ等を設けたり、タンク6cとポンプ6aとをつなぐ管等に流量計を設けることで、これらの液量計6dにより、流動室3に供給されたバインダ液Bの量を計測可能にする。
【0024】
フィルタ室5は前記噴霧室4の上部に位置し、内部には粉粒体Gと気体とを分離するためのバグフィルタ7が組み込んであり、装置外へ粉粒体Gが流出しないようにしてある。
【0025】
符号10は粒度測定装置であって、このものは流動層処理装置1の流動室3の外部における適宜の位置に付設され、サンプリング装置11と、導管15と、レーザ光式粒径センサ20と、空輸配管16とを具えて成る。
【0026】
サンプリング装置11は、一例として流動層処理装置1における流動室3に標準仕様として設けられることのあるサンプリング孔を利用して流動室3の外部に付設されるものであり、このようにした場合には既設の装置についても改造することなく設置が可能である。このサンプリング装置11は実質的にスクリューコンベヤを構成するものであって、流動室3に対して一端の粒子取入口14がその内部に臨むようにして設置される。
流動室3内で流動状態にある粉粒対Gは、粒子取入口14より取り込まれ、サンプリング装置11内部へと移送される。
【0027】
次に導管15について説明する。このものはサンプリング装置11と後述する空輸配管16との間に装着される。導管15の両側部には反射防止コーティングガラス17を具える。このものは表面をコーティング処理した光学ガラスであり、入射するレーザ光をその境界面において反射、散乱することなく透過させる。反射防止コーティングガラス17の内側には適宜エアパージ機構を具えてもよい。
【0028】
次にレーザ光式粒径センサ20について説明する。このものは既存のセンサであり、図2に示すように、He−Neレーザ21から発射され、コリメータ22を経たレーザ光が粉粒体Gにより散乱し、このレーザ光をセンサ23により受光し、その強さ等から散乱物質である粉粒体Gの粒径を測定するものである。特にラマン効果を利用したタイプは散乱光の波長が発射光と異なるのでSN比が高く、高精度の測定が可能である。またサンプリング周期は0.6〜500msの範囲で可変である。
なお本実施の形態ではレーザ光散乱式の粒径センサを用いたが、レーザ光回折法等の粒径センサを用いてもよい。またレーザ光式粒径センサ20のセンシング部が直接流動室3内に臨み、サンプリング装置11を必要としないタイプのものも用いることができる。
【0029】
上述したように構成される粒度測定装置10に対し粉粒体Gは、導管15内を重力で落下し、落下中に反射防止コーティングガラス17間のほぼ中心を通過し、その際に照射されているレーザ光により粒子径の測定が行われる。
【0030】
上述したようにして行われるレーザ光式粒径センサ20による所要測定時間は約2秒であり、この間に200回の測定を行い、その平均を演算して出力することが可能である。またレーザ光式粒度センサ20は1〜2000μmまでの非常に広い範囲の粒径を、一台のセンサで測定することが可能であり、通常の造粒操作における粒度範囲をすべてカバーしている。
【0031】
次に前記粒度測定装置10による測定値の解析等を行うコンピュータ25について説明する。このものは一例として既存のパソコンであり、粒子加工に必要な平均粒子径、均一度、粒度分布等を演算し、その結果を出力する。またこの出力値はJIS規格のふるいに準拠させることが好ましい。なお、本実施の形態ではコンピュータ25にパソコンを用いたが、シングルボードコンピュータやEWS等を用いてもよい。
【0032】
本発明の適用対象である流動層処理装置1は上述したとおりであり、以下このものを用いた本発明の造粒制御方法について説明する。本発明の造粒制御方法の概要は検量線作成時の運転データ(原料水分値、噴霧液滴径、平均粒子径、最大制御水分値、実効制御水分値)を用い、このデータから造粒に関与する原料物性値を推定し、この推定値を基に流動層処理装置1の操作条件を予測し、その操作条件での造粒実験を繰り返すことで、粉粒体Gの平均粒子径、均一度、見掛密度等を漸次、目標に近付けていくというものである。
前記検量線実験とは、赤外線水分計の吸光度値と層内水分値を対応させるための予備実験であり、実際に流動層処理装置1を用いて粉粒体Gの造粒を行う実験である。
【0033】
[1] 平均粒子径予測
図3に示すように、各種原料を用いた流動層造粒実験を行った結果、流動層処理装置1を用いて得られる粉粒体Gの平均粒子径は次式で近似される。
【0034】
【数7】
平均粒子径=a1 ×噴霧液滴径×実効制御水分値+b1 ………(1)
a1 ,b1 ;原料について実験を行うことによって推定される定数
実効制御水分値;f(制御水分値、加水量、制御水分上昇率)
【0035】
ここで噴霧液滴径とは、噴霧ノズル6から噴霧されるバインダ液Bの滴径である。また制御水分値とは、流動室3内の水分値であり目標値として設定された値である。更にまた加水量とは、流動室3内に噴霧されたバインダ液Bの量である。更にまた制御水分上昇率は、後述するように検量線作成時に決定される値である。そして実効制御水分値とは、制御水分値、加水量及び制御水分上昇率の関数であり、次式によって定義される。
【0036】
【数8】
実効制御水分値=((Cw−Rm)/Aw)×(Aw−(Cw−Rm)/2L )………(2)
Cw;制御水分値
Aw;加水量
L;制御水分上昇率
Rm;原料水分値
【0037】
前記(1)式を種々の原料粉体から得たデータに適用したところ、相関係数は原料系によって0.75〜0.97の範囲であった。
従って、前記定数a1 ,b1 を決定すれば各原料系での平均粒子径が推定できることとなる。
【0038】
前記定数a1 については図4に示すように、水に溶けやすい原材料等若干の例外を除いて次式により求めることができる。
【0039】
【数9】
a1 =(3.98/(最大制御水分−原料水分値))−0.03………(3)
【0040】
ここで最大制御水分値とは、造粒操作が可能な流動室内の水分の最大値を意味する。
上記(3)式を種々の原料粉体から得たデータに適用したところ、相関係数は原料系によって0.8前後であった。
この最大制御水分値の見極めには熟練を要することや、原料水分値にも変動があることから、検量線実験でのデータは暫定値とし、(3)式より得られたa1 の値を(1)式に代入してb1 の暫定値を算出する。
【0041】
前記制御水分上昇率は噴霧液速度や熱風の温度、風量、原料の物性等に依存し、次式により求めることができる。
【0042】
【数10】
制御水分上昇率=d(制御水分値,%)/d(加水量,%)………(4)
【0043】
上記(4)式中の制御水分値及び加水量は簡単に実測できるため検量線作成時に決定することができる。
【0044】
これらの式を用いた流動層処理装置1の操作因子の決定には、前記(1)式に係数a1 ,b1 の暫定値を代入し、目標とする平均粒子径を代入することで「噴霧液滴径×実効制御水分値」を算出し、その条件で1度目の実験を行う。
この一度目の実験結果及び検量線実験のデータを再び(1)式に代入して再度係数a1 ,b1 の推定値を計算し、次回の実験での条件を算出する。
以上のステップの繰り返しにより平均粒子径の予測を行うのである。
【0045】
[2] 均一度予測
粉粒体Gの粒度分布に関する他のパラメータとして粒径の均一度があり次式により定義する。この均一度は造粒製品の見栄え、歩留りや後述する見掛密度に大きく影響を与えるパラメータである。
【0046】
【数11】
均一度=75%粒子径/25%粒子径
【0047】
このように定義した均一度は、粒子径分布が正規分布すると仮定しその標準偏差を推定することで、次式により近似することができる。
【0048】
【数12】
均一度≒(平均粒子径+0.68×標準偏差)/(平均粒子径−0.68×標準偏差)………(5)
0.68;片側確率25.175%に対する測度
【0049】
ここで粒度分布の標準偏差を推定する理由は、粒度分布の標準偏差の値は平均粒子径の値と高い正の相関を有しており、粒度分布の標準偏差は前記平均粒子径の予測と同様のステップで次式により推定できるからである。
【0050】
【数13】
標準偏差=a2 ×噴霧液滴径×実効制御水分値+b2 ………(6)
a2 ,b2 ;原料について実験を行うことによって推定される定数
実効制御水分値;f(制御水分値、加水量、制御水分上昇率)
【0051】
このような形の式を種々の原料粉体から得たデータに適用したところ、相関係数は原料系によって0.70〜0.98の範囲であった。
またa2 ついては次式の関係にある。
【0052】
【数14】
a2 =0.707×a1 −0.101………(7)
【0053】
従って前記平均粒子径を予測したのと同様の手順で、(6)式により粒度分布の標準偏差を算出し、(5)式より均一度予測を行うのである。
また(5)式は、均一度が平均粒子径の関数であることを示すものであり、従って平均粒子径を制御することで均一度をコントロールすることが可能となる。
【0054】
[3] 見掛密度予測
見掛密度は製品の内容量と包装容器の大きさを決定するために重要な因子である。個々の原料系に対しては、その見掛密度は原料見掛密度及び平均粒子径や均一度すなわち粒度分布に依存する(寄与率75%前後)。
よって見掛密度の予測は、平均粒子径と分布の標準偏差を予測することに等しく、逆にいえば製品設計の際に、平均粒子径と見掛密度を単独自在に設定することはできない。この見掛密度と粒度分布の関係は次式のようになる。
【0055】
【数15】
見掛密度=a3 ×(平均粒子径/均一度)-1+b3 ………(8)
【0056】
上記(8)式を種々の原料粉体から得たデータに適用したところ、相関関係は原料系によって0.78〜0.99の範囲であった。
またb3 については次式により近似される。
【0057】
【数16】
b3 =原料の見掛密度−432.8×log(原料平均粒子径/原料見掛密度)………(9)
【0058】
そこで見掛密度についても平均粒子径を予測したのと同様の手順で、(8)式により予測するのである。
また(8)式は、見掛密度が平均粒子径の関数であることを示すものであり、従って平均粒子径を制御することで見掛密度をコントロールすることが可能となる。
【0059】
[4] 予測システムの実証実験結果
上述した本発明による予測システムの実証実験を、市販製品と全く同一の原料系三種を用いて行った。実証実験は、設定した目標品質の粉粒体を造粒するための条件を設定するのに、何回の実験が必要であったか(到達実験数)を表したものである。この結果を下記表1及び図5、6に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
各原料系は副原料を合わせると10種類近い原料の混合物であり、原料の物性も生産用のものを用いたにもかかわらず、4回程度の実験で(検量線実験も含む)目標値の90%の値を達成した。
なお、10%程度の誤差はサンプリング、測定等の誤差、装置の運転状況の誤差等で逃れ得ないものとし、事実、同一の条件で造粒操作を繰り返してもこの程度の誤差は認められるので、これを許容範囲とした。
【0062】
[5] スケールアップ
ところで、流動層処理装置1による品質操作にかかる難解な作業として、実験機から生産機へのスケールアップがある。
これまで適切なスケールアップファクターが解らなかったため、実験機で得られた造粒条件も生産機では大きく変更しなければならず、この条件設定もエキスパートの勘と経験に頼らざるを得なかった。特に数100kgもの原料を用いる生産機においては、トライアル・アンド・エラーによる条件決定も容易には行えない。
【0063】
そこでスケールアップの因子には「制御水分上昇率」のみが影響するとの仮定の下、生産機FLO−300型(株式会社大川原製作所製、容量300kg)での「制御水分上昇率」を測定し、これを実験機FLO−5M(株式会社大川原製作所製、容量5kg)により得られた予測式に代入して生産機での予測を行った。この結果は下記表2に示すように、「制御水分上昇率」が良いスケールアップファクターとなることがわかった。
【0064】
【表2】
【0065】
従って前記実験機と生産機とでは設置条件や流動状態の違いにより最大制御水分値と制御水分上昇率が異なるが、これを生産機での検量線実験のときに併せて測定すれば、そのデータを用いてスケールアップが円滑に行われる。
また「制御水分上昇率」をオンラインで検出し、制御水分値を微調整することで既設変動や造粒原料の品質のバラツキを吸収して安定した品質の造粒操作が可能となる。
【0066】
[6] 自動制御システム
上述のように、粉粒体G品質の評価パラメータとして、粒度分布(平均粒子径)、見掛密度、均一度の目標値を設定して、操作因子との関係を調査した結果、以下の関係があることがわかった。
(1)式に基づき、ココア造粒において目標とする平均粒子径を300μmとした場合を計算すると各操作因子間には図7に示す関係がある。ただしここでは熱風温度60℃、熱風風量1m/secとして計算を行った。流動層処理装置1の操作因子のうち、噴霧液滴径が操作条件として最も扱いやすいことから、主制御対象として噴霧液滴径を採用した。
加水量、水分、熱風温度、流動風速については固定とし、噴霧液滴径が制御範囲を超える場合のみ、補助的に用いることとした。
このときの平均粒子径制御のファジー制御ルールを下記表3、4に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
上記表3、表4中のSPは平均粒子径の設定値(セットポイント)である。
【0070】
【発明の効果】
本発明は以上述べたような構成を有するものであり、以下のような効果を奏する。
まず請求項1記載の発明によれば、粉粒体Gの平均粒子径を流動層処理装置1の操作因子及び原料粉体の物性処方の関数として予測することで、所望の造粒製品物性の応じた流動層処理装置1の運転を行うことができる。
【0071】
また請求項2記載の発明によれば、粉粒体Gの均一度を流動層処理装置1の操作因子及び原料粉体の物性処方の関数として予測することで、所望の造粒製品物性の応じた流動層処理装置1の運転を行うことができる。
【0072】
更にまた請求項3記載の発明によれば、粉粒体Gの見掛密度を流動層処理装置1の操作因子及び原料粉体の物性処方の関数として予測することで、所望の造粒製品物性の応じた流動層処理装置1の運転を行うことができる。
【0073】
また請求項4記載の発明によれば、流動層処理装置1の操作因子の一つである噴霧液滴径に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0074】
更にまた請求項5記載の発明によれば、流動層処理装置1の操作因子の一つである実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0075】
更にまた請求項6記載の発明によれば、実効制御水分値を流動層処理装置1の操作因子である制御水分値により変更し、実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0076】
更にまた請求項7記載の発明によれば、実効制御水分値を流動層処理装置1の操作因子である加水量により変更し、実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0077】
更にまた請求項8記載の発明によれば、実効制御水分値を流動層処理装置1の操作因子である制御水分上昇率により変更し、実効制御水分値に応じた造粒製品の物性を予測することができる。
【0078】
更にまた請求項9記載の発明によれば、流動層処理装置1及び原料粉体に応じた予測式を立てることができる。
これらによって最低造粒実験回数で、全く初めて取り扱う材料でも最適造粒条件の予測式を求めることが可能であり、得られた予測式を用いて造粒制御を行うことにより流動層造粒法による流動層処理装置1の自動運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の造粒制御方法の適用対象である流動層処理装置を示す骨格図である。
【図2】 レーザ光式粒径センサの測定原理を模式的に示すブロック図である。
【図3】 各種原料の液滴径×実効制御水分値−平均粒子径特性を示すグラフである。
【図4】 (最大制御水分−原料水分値)−a1 特性を示すグラフである。
【図5】 (液滴径×実効制御水分)−平均粒子径特性を示すグラフである。
【図6】 (平均粒子径/均一度)−見掛密度特性を示すグラフである。
【図7】 平均粒子径の操作因子である噴霧液滴定、加水量、制御水分の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 流動層処理装置
2 流動風吹込室
3 流動室
3A 目皿板
3a 近赤外線水分計
4 噴霧室
5 フィルタ室
6 噴霧ノズル
6a ポンプ
6b バルブ
6c タンク
6d 液量計
7 バグフィルタ
10 粒度測定装置
11 サンプリング装置
14 粒子取入口
15 導管
16 空輸配管
17 反射防止コーティングガラス
20 レーザ光式粒径センサ
21 He−Neレーザ
22 コリメータ
23 センサ
25 コンピュータ
B バインダ液
G 粉粒体
Claims (9)
- 前記制御パラメータは噴霧液滴径であることを特徴とする請求項1、2または3記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法。
- 前記制御パラメータは実効制御水分値であることを特徴とする請求項1、2または3記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒方法。
- 前記実効制御水分値は制御水分値により設定することを特徴とする請求項5記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法。
- 前記実効制御水分値は加水量により設定することを特徴とする請求項5記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法。
- 前記実効制御水分値は制御水分上昇率により設定することを特徴とする請求項5記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法。
- 流動中の粉粒体の水分値を近赤外線式水分計を用いて測定し、検量線作成時の運転データを用いて原料物性によって異なる予測式中の定数を求めることを特徴とする請求項1、2または3記載の流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32607896A JP3909382B2 (ja) | 1996-11-20 | 1996-11-20 | 流動層処理装置における粉粒体の造粒制御方法 |
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