JP3854343B2 - 自動車駆動電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車駆動電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
関西大震災のように広大な地域の配電網設備が破滅した場合には、病院手術室電源,非常通信用電源,救助設備用電源等のように緊急を要する電源があり、このような場合に備えて一定規模の設備では非常電源装置を備えることが法的に義務付けられているが、大災害時には非常電源装置も損傷を受け、機能しなくなることが多かった。又、非常電源装置は定期的な保守点検を必要とし、水等の供給を必要とするものはこの供給が停止されれば使用不能となった。そこで、大災害時でも残存率が高い自動車を用いて発電を行うことが考えられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動車を用いた非常電源装置を実現するためにまず考えられるのは、最も保有台数が多い車種に対応することであり、また使用自動車に何らの手も加えずに最小限の操作で運転可能なことである。このような観点から対象車種としては、普通乗用自動車,小形乗用車,小形トラックが考えられる。又、非常電源装置の構造としてはツインローラ形シャシーダイナモメータを用いることになる。この構造を採用すれば、自動車の固定などの面倒な作業が最小限になるからである。
【0004】
自動車駆動電源装置は、平常時はほとんど使用しないものであるため、収納に便利なように小形である必要があり、まず図4に示すものが考えられた。同様な技術を公開するものとして、特開昭49−57525号,特開平6−127336号,実開昭58−40428号,実開昭58−193861号などの各公報がある。1〜4はそれぞれの回転軸1a〜4aの両端がローラ側軸受5により回転自在に支持されたローラであり、ローラ1,2は所定間隔をあけて並行に設けられてツインローラを形成し、ローラ3,4も同様にしてツインローラを形成し、それぞれエンジンにより駆動される自動車の左右の駆動輪が載置される。6は回転軸1a,3a間を連結する連結軸、7は回転軸7aの両端が内蔵した発電機側軸受(図示せず)により回転自在に支持された発電機、8,9は連結軸6及び回転軸7aにそれぞれ取り付けられたプーリ、10はプーリ8,9間を連結するベルトである。
【0005】
上記構成において、ローラ1,2上及びローラ3,4上に自動車の駆動輪を載置して駆動すると、ローラ1〜4が回転し、連結軸6、プーリ8,9、ベルト10、及び回転軸7aを介して発電機7が回転し、発電が行われる。なお、発電機7としてはメンテナンスフリーのためにブラシレス発電機が用いられ、またローラ1,2とローラ3,4との間隔Lは上記した対象車種の寸法上の制約から1200mm以下にする必要がある。
【0006】
図4に示した自動車駆動電源装置では、小形化を図るために発電機7をローラ1,2とローラ3,4との間に設け、プーリ8,9及びベルト10を介してローラ1,3側から動力伝達を受け、かつ自動車の運転速度と発電機7の周波数との関係からプーリ8,9とベルト10により増速作用を行っているが、ベルト10の耐久性などに問題があり、極めて小容量の発電機にしか適用できなかった。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、耐久性に欠けるベルトのような動力伝達機構を用いず、容量が大きく、対象車種の寸法上の制約にも対応することができる小形な自動車駆動電源装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る自動車駆動電源装置は、自動車の駆動輪が係合し得る回転自在なローラと、ローラの回転軸に連動連結されて回転する発電機を備え、前記ローラを自動車の左右の駆動輪に対応させて配置するとともに、左右のローラ間に発電機を配置し、接続するローラ軸と発電機軸において一方の軸側に他方の軸側を挿入し、かつ軸受を介して連動連結したものである。
【0009】
請求項2に係る自動車駆動電源装置は、ローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、一方の軸端を他方の軸端に設けた継手内に挿入するとともに、軸受を介して連動連結したものである。
【0010】
請求項3に係る自動車駆動電源装置は、ローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、発電機軸端をローラ軸端に設けた継手内に挿入するとともに、軸受を介して連動連結したものである。
【0011】
請求項4に係る自動車駆動電源装置は、ローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、ローラ軸端を発電機軸端に設けた継手内に挿入するとともに、軸受を介して連動連結したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面とともに説明する。図1〜図3はこの実施形態による自動車駆動電源装置の平面図、自動車駆動電源設備の側面図、及び自動車駆動電源装置の要部拡大縦断面図を示し、12は床13上に設けられた支持部であり、支持部12は上下式の車輪14を有している。又、支持部12には上記したツインローラを形成するローラ1〜4がローラ側軸受5を介して回転自在に支持されている。ただし、ローラ1,2,4はそれぞれの回転軸1a,2a,4aの両端をローラ用軸受5により支持されているが、ローラ3のみは回転軸3aの外端をローラ用軸受5により支持され、回転軸3aの内端はローラ用軸受5により支持されず継手15を介して発電機7の回転軸7aの一端と連結されている。回転軸7aの他端は継手16を介してローラ1の回転軸1aと連結されている。
【0013】
17は支持部12においてローラ1,2間、及びローラ3,4間に設けられたタイヤリフト、18はタイヤリフト17の両側に設けられたサイドローラ、19は床13上に設けられた分解式の車体乗り入れ板であり、その一端は支持部12の後端と係合している。20は床13上に設けられた分解式の車体支持板であり、その一端は支持部12の前端と係合している。21は床13上に移動固定自在に設けられた分解式の車体支持台であり、その上面には車止め21aが設けられ、車止め21aは車体支持板20の孔20aを挿通して突出している。
【0014】
一方、継手15においては、ローラ3の回転軸3a及び発電機7の回転軸7aにはそれぞれ継手部材22,23が嵌合固定され、継手部材23の孔23aを挿通したボルト24を継手部材22のねじ孔22aに螺着することにより回転軸3a,7aを一体的に連結する。回転軸7aの両端は発電機7のフレーム7bに発電機側軸受7cを介して回転自在に支持されている。25は継手部材23内に設けられたパイロット軸受であり、回転軸3aの一端を回転自在に支持する。継手部材22は可撓部材により形成される。
【0015】
上記構成の自動車駆動電源装置の使用に際しては、予めローラ1〜4及び発電機7が設置された支持部12の車輪14を下降させ、支持部12を収納場所から使用場所へ床13上を車輪14により移動させ、車輪14を上昇させて支持部12を床13上に設置する。次に、支持部12の前側に組立により車体支持板20及び車体支持台21を設置するとともに、支持部12の後側に車体乗り入れ板19を組立により設置する。ここで、自動車26を車体乗り入れ板19、ローラ1〜4、及び車体支持板20上を移動させるが、従動輪(前輪)26aがローラ1,2間及びローラ3,4間に落ち込まないようにタイヤリフト17を上昇させておく。最終的に従動輪26aは車止め21aに係止され、駆動輪(後輪)26bはローラ1,2間及びローラ3,4間に載置される。サイドローラ18は、駆動輪26bがローラ1〜4の両側へ落下するのを防止するために設けてある。このような状態で駆動輪26bを駆動すると各ローラ1〜4が回転し、発電機7も回転して発電が行われる。
【0016】
上記実施形態においては、発電機7の回転軸7aの両端にそれぞれツインローラのうちの一方のローラ1,3の回転軸1a,3aの一端を継手16,15により連結しており、耐久性に欠けるベルトのような動力伝達機構を用いずに小形で容量の大きな自動車駆動電源装置が得られる。しかも、継手15寄りのローラ側軸受5を省略しているので、ローラ1,2とローラ3,4間の間隔Lを発電機7の容量を落とさずに対象車種の寸法上の制約即ち1200mm以下とすることができる。又、継手15はローラ3の荷重の半分を支持するとともに、ローラ3からの動力を発電機7に伝えており、一方のローラ1からのみの動力の伝達では自動車26の内部の差動機構の存在により大きな動力は伝えられないが、ローラ1,3から動力を発電機7に伝えており、大きな動力を伝えることができる。又、継手部材22を可撓部材としたのは、回転軸3a,7aの芯出し精度を向上するとともに、ローラ3に荷重が加わった際に回転軸3a,7aに余分な曲げ応力が加わるのを防止し、かつ回転軸3a,7aの温度による伸びを吸収するためである。又、パイロット軸受25を設けたのは、組立時に回転軸3a,7aの芯出しを容易にするとともに、継手部材22の変形時の軸芯移動を円滑にするためである。
【0017】
又、従動輪26aを移動自在に支持する車体支持板20及び従動輪26aを固定する車体支持台21を設けたので、自動車26の配設を容易に行うことができる。しかも、車体支持台21を移動自在としたので、対象車種の大きさに十分対応することができる。
【0018】
なお、上記実施形態においては、自動車26として後輪駆動車の例を示したが、前輪駆動車の場合には前後を逆にすればよい。又、継手15寄りのローラ側軸受5を省略したが、発電機側軸受7cを省略してもよい。さらに、継手16側においても、ローラ側軸受5又は発電機側軸受7cを省略してもよい。又、継手部材22を可撓部材としたが、継手部材23を可撓部材としてもよい。又、回転軸3aの軸端を継手部材23内に挿入したが、回転軸7aの軸端を継手部材22内に挿入するようにしてもよい。さらに、ローラ1〜4の直径と自動車の運転速度との関係を選定することにより増減速作用を行わないようにすることも可能であるが、増減速機を設けて自動車の運転速度と発電機7の周波数との関係を調整することもできる。
【0019】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、ローラを左右の駆動輪に対応させて配置するとともに、左右のローラ間に発電機を連結し、連結するローラ軸と発電機軸の一方の軸側に他方の軸側を挿入し、かつ軸受を介して連動連結しており、耐久性に欠けるベルトのような動力伝達機構を用いず、小形で容量の大きな装置が得られるとともに、ローラ軸と発電機軸との連結において芯出し精度を向上することができる。
【0020】
請求項2によれば、左右のローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、一方の軸端を他方の軸端に設けた継手内に挿入するとともに軸受を介して連動連結しており、やはり芯出し精度を向上することができる。
【0021】
請求項3によれば、左右のローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、発電機軸端をローラ軸端に設けた継手内に挿入するとともに軸受を介して連動連結しており、芯出し精度を向上することができる。
【0022】
請求項4によれば、左右のローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、ローラ軸端を発電機軸端に設けた継手内に挿入するとともに軸受を介して連動連結しており、芯出し精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による自動車駆動電源装置の平面図である。
【図2】 この発明による自動車駆動電源設備の側面図である。
【図3】 この発明による自動車駆動電源装置の要部拡大断面図である。
【図4】 従来装置の平面図である。
【符号の説明】
1〜4…ローラ
1a〜4a,7a…回転軸
5…ローラ側軸受
7…発電機
7c…発電機側軸受
15,16…継手
20…車体支持板
21…車体支持台
22,23…継手部材
24…ボルト
25…パイロット軸受
26…自動車
26a…従動輪
26b…駆動輪
Claims (4)
- エンジンにより駆動される駆動輪を備えた自動車の前記駆動輪が係合し得る回転自在なローラと、ローラの回転軸に連動連結されて回転する発電機を備えた自動車駆動電源装置であって、前記ローラを自動車の左右の駆動輪に対応させて配置し、左右のローラ間に発電機を配置し、接続するローラ軸と発電機軸とを一方の軸側に他方の軸側を挿入し、かつ軸受を介して連動連結したことを特徴とする自動車駆動電源装置。
- ローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、一方の軸端を他方の軸端に設けた継手内に挿入するとともに、軸受を介して連動連結したことを特徴とする請求項1記載の自動車駆動電源装置。
- ローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、発電機軸端をローラ軸端に設けた継手内に挿入するとともに、軸受を介して連動連結したことを特徴とする請求項1記載の自動車駆動電源装置。
- ローラ軸と発電機軸を継手を介して接続し、ローラ軸端を発電機軸端に設けた継手内に挿入するとともに、軸受を介して連動連結したことを特徴とする請求項1記載の自動車駆動電源装置。
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JP21066996A JP3854343B2 (ja) | 1996-08-09 | 1996-08-09 | 自動車駆動電源装置 |
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1996
- 1996-08-09 JP JP21066996A patent/JP3854343B2/ja not_active Expired - Fee Related
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