JP3854179B2 - 舵角比可変ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングハンドルと車輪との間の舵角比を可変にする舵角比可変ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアリング装置の舵角比(ステアリングハンドルの操舵角/車輪の転舵角)は、一般にステアリングギヤボックスのギヤ比によって一義的に決められてしまうが、ステアリングハンドルに接続された入力軸とステアリングギヤボックスに接続された出力軸との間のギヤ比を任意に変更可能な舵角比可変機構を設けることで舵角比を可変としたステアリング装置が、特開平10−250607号公報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来のステアリング装置の舵角比可変機構は、舵角比の変更に伴って車体への取り付け位置に対する入力軸の位置が変化するため、その位置変化を吸収すべく入力軸とステアリングシャフトとを自在継ぎ手を介して接続する必要がある。しかしながら、自在継ぎ手を用いても入力軸の位置変化の影響を完全に補償することは難しく、ステアリングシャフトにコジリが発生して操舵フィーリングの低下や耐久性の低下の原因となる問題があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みなされたもので、舵角比可変機構を設けたことによるコジリの影響を軽減して操舵フィーリングの低下や耐久性の低下を回避することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ステアリングハンドルに連結されて回転する駆動プーリと、車輪を転舵するステアリングギヤボックスに連結されて回転する、駆動プーリより大径の従動プーリとを、可撓性を有する操作ケーブルで接続し、前記ステアリングギヤボックスが、前記従動プーリに連結した入力軸と、その入力軸に対しオフセット配置されて連動回転する出力軸とを有していて、その出力軸に対する入力軸の偏心量を変化させて舵角比を変更する舵角比可変機構を備えており、ステアリングハンドルに入力される操舵トルクを、駆動プーリから操作ケーブルおよび従動プーリを経て、舵角比可変機構を有するステアリングギヤボックスに伝達することを特徴とする舵角比可変ステアリング装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、ステアリングギヤボックスが、従動プーリに連結された入力軸の、出力軸に対する偏心量を変化させて舵角比を変更する舵角比可変機構を有するので、舵角比の変更に伴って移動する入力軸に追従して従動プーリの位置が変化しても、その従動プーリが可撓性を有する操作ケーブルを介して駆動プーリに接続されていることで、ステアリングハンドルや駆動プーリにコジリが発生することが回避され、舵角比可変機構を設けたことによる操舵フィーリングの低下や耐久性の低下が最小限に抑えられる。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、ドライバーがステアリングハンドルに入力する操舵トルクをアシストすべく、ステアリングギヤボックスに補助操舵トルクモータを設けたことを特徴とする舵角比可変ステアリング装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、ステアリングギヤボックスに補助操舵トルクモータを設けたので、ドライバーがステアリングハンドルに入力する操舵トルクを補助操舵トルクモータの出力でアシストすることで、操作ケーブルに加わる荷重を軽減することができる。従って、舵角比可変機構の入力軸に接続された従動プーリの位置が舵角比の変更に応じて移動しても、操作ケーブルに加わる荷重が元々小さいために、前記移動の影響を最小限に抑えて耐久性を更に高めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図11は本発明の一実施例を示すもので、図1は車両用操舵装置の全体斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は操舵トルクセンサの斜視図、図5は操舵トルクセンサの差動トランスの回路図、図6は操舵トルクセンサの作用説明図、図7は図1の7−7線拡大断面図、図8は図7の8−8線断面図、図9は舵角比可変機構の分解斜視図、図10は舵角比可変機構の作動原理を説明する図、図11は舵角比可変機構の舵角比特性線図である。
【0012】
図1に示すように、自動車のステアリングハンドル11の前方に設けた駆動プーリケーシング12と、ステアリングギヤボックス13の上方に設けた従動プーリケーシング14とが、ボーデンケーブルよりなる第1操作ケーブル15および第2操作ケーブル16によって接続される。ステアリングギヤボックス13の両端部から車体左右方向に延びるタイロッド17L,17Rが、左右の車輪WL,WRを支持するナックル(図示せず)に接続される。駆動プーリケーシング12の内部にはステアリングハンドル11に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサStが内蔵されており、検出した操舵トルクが入力される制御装置18からの司令でステアリングギヤボックス13と同軸に設けた補助操舵トルクモータ20が作動し、ドライバーのステアリング操作をアシストする。また制御装置18には車速センサSvで検出した車速が入力され、検出した車速に基づいて制御装置18は舵角比可変機構106(図7参照)のアクチュエータ122の作動を制御する。
【0013】
図2に示すように、駆動プーリケーシング12は、リヤハウジング21、センターハウジング22およびフロントハウジング23をボルト24…で結合してなり、フロントハウジング23の前面に図示せぬボルトでフロントカバー25が結合される。駆動プーリケーシング12は、リヤハウジング21に設けたブラケット21aが取付ステー26にピン27で固定され、フロントハウジング23に設けたブラケット23aが取付ステー26にボルト28で固定される。
【0014】
ステアリングハンドル11に接続される中空のステアリングシャフト29は、2個のボールベアリング30,31でリヤハウジング21に回転自在に支持される。ステアリングハンドル11と同軸に配置される中空のプーリシャフト32の外周に金属製のプーリボス33が固定されており、このプーリボス33の外周に形成したセレーション部33aを覆うように合成樹脂製の駆動プーリ本体34が一体にモールドされる。プーリボス33の両端部が2個のボールベアリング35,36でそれぞれフロントハウジング23およびフロントカバー25に回転自在に支持されるとともに、プーリシャフト32がボールベアリング37でセンターハウジング22に回転自在に支持される。プーリボス33および駆動プーリ本体34は駆動プーリ59を構成する。
【0015】
プーリシャフト32の後端部外周にステアリングシャフト29の前端部内周が相対回転自在に嵌合しており、ステアリングシャフト29の中空部とプーリシャフト32の中空部とに、トーションバー38の両端部が嵌合して各々ピン39,40で結合される。従って、ステアリングシャフト29に入力された操舵トルクは、ステアリングシャフト29からトーションバー38を介してプーリシャフト32に伝達されることになり、センターハウジング22の内部に設けられた操舵トルクセンサStがトーションバー38の捩れ量に基づいて操舵トルクを検出する。
【0016】
図2および図4から明らかなように、操舵トルクセンサStは、プーリシャフト32の外周に相対回転不能、かつ軸方向スライド可能に支持された円筒状のスライダ42と、ステアリングシャフト29に固定されてスライダ42に形成した傾斜溝42aに嵌合するガイドピン43と、合成樹脂製のスライダ42の外周に固定した磁性体リング44と、センターハウジング22の内周に固定されて磁性体リング44に対向する差動トランス45と、ガイドピン43および傾斜溝42a間のガタを防止すべくスライダ42を前方に付勢するコイルばね46とを備える。
【0017】
図5に示すように、操舵トルクセンサStの差動トランス45は、交流電源47に接続された一次コイル48と、第1二次コイル49と、第2二次コイル50とを備えており、磁性体リング44は第1、第2二次コイル49,50間に配置された可動鉄心を構成する。
【0018】
図2から明らかなように、プーリシャフト32の前端部とプーリボス33とはセレーション結合部51において結合されるとともに、プーリシャフト32の前端部に向かって先細になったテーパー結合部52を介して結合される。プーリシャフト32の前端にナット53がねじ込まれており、ナット53からの荷重でプーリボス33をプーリシャフト32に沿って後方に付勢することにより、テーパー結合部52を充分な面圧で密着させてプーリシャフト32およびプーリボス33を強固に一体化することができる。これにより、セレーション結合部51に存在する微小なガタの影響を解消し、騒音の発生を抑制することができるだけでなく操舵フィーリングを向上させることができる。ナット53を締め付けるとき、駆動プーリ59が軸方向に移動可能であるため、駆動プーリケーシング12に無理な荷重が加わることが防止される。
【0019】
図2および図3から明らかなように、第1、第2操作ケーブル15,16は、断面が略矩形状のコイルばねをモールドした合成樹脂製のアウターチューブ15o,16oと、その内部にスライド自在に収納される金属縒り線よりなるインナーケーブル15i,16iとから構成される。2本のインナーケーブル15i,16iの端部に固定した短円柱状のピン54,54が駆動プーリ本体34の両端面に形成したピン孔34a,34aに嵌合し、ピン54,54から延びる2本のインナーケーブル15i,16iは駆動プーリ本体34の外周に形成した1本の螺旋溝34bに沿って相互に接近する方向に巻き付けられた後、プーリシャフト32の軸線に直交する方向に引き出される。 フロントハウジング23には円筒状をなす2個の接続部23b,23bが形成されており、それらの内部にアウターチューブ結合部材56,56のボス部56a,56aが固定される。ボス部56a,56aから接続部23b,23bの外部に延びるパイプ部56b,56bがアウターチューブ15o,16oの外周に嵌合し、かしめ部56c,56cをかしめることでアウターチューブ15o,16oの端部がフロントハウジング23に固定される。アウターチューブ結合部材56,56のボス部56a,56aの内周には、インナーケーブル15i,16iとボス部56a,56aとが直接擦れるのを防止すべく、滑りの良い合成樹脂製のガイドブッシュ57,57が保持される。
【0020】
図7に示すように、従動プーリケーシング14は図示せぬボルトで結合されたアッパーハウジング61とロアハウジング62とから構成さる。またステアリングギヤボックス13は、その上面に一体に形成された円筒状の固定ハウジング101を備えており、固定ハウジング101の内部に環状の可動ハウジング102がボールベアリング103を介して回転自在に支持される。可動ハウジング102の上面に従動プーリケーシング14のロアハウジング62が複数本のボルト104…で結合されており、固定ハウジング101の上端開口部とロアハウジング62の外周面との間が環状のシール部材105でシールされる。
【0021】
従動プーリケーシング14のアッパーハウジング61に設けたボールベアリング66と、ロアハウジング62に設けたボールベアリング68とにプーリシャフト70が回転自在に支持される。上側のボールベアリング66は、プーリシャフト70を直接支持しておらず、プーリシャフト70の外周に固定したプーリボス71を支持している。アッパーハウジング61に設けたボールベアリング66はナット72で抜け止めされる。
【0022】
プーリシャフト70の上端部とプーリボス71とはセレーション結合部74において結合されるとともに、プーリシャフト70の上端部に向かって先細になったテーパー結合部75を介して結合される。プーリシャフト70の上端にナット76がねじ込まれており、ナット76からの荷重でプーリボス71をプーリシャフト70に沿って下方に付勢することにより、テーパー結合部75を充分な面圧で密着させてプーリシャフト70およびプーリボス71を強固に一体化することで、セレーション結合部74に存在する微小なガタの影響を解消して騒音の発生を抑制し、また操舵フィーリングを向上させることができる。ナット76を締め付けるとき、従動プーリ60が軸方向に移動可能であるため、従動プーリケーシング14に無理な荷重が加わることが防止される。
【0023】
プーリボス71の外周のセレーション部71aに合成樹脂製の従動プーリ本体77が一体にモールドされており、第1、第2操作ケーブル15,16のインナーケーブル15i,16iの端部に固定した短円柱状のピン78,78が従動プーリ本体77の両端面に形成したピン孔77a,77aに嵌合し、ピン78,78から延びる2本のインナーケーブル15i,16iは従動プーリ本体77の外周に形成した1本の螺旋溝77bに沿って相互に接近する方向に巻き付けられた後、プーリシャフト70の軸線に直交する方向に引き出される。プーリボス71および従動プーリ本体77は従動プーリ60を構成する。
【0024】
第1、第2操作ケーブル15,16のアウターチューブ15o,16oは、アウターチューブ結合部材79,79を介して従動プーリケーシング14に固定される。アウターチューブ結合部材79,79は、駆動プーリ59側のアウターチューブ結合部材56,56と同じ構造である。そして従動プーリケーシング14のアッパーハウジング61およびロアハウジング62とアウターチューブ結合部材79,79とが、防水のためのゴム製カバー80で覆われる。プーリボス71および従動プーリ本体77は従動プーリ60を構成する。
【0025】
図2に示す駆動プーリ59の直径D1は、図7に示す従動プーリ60の直径D2よりも小さく設定されている。従って、ステアリングハンドル11の回転角、つまり駆動プーリ59の回転角に対して、従動プーリ60の回転角、つまり舵角比可変機構106の入力軸107の回転角は小さくなり、駆動プーリ59および従動プーリ60により減速機構が構成される。
【0026】
次に、図7〜図9に基づいて舵角比可変機構106の構造を説明する。
【0027】
固定ハウジング101に支持された可動ハウジング102はボールベアリング103によって軸線O回りに回転自在に支持されており、可動ハウジング102の内周に入力軸107がボールベアリング108を介して回転自在に支持される。入力軸107の中心にはプーリシャフト70の下端が同軸にスプライン嵌合109しており、入力軸107およびプーリシャフト70の軸線Aは前記可動ハウジング102の軸線Oに対して偏心している。
【0028】
入力軸107の下端には直方体状の上部フランジ110が一体に設けられており、その下方に直方体状の下部フランジ111が対向するように配置される。上部フランジ110の下面に形成された断面略弓状の直線ガイド溝110aと下部フランジ111の上面に配置された断面略弓状の直線ガイド溝111aとに、板状のリテーナ112に保持された3個のボール113…が係合する。従って、上部フランジ110および下部フランジ111はガイド溝110a,111aの方向に沿って相対移動可能である。下部フランジ111の下面には下向きに延びる中間軸114が一体に形成される。
【0029】
ステアリングギヤボックス13の下端に支持軸115がねじ結合されており、出力軸116の上部外周および下部外周がそれぞれボールベアリング117,118を介してステアリングギヤボックス13および支持軸115に回転自在に支持される。出力軸116の軸線Bは、可動ハウジング102の軸線Oおよび入力軸107(プーリシャフト70)の軸線Aに対して偏心している。出力軸116の上面には、その軸線Bから偏心した軸線Cを有する軸孔116aが形成されており、この軸孔116aに前記中間軸114がニードルベアリング119を介して嵌合する。出力軸116の上面と下部フランジ111の下面との間にスラストベアリング120が配置される。
【0030】
固定ハウジング101の側面に複数本のボルト121…で固定されたアクチュエータ122から延びる出力軸122aが、固定ハウジング101の内部にボールベアリング123およびニードルベアリング124で支持されたウオーム軸125の一端に接続される。ウオーム軸125の外周に形成したウオーム125aが可動ハウジング102の外周の一部に形成したウオームホイール102aに噛み合っており、アクチュエータ122を駆動すると、ウオーム125aおよびウオームホイール102aを介して可動ハウジング102が軸線O回りに回転する。
【0031】
固定ハウジング101の側面に複数本のボルト126で回転位置センサ127が固定されており、固定ハウジング101の内部に突出する検出子127aの先端が可動ハウジング102に外周に形成したカム面102bに当接する。カム面102bの形状は可動ハウジング102の回転中心となる軸線Oを中心とする円弧からずれており、従って可動ハウジング102の回転に応じてカム面102bに倣う検出子127aが進退することで、可動ハウジング102の回転位置が検出される。回転位置センサ127の出力信号は、アクチュエータ122により可動ハウジング102を所定位置に回転させる際のフィードバック信号として用いられる。
【0032】
出力軸116の外周に形成したピニオン84に、ステアリングギヤボックス13のラック85が噛み合っており、その噛み合い部においてラック85がピニオン84に向けて付勢される。即ち、ステアリングギヤボックス13に形成した貫通孔13aにスライド部材86がOリング87を介してスライド可能に嵌合しており、貫通孔13aにねじ結合したばね座88とスライド部材86との間に配置したコイルばね89の弾発力で、スライド部材86に設けた低摩擦部材90がラック85の背面に当接する。これにより、出力軸116の回転がピニオン84を介してラック85に伝達されて車輪WL,WRが転舵される際に、ラック85は大きな摺動抵抗を受けることなくガタや撓みの発生を防止されてスムーズに作動することができる。
【0033】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0034】
操舵トルクセンサStで検出した操舵トルクは制御装置18に入力され、制御装置18は操舵トルクに基づいて補助操舵トルクモータ20の作動を制御する。即ち、車両を旋回させるべくステアリングハンドル11を操作すると、図2に示すように、操舵トルクがステアリングシャフト29およびトーションバー38を介してプーリシャフト32に伝達され、駆動プーリ本体34に巻き付けられた第1、第2操作ケーブル15,16の一方のインナーケーブル15i,16iが引かれ、他方のインナーケーブル15i,16iが弛められることにより、駆動プーリ59の回転が従動プーリ60に伝達される。その結果、図7に示すプーリシャフト70が回転し、ステアリングギヤボックス13内のピニオン84、ラック85およびタイロッド17L,17Rを介して車輪WL,WRに操舵トルクが伝達される。
【0035】
ステアリングハンドル11に操舵トルクが入力されていないとき、トーションバー38は捩れ変形せずにステアリングシャフト29およびプーリシャフト32は角度差無しに保持され、図6(B)に示すように、ステアリングシャフト29のガイドピン43は傾斜溝42aの中央にあってスライダ42は上下方向中央位置に保持される。このとき、図5に示すように、スライダ42に設けた磁性体リング44は第1二次コイル49および第2二次コイル50の中間位置にあり、両二次コイル49,50の出力電圧が等しくなって操舵トルクがゼロであることが検出される。
【0036】
またステアリングハンドル11が右方向に操作されてステアリングシャフト29に図6(A)の矢印a方向の操舵トルクが入力されると、トーションバー38が捩じれ変形してステアリングシャフト29とプーリシャフト32(即ち、プーリシャフト32に対して相対回転不能なスライダ42)との間に角度差が発生するため、ステアリングシャフト29のガイドピン43に傾斜溝42aを押されたスライダ42が上方にスライドする。その結果、上側の第1二次コイル49の出力電圧が増加するとともに下側の第2二次コイル50の出力電圧が減少し、その電圧差に基づいて右転舵方向の操舵トルクが検出される。同様に、ステアリングハンドル11が左方向に操作されてステアリングシャフト29に図6(C)の矢印b方向に操舵トルクが入力されると、トーションバー38が捩じれ変形してステアリングシャフト29とプーリシャフト32(即ち、スライダ42)との間に逆向きの角度差が発生するため、ステアリングシャフト29のガイドピン43に傾斜溝42aを押されたスライダ42が下方にスライドする。その結果、上側の第1二次コイル49の出力電圧が減少するとともに下側の第2二次コイル50の出力電圧が増加し、その電圧差に基づいて左転舵方向の操舵トルクが検出される。
【0037】
このように、操舵トルクセンサStで操舵トルクが検出されると、制御装置18は操舵トルクセンサStで検出した操舵トルクが予め設定した所定値に保持されるように、補助操舵トルクモータ20を駆動する。これにより、補助操舵トルクモータ20の出力がタイロッド17L,17Rに伝達され、ドライバーによるハンドル操作がアシストされるため、操作ケーブル15,16に加わる荷重が減少する。差動トランス45を有する操舵トルクセンサStと補助操舵トルクモータ20とを組み合わせたことにより、電気的な制御だけで補助操舵トルクモータ20を作動させることが可能となり、制御系の構造が簡素化される。
【0038】
次に、舵角比可変機構106の作用を説明する。
【0039】
図9において、入力軸107の軸線をA、出力軸116の軸線をB、中間軸114の軸線をCとし、BC間の距離をbとし、入力軸107と出力軸116との間の偏心量(AB間距離)をaとし、入力軸107の回転角(従動プーリ60の回転角)をαとし、出力軸116の回転角(ピニオン84の回転角)をβとする。
【0040】
図10のA,B,C(C180 )が図9の並びに相当するが、ここでは180°反転したところのC(C0 )を起点として以下の説明を行う。図10において、前記a,b,α,β間に、
b・sinβ=(b・cosβ−a)・tanα …(1)
の関係が成立するから、
α=tan-1{(b・sinβ/(b・cosβ−a)} …(2)
で表される。従って、入力軸107の回転角度がαのときは出力軸116の回転角度はβであり、入力軸107の回転角度がα1のときは出力軸116の回転角度はβ1である。
【0041】
入力軸107を軸線Aまわりに回転させると、その回転が上部フランジ110、ボール113…、下部フランジ111を介して中間軸114に伝達され、出力軸116の軸孔116aに係合する中間軸114は出力軸116の軸線Bまわりに回転し、中間軸114により駆動された出力軸116は軸線Bまわりに回転する。出力軸116の回転に伴って、入力軸107の軸線Aと出力軸116の軸線Cとの距離a+bは変化するが、上部フランジ110および下部フランジ111がボール113…を介して相対移動することで、前記距離a+bの変化が吸収されて入力軸107の回転が支障なく出力軸116に伝達される。
【0042】
ここでアクチュエータ122を駆動して固定ハウジング101に対して可動ハウジング102を軸線Oまわりに回転させると、可動ハウジング102に支持されたプーリシャフト70および入力軸107の軸線Aは、図8および図9のA1〜A2の範囲で軸線Oを中心とする円弧上を移動するため、入力軸107の軸線Aおよび出力軸116の軸線B間の偏心量aを変化させることができる。このように、入力軸107および出力軸116間の偏心量aを適宜に設定して入力軸107および出力軸116どうしを相互に偏心させると、上記(2) 式の関係に基づいて入力軸107の回転角αおよび出力軸116の回転角βが不一致となる。しかも入力軸107を等角度ずつ回転させた際の出力軸116の角度変化率が漸進的に増大することになる(図11の太線a1および細線a2参照)。
【0043】
ここで、入力軸107と出力軸116との偏心量aを、a2〜a0(a2> a1>a0=0)の範囲で連続的に変化させることにより、入力軸107の回転角に対する出力軸116の回転角の割合(β/α)、即ち実用上の舵角比を連続的に変化させることができ、入力軸107および出力軸116の偏心量aを大きくすると、入力角αに対する出力角βの変化率の漸進性が高まり、入力軸107および出力軸116の偏心量aを0にすれば、上記(1) 式からα=βとなり、図11に鎖線で示すように入力角αと出力角βとは等しくなる。
【0044】
車速センサSvで検出した車速に基づいて、舵角比の変化を低速走行域で図11のa0側に移行させると、ステアリングの効きを鋭くして車両の取り回しを容易にすることができ、逆に高速走行域で図11のa2側に移行させると、ステアリングの効きを鈍くして高速走行中の車両安定性を高めることができる。
【0045】
以上のように、舵角比を変更すべく舵角比可変機構106のアクチュエータ20で可動ハウジング102を図7の軸線Oまわりに回転させると、可動ハウジング102の上面に固定した従動プーリケーシング14も一体に回転するが、従動プーリケーシング14に支持した従動プーリ60のプーリシャフト70および舵角比可変機構106の入力軸107の軸線Aは前記可動ハウジング102の軸線Oに対して偏心しているため、プーリシャフト70および入力軸107の軸線Aは図8および図9のA1〜A2間で移動することになる。
【0046】
この場合、従来のシャフト式ステアリング装置ではステアリングハンドルがステアリングシャフトおよび自在継ぎ手を介して舵角比可変機構106の入力軸107に連結されるため、入力軸107が移動すると前記自在継ぎ手を介してステアリングシャフトにコジリが作用して操舵フィーリングの低下や耐久性の低下が発生する問題があり、ステアリングギヤボックス13の位置を変更して前記操舵フィーリングの低下や耐久性の低下を最小限に抑えようとしても、スペースの関係で制約があった。
【0047】
しかしながら、本実施例のケーブル式ステアリング装置では、舵角比可変機構106の入力軸107と一体のプーリシャフト70に設けた従動プーリ60が可撓性を有する操作ケーブル15,16で駆動プーリ59に接続されているので、従動プーリ60の位置が多少変化してもコジリが発生することがなく、操舵フィーリングの低下や耐久性の低下が発生する虞がない。特に、補助操舵トルクモータ20を設けたことで操作ケーブル15,16の荷重が減少するため、従動プーリ60の位置変化による操作ケーブル15,16の耐久性への影響を更に軽減することができる。
【0048】
また駆動プーリ59の直径D1を従動プーリ60の直径D2よりも小さく設定したので、駆動プーリ59の回転が減速して従動プーリ60に伝達されることになり、例えば、D1/D2=2に設定すると、図11に示すa0′,a1′,a2′のような特性にすることができる。その際に、出力軸116に設けたピニオン84のラック85に対する噛み合いピッチを2倍にすることで、ラック85のストロークを同じにすることができる。その結果、入力角αに対してほぼ比例的に舵角比を変化させることができ、ステアリングハンドル11の利きを全体的に鈍くすることができる。
【0049】
その際に、ギヤを備えた減速機を用いることなく、駆動プーリ59および従動プーリ60の直径の比を変化させることで減速機の機能を発揮させているので、ギヤのバックラッシュやうねりの影響で操舵フィーリングが低下するのを回避することができる。しかも舵角比可変機構106による舵角比の可変量と、駆動プーリ59および従動プーリ60間の減速比による舵角比の可変量とを組み合わせることにより、ステアリング特性の設定自由度を容易に広げることができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ステアリングギヤボックスが、従動プーリに連結された入力軸の、出力軸に対する偏心量を変化させて舵角比を変更する舵角比可変機構を有するので、舵角比の変更に伴って移動する入力軸に追従して従動プーリの位置が変化しても、その従動プーリが可撓性を有する操作ケーブルを介して駆動プーリに接続されていることで、ステアリングハンドルや駆動プーリにコジリが発生することが回避され、舵角比可変機構を設けたことによる操舵フィーリングの低下や耐久性の低下が最小限に抑えられる。
【0052】
また駆動プーリよりも従動プーリが大径であるので、駆動プーリの回転が減速して従動プーリに伝達されることになり、ギヤを備えた減速機を用いることなく減速機能が発揮されるから、ギヤのバックラッシュやうねりの影響で操舵フィーリングが低下するのを回避できる。しかも舵角比可変機構による舵角比の可変量と、駆動プーリおよび従動プーリ間の減速比による舵角比の可変量とを組み合わせることにより、ステアリング特性の設定自由度を容易に広げることができる。
【0053】
また請求項2に記載された発明によれば、ステアリングギヤボックスに補助操舵トルクモータを設けたので、ドライバーがステアリングハンドルに入力する操舵トルクを補助操舵トルクモータの出力でアシストすることで、操作ケーブルに加わる荷重を軽減することができる。従って、舵角比可変機構の入力軸に接続された従動プーリの位置が舵角比の変更に応じて移動しても、操作ケーブルに加わる荷重が元々小さいために、前記移動の影響を最小限に抑えて耐久性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車両用操舵装置の全体斜視図
【図2】 図1の2−2線拡大断面図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 操舵トルクセンサの斜視図
【図5】 操舵トルクセンサの差動トランスの回路図
【図6】 操舵トルクセンサの作用説明図
【図7】 図1の7−7線拡大断面図
【図8】 図7の8−8線断面図
【図9】 舵角比可変機構の分解斜視図
【図10】 舵角比可変機構の作動原理を説明する図
【図11】 舵角比可変機構の舵角比特性線図
【符号の説明】
11 ステアリングハンドル
13 ステアリングギヤボックス
15 操作ケーブル
16 操作ケーブル
20 補助操舵トルクモータ
59 駆動プーリ
60 従動プーリ
106 舵角比可変機構
107 入力軸
116 出力軸
a 偏心量(変位量)
WL 車輪
WR 車輪
Claims (2)
- ステアリングハンドル(11)に連結されて回転する駆動プーリ(59)と、車輪(WL,WR)を転舵するステアリングギヤボックス(13)に連結されて回転する、駆動プーリ(59)より大径の従動プーリ(60)とを、可撓性を有する操作ケーブル(15,16)で接続し、
前記ステアリングギヤボックス(13)が、前記従動プーリ(60)に連結した入力軸(107)と、その入力軸(107)に対しオフセット配置されて連動回転する出力軸(116)とを有していて、その出力軸(116)に対する入力軸(107)の偏心量(a)を変化させて舵角比を変更する舵角比可変機構(106)を備えており、
ステアリングハンドル(11)に入力される操舵トルクを、駆動プーリ(59)から操作ケーブル(15,16)および従動プーリ(60)を経て、舵角比可変機構(106)を有するステアリングギヤボックス(13)に伝達することを特徴とする舵角比可変ステアリング装置。 - ドライバーがステアリングハンドル(11)に入力する操舵トルクをアシストすべく、ステアリングギヤボックス(13)に補助操舵トルクモータ(20)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の舵角比可変ステアリング装置。
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