JP3909006B2 - ケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングハンドルとステアリングギヤボックスとをボーデンケーブル等の撓み易い操作ケーブルで接続したケーブル式ステアリング装置に関し、特にそのケーブル張力調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるケーブル式ステアリング装置に使用される操作ケーブルは外側のアウターチューブと内側のインナーケーブルとで構成されており、アウターチューブに対してインナーケーブルを相対的に移動させることにより、ステアリングハンドルに入力される操舵トルクをステアリングギヤボックスに伝達するようになっている。ステアリングハンドルに操舵トルクが入力されないとき、インナーケーブルには所定のセット張力(例えば、40N〜50N)が付与されており、このセット張力によってステアリングハンドルの遊びが必要以上に大きくなるのを防止している。
【0003】
下記特許文献には、プーリケーシングに対するアウターチューブの接続部をアジャストナットで移動させることによりインナーケーブルのセット張力を調整可能とし、プーリケーシングに設けた測定用開口から挿入した張力測定器でインナーケーブルのセット張力を測定するものが記載されている。
【0004】
【特許文献】
特開2000−108909号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来のものは、プーリケーシングに形成した測定用開口を非測定時に塞ぐキャップが必要であるために部品点数が増加するだけでなく、特別の張力測定器を準備しないと測定ができないために不便であった。
【0006】
またセット張力の調整時に、ステアリングハンドルを拘束しない状態で一方のインナーケーブルのセット張力を調整すると、それに応じて他方のインナーケーブルのセット張力も変化し、一対のインナーケーブルのセット張力は常に同一になるが、一方のインナーケーブルのセット張力だけを調整すると、それに応じてステアリングハンドルのニュートラル位置が変化してしまう問題がある。これを防止するのは、ステアリングハンドルがニュートラル位置に維持されるように注意しながら両方のインナーケーブルのセット張力を同時に調整する必要があり、その作業が面倒で多くの時間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ケーブル式ステアリング装置に装備された操舵トルクセンサを利用することで、操作ケーブルのセット張力の調整とステアリングハンドルのニュートラル位置の調整とを同時にかつ簡単に行えるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ステアリングハンドルに連結されて回転する駆動プーリと車輪を転舵するステアリングギヤボックスに連結されて回転する従動プーリとを一対の操作ケーブルで接続し、ステアリングハンドルに入力される操舵トルクを操作ケーブルを介してステアリングギヤボックスに伝達するとともに、前記操舵トルクをステアリングハンドルおよび駆動プーリ間に設けた操舵トルクセンサで検出するケーブル式ステアリング装置において、従動プーリをニュートラル位置で回転不能に拘束する第1の工程と、ステアリングハンドルをニュートラル位置に拘束した状態で操舵トルクセンサが所定の操舵トルクを検出するように、一方の操作ケーブルの張力を他方の操作ケーブルの張力よりも増加させる第2の工程と、ステアリングハンドルの拘束を解いた状態で他方の操作ケーブルの張力を増加させることで、ステアリングハンドルをニュートラル位置に調整する第3の工程とを含むことを特徴とする、ケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法が提案される。
【0009】
上記構成によれば、従動プーリをニュートラル位置で回転不能に拘束し、かつステアリングハンドルをニュートラル位置に拘束した状態で、操舵トルクセンサが所定の操舵トルクを検出するように一方の操作ケーブルの張力を他方の操作ケーブルの張力よりも増加させ、次いでステアリングハンドルの拘束を解いた状態で他方の操作ケーブルの張力を増加させることで、ステアリングハンドルをニュートラル位置に調整するので、一対の操作ケーブルを別個に調整するだけで、それらのセット張力を前記所定の操舵トルクに対応する大きさに調整することが可能となるばかりか、それと同時にステアリングハンドルをニュートラル位置に調整することが可能となり、調整作業に要する時間を短縮するとともに調整精度を高めることができる。しかもケーブル式ステアリング装置に設けられた操舵トルクセンサを利用するので、特別の張力測定器が不要となる。
【0010】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記所定の操舵トルクは、操作ケーブルの目標セット張力に基づいて決定されることを特徴とする、ケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法が提案される。
【0011】
上記構成によれば、第2の工程で操舵トルクセンサが検出する所定の操舵トルクを操作ケーブルの目標セット張力に基づいて決定するので、操作ケーブルの調整後のセット張力を正しく目標セット張力に一致させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図9は本発明の一実施例を示すもので、図1はケーブル式ステアリング装置の全体斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は操舵トルクセンサの斜視図、図5は操舵トルクセンサの差動トランスの回路図、図6は操舵トルクセンサの作用説明図、図7は図1の7−7線拡大断面図、図8は図7の8−8線断面図、図9は操作ケーブルの張力調整の手順の説明図である。
【0014】
図1に示すように、自動車のステアリングハンドル11の前方に設けた駆動プーリケーシング12と、ステアリングギヤボックス13の上方に設けた従動プーリケーシング14とが、ボーデンケーブルよりなる2本の操作ケーブル15,16によって接続される。ステアリングギヤボックス13の両端部から車体左右方向に延びるタイロッド17L,17Rが、左右の車輪WL,WRを支持するナックル(図示せず)に接続される。駆動プーリケ−シング12の内部にはステアリングハンドル11に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサが内蔵されており、検出した操舵トルクが入力される制御装置18からの司令で従動プーリケーシング14と一体のギヤケーシング19に設けたアクチュエータ20が作動し、ドライバーのステアリング操作をアシストする。制御装置18に接続されたメータパネル8にケーブル式ステアリング装置の警報ランプ8aが設けられる。また制御装置18に接続されたサービスチェック用カプラ9には、チェック用カプラ10が結合可能である。
【0015】
図2に示すように、駆動プーリケーシング12は、リヤハウジング21、センターハウジング22およびフロントハウジング23をボルト24…で結合してなり、フロントハウジング23の前面に図示せぬボルトでフロントカバー25が結合される。駆動プーリケーシング12は、リヤハウジング21に設けたブラケット21aが取付ステー26にピン27で固定され、フロントハウジング23に設けたブラケット23aが取付ステー26にボルト28で固定される。
【0016】
ステアリングハンドル11に接続される中空のステアリングシャフト29は、2個のボールベアリング30,31でリヤハウジング21に回転自在に支持される。ステアリングハンドル11と同軸に配置される中空のプーリシャフト32の外周に金属製のプーリボス33が固定されており、このプーリボス33の外周に形成したセレーション部33aを覆うように合成樹脂製の駆動プーリ本体34が一体にモールドされる。プーリボス33の両端部が2個のボールベアリング35,36でそれぞれフロントハウジング23およびフロントカバー25に回転自在に支持されるとともに、プーリシャフト32がボールベアリング37でセンターハウジング22に回転自在に支持される。プーリボス33および駆動プーリ本体34は本発明の駆動プーリ59を構成する。
【0017】
プーリシャフト32の後端部外周にステアリングシャフト29の前端部内周が相対回転自在に嵌合しており、ステアリングシャフト29の中空部とプーリシャフト32の中空部とに、トーションバー38の両端部が嵌合して各々ピン39,40で結合される。従って、ステアリングシャフト29に入力された操舵トルクは、ステアリングシャフト29からトーションバー38を介してプーリシャフト32に伝達されることになり、センターハウジング22の内部に設けられた操舵トルクセンサ41がトーションバー38の捩れ量に基づいて操舵トルクを検出する。
【0018】
図2および図4から明らかなように、操舵トルクセンサ41は、プーリシャフト32の外周に相対回転不能、かつ軸方向スライド可能に支持された円筒状のスライダ42と、ステアリングシャフト29に固定されてスライダ42に形成した傾斜溝42aに嵌合するガイドピン43と、合成樹脂製のスライダ42の外周に固定した磁性体リング44と、センターハウジング22の内周に固定されて磁性体リング44に対向する差動トランス45と、ガイドピン43および傾斜溝42a間のガタを防止すべくスライダ42を前方に付勢するコイルばね46とを備える。
【0019】
図5に示すように、操舵トルクセンサ41の差動トランス45は、交流電源47に接続された一次コイル48と、第1二次コイル49と、第2二次コイル50とを備えており、磁性体リング44は第1、第2二次コイル49,50間に配置された可動鉄心を構成する。
【0020】
図2から明らかなように、プーリシャフト32の前端部とプーリボス33とはセレーション結合部51において結合されるとともに、プーリシャフト32の前端部に向かって先細になったテーパー結合部52を介して結合される。プーリシャフト32の前端にナット53がねじ込まれており、ナット53からの荷重でプーリボス33をプーリシャフト32に沿って後方に付勢することにより、テーパー結合部52を充分な面圧で密着させてプーリシャフト32およびプーリボス33を強固に一体化することができる。これにより、セレーション結合部51に存在する微小なガタの影響を解消し、騒音の発生を抑制することができるだけでなく操舵フィーリングを向上させることができる。ナット53を締め付けるとき、駆動プーリ59が軸方向に移動可能であるため、駆動プーリケーシング12に無理な荷重が加わることが防止される。
【0021】
図2および図3から明らかなように、2本の操作ケーブル15,16は、断面略矩形のコイルばねをモールドした合成樹脂製のアウターチューブ15o,16oと、その内部にスライド自在に収納される金属縒り線よりなるインナーケーブル15i,16iとから構成される。2本のインナーケーブル15i,16iの端部に固定した短円柱状のピン54,54が駆動プーリ本体34の両端面に形成したピン孔34a,34aに嵌合し、ピン54,54から延びる2本のインナーケーブル15i,16iは駆動プーリ本体34の外周に形成した1本の螺旋溝34bに沿って相互に接近する方向に巻き付けられた後、プーリシャフト32の軸線に直交する方向に引き出される。
【0022】
合成樹脂製の駆動プーリ本体34のピン孔34a,34aの底部はプーリボス33のセレーション部33aと駆動プーリ本体34との境界部に達しており、ピン54,54を外した状態では、前記境界部を容易に目視することができる。従って、プーリボス33にセレーション部33aが形成されていない不適切な状態で駆動プーリ本体34がモールドされたような加工ミスを確実に発見することができる。
【0023】
フロントハウジング23には2個のアジャストナット55,55が回転自在に支持されており、アウターチューブ15o,16oの端部に固定した円筒状の口金56,56に形成した雄ねじ56a,56aがアジャストナット55,55の内周に形成した雌ねじ(図示せず)に噛み合っている。そして口金56,56の雄ねじ56a,56aには、アジャストナット55,55の背面に当接可能なロックナット57,57が噛み合っている。
【0024】
従って、ロックナット57,57を緩めた状態でフロントハウジング23に対してアジャストナット55,55を回転させると、それらアジャストナット55,55に雄ねじ56a,56aが噛み合った口金56,56が軸方向に移動する。口金56,56をフロントハウジング23から引き出すように移動させると、インナーケーブル15i,16iの張力が増加し、口金56,56をフロントハウジング23内に押し込むように移動させるとインナーケーブル15i,16iの張力が減少する。このようにしてインナーケーブル15i,16iの張力を調整した後、ロックナット57,57を締め込んでアジャストナット55,55に押し付けることで、アジャストナット55,55を回転不能にロックすることができる。
【0025】
図7および図8に示すように、従動プーリケーシング14は図示せぬボルトで結合されたアッパーハウジング61とロアハウジング62とから構成され、ギヤケーシング19はギヤケーシング本体63と、ギヤケーシング本体63の上面に図示せぬボルトで結合されたアッパーカバー64とから構成され、ロアハウジング62とアッパーカバー64とが複数本のボルト65…で結合される。
【0026】
アッパーハウジング61に設けたボールベアリング66と、ロアハウジング62に設けたボールベアリング67と、ギヤケーシング本体63に設けた2個のボールベアリング68,69とにプーリシャフト70が回転自在に支持される。上側の2個のボールベアリング66,67は、プーリシャフト70を直接支持しておらず、プーリシャフト70の外周に固定したプーリボス71を支持している。アッパーハウジング61に設けたボールベアリング66は環状のナット72で抜け止めされ、ギヤケーシング本体63に設けた下側のボールベアリング69は袋状のナット73で抜け止めされる。
【0027】
プーリシャフト70の上端部とプーリボス71とはセレーション結合部74において結合されるとともに、プーリシャフト70の上端部に向かって先細になったテーパー結合部75を介して結合される。プーリシャフト70の上端にナット76がねじ込まれており、ナット76からの荷重でプーリボス71をプーリシャフト70に沿って下方に付勢することにより、テーパー結合部75を充分な面圧で密着させてプーリシャフト70およびプーリボス71を強固に一体化することで、セレーション結合部74に存在する微小なガタの影響を解消して騒音の発生を抑制し、また操舵フィーリングを向上させることができる。ナット76を締め付けるとき、従動プーリ60が軸方向に移動可能であるため、従動プーリケーシング14やギヤケーシング19に無理な荷重が加わることが防止される。
【0028】
プーリボス71の外周のセレーション部71aに合成樹脂製の従動プーリ本体77が一体にモールドされており、2本の操作ケーブル15,16のインナーケーブル15i,16iの端部に固定した短円柱状のピン78,78が従動プーリ本体77の両端面に形成したピン孔77a,77aに嵌合し、ピン78,78から延びる2本のインナーケーブル15i,16iは従動プーリ本体77の外周に形成した1本の螺旋溝77bに沿って相互に接近する方向に巻き付けられた後、プーリシャフト70の軸線に直交する方向に引き出される。プーリボス71および従動プーリ本体77は本発明の従動プーリ60を構成する。
【0029】
合成樹脂製の従動プーリ本体77のピン孔77a,77aの底部はプーリボス71のセレーション部71aと従動プーリ本体77との境界部に達しており、ピン78,78を外した状態では、前記境界部を容易に目視することができる。従って、プーリボス71にセレーション部71aが形成されていない状態で従動プーリ本体77がモールドされたような加工ミスを確実に発見することができる。
【0030】
従動プーリケーシング14には円筒状をなす2個の接続部14a,14aが形成されており、それらの内部にアウターチューブ結合部材79,79のボス部79a,79aが固定される。ボス部79a,79aから接続部14a,14aの外部に延びるパイプ部79b,79bがアウターチューブ15o,16oの外周に嵌合し、かしめ部79c,79cをかしめることでアウターチューブ15o,16oの端部が従動プーリケーシング14に固定される。アウターチューブ結合部材79,79のボス部79a,79aの内周には、インナーケーブル15i,16iとボス部79a,79aとが直接擦れるのを防止すべく、滑りの良い合成樹脂製のガイドブッシュ80,80が保持される。
【0031】
従動プーリケーシング14のほぼ全体から、接続部14a,14aを経て操作ケーブル15,16のアウターチューブ15o,16oの所定位置まで(例えば、アウターチューブ結合部材79,79のパイプ部79b,79bから露出する部分まで)が単一のゴム製カバー81で覆われる。このゴム製カバー81によって、水分が最も浸入し易いアウターチューブ結合部材79,79のかしめ部79c,79cを確実にシールできるだけでなく、従動プーリケーシング14のアッパーハウジング61およびロアハウジング62の割り面や、プーリシャフト70の上端を支持するボールベアリング66からの水分の浸入をも阻止することができる。
【0032】
これにより、エンジンルームの下部に配置されていて前記駆動プーリケーシング12よりも水に濡れ易い従動プーリケーシング14の防水性を高めることができ、アウターチューブ15o,16oおよびインナーケーブル15i,16iのスライド部に付着した水分が低温時に凍結して操作ケーブル15,16のスムーズな動きが阻害されたり、インナーケーブル15i,16iが錆びて操作ケーブル15,16の耐久性が低下したりするのを防止することができる。
【0033】
シール部材91を介して従動プーリケーシング14との間をシールされたギヤケーシング19の上部において、プーリシャフト70に固定されたウオームホイール82と、電気モータよりなるアクチュエータ20(図1参照)の出力軸20aに固定したウオーム83とが噛み合っている。プーリシャフト70の下部に形成したピニオン84に、ステアリングギヤボックス13(図1参照)のラック85が噛み合っており、その噛み合い部においてラック85がピニオン84に向けて付勢される。
【0034】
即ち、ギヤケーシング本体63に形成した貫通孔63aにスライド部材86がOリング87を介してスライド可能に嵌合しており、貫通孔63aにねじ結合したばね座88とスライド部材86との間に配置したコイルばね89の弾発力で、スライド部材86に設けた低摩擦部材90がラック85の背面に当接する。これにより、プーリシャフト70の回転がピニオン84を介してラック85に伝達されて車輪WL,WRが転舵される際に、ラック85は大きな摺動抵抗を受けることなくガタや撓みの発生を防止されてスムーズに作動することができる。
【0035】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0036】
先ず、ケーブル式ステアリング装置の通常時の作用を説明する。操舵トルクセンサ41で検出した操舵トルクは制御装置18に入力され、制御装置18は操舵トルクに基づいてアクチュエータ20の作動を制御する。即ち、車両を旋回させるべくステアリングハンドル11を操作すると、図2に示すように、操舵トルクがステアリングシャフト29およびトーションバー38を介してプーリシャフト32に伝達され、駆動プーリ本体34に巻き付けられた操作ケーブル15,16の一方のインナーケーブル15i,16iが引かれ、他方のインナーケーブル15i,16iが弛められることにより、駆動プーリ59の回転が従動プーリ60に伝達される。その結果、図7に示すプーリシャフト70が回転し、ステアリングギヤボックス13内のピニオン84、ラック85およびタイロッド17L,17Rを介して車輪WL,WRに操舵トルクが伝達される。
【0037】
ステアリングハンドル11に操舵トルクが入力されていないとき、トーションバー38は捩れ変形せずにステアリングシャフト29およびプーリシャフト32は同位相に保持され、図6(B)に示すように、ステアリングシャフト29のガイドピン43は傾斜溝42aの中央にあってスライダ42は上下方向中央位置に保持される。このとき、図5に示すように、スライダ42に設けた磁性体リング44は第1二次コイル49および第2二次コイル50の中間位置にあり、両二次コイル49,50の出力電圧が等しくなって操舵トルクがゼロであることが検出される。
【0038】
またステアリングハンドル11が右方向に操作されてステアリングシャフト29に図6(A)の矢印a方向の操舵トルクが入力されると、トーションバー38が捩じれ変形してステアリングシャフト29とプーリシャフト32(即ち、プーリシャフト32に対して相対回転不能なスライダ42)との間に相対角度差が発生するため、ステアリングシャフト29のガイドピン43に傾斜溝42aを押されたスライダ42が上方にスライドする。その結果、上側の第1二次コイル49の出力電圧が増加するとともに下側の第2二次コイル50の出力電圧が減少し、その電圧差に基づいて右転舵方向の操舵トルクが検出される。同様に、ステアリングハンドル11が左方向に操作されてステアリングシャフト29に図6(C)の矢印b方向に操舵トルクが入力されると、トーションバー38が捩じれ変形してステアリングシャフト29とプーリシャフト32(即ち、スライダ42)との間に逆の相対角度差が発生するため、ステアリングシャフト29のガイドピン43に傾斜溝42aを押されたスライダ42が下方にスライドする。その結果、上側の第1二次コイル49の出力電圧が減少するとともに下側の第2二次コイル50の出力電圧が増加し、その電圧差に基づいて左転舵方向の操舵トルクが検出される。
【0039】
このように、操舵トルクセンサ41で操舵トルクが検出されると、制御装置18は操舵トルクセンサ41で検出した操舵トルクが予め設定した所定値に保持されるように、アクチュエータ20を駆動する。これにより、アクチュエータ20のトルクがウオーム83およびウオームホイール82を介してプーリシャフト70に伝達され、ドライバーによるハンドル操作がアシストされる。差動トランス45を有する操舵トルクセンサ41とアクチュエータ20とを組み合わせたことにより、電気的な制御だけでアクチュエータ20を作動させることが可能となり、制御系の構造が簡素化される。
【0040】
次に、ケーブル式ステアリング装置の操作ケーブル15,16の張力調整の方法について説明する。
【0041】
図1において、制御装置18に連なるサービスチェック用カプラ9にチェック用カプラ10を結合するとサービスモードになり、メータパネル8に車両の各部の故障内容が表示される。この状態からステアリングハンドル11を右方向に2秒以上切り込み、操舵トルクセンサ41が所定値(操作ケーブル15,16のセット張力の10倍程度の張力に対応する操舵トルク)以上の操舵トルクを検出すると、制御装置18はサービスモードから張力チェックモードに切り換わる。
【0042】
続いて、従動プーリケーシング14内の従動プーリ60をニュートラル位置で回転不能に拘束する。この作業は、左右の車輪WL,WRを転舵角がゼロの状態(直進状態)に拘束することにより行われるが、接地した車輪WL,WRが路面との摩擦で固定されれば、転舵角がゼロの状態に調整するだけで特別の拘束手段を設ける必要はない。
【0043】
次に、図9(A)に示すように、駆動プーリケーシング12側において、一対のロックナット57,57を緩めた後に、一対のアジャストナット55,55を回転させて操作ケーブル15,16の口金56,56を矢印a,a方向に移動させることで、一対のインナーケーブル15i,16iを緩めて張力をゼロにする。このとき、矢印Aで示す駆動プーリ59の位相(つまりステアリングハンドル11の位相)はニュートラル位置にある。
【0044】
次に、図9(B)に示すように、ステアリングハンドル11をニュートラル位置に拘束した状態で、一方のアジャストナット55を回転させて一方の操作ケーブル15の口金56を矢印b方向に移動させると、一方のインナーケーブル15iの張力が増加することでステアリングハンドル11は反時計方向に回転しようとし、それを阻止するための反力としてステアリングハンドル11に時計方向の操舵トルクが作用する。一方の操作ケーブル15の口金56の矢印b方向への移動量が増加するのに応じて操舵トルクセンサ41が検出する操舵トルクTが次第に増加し、やがて目標操舵トルクTtに達するとメータパネル8の警報ランプ8aが点滅する。
【0045】
このとき、他方のインナーケーブル16iの張力はゼロであるため、操舵トルクTは一方のインナーケーブル15iの張力Fのみによって発生し、駆動プーリ59の半径をRとすると、T=F×Rの関係が成立する。従って、一方のインナーケーブル15iの目標セット張力をFtとすると、検出されるべき目標操舵トルクTtは、Tt=Ft×Rとなり、この目標操舵トルクTtが得られたときに、一方のインナーケーブル15iの張力Fはセット張力Ftになっている。
【0046】
上述のようにして一方の操作ケーブル15の口金56の位置の調整が完了しても、ステアリングハンドル11を一旦緩めてからニュートラル位置に回転させる操作を繰り返し、ステアリングハンドル11がニュートラル位置に達したときにメータパネル8の警報ランプ8aが安定して点滅するように一方の操作ケーブル15の口金56の位置を微調整すれば、調整精度が一層向上する。
【0047】
続いて、図9(C)に示すように、ステアリングハンドル11の拘束を一旦解除し、一方のインナーケーブル15iの張力でステアリングハンドル11を反時計方向に回転させた状態から、図9(D)に示すように、他方の操作ケーブル16の口金56を矢印c方向に移動させると、他方のインナーケーブル16iの張力が増加する。その結果、駆動プーリ59、つまりステアリングハンドル11は時計方向に回転し、その位相がニュートラルになる位置で他方の操作ケーブル16の口金56の移動を停止し、一対のロックナット57,57を締め込んでアジャストナット55,55を回転不能にロックする。
【0048】
この状態では、一方のインナーケーブル15iの張力は目標セット張力Ftであり、これと釣り合う他方のインナーケーブル15iの張力も同じく目標セット張力Ftとなる。続いて、ステアリングハンドル11を右方向に2秒以上切り込むと、制御装置18が張力調整モードからサービスモードに復帰する。そして最後に、車輪WL,WRの拘束を解いて調整作業を完了する。
【0049】
以上のように、上記手順で調整を行えば、一対のインナーケーブル15i,16iのセット張力Fを目標セット張力Ftに調整するのと同時に、駆動プーリ59の位相、つまりステアリングハンドル11の位相が自動的にニュートラル位置になるので、調整に要する時間を大幅に短縮することが可能になる。しかもケーブル式ステアリング装置に設けられた操舵トルクセンサ41を利用するので、駆動プーリケーシング12にセット張力を測定するための開口を形成したり、特別の張力測定器を準備したりする必要がない。
【0050】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0051】
例えば、実施例では差動トランス45を用いた操舵トルクセンサ41を例示したが、操舵トルクセンサ41の構造は任意である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、従動プーリをニュートラル位置で回転不能に拘束し、かつステアリングハンドルをニュートラル位置に拘束した状態で、操舵トルクセンサが所定の操舵トルクを検出するように一方の操作ケーブルの張力を他方の操作ケーブルの張力よりも増加させ、次いでステアリングハンドルの拘束を解いた状態で他方の操作ケーブルの張力を増加させることで、ステアリングハンドルをニュートラル位置に調整するので、一対の操作ケーブルを別個に調整するだけで、それらのセット張力を前記所定の操舵トルクに対応する大きさに調整することが可能となるばかりか、それと同時にステアリングハンドルをニュートラル位置に調整することが可能となり、調整作業に要する時間を短縮するとともに調整精度を高めることができる。しかもケーブル式ステアリング装置に設けられた操舵トルクセンサを利用するので、特別の張力測定器が不要となる。
【0053】
また請求項2に記載された発明によれば、第2の工程で操舵トルクセンサが検出する所定の操舵トルクを操作ケーブルの目標セット張力に基づいて決定するので、操作ケーブルの調整後のセット張力を正しく目標セット張力に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケーブル式ステアリング装置の全体斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】操舵トルクセンサの斜視図
【図5】操舵トルクセンサの差動トランスの回路図
【図6】操舵トルクセンサの作用説明図
【図7】図1の7−7線拡大断面図
【図8】図7の8−8線断面図
【図9】操作ケーブルの張力調整の手順の説明図
【符号の説明】
11 ステアリングハンドル
13 ステアリングギヤボックス
15 操作ケーブル
16 操作ケーブル
41 操舵トルクセンサ
59 駆動プーリ
60 従動プーリ
WL 車輪
WR 車輪
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングハンドルとステアリングギヤボックスとをボーデンケーブル等の撓み易い操作ケーブルで接続したケーブル式ステアリング装置に関し、特にそのケーブル張力調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるケーブル式ステアリング装置に使用される操作ケーブルは外側のアウターチューブと内側のインナーケーブルとで構成されており、アウターチューブに対してインナーケーブルを相対的に移動させることにより、ステアリングハンドルに入力される操舵トルクをステアリングギヤボックスに伝達するようになっている。ステアリングハンドルに操舵トルクが入力されないとき、インナーケーブルには所定のセット張力(例えば、40N〜50N)が付与されており、このセット張力によってステアリングハンドルの遊びが必要以上に大きくなるのを防止している。
【0003】
下記特許文献には、プーリケーシングに対するアウターチューブの接続部をアジャストナットで移動させることによりインナーケーブルのセット張力を調整可能とし、プーリケーシングに設けた測定用開口から挿入した張力測定器でインナーケーブルのセット張力を測定するものが記載されている。
【0004】
【特許文献】
特開2000−108909号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記従来のものは、プーリケーシングに形成した測定用開口を非測定時に塞ぐキャップが必要であるために部品点数が増加するだけでなく、特別の張力測定器を準備しないと測定ができないために不便であった。
【0006】
またセット張力の調整時に、ステアリングハンドルを拘束しない状態で一方のインナーケーブルのセット張力を調整すると、それに応じて他方のインナーケーブルのセット張力も変化し、一対のインナーケーブルのセット張力は常に同一になるが、一方のインナーケーブルのセット張力だけを調整すると、それに応じてステアリングハンドルのニュートラル位置が変化してしまう問題がある。これを防止するのは、ステアリングハンドルがニュートラル位置に維持されるように注意しながら両方のインナーケーブルのセット張力を同時に調整する必要があり、その作業が面倒で多くの時間を要するという問題があった。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ケーブル式ステアリング装置に装備された操舵トルクセンサを利用することで、操作ケーブルのセット張力の調整とステアリングハンドルのニュートラル位置の調整とを同時にかつ簡単に行えるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ステアリングハンドルに連結されて回転する駆動プーリと車輪を転舵するステアリングギヤボックスに連結されて回転する従動プーリとを一対の操作ケーブルで接続し、ステアリングハンドルに入力される操舵トルクを操作ケーブルを介してステアリングギヤボックスに伝達するとともに、前記操舵トルクをステアリングハンドルおよび駆動プーリ間に設けた操舵トルクセンサで検出するケーブル式ステアリング装置において、従動プーリをニュートラル位置で回転不能に拘束する第1の工程と、ステアリングハンドルをニュートラル位置に拘束した状態で操舵トルクセンサが所定の操舵トルクを検出するように、一方の操作ケーブルの張力を他方の操作ケーブルの張力よりも増加させる第2の工程と、ステアリングハンドルの拘束を解いた状態で他方の操作ケーブルの張力を増加させることで、ステアリングハンドルをニュートラル位置に調整する第3の工程とを含むことを特徴とする、ケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法が提案される。
【0009】
上記構成によれば、従動プーリをニュートラル位置で回転不能に拘束し、かつステアリングハンドルをニュートラル位置に拘束した状態で、操舵トルクセンサが所定の操舵トルクを検出するように一方の操作ケーブルの張力を他方の操作ケーブルの張力よりも増加させ、次いでステアリングハンドルの拘束を解いた状態で他方の操作ケーブルの張力を増加させることで、ステアリングハンドルをニュートラル位置に調整するので、一対の操作ケーブルを別個に調整するだけで、それらのセット張力を前記所定の操舵トルクに対応する大きさに調整することが可能となるばかりか、それと同時にステアリングハンドルをニュートラル位置に調整することが可能となり、調整作業に要する時間を短縮するとともに調整精度を高めることができる。しかもケーブル式ステアリング装置に設けられた操舵トルクセンサを利用するので、特別の張力測定器が不要となる。
【0010】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記所定の操舵トルクは、操作ケーブルの目標セット張力に基づいて決定されることを特徴とする、ケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法が提案される。
【0011】
上記構成によれば、第2の工程で操舵トルクセンサが検出する所定の操舵トルクを操作ケーブルの目標セット張力に基づいて決定するので、操作ケーブルの調整後のセット張力を正しく目標セット張力に一致させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図9は本発明の一実施例を示すもので、図1はケーブル式ステアリング装置の全体斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は操舵トルクセンサの斜視図、図5は操舵トルクセンサの差動トランスの回路図、図6は操舵トルクセンサの作用説明図、図7は図1の7−7線拡大断面図、図8は図7の8−8線断面図、図9は操作ケーブルの張力調整の手順の説明図である。
【0014】
図1に示すように、自動車のステアリングハンドル11の前方に設けた駆動プーリケーシング12と、ステアリングギヤボックス13の上方に設けた従動プーリケーシング14とが、ボーデンケーブルよりなる2本の操作ケーブル15,16によって接続される。ステアリングギヤボックス13の両端部から車体左右方向に延びるタイロッド17L,17Rが、左右の車輪WL,WRを支持するナックル(図示せず)に接続される。駆動プーリケ−シング12の内部にはステアリングハンドル11に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサが内蔵されており、検出した操舵トルクが入力される制御装置18からの司令で従動プーリケーシング14と一体のギヤケーシング19に設けたアクチュエータ20が作動し、ドライバーのステアリング操作をアシストする。制御装置18に接続されたメータパネル8にケーブル式ステアリング装置の警報ランプ8aが設けられる。また制御装置18に接続されたサービスチェック用カプラ9には、チェック用カプラ10が結合可能である。
【0015】
図2に示すように、駆動プーリケーシング12は、リヤハウジング21、センターハウジング22およびフロントハウジング23をボルト24…で結合してなり、フロントハウジング23の前面に図示せぬボルトでフロントカバー25が結合される。駆動プーリケーシング12は、リヤハウジング21に設けたブラケット21aが取付ステー26にピン27で固定され、フロントハウジング23に設けたブラケット23aが取付ステー26にボルト28で固定される。
【0016】
ステアリングハンドル11に接続される中空のステアリングシャフト29は、2個のボールベアリング30,31でリヤハウジング21に回転自在に支持される。ステアリングハンドル11と同軸に配置される中空のプーリシャフト32の外周に金属製のプーリボス33が固定されており、このプーリボス33の外周に形成したセレーション部33aを覆うように合成樹脂製の駆動プーリ本体34が一体にモールドされる。プーリボス33の両端部が2個のボールベアリング35,36でそれぞれフロントハウジング23およびフロントカバー25に回転自在に支持されるとともに、プーリシャフト32がボールベアリング37でセンターハウジング22に回転自在に支持される。プーリボス33および駆動プーリ本体34は本発明の駆動プーリ59を構成する。
【0017】
プーリシャフト32の後端部外周にステアリングシャフト29の前端部内周が相対回転自在に嵌合しており、ステアリングシャフト29の中空部とプーリシャフト32の中空部とに、トーションバー38の両端部が嵌合して各々ピン39,40で結合される。従って、ステアリングシャフト29に入力された操舵トルクは、ステアリングシャフト29からトーションバー38を介してプーリシャフト32に伝達されることになり、センターハウジング22の内部に設けられた操舵トルクセンサ41がトーションバー38の捩れ量に基づいて操舵トルクを検出する。
【0018】
図2および図4から明らかなように、操舵トルクセンサ41は、プーリシャフト32の外周に相対回転不能、かつ軸方向スライド可能に支持された円筒状のスライダ42と、ステアリングシャフト29に固定されてスライダ42に形成した傾斜溝42aに嵌合するガイドピン43と、合成樹脂製のスライダ42の外周に固定した磁性体リング44と、センターハウジング22の内周に固定されて磁性体リング44に対向する差動トランス45と、ガイドピン43および傾斜溝42a間のガタを防止すべくスライダ42を前方に付勢するコイルばね46とを備える。
【0019】
図5に示すように、操舵トルクセンサ41の差動トランス45は、交流電源47に接続された一次コイル48と、第1二次コイル49と、第2二次コイル50とを備えており、磁性体リング44は第1、第2二次コイル49,50間に配置された可動鉄心を構成する。
【0020】
図2から明らかなように、プーリシャフト32の前端部とプーリボス33とはセレーション結合部51において結合されるとともに、プーリシャフト32の前端部に向かって先細になったテーパー結合部52を介して結合される。プーリシャフト32の前端にナット53がねじ込まれており、ナット53からの荷重でプーリボス33をプーリシャフト32に沿って後方に付勢することにより、テーパー結合部52を充分な面圧で密着させてプーリシャフト32およびプーリボス33を強固に一体化することができる。これにより、セレーション結合部51に存在する微小なガタの影響を解消し、騒音の発生を抑制することができるだけでなく操舵フィーリングを向上させることができる。ナット53を締め付けるとき、駆動プーリ59が軸方向に移動可能であるため、駆動プーリケーシング12に無理な荷重が加わることが防止される。
【0021】
図2および図3から明らかなように、2本の操作ケーブル15,16は、断面略矩形のコイルばねをモールドした合成樹脂製のアウターチューブ15o,16oと、その内部にスライド自在に収納される金属縒り線よりなるインナーケーブル15i,16iとから構成される。2本のインナーケーブル15i,16iの端部に固定した短円柱状のピン54,54が駆動プーリ本体34の両端面に形成したピン孔34a,34aに嵌合し、ピン54,54から延びる2本のインナーケーブル15i,16iは駆動プーリ本体34の外周に形成した1本の螺旋溝34bに沿って相互に接近する方向に巻き付けられた後、プーリシャフト32の軸線に直交する方向に引き出される。
【0022】
合成樹脂製の駆動プーリ本体34のピン孔34a,34aの底部はプーリボス33のセレーション部33aと駆動プーリ本体34との境界部に達しており、ピン54,54を外した状態では、前記境界部を容易に目視することができる。従って、プーリボス33にセレーション部33aが形成されていない不適切な状態で駆動プーリ本体34がモールドされたような加工ミスを確実に発見することができる。
【0023】
フロントハウジング23には2個のアジャストナット55,55が回転自在に支持されており、アウターチューブ15o,16oの端部に固定した円筒状の口金56,56に形成した雄ねじ56a,56aがアジャストナット55,55の内周に形成した雌ねじ(図示せず)に噛み合っている。そして口金56,56の雄ねじ56a,56aには、アジャストナット55,55の背面に当接可能なロックナット57,57が噛み合っている。
【0024】
従って、ロックナット57,57を緩めた状態でフロントハウジング23に対してアジャストナット55,55を回転させると、それらアジャストナット55,55に雄ねじ56a,56aが噛み合った口金56,56が軸方向に移動する。口金56,56をフロントハウジング23から引き出すように移動させると、インナーケーブル15i,16iの張力が増加し、口金56,56をフロントハウジング23内に押し込むように移動させるとインナーケーブル15i,16iの張力が減少する。このようにしてインナーケーブル15i,16iの張力を調整した後、ロックナット57,57を締め込んでアジャストナット55,55に押し付けることで、アジャストナット55,55を回転不能にロックすることができる。
【0025】
図7および図8に示すように、従動プーリケーシング14は図示せぬボルトで結合されたアッパーハウジング61とロアハウジング62とから構成され、ギヤケーシング19はギヤケーシング本体63と、ギヤケーシング本体63の上面に図示せぬボルトで結合されたアッパーカバー64とから構成され、ロアハウジング62とアッパーカバー64とが複数本のボルト65…で結合される。
【0026】
アッパーハウジング61に設けたボールベアリング66と、ロアハウジング62に設けたボールベアリング67と、ギヤケーシング本体63に設けた2個のボールベアリング68,69とにプーリシャフト70が回転自在に支持される。上側の2個のボールベアリング66,67は、プーリシャフト70を直接支持しておらず、プーリシャフト70の外周に固定したプーリボス71を支持している。アッパーハウジング61に設けたボールベアリング66は環状のナット72で抜け止めされ、ギヤケーシング本体63に設けた下側のボールベアリング69は袋状のナット73で抜け止めされる。
【0027】
プーリシャフト70の上端部とプーリボス71とはセレーション結合部74において結合されるとともに、プーリシャフト70の上端部に向かって先細になったテーパー結合部75を介して結合される。プーリシャフト70の上端にナット76がねじ込まれており、ナット76からの荷重でプーリボス71をプーリシャフト70に沿って下方に付勢することにより、テーパー結合部75を充分な面圧で密着させてプーリシャフト70およびプーリボス71を強固に一体化することで、セレーション結合部74に存在する微小なガタの影響を解消して騒音の発生を抑制し、また操舵フィーリングを向上させることができる。ナット76を締め付けるとき、従動プーリ60が軸方向に移動可能であるため、従動プーリケーシング14やギヤケーシング19に無理な荷重が加わることが防止される。
【0028】
プーリボス71の外周のセレーション部71aに合成樹脂製の従動プーリ本体77が一体にモールドされており、2本の操作ケーブル15,16のインナーケーブル15i,16iの端部に固定した短円柱状のピン78,78が従動プーリ本体77の両端面に形成したピン孔77a,77aに嵌合し、ピン78,78から延びる2本のインナーケーブル15i,16iは従動プーリ本体77の外周に形成した1本の螺旋溝77bに沿って相互に接近する方向に巻き付けられた後、プーリシャフト70の軸線に直交する方向に引き出される。プーリボス71および従動プーリ本体77は本発明の従動プーリ60を構成する。
【0029】
合成樹脂製の従動プーリ本体77のピン孔77a,77aの底部はプーリボス71のセレーション部71aと従動プーリ本体77との境界部に達しており、ピン78,78を外した状態では、前記境界部を容易に目視することができる。従って、プーリボス71にセレーション部71aが形成されていない状態で従動プーリ本体77がモールドされたような加工ミスを確実に発見することができる。
【0030】
従動プーリケーシング14には円筒状をなす2個の接続部14a,14aが形成されており、それらの内部にアウターチューブ結合部材79,79のボス部79a,79aが固定される。ボス部79a,79aから接続部14a,14aの外部に延びるパイプ部79b,79bがアウターチューブ15o,16oの外周に嵌合し、かしめ部79c,79cをかしめることでアウターチューブ15o,16oの端部が従動プーリケーシング14に固定される。アウターチューブ結合部材79,79のボス部79a,79aの内周には、インナーケーブル15i,16iとボス部79a,79aとが直接擦れるのを防止すべく、滑りの良い合成樹脂製のガイドブッシュ80,80が保持される。
【0031】
従動プーリケーシング14のほぼ全体から、接続部14a,14aを経て操作ケーブル15,16のアウターチューブ15o,16oの所定位置まで(例えば、アウターチューブ結合部材79,79のパイプ部79b,79bから露出する部分まで)が単一のゴム製カバー81で覆われる。このゴム製カバー81によって、水分が最も浸入し易いアウターチューブ結合部材79,79のかしめ部79c,79cを確実にシールできるだけでなく、従動プーリケーシング14のアッパーハウジング61およびロアハウジング62の割り面や、プーリシャフト70の上端を支持するボールベアリング66からの水分の浸入をも阻止することができる。
【0032】
これにより、エンジンルームの下部に配置されていて前記駆動プーリケーシング12よりも水に濡れ易い従動プーリケーシング14の防水性を高めることができ、アウターチューブ15o,16oおよびインナーケーブル15i,16iのスライド部に付着した水分が低温時に凍結して操作ケーブル15,16のスムーズな動きが阻害されたり、インナーケーブル15i,16iが錆びて操作ケーブル15,16の耐久性が低下したりするのを防止することができる。
【0033】
シール部材91を介して従動プーリケーシング14との間をシールされたギヤケーシング19の上部において、プーリシャフト70に固定されたウオームホイール82と、電気モータよりなるアクチュエータ20(図1参照)の出力軸20aに固定したウオーム83とが噛み合っている。プーリシャフト70の下部に形成したピニオン84に、ステアリングギヤボックス13(図1参照)のラック85が噛み合っており、その噛み合い部においてラック85がピニオン84に向けて付勢される。
【0034】
即ち、ギヤケーシング本体63に形成した貫通孔63aにスライド部材86がOリング87を介してスライド可能に嵌合しており、貫通孔63aにねじ結合したばね座88とスライド部材86との間に配置したコイルばね89の弾発力で、スライド部材86に設けた低摩擦部材90がラック85の背面に当接する。これにより、プーリシャフト70の回転がピニオン84を介してラック85に伝達されて車輪WL,WRが転舵される際に、ラック85は大きな摺動抵抗を受けることなくガタや撓みの発生を防止されてスムーズに作動することができる。
【0035】
次に、上記構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0036】
先ず、ケーブル式ステアリング装置の通常時の作用を説明する。操舵トルクセンサ41で検出した操舵トルクは制御装置18に入力され、制御装置18は操舵トルクに基づいてアクチュエータ20の作動を制御する。即ち、車両を旋回させるべくステアリングハンドル11を操作すると、図2に示すように、操舵トルクがステアリングシャフト29およびトーションバー38を介してプーリシャフト32に伝達され、駆動プーリ本体34に巻き付けられた操作ケーブル15,16の一方のインナーケーブル15i,16iが引かれ、他方のインナーケーブル15i,16iが弛められることにより、駆動プーリ59の回転が従動プーリ60に伝達される。その結果、図7に示すプーリシャフト70が回転し、ステアリングギヤボックス13内のピニオン84、ラック85およびタイロッド17L,17Rを介して車輪WL,WRに操舵トルクが伝達される。
【0037】
ステアリングハンドル11に操舵トルクが入力されていないとき、トーションバー38は捩れ変形せずにステアリングシャフト29およびプーリシャフト32は同位相に保持され、図6(B)に示すように、ステアリングシャフト29のガイドピン43は傾斜溝42aの中央にあってスライダ42は上下方向中央位置に保持される。このとき、図5に示すように、スライダ42に設けた磁性体リング44は第1二次コイル49および第2二次コイル50の中間位置にあり、両二次コイル49,50の出力電圧が等しくなって操舵トルクがゼロであることが検出される。
【0038】
またステアリングハンドル11が右方向に操作されてステアリングシャフト29に図6(A)の矢印a方向の操舵トルクが入力されると、トーションバー38が捩じれ変形してステアリングシャフト29とプーリシャフト32(即ち、プーリシャフト32に対して相対回転不能なスライダ42)との間に相対角度差が発生するため、ステアリングシャフト29のガイドピン43に傾斜溝42aを押されたスライダ42が上方にスライドする。その結果、上側の第1二次コイル49の出力電圧が増加するとともに下側の第2二次コイル50の出力電圧が減少し、その電圧差に基づいて右転舵方向の操舵トルクが検出される。同様に、ステアリングハンドル11が左方向に操作されてステアリングシャフト29に図6(C)の矢印b方向に操舵トルクが入力されると、トーションバー38が捩じれ変形してステアリングシャフト29とプーリシャフト32(即ち、スライダ42)との間に逆の相対角度差が発生するため、ステアリングシャフト29のガイドピン43に傾斜溝42aを押されたスライダ42が下方にスライドする。その結果、上側の第1二次コイル49の出力電圧が減少するとともに下側の第2二次コイル50の出力電圧が増加し、その電圧差に基づいて左転舵方向の操舵トルクが検出される。
【0039】
このように、操舵トルクセンサ41で操舵トルクが検出されると、制御装置18は操舵トルクセンサ41で検出した操舵トルクが予め設定した所定値に保持されるように、アクチュエータ20を駆動する。これにより、アクチュエータ20のトルクがウオーム83およびウオームホイール82を介してプーリシャフト70に伝達され、ドライバーによるハンドル操作がアシストされる。差動トランス45を有する操舵トルクセンサ41とアクチュエータ20とを組み合わせたことにより、電気的な制御だけでアクチュエータ20を作動させることが可能となり、制御系の構造が簡素化される。
【0040】
次に、ケーブル式ステアリング装置の操作ケーブル15,16の張力調整の方法について説明する。
【0041】
図1において、制御装置18に連なるサービスチェック用カプラ9にチェック用カプラ10を結合するとサービスモードになり、メータパネル8に車両の各部の故障内容が表示される。この状態からステアリングハンドル11を右方向に2秒以上切り込み、操舵トルクセンサ41が所定値(操作ケーブル15,16のセット張力の10倍程度の張力に対応する操舵トルク)以上の操舵トルクを検出すると、制御装置18はサービスモードから張力チェックモードに切り換わる。
【0042】
続いて、従動プーリケーシング14内の従動プーリ60をニュートラル位置で回転不能に拘束する。この作業は、左右の車輪WL,WRを転舵角がゼロの状態(直進状態)に拘束することにより行われるが、接地した車輪WL,WRが路面との摩擦で固定されれば、転舵角がゼロの状態に調整するだけで特別の拘束手段を設ける必要はない。
【0043】
次に、図9(A)に示すように、駆動プーリケーシング12側において、一対のロックナット57,57を緩めた後に、一対のアジャストナット55,55を回転させて操作ケーブル15,16の口金56,56を矢印a,a方向に移動させることで、一対のインナーケーブル15i,16iを緩めて張力をゼロにする。このとき、矢印Aで示す駆動プーリ59の位相(つまりステアリングハンドル11の位相)はニュートラル位置にある。
【0044】
次に、図9(B)に示すように、ステアリングハンドル11をニュートラル位置に拘束した状態で、一方のアジャストナット55を回転させて一方の操作ケーブル15の口金56を矢印b方向に移動させると、一方のインナーケーブル15iの張力が増加することでステアリングハンドル11は反時計方向に回転しようとし、それを阻止するための反力としてステアリングハンドル11に時計方向の操舵トルクが作用する。一方の操作ケーブル15の口金56の矢印b方向への移動量が増加するのに応じて操舵トルクセンサ41が検出する操舵トルクTが次第に増加し、やがて目標操舵トルクTtに達するとメータパネル8の警報ランプ8aが点滅する。
【0045】
このとき、他方のインナーケーブル16iの張力はゼロであるため、操舵トルクTは一方のインナーケーブル15iの張力Fのみによって発生し、駆動プーリ59の半径をRとすると、T=F×Rの関係が成立する。従って、一方のインナーケーブル15iの目標セット張力をFtとすると、検出されるべき目標操舵トルクTtは、Tt=Ft×Rとなり、この目標操舵トルクTtが得られたときに、一方のインナーケーブル15iの張力Fはセット張力Ftになっている。
【0046】
上述のようにして一方の操作ケーブル15の口金56の位置の調整が完了しても、ステアリングハンドル11を一旦緩めてからニュートラル位置に回転させる操作を繰り返し、ステアリングハンドル11がニュートラル位置に達したときにメータパネル8の警報ランプ8aが安定して点滅するように一方の操作ケーブル15の口金56の位置を微調整すれば、調整精度が一層向上する。
【0047】
続いて、図9(C)に示すように、ステアリングハンドル11の拘束を一旦解除し、一方のインナーケーブル15iの張力でステアリングハンドル11を反時計方向に回転させた状態から、図9(D)に示すように、他方の操作ケーブル16の口金56を矢印c方向に移動させると、他方のインナーケーブル16iの張力が増加する。その結果、駆動プーリ59、つまりステアリングハンドル11は時計方向に回転し、その位相がニュートラルになる位置で他方の操作ケーブル16の口金56の移動を停止し、一対のロックナット57,57を締め込んでアジャストナット55,55を回転不能にロックする。
【0048】
この状態では、一方のインナーケーブル15iの張力は目標セット張力Ftであり、これと釣り合う他方のインナーケーブル15iの張力も同じく目標セット張力Ftとなる。続いて、ステアリングハンドル11を右方向に2秒以上切り込むと、制御装置18が張力調整モードからサービスモードに復帰する。そして最後に、車輪WL,WRの拘束を解いて調整作業を完了する。
【0049】
以上のように、上記手順で調整を行えば、一対のインナーケーブル15i,16iのセット張力Fを目標セット張力Ftに調整するのと同時に、駆動プーリ59の位相、つまりステアリングハンドル11の位相が自動的にニュートラル位置になるので、調整に要する時間を大幅に短縮することが可能になる。しかもケーブル式ステアリング装置に設けられた操舵トルクセンサ41を利用するので、駆動プーリケーシング12にセット張力を測定するための開口を形成したり、特別の張力測定器を準備したりする必要がない。
【0050】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0051】
例えば、実施例では差動トランス45を用いた操舵トルクセンサ41を例示したが、操舵トルクセンサ41の構造は任意である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、従動プーリをニュートラル位置で回転不能に拘束し、かつステアリングハンドルをニュートラル位置に拘束した状態で、操舵トルクセンサが所定の操舵トルクを検出するように一方の操作ケーブルの張力を他方の操作ケーブルの張力よりも増加させ、次いでステアリングハンドルの拘束を解いた状態で他方の操作ケーブルの張力を増加させることで、ステアリングハンドルをニュートラル位置に調整するので、一対の操作ケーブルを別個に調整するだけで、それらのセット張力を前記所定の操舵トルクに対応する大きさに調整することが可能となるばかりか、それと同時にステアリングハンドルをニュートラル位置に調整することが可能となり、調整作業に要する時間を短縮するとともに調整精度を高めることができる。しかもケーブル式ステアリング装置に設けられた操舵トルクセンサを利用するので、特別の張力測定器が不要となる。
【0053】
また請求項2に記載された発明によれば、第2の工程で操舵トルクセンサが検出する所定の操舵トルクを操作ケーブルの目標セット張力に基づいて決定するので、操作ケーブルの調整後のセット張力を正しく目標セット張力に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ケーブル式ステアリング装置の全体斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】操舵トルクセンサの斜視図
【図5】操舵トルクセンサの差動トランスの回路図
【図6】操舵トルクセンサの作用説明図
【図7】図1の7−7線拡大断面図
【図8】図7の8−8線断面図
【図9】操作ケーブルの張力調整の手順の説明図
【符号の説明】
11 ステアリングハンドル
13 ステアリングギヤボックス
15 操作ケーブル
16 操作ケーブル
41 操舵トルクセンサ
59 駆動プーリ
60 従動プーリ
WL 車輪
WR 車輪
Claims (2)
- ステアリングハンドル(11)に連結されて回転する駆動プーリ(59)と車輪(WL,WR)を転舵するステアリングギヤボックス(13)に連結されて回転する従動プーリ(60)とを一対の操作ケーブル(15,16)で接続し、ステアリングハンドル(11)に入力される操舵トルクを操作ケーブル(15,16)を介してステアリングギヤボックス(13)に伝達するとともに、前記操舵トルクをステアリングハンドル(11)および駆動プーリ(59)間に設けた操舵トルクセンサ(41)で検出するケーブル式ステアリング装置において、
従動プーリ(60)をニュートラル位置で回転不能に拘束する第1の工程と、ステアリングハンドル(11)をニュートラル位置に拘束した状態で操舵トルクセンサ(41)が所定の操舵トルクを検出するように、一方の操作ケーブル(15)の張力を他方の操作ケーブル(16)の張力よりも増加させる第2の工程と、
ステアリングハンドル(11)の拘束を解いた状態で他方の操作ケーブル(16)の張力を増加させることで、ステアリングハンドル(11)をニュートラル位置に調整する第3の工程と、
を含むことを特徴とする、ケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法。 - 前記所定の操舵トルクは、操作ケーブル(15,16)の目標セット張力に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1に記載のケーブル式ステアリング装置におけるケーブル張力調整方法。
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