JP3854138B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関により駆動される車両用交流発電機に関し、乗用車、トラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用交流発電機に用いられる固定子として、複数の導体セグメントを接合することにより形成された巻線を有するものが従来から知られている。例えば、特開昭63−274335号公報には、複数のセグメント状導体を用いて固定子巻線を形成し、各セグメントの接合部に対応して環状の樹脂12bが装着された固定子が開示されている。この固定子の樹脂12bは、セグメントの先端部分に設けられており、その根元部分には冷却風が流れる空間が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特開昭63−274335号公報に開示された固定子においては、セグメントの接合部から延びる斜行部分は、樹脂12aによって完全に覆われており、冷却風の通風部分は、軸方向に延びる平行な部分のみに形成されている。したがって、セグメントの先端部分のみが相互に固定されており、円周方向に沿った剛性が充分ではなく、なびくように倒れやすいという問題があった。また、剛性不足のため、先端部分に設けられた樹脂12bが振動しやすく、振動音の増大を招いていた。
【0004】
また、樹脂12bは、セグメント状導体の先端部分をわずかに覆っているだけであり、一般には樹脂と金属との結合は弱いため、セグメントに振動や熱が加わったときに樹脂12bが抜けやすく、強固な固着が得られないという問題があった。また、セグメントの接合部は、溶接やはんだ付け等の加熱を伴う方法で接合すると、部分的な変質を伴う。例えば、セグメントの接合部が銅によって形成されている場合を考えると、接合部近傍の銅表面の酸化等による変質や、銅に被覆された樹脂被膜層の損傷などが生じる。このような接合部近傍の変質部分は、表面が樹脂12bとなじみにくくなっている場合があり、先端の接合部分のみに設けた樹脂12bは、特にその固着状態が弱くなる傾向にある。
【0005】
また、上述した樹脂12bは、これによって覆われる複数のセグメントの接合部に沿った形状には形成されておらず、円周方向に一様な表面形状を有する環状部材として形成されている。したがって、セグメントが覆われた部分とそれ以外の部分では、円周方向の断面形状が急変することになり、樹脂12bの材質によっては、樹脂12bとセグメントとの熱膨張係数の違いや、厚さの違いによる熱膨張量の違い等から、樹脂12bにクラックなどの損傷が生じやすく、その損傷部分に水分が浸入することによって接合部に腐食や電気的な短絡が起こるおそれがあった。そのため、このような不具合から接合部を保護する必要がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、コイルエンドの剛性を高めることにより振動や音の発生を防止することを目的とする。また、本発明は、セグメントの接合部を保護することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用交流発電機は、回転子と、前記回転子の外周に対向配置した固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持するフレームとを有する車両用交流発電機において、前記固定子は、複数のスロットを有する固定子鉄心と、前記スロット内に収納される内部導体と前記固定子鉄心から露出するコイルエンドとによって固定子巻線を形成する複数の導体セグメントと、前記複数の導体セグメント間を連結する樹脂部材とを有し、前記導体セグメントは、前記コイルエンドにおいて、他の前記導体セグメントと交差する斜行部と、前記斜行部の先端に位置する先端部とを形成しており、前記導体セグメントは、前記スロット内に挿入され、その先端部を互いに反対の周方向に折り曲げた後、他の導体セグメントの先端部と接合されており、前記樹脂部材は、前記複数の導体セグメントの接合部を含む前記先端部間を周方向に連結するとともに、前記先端部から前記斜行部の一部にかけて付着しており、前記斜行部においては、前記樹脂部材が一部に付着しているだけであり、そのほとんどに前記樹脂部材が付着しておらず、斜行部によって網目状の通風路が形成されていることを特徴としている。
【0008】
導体セグメントの先端部同士を連結することにより高い剛性を得ることができ、先端部近傍での振動や音の発生を抑制することができる。先端部につながる斜行部の一部にまで樹脂部材を付着させることにより、樹脂部材によって導体セグメントの曲がった部分まで覆うことになるため、樹脂部材が軸方向に関して強固に固着し、振動等による脱落を防止することができる。接合部を含む先端部が樹脂部材に覆われているため、樹脂部材が保護部材としても機能し、接合部を確実に保護することができる。また、樹脂部材の被覆範囲に、導体セグメントの斜行部の一部が含まれおり、樹脂部材の全体が軸方向に抜けにくくなっており、振動や熱が加わったときの欠落を防止することができる。各導体セグメントの斜行部によって網目状の通風路が形成されており、固定子巻線の良好な冷却性が確保されている。
【0009】
また、斜行部には、上述した樹脂部材とは別の樹脂材料を付着させることが望ましい。別の樹脂材料を斜行部に付着させることにより、先端部間を連結する樹脂部材を先端部から斜行部にかけて強固に固着させることができる。例えば、別に追加する樹脂材料としては、粘度が低く、先端部から斜行部にかけてを薄く覆うことができる、いわゆる含浸固着用の樹脂材料が適している。
【0010】
また、導体セグメントを接合する接合部に、上述した樹脂部材を形成することが望ましい。補強用に形成された樹脂部材によって接合部を覆うことにより、接合部の保護も同時に行うことができる。特に、導体セグメントが樹脂被膜によって覆われている場合には、接合部近傍であって接合時に損傷を受けた部位を含んで健全な部位に至るまで樹脂部材で覆うことが望ましい。一般に、損傷を受けた樹脂被膜は、樹脂部材となじみにくくなっていることが多いため、健全な部位までを含んで樹脂部材を付着させることにより、樹脂部材を強固に付着させることができる。
【0011】
また、上述した接合部は、先太形状に形成し、その根元を樹脂部材で覆うことが望ましい。先太部分があることによって樹脂部材が導体セグメントから抜けにくくなり、振動等による欠落を防止することができる。また、上述した樹脂部材は、先端部の表面に沿った波形の表面形状に形成することが望ましい。このような形状とすることにより、接合部周辺の樹脂部材の厚さがほぼ一定になるため、過剰な肉厚部、肉薄部がなくなり、膨張収縮量のばらつきを抑えることができ、樹脂部材の損傷を防止することができる。したがって、損傷に起因する腐食や電気的な短絡の発生を防止することができる。
【0012】
また、上述した樹脂部材は、環状に形成することが望ましい。各導体セグメントの先端部を環状に連結することにより、樹脂部材として最も高い剛性が得られるため、振動や音の発生を最小限に抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、フレーム4、整流器5等を含んで構成されている。
【0014】
固定子2は、固定子鉄心32と、固定子巻線を構成する複数の導体セグメント33と、固定子鉄心32と導体セグメント33との間を電気絶縁するインシュレータ34と、各導体セグメント33の先端部間を連結するように形成された円還状の樹脂部材36とを備えている。固定子鉄心32は、薄い鋼板シートを重ね合わせて形成されており、その内周面には多数のスロットが形成されている。また、この固定子鉄心32から露出している導体セグメント33によって固定子巻線のコイルエンド31が形成されている。固定子2の詳細構造については後述する。
【0015】
回転子3は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁コイル8を、それぞれが6個の爪部を有するポールコア7によって、シャフト6を通して両側から挟み込んだ構成を有している。また、フロント側のポールコア7の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すために軸流式の冷却ファン11が溶接等によって取り付けられている。同様に、リヤ側のポールコア7の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すために遠心式の冷却ファン12が溶接等によって取り付けられている。
【0016】
フレーム4は、固定子2および回転子3を収容しており、回転子3がシャフト6を中心に回転可能な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコア7の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2が固定されている。また、フレーム4は、固定子2のコイルエンド31に対向した部分に冷却風の吐出孔42が、軸方向端面に吸入孔41がそれぞれ設けられている。
【0017】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に回転する。この状態で回転子3の界磁コイル8に外部から励磁電圧を印加することにより、ポールコア7のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線に3相交流電圧を発生させることができ、整流器5の出力端子からは所定の直流電流が取り出される。
【0018】
次に、固定子2の詳細について説明する。図2は、固定子巻線を構成する導体セグメント33の斜視図であり、固定子鉄心32に組み付ける前の状態が示されている。図2に示すように、導体セグメン33は、棒状あるいは板状の金属材料(例えば銅)をターン部33cで折り曲げたほぼU字状に形成されており、ターン部33cよりスロットの内周側に配置される内層側導体部33aと、ターン部33cよりスロットの外周側に配置される外層側導体部33bとを含んで構成される。また、これらの内層側導体部33aと外層側導体部33bのそれぞれは、固定子2のスロット内に収容される直線部としての内部導体と、スロットの外部に露出してコイルエンド31を形成する外部導体とによって構成されている。
【0019】
図3は、固定子2の部分的な断面図である。固定子2の固定子巻線は、固定子鉄心32の各スロット35に2本の導体セグメント33を挿入し、異なるスロット35に挿入された導体セグメント33の先端部同士を互いに結線することにより構成されている。図3に示すように、この導体セグメント33の内層側導体部33aおよび外層側導体部33bのそれぞれの断面形状は、周方向よりも径方向に長い長方形を有しており、この長方形の長辺が径方向に沿って配置されている。この導体セグメント33は、その表面に絶縁被膜が形成されており、隣接する導体セグメント33の絶縁はそれぞれの表面に形成された絶縁被膜331によって行われる。また、各導体セグメント33とスロット35の内壁面との間の電気的絶縁は、インシュレータ34によって行われる。
【0020】
図4は、固定子2の部分的な外観図である。この図に示すように、固定子巻線を構成する各導体セグメント33は、固定子鉄心32の軸方向側面の一方にターン部33cが、他方にターン部33cと反対側の整列部分としての先端部33fが配置されている。固定子2の一方のコイルエンド31を構成する導体セグメント33の斜行部33eは、外層と内層とで逆方向に傾斜した交差部分であり、各層内では同一方向に傾斜している。また、各導体セグメント33の斜行部33eより先の先端部33f同士の結線は、超音波溶着、アーク溶接、ろう付け等の電気的接合による場合の他に、かしめなどの機械加工手段を用いてもよい。
【0021】
この先端部33fから斜行部33eの一部にかけて樹脂部材36が形成されている。この樹脂部材36は、各導体セグメント33の先端部33fを円還状に連結しており、高い剛性を得ることができる。また、樹脂部材36の被覆範囲に、導体セグメント33の斜行部33eの一部が含まれおり、樹脂部材36の全体が軸方向に抜けにくくなっており、振動や熱が加わったときの欠落を防止することができる。また、導体セグメント33の斜行部33eは、その一部に樹脂部材36がかかっているだけであり、そのほとんどに樹脂部材36が付着していない。したがって、各導体セグメント33の斜行部33eによって網目状の通風路が形成されており、固定子巻線の良好な冷却性が確保されている。
【0022】
ところで、各導体セグメント33の先端部33fの接合部およびその近傍は、接合に伴って変質を生じる。例えば、溶接によって先端部33fの溶融部分の表面が酸化するとともに、その周辺の絶縁被膜が損傷を受ける。図5は、導体セグメント33の接合部近傍の状態を示す図である。図5に示すように、溶接によって接合部を形成した場合には、接合部分である溶融部分(領域A)の表面が著しく酸化される。また、溶融部分に隣接する区域(領域B)の表面の絶縁被膜が溶接の熱によって損傷あるいは劣化する。このように表面が著しく酸化したり絶縁被膜が損傷や劣化すると、樹脂部材36の密着性が悪くなる傾向にある。例えば、粉体を熱硬化させて樹脂部材36を形成した場合には、領域Aおよび領域Bに対応する導体セグメント33の表面と樹脂部材36との間、あるいは導体セグメント33の表面と劣化した絶縁被膜との間の密着性が悪いため、本実施形態では、図5に示すように、樹脂部材36の被覆範囲を領域Aと領域B、さらにはその先の絶縁被膜が劣化していない健全部分に至るように設定している。密着性が良好な健全部分までを含めることにより、樹脂部材36が導体セグメント33に強固に固着する。
【0023】
図6は、コイルエンドの斜行部33eから先端部33fにかけての断面図である。斜行部33eの表面には、銅線としての導体セグメント33に設けられた絶縁被膜331が付着している。そして、先端部33fから斜行部33eの一部にかけて樹脂部材36をなす樹脂材料が付着している。さらに、これら全体を覆うようにして別の樹脂材料としての薄い樹脂層361が付着している。この薄い樹脂層361は、絶縁被膜331ならびに樹脂部材36とは異なる樹脂材料である。
【0024】
薄い樹脂層361は、斜行部33eの全体を覆っている。さらに、薄い樹脂層361は、斜行部33eの間に樹脂の膜を張ることがあるが、斜行部33eにおける放熱に寄与する表面積を大幅に減少させることはない。斜行部33eに樹脂の膜が張る場合でも、斜行部33eの表面に沿って流れる空気によって十分な冷却が可能である。
【0025】
次に、固定子の製造工程を以下に説明する。まず、固定子鉄心32の各スロット35にインシュレータ34を挿入する。次に、図2に示す外層側導体部33bと内層側導体部33aとターン部33cとで構成されたほぼ同一形状のU字状の導体セグメント33を、固定子鉄心32の軸方向側面の同一側にターン部33cが揃うように重ね、図3に示すように外層側導体部33bがスロット35の奥側に、内層側導体部33aがスロット35の開口側に位置するように、各導体セグメント33をスロット35内であって先に挿入されたインシュレータ34内に挿入する。この導体セグメント33は、絶縁被膜を持つ銅平板を折り曲げ、プレス等でほぼU字型形状に整形することにより製作され、ほぼ平行のスロット側面に外層側導体部33bおよび内層側導体部33aの両側面がインシュレータ34を介して当接するように圧入される。次に、図7に示すように、ターン部33cによって形成されるコイルエンド31とは反対側に位置する先端部33fを互いに反対の周方向に折り曲げた後、異層の他の導体セグメント33の先端部33f同士が接合されて結線される。次に、エポキシ系の粉体を各導体セグメント33の先端部33fおよびこれにつながる斜行部33eの一部に付着させた後に熱硬化させる。なお、図4等に示したように、先端部33fと斜行部33eの一部の表面形状に沿った波形形状に樹脂部材36を形成するためには、先端部33fを下方に向けた状態で流動させた粉体を付着させる、いわゆる流動浸漬が適している。その後、粉体を硬化させた範囲を含む所定範囲を含浸固着用の液状樹脂に浸した後、加熱してこれを硬化させ、樹脂層361を形成する。一般に、粉体を硬化させた場合、粉体による導体セグメント先端部の密着封止性は、液状樹脂を硬化させた場合の密着封止性に比べて弱いため、粉体を熱硬化させて樹脂部材36を形成した後に、液状樹脂に浸してこれを硬化させることにより、樹脂部材36と導体セグメント33との間に形成される微細な隙間の間を液状樹脂で埋めることができ、樹脂部材36を導体セグメント33に対して強固に固着させることができる。
【0026】
このように、固定子2の周方向に円還状に形成された樹脂部材36によって、各導体セグメント33の先端部33f同士を連結しており、高い剛性を得ることができるため、コイルエンド31の変形や振動・音の発生、隣接する導体セグメント33間の接触等を防止することができる。また、接合部を含む先端部33fが樹脂部材36に覆われているため、樹脂部材36が保護部材としても機能し、接合部を確実に保護することができる。また、先端部33fから斜行部33eの一部にかけて樹脂部材36を付着させることにより、樹脂部材36が軸方向に関して強固に固着し、振動等による脱落を防止することができる。また、斜行部33eについては、樹脂部材36が一部に付着しているだけであるため、冷却風が通る空間が充分確保されており、良好な放熱性を達成することができ、発電時の温度低減が可能になる。また、樹脂部材36は、先端部33fの表面に沿った波形に形成されており、接合部を含む先端部33f周辺の厚さがほぼ一定になっているため、過剰な肉厚部、肉薄部がなくなり、膨張収縮量のばらつきを抑えることができ、樹脂部材36の損傷を防止することができる。樹脂部材36の損傷がなくなるため、水等が進入することによって生じる腐食や電気的な短絡等を防止することができる。
【0027】
また、樹脂部材36を形成した後にこの樹脂部材36とは別の液状樹脂を付着させており、樹脂部材36による固着をさらに強くすることができる。この液状樹脂を導体セグメント33と固定子鉄心32のスロット35の軸方向入口部の隙間に流し込むことにより、これらの間の結合の度合いを強めることもできる。このように、2種類の樹脂の材質や付着させる部位を変えることにより、導体セグメント33同士の相互間の連結を強固にする以外の数々の用途に用いることができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、導体セグメント33の接合部をほぼ均一な断面形状に形成したが、先太形状に形成するようにしてもよい。図8は、接合部を玉形状に形成した固定子の部分的な斜視図である。例えば、各導体セグメント33の先端部同士の結線をTIG(tungsten inert−gas)溶接による接合によって行うことにより、接合部33gの全体が表面張力によって丸くなってエッジのない雫状の玉形状となる。一般に、TIG溶接は、不活性ガス気中でタングステン電極と母材の間にアークを発生させ、このアーク熱を利用して母材を溶融させて溶接する方法である。高い熱伝導率を有する銅によって導体セグメント33を形成した場合には、溶接時の溶融が先端部33gの近傍に広がるため、接合部の全体が玉形状となる。この接合部は、導体セグメント33の線材の断面寸法よりも大きく形成されており、先端部33gの根元から見ると先太形状に形成されている。したがって、この接合部を覆うように形成された樹脂部材36は抜けにくくなり、振動等によって欠落することを防止することができる。
【0029】
なお、接合部の先太形状は、導体セグメントの断面に比べて太くなっていることが重要であり、長方形断面を有する導体セグメントの幅方向と厚さ方向の両方に関して太くなっていることが望ましいが、幅方向あるいは厚さ方向のいずれか一方に関してのみ太くなっていてもよい。かかる形状においても、樹脂部材36が先太先端部の根元にまで付着し、先太範囲を包み込む形状を採用することで樹脂部材36の固着を強固にできる。
【0030】
また、上述した実施形態では、1スロット当たりの導体数が2本の場合を説明したが、1スロット当たりの導体数を増やすようにしてもよい。例えば、図9に示すように、固定子鉄心32に形成された各スロット135内に、4本の導体セグメント133をスロット135の深さ方向に関してのみ配列して収容するようにしてもよい。このような構造においては、図10に示すような接合構造が採用できる。1つのスロット135に収容された4本の導体セグメント133は、周方向に向けて交互に延び出している。図10では、手前に図示された最外周が時計回り方向に延びており、最も奥に位置する最内周が反時計回り方向に延びている。そして、各導体セグメント133の先端部133fは、所定ピッチ離れた別のスロット135から延びる他の導体セグメント133の先端部133fと接合されている。図10では、最内周の導体セグメント133と第2層の導体セグメント133とが接合され、第3層の導体セグメント133と最外層の導体セグメント133とが接合されている。そして、少なくともそれぞれの導体セグメント133の先端部133fを覆うように樹脂部材136が形成されている。
【0031】
また、上述した実施形態では、固定子鉄心32の一方の側面側にターン部33cを有するほぼU字状の導体セグメント33を用いたが、このターン部33cで分離した折り返しのない導体セグメントを用い、この導体セグメントの両端部を接合するようにしてもよい。図11は、I字状あるいはJ字状と呼びうる導体セグメントの形状を示す斜視図である。同図に示す導体セグメント233は、固定子鉄心32のスロット35内に挿入される直線部である内部導体233hと、この内部導体233hの両端において固定子鉄心32の軸方向両側に延びる斜行部233iと、その先に形成される先端部233fとによって構成されている。2つの斜行部233iの少なくとも一方は、スロット内への挿入後に破線形状から曲げられる。そして、図12に示すように、先端部233fが異なるスロットに挿入された他の導体セグメント233の先端部233fと接合されて結線がなされ、その後隣接する接合部間を樹脂部材236によって覆うことにより、全体として固定子巻線が形成される。この導体セグメント233はシンプルな形状を有しているため、製造が容易になる利点がある。また、各導体セグメント233とインシュレータ34とを1対1に対応させることができるため、スロット35内にインシュレータ34を挿入し、さらにその中に導体セグメント233を挿入する場合の作業が容易となる。
【0032】
また、上述した実施形態では、導体セグメント33の先端部33fを円還状の樹脂部材36によって覆ったが、この樹脂部材36は単一の部材で形成する必要はなく、2分割あるいはそれ以上に分割されたものであってもよい。また、導体セグメント33の斜行部33eは必ずしも、内層側と外層側の両方が傾斜している必要はなく、どちらか一方の層に対応する斜行部33eを軸方向に沿って形成し、他方の層に対応する斜行部33eのみを傾斜させるようにしてもよい。本明細書では、他の導体セグメント33と平行以外の所定の角度で交差する部分を斜行部と称している。また、樹脂部材36によって斜行部33eの一部を覆うようにしたが、斜行部33eについてもっと広範囲に、しかも先端部33fよりも疎に(薄く)樹脂部材36を付着させるようにしてもよい。この場合であっても、それぞれの導体セグメント33の斜行部33e同士が交差する隙間が形成され、これが冷却風の通風路となるため、良好な冷却性を確保することができる。
【0033】
また、上述した実施形態では、樹脂部材36の形状を導体セグメント33の先端部33fの形状に沿った波形形状にしたが、凹凸のない単純なリング形状に形成してもよい。この場合であっても、剛性を高めることによって、コイルエンドの変形、振動・音の発生、隣接する導体セグメント間の接触等を防止することができる。また、斜行部には冷却風が流れる隙間を確保できるため、良好な冷却性を持たせることができる。
【0034】
また、導体セグメントは、絶縁被膜を持たない裸線により形成してもよい。この場合、導体セグメントの内部導体毎にインシュレータ34を巻き付けることで固定子鉄心との絶縁が図られる。この構成においては、導体セグメント間の接合に伴う絶縁被膜の損傷がないので、樹脂部材36の付着範囲を少なくできる。また、かかる構成にあっては、コイルエンド群の全体に対して薄く絶縁樹脂層を付着させることが望ましい。この構成によると、薄い絶縁樹脂層を付着させた場合にも、コイルエンドにおける放熱性を高めることができる。
【0035】
また、導体セグメントの接合部は、固定子鉄心の一方の端面側にのみ配列することが生産性の観点から望ましい。例えば、固定子鉄心のフロント側(プーリ20側)あるいはリア側(反プーリ20側)にのみ配列することができる。このため、樹脂部材36も固定子鉄心のフロント側(プーリ20側)あるいはリア側(反プーリ20側)にのみ選択的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構造を示す断面図である。
【図2】固定子巻線を構成する導体セグメントの斜視図である。
【図3】固定子の部分的な断面図である。
【図4】固定子の部分的な平面図である。
【図5】導体セグメントの接合部近傍の状態を示す平面図である。
【図6】導体セグメントの断面図である。
【図7】固定子の両端面のコイルエンドの詳細を示す斜視図である。
【図8】接合部を玉形状に形成した固定子の部分的な斜視図である。
【図9】各スロットに4本の導体セグメントが挿入された固定子の部分的な断面図である。
【図10】各スロットに4本の導体セグメントが挿入された固定子の部分的な斜視図である。
【図11】折り返しのない導体セグメントの形状を示す斜視図である。
【図12】図11に示した導体セグメントを用いて構成した固定子の部分的な平面図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
4 フレーム
32 固定子鉄心
33 導体セグメント
33e 斜行部
33f 先端部
35 スロット
36 樹脂部材

Claims (3)

  1. 回転子と、前記回転子の外周に対向配置した固定子と、前記回転子と前記固定子とを支持するフレームとを有する車両用交流発電機において、
    前記固定子は、複数のスロットを有する固定子鉄心と、前記スロット内に収納される内部導体と前記固定子鉄心から露出するコイルエンドとによって固定子巻線を形成する複数の導体セグメントと、前記複数の導体セグメント間を連結する樹脂部材とを有し、
    前記導体セグメントは、前記コイルエンドにおいて、他の前記導体セグメントと交差する斜行部と、前記斜行部の先端に位置する先端部とを形成しており、
    前記導体セグメントは、前記スロット内に挿入され、その先端部を互いに反対の周方向に折り曲げた後、他の導体セグメントの先端部と接合されており、
    前記樹脂部材は、前記複数の導体セグメントの接合部を含む前記先端部間を周方向に連結するとともに、前記先端部から前記斜行部の一部にかけて付着しており、さらに前記樹脂部材は、環状に形成されており、
    前記導体セグメントの斜行部においては、前記樹脂部材が一部に付着しているだけであり、そのほとんどに前記樹脂部材が付着しておらず、斜行部によって網目状の通風路が形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項1において、前記斜行部には、前記樹脂部材とは別の樹脂材料が付着していることを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項1または2において、前記導体セグメントは、樹脂被膜を有する被覆線であって、その被膜が前記接合部の近傍では損傷しており、前記樹脂部材は、前記導体セグメントの前記樹脂被膜の健全な部位にまで至っていることを特徴とする車両用交流発電機。
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