JP3656740B2 - 車両用交流発電機およびそのステータの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車外騒音低減の社会的要請や車室内静粛性向上による商品性向上の狙いから、エンジン騒音が低下してきており、これに伴って車両用交流発電機の磁気的な騒音(磁気音)が耳障りとなってきた。また、最近の電気負荷の増大により、車両用交流発電機の出力も増大しており、出力電流の増加に伴って磁気音が増大する傾向にある。
【0003】
ところで、従来の車両用交流発電機は、固定子巻線として円形断面を有する銅線等が用いられており、この固定子巻線を円環状の固定子鉄心の内周側に形成されたスロット内に収納することにより固定子が構成されている。例えば、特開平7−231591号公報には、その図7において、スロット内に固定子コイルを収納し、スロット開口部においてウェッジが装着された固定子が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平7−231591号公報に開示された従来の車両用交流発電機の固定子においては、固定子鉄心のティース先端が振動の自由端になるため円周方向の剛性が低く、車両用交流発電機の回転子が回転して発電動作中に固定子巻線の振動に伴ってこのティースが周方向に振動しやすく、磁気音が大きくなるという問題があった。
【0005】
また、上述した公報に開示された固定子は、固定子巻線が内周側に飛び出さないようにウェッジが設けられているが、部品点数や組み付け工数を低減するためにはこのウェッジを削除する方が好ましい。しかし、このウェッジを削除すると、内周側から塩水や電解水あるいは泥水等が侵入しやすくなるため、耐環境性が悪化するという問題があった。特に、回転子の端面に冷却ファンが固定された内扇式の車両用交流発電機においては、回転子が回転すると、冷却ファンによって遠心方向に向かう冷却風が発生するため、スロットの内周側開口部近傍の圧力が高くなる。したがって、冷却風とともに外部から取り込まれた塩水等がスロット開口部からスロット内の固定子巻線の隙間に容易に侵入するため、固定子コイルあるいはスロット内壁部が腐食しやすくなり、固定子コイル表面に形成された絶縁被膜や、スロット内壁部と固定子巻線との間に介在するインシュレータを破ってしまい、固定子コイル間あるいは固定コイルと固定子鉄心との間の短絡を招くことがある。
【0006】
本発明は、複数本の大小2種類のU字状導体セグメントを接合することによって車両用交流発電機の固定子巻線を形成するものであって、特に、複数本の大小2種類のU字状導体セグメントの直線部先端の接合部を接合する場合に、その接合のための作業空間を確保し、作業性を向上することが可能な車両用交流発電機及び車両用交流発電機のステータの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用交流発電機は、固定子巻線は、複数本の大小2種類のU字状の導体セグメントから形成されており、この大小2種類のU字状の導体セグメントは、大U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部が、小U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部を取り囲むようにして、大小2種類のU字状の導体セグメントの各直線部が複数のスロットに挿入されており、各スロットに挿入された4本の直線部は、当該スロットの径方向に沿って一列に、かつ、内周側の2本の直線部と外周側の2本の直線部との間に隙間が形成されて配置されるものであって、1磁極ピッチ分だけ周方向に離れた異なるスロットに挿入された内周側の2本の直線部先端の接合部同士及び外周側の2本の直線部先端の接合部同士を接合して前記固定子巻線を構成するものである。
【0008】
スロット内の4本の導体の中央部分に隙間を形成することにより、内周側の2本の直線部先端の接合部同士及び外周側の2本の直線部先端の接合部同士を溶接等によって接合する場合に、作業空間を確保することが容易となる。
【0009】
また、本発明の車両用交流発電機のステータの製造方法は、円環状の固定子鉄心の内周側に形成された複数のスロットに対して、複数本の大小2種類のU字状の導体セグメントを前記固定子鉄心の軸方向から挿し込む工程を有し、この大小2種類のU字状の導体セグメントは、大U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部が、小U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部を取り囲むようにして、前記大小2種類のU字状の導体セグメントの各直線部が前記複数のスロットに挿入されるものであり、さらに、各スロットの径方向に沿って一列に配置された4本の直線部の内の内周側の2本の直線部先端の接合部を内周側に曲げるとともに、外周側の2本の直線部先端の接合部を外周側に曲げることによって、内周側2本の接合部と外周側2本の接合部との間を広げる工程と、1磁極ピッチ分だけ周方向に離れた異なるスロットに挿入された内周側の2本の直線部先端の接合部同士及び外周側の2本の直線部先端の接合部同士を接合する工程を備える。
【0010】
このように、導体セグメントの先端側を広げる工程を追加することにより、導体セグメントによって提供されるスロット内の一部の導体を確実に内周側に配置することができる。
【0011】
さらに、内周側の2本の直線部先端の接合部同士及び外周側の2本の直線部先端の接合部同士を接合する工程を行う際に、内周側2本の直線部先端の接合部と外周側2本の直線部先端の接合部との間を広げておくことにより、作業空間を確保することが容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、車両用交流発電機の全体構成を示す図である。図1に示す車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、フレーム4、整流器5等を含んで構成されている。
【0014】
固定子2は、固定子鉄心22と、固定子巻線を構成する複数の導体セグメント23と、固定子鉄心22と各導体セグメント23との間を電気絶縁するインシュレータ24とを備えている。
【0015】
回転子3は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線8を、それぞれが6個の爪部を有するポールコア7によって、シャフト6を通して両側から挟み込んだ構造を有している。また、フロント側のポールコア7の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すために軸流式の冷却ファン11が溶接等によって取り付けられている。同様に、リヤ側のポールコア7の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すために遠心式の冷却ファン12が溶接等によって取り付けられている。
【0016】
フレーム4は、固定子2および回転子3を収容しており、回転子3がシャフト6を中心に回転可能な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコア7の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2が固定されている。また、フレーム4は、固定子鉄心22の軸方向端面から突出した固定子巻線に対向した部分に冷却風の吐出窓42が、軸方向端面に吸入窓41がそれぞれ設けられている。
【0017】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に回転する。この状態で回転子3の界磁巻線8に外部から励磁電圧を印加することにより、ポールコア7のそれぞれの爪部が励磁され、固定子巻線に3相交流電圧を発生させることができ、整流器5の出力端子からは所定の直流電流が取り出される。
【0018】
次に、固定子2の詳細について説明する。図2は、固定子2の部分的な断面図である。また、図3は固定子巻線を構成する導体セグメントの斜視図である。図4は、固定子2を展開して内周側から見た部分的な側面図である。図5は、固定子2の部分的な斜視図である。
【0019】
図2に示すように、固定子鉄心22には、多相の固定子巻線を収容するために、複数のスロット25が形成されている。本実施形態では、回転子3の磁極数に対応して、3相の固定子巻線を収容するために、複数個のスロット25が等間隔に配置されている。
【0020】
固定子鉄心22のスロット25に装備された固定子巻線は、複数の導体セグメント23を接合することにより構成されており、各スロット25の中には偶数本(本実施形態では4本)の導体231a、232a、232b’、231b’が収容されている。なお、導体セグメント23はU字状に形成されており、その2本の腕部(直線部)のそれぞれが「導体」として各スロット25内に収容されている。
【0021】
また、一のスロット25内の4本の導体は、図2に示すように、固定子鉄心22の径方向に関して内周側から順に内端層、内中層、外中層、外端層の順で一列に配列されている。特に、内端層と内中層の2本の導体231a、232aが内周寄りに配置されているとともに、外中層と外端層の2本の導体232b’、231b’が外周寄りに配置されており、中央寄りの内中層と外中層の2本の導体232a、232b’の間に所定の隙間が形成されている。また、内端層、内中層、外中層、外端層のそれぞれの導体は、スロット25の周方向の幅に対してインシュレータ24の厚さ分だけ差し引いたほぼスロット25の幅に等しい導体幅を有しており、周方向にほとんど隙間がないようにスロット25内に収容される。
【0022】
一のスロット25内の内端層の導体231aは、固定子鉄心22の時計回り方向に向けて磁極ピッチ分離れた他のスロット25内の外端層の導体231bと対をなしている。同様に、一のスロット25内の内中層の導体232aは、固定子鉄心22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ分離れた他のスロット25内の外中層の導体232bと対をなしている。そして、それぞれの対をなす2本の導体は、固定子鉄心22の軸方向の一方の端部において連続線を用いることにより、ターン部231c、232cを経由することで接続される。したがって、固定子鉄心22の一方の端部においては、外中層の導体232bと内中層の導体232aとを接続する連続線を、外端層の導体231bと内端層の導体231aとを接続する連続線が囲むことになる。このように、固定子鉄心22の一方の端部においては、対をなす各導体の接続部が、同じスロット内に収容された他の対をなす各導体の接続部により囲まれる。外中層の導体と内中層の導体との接続により中層コイルエンドが形成され、外端層の導体と内端層の導体との接続により端層コイルエンドが形成される。
【0023】
一方、一のスロット25内の内中層の導体232aは、固定子鉄心22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット25内の内端層の導体231aとも対をなしている。同様に、一のスロット25内の外端層の導体231bは、固定子鉄心22の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ分離れた他のスロット25内の外中層の導体232bと対をなしている。そして、これらの各導体は固定子鉄心22の軸方向の他方の端部において接合により接続される。
【0024】
したがって、固定子鉄心22の他方の端部においては、外端層の導体231bと外中層の導体232bとを接続する接合部と、内端層の導体231aと内中層の導体232aとを接続する接合部とが、径方向に並んでいる。外端層の導体231bと外中層の導体232bとの接続、および内端層の導体231aと内中層の導体232aとの接続により隣接層コイルエンドが形成される。このように、固定子鉄心22の他方の端部においては、対をなす各導体の接続部が、重複することなく並べて配置される。
【0025】
また、図3に示すように、内層端および外層端の導体231a、231bを含む導体セグメント23によって大セグメント231が形成されており、内中層および外中層の導体232a、232bを含む導体セグメント23によって小セグメント232が形成されている。さらに、これらの大セグメント231と小セグメント232によって基本セグメントが形成される。大セグメント231および小セグメント232は、スロット25内に収容されて軸方向に沿って延びる上述した各導体231a、231b、232a、232bを備えるとともに、軸方向に対して所定角度傾斜して延びる斜行部231f、231g、232f、232gを備える。これらの斜行部は、コイルエンドを形成しており、通風路がこれらの斜行部の間に主として形成されている。
【0026】
以上の構成が全てのスロット25の各導体セグメント23について繰り返される。そして、ターン部231c、232cと反対側のコイルエンドにおいて、外端層の導体セグメント23の接合部231e’と外中層の導体セグメント23の接合部232e、並びに内中層の導体セグメント23の接合部232dと内端層の導体セグメント23の接合部231d’とが溶接、超音波溶着、アーク溶接、ろう付け等の手段によって接合され、電気的に接続されている。これらの接合部の互いの絶縁と保持のために、絶縁材によるコーティングが行われる。なお、耐振動性、耐環境性を向上するために、複数の接合部の間を繋ぐように絶縁材が付着されてもよい。また、絶縁材は、接合部にのみ厚く付着させることが望ましい。
【0027】
このようにして製作される固定子2について、固定子鉄心22の内周側から見た1相分の各導体セグメント23が図4に示されており、ターン部231c、232cと反対側のコイルエンド群の斜視図が図5に示されている。
【0028】
ターン部231c、232cに対応する第1コイルエンド群21aにおいては、中層コイルエンドと端層コイルエンドとが基本コイルエンドとなる。また、ターン部231c、232cと反対側の第2コイルエンド群21bにおいては、隣接層コイルエンドが基本コイルエンドとなる。そして、複数の基本コイルエンドが、規則的に繰り返して配置されている。全てのコイルエンドの間には隙間が確保される。しかも、各基本コイルエンドは、環状のコイルエンド群内において、周方向に関してほぼ一定の密度で分布している。
【0029】
両コイルエンド群21a、21bにおいては、複数の基本コイルエンドの間に無数の通風路が形成される。しかも、それらの通風路は、環状のコイルエンド群内において周方向に関して一様に分布している。
【0030】
両コイルエンド群21a、21bの内周面は、固定子鉄心22の内周面よりわずかに大きい内径を有して形成されている。さらに、両コイルエンド群21a、21bは、全周にわたってほぼ一定の高さを有している。
【0031】
次に、固定子巻線の製造工程を説明する。まず、U字状の2種類の導体セグメント23(大セグメント231、小セグメント232)を固定子鉄心22のスロット25の数だけ用意する。図6、図7、図8は、固定子2に組み付ける前の導体セグメント23の製造工程を示す斜視図である。
【0032】
例えば大セグメント231に対応した所定の長さを有する直線状の導体セグメント23を用意し(図6)、ほぼ中央で折り曲げてターン部231cを形成する(図7)。このU字状に形成された導体セグメント23において、ターン部231cの径方向に沿った幅をL2、先端部の径方向に沿った幅をL3とする。その後このターン部231cを挟んで捻りを加えてターン部231c側の斜行部231fを形成する。このようにして、図3に示すような反ターン部231c側の斜行部231gを有しないU字状の導体セグメント23が完成する(図8)。
【0033】
この捻りによって斜行部231fが形成された導体セグメント23においては、ターン部231cの幅L2が径方向に沿ったスロット25の深さL1よりも広く設定されているとともに、先端部の幅L3もスロット25の深さL1よりも広く設定されている。また、導体セグメント23の2本の直線部は、それぞれピッチPだけ離れた異なるスロット25内に収容されるものであり、このピッチPに対応する回転方向の幅を有している。ここで、スロットの深さL1とは、図2に示したようにスロット25の径方向に配置されるインシュレータ24の厚さを考慮して実質的なセグメント収容空間としてのスロット深さを示している。なお、図8においては、L1<L2=L3に設定された導体セグメント23を示したが、L1<L2かつL1<L3であれば必ずしもL2とL3は等しくなくてもよい。また、導体セグメント23の2本の直線部の回転方向の幅をピッチPよりわずかに広く設定するようにしてもよい。
【0034】
なお、小セグメント232についても同様であり、小セグメント232に対応した所定の長さを有する直線状の導体セグメント23に対して、図6、図7、図8に示した折り曲げ加工および捻り加工を施すことにより、U字状の導体セグメント23が完成する。
【0035】
次に、このようにして製造された各導体セグメント23を、固定子鉄心22の軸方向側面の同一側にターン部231c、232cが揃うように重ね、各導体セグメント23を固定子2のスロット25に挿入する。このとき、導体セグメント23の2本の直線部は、それぞれピッチPだけ離れた異なるスロット25内に収容される。ところで、上述したように導体セグメント23のターン部231cの幅L2と先端部の幅L3は、ともにスロット25の深さL1よりも広く設定されているため、変形しながらスロット25に挿し込まれる。この変形は、塑性域となるように設定されていても弾性域となるように設定されていてもよい。塑性域となるように設定されている場合であっても、導体セグメント23のスプリングバックがあるため、導体セグメント23の直線部で提供される2本の導体のそれぞれは、スロット25の内周側と外周側に付勢される。
【0036】
次に、図5に示すように、ターン部231c、232cを含んで形成されるコイルエンド21とは反対側に位置する接合部231d、232d、231e、232eを互いに反対の周方向に捻った後に(接合部の捻り加工の具体例については後述する)、円環状に形成された楔状治具160によって、内端層の導体に対応する接合部231dと内中層に対応する接合部232dを内周側に曲げるとともに、外端層の導体に対応する接合部231eと外中層に対応する接合部232eを外周側に曲げる加工を行う。なお、本実施形態では、導体セグメント23の先端部である各接合部を内周側および外周側に曲げる加工を、導体セグメント23をスロット25に挿し込んでその先端側を捻った後であって溶接前に行っているが、この捻り加工を行う前に実施したり、あるいは溶接後であって後述する絶縁被膜形成前に実施するようにしてもよい。
【0037】
その後、接合部231dと接合部232dとをTIG溶接によって接合するとともに、接合部231eと接合部232eとをTIG溶接によって接合する。このようにして形成された各導体セグメント23の接合部は、固定子鉄心22からの高さがほぼ同じになるように形成される。
【0038】
次に、各接合部が下向きになるように固定子2を配置して、例えば液体の絶縁材槽に各接合部を浸した後に引き上げる。この絶縁材を乾燥させることにより、各接合部に絶縁被膜が形成される。
【0039】
図9は、固定子鉄心22にU字状の導体セグメント23を挿入した後に接合部を捻る加工装置の概略構造を示す図である。また、図10は図9に示すX−X線断面図であり、導体セグメント23の端部を保持して固定子鉄心22から突出した各導体セグメント23を加工する捻り治具の詳細が示されている。
【0040】
固定子鉄心22の各スロット25にU字状に成形された小セグメント232cと大セグメント231を差し込んだ後に、固定子鉄心22の外周部を拘束治具であるクランパ100によって固定する。そして、ワーク押さえ治具102とワーク受け治具104によって固定子鉄心22の軸方向位置を固定し、各導体セグメント23のターン部231c、232cが軸方向に動かないように押さえながら(例えばワーク押さえ治具102の端面でターン部231c、232cの軸方向位置を拘束する)、固定子鉄心22の端面から突出した導体セグメント23の端部を各層毎に反対方向に捻る。例えば、図5に示すように、外端層と内中層の各導体に対応した導体セグメント23の先端部が同一方向に捻られ、外中層と内端層の各導体に対応した導体セグメント23の端部が反対方向に捻られる。
【0041】
この捻り加工は、図10に示すように、4重の環状の捻り治具110、112、114、116を用いて行われる。各捻り治具110、112、114、116は、スロット25内で外端層、外中層、内中層、内端層の各導体が配置される位置に対応した位置に導体セグメント23の端部を保持する溝部110a、112a、114a、116aを有しており、図9に示すように、固定子鉄心22の端面から捻り加工前の各導体セグメント23の端部が突出した状態で上昇下降用モータ120を回転させて各捻り治具110、112、114、116を上昇させ、各導体セグメント23の端部をそれぞれに対応する溝部110a、112a、114a、116aによって保持する。その後、この保持状態を保ちながら、図10において矢印で示したように、モータ140、144によって外端層の捻り治具110と内中層の捻り治具114を時計回り方向に回転させるとともに、モータ142、146によって外中層の捻り治具112と内端層の捻り治具116を反時計回り方向に回転させて、固定子鉄心22から突出した各導体セグメント23の端部に対して捻り加工を実施する。また、この捻り加工を実施することにより、各導体セグメント23の先端位置が上部に変位するため、捻り加工の進行に伴って、上昇下降用モータ120によって上昇下降用シャフト150を上昇させる。
【0042】
この捻り加工において、各導体セグメント23の先端部分は、各捻り治具110、112、114、116に形成された溝部110a、112a、114a、116aに保持されているため、捻りが加えられずに残っており、この部分が図3に示した溶接用の接合部231d、232d、231e、232eとして用いられる。
【0043】
図9に示した加工装置を用いて固定子巻線を形成する場合に、スロット25に挿し込まれる前の導体セグメント23のターン側の幅L2と先端側の幅L3のそれぞれがスロット25の深さL1よりも広く設定されているため、外端層および外中層の導体に対応する導体セグメント23の先端部は外周寄りに偏り、内端層および内中層の導体に対応する導体セグメント23の先端部は内周寄りに偏る。したがって、図2に示したように、内端層および内中層の各導体がスロット25の開口部26側に押しつけられる。しかも、導体セグメント23の周方向の幅は、インシュレータ24を介在させた場合のスロット25の隙間をほぼ埋めるように設定されているため、隣接する2つのティース27の先端を付勢するように導体セグメント23が配置され、ティース27の先端近傍の周方向の剛性を高めることができる。このため、発電時に固定子巻線が振動した場合であっても、固定子鉄心22の各スロット25の開口部26近傍の振動が抑制され、磁気音が増大することを防止することができる。
【0044】
特に、外端層および外中層の導体と内端層および内中層の導体の間に隙間が形成されると、外端層および外中層の各導体に対応する導体セグメント23の端部同士、および内端層および内中層の各導体に対応する導体セグメント23の端部同士を溶接等によって接合する際の作業空間を確保することが容易となる。
【0045】
また、図2に示すように、各スロット25の内周側開口部26が内端層の導体によって閉塞されるため、回転子3の回転時に冷却ファン11、12によって内周側の圧力が高くなった状態で塩水等の水分が各スロット25の開口部26に達した場合であっても、スロット25内への内周側からの侵入を防ぐことができる。したがって、スロット25内への水分の侵入路は、軸方向端面に露出した隙間部分のみとなり、スロット25内に侵入する水分を大幅に減らすことができ、スロット25内に水分が侵入したことによって生じる絶縁不良を低減して耐環境性を向上させることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、固定子巻線を構成する導体セグメント23の断面を矩形形状としたが、円形形状等の他の形状の導体セグメントを用いるようにしてもよい。また、各導体セグメント23を捻る加工を行った後に、導体セグメントの少なくとも一部を内周側に片寄らせる加工を手作業で行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構成を示す図である。
【図2】固定子の部分的な断面図である。
【図3】固定子巻線を構成する導体セグメントの斜視図である。
【図4】固定子を展開して内周側から見た部分的な側面図である。
【図5】固定子の部分的な斜視図である。
【図6】固定子に組み付ける前の導体セグメントの製造工程を示す斜視図である。
【図7】固定子に組み付ける前の導体セグメントの製造工程を示す斜視図である。
【図8】固定子に組み付ける前の導体セグメントの製造工程を示す斜視図である。
【図9】固定子鉄心にU字状の導体セグメントを挿入した後に端部を捻る加工装置の概略構造を示す図である。
【図10】図9に示すX−X線断面図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
22 固定子鉄心
23 導体セグメント
24 インシュレータ
25 スロット
26 開口部
Claims (2)
- 円環状を有し、その内周側に複数のスロットを有する固定子鉄心と
前記固定子鉄心に装備された固定子巻線とを備え、
前記固定子巻線は、複数本の大小2種類のU字状の導体セグメントから形成されており、この大小2種類のU字状の導体セグメントは、大U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部が、小U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部を取り囲むようにして、前記大小2種類のU字状の導体セグメントの各直線部が前記複数のスロットに挿入されており、各スロットに挿入された4本の直線部は、当該スロットの径方向に沿って一列に、かつ、内周側の2本の直線部と外周側の2本の直線部との間に隙間が形成されて配置されるものであって、1磁極ピッチ分だけ周方向に離れた異なるスロットに挿入された内周側の2本の直線部の端部同士及び外周側の2本の直線部の端部同士を接合して前記固定子巻線を構成したものであることを特徴とする車両用交流発電機。 - 円環状の固定子鉄心の内周側に形成された複数のスロットに対して、複数本の大小2種類のU字状の導体セグメントを前記固定子鉄心の軸方向から挿し込む工程を有し、
前記大小2種類のU字状の導体セグメントは、大U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部が、小U字状の導体セグメントの2本の直線部を接続する接続部を取り囲むようにして、前記大小2種類のU字状の導体セグメントの各直線部が前記複数のスロットに挿入されるものであり、
さらに、各スロットの径方向に沿って一列に配置された4本の直線部の内の内周側の2本の直線部先端の接合部を内周側に曲げるとともに、外周側の2本の直線部先端の接合部を外周側に曲げることによって、内周側2本の接合部と外周側2本の接合部との間を広げる工程と、
1磁極ピッチ分だけ周方向に離れた異なるスロットに挿入された内周側の2本の直線部先端の接合部同士及び外周側の2本の直線部先端の接合部同士を接合する工程を備えることを特徴とする車両用交流発電機のステータの製造方法。
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