JP3956075B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用交流発電機に用いられる固定子として、複数の導体セグメントを接合することにより形成された巻線を有するものが従来から知られている。例えば、WO92/06527には、U字状の複数の導体セグメントを固定子鉄心の一方の端面側から挿入した後に、反挿入側の端部同士を接合することにより巻線が形成された固定子が開示されている。この固定子は、連続した導体を巻いて巻線を構成する場合に比べて、規則的に配置された巻線が形成しやすいという特長がある。また、同じようにU字状の導体セグメントを用いて巻線が形成されているものとして、WO98/54823に開示された車両用交流発電機が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したWO92/06527に開示された車両用交流発電機においては、固定子鉄心の各スロットに挿入された導体は、異なるスロットに収納されたもの同士の端部が接合され、それぞれの接合部が固定子鉄心の形状に沿って円周方向に等間隔に並んで配置されている。例えば、各スロットには4本の導体が収容されており、一のスロットから同じ方向に延びた2本の導体の端部と、他のスロットから同じ方向に延びた2本の導体の端部とがそれぞれ接合され、この2つの接合部が円周方向に沿って一列に配置されている。このように、各接合部が円周方向に一列に配置されるため、接合部間の間隔が狭くなる。このため、2本の導体セグメントの端部同士を溶接してこの接合部を形成する場合に、溶接時に一時的に生じる溶融部分がその表面張力により隣接接合部間で連結しやすいという問題があった。
【0004】
また、同じスロットから引き出される導体セグメントには同相の電流が流れるため、これらの各導体セグメントに対応して隣接配置される2つの接合部にも同相の電流が流れる。このため、流れる電流値の変化に応じて周期的に吸引力と反発力がこれらの接合部間に作用し、磁気的な騒音が増大するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、隣接する接合部間の距離を確保することにより、接合時に生じる隣接接合部の連結を防止することができる車両用交流発電機を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、隣接する接合部間の距離を確保することにより、磁気的な騒音を低減することができる車両用交流発電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明によれば、複数のスロットを持つ固定子鉄心と、前記スロットに装備された複数の導体セグメントを接合してなる固定子巻線とを有する車両用交流発電機の固定子において、複数の前記導体セグメントを相互に接続する複数の接合部を有し、回転軸方向に沿った前記接合部の端部位置を、周方向に隣接する前記接合部について異ならせている。これにより、隣接する各接合部間の距離を確保することができ、各接合部を溶接によって形成する際に、隣接する各接合部の溶融部分同士が表面張力によって連結することを防止することができる。
【0008】
前記導体セグメントは、それぞれが回転子のNS磁極ピッチに対応して離間した前記スロット内に収納される直線部と前記直線部を前記スロットの外部にて連結する斜行部とを有し、前記スロット内の同じ深さ位置に複数の前記直線部が収納されているとともに、これら同じ深さ位置の複数の前記直線部につながる前記斜行部が、前記固定子鉄心の同一端面において同じ回転周方向に傾斜している。各スロット内の同じ深さ位置に収納されている複数の導体セグメントの斜行部が同じ回転周方向に傾斜しているため、この同じスロットに対応する複数の導体セグメントの接合部が回転周方向に並ぶことになるが、これらの各接合部の回転軸方向の位置が異なるように設定されているため、隣接する接合部間に作用する周期的な吸引力を低減することができ、磁気的騒音の発生を低減することができる。
【0009】
前記スロット内の同じ深さ位置にある複数の前記導体セグメントは、前記固定子鉄心の同一端面側において接合されるそれぞれの前記端部の回転軸方向の長さが異なるとともに前記渡り部の回転周方向の長さが異なっている。これにより、スロットから同じ回転周方向に出る複数の渡り線の先端部分としての接合部の位置を回転周方向にずらすとともに、その回転軸方向の位置を隣接する各接合部について異ならせることが容易となる。
【0010】
請求項2に記載された発明によれば、前記導体セグメントは、前記スロット内に収納された前記直線部が、前記スロット形状に沿ったほぼ矩形の断面形状を有している。これにより、スロット内で導体セグメントの周囲に形成される隙間を減らすことができるため、高いスロット収容占積率を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の車両用交流発電機の全体構成を示す図である。図1に示す車両用交流発電機1は、固定子2、回転子3、フレーム4、整流器5等を含んで構成されている。
【0013】
固定子2は、固定子鉄心22と、固定子巻線21を構成する2種類の導体セグメント23、123と、固定子鉄心22と各導体セグメント23、123との間を電気絶縁するインシュレータ24とを備えている。固定子2の詳細な構造については後述する。
【0014】
回転子3は、絶縁処理された銅線を円筒状かつ同心状に巻き回した界磁巻線31を、それぞれが6個の爪部を有するポールコア32によって、回転軸33を通して両側から挟み込んだ構造を有している。また、フロント側のポールコア32の端面には、フロント側から吸い込んだ冷却風を軸方向および径方向に吐き出すための冷却ファン35が溶接等によって取り付けられている。同様に、リヤ側のポールコア32の端面には、リヤ側から吸い込んだ冷却風を径方向に吐き出すための冷却ファン36が溶接等によって取り付けられている。また、回転軸33のリヤ側端部近傍には、界磁巻線31の両端に電気的に接続された2つのスリップリング37、38が形成されており、これらのスリップリング37、38を介してブラシ装置7から界磁巻線31に対して給電が行われる。
【0015】
フレーム4は、固定子2および回転子3を収容しており、回転子3が回転軸33を中心に回転可能な状態で支持されているとともに、回転子3のポールコア32の外周側に所定の隙間を介して配置された固定子2が固定されている。また、フレーム4は、固定子鉄心22の軸方向端面から突出した固定子巻線21のコイルエンドに対向した部分に冷却風の吐出窓41を有し、軸方向端面に吸入窓42を有している。
【0016】
上述した構造を有する車両用交流発電機1は、ベルト等を介してプーリ20にエンジン(図示せず)からの回転力が伝えられると回転子3が所定方向に回転する。この状態で回転子3の界磁巻線31に外部から励磁電圧を印加することにより、ポールコア32のそれぞれの爪部が励磁されて回転子3の回転周方向に沿って交互にNS磁極が形成されるため、固定子巻線21に三相交流電圧を発生させることができ、整流器5の出力端子からは所定の直流電流が取り出される。
【0017】
次に、固定子2の詳細について説明する。図2は、固定子2の部分的な断面図である。図2に示しように、固定子鉄心22は複数のスロット25を有しており、各スロット25には多相の固定子巻線21が収容されている。本実施形態では、回転子3の磁極数に対応して、三相の固定子巻線21を収容するように、36個のスロット25が回転周方向に等間隔に配置されている。また、複数のスロット25のそれぞれには、4本の電気導体が収容される。一のスロット25内の4本の電気導体は、固定子鉄心22の径方向(奥行き方向)と周方向のそれぞれに二列ずつ配置されている。
【0018】
図3は、固定子巻線21を構成する一方の導体セグメント23の詳細形状を示す斜視図である。また、図4は固定子巻線21を構成する他方の導体セグメント123の詳細形状を示す斜視図である。
【0019】
図3に示す一方の導体セグメント23は、ターン部28において導体が折り返されたほぼ矩形断面を有するU字状に形成されており、スロット25内に収容される直線部23a、23bと、スロット25の外部に配置されて回転周方向に沿って傾斜した斜行部26とを有している。また、この導体セグメント23において、ターン部28と反対側の端部は、回転子3のNS磁極ピッチに対応して離間した他のスロット25に収納されている導体セグメント23の端部同士を溶接等によって接合するために用いる接合部27となる。このように、導体セグメント23には、2つの直線部23a、23bが含まれており、一方の直線部23aがスロット25の内層側に配置されて、図2に示したスロット25内の内層側の反時計回り方向側に配置された一方の電気導体となる。また、他方の直線部23bがスロット25の外層側に配置されて、図2に示したスロット25内の外層側の反時計回り方向側に配置された一方の電気導体となる。
【0020】
なお、図2において、一のスロット25内に収納される2つの直線部23a、23bは、回転子3のNS磁極ピッチに対応して離間した各スロット25に収納された2つの異なる導体セグメント23に対応したものであるため、一方の直線部には23b′の符号を付して表している。また、図3において、「L」は導体セグメント23の反ターン部側に形成された2つの接合部27の回転周方向に沿った距離であり、回転子3のNS磁極ピッチの2倍に一致する。「L1」は導体セグメント23の2つの直線部23aと23bの回転周方向に沿った距離であり、回転子3のNS磁極ピッチに一致する。また、「L2」は内層側の直線部23aとこれにつながる反ターン部側の一方の接合部27間の回転周方向に沿った距離であり、「L3」は外層側の直線部23bとこれにつながる反ターン部側の他方の接合部27との間の回転周方向に沿った距離である。
【0021】
同様に、図4に示す一方の導体セグメント123は、ターン部128において導体が折り返されたほぼ矩形断面を有するU字状に形成されており、スロット25内に収容される直線部123a、123bと、スロット25の外部に配置されて回転周方向に沿って傾斜した斜行部126とを有している。また、この導体セグメント123において、ターン部128と反対側の端部は、異なるスロット25に収納されている導体セグメント123の端部同士を溶接等によって接合するために用いる接合部127となる。このように、導体セグメント123には、2つの直線部123a、123bが含まれており、一方の直線部123aがスロット25の内層側に配置されて、図2に示したスロット25内の内層側の時計回り方向側に配置された他方の電気導体となる。また、他方の直線部123bがスロット25の外層側に配置されて、図2に示したスロット25内の外層側の時計回り方向側に配置された他方の電気導体となる。
【0022】
なお、図2において、一のスロット25内に収納される2つの直線部123a、123bは、異なる導体セグメント123に対応したものであるため、一方の直線部には123b′の符号を付して表している。また、図4において、「L」は導体セグメント123の反ターン部側に形成された2つの接合部127の回転周方向に沿った距離であり、回転子3のNS磁極ピッチの2倍に一致する。「L1′」は導体セグメント123の2つの直線部123aと123bの回転周方向に沿った距離であり、回転子3のNS磁極ピッチに一致する。また、「L2′」は内層側の直線部123aとこれにつながる反ターン部側の一方の接合部127間の回転周方向に沿った距離であり、「L3′」は外層側の直線部123bとこれにつながる反ターン部側の他方の接合部127との間の回転周方向に沿った距離である。
【0023】
図5は、導体セグメントが固定子鉄心22に装備された状態を示す斜視図であり、内径側から見た形状が示されている。上述したように、導体セグメント23の一方の直線部23aと導体セグメント123の一方の直線部123aは、同じスロット25内の内層側において回転周方向に沿って重ねて配置されており、これらの各直線部23a、123aから内層側の接合部27、127に向かって延びる斜行部26、126が、図5において内径側からみて左上方に向かって形成されている。また、導体セグメント23の他方の直線部23bと導体セグメント123の他方の直線部123bは、同じスロット25内の外層側において回転周方向に沿って重ねて配置されており、これらの各直線部23b、123bから外層側の接合部27、127に向かって延びる斜行部26、126が、図5において内径側からみて右上方に向かって形成されている。
【0024】
ところで、図3および図4に示した2種類の導体セグメント23、123において、接合部27と接合部127等の間には以下の関係がある。
【0025】
L1=L1′
L2>L3
L2′<L3′
L2>L2′
L3<L3′
すなわち、一方の導体セグメント23から接合部27に向かって延びる斜行部26は、内層側の斜行部26の周方向の長さ(L2)の方が、外層側の斜行部26の周方向の長さ(L1)よりも大きな値に設定されており、各接合部27は、外層側の直線部23bに近い位置に偏心して配置される。また、他方の導体セグメント123から接合部127に向かって延びる斜行部126は、内層側の斜行部126の周方向の長さ(L2′)の方が、外層側の斜行部126の周方向の長さ(L3′)よりも小さな値に設定されており、各接合部127は、内層側の直線部123aに近い位置に偏心して配置される。したがって、図5に示すように、2種類の導体セグメント23、123のそれぞれの接合部27、127は、固定子鉄心22の一方の端面側において、円環状に交互にずれた状態で配置され、これらの間に所定の隙間が形成される。なお、等間隔に接合部27、127を交互に配置する場合には、L2−L2′=L1/6(=L1′/6)あるいはL3′−L3=L1/6(=L2′/6)を満たす必要がある。
【0026】
また、上述した交互に配置される各接合部27、127は、回転軸方向に沿った固定子鉄心22の端面からの位置(高さ)が異なっており、互いに隣接する接合部27と127とが離間して配置されている。例えば、図5に示すように、一方の接合部27の高さの方が、他方の接合部127の高さよりも低く設定されている。但し、本発明においては、隣接する接合部27、127のそれぞれの高さを異ならせることが重要であるため、図5に示した場合とは反対に、接合部27の高さを接合部127の高さよりも高く設定してもよい。
【0027】
上述した導体セグメント23、123を用いて固定子巻線21を形成する手順は以下のようになる。まず、図3および図4のそれぞれに点線で示したような接合部27、127側の斜行部26、126が形成されていない状態の2種類の導体セグメント23′、123′を用意する。そして、これらの導体セグメント23′、123′のターン部28、128と各直線部23a、23b、123a、123bを持ちながら、これらを周方向に重ねた状態で、回転軸方向から磁極ピッチだけ離れた固定子鉄心22の2つのスロット25に挿入する。
【0028】
この挿入作業の後、固定子鉄心22の一方の端面から突出した導体セグメント23、123の外層側の端部を所定の周方向に折り曲げて、外層側の斜行部126、26を形成する。また、同時にあるいはこの工程と前後して、固定子鉄心22の一方の端面から突出した導体セグメント23、123の内層側の端部を外層側とは反対の周方向に折り曲げて、内層側の斜行部26、126を形成する。
【0029】
この結果、図5に示すように、固定子巻線21のコイルエンドを形成する内層の斜行部26、126と外層の斜行部26、126がそれぞれ周方向に沿った逆向きに傾斜するように配置される。その後、図6に示す巻線仕様図にしたがって、ターン部28、128側のコイルエンドに反転渡り線331を配置した後、内層側の接合部27、127あるいは外層側の接合部27、127を、溶接や半田付けなどによって電気的に接合し、スロット25当たり4本の電気導体を有する固定子巻線21が形成される。
【0030】
このように、本実施形態の車両用交流発電機1では、図5に示すように、固定子巻線21の反ターン部側の各コイルエンドにおいて、同一のスロットから延びる2つの導体セグメント23、123の各接合部27、127を回転周方向に沿って所定の隙間を形成するように交互に配置しており、しかもこれらの各接合部27、127の回転軸方向に沿った高さを異ならせているため、隣接する接合部27と127をさらに遠ざけることができる。このため、2本の導体セグメント23、123の端部同士を溶接してこれら接合部27、127を形成する場合に、溶接時に一時的に生じる溶融部分がその表面張力により隣接接合部間で連結することを防止することができる。
【0031】
また、隣接する接合部27と127とを互いに遠ざけることにより、これらの間に周期的に作用する吸引力を弱めることができるため、この周期的に作用する力によって生じる磁気的な騒音を低減することができる。図7、図8、図9は、接合部による磁気的な騒音の発生を説明するための図である。図7に示すように、同じスロットから2本の導体セグメントの斜行部が延びて、その端部である接合部の高さが同じである場合(従来例に対応する)には、接合部において実際に連結された箇所の横断面(図7のVIII−VIII線断面)をみると、同じスロットに収納された2本の導体セグメントに同相の交流電流が流れるので、図8に示すように常に同じ向きに電流が流れ、矢印aで示す向きに電流値に比例した吸引力が働く。しかも、交流電流は同相で変化するので、吸引力が最大となり、吸引力ゼロと最大を繰り返すので、磁気的な騒音が大きくなる。なお、接合部以外の接近箇所、例えば接合部の連結部分よりも固定子端面に近い箇所の横断面(図7のIX−IX線断面)を見ると、逆方向の電流により、図9に矢印bで示す吸引力と矢印cで示す反発力が同時に作用することになるため、接合部同士が接近する場合に比べると、磁気的な騒音は小さい。したがって、本実施形態で説明したように、隣接する接合部27、127の高さ位置を交互に変えることによって、図8において矢印aで示される同相の電流が流れる間隔を離すことができ、周期的に発生する吸引力を低減することができる。
【0032】
さらに、図2に示すように、各導体セグメント23、123の断面を矩形形状に形成することにより、スロット25内の占積率を高めることができるため、固定子巻線21の抵抗値を低減し、発電能力を向上させることができる。しかも、連続巻線を用いずに導体セグメント23、123を用いることにより、上述した高占積率化に加えて、コイルエンド間の隙間を形成する工程を簡略化でき、固定子2の製造コストを低減することができる。
【0033】
ところで、上述した実施形態では、スロット25内に収容された電気導体は、深さ方向に二列(内層、外層)および回転周方向に二列であり、合計で4本が一のスロット25に収容されている場合を説明したが、要求出力等に応じてスロット25の深さ方向や回転周方向のそれぞれの電気導体数を変更するようにしてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、U字状の導体セグメント23、123を用いたが、図10に示すように、ターン部を有しないほぼJ字状の導体セグメント223を用い、これを固定子鉄心の軸方向から直線部223hをそろえて挿入し、挿入した先端部側を所定の周方向に傾斜させるようにしてもよい。この場合には、同一スロットに収容され、斜行部が同じ周方向に傾斜した複数の導体セグメントにおいて、その両端部である各接合部の周方向の位置をずらすとともに、回転軸方向の位置をずらすことにより、固定子鉄心の各端面に円環状に並ぶ各接合部について、周方向に隙間を形成するとともに交互に高さ位置を変えることができる。また、導体セグメント223の形状がU字状よりも単純化されるので、導体セグメント自体の製造工程が簡略化され、固定子の製造コストを低減することができる。
【0035】
また、上述した実施形態では、図2に示すような固定子鉄心22の各スロット25に、回転軸方向に沿って反ターン部側に斜行部を有しない導体セグメント23′、123′を挿入し、その後挿入の先端側を整形して図3および図4に示す導体セグメント23、123を完成させたが、図11および図12に示すように、固定子鉄心122の各歯先先端部124に径方向に沿った突起部130あるいは132を形成することにより、スロット125の内周側開口部の周方向の幅を、スロット125内部の周方向の幅と同じに設定してもよい。このような固定子鉄心122を用いた場合には、内径側からU字状あるいはJ字状の各導体セグメント23、123を挿入した後に、各歯先先端部124の突起部130、132を周方向に曲げればよいため、スロット125に収納する前に、図3および図4に示したようなターン部と反ターン部の両方に斜行部を有する導体セグメント23、123を製造することができ、固定子鉄心の各スロットに挿入した後に整形する場合に比べて製造工程の簡略化が可能になる。また、スロット125に導体セグメント23、123を挿入した後に、径方向から加圧して各導体セグメント23、123のスロット125内の直線部をスロット形状に合わせて変形することも可能になるため、さらにスロット125内の占積率を高めて出力向上を図ることができる。
【0036】
また、上述した実施形態では、隣接する各接合部27、127を遠ざけることにより、磁気的な騒音を低減するようにしたが、例えば振動抑制用の樹脂カバーで各接合部27、127を覆う等のこれ以外の磁気的騒音対策を併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の全体構成を示す図である。
【図2】固定子の部分的な断面図である。
【図3】固定子巻線を構成する一方の導体セグメントの詳細形状を示す斜視図である。
【図4】固定子巻線を構成する他方の導体セグメントの詳細形状を示す斜視図である。
【図5】導体セグメントが固定子鉄心に装備された状態を示す斜視図である。
【図6】固定子の巻線仕様図である。
【図7】接合部による磁気的な騒音の発生を説明するための図である。
【図8】図7に示すVIII−VIII線断面図において、作用する力の方向を示す図である。
【図9】図7に示すIX−IX線断面図において、作用する力の方向を示す図である。
【図10】導体セグメントの他の例を示す斜視図である。
【図11】固定子の変形例を示す部分的な断面図である。
【図12】固定子の他の変形例を示す部分的な断面図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 固定子
3 回転子
4 フレーム
21 固定子巻線
22 固定子鉄心
23、123 導体セグメント
24 インシュレータ
25 スロット
27、127 接合部
28、128 ターン部
Claims (2)
- 複数のスロットを持つ固定子鉄心と、前記スロットに装備された複数の導体セグメントを接合してなる固定子巻線とを有する車両用交流発電機において、
前記導体セグメントは、それぞれが回転子のNS磁極ピッチに対応して離間した前記スロット内に収納される直線部と前記直線部を前記スロットの外部にて連結する斜行部とを有し、
前記スロット内の同じ深さ位置に複数の前記直線部が収納されているとともに、これら同じ深さ位置の複数の前記直線部につながる前記斜行部が、前記固定子鉄心の同一端面において同じ回転周方向に傾斜しており、
複数の前記導体セグメントを相互に接続する複数の接合部を有し、
前記スロット内の同じ深さ位置にある複数の前記導体セグメントは、前記固定子鉄心の同一端面側において接合されるそれぞれの前記端部の回転軸方向の長さが異なるとともに前記斜行部の回転周方向の長さが異なることで、回転軸方向に沿った前記接合部の端部位置を、周方向に隣接する前記接合部について異ならせることを特徴とする車両用交流発電機。 - 請求項1において、
前記導体セグメントは、前記スロット内に収納された前記直線部が、前記スロット形状に沿ったほぼ矩形の断面形状を有することを特徴とする車両用交流発電機。
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