JP3853978B2 - 水質分析計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水、河川水、工場排水などに含まれる汚濁成分などの測定に用いる水質分析計に関するものであり、特に希釈率や検出器感度などの測定条件を自動で変更して再測定できる機能を備えた水質分析計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1台の装置で複数の成分を測定できる従来の水質分析計として、試料中に含まれる全有機体炭素(TOC)と全窒素(TN)をともに測定できるものがある。
TOC濃度を測定する場合、まず所定量の試料中の全ての炭素成分を酸化して二酸化炭素(CO2)に変換し、全炭素濃度(TC)を測定する。次に、所定量の試料に少量の酸を加えて酸性にし、精製空気で通気処理を行ない、試料中の無機体炭素(IC)をCO2に変換して検出器に導き、IC濃度を測定する。次に、TC濃度からIC濃度を差し引いてTOC濃度を求める。
TN濃度を測定する場合、試料中の全窒素成分を酸化して一酸化窒素(NO)に変換し、TN濃度を測定する。
【0003】
また、TOC濃度は、所定量の試料中からICを除去し、試料中に残った炭素成分を酸化してCO2に変換することによって測定することもできる。この方式で測定したTOCは、不揮発性有機体炭素(NPOC)と呼ばれている。
そのような水質分析計において、ピークがその時の測定条件で測定可能な入力範囲を越えた場合、希釈率や検出器感度などの測定条件を自動で変更して再測定を行なうものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の水質分析計では、測定条件を変更した場合、その後の測定においてもその変更した測定条件で測定をしていた。そのため、突発的な濃度変化によりピークが入力範囲を越え、その後、目的成分濃度が元に戻った場合、その測定は最適な条件で行なわれていないため、測定値が正確でない可能性があった。
【0005】
そこで本発明は、自動で測定条件を変更する水質分析計において、測定値の信頼性の低下を抑制することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
希釈機能を備えた試料導入部と、試料中の複数の成分を検出信号として検出する検出部と、前記検出信号を記録し、前記検出信号のピークが入力範囲内か否かを判定し、入力範囲を超えた場合には前記検出信号のピーク高さに基づいて再測定時の前記検出信号のピークが入力範囲を越えないような希釈率及び検出器感度を算出するとともに、前記検出信号のピーク面積を算出する演算部と、前記演算部で算出された希釈率及び検出器感度に基づいて、前記試料導入部及び前記検出部を制御することにより、前記試料導入部の希釈率及び前記検出部の検出器感度を変更して再測定を行なう制御部とを備えた水質分析計であって、前記試料導入部の希釈率及び前記検出部の検出器感度を変更した後の測定において、所定値よりも小さい前記ピーク面積が前記演算部で求められた場合、前記制御部は前記試料導入部の希釈率及び前記検出部の検出器感度を変更前に戻して再測定を行なう機能を有するものである。
【0007】
検出精度の信頼性が維持できる検出値をしきい値として予め演算部に記憶しておく。希釈率及び検出器感度を変更した後の測定において、しきい値よりも小さい検出値が演算部で求められると、制御部により希釈率及び検出器感度を変更前の条件に自動で戻し、再測定を行なう。
【0008】
【実施例】
図1は、本発明が適用される一例としてのTOC/TN計の概略構成図である。
環境水などの試料が連続して流れる採水管1に、その試料の一部をTOC計本体1内の分岐部3を経てドレン出口12に排出する流路が接続されている。その試料用の流路の分岐部3には、試料を採取して分析部に導くために、試料注入機構18の8ポートバルブ14の1つのポートが接続されている。
【0009】
試料注入機構18は8ポートバルブ14とそれに接続されたマイクロシリンジ16で構成されており、マイクロシリンジ16は8ポートバルブ14のいずれのポートとも接続されるようになっている。8ポートバルブ14のそれぞれのポートには、試料用流路の分岐部3のほか、ICを測定するときに試料を酸性にするために添加する酸20につながる流路、校正用の標準液22につながる流路、希釈や洗浄に使用する希釈水24につながる流路、オフライン試料26につながる流路、試料中の炭素成分の全てをCO2に変換する触媒を備えたTC酸化反応部32の試料注入部34につながる流路、不要な気体を排出するためのドレン出口28につながる流路、不要な液体を排出するためのドレン出口12につながる流路がそれぞれ接続されている。
【0010】
空気入り口42から取り込んだ空気から炭素成分を除去して精製ガスを生成し、流量を調節して送り出すためにガス精製・流量制御部40が設けられており、ガス精製・流量制御部40のガス出口には、ガス精製・流量制御部40で生成された精製ガスをスパージガス又はキャリアガスとしてマイクロシリンジ16に供給する流路41aと、キャリアガスとしてTC酸化反応部32に供給する流路41bと、オゾン発生部50に精製ガスを供給する流路41cが接続されている。
【0011】
TC酸化反応部32は、試料中の炭素成分をCO2に変換し、窒素成分をNOに変換する酸化触媒が充填されたTC燃焼管36、そのTC燃焼管36に試料とキャリアガスを導入するTC試料注入部34、及びTC燃焼管36を加熱する加熱炉38から構成されており、TC燃焼管36の下流部は水分を除去する除湿器やハロゲン成分を除去するハロゲンスクラバーなどを備えた除湿・ガス処理部44を経て、CO2を検出する赤外線ガス分析部46に接続されている。赤外線ガス分析部46の下流部は、NOを検出する化学発光分析部48に接続されている。化学発光分析部48にはオゾン発生部50からオゾンが供給されている。化学発光分析部48の下流部は、オゾンキラー52を介してドレン出口54に接続されている。
【0012】
赤外線ガス分析部46の出力及び化学発光分析部48の出力は演算部56に入力される。演算部56は、8ポートバルブ14及びマイクロシリンジ16の動作、並びに赤外線ガス分析部46及び化学発光分析部48の検出器感度を制御する制御部58が接続されている。演算部56には、キーボード60、レコーダ62が接続されている。
【0013】
次に、図1を参照して動作を説明する。ここではTOC測定として酸性通気処理法によるNPOC測定を例にあげて説明するが、このTOC/NO計では、TC及びICを測定してTCからICを差し引いたTOCも測定することができる。
【0014】
制御部58からの制御信号により、8ポートバルブ14の切換えとマイクロシリンジ16が駆動される。まず、マイクロシリンジ16が分岐部3に接続されて、マイクロシリンジ16に一定量の試料が採取される。所定の希釈率が設定されている場合は、マイクロシリンジ16が希釈水24に接続されて、マイクロシリンジ16中の試料に所定量の希釈水が加えられる。次に、マイクロシリンジ16が酸20に接続されてマイクロシリンジ16中の試料に少量の酸が加えられる。次に、マイクロシリンジ16が排気口28に接続され、ガス精製・流量制御部40から流路41aを経てスパージガスがマイクロシリンジ16に供給され、試料中のICから発生した二酸化炭素がスパージガスとともに排気口28から排出されて試料中のICが除去される。
【0015】
その後、マイクロシリンジ16の試料がTC酸化反応部32のTC試料注入口34を経てTC燃焼管36に注入され、試料中の炭素成分がCO2に変換され、窒素成分がNOに変換される。TC燃焼管36で発生したCO2及びNOはガス精製・流量制御部40から流路41bを経て供給されたキャリアガスとともに除湿・ガス処理部44に送られ、冷却、除湿、ハロゲン除去された後、赤外線ガス分析部46でCO2が検出され、続いて化学発光分析部48でNOが検出される。それらの検出信号は演算部56に送られ、その信号からTOC濃度とTN濃度が求められる。
【0016】
図2は、測定後の動作を表すフローチャートである。図3は、ピークが入力範囲を越えた場合の検出信号のグラフであり、縦軸は検出信号、横軸は時間を表す。図1から図4を用いて各成分測定後の動作を説明する。
演算部56により、それぞれの成分のピークについて入力範囲を越えているか否かを判定する。ピークが入力範囲内である場合は、濃度を算出して測定を終了する。
【0017】
入力範囲を越えるピークがある場合は、まずピークが飽和している時間tを求める。演算部56には、入力範囲の高さh1からのピーク最大高さh2までの差(飽和ピーク高さ)Δhと時間tとの近似関数Δh=f(t)が予め記憶されており、時間tと近似関数Δh=f(t)から飽和ピーク高さΔhを求める。飽和ピーク高さΔhと入力範囲高さh1の和からベースライン高さh0を差し引くことにより、真のピーク高さhを求める。その真のピーク高さhに基づいて再測定時のピークが入力範囲を越えない希釈率及び検出器感度を算出し、ピークが入力範囲を越えた成分及び再測定時の希釈率及び検出器感度についての情報を制御部58に送る。制御部58はその情報に基づいて8ポートバルブ14及びマイクロシリンジ16を動作させ、再測定を行ない、濃度を算出する。
【0018】
図4は、測定条件変更後の動作を表すフローチャートである。
測定条件変更後の測定において、演算部56により算出されるピーク面積が予め設定されたしきい値、例えば1500(カウント数×0.1秒単位時間)より大きいときは濃度を算出して測定を終了する。このしきい値は測定精度を維持するための値として予め演算部56に設定しておく。
ピーク面積が1500(カウント数×0.1秒単位時間)以下となったとき、制御部58により希釈率及び検出器感度を変更前の条件に戻して再測定を行なった後、濃度を算出する。
【0019】
この実施例では本発明をTOC/TN計に適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、希釈率や検出器感度などの測定条件を自動で変更できる水質分析計に適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明による水質分析計は、検出精度の信頼性が維持できる検出値をしきい値として予め演算部に記憶しておき、希釈率及び検出器感度を変更した後の測定において、しきい値よりも小さい検出値が演算部に検出されたとき、制御部により希釈率及び検出器感度を変更前の条件に自動で戻すようにしたので、最適な測定を行なうことができ、測定値の信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される一例としてのTOC測定装置の概略構成図である。
【図2】 同実施例の各成分測定後の動作を表すフローチャートである。
【図3】 ピークが入力範囲を越えた場合の検出信号のグラフである。
【図4】 同実施例の測定条件変更後の動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
14 8ポートバルブ
16 マイクロシリンジ
18 試料注入機構
20 酸
24 希釈水
32 TC酸化反応部
34 試料注入部
36 TC燃焼管
38 加熱炉
40 ガス精製・流量制御部
41a,41b,41c 流路
44 除湿・ガス処理部
46 赤外線ガス分析部
48 化学発光分析部
50 オゾン発生部
52 オゾンキラー
56 演算部
58 制御部
Claims (1)
- 希釈機能を備えた試料導入部と、試料中の複数の成分を検出信号として検出する検出部と、前記検出信号を記録し、前記検出信号のピークが入力範囲内か否かを判定し、入力範囲を超えた場合には前記検出信号のピーク高さに基づいて再測定時の前記検出信号のピークが入力範囲を越えないような希釈率及び検出器感度を算出するとともに、前記検出信号のピーク面積を算出する演算部と、前記演算部で算出された希釈率及び検出器感度に基づいて、前記試料導入部及び前記検出部を制御することにより、前記試料導入部の希釈率及び前記検出部の検出器感度を変更して再測定を行なう制御部とを備えた水質分析計であって、前記試料導入部の希釈率及び前記検出部の検出器感度を変更した後の測定において、所定値よりも小さい前記ピーク面積が前記演算部で求められた場合、前記制御部は前記試料導入部の希釈率及び前記検出部の検出器感度を変更前に戻して再測定を行なうことを特徴とする水質分析計。
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JP16471898A JP3853978B2 (ja) | 1998-06-12 | 1998-06-12 | 水質分析計 |
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JP16471898A Expired - Lifetime JP3853978B2 (ja) | 1998-06-12 | 1998-06-12 | 水質分析計 |
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