JP3129842U - 揮発性有機化合物測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差に基づいて算出したVOC濃度に特別な補正を施さなくてもよいようにする。
【解決手段】VOC測定装置は、試料ガス中のVOCを酸化させてCO2に変換するための酸化炉8を備えた酸化反応流路41と、酸化炉8の上流で酸化反応流路41と分岐し、酸化炉8の下流側で酸化反応流路41と合流する比較流路44とを備え、酸化反応流路41、比較流路44と測定部12の試料セル12aとの間の接続を電磁弁32によって切り替えるようになっている。試料セルの長さは2mm〜8mmの間に設定されている。
【選択図】図1

Description

本考案は、塗装工場、印刷工場又は洗浄工場などの工場から排出される排ガス中に含まれる揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)を測定するための揮発性有機化合物測定装置(以下、VOC測定装置ともいう)に関するものである。
VOC測定装置について説明する。
VOC測定装置は試料ガスを非分散赤外線吸収式の検出部の試料セルで測定してVOC由来のCO2濃度を求める。試料ガスを導入する試料ガス導入部と試料セルの間には、試料ガス中のVOCをCO2(二酸化炭素)に変換して測定ガスとして試料セルに導入するための測定ラインと、試料ガスを酸化反応部に通さないで比較ガスとして試料セルに導入するための比較ラインが設けられている。VOC測定時は、それらのラインと試料セルとの間の接続が一定周期で交互に切り替えられて、測定ガスと比較ガスが交互に試料セルに導入される。
測定ラインには酸化反応部が設けられており、試料ガス中のVOCが例えば白金触媒などの触媒によって酸化されてCO2に変換される。測定ガスには、試料ガスに最初から含まれていたCO2に加えてVOCの酸化により発生したCO2が含まれているため、検出部ではそれらを合わせた全CO2濃度に由来する測定値が得られる。他方、比較ガスにはVOCの酸化によるCO2が含まれていないため、検出部では試料ガスに最初から含まれていたCO2のみに由来する測定値が得られる。したがって、測定ガスと比較ガスの赤外線吸光度差を測定することで、試料ガス中に含まれるVOCの炭素数等量のCO2濃度を求めることができる。
実用新案登録第3113919号公報
検出部で得られる測定値とCO2濃度との関係が図3(B)に示されるように直線関係であれば、比較ガスのCO2濃度が変動しても、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差から求めたVOC由来のCO2濃度に誤差を生じることはない。しかし実際には図3(A)に示されるように、検出部で得られる測定値とCO2濃度との関係はランベルトベールの式に従い対数関数であるため、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差は比較ガス(試料ガス)のCO2濃度が高い方が小さくなり、測定ガスと比較ガスの測定値の差からVOC濃度を算出すると誤差が生じるという問題があった。
上記問題を解決するために、CO2を含まない基準ガスを試料セルに導入するための基準ラインを追加し、比較ラインと基準ラインとを交互に切り替えて比較ガスと基準ガスの測定値の差から比較ガスのCO2濃度を求め、測定ガスと比較ガスの測定値の差に基づいて得られるVOC濃度を比較ガスのCO2濃度に基づいて補正することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、上記の方法では測定ラインと比較ラインとを交互に切り替えて測定ガスと比較ガスの測定値の差を求めた後、さらに比較ラインと基準ラインとを交互に切り替えて比較ガスと基準ガスの測定値の差を求める必要があるため、VOC測定時間が長くなる。
そこで本考案は、測定ガスと比較ガスの測定値の差から求めたVOC濃度を、特別な補正を行なわなくてもよいようにすることを目的とするものである。
本考案は、赤外線を発生させる光源、赤外線の光路上に配置された試料セル及び試料セルを通過した赤外線を検出する検出器を備え、試料セル中を流れるガスのCO2を測定する非分散赤外線吸収式の検出部と、測定対象となる試料ガスを取り込み、試料ガス中の揮発性有機化合物を酸化させてCO2に変換し、測定ガスとして試料セルに導入するための測定ラインと、試料ガスを揮発性有機化合物を酸化させずに比較ガスとして試料セルに導入する比較ラインと、検出部で得られた測定ガスの測定値と比較ガスの測定値に基づいて、試料ガス中の揮発性有機化合物濃度を算出する演算処理部と、を備えた揮発性有機化合物測定装置であって、試料セルの長さが2mmから8mmの間に設定されていることを特徴とするものである。
本願考案者は、試料ガスの実際のVOC濃度と測定値との誤差の大きさが試料セルの長さによって変化することを見出した。図3はVOC測定における試料セルの長さの影響を説明するための図であり、(A)は試料ガス中のCO2濃度(ppm)とVOC測定値の誤差(%)との関係を示すグラフであり、(B)は(A)のデータに基づいて作成した、試料ガス中のCO2濃度が1500ppmのときの試料セルの長さ(mm)と測定誤差(%)との関係を示すグラフであり、(C)は試料セルの長さ(mm)と最少検出限界σ(%)との関係を示すグラフである。
図3(A)において、実線は長さ4mmの試料セルを用いた場合、一点鎖線は長さ7mmの試料セルを用いた場合、破線は長さ13mmの試料セルを用いた場合である。この図におけるVOC測定値の誤差(%)とは、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差に基づいて算出したVOC濃度の測定値の、実際のVOC濃度に対する誤差(%)を意味する。図4(A)に示される対数関数のグラフからも明らかなように、VOCの測定値は試料ガス中のCO2濃度が大きくなるほど低下し、実際のVOC濃度との誤差は比例して大きくなる。しかし、図3(A)では試料セルの長さが長いほどその誤差が増大することが示されている。試料ガス中のCO2濃度が1500ppmのときのデータに基づいて試料セルの長さ(mm)とVOC濃度の測定誤差(%)との関係を(B)に示しているが、通常、許容される誤差の範囲は±6%程度、すなわち12%程度の範囲内の誤差であれば測定値として用いることができる。(B)のグラフでは、試料セルの長さが約8mm以下であれば誤差が12%の範囲内にあり、それ以上試料セルが長くなると測定誤差が12%を上回っている。すなわち、試料セルとして長さが8mm以下のものを用いることで、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差に基づいて得られた結果を補正することなくVOC測定値として採用することができる。
非分散赤外線吸収式の検出部で得られる信号強度は試料セルの長さに比例するため、試料セルの長さが長いほどSN比が向上し、試料セルが短くなると信号強度が低下してノイズの割合が増加し測定精度が悪化する。図3(C)に試料セルの長さ(mm)と最少検出限界2σ(%)との関係を示している。ここでの最少検出限界2σ(%)とは、全信号強度に対するノイズの割合(%)を意味している。検出器で得られた信号を測定値として用いる基準として、2σ≦1(%)という条件を満たす必要がある。(C)のグラフから、試料セルの長さが2mm以上であれば2σ≦1(%)という条件を満たしている。
したがって、測定誤差及び最少検出限界の条件を満たす試料セルの長さは2mmから8mmの間である。試料セルの長さがこの範囲内であれば、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差に基づいて算出したVOC濃度は、比較ガスのCO2濃度に基づいて補正しなくてもよい程度の精度を有する。
本考案では、試料セルの長さが2mmから8mmの間に設定されているので、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差に基づいて算出した結果は、特別な補正をすることなくVOC測定値として採用することができる。
図1はVOC測定装置の構成の一例を概略的に示すブロック図である。この図において太線は流路を示しており、細線は信号線を示している。
このVOC装置は、流路切替え機構16により、試料ガスを取り込んで試料ガス中のVOCを酸化させてCO2に変換し、そのCO2を含む試料ガスを測定ガスとして検出部12に導入するための測定ライン2、取り込んだ試料ガス中のVOCをCO2に変換させずに比較ガスとして検出部12に導入するための比較ライン4と検出部12との間の接続を選択的に切り替えられるようになっている。また、試料ガスの代わりに校正ガスが取り込まれているときは、測定ライン2及び比較ライン4が検出部12のゼロ校正を行なうための校正ラインとなる。流路切替え機構16は制御部20により制御されている。制御部20は予め設定された測定プログラムに基づいて流路切替え機構16を介して各ラインへの切り替えを行なう。
測定ライン2上には、取り込んだ試料ガス中のVOCを酸化させてCO2に変換する酸化反応部8が設けられている。
比較ライン4は酸化反応部8の上流側で測定ライン2と分岐し、酸化反応部8の下流側で再度測定ライン2と合流している。
検出部12は試料セル中を流れるガスを測定する非分散赤外線吸収式の検出装置である。
測定ライン2、比較ライン4を経たガスは前処理部10、検出部12の試料セルを流れて外部に排出される。測定ライン2を経た測定ガス中のCO2は、試料ガスに当初から含まれていたCO2とVOC由来のCO2が含まれている。他方、比較ライン4を経た比較ガス中のCO2は、試料ガスに当初から含まれていたCO2のみである。
演算処理部22は検出部12で得られた測定値に基づいてCO2濃度又はVOC濃度を算出する。演算処理部22ではCO2濃度と検出部12で得られる測定値とが予め関連付けられており、得られた測定値からCO2濃度を算出することができるようになっている。
図1のVOC測定装置の具体的な実施例を図2を参照しながら説明する。図2はVOC測定装置の構成を具体的に示す流路図である。
図2のVOC装置において、電磁弁28,32で図1における流路切替え機構16を構成している。
電磁弁28は、試料ガス導入部24と分析部12の試料セル12aとの間の接続と、校正ガス導入部25と試料セル12aとの間の接続のオン/オフを選択的に切り替えるものである。電磁弁28において、試料ガス導入部24と試料セル12aとの間の接続がオンになると校正ガス導入部25と試料セル12aとの間の接続がオフになり、試料ガス導入部24と試料セル12aとの間の接続がオフになると校正ガス導入部25と試料セル12aとの間の接続がオンになる。
電磁弁28の下流側の分岐点42において流路が二手に分岐している。分岐点42からの分岐流路の一方は酸化反応流路41であり、酸化反応部である酸化炉8とハロゲンスクラバー10aを備えている。分岐点42からの分岐流路の他方は比較流路44であり、酸化反応流路41のハロゲンスクラバー10aの下流に電磁弁32を介して接続されている。酸化反応流路41は図1における測定ライン2を構成し、比較流路44は図1における比較ラインを構成している。
電磁弁32から分析部12の試料セル12aまでの間には、電子クーラ10b、ポンプ35及び流量計36が設けられている。
また、大気導入流路46が設けられており、CO2アブソーバ14を経た大気がポンプ38によってセクタなどの光学系12bにパージガスとして供給されるようになっている。
酸化炉8は、例えば白金触媒などの触媒を備えたものである。
CO2アブソーバ14は例えばソーダライムなどのCO2吸収剤を備えており、取り込んだ大気中のCO2を吸収してCO2を含まない基準ガスを生成する。
ハロゲンスクラバー10aと電子クーラ10bは図1における前処理部10を構成している。ハロゲンスクラバー10aは試料ガス中のハロゲン成分を除去するものであり、電子クーラ10bは測定ガス、比較ガス及び基準ガスに含まれる水分を凝着させて除去するためのものである。電子クーラ10bで凝着した水分はドレインポンプ40によって排出される。
検出部12を構成する試料セル12aの長さは2mmから8mmの間に設定されている。既述のように、試料ガスの実際のVOC濃度と測定値との誤差の大きさが試料セルの長さによっても変化する。そして図3に示されたデータから、測定誤差及び最少検出限界の条件を満たす試料セルの長さは2mmから8mmの間であり、試料セルの長さがこの範囲内であれば、測定ガスと比較ガスの赤外線吸光度差に基づいて算出したVOC濃度を、比較ガスのCO2濃度に基づいて補正することなく、そのまま測定値として採用することができる。
図2のVOC装置の動作を説明する。
酸化反応流路41(測定ライン)と比較流路44(比較ライン)に一定周期で交互に切り替えられ、校正ガスが電磁弁28を経た後、酸化反応流路41を通る校正ガスと比較流路46を通る校正ガスとに分けられ、それらのガスが一定周期で交互に電磁弁32、電子クーラ10b、ポンプ35及び流量計36を経て試料セル12aに導入され、検出部12のゼロ校正が行なわれる。
その後、試料ガスを導入した状態で電磁弁32が一定周期で切り替えられ、酸化反応流路41(測定ライン)と比較流路44(比較ライン)に一定周期で交互に切り替えられる。試料ガス導入部24から導入された試料ガスはメンブレンフィルタ26、電磁弁28を通った後、測定ラインを通る試料ガスと、比較ラインを通る試料ガスに分けられる。測定ラインの酸化炉8では試料ガスに含まれるVOCがCO2に変換されるため、測定ラインを経た測定ガスには最初から含まれていたCO2とVOC由来のCO2を含んでいる。他方、比較ラインでは試料ガスに含まれるVOCはCO2に変換されないため、比較ラインを経た比較ガスにはVOC由来のCO2は含まれていない。測定ガスと比較ガスは一定周期で交互に電磁弁32、電子クーラ10b、ポンプ35及び流量計36を経て試料セル12aに導入されて測定される。
この実施例のVOC測定装置は、検出部12の試料セルの長さが2mm〜8mmの間に設定されているので、図3を用いて説明したように、測定誤差及び最少検出限界の条件を満たしたものとなっており、測定ガスの測定値と比較ガスの測定値の差に基づいて算出したVOC濃度に特別な補正を施す必要がない。これにより、試料セルにCO2の含まれていない基準ガスを導入するための機構などを新たに設ける必要がなくなり、装置の構成が簡略化される。
VOC測定装置の一実施例を概略的に示すブロック図である。 図1のVOC測定装置の具体的な構成例を示す流路図である。 VOC測定における試料セルの長さの影響を説明するための図であり、(A)は試料ガス中のCO2濃度(ppm)とVOC測定値の誤差(%)との関係を示すグラフであり、(B)は(A)のデータに基づいて作成した、試料ガス中のCO2濃度が1500ppmのときの試料セルの長さ(mm)と測定誤差(%)との関係を示すグラフであり、(C)は試料セルの長さ(mm)と最少検出限界2σ(%)との関係を示すグラフである。 測定値とCO2濃度との関係を示すグラフである。
符号の説明
2 測定ライン
4 比較ライン
8 酸化反応部
10 前処理部
12 検出部
12a 試料セル
12b 光学系
16 流路切替え機構
20 制御部
22 演算処理部
24 試料ガス導入部
25 校正ガス導入部
26 メンブレンフィルタ
28,32 電磁弁
35,38,40 ポンプ
36 流量計
41 酸化反応流路
44 比較流路

Claims (1)

  1. 赤外線を発生させる光源、前記赤外線の光路上に配置された試料セル及び試料セルを通過した赤外線を検出する検出器を備え、試料セルを流れるガスのCO2を測定する非分散赤外線吸収式の検出部と、
    測定対象となる試料ガスを取り込み、試料ガス中の揮発性有機化合物を酸化させてCO2に変換し、測定ガスとして試料セルに導入するための測定ラインと、
    試料ガスを揮発性有機化合物を酸化させずに比較ガスとして試料セルに導入する比較ラインと、
    検出部で得られた測定ガスの測定値と比較ガスの測定値に基づいて、試料ガス中の揮発性有機化合物濃度を算出する演算処理部と、を備えた揮発性有機化合物測定装置において、
    試料セルの長さが2mmから8mmの間に設定されていることを特徴とする揮発性有機化合物測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013145228A (ja) * 2011-12-13 2013-07-25 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ガス中のホルムアルデヒド濃度の決定方法

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