JP3853611B2 - 無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線端末と無線基地局と無線中継装置とからなる無線通信システムにおいて、それぞれの間の無線通信に用いられる無線フレームの構成を決定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14に示すように、無線端末101乃至10nと、無線中継装置20と、無線基地局30とによって構成されており、無線中継装置20と無線基地局30との間の通信に「IMT2000/TDD(International Mobile Telecommunications−2000/Time Division Duplex)」方式を用いて、無線中継装置20と無線端末101乃至10nとの間の通信に「PHS(Personal Handy Phone)」方式を用いる無線通信システムが知られている。
【0003】
この従来の無線通信システムにおいて、無線中継装置20は、無線端末101乃至10nと無線基地局30とに無線チャネルで接続されており、具体的には、第1無線機211と第2無線機212と制御部22とを有するものである。また、無線基地局30は、無線チャネルを介して無線中継装置20に接続され、さらに、無線制御局やIMT2000/TDDネットワーク等にも接続されている。
【0004】
図15は、この従来の無線通信システムにおける無線フレームの構成、すなわち、無線タイムスロットの割当を示す図である。図15において、(a)及び(b)は、無線基地局30と無線中継装置20との間の無線通信(IMT2000/TDD方式)における無線フレーム構成を示すものであり、(a)は、無線基地局30側の無線フレーム構成を示すもの、(b)は、無線中継装置20側の無線フレーム構成を示すものである。(c)及び(d)は、無線端末10と無線中継装置20との間の無線通信(PHS方式)における無線フレーム構成を示すものであり、(c)は、無線中継装置20側の無線フレーム構成を示すもの、(d)は、無線端末101乃至10n側の無線フレーム構成を示すものである。
【0005】
図15(a)において、401は、無線中継装置20から無線基地局30への上り方向の通信用タイムスロット(上りスロット又はIMT2000/TDD上りスロット)であり、501乃至503は、無線基地局30から無線中継装置20への下り方向の通信用タイムスロット(下りスロット又はIMT2000/TDD下り通信スロット)であり、80は、無線基地局30から無線中継装置20への下り方向の制御信号用タイムスロット(下り制御スロット又はIMT2000/TDD下り制御スロット)である。
【0006】
図15(b)において、411は、無線中継装置20から無線基地局30への上り方向の通信用タイムスロット(上りスロット又はIMT2000/TDD上りスロット)であり、511乃至513は、無線基地局30から無線中継装置20への下り方向の通信用タイムスロット(下りスロット又はIMT2000/TDD下り通信スロット)であり、81は、無線基地局30から無線中継装置20への下り方向の制御信号用タイムスロット(下り制御スロット又はIMT2000/TDD下り制御スロット)である。
【0007】
図15(c)において、601乃至604は、無線中継装置20から無線端末101乃至10nへの下り方向の通信用タイムスロット(下りスロット又はPHS下りスロット)であり、701乃至704は、無線端末101乃至10nから無線中継装置20への上り方向の通信用タイムスロット(上りスロット又はPHS上りスロット)である。
【0008】
図15(d)において、611乃至614は、無線中継装置20から無線端末101乃至10nへの下り方向の通信用タイムスロット(下りスロット又はPHS下りスロット)であり、711乃至714は、無線端末101乃至10nから無線中継装置20への上り方向の通信用タイムスロット(上りスロット又はPHS上りスロット)である。
【0009】
IMT2000/TDD方式では、1つの無線フレームは15のタイムスロットによって構成されており、1つの無線フレーム長時間は10msである。IMT2000/TDD方式では、無線基地局30が、上りスロット40,41、下りスロット50,51、制御信号スロット80,81の割当を自由に行うことができる。PHS方式では、1つの無線フレームは8つのタイムスロットによって構成されており、1つの無線フレーム長時間は5msである。
【0010】
図16は、この従来の無線通信システムにおいて、無線フレームの構成を決定する方法を示すタイムチャート図である。図16(a)は、無線基地局30と無線中継装置20との間の無線通信(IMT2000/TDD方式)において、無線フレームの構成を決定する方法を示すものであり、図16(b)は、無線端末10と無線中継装置20との間の無線通信(PHS方式)において、無線フレームの構成を決定する方法を示すものである。
【0011】
図16(a)に示すように、ステップ901において、無線基地局30が、下り制御スロット80を介して制御信号を送信し、無線中継装置20の第1無線機211が、下り制御スロット81を介してこの制御信号を受信する。ステップ902において、無線中継装置20の制御部22が、受信した制御信号に含まれる無線基地局30側の無線フレーム構成に係る情報に応じて、無線基地局30側の無線フレームと同じタイミングで無線信号を送受信するように、無線基地局30との間の無線通信用の無線フレームを構成する。例えば、無線基地局30側の無線フレームが、図15(a)に示す構成である場合、無線中継装置20側の無線フレームは、図15(b)に示す構成となる。
【0012】
図16(b)に示すように、ステップ911において、無線中継装置20の制御部22が、無線端末10との無線通信用の無線フレームを構成する。無線中継装置20の制御部22は、上述の無線基地局30との無線通信用の無線フレームとは独立に、この無線端末10との無線通信用の無線フレームを構成する。例えば、図16(b)は、無線中継装置20の制御部22が、無線基地局30との無線通信用の無線フレーム(図15(b))と同じタイミングで無線信号を送受信するように、この無線端末10との無線通信用の無線フレームを構成した例である。ステップ912において、無線中継装置20の第2無線機212が、下りスロット601乃至604を介して無線端末10に制御信号を送信し、無線端末10が、下りスロット611乃至614を介してこの制御信号を受信する。ステップ913において、無線端末10が、受信した制御信号に含まれる無線中継装置20側の無線フレーム構成に係る情報に応じて、無線中継装置20側の無線フレームと同じタイミングで無線信号を送受信するように、無線中継装置20との間の無線通信用の無線フレームを構成する。
【0013】
また、図17に示すように、PHS無線通信システム(PHS無線端末10b1、PHS無線基地局20b、PHSネットワーク)とIMT2000/TDD無線通信システム(IMT2000/TDD無線端末10a1、IMT2000/TDD無線基地局20a、IMT2000/TDDネットワーク)が混在する無線通信システムも知られている。
【0014】
図18は、この従来の無線通信システムにおける無線フレームの構成、すなわち、無線タイムスロットの割当を示す図である。図18において、(a)は、IMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信用の無線フレーム構成であって、IMT2000/TDD無線基地局20a側の無線フレーム構成を示すものである。また、図18において、(b)は、PHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信用の無線フレーム構成であって、PHS無線基地局20b側の無線フレーム構成を示すものである。
【0015】
図18(a)において、40a1は、IMT2000/TDD無線端末10a1からIMT2000/TDD無線基地局20aへの上り方向の通信用タイムスロット(IMT2000/TDD上りスロット)であり、50a1乃至a503は、IMT2000/TDD無線基地局20aからIMT2000/TDD無線端末10aへの下り方向の通信用タイムスロット(IMT2000/TDD下り通信スロット)であり、80aは、IMT2000/TDD無線基地局20aからIMT2000/TDD無線端末10aへの下り方向の制御信号用タイムスロット(IMT2000/TDD下り制御スロット)である。
【0016】
図18(b)において、60a1乃至60a4は、PHS無線基地局20bからPHS無線端末10b1への下り方向の通信用タイムスロット(PHS下りスロット)であり、70a1乃至70a4は、PHS無線端末10b1からPHS無線基地局20bへの上り方向の通信用タイムスロット(PHS上りスロット)である。
【0017】
IMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信用の無線タイムスロットの割当(無線フレーム構成の決定)、及びPHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信用の無線タイムスロットの割当(無線フレーム構成の決定)は、独立して行われる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者、すなわち、図14に示す無線通信システムでは、無線中継装置20において、無線端末10との無線通信用の無線フレーム構成の決定と、無線基地局30との無線通信用の無線フレーム構成の決定とを別々に行っているため、第1無線機211と第2無線機212との間で相互に無線信号の干渉が生じる可能性があるという問題点がある。
【0019】
例えば、第1無線機211が、上りスロット411を介して無線基地局30に無線信号を送信している間に、第2無線機212が、上りスロット701乃至704を介して無線端末10から無線信号を受信している場合、無線中継装置20と無線基地局30との間で用いられる無線周波数と、無線中継装置20と無線端末10との間で用いられる無線周波数とが、同じ周波数帯域を使用していれば、第2無線機212により受信される無線信号は、特に上りスロット703において、第1無線機211により送信される無線信号からの干渉の影響を受け、誤り特性が劣化する。また、ここで、無線中継装置20と無線基地局30との間で用いられる無線周波数と、無線中継装置20と無線端末10との間で用いられる無線周波数とが、異なる周波数帯域を使用している場合であっても、第1無線機211により送信される無線信号の第2無線機212での受信電力が、無線端末10により送信される無線信号の第2無線機212での受信電力よりも非常に大きければ、第2無線機212により受信される無線信号の誤り特性が、受信感度抑圧現象によって劣化するという問題点がある。更に、第2無線機212により送信される無線信号の帯域外雑音によって、第1無線機211の誤り特性が、劣化するという問題点もある。
【0020】
反対に、第2無線機212が、下りスロット601乃至604を介して無線端末10に無線信号を送信する場合は、第1無線機211により受信される無線信号は、特に制御スロット81及び下りスロット511及び512において、第2無線機211により送信される無線信号からの干渉の影響を受け、誤り特性が劣化するという問題点がある。
【0021】
また、後者、すなわち、図17に示す無線通信システムでは、IMT2000/TDD無線基地局20aとPHS無線基地局20bが隣接している場合、PHS無線基地局20bの無線機21bが、PHS下りスロット60a1乃至60a4を介して無線信号をPHS無線端末10b1に送信する間に、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機21aが、IMT2000/TDD上りスロット40a1を介してIMT2000/TDD無線端末10a1から無線信号を受信すると、IMT2000/TDD無線端末10a1からの無線信号が、IMT2000/TDD無線基地局20aのIMT2000/TDD上りスロット40a1において、PHS無線基地局20bの無線機21bにより送信された無線信号からの干渉の影響を受けるという問題点がある。また、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機20aが、IMT2000/TDD下り通信スロット50a1乃至50a3を介して無線信号をIMT2000/TDD無線端末10a1に送信する間に、PHS無線基地局20bの無線機21bが、PHS上りスロット70a1乃至70a4を介してPHS無線端末10b1から無線信号を受信すると、PHS無線端末10b1からの無線信号が、PHS無線基地局20bのPHS上りスロット70a1乃至70a4において、IMT2000/TDD無線基地局20aにより送信された無線信号からの干渉の影響を受けるという問題点がある。
【0022】
さらに、PHS無線端末10b1とIMT2000/TDD無線端末10a1とが隣接して存在する場合、PHS無線端末10b1が、無線信号をPHS上りスロット70a1乃至70a4を介してPHS無線基地局20bに送信する間に、IMT2000/TDD無線端末10a1が、IMT2000/TDD下り通信スロット50a1乃至50a3を介してIMT2000/TDD無線基地局20aからの無線信号を受信すると、IMT2000/TDD無線端末10a1により受信された無線信号が、PHS無線端末10b1により送信された無線信号による干渉の影響を受けるという問題点がある。ここで、IMT2000/TDD無線端末10a1が、IMT2000/TDD上りスロット40a1を介してIMT2000/TDD無線基地局20aに無線信号を送信する間に、PHS無線端末10b1が、PHS下りスロット60a1乃至60a4を介してPHS無線基地局20bにより送信された無線信号を受信すると、PHS無線端末10b1により受信された無線信号が、IMT2000/TDD無線端末10a1により送信された無線信号による干渉の影響を受けるという問題点がある。
【0023】
PHS無線通信システムとIMT2000/TDD無線通信システムとでは、使用する無線周波数帯域が異なっているが、無線端末同士及び無線基地局同士の距離が小さい場合、それぞれの無線通信システムにおける帯域外雑音によって相互に干渉を起こしあう可能性があるという問題点がある。
【0024】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、無線中継装置と無線基地局との間の無線通信、及び無線中継装置と無線端末との間の無線通信において、相互干渉を小さくするように無線フレームを構成することが可能な無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法を提供することを目的とする。また、本発明は、PHS無線端末とPHS無線基地局との間の無線通信、及びIMT2000/TDD無線端末とIMT2000/TDD無線基地局との間の無線通信において、相互干渉を小さくするように無線フレームを構成することが可能な無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法は、時分割多重方式の無線フレームを用いて無線通信を行うものであって、時分割多重方式の無線フレームを用いて無線信号の送受信を行う第1の無線手段及び第2の無線手段と、前記第1の無線手段において用いられる無線フレームの構成を示す第1の関数を計算する第1の関数計算手段と、 前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を示す第2の関数を計算する第2の関数計算手段と、前記第1の関数と前記第2の関数との間の相関関係を示す相関関数を計算する相関関数計算手段と、前記相関関数に応じて、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を最適化することによって、前記第2の無線手段において用いられる無線フレームの構成を決定する無線フレーム構成決定手段とを有することを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係る無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法によれば、無線フレーム構成決定手段が、第1の無線手段及び第2の無線手段で用いられる無線フレームの構成に基づいて相関関数計算手段により計算された相関関数に応じて無線フレームの構成を決定するため、第1の無線手段と第2の無線手段との間の干渉の影響を軽減させることが可能となる。
【0027】
上述の無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法において、前記第1の関数を、前記第1の無線手段において用いられる無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて、所定の値を取るものとし、前記第2の関数を、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて、所定の値を取るものとし、前記相関関数を、前記第1の関数と前記第2の関数との間の時間的な相関関係を示すものとし、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成の最適化が、前記相関関数の値に応じて、該無線フレームのタイミングを遅らせることによって行われることが好ましい。
【0028】
この場合、無線フレーム構成決定手段が、上述の相関関数に応じて、無線フレームのタイミングを遅らせることによって、無線フレームの構成を決定するため、第1の無線手段及び第2の無線手段で用いられる無線フレーム内のタイムスロットの割当のみに基づいて容易に第1の無線手段と第2の無線手段との間の相互干渉の影響を軽減させることが可能となる。
【0029】
上述の無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法において、前記第2の無線手段が、決定された前記無線フレーム内で、前記無線信号を送信するタイムスロットとして、前記第1の無線手段が前記無線信号を受信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択し、決定された前記無線フレーム内で、前記無線信号を受信するタイムスロットとして、前記第1の無線手段が前記無線信号を送信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択することが好ましい。
【0030】
この場合、前記第2の無線手段が、無線信号を送受信するタイムスロットを、第1の無線手段で無線信号を送受信するタイミングに応じて選択するため、第1の無線手段と第2の無線手段との間の相互干渉の影響をより軽減させることが可能となる。
【0031】
上述の無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法において、無線中継装置が、無線端末と無線基地局との間で無線信号の中継を行い、無線中継装置が、第1の無線手段と、第2の無線手段と、第1の関数計算手段と、第2の関数計算手段と、相関関数計算手段と、無線フレーム構成決定手段とを具備することが好ましい。
【0032】
この場合、無線フレーム構成決定手段が、無線中継装置に設けられているため、無線中継装置と無線端末との間で第2の無線手段を介して送受信される無線信号が、無線中継装置と無線基地局との間で第1の無線手段を介して送受信される無線信号からの干渉の影響を軽減させることができる。
【0033】
上述の無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法において、第1の無線端末と第1の無線基地局とが無線通信を行い、第2の無線端末と第2の無線基地局とが無線通信を行い、第1の無線基地局が、第1の無線手段と、第1の関数計算手段とを具備し、第2の無線基地局が、第2の無線手段と、第2の関数計算手段と、相関関数計算手段と、無線フレーム構成決定手段とを具備することが好ましい。
【0034】
この場合、無線フレーム構成決定手段が、第2の無線基地局に設けられているため、第2の無線基地局と第2の無線端末との間で第2の無線手段を介して送受信される無線信号が、第1の無線基地局と第1の無線端末との間で第1の無線手段を介して送受信される無線信号からの干渉の影響を軽減させることができる。したがって、例えば、第1の無線基地局と第1の無線端末との間の無線通信が、PHS方式で行われ、第2の無線基地局と第2の無線端末との間の無線通信がIMT2000/TDD方式で行われている場合に、それぞれの無線通信において、相互干渉の影響を軽減することが可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(実施形態に係る無線通信システムの構成)
本発明の実施形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る無線通信システムを示す概略構成図である。
【0036】
同図に示すように、本実施形態に係る無線通信システムは、無線端末101乃至10nと、無線中継装置20と、無線基地局30とによって構成されており、無線中継装置20と無線基地局30との間の通信にIMT2000/TDD方式を用いて、無線中継装置20と無線端末101乃至10nとの間の通信にPHS方式を用いるものである。
【0037】
無線中継装置20は、具体的には、第1無線機211と、第2無線機212と、関数F1(t)決定部221と、関数F2(t)決定部222と、時間相関関数計算部223と、無線フレーム決定部224とを有する。関数F1(t)決定部221と関数F2(t)決定部222と時間相関関数計算部223と無線フレーム決定部224とが、制御部22を構成する。
【0038】
第1無線機211は、関数F1(t)決定部221に接続されており、IMT2000/TDD方式の無線チャネル(時分割多重方式の無線フレーム)を介して無線基地局30との間で無線通信を行う第1の無線手段である。また、第1無線機211は、受信した無線基地局30からの制御信号に示されている無線基地局30の無線フレームの構成を認識し、認識した無線フレームと同じ構成で、無線基地局30との無線通信用の無線フレームを構成するものである。
【0039】
第2無線機212は、関数F2(t)決定部222と無線フレーム決定部224とに接続されており、PHS方式の無線チャネル(時分割多重方式の無線フレーム)を介して無線端末10との間で無線通信を行う第2の無線手段である。
【0040】
関数F1(t)決定部221は、第1無線機211と時間相関関数計算部223とに接続されており、第1無線機211により認識された無線基地局30との無線通信用の無線フレームの構成、ずなわち、第1無線機211において用いられる無線フレームの構成に基づいて、以下に述べる関数F1(t)を決定する第1の関数計算手段である。
【0041】
関数F2(t)決定部222は、第2無線機212と時間相関関数計算部223とに接続されており、第2無線機212と無線端末10との間で用いられることが可能な無線フレームの構成に基づいて、以下に述べる関数F2(t)を決定する第2の関数計算手段である。
【0042】
時間相関関数計算部223は、関数F1(t)決定部221と関数F2(t)決定部222と無線フレーム決定部224とに接続されており、関数F1(t)決定部221により決定された関数F1(t)と、関数F2(t)決定部222により決定された関数F2(t)とに基づいて、関数F1(t)と関数F2(t)との間の時間的な相関関係を示す時間相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtを計算し、この時間相関関数の値に応じたτの値を計算する相関関数計算手段である。
【0043】
無線フレーム決定部224は、第2無線機212と時間相関関数計算部223とに接続されており、時間相関関数計算部223により計算されたτの値に応じて、第2無線機212と無線端末10との間の無線通信で用いられる無線フレームの構成を最適化することによって、第2無線機212において用いられる無線フレームの構成を決定する無線フレーム構成決定手段である。
【0044】
(本実施形態に係る無線通信システムにおいて、無線フレームの構成を決定する方法)
上記構成を有する無線通信システムにおいて、無線中継装置20と無線端末10との間の無線通信用の無線フレーム構成を決定する方法は、以下の手順により実施することができる。図2は、無線中継装置20が、無線基地局30との無線通信による干渉の影響を受けないように、無線端末10との無線通信用の無線フレームの構成を決定する動作を示すフローチャートである。
【0045】
図2において、無線中継装置20が、起動時に無線基地局30を検索する場合や、無線基地局30との無線通信用の無線フレームの構成の変更を検出した場合等に、本動作が開始される(ステップA0)。ステップA1において、無線中継装置20の第1無線機211が、IMT2000/TDD方式の無線チャネルを介して無線基地局30からの制御信号を受信し、この制御信号で示されている無線基地局30の無線フレーム構成を認識する。
【0046】
図3(a)に、ステップA1において無線中継装置20の第1無線機211により認識された無線基地局30と無線中継装置20との間の無線通信(IMT2000/TDD方式)における無線基地局30側の無線フレームの構成を示す。IMT2000/TDD方式では、無線フレームは、TDD(Time Division Duplex)方式に基づく構成をとっており、無線基地局30と無線中継装置20との間で使用可能である無線タイムスロットは、1無線フレーム構成あたり15タイムスロットである。それぞれのタイムスロットは、IMT第1タイムスロット、IMT第2タイムスロット、…、IMT第15タイムスロットと呼ばれる。それぞれのタイムスロットは、上り方向の通信用タイムスロット(上りスロット又はIMT2000/TDD上りスロット)、下り方向の通信用タイムスロット(下りスロット又はIMT2000/TDD下り通信スロット)、未使用タイムスロットのいずれかに設定される。ここで、無線フレーム長時間は、Tf1である。図3(a)において、401は、無線中継装置20から無線基地局30への上りスロット(IMT2000/TDD上りスロット)であり、501乃至503は、無線基地局30から無線中継装置20への下りスロット(IMT2000/TDD下りスロット)であり、80は、無線基地局30から無線中継装置20への制御信号用タイムスロット(下り制御スロット又はIMT2000/TDD下り制御スロット)である。
【0047】
ステップA2において、無線機中継装置20の第1無線機211は、認識した無線基地局30の無線フレーム(図3(a))と同じ構成で、無線基地局30との無線通信用の無線フレーム構成を決定する。
【0048】
図3(b)に、ステップA2において構成された無線基地局30と無線中継装置20との間の無線通信(IMT2000/TDD方式)における無線中継装置20側の無線フレームの構成を示す。図3の(b)において、411は、無線中継装置20から無線基地局30への上りスロット(IMT2000/TDD上りスロット)であり、511乃至513は、無線基地局30から無線中継装置20への下りスロット(IMT2000/TDD下り通信スロット)であり、81は、無線基地局30から無線中継装置20への制御信号用タイムスロット(下り制御スロット又はIMT2000/TDD下り制御スロット)である。
【0049】
ステップA3において、無線中継装置20の関数F1(t)決定部221は、上述の無線基地局30との無線通信用の無線フレーム構成(図3(b))に基づいて、関数F1(t)を決定する。関数F1(t)は、以下の通り、第1無線機211において用いられる無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて所定の値を取る第1の関数である。
【0050】
(i)IMT第iスロットが、上りスロットである場合、
F1(t)= ai
[(i−1)×Tf1/N1 <= t < i×Tf1/N1]
(ii)IMT第iスロットが、下りスロットである場合、
F1(t)= −ai
[(i−1)×Tf1/N1 <= t < i×Tf1/N1]
(iii)IMT第iスロットが、未使用である場合、
F1(t)= 0
[(i−1)×Tf1/N1 <= t < i×Tf1/N1]
また、関数F1(t)は、以下の式も満たす。
【0051】
F1(t)= F1(t−Tf1)
ここで、Tf1は、無線フレーム長時間を示し、IMT2000/TDD方式では、10msである。また、N1は、1無線フレーム当たりのスロット数であり、IMT2000/TDD方式では、15である。aiは、IMT第iスロットで送受信される信号の種類によって決定される値である。
【0052】
図4に、ステップA3において無線中継装置20の関数F1(t)決定部221により決定された関数F1(t)を示す。ここで、ai=1とする。
【0053】
ステップA4において、無線中継装置20の関数F2(t)決定部222が、無線中継装置20の第2無線機212と無線端末10との間で用いられることが可能な無線フレームの構成から関数F2(t)を決定する。
【0054】
図5に、無線端末10と無線中継装置20の第2無線機212との間の無線通信(PHS方式)で用いることが可能な無線フレームの構成を示す。PHS方式では、無線フレームは、TDD(Time Division Duplex)方式に基づく構成をとっており、無線端末10と無線中継装置20との間で使用可能である無線タイムスロットは、1無線フレーム構成あたり8タイムスロットである。それぞれのタイムスロットは、PHS第1タイムスロット、PHS第2タイムスロット、…、PHS第8タイムスロットと呼ばれる。PHS第1タイムスロット乃至PHS第4タイムスロットが下りスロット用に、PHS第5タイムスロット乃至PHS第8タイムスロットが上りスロット用に割り当てられる。図5において、601(611)乃至604(614)は、無線中継装置20から無線端末10への下りスロットであり、701(711)乃至704(714)は、無線端末10から無線中継装置20への上りスロットである。
【0055】
関数F2(t)は、以下の通り、第2無線機211において用いることが可能な無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて所定の値を取る第2の関数である。
【0056】
(i)PHS第iスロットが、上りスロットである場合、
F2(t)= bi
[(i−1)×Tf2/N2 <= t < i×Tf2/N2]
(ii)PHS第iスロットが、下りスロットである場合、
F2(t)= −bi
[(i−1)×Tf2/N2 <= t < i×Tf2/N2]
(iii)PHS第iスロットが、未使用である場合、
F2(t)= 0
[(i−1)×Tf2/N2 <= t < i×Tf2/N2]
また、関数F2(t)は、以下の式も満たす。
【0057】
F2(t)= F2(t−Tf2)
ここで、Tf2は、無線フレーム長時間を示し、PHS方式では、5msである。また、N2は、1無線フレーム当たりのスロット数であり、PHS方式では、8である。biは、PHS第iスロットで送受信される信号の種類によって決定される値である。
【0058】
図6に、ステップA4において無線中継装置20の関数F2(t)決定部222により決定された関数F2(t)を示す。ここで、bi=1とする。
【0059】
ステップA5において、無線中継装置20の時間相関関数計算部223は、関数F1(t)と関数F2(t)とに基づいて、時間相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtを計算する。
【0060】
本実施形態に係る無線通信システムでは、無線中継装置20の第1無線機211が、上りスロット411を介して無線基地局30に無線信号を送信している間に、無線中継装置20の第2無線機212が、下りスロット601乃至604を介して無線端末10に無線信号を送信する場合で、かつ、無線中継装置20の第1無線機211が、下りスロット511乃至513を介して無線基地局30から無線信号を受信している間に、無線中継装置20の第2無線機212が、上りスロット701乃至704を介して無線端末10から無線信号を受信する場合に、無線中継装置20の第1無線機211と無線中継装置20の第2無線機212との間で相互干渉の影響が最も小さい。
【0061】
したがって、無線中継装置20の時間相関関数計算部223は、上述の時間相関関数の値が最小となるτの値を求める。積分範囲は、0からTとする。Tは、Tf1及びTf2が、任意の時間T0と任意の整数M,Nを用いて、Tf1=M×T0、Tf2=N×T0と表すことができる場合、T=K×T0と表すことができる。Kは、MとNの最小公倍数である。もし、Tf1及びTf2を上述のように表すことができない場合、Tは、Tf1及びTf2と比較して十分大きな値となる。
【0062】
図7に、F1(t)及びF2(t)から計算した時間相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtを示す。図7から最小値となるτの値は、3.4ms乃至3.9msとなる。
【0063】
ステップA6において、無線中継装置20の無線フレーム決定部224が、図5に示す無線中継装置20の第2無線機212と無線端末10との間で用いることが可能な無線フレームの送受信タイミングを、時間τだけ遅延させることによって最適化を行い、無線端末10との無線通信用の無線フレームの構成を決定する。
【0064】
図8に、ステップA2において構成された無線基地局30との無線通信用の無線フレームの構成(a)と、ステップA6において決定された無線端末10との無線通信用の無線フレームの構成(b)とを示す。無線端末10との無線通信用の無線フレームの構成(b)は、無線基地局30との無線通信用の無線フレームの構成(a)と比較して、3.4msだけ遅延したものとなっている。
【0065】
ステップA7において、無線中継装置20の第2無線機212が、決定された無線端末101乃至10nとの無線通信用の無線フレームの構成を、下りスロット601乃至604を介した制御信号で無線端末101乃至10nに伝える。このとき、無線中継装置20の第2無線機212は、制御信号を無線端末101乃至10nに送信するために、下りスロット601乃至604のうち、無線基地局30からの無線信号を受信する下りスロット511乃至513と送受信タイミングが重複しないものであって、下りスロット601乃至604と対になる上りスロット701乃至704が、無線基地局30に無線信号を送信する上りスロット411と送受信タイミングが重複しないものを優先的に選択する。PHS方式では、下りスロットPHS第iスロットと対になる上りスロットは、PHS第(i+4)スロットである。言い換えると、無線中継装置20の第2無線機212は、決定された無線端末101乃至10nとの無線通信用の無線フレーム内の下りスロット601乃至604のうち、無線信号を送信するタイムスロットとして、第1無線機211が無線信号を受信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択し、無線中継装置20の第2無線機212は、決定された無線端末101乃至10nとの無線通信用の無線フレーム内の上りスロット701乃至704のうち、無線信号を受信するタイムスロットとして、第1無線機211が無線信号を送信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択する。
【0066】
ステップA8において、無線端末101乃至10nは、無線中継装置20からの制御信号を受信し、その制御信号に応じて、無線中継装置20側の無線フレームと同じ無線フレームを構成して、無線中継装置20との無線通信用の無線フレームとする。
【0067】
無線端末101乃至10nは、発信又は着信を行う場合、上りスロット711乃至714を介してLCH確立要求信号を無線中継装置20に送信する。ここで、LCH確立要求信号が送信される上りスロットは、無線中継装置20により制御信号が送信される下りスロット611乃至614と対になる上りスロットである。無線中継装置20の第2無線機212は、LCH確立要求信号に応じて、無線端末101乃至10nと無線通信を行うために、対となる下りスロット及び上りスロットを決定し、LCH割当信号で無線端末101乃至10nに送信する。このとき、無線中継装置20の第2無線機212は、無線端末101乃至10nと無線通信を行うためのタイムスロットとして、第1無線機211により無線基地局30から無線信号を受信する下りスロット511乃至513と送受信タイミングが重複しないものであって、下りスロット601乃至604と対になる上りスロット701乃至704が、第1無線機211により無線基地局30に無線信号を送信する上りスロット411と送受信タイミングが重複しないものを優先的に選択する。
【0068】
(実施形態に係る無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法の作用・効果)
本実施形態に係る無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法によれば、無線フレーム決定部224が、無線基地局30と第1無線機211との間で用いられる無線フレーム(IMT2000/TDD方式の無線チャネル)の構成及び無線端末101乃至10nと第2無線機212との間で用いることが可能な無線フレーム(PHS方式の無線チャネル)の構成に基づいて時間相関関数計算部223により計算された時間相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtに応じて、無線端末101乃至10nと第2無線機212との間で用いられる無線フレーム(PHS方式の無線チャネル)の構成を決定するため、第1無線機211と第2無線機212との間の干渉の影響を軽減させることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態に係る無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法によれば、無線フレーム決定部224が、上述の相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtを最小にするτに応じて、無線フレームのタイミングを遅らせることによって、無線フレームの構成を決定するため、第1無線機211及び第2無線機212で用いられる無線フレーム内のタイムスロットの割当のみに基づいて容易に第1無線機211と第2無線機212との間の相互干渉の影響を軽減させることが可能となる。
【0070】
さらに、本実施形態に係る無線通信システム及び無線フレーム構成決定方法によれば、第2無線機212が、無線信号を送受信するタイムスロットを、第1無線機211で無線信号を送受信するタイミングに応じて選択するため、第1無線機211と第2無線機212との間の相互干渉の影響をより軽減させることが可能となる。
【0071】
(変更例1に係る無線通信システム)
本発明の変更例1について図9を参照しながら説明する。図9は、本変更例に係る無線通信システムを示す概略構成図である。
【0072】
本変更例に係る無線通信システムは、PHS無線通信システム(PHS無線端末10b1、PHS無線基地局20b、PHSネットワーク)とIMT2000/TDD無線通信システム(IMT2000/TDD無線端末10a1、IMT2000/TDD無線基地局20a、IMT2000/TDDネットワーク)とが混在するものである。本変更例に係る無線通信システムは、図9に示すように、PHS無線基地局20b(第2の無線基地局)と、PHS無線端末10b1(第2の無線端末)と、IMT2000/TDD無線基地局20a(第1の無線基地局)と、IMT2000/TDD無線端末10a1(第1の無線端末)とによって構成されている。IMT2000/TDD無線端末10a1及びPHS無線端末10b1は、複数存在していてもよい。
【0073】
PHS無線基地局20bは、無線機21bと制御部22bとによって構成されており、無線機21bによって、PHS無線端末10b1との間でPHS方式の無線チャネルを介して無線通信を行う第2の無線基地局である。IMT2000/TDD無線基地局20aは、無線機21aと制御部22aとによって構成されており、無線機21a(第1の無線手段)によって、IMT2000/TDD無線端末10a1との間でIMT2000/TDD方式の無線チャネルを介して無線通信を行う第1の無線基地局である。
【0074】
IMT2000/TDD無線通信システムでは、IMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間で、上下非対称通信が可能であり、IMT2000/TDD無線基地局20aが、上りスロットと下りスロットを自由に設定することができる。
【0075】
制御部22a及び制御部22bは、上述の実施形態において説明した制御部22と同じ機能を有するもの、すなわち、関数F1(t)決定部(第1の関数計算手段)と関数F2(t)決定部(第1の関数計算手段)と時間相関関数計算部(相関関数計算手段)と無線フレーム決定部(無線フレーム構成決定手段)とを有するものである。制御部22a及び制御部22bは、有線又は無線の通信線によって相互に接続されている。
【0076】
図10に、本変更例に係る無線通信システムにおいて、PHS無線基地局20bが、IMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信による干渉の影響を受けないように、PHS無線端末10b1との無線通信用の無線フレームの構成を決定する方法を示す。
【0077】
図10において、本方法は、ステップB0において、PHS無線基地局20bの起動時や、PHS無線基地局20bによってIMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信用の無線フレームの構成の変更が検出された場合に開始される。
【0078】
ステップB1において、PHS無線基地局20bが、IMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信に用いられる無線フレームの構成に係る情報を獲得する。この情報を獲得する方法としては、PHS無線基地局20bの制御部22bが、IMT2000/TDD無線基地局20aの制御部22aから有線又は無線の通信線を介してこの情報を獲得する方法と、PHS無線基地局20bの無線機21bが、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機21aからIMT2000/TDD無線端末10a1に常時送信されている制御信号を受信し、この制御信号に含まれている無線フレーム構成からこの情報を獲得する方法が考えられる。
【0079】
ステップB2において、上述の実施形態のステップA3と同じ方法で、PHS無線基地局20bの関数F1(t)決定部が、上述のIMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信に用いられる無線フレーム構成に基づいて、関数F1(t)を決定する。
【0080】
ステップB3において、上述の実施形態のステップA4と同じ方法で、PHS無線基地局20bの関数F2(t)決定部が、PHS無線端末10b1との間で用いることが可能な無線フレームの構成から関数F2(t)を決定する。
【0081】
ステップB4において、PHS無線基地局20bの時間相関関数計算部が、関数F1(t)と関数F2(t)とに基づいて、時間相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtを計算する。
【0082】
本変更例に係る無線通信システムでは、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機21aが、IMT2000/TDD下り通信スロット50a1乃至503を介してIMT2000/TDD無線端末10a1に無線信号を送信している間に、PHS無線基地局20bの無線機21bが、PHS下りスロット60a1乃至60a4を介してPHS無線端末10b1に無線信号を送信する場合で、かつ、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機21aが、IMT2000/TDD上りスロット40a1を介してIMT2000/TDD無線端末10a1から無線信号を受信している間に、PHS無線基地局20bの無線機21bが、PHS上りスロット701乃至704を介してPHS無線端末10b1から無線信号を受信する場合に、IMT2000/TDD無線端末10a1の無線機21aとPHS無線基地局20bの無線機21bとの間で相互干渉の影響が最も小さい。
【0083】
したがって、PHS無線基地局20bの時間相関関数計算部が、この時間相関関数の値が最大となるτの値を求める。図7から、このτは、1msが適当であることが分かる。
【0084】
ステップB5において、PHS無線基地局20bの無線フレーム決定部が、PHS無線端末10b1との間で用いることが可能な無線フレームの構成を、時間τだけ遅延させることによって、PHS無線端末10b1との無線通信用の無線フレームの構成を最適化する。
【0085】
図11に、上述のIMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信に用いられる無線フレーム構成(a)と、ステップB5において決定されたPHS無線端末10b1との無線通信用の無線フレームの構成(b)とを示す。PHS無線端末10b1との無線通信用の無線フレームの構成(b)は、上述のIMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信に用いられる無線フレーム構成(a)と比較して、1msだけ遅延したものとなっている。
【0086】
ステップB6において、PHS無線基地局20bの無線機21aが、決定されたPHS無線端末10b1との無線通信用の無線フレームの構成を、PHS下りスロット60a1乃至60a4を介した制御信号でPHS無線端末10b1に送信する。
【0087】
ステップB7において、PHS無線端末10b1が、この無線フレームと同じ構成の無線フレームを構成する。
【0088】
(変更例2に係る無線通信システム)
本発明の変更例2に係る無線通信システムの構成は、図9に示す本発明の変更例1に係る無線通信システムの構成と同じである。
【0089】
本変更例に係る無線通信システムは、PHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられている無線フレーム構成を用いて、IMT2000/TDD無線基地局20aが、IMT2000/TDD無線端末10a1との間の無線通信用の無線フレームを構成するものである。
【0090】
図12に、本変更例に係る無線通信システムにおいて、IMT2000/TDD無線基地局20a(第2の無線基地局)が、PHS無線基地局20b(第1の無線基地局)とPHS無線端末10b1(第1の無線端末)との間の無線通信による干渉の影響を受けないように、IMT2000/TDD無線端末10a1(第2の無線端末)との無線通信用の無線フレームの構成を決定する方法を示す。
【0091】
ステップC1において、IMT2000/TDD無線基地局20aが、PHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられる無線フレーム構成に係る情報を獲得する。この情報を獲得する方法としては、IMT2000/TDD無線基地局20aの制御部22aが、PHS無線基地局20bの制御部22bから有線又は無線の通信線を介してこの情報を獲得する方法と、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機21aが、PHS無線基地局20bの無線機21bからPHS無線端末10b1に常時送信されている制御信号を受信し、この制御信号に含まれている無線フレーム構成からこの情報を獲得する方法が考えられる。
【0092】
ステップC2において、上述の実施形態のステップA4と同じ方法で、IMT2000/TDD無線基地局20aの関数F2(t)決定部が、上述のPHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられる無線フレーム構成に基づいて、関数F2(t)を決定する。
【0093】
ステップC3において、IMT2000/TDD無線基地局20aの関数F1(t)決定部が、上述のPHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられる無線フレーム構成と、IMT2000/TDD無線通信システムにおいて必要な上りスロット数及び下りスロット数等の条件から、IMT2000/TDD無線基地局20aとIMT2000/TDD無線端末10a1との間で用いることが可能な全ての理論無線フレーム構成fk{k=1…n}を決定する。この理論無線フレーム構成fk{k=1…n}を決定するための条件には、スロットの連続性、送信電力制御や送信ダイバーシティ等によるものも含まれる。
【0094】
ステップC4において、上述の実施形態のステップA3と同じ方法で、IMT2000/TDD無線基地局20aの関数F1(t)決定部が、上述の理論無線フレーム構成fk{k=1…n}の各々に基づいて、関数F1k(t)を決定する。
【0095】
ステップC5及びC6において、IMT2000/TDD無線基地局20aの時間相関関数計算部が、全ての関数F1k(t)と関数F2(t)との組み合わせに基づいて、時間相関関数∫F1k(t)×F2(t−τ)dtを計算し、この時間相関関数の最大値Ckと、そのときのτの値τkとを求める。
【0096】
ステップC7において、IMT2000/TDD無線基地局20aの時間相関関数計算部が、Ckを最大にする組み合わせfmaxとτmaxを決定する。
【0097】
ステップC8において、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線フレーム決定部が、理論無線フレーム構成fmaxを、上述のPHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられる無線フレームから時間τmaxだけ遅延させることによって、IMT2000/TDD無線端末10a1との無線通信用の無線フレームの構成を決定する。すなわち、IMT2000/TDD無線基地局20aの無線機21aは、理論無線フレーム構成fmaxを、上述のPHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられる無線フレームから、時間τmaxだけ遅延させてIMT2000/TDD無線端末10a1に送信する。
【0098】
図13に、上述のPHS無線基地局20bとPHS無線端末10b1との間の無線通信に用いられている無線フレーム構成(a)と、ステップC8において決定されたIMT2000/TDD無線端末10a1との無線通信用の無線フレームの構成(b)とを示す。ここで、τmaxは0である。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、無線フレーム決定部224が、第1無線機211で用いられる無線フレームの構成及び第2無線機212で用いることが可能な無線フレームの構成に基づいて時間相関関数計算部223により計算された時間相関関数∫F1(t)×F2(t−τ)dtに応じて、第2無線機212で用いられる無線フレームの構成を決定するため、第1無線機211と第2無線機212との間の干渉の影響を軽減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末との無線通信用の無線フレーム構成を決定する動作を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて、無線中継装置と無線基地局との間で用いられている無線フレーム構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおける関数f1(t)を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて、無線中継装置と無線端末との間で用いられている無線フレーム構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおける関数f2(t)を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおける時間相関関数を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて決定された無線中継装置と無線端末との間の無線通信用の無線フレーム構成を示す図である。
【図9】本発明の一変更例に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図10】本発明の一変更例に係る無線通信システムにおいて、PHS無線端末とPHS無線基地局との間の無線通信用の無線フレーム構成を決定する動作を示すフローチャート図である。
【図11】本発明の一変更例に係る無線通信システムにおいて決定されたPHS無線端末とPHS無線基地局との間の無線通信用の無線フレーム構成を示す図である。
【図12】本発明の一変更例に係る無線通信システムにおいて、IMT2000/TDD無線端末とIMT2000/TDD無線基地局との間の無線通信用の無線フレーム構成を決定する動作を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の一変更例に係る無線通信システムにおいて決定されたIMT2000/TDD無線端末とIMT2000/TDD無線基地局との間の無線通信用の無線フレーム構成を示す図である。
【図14】従来技術に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図15】従来技術に係る無線通信システムにおいて用いられている無線フレーム構成を示す図である。
【図16】従来技術に係る無線通信システムにおいて、無線通信用の無線フレームを構成する動作を示すタイムチャート図である。
【図17】従来技術に係る無線通信システムの概略構成図である。
【図18】従来技術に係る無線通信システムにおいて用いられている無線フレーム構成を示す図である。
【符号の説明】
10、101、102、103…無線端末
10a1…IMT2000/TDD無線端末
10b1…PHS無線端末
20…無線中継装置
20a…IMT2000/TDD無線基地局
20b…PHS無線基地局
21a、21b…無線機
211…第1無線機
212…第2無線機
22、22a、22b…制御部
221…関数f1(t)決定部
222…関数f2(t)決定部
223…時間相関関数計算部
224…無線フレーム決定部
30…無線基地局
401、40a1、411…IMT2000/TDD上りスロット
501、502、503、511、512、513、50a1、50a2、50a3…IMT2000/TDD下り通信スロット
601、602、603、604、611、612、613、614、60a1、60a2、60a3、60a4…PHS下りスロット
701、702、703、704、711、712、713、714、70a1、70a2、70a3、70a4…PHS上りスロット
80、81、80a…IMT2000/TDD下り制御スロット
Claims (10)
- 時分割多重方式の無線フレームを用いて無線通信を行う無線通信システムであって、
時分割多重方式の無線フレームを用いて無線信号の送受信を行う第1の無線手段及び第2の無線手段と、
前記第1の無線手段において用いられる無線フレームの構成を示す第1の関数を決定する第1の関数決定手段と、
前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を示す第2の関数を決定する第2の関数決定手段と、
前記第1の関数と前記第2の関数との間の時間的な相関関係を示す相関関数を計算する相関関数計算手段と、
前記相関関数の計算結果に応じて、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を最適化することによって、前記第2の無線手段において用いられる無線フレームの構成を決定する無線フレーム構成決定手段とを有し、
前記第1の関数は、前記第1の無線手段において用いられる無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて所定の値を取るものであり、
前記第2の関数は、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて所定の値を取るものであり、
前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成の最適化は、前記相関関数の計算結果に応じて、該無線フレームのタイミングを遅らせることによって行われることを特徴とする無線通信システム。 - 前記第2の無線手段は、
決定された前記無線フレーム内で、前記無線信号を送信するタイムスロットとして、前記第1の無線手段が前記無線信号を受信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択し、
決定された前記無線フレーム内で、前記無線信号を受信するタイムスロットとして、前記第1の無線手段が前記無線信号を送信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。 - 前記第2の関数計算手段は、複数の前記第2の関数を決定し、
前記相関関数計算手段は、前記第1の関数と前記複数の第2の関数との間の時間的な相関関係を示す複数の相関関数を計算し、
前記無線フレーム構成決定手段は、前記複数の相関関数の計算結果に応じて、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を最適化することによって、前記第2の無線手段において用いられる無線フレームの構成を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。 - 無線端末と無線基地局と無線中継装置とによって構成され、前記無線中継装置が前記無線端末と前記無線基地局との間で無線信号の中継を行う無線通信システムであって、
前記無線中継装置は、前記第1の無線手段と、前記第2の無線手段と、前記第1の関数決定手段と、前記第2の関数決定手段と、前記相関関数計算手段と、前記無線フレーム構成決定手段とを具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無線通信システム。 - 第1の無線端末と第1の無線基地局と第2の無線端末と第2の無線基地局とによって構成され、前記第1の無線端末と前記第1の無線基地局とが前記無線通信を行い、前記第2の無線端末と前記第2の無線基地局とが前記無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第1の無線基地局は、前記第1の無線手段と、前記第1の関数決定手段とを具備し、
前記第2の無線基地局は、前記第2の無線手段と、前記第2の関数決定手段と、前記相関関数計算手段と、前記無線フレーム構成決定手段とを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。 - 時分割多重方式の無線フレームを用いて無線信号の送受信を行う第1の無線手段及び第2の無線手段を具備する無線通信システムにおいて、前記第2の無線手段において用いられる前記無線フレームの構成を決定する無線フレーム構成決定方法であって、
前記第1の無線手段において用いられる無線フレームの構成を示す第1の関数を決定する第1工程と、
前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を示す第2の関数を決定する第2工程と、
前記第1の関数と前記第2の関数との間の時間的な相関関係を示す相関関数を計算する第3工程と、
前記相関関数の計算結果に応じて、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を最適化することによって、前記第2の無線手段において用いられる無線フレームの構成を決定する第4工程とを有し、
前記第1の関数は、前記第1の無線手段において用いられる無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて所定の値を取るものであり、
前記第2の関数は、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレーム内のタイムスロットの割当に応じて所定の値を取るものであり、
前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成の最適化は、前記相関関数の計算結果に応じて、該無線フレームのタイミングを遅らせることによって行われることを特徴とする無線フレーム構成決定方法。 - 前記第2の無線機において、決定された前記無線フレーム内で、前記無線信号を送信するタイムスロットとして、前記第1の無線手段が前記無線信号を受信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択する工程と、
前記第2の無線手段において、決定された前記無線フレーム内で、前記無線信号を受信するタイムスロットとして、前記第1の無線手段が前記無線信号を送信していない期間を有するタイムスロットを優先的に選択する工程とを有することを特徴とする請求項7又は8に記載の無線フレーム構成決定方法。 - 前記第2工程において、複数の前記第2の関数を決定し、
前記第3工程において、前記第1の関数と前記複数の第2の関数との間の時間的な相関関係を示す複数の相関関数を計算し、
前記第4工程において、前記複数の相関関数の計算結果に応じて、前記第2の無線手段において用いることが可能な無線フレームの構成を最適化することによって、前記第2の無線手段において用いられる無線フレームの構成を決定することを特徴とする請求項6又は7に記載の無線フレーム構成決定方法。 - 無線端末と無線基地局と無線中継装置とによって構成され、前記無線中継装置が前記無線端末と前記無線基地局との間の無線信号の中継を行う前記無線通信システムにおいて、前記第2の無線手段において用いられる前記無線フレームの構成を決定する無線フレーム構成決定方法であって、
前記第1工程と、前記第2工程と、前記第3工程と、前記第4工程とが、前記無線中継装置において行われることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の無線フレーム構成決定方法。 - 第1の無線端末と第1の無線基地局と第2の無線端末と第2の無線基地局とによって構成され、前記第1の無線端末と前記第1の無線基地局とが前記無線信号の送受信を行い、前記第2の無線端末と前記第2の無線基地局とが前記無線信号の送受信を行う前記無線通信システムにおいて、前記第2の無線手段において用いられる前記無線フレームの構成を決定する無線フレーム構成決定方法であって、
前記第1工程が、前記第1の無線基地局において行われ、
前記第2工程と、前記第3工程と、前記第4工程とが、前記第2の無線基地局において行われることを特徴とする請求項6又は7に記載の無線フレーム構成決定方法。
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