JP3850745B2 - 湿式電子写真装置及び乾燥装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー粒子及びキャリア液を含む液体現像剤を用いて現像画像を形成する湿式画像形成装置及び乾燥装置に係り、特に現像画像上の余剰のキャリア液を乾燥除去する湿式画像形成装置及び乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体現像剤を用いて現像剤像を得る湿式画像形成装置は、サブミクロンサイズの極めて微細なトナー粒子を用いることが出来るため高画質を実現できること、少量のトナーで十分な画像濃度が得られるため経済的であるうえに印刷(例えばオフセット印刷)並みの質感を実現できること、比較的低温でトナーを用紙に定着出来るため省エネルギーを実現できること、などの利点を有している。
【0003】
このような湿式画像形成装置における画像形成時、感光体上に形成される現像画像を被転写媒体に転写する転写方法の1つとして、感光体と被転写媒体とを加圧接触し、トナー粒子の粘着力を利用して感光体表面のトナー粒子を被転写媒体に転写する圧力転写方法がある。この圧力転写方法にあっては、転写時に感光体表面がキャリア液で濡れていると転写効率が劣化することから、その転写効率を向上させるため、転写工程前に現像画像上の余剰のキャリア液を充分に除去する必要がある。
【0004】
このため従来は、余剰キャリア液の除去効率を高めるよう、日本特許特開昭58−66953号公報等に開示されるように、現像終了後感光体上に残留する余剰のキャリア液を多孔質弾性ローラ等の絞りローラを用いて吸収除去した後、更に少なくとも1つ以上のブロア装置を用いて乾燥除去する装置が開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年、画像形成プロセスの高速化の要求により、余剰キャリア液の除去に要する時間の短縮が要求されることから、例えば、感光体ドラムの直径を200φとし200〜400mm/sec程度の高速の画像形成プロセス速度を得ようとすると、上記のように多孔質弾性ローラによる吸収除去と、ブロアによる乾燥除去とを併用したとしても、現像終了後、現像画像が転写位置に到達する迄の間に余剰キャリア液を充分に除去するに至らず、圧力転写方式による転写効率の低下を招くおそれがあった。
【0006】
一方、圧力転写方式による転写装置にあっては装置の高速化に伴い転写位置における加圧力が増大され、このような大きな加圧力下では、余剰キャリア液の残留を原因とする転写効率の劣化現象は更に顕著となり、転写効率を著しく損ない表示品位を著しく低下するという課題を生じていた。
【0007】
そこで本発明は上記課題を解決するものであり、現像終了後であって転写前に感光体上に残留する余剰のキャリア液を速く且つ確実に除去し、高速での圧力転写方式による転写効率の向上を図り、転写不良の発生を防止して良質な転写画像を得ることにより、高速機種の実用化も可能とする湿式画像形成装置及び乾燥装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための手段として、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記静電潜像を液体現像剤で現像し、現像剤像を形成する現像装置と、前記像担持体上に形成された前記現像剤像に所定圧の乾燥風を供給する予備乾燥ノズル、および前記所定圧の乾燥風によって乾燥された予備乾燥ノズル通過後の前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを有する乾燥装置と、前記高圧乾燥装置によって乾燥された前記現像剤像を被転写媒体へ転写する転写装置とを設けるものであり、前記予備乾燥ノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記予備乾燥ノズルよりも垂直に近い向きに向けられているものである
【0009】
又本発明は上記課題を解決するための手段として、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記静電潜像を液体現像剤で現像し、現像剤像を形成する現像装置と、前記像担持体上に形成された前記現像剤像の搬送経路をギャップを介して被覆する被覆壁及び、前記被覆壁に形成され、前記ギャップに気流を発生させるノズルとを具備し前記現像剤像に前記ギャップに沿って所定圧の乾燥風を供給するノズルブロック、および前記ギャップを通過した前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを有する乾燥装置とを設けるものであり、前記ノズルブロックのノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記ノズルブロックのノズルよりも垂直に近い向きに向けられているものである。
【0010】
又本発明は上記課題を解決するための手段として、像担持体表面に液体現像剤で現像された現像剤像に所定圧の乾燥風を供給する予備乾燥ノズルと、前記予備乾燥ノズルを通過した前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを設けるものであり、前記予備乾燥ノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記予備乾燥ノズルよりも垂直に近い向きに向けられているものである。
【0011】
又本発明は上記課題を解決するための手段として、像担持体表面に液体現像剤で現像された現像剤像を乾燥する乾燥装置であって、前記像担持体上に形成された前記現像剤像の搬送経路をギャップを介して被覆する被覆壁及び、前記被覆壁に形成され、前記ギャップに気流を発生させるノズルとを具備し前記現像剤像に前記ギャップに沿って所定圧の乾燥風を供給するノズルブロックと、前記ギャップを通過した前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを設けるものであり、前記ノズルブロックのノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記ノズルブロックのノズルよりも垂直に近い向きに向けられているものである。
【0012】
上記構成により本発明は、現像剤像の乾燥率が低い間は現像剤像に低圧の乾燥風を吹き付けてキャリア液を乾燥除去する事により、トナー粒子が風圧の影響で流れるのを防止する一方、現像剤像の乾燥が進み、液体現像剤中のトナー粒子の比率であるトナー粒子の乾燥率が高くなってからは現像剤像に高圧の乾燥風を吹き付けてキャリア液の乾燥速度を速める事により、余剰のキャリア液のトータル乾燥時間を短縮し、画像形成速度の高速化にかかわらず、余剰のキャリア液を確実に除去し、圧力転写方式による転写効率を向上し、ひいては良好な転写による良質な転写画像を得ると共に、高速機種の実用化を図るものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は以下の原理に基づき実施される。トナー粒子及びキャリア液からなる液体現像剤を用いて形成した現像画像の乾燥状態を調べると、例えば現像後、図1(a)に示すように絞りローラ1によりトナー粒子2表面にあふれたキャリア液3を吸収除去した後の、図1(b)に示す現像剤像4は、キャリア液3を多く含んでいる。このため図1(b)の現像剤像に高圧の乾燥風を吹き付けるとその影響でトナー粒子2が流れ、画像の滲みを生じてしまう。
【0014】
そこで図1(b)にあってはトナー粒子2が流れない程度の低圧の乾燥風w1を吹き付けて現像画像の乾燥を行う。但しこのまま低圧を保持して現像剤像4の乾燥を続けると、図2の破線(ロ)に示すようにトナー粒子2の乾燥率が高くなるにつれ,残りの現像剤像4の乾燥速度は鈍って行く。尚トナー粒子の乾燥率は、液体現像剤中のトナー粒子の比率である。例えば、直径200φの感光体を周速100mmの高速にて駆動した場合、トナー粒子2が流れるのを防止するため、10〜15gf/cm程度の風圧を保持して乾燥を行うと、乾燥率100%に達する時間T2は約3〜5秒を要する。
【0015】
これは乾燥風量を単純に数倍にふやしても最後の数%の乾燥にかかる時間はそれほど短縮しない。これは現像画像4が乾燥する際に表面近くの溶媒から蒸発が始まり、最後に現像画像4内部、特に最下層部に溶媒層が残るからと考えられる。これは風圧が低い場合は、乾燥風量を上げるだけではトナー内部まで風が入らないのであまり乾燥速度を向上させることができないことが原因の1つとなっている。
【0016】
一方、時間の経過により現像画像4の乾燥が進み図1(c)に示すように現像剤像4中のキャリア液3が減少し、トナー粒子2の固形率が高くなると、30〜50gf/cm程度の非常に高圧で強い乾燥風を吹き付けても、トナー粒子2の流れを生じないことが実験から得らている。
【0017】
そこで、画像形成プロセスの更なる高速化を実現するために、図2において現像画像4の乾燥率を100%に達する時間T1を約0.3〜1秒程度に短縮するためには、現像画像4の乾燥が図1(c)に示す程度に進んだ段階で、非常に高圧で強い乾燥風w2を吹き付けることが、図2に点線(ハ)に示すように最後の数%の乾燥にかかる時間を急速に短縮し、トータルでの余剰のキャリア液の乾燥時間の短縮に効果があることが判明した。これは、乾燥風が高圧であるために、現像画像4の最下層部迄乾燥風を送ることが出来、この部分に最後まで残留する乾燥し難いキャリア液を効果的に乾燥出来る事による。
【0018】
尚図2の実線(イ)は絞りローラ1による乾燥を示し、図2の一点鎖線(ニ)は、現像画像4の自然乾燥の状態を示すものであり、直径200φの感光体を周速100mmの高速にて駆動した場合、自然乾燥により乾燥率100%に達する時間T3は30秒以上を要してしまう。
【0019】
上記、現像画像の乾燥原理に基づき本発明は為されたものである。以下に本発明を図3乃至図6に示す実施の形態を参照して詳細に説明する。湿式画像形成装置である電子写真装置10の像担持体であり例えばアルミニウムなどの導電性基体上に、有機系もしくはアモルファスシリコン系の感光層を形成してなる直径200φの感光体ドラム11周囲には、感光体ドラム11の矢印q方向の回転に沿って順次感光体ドラム11上にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各液体現像剤を用いて画像形成を行う第1乃至第4の画像形成ユニット12Y〜12Kが配列されている。
【0020】
各画像形成ユニット12Y〜12Kは、各液体現像剤の色が異なるものの、それ以外は基本的に同様な構成をしていることから、上流に配置されるイエロー(Y)の画像形成ユニット12Yを参照して説明し、他の画像形成ユニット12M〜12Kについては、同じ部分に同じ符号とそれぞれの色を示す添字を付してその説明を省略する。
【0021】
イエロー(Y)の画像形成ユニット12Yは、周知のコロナ帯電器もしくはスコロトロン帯電器などからなる帯電器14Y、図示しないレーザ照射装置からのイエロー(Y)の光信号に対応するレーザビーム26Yを選択的に照射する露光部17Y、図示しない貯蔵部から供給されるイエロー(Y)の液体現像剤18Yを収納して現像電圧が印加されるローラ状の現像電極20Y及びローラ状のかぶりとり電極21Yを有する現像装置22Yからなっている。
【0022】
ここで液体現像剤18Y〜18Kは、粒径0.1μm〜2μm程度のそれぞれ色の異なるトナー粒子27Y〜27Kと、このトナー粒子を分散させるキャリア液28とを有する。キャリア液としてはアイソパーL(エクソン社製)などの石油系の非極性溶媒が用いられる。
【0023】
感光体ドラム11周囲の各画像形成ユニット12Y〜12Kの下流には。現像終了後に感光体ドラム11上に形成される現像画像30に残留する余剰のキャリア液を吸収除去する吸収装置である多孔質弾性ローラ31が設けられ、次いで、現像画像30に残留する余剰のキャリア液28を低圧10gf/cmの乾燥風で乾燥除去する低圧乾燥装置である多段ノズルブロック32が設けられ、更に多段ノズルブロック32下流には、現像画像30に残留する余剰のキャリア液28を高圧50gf/cmの乾燥風で乾燥除去する高圧乾燥装置である高圧ノズル33が設けられている。乾燥風の発生源としては図示しない高速ブロワやファンが用いられる。
【0024】
更に感光体ドラム11周囲の多段ノズルブロック32の下流には、圧力転写を行う転写装置34及び、転写後感光体ドラム11上に残留する液体現像剤18Y〜18Kを除去するクリーナ36、感光体ドラム上に形成される残留電荷を消去する消去ランプ37が設けられている。
【0025】
現像終了後の現像画像30に始めに接触させる多孔質弾性ローラ31は、極めて微細な空隙を表面に均一に分散した通気性の表面を有し、多孔質孔径を極めて微細とする事によりその表面の平滑度を高めトナー粒子の付着を防止し、感光体ドラム11と転接する様、感光体ドラム11と同一の周速度で矢印r方向に回転している。実際の表面材料としてポリウレタンスポンジなどのゴム系材料またゴアテックス(ゴアテックス社商標)等に代表される微細多孔シート材料に、微細カーボン粉を分散させて導電性を持たせたり、あるいは、多孔質弾性体最表面にポリピロールなどの導電性の塗膜を極めて薄く塗布する等したもの等があげられる。又その多孔質の孔径は、大きすぎると感光体ドラム11上の現像画像30に対する影響が急激に増加することから、0.2μmから大きくても30μm程度であることが好ましい。
【0026】
多孔質弾性ローラ31通過後、現像画像30に乾燥風を吹き付ける多段ノズルブロック32は、感光体ドラム11に吹き付けられた乾燥風が急速に拡散し乾燥効果が急激に減衰するのを防止するため、図4に示すように感光体ドラム11と対向して狭いギャップGを形成することにより感光体ドラム表面に沿って乾燥風の流路を確保する。かつブロック32は、感光体ドラム11とのギャップG内での乾燥風の速度を高速に保持するようギャップG内での乱気流の発生を防止するため、凹凸の無い滑らかなる被覆壁を有する。
【0027】
実際には多段ノズルブロック32の、感光体ドラム11表面と対向する被覆壁32bは、アルミニウム(Al)やステンレス鋼等を表面研磨してなり、感光体ドラム11表面の一部を約2mmのギャップGを介し被覆する。被覆壁32bには、2段のスリット状のノズル32aが形成される。ノズル32aは、ブロワ(図示せず)からの気流によりギャップG内に矢印r方向の気流を発生し、感光体ドラム11表面に10gf/cm程度の低圧の乾燥風w1を吹き込むものである。
乾燥風w1は、未乾燥の現像画像30が高圧により感光体ドラム11上で流れてしまわない所定の圧力以下に設定しておく。ギャップGが狭いほどギャップG内を流動する乾燥風速は早くなるため、実験からギャップGは0.5〜5mm程度が好適とされる。乾燥風の発生源としては図示しないブロワやファンのような大容量の風を送り出すものが好適である。
【0028】
転写装置34は、加圧ローラ34a及びこの加圧ローラ34aにより感光体ドラム11に所定の加圧力で圧接される中間転写ローラ34bからなり、感光体ドラム11上に形成される現像画像30を、表面エネルギーの差により感光体ドラム11上から中間転写ローラ34bに一次転写した後、被転写媒体である記録紙Pに二次転写するものである。
【0029】
次に作用について述べる。画像形成プロセス開始により、矢印q方向に周速200mm/sで回転する感光体ドラム11表面には、画像形成ユニット12Yにて帯電器14Yにより帯電され、次いで画像情報に対応して露光装置(図示せず)から照射される黄色の画像情報に対応するレーザビーム26Yを選択的に照射されてイエロー(Y)画像に対応する静電潜像を形成される。更に感光体ドラム11は、現像装置22Yにて現像ローラ20Yにより液体現像剤18Yを供給され、かぶりとり電極21Yにより余剰の液体現像剤18Yを除去され、イエロー(Y)の現像画像を形成される。同様にして感光体ドラム11上には、後続の画像形成ユニット12M〜12Kにより順次マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像画像が、重ね合わされフルカラーの現像剤像30が形成される。
【0030】
この後感光体ドラム11の回転に従い、現像剤像30が多孔質弾性ローラ31に到達すると、図5(a)に示すように現像剤像30表面に滲み出ている余剰のキャリア液28が、毛管現象により多孔質弾性ローラ31表面に吸引される。このとき多孔質弾性ローラ31の周速度が、感光体ドラム11の周速度と一致していることから、感光体ドラム11上の現像剤像30は画像を乱されることが無い。又、多孔質弾性ローラ31にはトナー粒子27Y〜27Kと逆極性のバイアス電圧が印加されていることから、多孔質弾性ローラ31通過時、感光体ドラム11上のトナー粒子27Y〜27Kは感光体ドラム11表面側に強く押しつけられ、多孔質弾性ローラ31に付着し現像画像30の劣化を生じたり多孔質弾性ローラ31表面が目詰まりするのを防止する。多孔質弾性ローラ31通過中、現像画像30は、図6の実線(イ)に示すようにキャリア液28を吸引除去され、多孔質弾性ローラ31通過直後の現像画像30の乾燥率は60〜65%程度となる。
【0031】
次いで図5(b)に示すように、感光体ドラム11表面の現像画像30に多段ノズルブロック32の2段のノズル32aから低圧10gf/cmの乾燥風w1を吹き付ける。ノズル32aからは、ギャップG内に矢印r方向の気流が発生される。この時被覆壁32b表面は凹凸の無い滑らかな形状に形成されているので、気流はギャップG内で乱気流を生じることなく高速を保持され感光体ドラム11表面に沿って流れる。
【0032】
従って感光体ドラム11上の現像画像30は、ギャップG内を搬送される間、長時間にわたって乾燥風w1の吹き付けを持続されることが出来、低圧による乾燥を極めて効率よく行われる。
【0033】
これにより現像画像30はトナー粒子27Y〜27Kが、感光体ドラム11上で流れてしまうことがなく、図6の鎖線(ロ)に示すように良好な画像状態で、キャリア液28を乾燥除去される。
【0034】
この後、現像画像30が、高圧ノズル33に達したら、図5(c)に示すように、現像画像30に高圧ノズル33により高圧50gf/cmの乾燥風w2を吹き付ける。これにより、乾燥風は、現像画像30の感光体ドラム11側の最下層部まで達するように吹き付けられる。この高圧ノズル33位置を通過する時点においては、現像画像30の乾燥率は80%程度に達しているので、現像画像30は高圧の乾燥風を直接当てるにも関わらず、トナー粒子27Y〜27Kの流れを発生することなく良好な画像状態で、図6の点線(ハ)に示すようにキャリア液28を急速に乾燥除去される。そして現像画像30が高圧ノズル33を通過し、乾燥プロセスを終了する、乾燥時間T1経過時にあっては、現像画像30の乾燥率は90%を超える。尚本実施の形態の乾燥プロセスに要するトータル時間T1はほぼ1秒であった。
【0035】
このようにして余剰のキャリア液を除去され乾燥率90%を超える乾燥状態の現像剤像30が転写装置34に到達すると、現像剤像30は、加圧ローラ34aの荷重により感光体ドラム11に加圧接触する中間転写ローラ34bに、表面エネルギーの差により高い転写効率で一次転写され、更には加圧ローラ34a及び中間転写ローラ34b間を通過する記録紙Pに二次転写される。そして転写装置34通過後、感光体ドラム11はクリーナ36により残留液体現像剤を除去され、消去ランプ37により残留電荷を消去され、一連の画像形成プロセスを終了し次の画像形成プロセスに備える。
【0036】
このように構成すれば、画像形成プロセス速度が速い場合であっても、現像画像30に残留する余剰のキャリア液28を、多孔質弾性ローラ31により吸収除去した後、現像画像30の乾燥率が低い間はトナー粒子27Y〜27Kの流れを生じないよう、多段ノズルブロック32を用いて低圧の乾燥風を長時間吹き付けて乾燥除去し、現像画像30の乾燥率が高くなってからは、高圧の乾燥風を吹き付ける高圧ノズル33を用いて現像画像最下層迄高速にて乾燥除去出来る。これにより、風圧によりトナー粒子27Y〜27Kが流れ、これを原因とする画質低下を生じることなく余剰キャリア液28の乾燥時間を短縮出来る。従って高速回転する感光体ドラム11上の現像画像30を、転写装置34により加圧転写する際に、現像画像30内の余剰のキャリア液の除去不良を原因とする転写不良を防止出来、高い転写効率による高品位の転写画像を得られ、ひいては高速の湿式画像形成装置の実現を図れる。
【0037】
尚本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その趣旨を変えない範囲での変更は可能であって、画像形成プロセス速度等限定されないし、低圧乾燥装置による乾燥風の風圧は、現像画像の流れを生じない範囲であればより高く設定しても良いし、又高圧乾燥装置による乾燥風の風圧も、現像画像の最下層部まで乾燥風が到達可能であれば良い。又、低圧乾燥装置あるいは高圧乾燥装置は適した風圧を得られればその構造は任意であり、例えば低圧乾燥装置は、多段ノズルブロックを用いることなく、低圧の乾燥風を吹き付ける1つあるいは複数個の低圧ノズルを設けても良い。
【0038】
更に転写時の現像画像の乾燥率は、良好な転写効率を得られる範囲であれば限定されず、好ましくは85%以上であれば良い。又高圧乾燥装置による吹き付け開始のタイミングも高圧の乾燥風を当てても現像画像が流れない程度に乾燥していれば限定されず、現像画像の乾燥率が転写時の現像画像の乾燥率の5〜6%手前に達した時点で開始するのがより好ましい。
【0039】
又画像形成装置の構造や画像形成プロセス等も全く限定されず、カラー画像形成時、像担持体を1回転するごとに1色ずつ色重ねをし像担持体を複数回転して、カラーの現像剤像を得るものであっても良いし、使用する液体現像剤の色や数も任意である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、画像形成プロセスの高速化にかかわらず、現像画像上に残留する余剰キャリア液を現像剤像を乱す事無く高速で乾燥除去出来ることから、圧力転写による現像画像の転写効率を向上出来、高品位の良好な転写画像を得られ、ひいては高速の湿式画像形成装置の実用化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の現像画像の乾燥原理を示し(a)はそのキャリア液の吸収除去時、(b)はそのキャリア液の低圧乾燥風による乾燥除去時、(c)はそのキャリア液の圧乾燥風による乾燥除去時の概略説明図である。
【図2】本発明の現像画像の乾燥原理における現像画像の乾燥時間と乾燥率の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態の電子写真装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態の低圧乾燥装置及び高圧乾燥装置を示す概略構成図である。
【図5】 本発明の実施の形態の現像画像の乾燥状態を示し(a)はそのキャリア液の吸収除去時、(b)はそのキャリア液の低圧乾燥風による乾燥除去時、(c)はそのキャリア液の圧乾燥風による乾燥除去時の概略説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の現像画像の乾燥時間と乾燥率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…電子写真装置
11…感光体ドラム
12Y〜12K…画像形成ユニット
14Y〜14K…帯電器
17Y〜17K…露光部
18Y〜18K…液体現像剤
20Y〜20K…現像電極
22Y〜22K…現像装置
26Y〜26K…レーザビーム
27Y〜27K…トナー粒子
28…キャリア液
30…現像画像
31…多孔質弾性ローラ
32…多段ノズルブロック
33…高圧ノズル
34…転写装置
34a…加圧ローラ
34b…中間転写ローラ

Claims (5)

  1. 表面に静電潜像が形成される像担持体と、
    前記静電潜像を液体現像剤で現像し、現像剤像を形成する現像装置と、
    前記像担持体上に形成された前記現像剤像に所定圧の乾燥風を供給する予備乾燥ノズル、および前記予備乾燥ノズル通過後の前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを有する乾燥装置と、
    前記高圧乾燥装置によって乾燥された前記現像剤像を被転写媒体へ転写する転写装置と
    を具備する湿式電子写真装置であって、
    前記予備乾燥ノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記予備乾燥ノズルよりも垂直に近い向きに向けられていること、を特徴とする湿式電子写真装置。
  2. 表面に静電潜像が形成される像担持体と、
    前記静電潜像を液体現像剤で現像し、現像剤像を形成する現像装置と、
    前記像担持体上に形成された前記現像剤像の搬送経路をギャップを介して被覆する被覆壁及び、前記被覆壁に形成され、前記ギャップに気流を発生させるノズルとを具備し前記現像剤像に前記ギャップに沿って所定圧の乾燥風を供給するノズルブロック、および前記ギャップを通過した前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを有する乾燥装置と、
    前記乾燥装置通過後の前記現像剤像を被転写媒体へ転写する転写装置と
    を具備する湿式電子写真装置であって、
    前記ノズルブロックのノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記ノズルブロックのノズルよりも垂直に近い向きに向けられていること、を特徴とする湿式電子写真装置。
  3. 前記現像装置と前記乾燥装置との間で前記像担持体表面に接触するように配置された多孔質弾性体表面を有し、前記現像装置で形成された前記現像剤像中の液体成分の一部を吸収する吸収装置を更に具備することを特徴とする請求項1又は2記載の湿式電子写真装置。
  4. 像担持体表面に液体現像剤で現像された現像剤像を乾燥する乾燥装置であって、前記像担持体上に形成された前記現像剤像に所定圧の乾燥風を供給する予備乾燥ノズルと、前記予備乾燥ノズルを通過した前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを有し
    前記予備乾燥ノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記予備乾燥ノズルよりも垂直に近い向きに向けられていること、を特徴とする乾燥装置。
  5. 像担持体表面に液体現像剤で現像された現像剤像を乾燥する乾燥装置であって、前記像担持体上に形成された前記現像剤像の搬送経路をギャップを介して被覆する被覆壁及び、前記被覆壁に形成され、前記ギャップに気流を発生させるノズルとを具備し前記現像剤像に前記ギャップに沿って所定圧の乾燥風を供給するノズルブロックと、前記ギャップを通過した前記現像剤像に前記所定圧よりも高圧の乾燥風を供給する高圧乾燥ノズルとを有し
    前記ノズルブロックのノズルは前記像担持体に対して斜めに向けられており、前記高圧乾燥ノズルは前記像担持体に対して前記ノズルブロックのノズルよりも垂直に近い向きに向けられていること、を特徴とする乾燥装置。
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