JP3849449B2 - 電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法に関し、詳しくは、機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されるとともに誘起電力を発生して電気的エネルギを出力する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを有する電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法に関する。
【0002】
【背景技術】
通常、時計には定期的な電池交換が必要とされるが、近年、回転錘、ゼンマイ、太陽電池等の発電機により発電した電力を、コンデンサや二次電池等の蓄電装置に充電して駆動源とすることにより、電池交換を不要にするとともに取扱い性や環境に配慮した時計が知られている。
【0003】
このような時計の発電機のなかで、特に、ゼンマイ等の機械的エネルギ源によりロータを回転させて発電する発電機は、太陽電池等のように、環境、場所、時間等に制約を受けることがなく、使用者がゼンマイを巻くことで常にかつ確実に発電させることができるため、広く利用されている。
【0004】
ゼンマイ式の発電機を用いた電子機器としては、例えば、電子制御式機械時計がある。電子制御式機械時計は、ゼンマイが開放する時の機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させ、発電機の回転速度が水晶振動子からなる時間標準源からの基準信号の速度よりも速い場合には、発電機のコイル両端をショートして電磁ブレーキを加えることなどで調速し、正確な時刻の指示を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ゼンマイ等の機械的エネルギ源から発電機に加えられるトルクは、ゼンマイがフル巻きの状態からゼンマイが解けた状態まで徐々に低下する。このため、特に、ゼンマイがフル巻きに近い状態でかつ歯車による動力伝達にばらつきがある場合には、一時的に発電ロータに高いトルクが印加され、ロータの回転速度を一定に保つために印加される前記ブレーキ量に余裕がなくなる可能性がある。
【0006】
また、時計が落下したり、時計に振動や衝撃が加わることで、輪列のエネルギー伝達効率が一時的に高まった場合も、発電ロータに加わるトルクが上昇し、ブレーキ量が不足するおそれがある。
ブレーキが不足すると、ロータに連結された指針は所望の速度(秒針であれば1rpm)を維持することができなくなり、結果として時刻狂い(進み)になってしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、発電ロータに大きなトルクが加わった場合に、ブレーキ量を増加させることができて確実にブレーキ制御を行うことができる電子機器、電子制御式機械時計および電子機器の制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子機器は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、前記回転制御装置は、前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出装置と、前記発電機に加わるトルクを検出するトルク検出装置と、前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、前記電圧検出装置で検出された電圧が第1設定電圧以上の状態で、トルク検出装置で検出されたトルクが第1設定トルク以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このような本発明によれば、発電機から出力された電気的エネルギは蓄電装置に入力されて充電される。この際、蓄電装置の電圧が第1設定電圧以上である状態で、トルク検出装置で検出されたトルクが予め設定された第1設定トルク以上になると、降圧装置を作動して電圧を低下させているので、電磁ブレーキ量を増加することができる。さらに、トルク値だけでなく、蓄電装置の電圧値も検出して降圧装置を作動させているので、例えば、電子機器をぶつけたり、落としたりしたという外乱等で一時的にトルクが上昇した場合には、蓄電装置の電圧はそれほど高くなっていないため、電圧も合わせて検出して降圧装置の作動を制御すれば、外乱等の一時的なトルク増加時にも降圧装置が作動してしまうことを防止でき、より正確な作動制御を行うことができる。
【0010】
なお、この設定トルクの具体的な設定値は、本発明を適用する電子機器の種類等によって適宜設定される。例えば、発電機に加わる平均的なトルク値に対して、20%以上大きなトルク値等、通常の制御時に印加できるブレーキ量では十分でないために、調速制御が十分に行えないようなトルク値に設定すればよい。すなわち、発電機の回転速度が基準周期よりも速くなり、通常のブレーキでは十分に減速できないような大きなトルクの値に設定すればよい。
【0011】
本発明者が鋭意研究した結果、図9に示すように、発電機の出力端子間をショート(短絡)すること等で電磁ブレーキを加える場合、電源電圧つまり蓄電装置の電圧が低いほうが制御可能なトルクが大きくなり、電磁ブレーキ量が大きくなることが分かった。つまり、蓄電装置の電圧が上昇すると、蓄電装置への充電電流が減少し、これによるブレーキ効果が小さくなり、トータルとして必要なブレーキ量が確保できなくなるおそれがある。これに対し、本発明では、降圧装置によって蓄電装置の電圧を低下させているので、蓄電装置への充電電流によるブレーキ効果の低減を抑えることができ、全体として必要なブレーキ量を確保することができる。
【0012】
なお、図9は、輪列の2番車に換算したブレーキトルクと、電源電圧との関係をグラフ化したものであり、電源電圧が1.6Vの場合には、2番車に対して制御(印加)可能なブレーキトルクは、14.7gcm(1.44×10-3N・m)であるのに対し、電源電圧の電圧が低下すれば、ブレーキトルクを大きくできる。例えば、電源電圧が0.8Vの場合には、15.5gcm(1.52×10-3N・m)まで制御でき、1.6Vの場合に比べてブレーキトルクを、約0.8gcm(0.08×10-3N・m)大きく、つまり約5〜6%向上することができる。
【0013】
従って、電源電圧(蓄電装置)の電圧を降圧装置で低下させることで、その分、電磁ブレーキ量を大きくでき、大きなトルクが加わっていても、発電機のロータの回転速度を確実に基準速度に制御することができる。
【0014】
また、発電機に加わるトルクが設定トルク以上になった際に、降圧装置を作動させて蓄電装置の電圧を低下させているので、通常のトルクが加わっている際に、大きなブレーキ量を加えてしまい、発電機が停止することも確実に防止できる。
さらに、必要なブレーキ量を確保でき、発電機の回転速度を基準周期に抑えることができるので、ゼンマイ等の機械的エネルギ源の消耗を少なくすることができ、電子機器の持続時間を長くすることもできる。
【0018】
また、回転制御装置としては、発電機に可変抵抗等を接続して発電機のコイルに流れる電流値を変えることで回転速度を調速してもよいが、発電機の両端子間を接続したり、遮断することで、閉ループ状態と閉ループでない状態とに切り替える回路開閉装置を用いれば、発電機の端子間を閉ループさせてショートブレーキを掛けてブレーキ制御することができるため、回転制御装置の構成を簡易にできて容易に回転制御することができる点で好ましい。
【0019】
特に、前記回路開閉装置の接続及び遮断を繰り返す開閉周期を、発電機の回転速度の基準となる回転基準信号の周期よりも短くなるようにチョッピング制御すれば、チョッピングによる昇圧を行うことができるので、起電力を向上できるとともに、効率的なブレーキ制御を行うことができる点で好ましい。
【0020】
前記電圧制御装置は、前記降圧装置の作動により蓄電装置の電圧が前記第1設定電圧以下である第2設定電圧以下に低下した場合、または前記トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルクよりも小さな第2設定トルク以下に低下した場合のいずれか一方の場合に、前記降圧装置を停止することが好ましい。
【0021】
ここで、第2設定電圧の具体的な値は適宜設定すればよいが、蓄電装置で駆動されるIC等で構成された回転制御装置が作動可能な電圧、特に作動可能な最低電圧であることが好ましく、例えば、0.8V〜1.0V程度である。なお、前記発明において降圧装置を作動させる条件である第1設定電圧と第2設定電圧とは同じ電圧値でもよいし、第1設定電圧を第2設定電圧よりも大きくしてもよい。通常は、第2設定電圧値よりも多少大きめ、例えば1.0V以上程度にすればよい。
【0022】
また、第2設定トルクの具体的な値も適宜設定すればよいが、通常のブレーキ制御によって発電機のロータを基準周期で回転することができる際に加わるトルクの値に設定すればよい。
【0023】
このような構成にすれば、降圧装置の停止制御を、蓄電装置の電圧のみ、あるいは発電機に加わるトルクのみで行えるため、簡単に制御できる。
【0024】
また、前記電圧制御装置は、前記降圧装置が作動されて蓄電装置の電圧が前記第1設定電圧以下である第2設定電圧以下に低下した後に、前記トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルクよりも小さな第2設定トルク以下に低下するまでは、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を第2設定電圧に維持する電圧維持制御を行い、第2設定トルク以下になった場合には、前記降圧装置を停止させて電圧維持制御を解除することが好ましい。
【0025】
このように、発電機に加わるトルクが、第2設定トルクになるまで、降圧装置によって電圧を第2設定電圧に維持するようにすれば、十分な電磁ブレーキ量を確保でき、第2設定電圧に低下した際に即座に降圧装置を停止してしまう場合に比べて、発電機を所定の基準周期に制御することができる。
【0026】
すなわち、第2設定電圧は、例えばICが作動可能な最低電圧であり、その分、電磁ブレーキ量も大きくすることができる。このため、十分な電磁ブレーキ量を確保できて、発電機をより効率的に制御することができる。
【0027】
この際、前記電圧制御装置は、トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルク以上になると、蓄電装置の電圧が第2設定電圧以下に低下するまで前記電圧検出装置を常時作動し、第2設定電圧以下に低下した後は、前記電圧検出装置を一定間隔で作動し、その際に検出された電圧が第2設定電圧以上であれば、電源電圧の電圧が第2設定電圧に低下するまで降圧装置を作動して電圧維持制御を行うことが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、検出トルクが設定トルク以上の場合には、電圧検出装置を常時作動させているので、蓄電装置の電圧が第2設定電圧に低下したことを即座に検出できる。
また、電圧維持制御時は、電圧検出装置を間欠的に駆動させているので、常時駆動させるよりも電圧検出装置の消費電流を削減することができる。
【0029】
ここで、前記電圧検出装置は蓄電装置の出力により駆動されているとともに、降圧装置を停止した際には電圧検出装置も停止するように構成されていることが好ましい。
電圧検出装置を蓄電装置で駆動すれば、別途、電圧検出装置用の駆動源を設ける必要が無く、構造を簡略化できる。
【0030】
また、前記回転制御装置は、トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルク以上になるまでは、前記電圧検出装置を停止していることが好ましい。
このように電圧検出が必要となるまで電圧検出装置を停止していれば、電圧検出装置での消費電力を削減でき、特に蓄電装置で電圧検出装置を駆動している場合には蓄電装置を効率的に充電することができる。
【0031】
また、前記降圧装置は、前記蓄電装置と並列に接続されたバイパス回路と、当該バイパス回路に設けられたバイパス回路用スイッチとを備えて構成され、前記電圧制御装置は、前記蓄電装置の電圧を低下させる場合には、前記バイパス回路用スイッチを接続し、バイパス回路に電流を流して前記蓄電装置の電圧を低下させ、蓄電装置の電圧低下を停止する場合には、前記バイパス回路用スイッチを切断するように構成されていることが好ましい。
【0032】
このような構成では、蓄電装置と並列にバイパス回路が設けられているので、電圧制御装置が蓄電装置の電圧に応じてバイパス回路のバイパス回路用スイッチをオンすると、バイパス回路が導通して発電機からの電気的エネルギがバイパス回路にも流れ込むようになる。従って、蓄電装置に入力される電流を小さくでき、これにより、蓄電装置の電圧を低下させることができる。
【0033】
また、発電機をショートすることなく蓄電装置への入力電流を削減できるので、発電波形が変形したり電圧レベルが低下したりすることがなくなり、発電機の回転周期に対応した発電波形が得られる。従って、発電波形により発電機の回転周期が正確に得られるので、この発電波形に基づいて発電機の回転周期を高精度かつ確実に制御できる。
【0034】
ここで、前記電圧検出装置は、前記バイパス回路内に組み込まれた電圧検出用抵抗を備えており、前記降圧装置は、前記バイパス回路用スイッチを接続してバイパス回路に電流を流し、前記電圧検出用抵抗を介して放電させることで蓄電装置の電圧を降圧させるように構成されていることが好ましい。
【0035】
バイパス回路に抵抗器を設ければ、発電機からの充電電流をバイパス回路に流して蓄電装置に入力される電流を小さくできるとともに、蓄電装置に蓄えられた電荷を抵抗を介して放電させることで蓄電装置の電圧を低下させることができ、蓄電装置の電圧を効果的に低減できる。
【0036】
なお、抵抗器の抵抗値は、蓄電装置の容量にもよるが、例えば蓄電装置として10μFのコンデンサを用いた場合には、100kΩ〜10MΩ程度の範囲が好ましい。この抵抗値を必要以上に小さい値とすると、バイパス回路用スイッチが接続された直後に蓄電装置に充電された電荷がバイパス回路に必要以上に流れ、蓄電装置の電圧が急激に低下しすぎるおそれがある。
【0037】
また、抵抗値が必要以上に大きいと、バイパス回路を流れる充電電流が小さくなり、蓄電装置に流れ込む充電電流をそれほど減少させることができず、蓄電装置の電圧を低下させる割合が小さくなる。従って、抵抗器の抵抗値は、例えば、抵抗器を流れる電流が蓄電装置を流れる電流よりも大きくなるようにして蓄電装置に流れ込む充電電流を小さくでき、かつ蓄電装置の電圧が急激に低下しないような値に設定すればよい。このようにすることで、蓄電装置に入力される電流を大幅に低減でき、かつ蓄電装置の電荷を放電させることができるので、蓄電装置の電圧を短時間で効率よく低下させることができる。
【0038】
さらに、放電によって電圧を低下させるための抵抗器が、電圧検出装置の電圧検出用の抵抗器を兼用していれば、部品点数を少なくできてコストを低減できる。
【0039】
前記電圧検出装置は、前記電圧検出用抵抗における電圧および予め設定された基準電圧を比較するコンパレータと、このコンパレータの出力を保持するラッチ回路とを有することが好ましい。
【0040】
ここで、ラッチ回路とは、常時作動してコンパレータの出力を保持するものである。このため、コンパレータの出力は、コンパレータの駆動・停止に関わらず、つまり、コンパレータが停止している状態においてもラッチ回路によって保持され、ラッチ回路からの出力は連続的に行われる。
【0041】
すなわち、電圧検出装置を一定間隔で駆動させると、電圧検出装置が停止している状態では、コンパレータの出力も停止されるため、その際に、バイパス回路用スイッチがコンパレータの検出に基づく制御状態とは異なる状態に切り替わることが考えられる。例えば、オン状態のバイパス回路用スイッチが、電圧検出装置が停止したときにオフ状態に切り替わると、バイパス回路が発電機と切断されるので蓄電装置の電圧を充分に低下させることができないおそれが生じる。また、オフ状態のバイパス回路用スイッチが、電圧検出装置の停止時にオン状態に切り替わると、バイパス回路が発電機と接続されるので蓄電装置の充電効率が低下する場合がある。
【0042】
これに対し、本発明では、常時駆動しているラッチ回路にコンパレータの出力を保持させることができるので、電圧検出装置が停止している間もコンパレータによるバイパス回路用スイッチの制御状態を維持できるから、バイパス回路用スイッチのオン・オフ制御を高精度に効率よく行える。
【0043】
この場合、前記ラッチ回路は、ラッチ信号に対応して作動されるとともに、このラッチ信号は、前記蓄電装置の電圧が設定値以下の場合には第1時間間隔(例えば2秒間隔)で出力され、設定値を越えた場合には前記第1時間間隔に比べて短い第2時間間隔(例えば1ミリ秒間隔)で出力されることが好ましい。
この場合には、蓄電装置の電圧が設定値を超えている際には、コンパレータの出力変化を即座にラッチ回路からの出力に反映させることができ、応答性のよい回路にすることができる。
【0044】
また、前記電圧検出装置には、蓄電装置の電圧を分圧してコンパレータに入力させるための分圧用抵抗器を備え、コンパレータは、分圧用抵抗器により抵抗分割された電圧を検出して基準値と比較するように構成されていることが好ましい。
【0045】
このように分圧用抵抗器を設けて、蓄電装置の電圧を抵抗分割してコンパレータで検出するようにすれば、コンパレータの種類に応じてコンパレータへの入力電圧を調整できる。例えば、コンパレータの設定値(基準電圧)が規定されている場合等に、その設定値の大小に応じて分圧用抵抗器の抵抗値を変えることで、入力電圧をコンパレータに対応させることができるので、既存の各種コンパレータを用いることができる。
【0046】
前記トルク検出装置は、発電機の回転検出信号および基準信号の一方がアップカウント信号として入力され、他方がダウンカウント信号として入力されるアップダウンカウンタを備え、このアップダウンカウンタの値によって発電機に加わるトルクの大きさを判断するように構成されていることが好ましい。
【0047】
例えば、回転検出信号がアップカウント信号として入力され、基準信号がダウンカウント信号として入力される場合に、発電機に加わるトルクが増加して発電機の回転周期が早くなると、回転検出信号(アップカウント信号)の入力間隔が基準信号(ダウンカウント信号)の入力間隔よりも短くなり、アップダウンカウンタ値は大きくなる。逆に、発電機に加わるトルクが低下すれば、アップダウンカウンタの値は小さくなる。従って、アップダウンカウンタの値によって、発電機に加わっているトルクの値が判断できる。
そして、アップダウンカウンタは、調速制御にも利用できるため、トルク検出用のみの独立した装置を設ける必要がなく、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0048】
ここで、前記回転制御装置は、前記電圧検出装置で検出される蓄電装置の電圧が前記第2設定電圧よりも高い第3設定電圧以上であった場合には、電源電圧の電圧が第3設定電圧以下に低下するまで降圧装置を作動する過充電防止装置を備えていることが好ましい。
なお、第3設定電圧とは、電圧値が非常に大きくて蓄電装置が過充電となるような電圧値であり、例えば2.2V等に設定すればよい。
【0049】
このような過充電防止装置を備えていれば、発電機へのトルクが前記設定トルク以上になった場合だけでなく、蓄電装置の電圧が第3設定電圧以上になった場合も、降圧装置でその電圧を低下させることができるので、ブレーキ量の低減を抑えることができる。
【0050】
その上、蓄電装置の電圧を低下させることができるから、蓄電装置の過充電を防止できる。さらに、蓄電装置の電圧上昇を防止できるため、蓄電装置で駆動される回転制御装置等を構成するICとして耐圧の低いつまり消費電力の少ないICを用いることができる。このため、発電機の駆動を低速化でき、ゼンマイ等の機械的エネルギ源の消耗を少なくできて電子機器の駆動時間を延長することができる。
【0053】
また、本発明の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、前記回転制御装置は、前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出装置と、前記発電機に加わるトルクを検出するトルク検出装置と、前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、前記電圧検出装置で検出された電圧が第1設定電圧以上の状態で、トルク検出装置で検出されたトルクが第1設定トルク以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置とを備えることを特徴とするものである。
【0054】
このような電子制御式機械時計によれば、蓄電装置の電圧が予め設定された第1設定電圧以上であり、かつ発電機に加わるトルクが第1設定トルク以上の場合に、降圧装置を作動して設定電圧まで低下させているので、電磁ブレーキ量を増加することができる。これにより、発電機に大きなトルクが加わっている場合でも、十分なブレーキ量を確保でき、発電機の回転状態に基づいた正確かつ高精度な回転制御を実現できるから、正確な時刻指示を行うことができる。
さらに、発電機の回転速度を基準周期に抑えることができるので、電子制御式機械時計の持続時間を長くすることができる。
【0056】
本発明の電子機器の制御方法は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、前記蓄電装置の電圧が第1設定電圧以上の状態で、発電機に加わるトルクが第1設定トルク以上になった場合に、降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させることを特徴とするものでもよい。
【0057】
本発明において、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させた後、前記トルク検出装置で検出されたトルクが第1設定トルクよりも小さな第2設定トルク以下に低下するまでは、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を第2設定電圧に維持する電圧維持制御を行い、第2設定トルク以下になった場合には、前記降圧装置を停止させて電圧維持制御を解除することが好ましい。
【0058】
これらの電子機器の制御方法においても、発電機に加わるトルクが第1設定トルク以上の場合や、さらに蓄電装置の電圧が第1設定電圧以上の場合に、降圧装置を作動して電圧を低下させているので、電磁ブレーキ量を増加することができる。これにより、発電機に大きなトルクが加わっている場合でも、十分なブレーキ量を確保でき、発電機の回転状態に基づいた正確かつ高精度な回転制御を実現できる。
【0059】
さらに、電圧維持制御を行えば、十分な電磁ブレーキ量を確保でき、第2設定電圧に低下した際に即座に降圧装置を停止してしまう場合に比べて、迅速に発電機を所定の基準周期に制御することができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子制御式機械時計の構成を示すブロック図である。
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達する機械エネルギ伝達装置である増速輪列(番車)7と、増速輪列7に連結されて時刻表示を行う時刻表示装置である指針14とを備えている。
【0061】
発電機20は、増速輪列7を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等からなる整流回路105を通して昇圧、整流され、コンデンサ(蓄電装置)22に充電供給される。また、コンデンサ22の電圧に応じて、発電機20の出力はバイパス回路31にも供給される。
【0062】
調速機に兼用される発電機20には、図2,3に示すように、ブレーキ回路120が組み込まれている。
このブレーキ回路120は、発電機20で発電された交流信号(交流電流)が入力される第1の交流入力端子MG1に接続された第1のスイッチ121と、前記交流信号が入力される第2の交流入力端子MG2に接続された第2のスイッチ122とを有している。
【0063】
第1のスイッチ121は、第2の交流入力端子MG2にゲートが接続されたPchの第1の電界効果型トランジスタ(FET)126と、後述する制御回路56からのチョッピング信号(チョッピングパルス)P1がゲートに入力される第2の電界効果型トランジスタ127とが並列に接続されて構成されている。
【0064】
また、第2のスイッチ122は、第1の交流入力端子MG1にゲートが接続されたPchの第3の電界効果型トランジスタ(FET)128と、制御回路56からのチョッピング信号(チョッピングパルス)P1がゲートに入力される第4の電界効果型トランジスタ129とが並列に接続されて構成されている。
【0065】
ここで、第1の電界効果型トランジスタ126は、交流入力端子MG2の極性が「−」の時に接続され、第3の電界効果型トランジスタ128は、交流入力端子MG1の極性が「−」の時に接続される。つまり、各トランジスタ126,128は、発電機の各端子MG1,MG2のうち、極性「+」の端子に接続された一方のトランジスタがオンされ、他方はオフされて、整流回路の一部を構成している。従って、電界効果型トランジスタ126により第1の整流用スイッチが構成され、電界効果型トランジスタ128により第2の整流用スイッチが構成されている。
【0066】
また、各トランジスタ126,128にそれぞれ並列に接続された第2の電界効果型トランジスタ127と、第4の電界効果型トランジスタ129とは、同じチョッピング信号P1でオン、オフ制御されている。このため、各トランジスタ127,129がチョッピング信号P1で同時にオンされると、整流用スイッチである各トランジスタ126,128の状態に関係なく、第1、第2の交流入力端子MG1,MG2間は短絡等によって閉ループ状態となり、発電機20にはショートブレーキが掛かることになる。従って、発電機20の両端子MG1,MG2間を遮断または閉ループ状態に接続する回路開閉装置は、第1の回路開閉スイッチである電界効果型トランジスタ127と、第2の回路開閉スイッチである電界効果型トランジスタ129とを備えて構成されている。
【0067】
そして、発電機20に接続された昇圧用のコンデンサ123、ダイオード124,125、第1のスイッチ121、第2のスイッチ122を備えて倍電圧整流回路(簡易同期昇圧チョッピング整流回路)105(図1では整流回路105)が構成されている。なお、ダイオード124,125としては、一方向に電流を流す一方向性素子であればよく、その種類は問わない。特に、電子制御式機械時計では、発電機20の起電圧が小さいため、ダイオード125としては降下電圧Vfが小さいショットキーバリアダイオードを用いることが好ましい。また、ダイオード124としては、逆リーク電流が小さいシリコンダイオードを用いることが好ましい。
【0068】
そして、この整流回路105で整流された直流信号は、整流回路105の第1の直流出力端子106および第2の直流出力端子107を通してコンデンサ22に充電される。
【0069】
前記ブレーキ回路120は、コンデンサ22から供給される電力によって駆動される電子回路である回転制御装置50により制御されている。この回転制御装置50は、図1に示すように、発振回路51、ロータの回転検出回路53およびブレーキの制御回路56を備えて構成されている。
【0070】
発振回路51は、時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号(32768Hz)を出力し、この発振信号は、12段のフリップフロップからなる分周回路52によってある一定周期まで分周される。この分周回路の12段目の出力は、8Hzの基準信号fsとして制御回路56に出力されている。
【0071】
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路61とモノマルチバイブレータ62とを有して構成され、発電機20から出力される発電波形からロータの回転速度を検出するようになっている。波形整形回路61は、正弦波を矩形波に変換するものであり、アンプ、コンパレータ等で構成されている。モノマルチバイブレータ62は、ある周期以下のパルスだけを通過させるバンドパス・フィルターとして機能し、ノイズを除去した回転検出信号FG1を制御回路56へ出力する。
【0072】
制御回路56は、アップダウンカウンタ54と、同期回路70と、チョッピング信号発生部80とを備えている。
アップダウンカウンタ54には、回転検出回路53の回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号と、分周回路52からの基準信号fsに基づくダウンカウント信号とが同期回路70を介してそれぞれ入力され、基準信号fsおよび回転検出信号FG1の計数と、その差の算出とが同時に行えるようになっている。
【0073】
なお、このアップダウンカウンタ54には、5つのデータ入力端子(プリセット端子)A〜Eが設けられており、端子A〜DにHレベル信号が入力されていることで、アップダウンカウンタ54の初期値(プリセット値)がカウンタ値「15」に設定されている。
【0074】
また、アップダウンカウンタ54のLOAD入力端子には、コンデンサ22に接続されてコンデンサ22に最初に電力が供給された際に、システムリセット信号SRを出力する初期化回路91が接続されている。なお、本実施形態では、初期化回路91は、コンデンサ22の充電電圧が所定電圧になるまではHレベルの信号を出力し、所定電圧以上になればLレベルの信号を出力するように構成されている。
【0075】
アップダウンカウンタ54は、LOAD入力つまりシステムリセット信号SRがLレベルになるまでは、アップダウン入力を受け付けないため、アップダウンカウンタ54のカウンタ値は「15」に維持される。
【0076】
アップダウンカウンタ54は、5ビットの出力QA〜QEを有している。従って、5ビット目の出力QEは、カウンタ値が「16」以上であればHレベル信号を出力し、カウンタ値が「15」以下であればLレベル信号を出力する。
この出力QEは、チョッピング信号発生部80に接続されている。
【0077】
なお、出力QA〜QEが入力されたNANDゲート111およびORゲート112の各出力は、同期回路70からの出力が入力されるNANDゲート102にそれぞれ入力されている。従って、例えばアップカウント信号の入力が複数個続いてカウンタ値が「31」になると、NANDゲート111からはLレベル信号が出力され、さらにアップカウント信号がNANDゲート102に入力されても、その入力はキャンセルされてアップダウンカウンタ54にアップカウント信号がそれ以上入力されないように設定されている。同様に、カウンタ値が「0」になると、ORゲート112からはLレベル信号が出力されるため、ダウンカウント信号の入力はキャンセルされる。これにより、カウンタ値が「31」を越えて「0」になったり、「0」を越えて「15」になったりしないように設定されている。
【0078】
同期回路70は、前述した分周回路の5段目の出力(1024Hz)や6段目の出力(512Hz)の信号を利用して、回転検出信号FG1を基準信号fs(8Hz)に同期させるとともに、これらの各信号パルスが重なって出力されないように調整している。
【0079】
チョッピング信号発生部80は、分周回路52の出力を利用してチョッピング信号P1を出力するように構成され、出力されたチョッピング信号P1は、図3に示すように、Pchの電界効果型トランジスタ127,129のゲートに入力されている。
【0080】
具体的には、チョッピング信号発生部80は、3つのANDゲート82〜84で構成され、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用して第1のチョッピング信号CH1を出力する第1チョッピング信号発生手段81と、2つのORゲート86,87で構成され、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用して第2のチョッピング信号CH2を出力する第2チョッピング信号発生手段85と、前記アップダウンカウンタ54からの出力QEと、第2チョッピング信号発生手段85の出力CH2とが入力されるANDゲート88と、このANDゲート88の出力と前記第1チョッピング信号発生手段81の出力CH1とが入力されるNORゲート89とを備えている。
【0081】
このチョッピング信号発生部80のNORゲート89からの出力P1からLレベル信号が出力されると、各トランジスタ127,129、つまりはスイッチ121,122はオン状態に維持され、発電機20がショートされてブレーキが掛かる。
【0082】
一方、出力P1からHレベル信号が出力されると、各トランジスタ127,129はオフ状態に維持され、発電機20にはブレーキが加わらない。従って、出力P1からのチョッピング信号によって発電機20をチョッピング制御することができ、このチョッピング信号を出力するチョッピング信号発生部80を含む回転制御装置50によってスイッチ121,122(スイッチであるトランジスタ127,129)を断続してチョッピング制御する制御装置(制御手段)が構成されている。
【0083】
このようにブレーキ制御される発電機20に対し、図1および図3に示すように、コンデンサ22とバイパス回路31とが並列に接続されている。
バイパス回路31には、主にアップダウンカウンタ54の値(発電機20のロータに加わるトルクの大きさ)に応じてオン・オフされるPchトランジスタからなるバイパス回路用スイッチ33と、抵抗器34とが設けられている。
【0084】
この抵抗器34は、バイパス回路31を流れる電流の割合つまりコンデンサ22側に流れる電流量を調整するものであるとともに、コンデンサ22に蓄えられた電荷を放電させてコンデンサ22の電圧を低下させるように働いている。本実施形態では、抵抗器34の抵抗値は、当該抵抗器34を流れる電流がコンデンサ22を流れる電流よりも大きくなるように、かつコンデンサ22の電圧を急激に低下させすぎないように設定され、例えば、10μFのコンデンサ22を用いた場合には、100kΩ〜10MΩ程度の範囲とされている。
【0085】
従って、本実施形態の抵抗器34は、コンデンサ22に流れる充電電流を減少させ、かつコンデンサ22に充電された電荷を放電させることで、コンデンサ22の電圧を短時間で降下させることができるようにされており、この抵抗器34、バイパス回路用スイッチ33およびバイパス回路31を含んで降圧装置が構成されている。
【0086】
コンデンサ22には、当該コンデンサ22の出力により駆動される電圧検出回路32が接続されている。
この電圧検出回路32は、前記バイパス回路用スイッチ33および放電用の抵抗器34を備えると共に、さらに、コンパレータ35と、ラッチ回路36と、AND回路37とを備えている。
【0087】
抵抗器34は、コンデンサ22の電圧VSSVを分圧してコンパレータ35に入力させるための2つの分圧用抵抗器321,322で構成されている。
このため、電圧検出回路32では、コンデンサ22の電圧VSSVを分圧用抵抗器321,322により抵抗分割し、この抵抗分割された電圧VSSV’をコンパレータ35で検出して設定値Vrefと比較することで、コンデンサ22の電圧が設定電圧以上であるか否かを検出している。なお、本実施形態では、降圧装置を作動させる条件である設定電圧と、降圧装置の作動を停止するための条件である第2設定電圧とは同じ値(0.8V)とされている。
【0088】
例えば、分圧用抵抗器321,322の各抵抗値をそれぞれ1MΩとしてコンデンサ22の電圧を10:10に分圧する場合、コンデンサ22の電圧が0.8V未満にならないようにそのリミット電圧(VLIM2)を0.8Vとすると、コンパレータ35の設定値Vrefは0.4Vとなる。
【0089】
そして、コンパレータ35は、検出電圧VSSV’が0.4V以上であれば、つまりコンデンサ22の電圧が0.8V以上(設定電圧つまり第2設定電圧以上)であれば「Lレベル信号」を出力し、検出電圧VSSV’が0.4V未満、つまりコンデンサ22の電圧が0.8V未満であれば「Hレベル信号」を出力するようにされている。
【0090】
コンパレータ35の出力は、ラッチ回路36に入力される。ラッチ回路36は、コンパレータ35の出力を保持するものであり、ラッチ信号によってラッチ回路36を作動させている。この際、ラッチ信号は、電圧検出回路32、具体的にはコンパレータ35が動作するタイミングに応じて(例えば第1設定時間間隔であり、具体的には2秒間隔で)出力されるとともに、検出値VSSV’がVrefを越えている際にコンパレータ35から出力されるLレベル信号がラッチ回路36に入力されている間は、第2設定時間間隔、具体的には1ミリ秒間隔で出力されている。
【0091】
ラッチ回路36の出力は、AND回路37に入力されている。このAND回路37には、一定間隔(本実施形態では2秒間隔)でLレベル信号が入力されるサンプリングクロックも入力されている。このAND回路37の出力は、電源制御回路90に入力されている。
【0092】
電源制御回路90は、AND回路37の出力およびアップダウンカウンタ54の出力に応じて、前記バイパス回路用スイッチ33をオン、オフする制御信号P2を出力する。前記バイパス回路用スイッチ33は、Pchトランジスタであるため、信号P2がLレベルの際に接続(オン)され、Hレベルの際に切断(オフ)される。
【0093】
そして、コンパレータ35つまりは電圧検出回路32を駆動させる電力は、バイパス回路用スイッチ33を介して供給されているため、電圧検出回路32は、電源制御回路90によってバイパス回路用スイッチ33が接続された時のみ駆動するようにされている。
【0094】
次に、本実施形態における動作を説明する。
発電機20が作動し始めると、制御回路56においては、回転検出回路53から出力された回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号と、分周回路から出力された基準信号fsに基づくダウンカウント信号とが、アップダウンカウンタ54に入力されてカウントされる。この際、同期回路70は、各信号がカウンタ54に同時に入力されないように出力調整を行う。
【0095】
アップダウンカウンタ54にアップカウント信号が入力されてカウント値が所定の値以上になると、チョッピング信号発生部80への出力がHレベル信号となる。一方、ダウンカウント信号が入力されてカウント値が所定の値を下回ると、出力はLレベル信号となる。
このアップダウンカウンタ54の出力に基づき、チョッピング信号発生部80は、分周回路52の出力を利用して出力P1を出力する。
【0096】
すなわち、チョッピング信号発生部80からスイッチ121,122の各トランジスタ127,129への出力P1は、アップダウンカウンタ54からLレベル信号が出力されている場合は、デューティ比(スイッチ121,122をオンしている比率)の小さなチョッピング信号、つまり、Hレベル信号(ブレーキオフ時間)が長くかつLレベル信号(ブレーキオン時間)が短いチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が短くなり、発電機20に対しては、ほとんどブレーキが掛けられない、つまり発電電力を優先した弱ブレーキ制御が行われる。
【0097】
一方、アップダウンカウンタ54からHレベル信号が出力されている場合、チョッピング信号発生部80の出力P1は、デューティ比の大きなチョッピング信号、つまり、Lレベル信号(ブレーキオン時間)が長くかつHレベル信号(ブレーキオフ時間)が短いチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が長くなり、発電機20に対してはブレーキ力の大きな強ブレーキ制御が行われるが、一定周期でブレーキがオフされるためにチョッピング制御が行われ、発電電力の低下を抑えつつ制動トルクを向上することができる。
【0098】
なお、アップダウンカウンタ54の出力およびチョッピング信号は、共に分周回路52の出力を利用しているため、つまり、チョッピング信号P1の周波数が分周回路52の出力の周波数の整数倍とされているため、出力レベルの変化つまり強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御の切替タイミングと、チョッピング信号P1とは同期して発生する。
【0099】
また、倍電圧整流回路(簡易同期昇圧チョッピング整流回路)105では、次のようにして発電機20で発電した電荷をコンデンサ22に充電している。
すなわち、第1の交流入力端子MG1の極性が「−」で第2の交流入力端子MG2の極性が「+」の時には、第1の電界効果型トランジスタ(FET)126がオフされ、第3の電界効果型トランジスタ(FET)128がオンされる。このため、発電機20で発生した誘起電圧の電荷は、図3に示す「▲4▼→▲3▼→▲7▼」の回路によって例えば0.1μFのコンデンサ123に充電されるとともに、「▲4▼→▲5▼→▲1▼→▲2▼→▲3▼→▲7▼→▲4▼」の回路によって例えば10μFのコンデンサ22に充電される。
【0100】
一方、第1の交流入力端子MG1の極性が「+」で第2の交流入力端子MG2の極性が「−」に切り替わると、第1の電界効果型トランジスタ(FET)126がオンされ、第3の電界効果型トランジスタ(FET)128がオフされる。このため、図3に示す「コンデンサ123→▲4▼→▲7▼→▲6▼→▲5▼→▲1▼→▲2▼→▲3▼→コンデンサ123→▲4▼→▲7▼」の回路によって、発電機20で発生した誘起電圧と、コンデンサ123の充電電圧とが加えられた電圧でコンデンサ22が充電される。
【0101】
この際、各々の状態において、チョッピングパルスP1により発電機20の両端が短絡して開放されると、発電機20のコイルの両端に高電圧が誘起され、この高い充電電圧によって蓄電装置(コンデンサ)22を充電できるので、充電効率が向上する。
【0102】
そして、発電機20のMG1,MG2からは、磁束の変化に応じた交流波形が出力される。このとき、発電機20の出力信号に応じて周波数は一定でかつデューティ比の異なるチョッピング信号P1がスイッチ121,122(トランジスタ127,129)に適宜印加され、アップダウンカウンタ54がHレベル信号を出力した時、つまり強ブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が長くなってブレーキ量が増えて発電機20は減速される。そして、ブレーキが掛かる分、発電量も低下するが、このショートブレーキ時に蓄えられたエネルギを、チョッピング信号P1によりスイッチ121,122(トランジスタ127,129)をオフした際に出力してチョッピング昇圧することができるため、ショートブレーキ時の発電量低下を補うことができ、発電電力の低下を抑えながら、制動トルクを増加することができる。
【0103】
逆に、アップダウンカウンタ54がLレベル信号を出力した際、つまり弱ブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が短くなってブレーキ量が減って発電機20は増速される。この際も、チョッピング信号P1によりスイッチ121,122をオンからオフした際にチョッピング昇圧することができるので、まったくブレーキを掛けずに制御した場合に比べても発電電力を向上させることができる。
【0104】
このような発電による発電機20からの交流出力は、倍電圧整流回路105によって昇圧、整流されてコンデンサ22に充電され、このコンデンサ22からの出力により回転制御装置50が駆動される。
【0105】
電源制御回路90は、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が第1カウンタ設定値である「18」に達するまでは、バイパス回路用スイッチ33をオフ(切断)しており、電圧検出回路32は未動作状態とされている。
【0106】
ここで、アップダウンカウンタ54のカウンタ値は、発電機20が正常に調速されている状態では、アップカウント信号と、ダウンカウント信号とが交互に入力されるため、カウンタ値が「16」と「15」とを繰り返すロック状態になる。一方で、ゼンマイ1aのトルクが高い状態や、衝撃等の外乱が発生するなどで発電機20の回転速度が高くなるとアップカウント信号が続けて入力されるため、カウンタ値が「16」から「17」、「18」に高まることがある。
【0107】
つまり、増速輪列7のエネルギー伝達効率が一時的に高まることなどで、発電機20に加わるトルクが増大し、その結果カウンタ値が大きくなるため、カウンタ値によって発電機20に加わるトルクの大きさが把握できる。従って、アップダウンカウンタ54や同期回路70等によって、本発明のトルク検出装置が構成されている。
【0108】
そして、カウンタ値が「18(第1カウンタ設定値)」になると、図4,5に示すように、電源制御回路90は、発電機20に加わるトルクが設定トルク以上になったと判断して制御信号P2をLレベル信号にし、バイパス回路用スイッチ33を常時接続し、電圧検出回路32は常時動作状態に移行する。
【0109】
なお、スイッチ33が接続されると、図5に示すように、ラッチ信号源からラッチ用クロックが出力されてラッチ回路36に入力される。すなわち、ラッチ用クロックは、スイッチ33が接続されて電圧検出回路32が動作状態になった場合のみ出力されるように構成されている。これにより、例えば1kHz等と周波数の高いラッチ用クロックを常時出力する必要が無く、その分、消費電力を低減できるようにされている。
【0110】
スイッチ33が接続されると、コンパレータ35が作動し、コンデンサ22の電圧に対応した分圧用抵抗器321,322の電圧が検出される。ここで、電源電圧は、設定電圧(第2設定電圧)値(VLIM2)以上であるため、コンパレータ35の出力はLレベル信号に変化する。
このため、ラッチ用クロックがラッチ回路36に入力されると、ラッチ回路36の出力もLレベル信号となり、AND回路37の出力もLレベル信号になる。
【0111】
ここで、バイパス回路用スイッチ33がオンされ続けてバイパス回路31が導通状態に維持されると、電源VDD側から電源VSSV側に向かって分圧用抵抗器321,322を介して電流が流れる。すなわち、直列に接続された分圧用抵抗器321,322がバイパス回路31の放電用の抵抗器34としても機能する。このため、コンデンサ(蓄電装置)22の電荷は、抵抗器34で放電され、コンデンサ22の電圧は急速に降下する。
【0112】
そして、電圧検出回路32で検出しているコンデンサ22の電圧が、第2電圧設定値(VLIM2)まで低下すると、コンパレータ35の出力が変化(LレベルからHレベルに変化)する。すると、ラッチ回路36の出力がHレベル信号になり、AND回路37の出力もHレベル信号になる。そして、その変化に応じて電源制御回路90は制御信号P2をHレベル信号に変化してバイパス回路用スイッチ33を切断し、電圧検出回路32をサンプリング動作状態にする。
【0113】
このサンプリング動作状態では、電源制御回路90は、サンプリングクロックを利用して一定間隔(本実施形態では2秒間隔)でバイパス回路用スイッチ33を接続し、電圧検出回路32を駆動する。
すなわち、サンプリングクロック(Lレベル信号)が入力されると、AND回路37がLレベル信号に変化し、それに伴い電源制御回路90は、制御信号P2をLレベル信号に変化させてスイッチ33を接続する。
【0114】
すると、電圧検出回路32が駆動され、この際に、コンデンサ22の電圧が設定電圧(第2設定電圧)以上であれば、コンパレータ35の出力がLレベル信号になり、ラッチ回路36の出力もLレベル信号になるため、AND回路37はサンプリングクロックの信号入力が終了してもLレベル信号を維持する。これにより、電源制御回路90はスイッチ33の接続を続行し、バイパス回路31で放電を続行する。
【0115】
放電の続行により、コンデンサ22の電圧が低下して第2設定電圧値まで低下すると、前述の通り、コンパレータ35の出力がHレベル信号に変化し、ラッチ用クロックの入力に応じてラッチ回路36、AND回路37もHレベル信号に変化するため、制御信号P2もHレベル信号になり、電源制御回路90はスイッチ33を切断する。
【0116】
この切断によって放電も終了するので、コンデンサ22の電圧が再度徐々に上昇するが、サンプリング期間(2秒間)での電圧上昇は僅かであるため、電圧検出回路32で電圧が検出されれば、スイッチ33が接続されて放電される。
従って、サンプリング動作状態では、コンデンサ22の電圧はほぼ設定電圧値(0.8V)に維持される。これにより、電圧維持制御が行われる。
【0117】
そして、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「15」(初期状態)に低下すると、電源制御回路90は、発電機20に加わるトルクが第2設定トルク以下になったと判断し、制御信号P2がLレベル信号でスイッチ33を接続している場合でも、強制的にスイッチ33を切断し、電圧検出回路32を未動作状態に戻す。
その後、再度、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「18」になれば、電圧検出回路32は動作状態に移行され、上記処理を繰り返すことになる。
【0118】
以上のように、電源制御回路90は、A)アップダウンカウンタ値が「17」以下(発電機20に加わるトルクが設定トルク未満)であれば、スイッチ33を切断して電圧検出回路32を未動作状態に維持し、B)アップダウンカウンタ値が「18」に達する(発電機20に加わるトルクが設定トルク以上になる)と、スイッチ33を常時接続して電圧検出回路32を常時動作状態にし、C)電圧検出回路32が常時動作状態の際に電圧が設定電圧(第2設定電圧)に達すると、サンプリング信号によって電圧検出回路32を作動し、かつ電圧値が第1設定値以下になればスイッチ33をオフするサンプリング動作状態(電圧維持制御)に維持し、D)サンプリング動作状態の際に、アップダウンカウンタ値が「15」まで低下する(発電機20に加わるトルクが第2設定トルク以下になる)と、電圧検出回路32を未動作状態に戻すように制御している。
【0119】
なお、電源制御回路90は、前記B)の電圧検出回路32が常時動作状態とされている際に、前記電圧が第2設定電圧値まで低下する前に、前記アップダウンカウンタ値が「15」(第2設定トルク)に低下した場合には、即座に電圧検出回路32を未動作状態に戻すように制御している。
【0120】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「18」になった際、つまりゼンマイ1aからのトルクが大きくなった時に、スイッチ33を接続してコンデンサ22の電圧を低下させたので、コンデンサ22の電圧がそれ以上に高い場合に比べて発電機20に加えることができるブレーキトルク量を大きくできる。特に、本実施形態では、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「15」になるまでは、ICなどで構成された回転制御回路50が作動可能な範囲で最も低い電圧(作動可能最低電圧)である第2設定電圧である0.8Vまでコンデンサ22の電圧を低下させるように構成しているので、回転制御回路50を正常動作状態に維持しながら発電機20に加えることができる最大のブレーキトルクを加えることができ、発電機20の調速制御を確実に行うことができる。
このため、ゼンマイ1aがフル巻き状態で増速輪列7の伝達効率のばらつきや、落下、衝撃、振動等の外乱によってエネルギ伝達効率が高くなり、発電機20のロータに大きなトルクが加わった場合でも、ブレーキ不足によって発電機20(ロータ)の速度制御が破綻することがなく、時計の指示が進んでしまうという問題も回避できる。
【0121】
(2)また、必要なブレーキ量を確保できるため、発電機20の回転速度を基準周期に抑えることができ、ゼンマイ1aの消耗を少なくすることができるので、電子制御式機械時計の持続時間を長くすることができる。
【0122】
(3)電源制御回路90は、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「18」(設定トルク)になるまでは、スイッチ33を切断しており、電圧検出回路32も停止しているので、通常のトルクが加わっている場合には、電圧検出回路32により電流を消費しないので、コンデンサ22の充電効率を向上することができる。
【0123】
(4)アップダウンカウンタ54のカウンタ値が一旦「18」(設定トルク)になると、電圧検出回路32を常時駆動しているので、バイパス回路31の抵抗器34を利用した放電でコンデンサ22の電圧が低下している際に、その電圧が第2設定電圧(VLIM2=0.8V)以下になれば即座にスイッチ33を切断し、抵抗器34による放電を中止、つまり降圧装置を停止できる。これにより、コンデンサ22の電圧が第2設定電圧以下に低下し、IC等で構成された回転制御装置50が停止してしまうことがなく、回転制御装置50による制御を確実に続行できる。
【0124】
(5)さらに、大きなトルクが加わっている場合に、大きなブレーキを掛けてコンデンサ22の電圧を第2設定電圧に低下させた後に、即座にブレーキを解除してしまうと、ブレーキ量が不足して発電機20が基準周期に戻るまでに時間が掛かってしまう場合があるが、本実施形態では、コンデンサ22の電圧が第2設定電圧になった際に、電圧検出回路32を完全に停止するのではなく、サンプリング動作にしてコンデンサ22の電圧を第2設定電圧(0.8V)に維持する電圧維持制御を行っているので、十分な電磁ブレーキ量を確保でき、迅速に発電機20を所定の基準周期に制御することができる。
【0125】
(6)また、電圧維持制御時には、電圧検出回路32は、一定間隔で駆動するように構成されているので、常時駆動させるよりも電圧検出回路32の消費電流を削減できるから、コンデンサ22の充電効率を向上させることができる。
【0126】
(7)電圧検出回路32はコンデンサ22の出力により駆動されるので、別途電圧検出回路用の駆動源を設けなくてもよくなるので、構造を簡略化できる。
【0127】
(8)発電機20に対してコンデンサ22とバイパス回路31とを並列に接続し、発電機20に大きなトルクが加わった場合、つまり発電電力が大きい場合に、発電機20からの電気的エネルギをバイパス回路31に流すようにしたので、コンデンサ22に入力される電流を小さくでき、これにより、コンデンサ22の電圧を低下させることができるから、コンデンサ22の過充電を防止できる。
【0128】
また、発電機20を発電させたままコンデンサ22への入力電流を減らすことができるので、発電波形が変形したり電圧レベルが低下したりすることがなくなるから、回転検出回路53により、発電機20の回転周期に正確に対応した発電波形を検出できる。従って、高精度な回転検出信号FG1が得られるので、回転制御装置50は、発電機20の回転状態に基づいた正確かつ高精度な回転制御を実現できるから、正確な時刻指示を行うことができる。
【0129】
(9)電圧検出回路32には、コンパレータ35の出力を保持させるためのラッチ回路36が設けられているので、電圧検出回路32が停止している間もコンパレータ35によるバイパス回路用スイッチ33の制御状態を維持できるから、バイパス回路用スイッチ33のオン・オフ制御を高精度に効率よく行える。
【0130】
(10)さらに、電圧検出回路32には、コンパレータ35の電圧を分圧する分圧用抵抗器321,322が設けられ、コンパレータ35は、分圧用抵抗器321,322により抵抗分割された電圧VSSV’を検出して設定値Vrefと比較するので、コンパレータ35の種類に応じて分圧用抵抗器321,322の抵抗値を変えることにより、コンパレータ35への入力電圧を調整できるから、既存の各種コンパレータを採用できる。
【0131】
(11)バイパス回路31には所定の抵抗値の抵抗器34が設けられているので、バイパス回路用スイッチ33をオンした直後に、コンデンサ22に充電された電荷がバイパス回路31に急激に流れてコンデンサ22の電圧が急激に低下することを防止でき、急激な電圧低下による電子制御式機械時計での異常の発生や停止を防止できる。
【0132】
(12)抵抗器34の抵抗値は、当該抵抗器34を流れる電流がコンデンサ22を流れる電流よりも大きくなるように設定されているので、コンデンサ22に入力される電流を大幅に小さくできるから、コンデンサ22の電圧を短時間で効率よく低下させることができる。さらに、抵抗器34によって、コンデンサ22に蓄えられた電荷を放電させることができるので、コンデンサ22の電圧をより一層短時間で効率的に低下させることができる。
【0133】
(13)倍電圧整流回路(簡易同期昇圧チョッピング整流回路)105は、各端子MG1,MG2にゲートが接続された第1,3の電界効果型トランジスタ126,128を用いて整流制御を行っているので、コンパレータ等を用いる必要が無く、構成が簡単になって部品点数を少なくでき、かつコンパレータの消費電力による充電効率の低下も防止できる。さらに、発電機20の端子電圧(交流入力端子MG1,MG2の電圧)を利用して電界効果型トランジスタ126,128のオン、オフを制御しているので、発電機20の端子の極性に同期して各電界効果型トランジスタ126,128を制御することができ、整流効率を向上することができる。
【0134】
(14)チョッピング制御される第2,4の電界効果型トランジスタ127,129を各トランジスタ126,128に並列に接続することで、チョッピング制御を独立して行うことができ、かつ構成も簡易にできる。
従って、構成が簡易で、発電機20の極性に同期し、かつ昇圧しながらチョッピング整流を行える倍電圧整流回路(簡易同期昇圧チョッピング整流回路)105を提供することができる。
【0135】
(15)整流回路105では、コンデンサ123を用いた昇圧に加えて、チョッピングによる昇圧を行うことができるので、整流回路105の直流出力電圧つまりコンデンサ22への充電電圧を高めることができる。
【0136】
(16)ブレーキ制御を、デューティ比の異なる2種類のチョッピング信号を用いて行っているので、充電電圧(発電電圧)を低下させることなくブレーキ(制動トルク)を大きくすることができる。特に、強ブレーキ制御時にはデューティ比の大きなチョッピング信号を用いて制御しているので、充電電圧の低下を抑えながら制動トルクを大きくすることができ、システムの安定性を維持しながら、効率的なブレーキ制御を行うことができることから、電子制御式機械時計の持続時間も長くすることができる。
【0137】
(17)弱ブレーキ制御時にも、デューティ比の小さなチョッピング信号によりチョッピング制御しているので、弱ブレーキ制御時の充電電圧をより向上することができる。
【0138】
(18)トルク検出装置として、調速制御に用いられるアップダウンカウンタ54を兼用しているので、トルク検出用のみの独立した装置を別途設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0139】
(19)バイパス回路31を、発電機20に対して回路開閉装置である各スイッチ121,122(トランジスタ127,129)および整流回路105よりもコンデンサ22側に配置しているので、バイパス回路31が動作しても、回路開閉装置による回転制御動作と、整流回路105による整流動作とが妨げられることがなく、かつブレーキ量確保のためのコンデンサ22の降圧処理も確実に実行できる。
【0140】
次に、本発明の第2実施形態について、図6〜8に基づいて説明する。本実施形態は、前記第1実施形態に対して、さらに過充電防止回路を設けたものである。なお、本実施形態において、前記第1実施形態と同一または相当の構成部材には同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
【0141】
すなわち、本実施形態の電子制御式機械時計は、図6に示すように、電圧検出回路32の他に、過充電防止用検出回路132を備えている。
この過充電防止用検出回路132は、電圧検出回路32とほぼ同様の構成を備えるものである。具体的には、過充電防止用検出回路132は、コンパレータ135と、ラッチ回路136と、AND回路137とを備えている。
【0142】
コンパレータ135は、前記コンパレータ35と同様に、分圧用抵抗器321,322により抵抗分割された電圧VSSV’を検出して設定値Vref2と比較することで、コンデンサ22の電圧が第3設定電圧(本実施形態では2.2V)以上であるか否かを検出している。
【0143】
ラッチ回路136は、コンパレータ135の出力を保持するものであり、ラッチ信号によって作動される。この際、ラッチ信号は、電圧検出回路32、具体的にはコンパレータ35,135が動作するタイミングに応じて(例えば2秒間隔で)出力されるとともに、検出値VSSV’がVref2を越えている際にコンパレータ135から出力されるLレベル信号がラッチ回路136に入力されている間は、第2設定時間間隔、具体的には1ミリ秒間隔で出力されている。
【0144】
ラッチ回路136の出力は、AND回路137に入力されている。このAND回路137にも、AND回路37と同じサンプリングクロックが入力されている。
【0145】
AND回路137の出力は、電源制御回路90からの出力P2と共にAND回路39に入力されている。
従って、電源制御回路90の出力P2あるいはAND回路137のいずれかの出力がLレベル信号であれば、バイパス回路用スイッチ33が接続され、両方ともがHレベル信号であれば、バイパス回路用スイッチ33はオフされる。
【0146】
このような第2実施形態における動作を説明する。
制御回路56による発電機20の調速制御や、発電機20からの起電力の整流、充電処理は、前記第1実施形態と同じである。
【0147】
本実施形態では、電源制御回路90は、前記第1実施形態と同じく、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が第1カウンタ設定値(設定トルク)である「18」に達するまでは、出力P2はバイパス回路用スイッチ33をオフ(切断)するHレベル信号を出力している。
【0148】
一方、過充電防止用検出回路132では、AND回路137に入力されるサンプリングクロックによって、2秒間隔でLレベル信号を出力する。これにより、バイパス回路用スイッチ33が2秒間隔でオンされる。これにより、バイパス回路31に電流が流れてコンパレータ35,135が駆動され、前記第1実施形態と同様に、コンデンサ22の電圧VSSVが分圧用抵抗器321,322により抵抗分割されてコンパレータ35,135に入力される。
【0149】
コンパレータ135は、図7に示すように、検出電圧VSSV’が設定値Vref2(コンデンサ22の電圧が第3設定電圧値VLIM=2.2V以上であるか否かを判断するものであり、本実施形態では具体的には1.1Vである)以上であればLレベル信号を出力する。
【0150】
この出力は、ラッチ回路136で保持され、さらにAND回路137に入力される。ここで、ラッチ回路136からの信号がLレベル信号であるため、AND回路137からはサンプリングクロックの変化に関係なくLレベル信号が出力し続ける。これにより、Pchトランジスタからなるバイパス回路用スイッチ33がオンされ続けてバイパス回路31が導通状態に維持され、電源VDD側から電源VSSV側に向かって分圧用抵抗器321,322を介して電流が流れる。
【0151】
このとき、バイパス回路31を流れる電流は、分圧用抵抗器321,322の抵抗によってコンデンサ22に流れ込む充電電流よりも大きくなる。このようにバイパス回路31が導通すると、コンデンサ22への入力電流が減少し、またコンデンサ22に蓄えられた電荷が分圧用抵抗器321,322を介して放電される。これにより、コンデンサ22の電圧は次第に低下して、リミット電圧(VLIM=2.2V)以下まで低下する。
【0152】
そして、コンパレータ135の検出電圧値VSSV’が設定値Vref2以下に低下してコンパレータ135の出力がHレベル信号に変化すると、ラッチ信号が非常に短い間隔で入力されていることから、図8に示すように、殆どタイムラグが無い状態でラッチ回路136の出力もHレベル信号に変化する。このため、サンプリングクロックが入力されるまでは、AND回路137の出力はHレベル信号となり、バイパス回路用スイッチ33がオフされてコンパレータ135や電圧検出回路32が停止する。
【0153】
一方、サンプリングクロックによって電圧検出回路32が駆動された際に、検出値VSSV’が設定値Vref2以下の場合、つまり、コンデンサ22の電圧がリミット(第3設定)電圧(VLIM)以下の場合、コンパレータ135の出力はHレベル信号となり、ラッチ回路136からの出力もHレベル信号に維持されるため、バイパス回路用スイッチ33はオフ状態とされてバイパス回路31が切断される。これにより、発電機20から出力された電気的エネルギは、バイパス回路31には流れないでコンデンサ22に流れ込んで充電される。
【0154】
このように過充電防止用検出回路132は、サンプリングクロックによるサンプリング動作を常時行っているため、コンデンサ22の電圧VSSV(電源電圧)が、所定のリミット電圧(VLIM)を越えないように制御している。
【0155】
一方、電圧検出回路32は、過充電防止用検出回路132がサンプリング動作する際に、バイパス回路用スイッチ33を一定間隔でオンするために、結果的にはサンプリング動作するが、電源制御回路90を介して制御信号P2を出力しているため、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「18(第1カウンタ設定値)」になるまでは、実質的には未動作状態のままである。
【0156】
そして、図7に示すように、アップダウンカウンタ54が「18」になれば、前記第1実施形態と同様に、バイパス回路用スイッチ33を常時接続し、電圧検出回路32は常時動作状態に移行し、コンデンサ22の電圧は急速に降下する。
【0157】
そして、電圧検出回路32で検出しているコンデンサ22の電圧が、第2電圧設定値(VLIM2)まで低下すると、コンパレータ35の出力が変化(LレベルからHレベルに変化)し、その変化に応じて電源制御回路90はバイパス回路用スイッチ33を切断し、電圧検出回路32をサンプリング動作状態とし、コンデンサ22の電圧も第2設定電圧にほぼ維持する。
【0158】
そして、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「15」(初期状態)に低下すると、電源制御回路90はスイッチ33を切断し、電圧検出回路32を未動作状態に戻す。
その後、再度、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「18」になれば、電圧検出回路32は動作状態に移行され、上記処理を繰り返すことになる。
【0159】
なお、アップダウンカウンタが「18」になってから「15」になるまでの間、つまり電圧検出回路32が常時動作およびサンプリング動作になっている時は、過充電防止用検出回路132も同時にサンプリング動作を行うことになる。ここで、電源電圧が2.2V以上になっても、過充電防止用検出回路132および電源制御回路90の両方が同時に放電動作、つまりスイッチ33の接続指示を行うだけであるから、制御上はまったく問題はない。
【0160】
一方、電圧検出回路32が常時動作およびサンプリング動作になっていない場合は、専ら過充電防止用検出回路132による制御が行われることになる。
このように本実施形態では、過充電防止用検出回路132およびバイパス回路31のバイパス回路用スイッチ33、抵抗器34により、過充電防止回路が構成されている。
【0161】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる上、次のような効果がある。
【0162】
(20)過充電防止回路により、コンデンサ22の過充電を防止しているので、コンデンサ22の電圧が必要以上に高くなって充電電流が減少し、これによるブレーキ効果が小さくなることを防止でき、この点でも必要なブレーキ量を確保することができる。
【0163】
(21)コンデンサ22の過充電を防止できるため、コンデンサ22で駆動される回転制御装置50等を構成するICとして耐圧の低いつまり消費電力の少ないICを用いることができる。このため、発電機20の駆動を低速化でき、ゼンマイ1aの消耗を少なくできて電子制御式機械時計の使用時間をより長期化することができる。
【0164】
(22)時計のテストモードなどでブレーキを印加しない状態に設定されて、発電機20から通常状態に比較して大きな発電電流がコンデンサ22に供給された場合でも、バイパス回路31に充電電流を流すことができ、コンデンサ22の過充電を確実に防止できる。
【0165】
(23)コンデンサ22の電圧が設定値を越えている間は、電圧検出回路32を常時駆動しているので、コンデンサ22の電圧が第3設定電圧値(VLIM)よりも高い状態から第3設定電圧値以下に低下した際に、瞬時にバイパス回路用スイッチ33を切断してバイパス回路31に流れる電流を遮断することができる。このため、コンデンサ22の電圧が設定値を超えている間も、一定間隔で電圧を検出する第1実施形態に比べて、電圧低下時にバイパス回路用スイッチ33の切断が遅れて電圧が必要以上に降下することを防止でき、コンデンサ22の電圧を設定電圧近くに常時維持することができる。
さらに、コンデンサ22の電圧が第3設定値(VLIM)を超えている場合に、電圧検出回路32を常時駆動しているので、バイパス回路31に流れる消費電流を増加させることができ、この点でもコンデンサ22の過充電を効果的に抑えることができる。
【0166】
(24)また、電圧低下時に瞬時にバイパス回路用スイッチ33を切断できるため、バイパス回路31の抵抗値を大きくして電圧降下の速度を抑える必要がなく、バイパス回路31の抵抗値を比較的小さくできる。このため、バイパス回路31の電流を流す能力を高めることができ、コンデンサ22の電圧が非常に高くなった際に、より多くの電流をバイパス回路31に流すことができ、コンデンサ22への過充電を効果的に防止することができる。
【0167】
(25)バイパス回路31の抵抗器34やバイパス回路用スイッチ33は、電圧検出回路32においても兼用しているので、その分、部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
その上、電圧検出回路32および過充電防止用検出回路132の構成は、コンパレータ35,135、ラッチ回路36,136、AND回路37,137をそれぞれ備えている点で殆ど同一であるため、回路構成を簡易化できる。
【0168】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【0169】
すなわち、前記実施形態では、バイパス回路31に抵抗器34を設けたが、抵抗器34の代わりに、ダイオードを設けてもよい。ダイオードを設けた場合も、発電機20からの充電電流をバイパス回路31側に流すことができてコンデンサ22の過充電を防止したり、電圧を低下させることができる。さらに、バイパス回路31のスイッチ33が接続された直後に、コンデンサ22からバイパス回路31に電流が流れることを防止でき、コンデンサ22の電圧が急激に低下することを防止できる。
【0170】
なお、バイパス回路31の抵抗器34の抵抗値は、コンデンサ22等で構成される蓄電装置の容量に応じて適宜設定すればよい。また、バイパス回路31の抵抗器34やダイオードは省略してもよい。
【0171】
また、前記実施形態では、電圧検出回路32や過充電防止用検出回路132をコンデンサ22の出力により駆動させるようにしたが、コンデンサ22とは別にボタン電池等の他の電源を設けて、この電源の出力により駆動させるようにしてもよい。
【0172】
トルク検出装置としては、アップダウンカウンタ54を用いたものに限らず、各種のトルクセンサなどを用いて直接発電機20のロータに加わるトルクを検出してもよい。
但し、アップダウンカウンタ54を用いれば、トルク検出だけでなく、ロータの回転制御にも利用できる利点がある。
【0173】
また、制御回路56の構成としては、アップダウンカウンタを用いたものに限らず、基準信号fs用および回転検出信号FG1用にそれぞれ設けた第1および第2の計数手段と、各計数手段の計数値を比較する比較回路とで構成されたものでもよい。ただし、アップダウンカウンタ54を用いたほうが回路構成が簡易になるという利点がある。さらに、回転制御装置50としては、発電機20の回転周期等を検出してその回転周期に基づいて強いブレーキ制御および弱いブレーキ制御を切り替えることができるものであればよく、その具体的構成は実施にあたって適宜設定すればよい。
【0174】
降圧装置としては、バイパス回路31、バイパス回路用スイッチ33および抵抗器34を用いたものに限らず、コンデンサ22の電圧を低下させることができるものであればよい。
また、前記実施形態では、コンデンサ22の電圧が第1設定電圧以下に低下した後に電圧維持制御を行っていたが、この電圧維持制御を行わずに、第1設定電圧以下になったら即座に降圧装置を停止してもよい。
【0175】
さらに、前記降圧装置は、コンデンサ22の電圧が第2設定電圧以下になるまで低下させ、その後、コンデンサ22の電圧を第2設定電圧に維持していたが、降圧装置は、少なくともコンデンサ22の電圧を低下させればよく、必ずしも第2設定電圧以下まで低下させなくてもよい。
【0176】
例えば、降圧装置としては、所定時間動作してその動作によりコンデンサ22の電圧を低下させるような構成のものでもよい。但し、コンデンサ22の電圧が第2設定電圧以下になると回転制御装置50が正常動作が難しくなるため、降圧装置を所定時間動作させる場合でも、コンデンサ22の電圧を検出し、第2設定電圧以下になった場合には、即座に降圧装置を停止させるバックアップ機構を設けておくことが好ましい。
【0177】
さらに、本発明において、第2設定電圧は0.8Vに限らず、IC等で構成される回転制御装置50が作動可能な範囲で最も低い電圧であればよく、ICの種類等に応じて適宜設定すればよい。すなわち、より低電圧で動作可能なICを用いた場合には、0.8Vよりも低い電圧を第2設定電圧としてもよいし、より高い電圧でなければ動作できないICを用いた場合には、1.0V等のより高い電圧を第2設定電圧とすればよい。
【0178】
さらに、第2設定電圧は、必ずしも回転制御装置50の動作可能な最低電圧に限らず、より高い電圧などを設定してもよく、これらは実施にあたって適宜設定すればよい。但し、制御可能なブレーキトルクを大きくできる点で、回転制御装置50が作動可能な最低電圧以上で、かつ、できるだけこの最低電圧に近い電圧(最低電圧近傍)に設定することが好ましい。
【0179】
また、前記実施形態では、設定電圧値は第2設定電圧と同じであったが、第2設定電圧以上の値に設定してもよい。すなわち、第2設定電圧が0.8Vの場合に、設定電圧を1.0〜1.2V程度に設定し、アップダウンカウンタ値が「18」以上になっても、コンデンサ22の電圧が設定電圧以上になっていなければ、外乱等で一時的にトルクが増大したと判断し、降圧装置の作動つまりスイッチ33の接続を行わないようにしてもよい。なお、この場合には、電圧を検出するコンパレータ35を2つ設けるなどすればよい。
【0180】
また、前記実施形態では、トルク検出装置を設け、発電機20に加わるトルクが設定トルク以上になった場合に、降圧装置を作動させていたが、本発明は、トルク検出装置を設けずに、電圧検出装置を設け、この電圧検出装置で検出された電圧が所定の設定電圧以上になった場合に、降圧装置を作動させて蓄電装置の電圧を低下させ、ブレーキトルクを向上させるように構成してもよい。すなわち、蓄電装置の電圧が高いということは、通常は発電機20に加わるトルクが高くなっていることが原因であるから、発電機20に加わるトルクを直接検出せずに、蓄電装置の電圧によって間接的に発電機20に加わるトルクを検出することもできるからである。従って、本発明におけるトルク検出装置としては、発電機20に加わるトルクを直接検出するものに限らず、アップダウンカウンタ値や発電電圧(コンデンサ22の電圧)で間接的に検出するものでもよい。
【0181】
従って、本発明の電子機器としては、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、前記回転制御装置は、前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出装置と、前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、前記蓄電装置の電圧が所定の設定電圧以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置とを備えることを特徴とするものでもよい。
【0182】
また、整流回路105、ブレーキ回路120、制御回路56、電圧検出回路32、過充電防止用検出回路132等の具体的な構成は前記各実施形態に限らず、実施にあたって適宜設定すればよい。
特に、ブレーキ回路120としては、発電機20の両端を閉ループするものに限らず、発電機20を流れる電流値を制御してブレーキを掛けるものなどでもよい。
【0183】
さらに、前記各実施形態においては、コンデンサ22の電圧が設定値(VLIM、VLIM2)を超えている際には、電圧検出回路32や過充電防止用検出回路132を常時駆動していたが、一定間隔で駆動するようにしてもよい。
【0184】
また、本発明は、前記実施形態のような電子制御式機械時計に適用するものに限らず、各種腕時計、置き時計、クロック等の各種時計、携帯型時計、携帯型の血圧計、携帯電話機、PHS、ページャ、歩数計、電卓、携帯用パーソナルコンピュータ、電子手帳、PDA(小型情報端末、「Personal Digital Assistant」)、携帯ラジオ、玩具、オルゴール、メトロノーム、電気かみそり等にも適用することができる。特に、本発明では、発電機に加わるトルクが大きくなった場合にブレーキ量も増加し、発電機の回転速度を一定速度に効率的に制御でき、かつ発電電圧も一定以上に維持することができるため、各種電子機器を安定してかつ長時間作動させることができる。このような電子機器としては、建物やビル内に設置されるものでもよいが、特に本発明はゼンマイ等の機械的エネルギ源を用いており、外部電源を必要としないため、屋外等で使用する携帯機器に適している。
【0185】
さらに、機械的エネルギ源も、ゼンマイ1aに限らず、ゴム、スプリング、重錘や、圧縮空気等の流体でもよく、本発明を適用する対象などに応じて適宜設定すればよい。さらに、これらの機械的エネルギ源に機械的エネルギを入力する手段としては、手巻き、回転錘、位置エネルギ、気圧変化、風力、波力、水力、温度差等でもよい。
【0186】
また、ゼンマイなどの機械的エネルギ源からの機械的エネルギを発電機に伝達するエネルギ伝達装置としては、前記各実施形態のような輪列(歯車)に限らず、摩擦車、ベルト(タイミングベルト等)及びプーリ、チェーン及びスプロケットホイール、ラック及びピニオン、カムなどを利用したものでもよく、本発明を適用する電子機器の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0187】
また、時刻表示装置としては、指針14に限らず、円板、円環状や円弧形状のものを用いてもよい。さらに、液晶パネル等を用いたデジタル表示式の時刻表示装置を用いてもよく、本発明の電子機器には、このようなデジタル表示式の時計も含まれる。
【0188】
また、制御回路56や電圧検出回路32、過充電防止用検出回路132としては、前記実施形態のように、アップダウンカウンタ54、フリップフロップ、コンパレータ35,135等の各種論理素子等のハードウェアで構成されたものに限らず、CPU(中央処理装置)、メモリ(記憶装置)等を備えたコンピュータを電子機器に設け、このコンピュータに所定のプログラムを組み込んで前記ブレーキ制御の機能を実現させるように構成したものでもよい。
【0189】
例えば、時計等の電子機器内にCPUやメモリを配置してコンピュータとして機能できるように構成し、このメモリに所定の制御プログラムをインターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体を介してインストールし、このインストールされたプログラムでCPU等を動作させて、制御回路56や電圧検出回路32、過充電防止用検出回路132を実現させればよい。
【0190】
なお、時計等の電子機器内に所定のプログラムをインストールするには、その電子機器にメモリカードやCD−ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読みとる機器を外付けで電子機器に接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を電子機器に接続して通信によってプログラムを供給しインストールしてもよいし、無線によってプログラムを供給してインストールしてもよい。
【0191】
このような記録媒体やインターネット等の通信手段で提供される本発明の制御プログラムを電子機器に組み込むようにすれば、電子機器の特性に応じて、前記各種のブレーキ制御の方法を容易に設定でき、各電子機器毎により安定した回転制御を行うことができる。
【0192】
なお、この各種記録媒体や通信手段等で供給されるプログラムとしては、少なくとも、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御プログラムであって、回転制御装置を、前記発電機に加わるトルクを検出するトルク検出装置と、前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、トルク検出装置で検出されたトルクが設定トルク以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置として機能させるプログラムであればよい。
【0193】
さらに、プログラムとしては、少なくとも、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御プログラムであって、回転制御装置を、前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出装置と、前記発電機に加わるトルクを検出するトルク検出装置と、前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、前記電圧検出装置で検出された電圧が設定電圧以上の状態で、トルク検出装置で検出されたトルクが設定トルク以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置として機能させるプログラムでもよい。
【0194】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の電子機器、電子制御式機械時計および電子機器の制御方法によれば、発電ロータに大きなトルクが加わった場合に、ブレーキ量を増加させることができて確実にブレーキ制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における電子制御式機械時計を示すブロック図である。
【図2】前記実施形態の電子制御式機械時計の構成を示す回路図である。
【図3】前記実施形態の整流回路、蓄電装置および電圧検出回路を示す回路図である。
【図4】前記実施形態の蓄電装置の電圧の経時変化を示す線図である。
【図5】前記実施形態の電圧検出回路の各信号を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態の整流回路、蓄電装置、電圧検出回路および過充電防止用検出回路を示す回路図である。
【図7】第2実施形態の蓄電装置の電圧の経時変化を示す線図である。
【図8】第2実施形態の過充電防止用検出回路の各信号を示すタイミングチャートである。
【図9】電源電圧と2番車で換算したブレーキトルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1a ゼンマイ(機械的エネルギ源)
7 増速輪列
14 指針
20 発電機
22 コンデンサ(蓄電装置)
31 バイパス回路
32 電圧検出回路
33 バイパス回路用スイッチ
34 抵抗器(逆流防止素子)
35 コンパレータ
36 ラッチ回路
37 AND回路
50 回転制御装置
51 発振回路
51A 水晶振動子
52 分周回路
53 回転検出回路
54 アップダウンカウンタ
56 制御回路
70 同期回路
80 チョッピング信号発生部
90 電源制御回路
105 倍電圧整流回路
120 ブレーキ回路
121,122 スイッチ
123 コンデンサ
124,125 ダイオード
132 過充電防止用検出回路
135 コンパレータ
136 ラッチ回路
137 AND回路
321,322 分圧用抵抗器
Claims (12)
- 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、
前記回転制御装置は、
前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出装置と、
前記発電機に加わるトルクを検出するトルク検出装置と、
前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、
前記電圧検出装置で検出された電圧が第1設定電圧以上の状態で、トルク検出装置で検出されたトルクが第1設定トルク以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置とを備えることを特徴とする電子機器。 - 請求項1に記載の電子機器において、
前記電圧制御装置は、前記降圧装置の作動により蓄電装置の電圧が前記第1設定電圧以下である第2設定電圧以下に低下した場合、または前記トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルクよりも小さな第2設定トルク以下に低下した場合のいずれか一方の場合に、前記降圧装置を停止することを特徴とする電子機器。 - 請求項1に記載の電子機器において、
前記電圧制御装置は、前記降圧装置が作動されて蓄電装置の電圧が前記第1設定電圧以下である第2設定電圧以下に低下した後に、前記トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルクよりも小さな第2設定トルク以下に低下するまでは、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を第2設定電圧に維持する電圧維持制御を行い、
第2設定トルク以下になった場合には、前記降圧装置を停止させて電圧維持制御を解除することを特徴とする電子機器。 - 請求項3に記載の電子機器において、
前記電圧制御装置は、トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルク以上になると、蓄電装置の電圧が第2設定電圧以下に低下するまで前記電圧検出装置を常時作動し、
第2設定電圧以下に低下した後は、前記電圧検出装置を一定間隔で作動し、その際に検出された電圧が第2設定電圧以上であれば、電源電圧の電圧が第2設定電圧に低下するまで降圧装置を作動して電圧維持制御を行うことを特徴とする電子機器。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器において、
前記電圧検出装置は蓄電装置の出力により駆動されているとともに、降圧装置を停止した際には電圧検出装置も停止するように構成されていることを特徴とする電子機器。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器において、
前記回転制御装置は、トルク検出装置で検出されたトルクが前記第1設定トルク以上になるまでは、前記電圧検出装置を停止していることを特徴とする電子機器。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器において、
前記降圧装置は、前記蓄電装置と並列に接続されたバイパス回路と、当該バイパス回路に設けられたバイパス回路用スイッチとを備えて構成され、
前記電圧制御装置は、前記蓄電装置の電圧を低下させる場合には、前記バイパス回路用スイッチを接続し、バイパス回路に電流を流して前記蓄電装置の電圧を低下させ、
蓄電装置の電圧低下を停止する場合には、前記バイパス回路用スイッチを切断するように構成されていることを特徴とする電子機器。 - 請求項7に記載の電子機器において、
前記電圧検出装置は、前記バイパス回路内に組み込まれた電圧検出用抵抗を備えており、
前記降圧装置は、前記バイパス回路用スイッチを接続してバイパス回路に電流を流し、前記電圧検出用抵抗を介して放電させることで蓄電装置の電圧を降圧させるように構成されていることを特徴とする電子機器。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の電子機器において、
前記トルク検出装置は、発電機の回転検出信号および基準信号の一方がアップカウント信号として入力され、他方がダウンカウント信号として入力されるアップダウンカウンタを備え、このアップダウンカウンタの値によって発電機に加わるトルクの大きさを判断するように構成されていることを特徴とする電子機器。 - 請求項2〜4のいずれかに記載の電子機器において、
前記回転制御装置は、前記電圧検出装置で検出される蓄電装置の電圧が前記第2設定電圧よりも高い第3設定電圧以上であった場合には、電源電圧の電圧が第3設定電圧以下に低下するまで降圧装置を作動する過充電防止装置を備えていることを特徴とする電子機器。 - 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、
前記回転制御装置は、
前記蓄電装置の電圧を検出する電圧検出装置と、
前記発電機に加わるトルクを検出するトルク検出装置と、
前記蓄電装置の電圧を下げる降圧装置と、
前記電圧検出装置で検出された電圧が第1設定電圧以上の状態で、トルク検出装置で検出されたトルクが第1設定トルク以上になると、前記降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させる電圧制御装置とを備えることを特徴とする電子制御式機械時計。 - 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記発電機から供給された電気的エネルギを蓄える蓄電装置と、この蓄電装置から供給された電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、
前記蓄電装置の電圧が第1設定電圧以上の状態で、発電機に加わるトルクが第1設定トルク以上になった場合に、降圧装置を作動して蓄電装置の電圧を低下させることを特徴とする電子機器の制御方法。
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