JP2005283601A - 電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法 - Google Patents

電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 発電電力の低下を抑えながら発電機のブレーキトルクを大きくでき、発電ロータの回転速度の変動を小さくでき、かつロータの停止や速度超過等を防止できる電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器は、機械的エネルギ源で駆動されて発電機20と、発電機20の回転周期を制御する回転制御装置50とを備える。回転制御装置50は、発電機20の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチ21,22と、スイッチに印加するチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部150と、チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御、中間の中間ブレーキ制御と、小さな弱ブレーキ制御との3種類の制御を切り替えて実行して発電機をチョッピング制御する制動制御部55とを備える。
【選択図】 図5

Description

本発明は、電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法に関し、詳しくは、機械的エネルギ源と、この機械的エネルギ源により駆動されるとともに誘起電力を発生して電気的エネルギを出力する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを有する電子機器、電子制御式機械時計、電子機器の制御方法に関する。
ゼンマイが開放する時の機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機のコイルに流れる電流値を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に駆動して正確に時刻を表示する電子制御式機械時計が知られている(例えば特許文献1参照)。
ところで、このような電子制御式機械時計において持続時間を長くするには、ゼンマイのトルクが高いときにはブレーキトルクを増加でき、かつその際の発電電力が低下しないようにすることが重要である。すなわち、電子制御式機械時計においては、発電機に印加するブレーキトルクと発電機の起電力(発電電力)との関係において、ゼンマイトルクが高いときには前記ブレーキトルクを優先させる制御が必要であり、ゼンマイトルクが低いときには、大きいブレーキを必要としないため、前記発電電力(起電力)を優先する制御が好ましい。なお、トルク(ゼンマイトルク)が大きい場合とは、ゼンマイが多く巻かれた時の他、振動や衝撃等の外乱によりロータに加わる駆動トルクが大きくなる場合も含む。同様に、トルク(ゼンマイトルク)が小さい場合とは、ゼンマイがほどけてきた時の他、上記外乱によりロータに加わる駆動トルクが小さくなる場合も含む。
このため、特許文献1に記載されたものは、ロータが1回転する間つまり基準信号の周期毎に、ブレーキをオフしてロータの回転速度を高めて発電量を増やす角度範囲と、ブレーキを掛けて低速で回す角度範囲とを設け、前記回転速度が高い間で発電電力を向上させつつ、ブレーキ時の発電電力の低下を補うようにして調速していた。
すなわち、この特許文献1に記載された発明では、水晶振動子などからの基準信号の周期で周期的に互いに続いて生じる複数の第1時間点の各々において、ブレーキオフ制御を行うとともに、前記基準信号の周期の中で第1時間点から隔置された第2時間点で、ブレーキオン制御を行っており、基準周期の1周期の中で、必ずブレーキオン制御とブレーキオフ制御とを行っていた。
特公平7−119812号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、ブレーキを掛けた部分では発電電力が低下するため、ブレーキトルクを増加させながら発電電力の低下を抑えることに限界があった。
また、特許文献1に記載されたものは、ブレーキオン制御とオフ制御との2種類しかないため、ブレーキを掛けるとロータ速度が急激に遅くなり、ブレーキを解除するとロータ速度が急激に速くなる。このため、ロータの回転速度の変化が急激になり、ロータに連結された指針の揺らぎも大きくなってしまうという問題があった。
さらに、ブレーキオン制御とブレーキオフ制御との2種類の制御しかないため、僅かなブレーキ力で十分な場合でも、必要以上のブレーキを掛けてしまうことになったり、僅かなブレーキ力の解除でよい場合に、ブレーキを解除し過ぎたりすることがあるという問題があった。
特に、必要以上のブレーキを掛けてしまうと、発電ロータが保有するコギングトルクにより、ロータが停止してしまう確率が高くなるという問題がある。例えば、本発明者が行った実験では、8Hzで回転するように設定されている電子制御式機械時計の発電機において、ブレーキ印加により5Hz以下になると、ロータがコギングトルクによって停止してしまう確率が高くなることが明らかになっている。
一方で、必要以上にブレーキを解除しすぎると、ロータの回転速度が非常に早い回転になってしまうという問題があった。
また、電子制御式機械時計に限らず、ゼンマイやゴムなどの機械的エネルギ源によって回転制御される部分を有するオルゴールやメトロノーム、電気かみそりなどの各種電子機器においても、同様な問題があり、その解消が求められていた。
本発明の目的は、発電電力の低下を抑えながら発電機のブレーキトルクを大きくできるとともに、発電機のロータの回転速度の変動を小さくでき、かつ発電機のロータの停止や速度超過等を防止して安定した調速制御を行うことができる電子機器、電子制御式機械時計および電子機器の制御方法を提供することにある。
本発明の電子機器は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、を備えて構成されていることを特徴とするものである。
本発明の電子機器は、発電機をゼンマイ等の機械的エネルギ源で駆動し、発電機に回転制御装置によりブレーキをかけることでロータの回転数を調速する。
この際、発電機の回転制御は、発電機のコイル両端を閉ループ可能なスイッチにチョッピング信号を印加してオン・オフ、つまりチョッピングすることで行っている。チョッピングすることで、スイッチをオンした時には、発電機のコイル両端が閉ループ状態になってショートブレーキが掛かり、かつ発電機のコイルにエネルギーがたまる。一方で、スイッチをオフすると、閉ループ状態が解除されて発電機が動作し、前記コイルにたまっていたエネルギー分が含まれるため、起電圧(発電電圧)が高まる。このため、発電機にブレーキ実効値の大きな強いブレーキを印加する時にチョッピングで制御すると、ブレーキ時の発電電力の低下を、スイッチオフ時の起電圧の高まり分で補填でき、発電電力の低下を抑えながらブレーキトルク(制動トルク)を増加でき、持続時間の長い電子機器を構成できる。
また、本発明では、ブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、実効値が小さな弱ブレーキ制御とのほかに、ブレーキ実効値が中間の大きさの中間ブレーキ制御も行えるように構成されているため、強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御との切替時(過渡期)に、中間ブレーキ制御を行うことで、ロータの回転速度の変化を緩やかにできる。
さらに、少なくとも3段階のブレーキ実効値でブレーキ制御できるので、僅かなブレーキ力で十分な場合や、僅かなブレーキ力の解除でよい場合に、中間ブレーキ制御を行うことで、必要以上のブレーキを掛けてしまったり、ブレーキを解除し過ぎたりすることを防止することができる。これにより、必要以上のブレーキを掛けてしまって発電機が停止したり、必要以上にブレーキを解除しすぎることで、ロータの回転速度が基準速度を大幅に超過してしまうことがなく、一定の速度に制御することができ、調速制御の安定性を高めることができる。
なお、前記スイッチをオンすることで移行する閉ループ状態とは、閉ループ状態ではない場合と比べて発電機に加わるブレーキ力が大きくなる状態であればよく、閉ループとされた回路上に、例えばスイッチと発電機との間等に、抵抗素子等が設けられていてもよい。但し、閉ループ状態は、各発電機の端子間を容易に同電位にできてショートブレーキを効率的に掛けられる点で、発電機の各端子間を直接短絡して構成することが好ましい。また、チョッピング信号発生部からのチョッピング信号は前記スイッチに直接入力される場合のほか、他の回路や素子を介して入力されるようにしてもよい。
この際、前記チョッピング信号発生部は、デューティ比および周波数の少なくとも一方が互いに相違してスイッチに印加した際のブレーキ実効値が異なる少なくとも3種類のチョッピング信号を発生可能に構成され、前記制動制御部は、これらの少なくとも3種類のチョッピング信号から1つのチョッピング信号を選択して前記スイッチに印加するチョッピング信号選択手段を備えていることが好ましい。
ブレーキの実効値を変化させるには、チョッピング信号を加える発電機のコイルの回路に可変抵抗器等を設け、コイルの抵抗値を変更することで行うこともできるが、本発明のように、チョッピング信号のデューティ比および周波数の少なくとも一方が互いに異なる少なくとも3種類のチョッピング信号を用いてブレーキの実効値を変化させるようにすれば、回路構成や制御が簡易になり、かつショートブレーキを効率的に加えることができる点で有利である。
なお、発電機の両端を閉ループ可能なスイッチを設け、このスイッチにチョッピング信号を印加して発電機をチョッピング制御した場合には、駆動トルク(ブレーキトルク、制動トルク)はチョッピング周波数が低いほど、またデューティ比が高いほど高くなり、充電電圧(発電電圧)は起電力でもあってチョッピング周波数が高いほど高くなるがデューティ比が高くなってもそれほど低下せず、逆に50Hz以上の周波数ではデューティ比が0.8程度になるまでは充電電圧が高くなるため、これらの特性を利用して強、中間、弱の各ブレーキ制御用のチョッピング信号を設定すればよい。
ここで、前記中間ブレーキ制御は、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられる過渡期に行われることが好ましい。
このように強ブレーキ制御を行う際に、弱ブレーキ制御からいきなり強ブレーキ制御に切り替えるのではなく、一旦中間ブレーキ制御を行ってから切り替えるようにすれば、必要以上のブレーキを掛けすぎて発電機のロータが停止してしまうことを確実に防止できる。特に、発電機においては、ロータが停止してしまうことはロータの速度が大きくなることよりも問題が大きいため、強ブレーキ制御に移行する際に、一旦、中間ブレーキ制御を行えば、発電機の調速制御を安定して行うことができる。
また、前記中間ブレーキ制御は、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられる過渡期に行われるものでもよい。
このように弱ブレーキ制御を行う際に、強ブレーキ制御からいきなり弱ブレーキ制御に切り替えるのではなく、一旦中間ブレーキ制御を行ってから切り替えるようにすれば、必要以上にブレーキを解除してしまうことを確実に防止できる。これにより、必要以上にブレーキを解除することで、ロータの位相が基準信号に追いついてしまい、ロータの回転速度が非常に速くなってしまうことを防止でき、発電機の調速制御を安定して行うことができる。
従って、前記中間ブレーキ制御は、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられる過渡期と、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられる過渡期との両方で行われることが最も好ましい。
両方の過渡期に中間ブレーキ制御を行えば、ブレーキの掛けすぎや解除し過ぎといった制御を無くすことができ、ロータの停止等も防止できてロータの回転速度をほぼ一定にかつ安定して制御することができる。
本発明の電子機器は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、を備えて構成されていることを特徴とするものである。
このような本発明では、強ブレーキ制御時や弱ブレーキ制御時にブレーキの実効値を徐々に増減するようにしたので、発電機に加わるブレーキ力が大幅に変化せず、ロータの回転速度の変化を緩やかにできて安定した制御を行うことができる。従って、必要以上のブレーキを掛けてしまって発電機が停止したり、必要以上にブレーキを解除しすぎることで、ロータの回転速度が基準速度を大幅に超過してしまうことがなく、一定の速度に制御することができ、調速制御の安定性を高めることができる。
その上、チョッピング信号でブレーキ制御しているので、ブレーキ時の発電電力の低下を、スイッチオフ時の起電圧の高まり分で補填でき、発電電力の低下を抑えながらブレーキトルク(制動トルク)を増加でき、持続時間の長い電子機器を構成できる。
ここで、前記チョッピング信号発生部は、デューティ比および周波数の少なくとも一方が互いに相違してスイッチに印加した際のブレーキ実効値が異なる複数種類のチョッピング信号を発生可能に構成され、前記制動制御部は、これらの複数のチョッピング信号から1つのチョッピング信号を順次選択して前記スイッチに印加するチョッピング信号選択手段を備えていることが好ましい。
チョッピング信号のデューティ比および周波数の少なくとも一方が互いに異なる複数のチョッピング信号を用いてブレーキの実効値を変化させるようにすれば、回路抵抗値等を変更して実効値を変化させる場合に比べて、回路構成や制御が簡易になり、かつショートブレーキを効率的に加えることができる点で有利である。
また、前記強ブレーキ制御は、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられた際に、所定の大きさのブレーキ実効値とされ、ブレーキ力をこのブレーキ実効値から徐々に増加させることが好ましい。
このように強ブレーキ制御を行う際に、所定の大きさのブレーキ実効値が最初に掛けられ、その後、徐々にブレーキ実効値が増加するようにすれば、いきなり非常に大きなブレーキを掛けてしまうことがなく、必要以上のブレーキを掛けすぎて発電機のロータが停止してしまうことを確実に防止できる。
さらに、前記弱ブレーキ制御は、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられた際に、所定の大きさのブレーキ実効値とされ、ブレーキ力をこのブレーキ実効値から徐々に減少させることが好ましい。
このように弱ブレーキ制御を行う際に、所定の大きさのブレーキ実効値が最初に掛けられ、その後、徐々にブレーキ実効値が減少するようにすれば、いきなり非常に小さなブレーキを掛けてしまい、必要以上にブレーキを解除し過ぎて発電機のロータの回転速度が非常に速くなるということがなく、発電機の調速制御を安定して行うことができる。
この際、前記所定の大きさのブレーキ実効値は、予め設定された固定値であることが好ましい。
すなわち、強ブレーキ制御や弱ブレーキ制御時に最初に加えられるブレーキ力は、実施にあたって適宜設定すればよいが、例えば、最も弱いブレーキ実効値と最も強いブレーキ実効値との中間の値等の予め設定された固定値に設定すればよい。
より具体的には、チョッピング信号のデューティ比を1/16〜15/16の15段階に切り替えてブレーキ実効値を変化させるように構成されている場合には、強ブレーキ制御時には、最初にデューティ比が7/16や8/16のチョッピング信号が加えられ、その後、強ブレーキ制御が続行されている場合には、徐々にデューティ比が大きなチョッピング信号が加えられてブレーキ実効値が徐々に増加するように構成すればよい。
同様に、弱ブレーキ制御時には、最初にデューティ比が7/16や8/16のチョッピング信号が加えられ、その後、弱ブレーキ制御が続行されている場合には、徐々にデューティ比が小さなチョッピング信号が加えられてブレーキ実効値が徐々に減少するように構成すればよい。
このように、強ブレーキ制御時や弱ブレーキ制御時の所定の大きさのブレーキ実効値を、予め設定された固定値にしておけば、弱ブレーキ制御や強ブレーキ制御時に印加されるブレーキ実効値が固定化されて予め予測可能なため、ブレーキ制御のプログラムなどを容易に設定することができる。
また、前記所定の大きさのブレーキ実効値は、その制御に切り替えられる直前に印加されたブレーキ実効値を基準に設定される値でもよい。
すなわち、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられた際には、強ブレーキ制御の最後のブレーキ実効値よりも一段階小さなブレーキ実効値のブレーキを加え、その後、弱ブレーキ制御が続行されている場合には、ブレーキ実効値がその値から徐々に減少するように構成すればよい。
一方、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられた際には、弱ブレーキ制御の最後のブレーキ実効値よりも一段階大きなブレーキ実効値のブレーキを加え、その後、強ブレーキ制御が続行されている場合には、ブレーキ実効値がその値から徐々に増加するように構成すればよい。
このような構成にすれば、強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の切替時のブレーキ実効値の変化量を小さくできるので、ロータの回転速度の変化もより緩やかにすることができる。
本発明の電子機器は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御可能に構成され、かつ前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方は、そのブレーキ力が徐々に変化するように制御する制動制御部と、を備えて構成されていることを特徴とするものである。
このような本発明では、強ブレーキ制御時や弱ブレーキ制御時の少なくとも一方は、ブレーキの実効値を徐々に増減するようにしたので、ブレーキのオンオフの2段階のみ制御する場合に比べて、発電機に加わるブレーキ力が大幅に変化せず、ロータの回転速度の変化を緩やかにできて安定した制御を行うことができる。従って、必要以上のブレーキを掛けてしまって発電機が停止したり、必要以上にブレーキを解除しすぎることで、ロータの回転速度が基準速度を大幅に超過してしまうことを防止でき、調速制御の安定性を高めることができる。
その上、チョッピング信号でブレーキ制御しているので、ブレーキ時の発電電力の低下を、スイッチオフ時の起電圧の高まり分で補填でき、発電電力の低下を抑えながらブレーキトルク(制動トルク)を増加でき、持続時間の長い電子機器を構成できる。
ここで、前記徐々に変化するブレーキ力(ブレーキ実効値)は所定の大きさから開始されることが好ましい。
徐々に変化するブレーキ力を、予め設定された所定の大きさにしておけば、変化するブレーキ力を予め予測可能なため、ブレーキ制御のプログラムなどを容易に設定することができる。
本発明の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、を備えて構成されていることを特徴とするものである。
さらに、本発明の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を、徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、を備えて構成されていることを特徴とするものでもよい。
また、本発明の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、前記回転制御装置は、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御可能に構成され、かつ前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方は、そのブレーキ力が徐々に変化するように制御する制動制御部と、を備えて構成されていることを特徴とするものでよい。
電子制御式機械時計に、これらの各発明を用いれば、必要以上のブレーキを掛けてしまって発電機が停止したり、必要以上にブレーキを解除しすぎることで、ロータの回転速度が基準速度を大幅に超過してしまうことがなく、一定の速度に制御することができ、調速制御の安定性を高めることができる。そして、電子制御式機械時計では、ロータに連動して指針が運針するため、ロータの回転が安定することで、指針の揺らぎを低減でき、見栄えが良くて商品性の高い電子制御式機械時計を提供することができる。
本発明の電子機器の制御方法は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチにチョッピング信号を印加してブレーキ制御を行うとともに、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御することを特徴とするものである。
また、本発明の電子機器の制御方法は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチにチョッピング信号を印加してブレーキ制御を行うとともに、前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を、徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御することを特徴とするものである。
さらに、本発明の電子機器の制御方法は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチにチョッピング信号を印加してブレーキ制御を行うとともに、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御するとともに、前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方はそのブレーキ力が徐々に変化するように制御することを特徴とするものでもよい。
これらの各制御方法によっても、必要以上のブレーキを掛けてしまって発電機が停止したり、必要以上にブレーキを解除しすぎることで、ロータの回転速度が基準速度を大幅に超過してしまうことがなく、一定の速度に制御することができ、調速制御の安定性を高めることができる。
以上に述べたように、本発明によれば、発電電力の低下を抑えながら発電機のブレーキトルクを大きくできるとともに、発電機のロータの回転速度の変動を小さくでき、かつ発電機のロータの停止や速度超過等を防止できて安定した調速制御を行うことができる。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の電子機器である電子制御式機械時計の要部を示す平面図であり、図2及び図3はその断面図である。
電子制御式機械時計は、ゼンマイ1a、香箱歯車1b、香箱真1c及び香箱蓋1dからなる香箱車1を備えている。機械的エネルギ源であるゼンマイ1aは、外端が香箱歯車1b、内端が香箱真1cに固定される。香箱真1cは、地板2と輪列受3に支持され、角穴車4と一体で回転するように角穴ネジ5により固定されている。
角穴車4は、時計方向には回転するが反時計方向には回転しないように、こはぜ6と噛み合っている。なお、角穴車4を時計方向に回転しゼンマイ1aを巻く方法は、機械時計の自動巻または手巻機構と同様であるため、説明を省略する。
香箱歯車1bの回転は、7倍に増速されて二番車7へ、順次6.4倍増速されて三番車8へ、9.375 倍増速されて四番車9へ、3倍増速されて五番車10へ、10倍増速されて六番車11へ、10倍増速されてロータ12へと、合計126,000倍に増速されている。そして、これらの各歯車7〜11からなる増速輪列によって、機械的エネルギ源であるゼンマイ1aの機械的エネルギを発電機20に伝達する機械エネルギ伝達装置が構成されている。
二番車7には筒かな7aが、筒かな7aには分針13が、四番車9には秒針14が、筒車7bには時針17がそれぞれ固定されている。従って、二番車7を1rphで、四番車9を1rpmで回転させるためには、ロータ12は8rpsで回転するように制御すればよい。このときの香箱歯車1bは、1/7rphとなる。そして、これらの各針13,14,17によって、時刻を表示する時刻表示装置が構成されている。
この電子制御式機械時計は、ロータ12、ステータ15、コイルブロック16から構成される発電機20を備えている。ロータ12は、ロータ磁石12a、ロータかな12b、ロータ慣性円板12cから構成される。ロータ慣性円板12cは、香箱車1からの駆動トルク変動に対しロータ12の回転数変動を少なくするためのものである。ステータ15は、ステータ体15aに4万ターンのステータコイル15bを巻線したものである。
コイルブロック16は、磁心16aに11万ターンのコイル16bを巻線したものである。ここで、ステータ体15aと磁心16aはPCパーマロイ等で構成されている。また、ステータコイル15bとコイル16bは、各々の発電電圧を加えた出力電圧がでるように直列に接続されている。
図4には、本実施形態の電子制御式機械時計の構成を示すブロック図が示されている。
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達するエネルギ伝達装置としての増速輪列(各番車7〜11)と、増速輪列7〜11に連結されて時刻表示を行う時刻表示装置である指針(分針13、秒針14、時針17)とを備えている。
発電機20は、増速輪列を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等からなる整流回路41を通して昇圧、整流され、コンデンサ等で構成された電源回路40に充電供給される。
なお、本実施形態では、図5にも示すように、整流回路41を含むブレーキ回路120を発電機20に設けている。このブレーキ回路120は、発電機20で発電された交流信号(交流電流)が入力される第1の交流入力端子MG1に接続された第1のスイッチ21と、前記交流信号が入力される第2の交流入力端子MG2に接続された第2のスイッチ22とを有し、これらのスイッチ21,22を同時にオンすることにより、第1、第2の交流入力端子MG1,MG2を短絡等によって閉ループ状態にし、ショートブレーキを掛けるようになっている。
第1のスイッチ21は、第2の交流入力端子MG2にゲートが接続されたPchの第1の電界効果型トランジスタ(FET)26と、後述するブレーキ生成回路80からのチョッピング信号(チョッピングパルス)CH5がゲートに入力される第2の電界効果型トランジスタ27とが並列に接続されて構成されている。
また、第2のスイッチ22は、第1の交流入力端子MG1にゲートが接続されたPchの第3の電界効果型トランジスタ(FET)28と、ブレーキ生成回路80からのチョッピング信号CH5がゲートに入力される第4の電界効果型トランジスタ29とが並列に接続されて構成されている。
ここで、第1の電界効果型トランジスタ26は、交流入力端子MG2の極性が「−」の時にオンされ、第3の電界効果型トランジスタ28は、交流入力端子MG1の極性が「−」の時にオンされる。つまり、各トランジスタ26,28は、発電機の各端子MG1,MG2のうち、極性「+」の端子に接続された一方のトランジスタがオンされ、他方はオフされるように構成されている。従って、各電界効果型トランジスタ26,28により、整流回路41の一部を構成する整流用スイッチが構成されている。
また、各トランジスタ26,28にそれぞれ並列に接続された第2の電界効果型トランジスタ27と、第4の電界効果型トランジスタ29とは、同じチョッピング信号CH5でオン、オフ制御されている。このため、各トランジスタ27,29がチョッピング信号CH5で同時にオンされると、整流用スイッチである各トランジスタ26,28の状態に関係なく、第1、第2の交流入力端子MG1,MG2間は短絡等によって閉ループ状態となり、発電機20にはショートブレーキが掛かることになる。従って、発電機20の両端子MG1,MG2間を閉ループ状態に接続する前記スイッチ21,22は、より具体的には、各トランジスタ27,29の動作により発電機20の端子MG1,MG2間を閉ループ状態に接続するように構成されている。
そして、発電機20に接続された昇圧用のコンデンサ23、ダイオード24,25、スイッチ21,22を備えて整流回路(倍電圧整流回路)41が構成されている。なお、ダイオード24,25としては、一方向に電流を流す一方向性素子であればよく、その種類は問わない。特に、電子制御式機械時計では、発電機20の起電圧が小さいため、ダイオード25としては降下電圧Vfが小さいショットキーバリアダイオードを用いることが好ましい。また、ダイオード24としては、逆リーク電流が小さいシリコンダイオードを用いることが好ましい。そして、この整流回路41で整流された直流信号は、電源回路(コンデンサ)40に充電される。
前記ブレーキ回路120は、電源回路40から供給される電力によって駆動される回転制御装置50により制御されている。この回転制御装置50は、図4に示すように、発振回路51、分周回路52、ロータ12の回転検出回路53、制動制御部である制動制御回路55を備えて構成されている。
発振回路51は時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号(32768Hz)を出力し、この発振信号は12段のフリップフロップからなる分周回路52によってある一定周期まで分周される。分周回路52の12段目の出力Q12は、8Hzの基準信号fsとして出力されている。
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路61とモノマルチバイブレータ62とで構成されている。波形整形回路61は、アンプ、コンパレータで構成され、正弦波を矩形波に変換する。モノマルチバイブレータ62は、ある周期以下のパルスだけを通過させるバンドパス・フィルターとして機能し、ノイズを除去した回転検出信号FG1を出力する。
制動制御回路55は、アップダウンカウンタ60と、同期回路70と、チョッピング信号発生部であるチョッピング生成回路(チョッピング信号生成回路)150と、チョッピング信号選択手段であるブレーキ生成回路80とを備えている。
アップダウンカウンタ60のアップカウント入力およびダウンカウント入力には、回転検出回路53の回転検出信号FG1および分周回路52からの基準信号fsが同期回路70を介してそれぞれ入力されている。
同期回路70は、4つのフリップフロップ71やANDゲート72,NANDゲート73からなり、分周回路52の5段目の出力Q5(1024Hz)や6段目の出力Q6(512Hz)の信号を利用して、回転検出信号FG1を基準信号fs(8Hz)に同期させるとともに、これらの各信号パルスが重なって出力されないように調整している。
アップダウンカウンタ60は、4ビットのカウンタで構成されている。アップダウンカウンタ60のアップカウント入力には、前記回転検出信号FG1に基づく信号が同期回路70から入力され、ダウンカウント入力には、前記基準信号fsに基づく信号が同期回路70から入力される。これにより、基準信号fsおよび回転検出信号FG1の計数と、その差の算出とが同時に行えるようになっている。
なお、このアップダウンカウンタ60には、4つのデータ入力端子(プリセット端子)A〜Dが設けられており、端子A〜CにHレベル信号が入力されていることで、アップダウンカウンタ60の初期値(プリセット値)がカウンタ値7に設定されている。
また、アップダウンカウンタ60のLOAD入力端子には、電源回路40に接続されて電源回路40の電圧に応じてシステムリセット信号SRを出力する初期化回路90が接続されている。なお、本実施形態では、初期化回路90は、電源回路40の充電電圧が所定電圧になるまではHレベルの信号を出力し、所定電圧以上になればLレベルの信号を出力するように構成されている。
アップダウンカウンタ60は、LOAD入力がLレベルになるまで、つまりシステムリセット信号SRが出力されるまでは、アップダウン入力を受け付けないため、アップダウンカウンタ60のカウンタ値は「7」に維持される。
アップダウンカウンタ60は、4ビットの出力QA〜QDを有している。従って、4ビット目の出力QDは、カウンタ値が7以下であればLレベル信号を出力し、8以上であればHレベル信号を出力することになる。この出力QDは、ブレーキ生成回路80に接続されている。
なお、出力QA〜QDが入力されたNANDゲート74およびORゲート75の各出力は、同期回路70からの出力が入力されるNANDゲート73にそれぞれ入力されている。従って、例えばアップカウント信号の入力が複数個続いてカウンタ値が「15」になると、NANDゲート74からはLレベル信号が出力され、さらにアップカウント信号がNANDゲート73に入力されても、その入力はキャンセルされてアップダウンカウンタ60にアップカウント信号がそれ以上入力されないように設定されている。同様に、カウンタ値が「0」になると、ORゲート75からはLレベル信号が出力されるため、ダウンカウント信号の入力はキャンセルされる。これにより、カウンタ値が「15」を越えて「0」になったり、「0」を越えて「15」になったりしないように設定されている。
チョッピング信号発生部であるチョッピング生成回路150は論理回路で構成され、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用してデューティ比の異なる3種類のチョッピング信号CH1〜CH3を出力するように構成されている。
なお、チョッピング信号CH1は、デューティ比が1/16と小さなチョッピング信号とされている。また、チョッピング信号CH3は、デューティ比が15/16と大きなチョッピング信号とされている。さらに、チョッピング信号CH2は、デューティ比が8/16と各信号CH1,CH3の中間の大きさのチョッピング信号とされている。なお、これらの各チョッピング信号CH1〜CH3の周波数は同一とされ、例えば128Hzに固定されている。
ブレーキ生成回路80は、図6に示すように、ANDゲート152,153、NORゲート154、ディレイ回路155を備えて構成されている。
ANDゲート152には、チョッピング信号CH2とアップダウンカウンタ60からの出力QDとが入力されている。一方、ANDゲート153には、チョッピング信号CH3と、ディレイ回路155で出力Q6(512Hz)の4クロック分遅らされた出力QDとが入力されている。
このため、出力QDがHレベル信号に変化した際に、ANDゲート152からチョッピング信号CH2が2周期分出力されてから、ANDゲート153からチョッピング信号CH3が出力されるように構成されている。
従って、NORゲート154からのチョッピング信号CH5は、出力QDがLレベル信号とされ、各ANDゲート152,153の出力がLレベル信号の場合には、チョッピング信号CH1を反転した信号とされる。
また、出力QDがHレベル信号に変化した場合には、最初の2周期分は、ANDゲート152からはチョッピング信号CH2が出力されるが、ANDゲート153の出力はLレベル信号のままであるため、NORゲート154の出力はチョッピング信号CH2が反転した信号とされる。
さらに、ANDゲート153の出力がチョッピング信号CH3となれば、NORゲート154からはチョッピング信号CH3が反転した信号が出力される。
このブレーキ生成回路80のNORゲート154からの出力CH5は、Pchトランジスタ27,29のゲートに入力されている。従って、チョッピング出力CH5がLレベルとなっている間は、トランジスタ27,29はオン状態に維持され、発電機20がショートされてブレーキが掛かる。
一方、出力CH5がHレベルとなっている間は、トランジスタ27,29はオフ状態に維持され、発電機20にはブレーキが加わらない。従って、出力CH5からのチョッピング信号によって発電機20をチョッピング制御することができる。
ここで、前記各チョッピング信号CH1〜CH3のデューティ比は、1周期の間で発電機20にブレーキを掛けている時間の比率であり、本実施形態では各チョッピング信号CH1〜CH3において1周期の間でHレベルとなっている時間の比率である。
次に、本実施形態における動作を図7のタイミングチャートおよび図8のフローチャートを参照して説明する。
発電機20が作動し始めて、初期化回路90からLレベルのシステムリセット信号SRがアップダウンカウンタ60のLOAD入力に入力されると(ステップ11、以下ステップを「S」と略す)、図7に示すように、回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号と、基準信号fsに基づくダウンカウント信号とがアップダウンカウンタ60でカウントされる(S12)。これらの各信号は、同期回路70によって同時にカウンタ60に入力されないように設定されている。
このため、初期カウント値が「7」に設定されている状態から、アップカウント信号が入力されるとカウンタ値は「8」となり、出力QDからHレベル信号がブレーキ生成回路80のANDゲート152,153に出力される。
一方、ダウンカウント信号が入力されてカウンタ値が「7」に戻れば、出力QDからはLレベル信号が出力される。
チョッピング生成回路150では、分周回路52の出力Q5〜Q8を利用し、各チョッピング信号CH1〜CH3を出力する。
そして、アップダウンカウンタ60の出力QDからLレベル信号が出力されている場合(カウント値「7」以下)には、各ANDゲート152,153からの出力もLレベル信号となる。このため、NORゲート154からの出力CH5は出力CH1が反転したチョッピング信号、つまりHレベル期間(ブレーキオフ時間)が長く、Lレベル期間(ブレーキオン時間)が短いデューティ比(トランジスタ27,29をオンしている比率)の小さなチョッピング信号となる。従って、基準周期においてブレーキを掛けているトータル時間が短くなり、発電機20に対しては、ほとんどブレーキが掛けられない、つまり発電電力(起電力)を優先した弱いブレーキ制御(弱ブレーキ制御)が行われる(S13,S14)。
一方、アップダウンカウンタ60の出力QDからHレベル信号が出力されている場合(カウント値「8」以上)には(S13)、前述のように、最初の2周期(ブレーキオフ制御からブレーキオン制御への過渡期)であれば(S15)、チョッピング信号CH2を利用した中間的なブレーキ力の制御(中間ブレーキ制御)が行われる(S16)。つまり、デューティ比が8/16=1/2であるため、ブレーキオフ時間とブレーキオン時間とが同じ時間となり、ブレーキ力も前述の弱ブレーキ制御と、後述する強ブレーキ制御の中間の大きさとなる中間ブレーキ制御が行われる(S16)。
さらに、カウント値が「8」以上の状態で(S13)、過渡期(512Hzの信号Q6の4クロック分つまり256Hzのチョッピング信号CH2の2周期分)を経過した後は(S15)、NORゲート154からの出力CH5は出力CH3が反転したチョッピング信号、つまりHレベル期間(ブレーキオフ時間)が短く、Lレベル期間(ブレーキオン時間)が長いデューティ比の大きい(15/16)チョッピング信号となる。この場合も、発電機20はチョッピング制御されるのである程度発電電力の低下を抑えつつ制動トルクが向上されるが、特にブレーキが掛けられていない時間が短いため(1/16)、発電電力(起電力)よりもブレーキ力(制動トルク)を優先した強いブレーキ制御が行われる(S17)。
なお、整流回路41では、次のようにして発電機20で発電した電荷を電源回路40に充電している。すなわち、第1の端子MG1の極性が「+」で第2の端子MG2の極性が「−」の時には、第1の電界効果型トランジスタ(FET)26がオンされ、第3の電界効果型トランジスタ(FET)28がオフされる。このため、発電機20で発生した誘起電圧の電荷は、「第1の端子MG1→コンデンサ23→ダイオード25→第2の端子MG2」の回路によって例えば0.1μFのコンデンサ23に充電されるとともに、「第1の端子MG1→第1のスイッチ21→電源回路40→ダイオード24→ダイオード25→第2の端子MG2」の回路によって例えば10μFの電源回路(コンデンサ)40に充電される。
一方、第1の端子MG1の極性が「−」で第2の端子MG2の極性が「+」に切り替わると、第1の電界効果型トランジスタ(FET)26がオフされ、第3の電界効果型トランジスタ(FET)28がオンされる。このため、「コンデンサ23→第1の端子MG1→発電機20→第2の端子MG2→第2のスイッチ22→電源回路40→ダイオード24→コンデンサ23」の回路によって、発電機20で発生した誘起電圧と、コンデンサ23の充電電圧とが加えられた電圧で電源回路(コンデンサ)40が充電される。
なお、各々の状態で、チョッピング信号CH5により発電機20の両端が閉ループとなり、開放されると、コイルの両端に高電圧が誘起され、この高い充電電圧によって電源回路(コンデンサ)40を充電することで充電効率が向上する。
そして、ゼンマイ1aのトルクが大きくて発電機20の回転速度が大きい場合などでは、アップカウンタ信号によりカウンタ値が「8」になった後に、さらにアップカウンタ値が入力されることがある。この場合には、カウンタ値は「9」となり、前記出力QDはHレベルを維持するため、チョッピング信号CH3の反転信号により一定周期でブレーキがオフされながらブレーキが掛けられる強いブレーキ制御が行われる。そして、ブレーキが掛けられたことにより、発電機20の回転速度が低下し、回転検出信号FG1が入力される前に基準信号fs(ダウンカウント信号)が2回入力されると、カウンタ値は「8」、「7」と低下し、「7」になった際には弱いブレーキ制御に切り替えられる。特に、ゼンマイ1aのトルクが大きい場合には、カウンタ値が「9」、「10」と上昇することもあるが、このようなトルクが大きい場合には、強ブレーキ制御が続行されるため、発電機20に大きな制動力が加えられて回転速度が迅速に低下される。
このような制御を行うと、発電機20が設定された回転スピード近くになり、アップカウンタ信号と、ダウンカウンタ信号とが交互に入力されて、カウンタ値が「8」と「7」とを繰り返すロック状態に移行する。この際は、カウンタ値に応じて、弱ブレーキ制御と、強ブレーキ制御と、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御への切替時の過渡期の中間ブレーキ制御との3種類のブレーキ制御が繰り返される。
さらに、ゼンマイ1aがほどけてそのトルクが小さくなると、徐々にブレーキを掛ける時間が短くなり、発電機20の回転速度はブレーキを掛けない状態でも基準速度に近い状態になる。
そして、まったくブレーキを掛けなくてもダウンカウント値が多く入力されるようになり、カウント値が「6」以下の小さな値になると、ゼンマイ1aのトルクが低下したと判断し、運針を停止したり、非常に低速にしたり、さらにはブザー、ランプ等を鳴らしたり、点灯させることで、利用者にゼンマイ1aを再度巻き上げるように促せばよい。
なお、本実施形態では、出力QDがLレベル信号の場合、チョッピング信号CH5はHレベル期間:Lレベル期間が15:1つまりデューティ比が1/16=0.0625のチョッピング信号となる。また、出力QDがHレベル信号に切り替わった直後の過渡期には、チョッピング信号CH5はHレベル期間:Lレベル期間が8:16つまりデューティ比が8/16=0.5 のチョッピング信号となる。さらに、過渡期を過ぎても出力QDがHレベル信号の場合、チョッピング信号CH5はHレベル期間:Lレベル期間が1:15つまりデューティ比が15/16=0.9375のチョッピング信号となる。
そして、発電機20のMG1,MG2からは、磁束の変化に応じた交流波形が出力される。この際、出力QDの信号に応じて周波数は一定でかつデューティ比の異なるチョッピング信号CH5がトランジスタ27,29(スイッチ21,22)に適宜印加され、出力QDがHレベル信号を出力した時、つまり強いブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が長くなってブレーキ量が増えて発電機20は減速される。そして、ブレーキが掛かる分、発電量も低下するが、このショートブレーキ時に蓄えられたエネルギーを、チョッピング信号によりスイッチ21,22をオフした際に出力してチョッピング昇圧することができるため、ショートブレーキ時の発電量低下を補うことができ、発電電力の低下を抑えながら、制動トルクを増加することができる。
逆に、出力QDがLレベル信号を出力した際、つまり弱いブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が短くなってブレーキ量が減って発電機20は増速される。この際も、チョッピング信号によりトランジスタ27,29(スイッチ21,22)をオンからオフした際にチョッピング昇圧することができるので、まったくブレーキを掛けずに制御した場合に比べても発電電力を向上させることができる。
そして、発電機20からの交流出力は、倍電圧整流回路41によって昇圧、整流されて電源回路(コンデンサ)40に充電され、この電源回路40により回転制御装置50が駆動される。
なお、アップダウンカウンタ60の出力QDと、チョッピング信号CH5とは共に分周回路52の出力Q5〜Q8,Q12を利用しているため、つまりチョッピング信号CH5の周波数が出力QDの周波数の整数倍とされているため、出力QDの出力レベルの変化つまり強いブレーキ制御と弱いブレーキ制御の切替タイミングと、チョッピング信号CH5とは同期して発生している。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) 発電機20を調速制御する弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御への切替時(過渡期)に、いきなり強ブレーキ制御に切り替えるのではなく、一旦中間ブレーキ制御を行ってから切り替えているので、必要以上のブレーキを掛けすぎて発電機20のロータ12が停止してしまうことを確実に防止できる。
このため、電子制御式機械時計において、発電機20のロータ12が停止してしまい、このロータ12に連動する指針が止まること、つまり運針停止の発生を確実に防止することができる。
(2) 弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御への切替時に、中間ブレーキ制御を2周期行っているので、ロータ12の回転速度が急激に遅くなることがなく、ロータ12に連結した指針の揺らぎも低減することができる。このため、安定した運針が行えて見栄えを良くでき、商品価値を向上することができ、時刻指示精度も向上することができる。
(3) また、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御への切替時は、中間ブレーキ制御を介していないが、強ブレーキ制御に切り替わった際に、2周期は中間ブレーキ制御が行われるため、特に、発電機20が設定された回転スピード近くになり、アップカウンタ信号と、ダウンカウンタ信号とが交互に入力されるロック状態では、強ブレーキ制御時でもブレーキ力が著しく大きくなる前に弱ブレーキ制御に切り替わるため、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御への切替時も、ロータ12の回転速度が急激に速くなることを防止できる。このため、より安定した運針が行えて見栄えを良くでき、商品価値を向上することができる。
(4) 回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号と、基準信号fsに基づくダウンカウント信号とを、アップダウンカウンタ60に入力し、回転検出信号FG1(アップカウント信号)のカウント数が基準信号fs(ダウンカウント信号)のカウント数よりも大きい状態(カウンタ60の初期値が「7」であれば、カウンタ値が「8」以上の状態)では、ブレーキ回路120により発電機20に強いブレーキをかけ続け、逆に回転検出信号FG1のカウント数が基準信号fsのカウント数以下の状態(カウンタ値が「7」以下の状態)では、発電機20に弱いブレーキを印加するため、発電機20の立ち上がり時等の回転速度が基準速度よりも大きくずれている場合でも、迅速に基準速度に近づけることができ、回転制御の応答性を速くすることができる。
(5) その上、強ブレーキ制御、中間ブレーキ制御、弱ブレーキ制御の切り替えを、デューティ比の異なるチョッピング信号CH5を用いて行っているので、充電電圧(発電電圧)を低下させることなくブレーキ(制動トルク)を大きくすることができる。特に、強ブレーキ制御時にはデューティ比の大きなチョッピング信号を用いて制御しているので、充電電圧の低下を抑えながら制動トルクを大きくすることができ、システムの安定性を維持しながら、効率的なブレーキ制御を行うことができる。これにより、電子制御式機械時計の持続時間も長くすることができる。
(6) さらに、強ブレーキ制御時に、制動トルク(デューティ比)が異なる2段階のブレーキ制御(中間ブレーキ制御と強ブレーキ制御)を行っているので、より効果的な強ブレーキ制御を行うことができ、発電電力の低下を抑えながら、十分なブレーキ制御を行うことができる。
(7) 弱ブレーキ制御時にも、デューティ比の小さなチョッピング信号によりチョッピング制御しているので、弱いブレーキを印加している間の充電電圧をより向上することができる。すなわち、デューティ比が1/16のチョッピング信号を用いれば、制動トルクを低く維持しつつ、充電電圧をある程度確保することができる。
(8) 強ブレーキ制御(中間ブレーキ制御も含む)と弱ブレーキ制御の切替は、カウンタ値が「7」以下であるか「8」以上であるかのみで設定され、ブレーキ時間等を別途設定する必要もないため、回転制御装置50をシンプルな構成にでき、部品コストや製造コストを低減でき、電子制御式機械時計を安価に提供できる。
(9) 発電機20の回転速度に応じて、アップカウンタ信号が入力されるタイミングが変化するため、カウンタ値が「8」である期間つまりブレーキを掛けている時間も自動的に調整することができる。このため、特にアップカウンタ信号とダウンカウント信号とが交互に入力されるロック状態では、応答性の速い安定した制御を行うことができる。
(10)制動制御部では、アップダウンカウンタ60を用いているので、各アップカウンタ信号およびダウンカウンタ信号の計数と同時に各計数値の比較(差)を自動的に算出することができるため、構成を簡易にできかつ各計数値の差を簡単に求めることができる。
(11)4ビットのアップダウンカウンタ60を用いているので、16個のカウント値をカウントすることができる。このため、アップカウンタ信号が続けて入力された場合などに、その入力値を累積してカウントすることができ、設定された範囲つまりアップカウンタ信号やダウンカウンタ信号が連続して入力されてカウンタ値が「15」や「0」になるまでの範囲では、その累積誤差を補正することができる。このため、仮に発電機20の回転速度が基準速度から大きく外れても、ロック状態になるまでは時間が掛かるが、その累積誤差を確実に補正して発電機20の回転速度を基準速度に戻すことができ、長期的には正確な運針を維持することができる。
(12)初期化回路90を設けて、発電機20の起動時の電源回路40が所定の電圧に充電されるまではブレーキ制御を行わず、発電機20にブレーキが掛からないようにしているので、電源回路40への充電を優先させることができ、電源回路40によって駆動される回転制御装置50を迅速にかつ安定して駆動することができ、その後の回転制御の安定性も高めることができる。
(13)出力QDの出力レベル変化つまり強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御との切替タイミングと、チョッピング信号CH5のオンからオフへの変化タイミングとを同期させているので、発電機20のチョッピング信号CH5に対応した起電圧が高い出力部分(ひげ部分)を一定間隔で出力することができ、この出力を時計の歩度測定パルスとして利用することもできる。すなわち、出力QDとチョッピング信号CH5とが同期していない場合には、一定周期のチョッピング信号CH5とは別に出力QDの変化時にも発電機20からは起電圧が高い部分が発生する。このため、発電機20の出力波形における「ひげ部分」は必ずしも一定間隔で出力されないために歩度測定パルスとして利用することができないが、本実施形態のように同期させていれば歩度測定パルスとしても利用することができる。
(14)発電機20の整流制御は、各端子MG1,MG2にゲートが接続された第1,3の電界効果型トランジスタ26,28で行っているので、コンパレータ等を用いる必要が無く、構成が簡単になり、かつコンパレータの消費電力による充電効率の低下も防止できる。さらに、発電機20の端子電圧を利用して電界効果型トランジスタ26,28のオン、オフを制御しているので、発電機20の端子の極性に同期して各電界効果型トランジスタ26,28を制御することができ、整流効率を向上することができる。また、チョッピング制御される第2,4の電界効果型トランジスタ27,29を各トランジスタ26,28に並列に接続することで、チョッピング制御を独立して行うことができ、かつ構成も簡易にできる。従って、構成が簡易で、発電機20の極性に同期し、かつ昇圧しながらチョッピング整流を行える整流回路41を提供することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図9を参照して説明する。なお、本実施形態において、前述の第1実施形態と同一もしくは同様の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
本実施形態は、チョッピング信号選択手段であるブレーキ生成回路170と、チョッピング生成回路160の構成が前記第1実施形態と相違するものであり、その他の構成は同一であるため、説明を省略する。
前記第1実施形態のチョッピング生成回路150が3種類のチョッピング信号のみを生成するように構成されていたのに対し、本実施形態のチョッピング生成回路160は、デューティ比が1/16〜15/16までの15段階のチョッピング信号を生成可能に構成されている。
また、ブレーキ生成回路170は、図10に示すように、アップダウンカウンタ60の出力QDおよびインバータ177を介したその反転信号であるXQDと、分周回路52の出力Q7(256Hz)とがそれぞれ入力されるANDゲート171,172と、ANDゲート171の出力がUP1入力とされ、ANDゲート172の出力がDOWN1入力とされた4ビットのアップダウンカウンタ173と、アップダウンカウンタ173の各出力Q1〜Q3が入力されかつこの入力に応じて16個の出力(O0〜O15)のいずれか1つをHレベル信号にする4to16のデコーダ174と、デコーダ174の16個の出力がそれぞれ個別に入力され、かつチョッピング生成回路160で生成されたデューティ比が異なる15個のチョッピング信号がそれぞれ個別に入力された16個のANDゲート175と、これらの各ANDゲート175の出力が入力されるORゲート176とを備えて構成されている。
ここで、デコーダ174の出力O0が入力されたANDゲート175には、デューティ比1/16のチョッピング信号が入力され、出力O0がHレベル信号になるとORゲート176からはデューティ比1/16のチョッピング信号CH6が出力されるようにされている。
同様に、デコーダ174の出力O1〜O14が入力されるANDゲート175には、デューティ比2/16〜15/16のチョッピング信号がそれぞれ入力されており、各出力O1〜O14がHレベル信号になると、ORゲート176からはデューティ比2/16〜15/16のチョッピング信号CH6がそれぞれ出力されるようにされている。
さらに、デコーダ174の出力が16個であるのに対し、チョッピング信号は15個であるため、デコーダ174の出力O15が入力されるANDゲート175には、出力O14と同じデューティ比15/16のチョッピング信号が入力されている。このため、出力O15がHレベル信号になった場合も、ORゲート176から出力されるチョッピング信号CH6は、デューティ比15/16の信号とされる。
なお、図10には図示しないが、アップダウンカウンタ173は、前記アップダウンカウンタ60と同様に、カウンタ値が「15」になるとアップカウント信号がそれ以上入力されないように設定されており、同様に、カウンタ値が「0」になるとダウンカウント信号がそれ以上入力されないように設定されている。
このような本実施形態においては、図11にも示すように、アップダウンカウンタ60の出力QDからLレベル信号が出力されている場合(カウント値「7」以下)には、信号Q7がANDゲート172からアップダウンカウンタ173のDOWN1端子に入力され、アップダウンカウンタ173の4ビットの出力Q0〜Q3は、切替前の値から徐々に減少する。
このため、各出力Q0〜Q3が入力されたデコーダ174では、Hレベル信号の出力がO15側からO0に向かって256Hzの周期で移動し、これにより、ORゲート176から出力されるチョッピング信号CH6も256Hzの周期で切り替えられ、出力O14から出力O0に順次Hレベル信号が変化するにしたがって、1/16デューティずつ減少する。このため、徐々にブレーキ実効値が小さくなり、発電機20に対しては、発電電力(起電力)を優先した弱いブレーキ制御(弱ブレーキ制御)が行われる。
一方、アップダウンカウンタ60の出力QDからHレベル信号が出力されている場合(カウント値「8」以上)には、信号Q7がANDゲート171からアップダウンカウンタ173のUP1端子に入力され、アップダウンカウンタ173の4ビットの出力Q0〜Q3は、切替前の値から徐々に増加する。
このため、各出力Q0〜Q3が入力されたデコーダ174では、Hレベル信号の出力がO0側からO15に向かって256Hzの周期で移動し、これにより、ORゲート176から出力されるチョッピング信号CH6も256Hzの周期で切り替えられ、出力O0から出力O14に順次Hレベル信号が変化するにしたがって、1/16デューティずつ増加する。このため、徐々にブレーキ実効値が大きくなり、発電機20に対しては、発電電力(起電力)よりもブレーキ力(制動トルク)を優先した強いブレーキ制御が行われる。
このような本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(15)その上、強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の切替時には、その直前のチョッピング信号の1段階大きな(強ブレーキ制御時)または小さな(弱ブレーキ制御時)デューティ比の信号が入力されるので、ブレーキ制御の切替時にロータ速度が急激に速くなったり、遅くなったりすることがなく、ロータ12の速度変化を緩やかにできる。このため、ロータ12に連結された指針の揺らぎをより一層低減できて、見栄えが良く、商品性の高い電子制御式機械時計とすることができる。
(16)また、強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御時には、デューティ比が徐々に増加または減少するため、強ブレーキ制御状態が長くなれば、つまりロータ12の回転速度が基準速度よりも大幅に速い場合には、ブレーキ実効値が徐々に大きくなるブレーキを印加でき、その速度を確実に低減させることができる。
一方、弱ブレーキ制御状態が長くなれば、つまりロータ12の回転速度が基準速度よりも遅い場合には、ブレーキ実効値が徐々に小さくなるブレーキを印加でき、ブレーキ力を弱めてロータ12の回転速度を基準速度に近付けることができる。
従って、ロータ12の回転速度が基準周期から大きく外れてしまっても、効率的なブレーキ制御を行うことができて、迅速に基準周期に近付けることができる。
次に本発明の第3実施形態について、図12,13を参照して説明する。なお、本実施形態においても、前述の第2実施形態と同一もしくは同様の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
本実施形態は、第2実施形態のブレーキ生成回路170の構成を変更したブレーキ生成回路180を用いたものである。
ブレーキ生成回路180は、ブレーキ生成回路170と同じANDゲート171,172、アップダウンカウンタ173、デコーダ174、複数のANDゲート175、ORゲート176、インバータ177を備えている。
ブレーキ生成回路180は、さらに、アップダウンカウンタ60に入力されるUP信号またはDOWN信号が入力されて、その出力がアップダウンカウンタ173のセット入力とされているORゲート181と、アップダウンカウンタ60のカウンタ値が9より大きな場合にHレベル信号を出力する回路182と、デューティ比が15/16のチョッピング信号を発生する回路183と、各回路182,183からの信号が入力されるANDゲート184と、ANDゲート184の出力および前記ORゲート176の出力が入力されるORゲート185とを備えている。
そして、ORゲート185から出力されるチョッピング信号CH7が各スイッチ21,22の電界効果型トランジスタ27、電界効果型トランジスタ29のゲート入力とされている。
このような本実施形態においては、図13に示すように、アップダウンカウンタ60の出力QDからLレベル信号が出力されている場合(カウント値「7」以下)には、信号Q7がANDゲート172からアップダウンカウンタ173のDOWN1端子に入力される。この際、アップダウンカウンタ60にUP信号やDOWN信号が入力されると、アップダウンカウンタ173のセット入力にも信号が入力され、アップダウンカウンタ173のカウンタ値が初期セット値(本実施形態では「7」)になる。
このため、各出力Q0〜Q3が入力されたデコーダ174では、最初は出力端子O7がHレベル信号となり、チョッピング信号CH7は、デューティ比が8/16の信号が最初に出力される。その後、信号Q7の端子DOWN1への入力に伴い、256Hzの周期で前記ORゲート176から出力されるチョッピング信号つまりはORゲート185から出力されるチョッピング信号CH7も256Hzの周期で切り替えられ、1/16デューティずつ減少する。このため、徐々にブレーキ実効値が小さくなり、発電機20に対しては、発電電力(起電力)を優先した弱いブレーキ制御(弱ブレーキ制御)が行われる。
一方、カウンタ値が「8」または「9」となり、アップダウンカウンタ60の出力QDからHレベル信号が出力されている場合には、UP信号の入力に伴い、アップダウンカウンタ173の初期値が「7」になり、前記ORゲート176つまりはORゲート185からは、デューティ比が8/16のチョッピング信号CH7が出力され、その後、256Hzの周期で1/16デューティずつ増加する。このため、徐々にブレーキ実効値が大きくなり、発電機20に対しては、発電電力(起電力)よりもブレーキ力(制動トルク)を優先した強いブレーキ制御が行われる。
さらに、図13には図示していないが、アップダウンカウンタ60のカウンタ値が「9」を越えると、回路182がHレベル信号を出力するため、回路183からデューティ比15/16に固定されたチョッピング信号がチョッピング信号CH7として出力される。
このような本実施形態においても、前記各実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
(17)さらに、弱ブレーキ制御時および強ブレーキ制御時のいずれの場合も、必ず所定のブレーキ実効値(本実施形態ではデューティ比が8/16)のブレーキが最初に加わるため、ブレーキ力を予め予測でき、ブレーキ制御のプログラムなどを容易に設定することができる。このため、強ブレーキ制御時に、デューティ比の小さなブレーキ(例えば、デューティ比が3/16のチョッピング信号)から徐々に増加させたために、ブレーキの増加が間に合わず速度が速くなりすぎたり、弱ブレーキ制御時に、デューティ比の大きなブレーキ(例えば、デューティ比が13/16のチョッピング信号)から徐々に減少させたために、ブレーキの減少が間に合わずに速度が低下しすぎるということがなく、安定した制御を行うことができる。
(18)また、ロータ12の回転速度が非常に速くなり、アップダウンカウンタ60のカウンタ値が「10」以上になると、強制的に、デューティ比15/16とブレーキ実効値が非常に強いブレーキ制御を行うため、ロータ12の回転速度を効果的に通常速度に落とすことができ、より安定した制御を行うことができる。
なお、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記第1実施形態では、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替える際に、中間ブレーキ制御を行っていたが、図14に示すチョッピング信号CH10のように、強ブレーキ制御(デューティ比=15/16)から弱ブレーキ制御(デューティ比=1/16)に切り替えられる過渡期に中間ブレーキ制御(デューティ比=8/16)を行うようにしてもよい。
この場合には、弱ブレーキ制御時の最初に中間ブレーキ制御を行うため、必要以上にブレーキを解除してしまうことを防止できるという効果がある。
また、図14に示すチョッピング信号CH11のように、強ブレーキ制御(デューティ比=15/16)から弱ブレーキ制御(デューティ比=1/16)に切り替えられる過渡期と、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられる過渡期との両方で中間ブレーキ制御(デューティ比=8/16)を行うようにしてもよい。
この場合には、強ブレーキ制御時にブレーキを掛けすぎたり、弱ブレーキ制御時に必要以上にブレーキを解除してしまうことが無く、より安定した調速制御を行うことができる。
さらに、前記第2実施形態では、デューティ比を1/16ずつ増減していたが、図15に示すチョッピング信号CH20のように、デューティ比を2/16ずつ増減してもよい。この場合には、よりダイナミックなブレーキ制御を行うことができるという効果がある。
また、図15に示すチョッピング信号CH21のように、強ブレーキ制御の開始時のブレーキ実効値を固定(例えばデューティ比が7/16)してもよいし、チョッピング信号CH22のように、弱ブレーキ制御の開始時にブレーキ実効値を固定(例えばデューティ比が7/16)してもよい。
さらに、前記第3実施形態と同様に、図15に示すチョッピング信号CH23のように、強ブレーキ制御の開始時および弱ブレーキ制御の開始時にそれぞれブレーキ実効値を固定(例えばデューティ比が7/16)してもよい。
強ブレーキ制御の開始時にブレーキ実効値を固定すれば、ブレーキの増加開始時のブレーキ実効値が決められた固定値になるため、ブレーキの増加が間に合わずにロータ12の速度が速すぎるということがなく、必要なブレーキ力を与えて確実に調速制御することができる。
同様に、弱ブレーキ制御の開始時にブレーキ実効値を固定すれば、ブレーキの減少開始時のブレーキ実効値が決められた固定値になるため、ブレーキの減少が間に合わずにロータ12の速度が低下しすぎるということがなく、必要なブレーキ力を与えて確実に調速制御することができる。
なお、チョッピング信号CH21〜CH23においては、デューティ比の増減が2/16ずつであったが、前記第2,3実施形態と同様に、1/16ずつの増減にしてもよいし、3/16以上ずつの増減にしてもよい。
なお、各ブレーキ制御の固定値は、7/16や8/16に限らず、実施にあたって適宜設定すればよい。
また、チョッピング信号CH23においては、弱ブレーキ制御時と強ブレーキ制御時の固定値は同一であったが、例えば、強ブレーキ制御の開始固定値をデューティ比10/16とし、弱ブレーキ制御の開始固定値をデューティ比6/16にするなどして、それぞれ異なるブレーキ実効値(デューティ比)の固定値としてもよい。
さらに、第2,3実施形態では、強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の両方で、チョッピング信号のデューティ比つまりはブレーキの実効値を徐々に増減していたが、図16のチョッピング信号CH30のように、強ブレーキ制御時のみにブレーキ実効値を増加し、弱ブレーキ制御時のブレーキ実効値を固定してもよいし、逆に、弱ブレーキ制御時のみにブレーキ実効値を減少し、強ブレーキ制御時のブレーキ実効値を固定してもよい。
また、この際、チョッピング信号CH31のように、増加あるいは減少する際のブレーキ実効値の初期値を固定してもよい。
この際、特に、強ブレーキ制御時に、ブレーキ実効値が増加するようにすれば、いきなり強いブレーキを印加して発電機20を停止してしまうことを防止できる点で好ましい。
また、チョッピング生成回路150におけるチョッピング信号のデューティ比は、前記実施形態のように、1/16、8/16、15/16に限らず、例えば、14/16等の他の値でもよい。さらには、チョッピング信号のデューティ比を1/32、31/32等にしてもよい。
特に、強ブレーキ制御時で発電を優先させる際に用いられるチョッピング信号としては、デューティ比が0.75〜0.97の範囲にあることが好ましく、特に0.78〜0.82の範囲にすれば、充電電圧をより一層向上でき、0.90〜0.97と高い範囲にすれば、ブレーキ力をより一層高めることができるため、用途に応じて設定すればよい。
一方、弱ブレーキ制御時は、デューティ比が0.01〜0.30程度の範囲にあることが好ましい。
また、チョッピング生成回路160におけるチョッピング信号のデューティ比の変化を16段階ではなく、32段階などにしてもよく、制御切替時の初期値を固定する場合には、デューティ比の変化度合いなどに応じて適宜設定すればよい。
さらに、前記各実施形態では、チョッピング信号のデューティ比を変化させることでブレーキ実効値を変化させていたが、周波数を変化させることでブレーキ実効値を変化させてもよい。
例えば、デューティ比が一定であっても、チョッピング信号の周波数を例えば500〜1100Hzと高い範囲の周波数にすれば、ブレーキ力を弱くでき、充電電圧をより一層向上できる。一方で、周波数を25〜100Hzと低くすれば、強いブレーキ力にすることができる。
さらに、チョッピング信号のデューティ比および周波数の両方を変化させてブレーキ実効値を変化させてもよい。
なお、チョッピング信号の周波数やデューティ比はステップ的に変えるのではなく、周波数変調のように連続的な変化になるようにしてもよい。
また、ブレーキ実効値を可変するための構成としては、チョッピング信号のデューティ比や周波数を変化させる場合に限らず、例えば、チョッピング信号を印加するコイルの回路に可変抵抗器などを設け、コイルの両端をショートした際の抵抗値を変更することでブレーキ実効値を可変してもよい。
前記実施形態では、4ビットのアップダウンカウンタ60を用いていたが、3ビット以下のアップダウンカウンタを用いてもよいし、5ビット以上のアップダウンカウンタを用いても良い。ビット数が大きなアップダウンカウンタを用いれば、カウントできる値が増えるため、累積誤差を記憶できる範囲が大きくでき、特に発電機20の起動直後等の非ロック状態での制御が有利になる。一方で、ビット数の小さなカウンタを用いれば、累積誤差を記憶できる範囲が小さくなるが、特にロック状態になればアップおよびダウンを繰り返すことになるため、1ビットのカウンタでも対応できるとともに、コストを低減できる利点がある。
また、制動制御回路55の構成としては、アップダウンカウンタを用いたものに限らず、基準信号fs用および回転検出信号FG1用にそれぞれ設けた第1および第2の計数手段と、各計数手段の計数値を比較する比較回路とで構成されたものでもよい。ただし、アップダウンカウンタ60を用いたほうが回路構成が簡易になるという利点がある。さらに、回転制御装置50としては、発電機20の回転周期等を検出してその回転周期に基づいて強いブレーキ制御および弱いブレーキ制御を切り替えることができるものであればよく、その具体的構成は実施にあたって適宜設定すればよい。
また、整流回路41、ブレーキ回路120、制動制御回路55、チョッピング生成回路150、160、ブレーキ生成回路80,170,180等の具体的な構成は前記各実施形態に限らず、実施にあたって適宜設定すればよい。
また、ブレーキ生成回路80、170,180としては、前記各実施形態のように、論理ゲートを用いたものに限らず、チョッピング生成回路150,160からの出力端子を切り替えるスイッチ素子と、このスイッチ素子を前記発電機の起電圧やブレーキ量などに応じてコントロールするようにプログラミングされたIC等とを用いて構成してもよい。
さらに、発電機20の両端を閉ループとするスイッチとしては、前記実施形態のスイッチ21,22に限らない。要するに、スイッチは、発電機20の両端を閉ループとすることが可能なものであればよい。
また、整流回路41としては、チョッピング昇圧を利用した前記実施形態の構成に限らず、例えば複数のコンデンサを設け、その接続を切り替えることで昇圧する昇圧回路等を組み込んで構成してもよく、発電機や整流回路を組み込む電子制御式機械時計の種類等に応じて適宜設定すればよい。
さらに、整流回路41を含むブレーキ回路としては、前記各実施形態のブレーキ回路120に限らず、発電機20をチョッピング制御できるものであればよい。また、前記ブレーキ回路120では、両波に対してチョッピングするように構成していたが、半波のみをチョッピングするように構成してもよい。
さらに、前記各実施形態におけるチョッピング信号の周波数は、実施にあたって適宜設定すればよいが、例えば50Hz(発電機20のロータの回転周波数の約5倍)程度以上あれば、充電電圧を一定値以上に維持しながら、ブレーキ性能を向上できる。また、チョッピング信号のデューティ比も、0.05〜0.97の範囲で実施にあたって適宜設定すればよい。
ロータ12の回転周波数(基準信号)としては、前記実施形態の8Hzに限らず、10Hz等でもよく、実施にあたって適宜設定すればよい。
また、本発明は、前記実施形態のような電子制御式機械時計に適用するものに限らず、各種腕時計、置き時計、クロック等の各種時計、携帯型時計、携帯型の血圧計、携帯電話機、PHS、ページャ、歩数計、電卓、携帯用パーソナルコンピュータ、電子手帳、PDA(小型情報端末、「Personal Digital Assistant」)、携帯ラジオ、玩具、オルゴール、メトロノーム、電気かみそり等にも適用することができる。特に、本発明では、発電機の回転速度を一定速度に効率的に制御でき、かつ発電電圧も一定以上に維持することができるため、各種電子機器を安定してかつ長時間作動させることができる。このような電子機器としては、建物やビル内に設置されるものでもよいが、特に本発明はゼンマイ等の機械的エネルギ源を用いており、外部電源を必要としないため、屋外等で使用する携帯機器に適している。
さらに、機械的エネルギ源も、ゼンマイ1aに限らず、ゴム、スプリング、重錘や、圧縮空気等の流体でもよく、本発明を適用する対象などに応じて適宜設定すればよい。さらに、これらの機械的エネルギ源に機械的エネルギを入力する手段としては、手巻き、回転錘、位置エネルギ、気圧変化、風力、波力、水力、温度差等でもよい。
また、ゼンマイなどの機械的エネルギ源からの機械的エネルギを発電機に伝達するエネルギ伝達装置としては、前記各実施形態のような輪列(歯車)に限らず、摩擦車、ベルト(タイミングベルト等)及びプーリ、チェーン及びスプロケットホイール、ラック及びピニオン、カムなどを利用したものでもよく、本発明を適用する電子機器の種類などに応じて適宜設定すればよい。
また、時刻表示装置としては、指針13,14,17に限らず、円板、円環状や円弧形状のものを用いてもよい。さらに、液晶パネル等を用いたデジタル表示式の時刻表示装置を用いてもよく、本発明の電子機器には、このようなデジタル表示式の時計も含まれる。
また、制動制御回路55としては、前記実施形態のように、アップダウンカウンタ60、フリップフロップ、各種論理素子等のハードウェアで構成されたものに限らず、CPU(中央処理装置)、メモリ(記憶装置)等を備えたコンピュータを電子機器に設け、このコンピュータに所定のプログラムを組み込んで前記ブレーキ制御の機能を実現させるように構成したものでもよい。
例えば、時計等の電子機器内にCPUやメモリを配置してコンピュータとして機能できるように構成し、このメモリに所定の制御プログラムをインターネット等の通信手段や、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体を介してインストールし、このインストールされたプログラムでCPU等を動作させて、制動制御回路55の機能を実現させればよい。
なお、時計等の電子機器内に所定のプログラムをインストールするには、その電子機器にメモリカードやCD−ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読みとる機器を外付けで電子機器に接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を電子機器に接続して通信によってプログラムを供給しインストールしてもよいし、無線によってプログラムを供給してインストールしてもよい。
このような記録媒体やインターネット等の通信手段で提供される本発明の制御プログラムを電子機器に組み込むようにすれば、電子機器の特性に応じて、前記各種のブレーキ制御の方法を容易に設定でき、各電子機器毎により安定した回転制御を行うことができる。
なお、この各種記録媒体や通信手段等で供給されるプログラムとしては、少なくとも、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備え、かつ回転制御装置が、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、制動制御部とを備える電子機器の制御プログラムであって、前記制動制御部を、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで前記発電機をチョッピング制御するように機能させるプログラムや、前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を、徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御するように機能させるプログラムや、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御可能に構成され、かつ前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方は、そのブレーキ力が徐々に変化するように制御するように機能させるプログラムと、のいずれかのプログラムが含まれていればよく、それ以外の制御などを行うプログラムが含まれていてもよい。
本発明の第1実施形態における電子制御式機械時計の要部を示す平面図である。 図1の要部を示す断面図である。 図1の要部を示す断面図である。 第1実施形態の要部の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の電子制御式機械時計の構成を示す回路図である。 第1実施形態のチョッピング信号選択手段であるブレーキ生成回路を示すブロック図である。 第1実施形態のブレーキ生成回路の出力信号の変化を示すタイミングチャートである。 第1実施形態の制御方法を示すフローチャートである。 第2実施形態の電子制御式機械時計の構成を示す回路図である。 第2実施形態のチョッピング信号選択手段であるブレーキ生成回路を示すブロック図である。 第2実施形態のブレーキ生成回路の出力信号の変化を示すタイミングチャートである。 第3実施形態のチョッピング信号選択手段であるブレーキ生成回路を示すブロック図である。 第3実施形態のブレーキ生成回路の出力信号の変化を示すタイミングチャートである。 本発明の変形例のブレーキ生成回路の出力信号の変化を示すタイミングチャートである。 本発明の他の変形例のブレーキ生成回路の出力信号の変化を示すタイミングチャートである。 本発明の他の変形例のブレーキ生成回路の出力信号の変化を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1…香箱車、1a…ゼンマイ、1b…香箱歯車、2…地板、3…輪列受、4…角穴車、5…角穴ネジ、7…二番車、7a…筒かな、7b…筒車、8…三番車、9…四番車、10…五番車、11…六番車、12…ロータ、12a…ロータ磁石、12c…ロータ慣性円板、13…分針、14…秒針、15…ステータ、15a…ステータ体、15b…ステータコイル、16…コイルブロック、16a…磁心、16b…コイル、17…時針、20…発電機、21,22…スイッチ、23…コンデンサ、24,25…ダイオード、27〜29…電界効果型トランジスタ、40…電源回路、41…倍電圧整流回路、50…回転制御装置、51…発振回路、51A…水晶振動子、52…分周回路、53…回転検出回路、55…制動制御回路、60…アップダウンカウンタ、61…波形整形回路、62…モノマルチバイブレータ、70…同期回路、80,170,180…ブレーキ生成回路、90…初期化回路、120…ブレーキ回路、150,160…チョッピング生成回路。

Claims (19)

  1. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、
    前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、
    前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、
    を備えて構成されていることを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1に記載の電子機器において、
    前記チョッピング信号発生部は、デューティ比および周波数の少なくとも一方が互いに相違してスイッチに印加した際のブレーキ実効値が異なる少なくとも3種類のチョッピング信号を発生可能に構成され、
    前記制動制御部は、これらの少なくとも3種類のチョッピング信号から1つのチョッピング信号を選択して前記スイッチに印加するチョッピング信号選択手段を備えていることを特徴とする電子機器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
    前記中間ブレーキ制御は、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられる過渡期に行われることを特徴とする電子機器。
  4. 請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
    前記中間ブレーキ制御は、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられる過渡期に行われることを特徴とする電子機器。
  5. 請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
    前記中間ブレーキ制御は、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられる過渡期と、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられる過渡期との両方で行われることを特徴とする電子機器。
  6. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、
    前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、
    前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を、徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、
    を備えて構成されていることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項6に記載の電子機器において、
    前記チョッピング信号発生部は、デューティ比および周波数の少なくとも一方が互いに相違してスイッチに印加した際のブレーキ実効値が異なる複数種類のチョッピング信号を発生可能に構成され、
    前記制動制御部は、これらの複数のチョッピング信号から1つのチョッピング信号を順次選択して前記スイッチに印加するチョッピング信号選択手段を備えていることを特徴とする電子機器。
  8. 請求項6または請求項7に記載の電子機器において、
    前記強ブレーキ制御は、弱ブレーキ制御から強ブレーキ制御に切り替えられた際には、所定の大きさのブレーキ実効値とされ、その後、ブレーキ力をこのブレーキ実効値から徐々に増加させるように制御されることを特徴とする電子機器。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の電子機器において、
    前記弱ブレーキ制御は、強ブレーキ制御から弱ブレーキ制御に切り替えられた際には、所定の大きさのブレーキ実効値とされ、その後、ブレーキ力をこのブレーキ実効値から徐々に減少させるように制御されることを特徴とする電子機器。
  10. 請求項8または請求項9に記載の電子機器において、
    前記所定の大きさのブレーキ実効値は、予め設定された固定値であることを特徴とする電子機器。
  11. 請求項8または請求項9に記載の電子機器において、
    前記所定の大きさのブレーキ実効値は、その制御に切り替えられる直前に印加されたブレーキ実効値を基準に設定される値であることを特徴とする電子機器。
  12. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器であって、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、
    前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、
    前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御可能に構成され、かつ前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方は、そのブレーキ力が徐々に変化するように制御する制動制御部と、
    を備えて構成されていることを特徴とする電子機器。
  13. 請求項12に記載の電子機器において、
    前記徐々に変化するブレーキは所定の大きさから開始されることを特徴とする電子機器。
  14. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、
    前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、
    前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、
    を備えて構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  15. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、
    前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、
    前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を、徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御する制動制御部と、
    を備えて構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  16. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、前記発電機の回転に連動して作動される時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計であって、
    前記回転制御装置は、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、
    前記スイッチに印加してブレーキ制御を行うためのチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部と、
    前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御可能に構成され、かつ前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方は、そのブレーキ力が徐々に変化するように制御する制動制御部と、
    を備えて構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  17. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチにチョッピング信号を印加してブレーキ制御を行うとともに、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな中間ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が中間ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも3種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御することを特徴とする電子機器の制御方法。
  18. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチにチョッピング信号を印加してブレーキ制御を行うとともに、前記チョッピング信号の印加によるブレーキの実効値を、徐々に増加させる強ブレーキ制御と、徐々に減少させる弱ブレーキ制御とを切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御することを特徴とする電子機器の制御方法。
  19. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法であって、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチにチョッピング信号を印加してブレーキ制御を行うとともに、前記チョッピング信号の印加によるブレーキ実効値が大きな強ブレーキ制御と、ブレーキ実効値が強ブレーキ制御よりも小さな弱ブレーキ制御との少なくとも2種類の制御を切り替えて実行することで、前記発電機をチョッピング制御するとともに、前記強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御の少なくとも一方はそのブレーキ力が徐々に変化するように制御することを特徴とする電子機器の制御方法。
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