JP3674426B2 - 電子機器、電子制御式機械時計およびそれらの制御方法 - Google Patents

電子機器、電子制御式機械時計およびそれらの制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼンマイ等の機械的エネルギ源の機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機の回転周期を制御することにより、指針等の作動部を正確に駆動する電子機器、電子制御式機械時計およびそれらの制御方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ゼンマイが開放する時の機械的エネルギを発電機で電気的エネルギに変換し、その電気的エネルギにより回転制御装置を作動させて発電機のコイルに流れる電流値を制御することにより、輪列に固定される指針を正確に駆動して正確に時刻を表示する電子制御式機械時計として、特公平7−119812号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
この特公平7−119812号公報に記載された発明では、水晶振動子などからの基準信号の周期で周期的に互いに続いて生じる複数の第1時間点の各々において、ブレーキオフ制御を行うとともに、前記基準信号の周期の中で第1時間点から隔置された第2時間点で、ブレーキオン制御を行っており、基準周期の1周期の中で、必ずブレーキオン制御とブレーキオフ制御とを行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ある基準周期の第2時間点で開始されたブレーキオン制御は、発電機の回転状態に関わらず、次の基準周期の第1時間点の時にブレーキオフ制御に強制的に切り換えられるため、状態によっては十分なブレーキ量を与えることができず、調速するまでに時間が掛かるという問題があった。
【0005】
特に、本出願人は、前記特公平7−119812号公報に記載された発明と異なり、チョッピング信号を印加することで発電機をチョッピング制御し、ブレーキトルクを増加させながら発電電力の低下を抑える制御方法を開発していた。しかし、このようなチョッピング信号を用いたブレーキ制御時に、特公平7−119812号公報に記載された発明のように、各基準周期に合わせてブレーキ制御が切り替わると、チョッピング信号の周期に関係なく切り替わってしまい、精度の良いブレーキ制御を行えない可能性がある。
【0006】
また、電子制御式機械時計に限らず、ゼンマイやゴムなどの機械的エネルギ源によって回転制御される部分を有するオルゴールやメトロノーム、おもちゃ、電気かみそりなどの各種電子機器においても、精度の良いブレーキ制御を行って各作動部、例えばオルゴールのドラムやメトロノームの振子の作動を精度良くしたいという要望は常に生じていた。
【0007】
本発明の目的は、チョッピング信号を用いたブレーキ制御を行っている場合に、確実かつ十分なブレーキ量を与えることができ、調速制御の応答性を高め、安定した制御を行うことができる電子機器、電子制御式機械時計およびそれらの制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の電子機器は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動され誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器において、前記回転制御装置は、時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、前記制動制御回路は、前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生し、かつ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する強ブレーキ開始タイミングおよび前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する弱ブレーキ開始タイミングの少なくとも一方を前記発電機のロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記同期させられた前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号または前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記発電機のロータの回転検出信号に同期させて前記発電機をチョッピング制御するチョッピング信号発生部
を備えて構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、例えば強ブレーキ開始タイミングをロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記ロータの回転検出信号に同期させているので、回転検出信号の入力によって強ブレーキ状態になると同時に強ブレーキを即座にかつ確実に掛けることができ、調速制御を安定して行うことができるとともに、応答性も早くすることができる。また、この場合、弱ブレーキ開始タイミングロータの回転検出信号に同期させていれば、強ブレーキ状態から弱ブレーキ状態への移行タイミングを、強ブレーキ制御用のチョッピング信号の1周期が終わってからにすることができ、ブレーキ量の制御精度を向上することができる。
【0010】
なお、本発明においては、強ブレーキ用チョピング信号の開始タイミングのみをロータの回転検出信号に同期させてもよく、弱ブレーキ用チョピング信号の開始タイミングのみをロータの回転検出信号に同期させてもよく、さらには、強ブレーキ用チョピング信号の開始タイミングおよび弱ブレーキ用チョピング信号の開始タイミングの両方をロータの回転検出信号に同期させてもよい。
【0011】
この際、前記チョッピング信号発生部は、前記スイッチに印加するチョッピング信号を強ブレーキ制御用から弱ブレーキ制御用に切り換える弱ブレーキ開始タイミング、または、前記スイッチに印加するチョッピング信号を弱ブレーキ制御用から強ブレーキ制御用に切り換える強ブレーキ開始タイミングを、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号、または、弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングに同期させているものである。なお、本発明において、チョッピング制御とは、発電機のロータに比べて高い周波数の制御信号(チョッピング信号)を用いて、発電機の両端を閉ループにしたり開ループにしたりする制御である。そして、この制御に用いられるチョッピング信号(制御信号)は、周波数が例えばロータの回転周波数の5〜150倍であるような信号である。
【0012】
このようにすれば、強ブレーキ状態から弱ブレーキ状態への移行タイミングや、弱ブレーキ状態から強ブレーキ状態への移行タイミングが、強ブレーキ制御用または弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の1周期が終わってからになるため、強ブレーキ制御時あるいは弱ブレーキ制御時のチョッピング信号を必ずその周期に応じた時間だけ掛けることができ、ブレーキ量を各周期の整数倍で制御することができ、制御精度をより一層向上することができる。
【0013】
なお、前記スイッチによる閉ループ状態とは、閉ループ状態ではない場合と比べて発電機に加わるブレーキ力が大きくなる状態であればよく、閉ループとされた回路上に、例えばスイッチと発電機との間等に、抵抗素子等が設けられていてもよい。但し、閉ループ状態は、各発電機の端子間を容易に同電位にできてショートブレーキを効率的に掛けられる点で、発電機の各端子間を直接短絡して構成することが好ましい。
【0014】
また、前記チョッピング信号発生部は、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の出力を基準信号の1周期以上に渡って継続可能に構成されていることが好ましい。
【0015】
このように構成されていれば、特に発電機の回転速度が高い際に、連続して強ブレーキ制御を行うこともできるため、1周期の間に必ずブレーキオフ制御が組み込まれる特公平7−119812号公報に記載の発明に比べて、迅速にかつ効率的に調速制御を行うことができる。
【0016】
また、前記電子機器は、計時装置や、オルゴールまたはメトロノームであることが好ましい。これらによれば、持続時間が長くかつ正確に回転制御される計時装置やオルゴールまたはメトロノームを提供することができる。
【0017】
請求項6に記載の電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、時刻を表示する時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計において、
前記回転制御装置は、時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、
前記制動制御回路は、前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生し、かつ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する強ブレーキ開始タイミングおよび前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する弱ブレーキ開始タイミングの少なくとも一方を前記発電機のロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記同期させられた前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号または前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記発電機のロータの回転検出信号に同期させて前記発電機をチョッピング制御するチョッピング信号発生部
を備えて構成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明では、例えば強ブレーキ開始タイミングをロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記ロータの回転検出信号に同期させているので、回転検出信号の入力によって強ブレーキ状態になると同時に強いブレーキを即座にかつ確実に掛けることができ、調速制御を安定して行うことができるとともに、応答性も早くすることができる。このため、特に調速精度が指針の指示精度につながる電子制御式機械時計においても、調速精度を非常に高くでき、高精度の時計を提供することができる。また、この場合、弱ブレーキ開始タイミングをロータの回転検出信号に同期させていれば、強ブレーキ状態から弱ブレーキ状態への移行タイミングを、強ブレーキ制御用のチョッピング信号の1周期が終わってからにすることができ、ブレーキ量の制御精度を向上することができる。
【0019】
この際も、前記チョッピング信号発生部は、前記スイッチに印加するチョッピング信号を強ブレーキ制御用から弱ブレーキ制御用に切り換える弱ブレーキ開始タイミング、または、前記スイッチに印加するチョッピング信号を弱ブレーキ制御用から強ブレーキ制御用に切り換える強ブレーキ開始タイミングを、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号、または、弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングに同期させているものである
【0020】
このようにすれば、強ブレーキ状態から弱ブレーキ状態への移行タイミングや、弱ブレーキ状態から強ブレーキ状態への移行タイミングが、強ブレーキ制御用または弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の1周期が終わってからになるため、強ブレーキ制御時あるいは弱ブレーキ制御時のチョッピング信号を必ずその周期に応じた時間だけ掛けることができ、ブレーキ量を各周期の整数倍で制御することができ、制御精度をより一層向上することができる。このため、電子制御式機械時計の指示精度もより一層高くすることができる。
【0021】
また、前記チョッピング信号発生部は、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の出力を基準信号の1周期以上に渡って継続可能に構成されていることが好ましい。
【0022】
このように構成されていれば、特に発電機の回転速度が高い際に、連続して強ブレーキ制御を行うこともできるため、1周期の間に必ずブレーキオフ制御が組み込まれる特公平7−119812号公報に記載の発明に比べて、迅速にかつ効率的に調速制御を行うことができる。このため、電子制御式機械時計において、ゼンマイを巻き上げた直後のように、機械的エネルギが非常に高い場合でも、迅速に調速することができ、指示誤差の発生を抑えることができる。
【0023】
請求項9に記載の電子機器の制御方法は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法において、
前記回転制御装置は、時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、前記制動制御回路は、前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部を備えているとともに、前記発電機のロータの回転検出信号が入力された際に、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加するとともに、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を開始させることを特徴とするものである。
【0024】
この際、前記回転制御装置は、前記基準信号が入力された際に、前記スイッチに印加するチョッピング信号を、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号に同期して弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に切り換えることが好ましい。
【0025】
本発明においても、強ブレーキ開始タイミングをロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記ロータの回転検出信号に同期させているので、回転検出信号の入力によって強ブレーキ状態になると同時に強いブレーキを即座にかつ確実に掛けることができ、調速制御を安定して行うことができるとともに、応答性も早くすることができる。
【0026】
請求項11に記載の電子制御式機械時計の制御方法は、機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、時刻を表示する時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計の制御方法において、
前記回転制御装置は、時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、前記制動制御回路は、前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部を備えているとともに、前記発電機のロータの回転検出信号が入力された際に、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加するとともに、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を開始させることを特徴とするものである。
【0027】
この際、前記回転制御装置は、前記基準信号が入力された際に、前記スイッチに印加するチョッピング信号を、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号に同期して弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に切り換えることが好ましい。
【0028】
本発明においても、強ブレーキ開始タイミングをロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記ロータの回転検出信号に同期させているので、回転検出信号の入力によって強ブレーキ状態になると同時に強いブレーキを即座にかつ確実に掛けることができ、調速制御を安定して行うことができるとともに、応答性も早くすることができる。このため、時計の指示精度もより一層向上することができる。
【0029】
なお、各チョッピング信号の周波数は、対象となる発電機の特性等に応じて適宜設定できるが、例えば500〜1000Hz程度の周波数の高い弱ブレーキ制御用のチョッピング信号と、10〜100Hz程度の周波数の低い強ブレーキ制御用のチョッピング信号とを用いればよい。
【0030】
さらに、周波数だけではなくデューティ比も異なるチョッピング信号を用いてチョッピング制御してもよい。特に、強ブレーキ制御時には、周波数が低くデューティ比が高いチョッピング信号を用い、弱ブレーキ制御時には、周波数が高くデューティ比が小さいチョッピング信号を用いれば、効率的にブレーキ制御を行うことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態の電子制御式機械時計の構成を示すブロック図である。
【0033】
電子制御式機械時計は、機械的エネルギ源としてのゼンマイ1aと、ゼンマイ1aのトルクを発電機20に伝達する機械エネルギー伝達装置である増速輪列(番車)7と、増速輪列7に連結されて時刻表示を行う時刻表示装置である指針13とを備えている。
【0034】
発電機20は、増速輪列7を介してゼンマイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流等からなる整流回路21を通して昇圧、整流され、コンデンサ(電源回路)22に充電供給される。
【0035】
このコンデンサ22から供給される電力によって回転制御装置50が駆動され、この回転制御装置50により発電機20が調速制御されている。回転制御装置50は、発振回路51、分周回路52、ロータの回転検出回路53、ブレーキの制動制御回路55を備えて構成され、図2にも示すように、発電機20に設けられたブレーキ回路120を制御することで、発電機20を調速している。
【0036】
ブレーキ回路120は、発電機20で発電された交流信号(交流電流)が出力される第1の出力端子MG1、第2の出力端子MG2を短絡等によって閉ループさせてショートブレーキを掛ける第1および第2のスイッチ121,122により構成され、調速機を兼用した発電機20に組み込まれている。
【0037】
第1のスイッチ121は、第2の出力端子MG2にゲートが接続されたPchの第1の電界効果型トランジスタ(FET)126と、制動制御回路55からのチョッピング信号(チョッピングパルス)CH3がゲートに入力される第2の電界効果型トランジスタ127とが並列に接続されて構成され、第1の出力端子MG1とコンデンサ22の第1の入力端子22aとの間に配置されている。
【0038】
また、第2のスイッチ122は、第1の出力端子MG1にゲートが接続されたPchの第3の電界効果型トランジスタ(FET)128と、制動制御回路55からのチョッピング信号(チョッピングパルス)CH3がゲートに入力される第4の電界効果型トランジスタ129とが並列に接続されて構成され、第1のスイッチ121と同様に、第1の出力端子MG1とコンデンサ22の第1の入力端子22aとの間に配置されている。
【0039】
発電機20の各出力端子MG1,MG2と、コンデンサ22の第2の入力端子22bとの間には、昇圧用のコンデンサ123、ダイオード124,125がそれぞれ配置されている。
【0040】
これらの発電機20に接続された昇圧用のコンデンサ123、ダイオード124,125、第1のスイッチ121、第2のスイッチ122を備えて倍電圧整流回路21(図1では整流回路21)が構成されている。そして、この整流回路21で整流された直流信号は、整流回路21から各入力端子22a,22bを介してコンデンサ22に充電される。
【0041】
なお、ダイオード124,125としては、一方向に電流を流す一方向性素子であればよく、その種類は問わない。特に、電子制御式機械時計では、発電機20の起電圧が小さいため、ダイオード125としては降下電圧Vfが小さいショットキーバリアダイオードを用いることが好ましい。また、ダイオード124としては、逆リーク電流が小さいシリコンダイオードを用いることが好ましい。
【0042】
回転制御装置50の発振回路51は、図3にも示すように、時間標準源である水晶振動子51Aを用いて発振信号(32768Hz)を出力し、この発振信号は12段のフリップフロップからなる分周回路52によってある一定周期まで分周される。分周回路52の12段目の出力Q12は、8Hzの基準信号fsとして出力されている。従って、発振回路51および分周回路52により、基準信号発生装置が構成されている。なお、分周回路52の出力Q4は2048Hz、出力Q5は1024Hz、出力Q6は512Hz、出力Q7は256Hzの各信号を出力している。
【0043】
回転検出回路53は、発電機20に接続された波形整形回路61とモノマルチバイブレータ62とで構成されている。波形整形回路61は、アンプ、コンパレータで構成され、発電機20のロータの回転に伴い出力される正弦波を矩形波に変換する。モノマルチバイブレータ62は、ある周期以下のパルスだけを通過させるバンドパス・フィルターとして機能し、ノイズを除去した回転検出信号FG1を出力する。
【0044】
制動制御回路55は、アップダウンカウンタ54と、同期回路70と、チョッピング信号発生部80とを備えている。
【0045】
アップダウンカウンタ54のアップカウント入力およびダウンカウント入力には、回転検出回路53の回転検出信号FG1および分周回路52からの基準信号fsが同期回路70を介してそれぞれ入力されている。
【0046】
同期回路70は、図3にも示すように、4つのフリップフロップ71やANDゲート72からなり、分周回路52の4段目の出力(2048Hz)や5段目の出力(1024Hz)の信号を利用して、回転検出信号FG1を基準信号fs(8Hz)に同期させるとともに、これらの各信号パルスが重なって出力されないように調整している。
【0047】
アップダウンカウンタ54は、4ビットのカウンタで構成されている。アップダウンカウンタ54のアップカウント入力には、前記回転検出信号FG1に基づく信号(UCL:アップカウント信号)が同期回路70から入力され、ダウンカウント入力には、前記基準信号fsに基づく信号(DCL:ダウンカウント信号)が同期回路70から入力される。これにより、基準信号fsおよび回転検出信号FG1の計数と、その差の算出とが同時に行えるようになっている。
【0048】
なお、このアップダウンカウンタ54には、4つのデータ入力端子(プリセット端子)A〜Dが設けられており、端子A,B,DにHレベル信号が入力されていることで、アップダウンカウンタ54の初期値(プリセット値)がカウンタ値「11」に設定されている。
【0049】
また、アップダウンカウンタ54のLOAD入力端子には、コンデンサ22に接続されてコンデンサ22に最初に電力が供給された際に、システムリセット信号SRを出力する初期化回路91が接続されている。なお、本実施形態では、初期化回路91は、コンデンサ22の充電電圧が所定電圧になるまではHレベルの信号を出力し、所定電圧以上になればLレベルの信号を出力するように構成されている。
【0050】
アップダウンカウンタ54は、LOAD入力つまりシステムリセット信号SRがLレベルになるまでは、アップダウン入力を受け付けないため、アップダウンカウンタ54のカウンタ値は「11」に維持される。
【0051】
アップダウンカウンタ54は、4ビットの出力QA〜QDを有している。従って、カウンタ値が「12」以上であれば、3,4ビット目の出力QC,QDは共にHレベル信号を出力し、カウンタ値が「11」以下であれば、3,4ビット目の出力QC,QDの少なくとも一方は必ずLレベル信号を出力する。
【0052】
従って、出力QC,QDが入力されるANDゲート110の出力LBSは、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「12」以上であればHレベル信号となり、カウンタ値が「11」以下であればLレベル信号となる。この出力LBSは、チョッピング信号発生部80に接続されている。
【0053】
なお、出力QA〜QDが入力されたNANDゲート111およびORゲート112の各出力は、同期回路70からの出力が入力されるNANDゲート102にそれぞれ入力されている。従って、例えばアップカウント信号の入力が複数個続いてカウンタ値が「15」になると、NANDゲート111からはLレベル信号が出力され、さらにアップカウント信号がNANDゲート102に入力されても、その入力はキャンセルされてアップダウンカウンタ54にアップカウント信号がそれ以上入力されないように設定されている。同様に、カウンタ値が「0」になると、ORゲート112からはLレベル信号が出力されるため、ダウンカウント信号の入力はキャンセルされる。これにより、カウンタ値が「15」を越えて「0」になったり、「0」を越えて「15」になったりしないように設定されている。
【0054】
チョッピング信号発生部80は、第1のチョッピング信号CH11を出力する第1チョッピング信号発生手段81と、第2のチョッピング信号CH21を出力する第2チョッピング信号発生手段85と、ANDゲート110からの出力LBSに応じて各チョッピング信号CH11,21を切り換えて出力する切替回路100とを備えて構成されている。
【0055】
第1チョッピング信号発生手段81は、3つのANDゲート82〜84で構成され、分周回路52の出力Q4〜Q7を利用して第1のチョッピング信号CH11を出力するように構成されている。
【0056】
第2チョッピング信号発生手段85は、分周回路52の出力Q6をクロック入力とし、かつ信号UCLでリセットされる1/5分周回路で構成され、第2のチョッピング信号CH21を出力するように構成されている。
【0057】
切替回路100は、前記アップダウンカウンタ54からの出力LBSがデータ入力とされ、チョッピング信号CH21がクロック入力とされてブレーキ状態および非ブレーキ状態の切替信号LBS1を出力するフリップフロップ86と、切替信号LBS1の状態によって弱ブレーキ制御用のチョッピング信号(前記第1のチョッピング信号CH11を反転した信号)や、強ブレーキ制御用のチョッピング信号(第2のチョッピング信号CH21を反転した信号)をチョッピング信号CH31として出力する各ANDゲート87,88およびNORゲート89とを備えている。
【0058】
従って、チョッピング信号発生部80のNORゲート89からの出力CH31は、図4,5に示すように、周波数が高く(256Hz)、デューティ比(1周期におけるブレーキ期間、つまりLレベル期間の長さ)が小さな弱ブレーキ制御用のチョッピング信号(第1のチョッピング信号CH11を反転した信号)と、周波数が低く(512/5=102.4Hz)、デューティ比が大きな強ブレーキ制御用のチョッピング信号(第2のチョッピング信号CH21を反転した信号)とが出力LBS1によって切り換えられてチョッピング信号CH31として出力されている。
【0059】
このチョッピング信号CH31は、ブレーキ回路120の各トランジスタ127,129に入力されている。従って、チョッピング信号CH31がLレベル信号となっている時には、各トランジスタ127,129つまりスイッチ121,122はオン状態に維持され、発電機20がショートされて閉ループ状態となり、ブレーキが掛かる。
【0060】
一方、チョッピング信号CH31がHレベル信号となっている時には、スイッチ121,122はオフ状態に維持され、発電機20にはブレーキが加わらない。従って、チョッピング信号CH31によって発電機20をチョッピング制御することができる。
【0061】
次に、本実施形態における動作を図4,5,6のタイミングチャートと、図7のフローチャートとを参照して説明する。
【0062】
発電機20が作動し始めて、初期化回路91からLレベルのシステムリセット信号SRがアップダウンカウンタ54のLOAD入力に入力されると(S11)、回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)と、基準信号fsに基づくダウンカウント信号(DCL)とがアップダウンカウンタ54でカウントされる(S12)。これらの各信号は、同期回路70によって同時にカウンタ54に入力されないように設定されている。
【0063】
このため、初期カウント値が「11」に設定されている状態から、アップカウント信号(UCL)が入力されるとカウンタ値は「12」となり、出力LBSがHレベル信号となり、チョッピング信号発生部80のフリップフロップ86に出力される。同時に、UCLによって第2チョッピング信号発生手段(1/5分周回路)85がリセットされ、フリップフロップ86のクロック回路にパルス信号が入力される。このため、UCLが入力されてカウンタ値が「12」になると、フリップフロップ86の出力LBS1も即座にHレベル信号に切り替わる。
【0064】
一方、ダウンカウント信号(DCL)が入力されてカウンタ値が「11」に戻った場合には、出力LBSはLレベル信号となる。但し、フリップフロップ86の出力LBS1は、チョッピング信号CH21に同期して変化するため、図5に示すように、DCLが入力されても即座にLレベルに切り替わることはなく、チョッピング信号CH21の1周期が終了した時にLレベル信号に切り替わる。
【0065】
そして、チョッピング信号発生部80では、フリップフロップ86の出力LBS1からLレベル信号が出力されている場合(カウント値「11」以下)には、ANDゲート88からの出力もLレベル信号に維持されるため、NORゲート89からのチョッピング信号CH31は出力CH11が反転したチョッピング信号、つまりHレベル信号(ブレーキオフ時間)が長く、Lレベル信号(ブレーキオン時間)が短いデューティ比(スイッチ121,122をオンしている比率)の小さな弱ブレーキ制御用のチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が短くなり、発電機20に対しては、ほとんどブレーキが掛けられない、つまり発電電力を優先した弱ブレーキ制御が行われる(S13,S15)。
【0066】
一方、フリップフロップ86の出力LBS1からHレベル信号が出力されている場合(カウント値「12」以上)には、ANDゲート87からの出力はLレベル信号に維持されるため、NORゲート89からのチョッピング信号CH31は出力CH21が反転したチョッピング信号、つまりデューティ比が大きくかつ周波数が前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に比べて小さな強ブレーキ制御用のチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が長くなり、発電機20に対しては強ブレーキ制御が行われるが、一定周期でブレーキがオフされるためにチョッピング制御が行われ、発電電力の低下を抑えつつ制動トルクを向上することができる(S13,14)。
【0067】
従って、図6にも示すように、強ブレーキ制御の開始時は、ロータの回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)に同期するが、強ブレーキ制御の終了時つまり弱ブレーキ制御の開始時は、基準信号fsに基づくダウンカウント信号(DCL)には同期せず、チョッピング信号CH31の1周期が終了するまで待って開始される。この際、強ブレーキ時のチョッピング信号CH31は、ロータの回転検出信号FG1に同期しているため、強ブレーキ時のチョッピング信号CH31の1周期終了時に切り替わる弱ブレーキ制御開始タイミングも、ロータの回転検出信号FG1に同期していることになる。
【0068】
但し、弱ブレーキ時のチョッピング信号CH31(出力CH11の反転信号)は、ロータの回転検出信号FG1に同期せずに出力されているため、開始タイミングは同期していても、実際のチョッピングのタイミングはロータの回転検出信号FG1には同期していない。
【0069】
なお、倍電圧整流回路21では、次のようにして発電機20で発電した電荷をコンデンサ22に充電している。すなわち、第1の出力端子MG1の極性が「−」で第2の出力端子MG2の極性が「+」の時には、第1の電界効果型トランジスタ(FET)126がオフされ、第3の電界効果型トランジスタ(FET)128がオンされる。このため、発電機20で発生した誘起電圧の電荷は、第2の出力端子MG2、コンデンサ123、ダイオード125、第1の出力端子MG1の回路によって例えば0.1μFのコンデンサ123に充電されるとともに、第2の出力端子MG2、第2のスイッチ122、第1の入力端子22a、コンデンサ22、第2の入力端子22b、ダイオード124,125、第1の出力端子MG1の回路によって例えば10μFのコンデンサ22に充電される。
【0070】
一方、第1の出力端子MG1の極性が「+」で第2の出力端子MG2の極性が「−」に切り替わると、第1の電界効果型トランジスタ(FET)126がオンされ、第3の電界効果型トランジスタ(FET)128がオフされる。このため、図2に示す「コンデンサ123→第2の出力端子MG2→発電機20→第1の出力端子MG1→スイッチ121→第1の入力端子22a→コンデンサ22→第2の入力端子22b→ダイオード124→コンデンサ123」の回路によって、発電機20で発生した誘起電圧と、コンデンサ123の充電電圧とが加えられた電圧でコンデンサ22が充電される。
【0071】
なお、各々の状態で、チョッピングパルスにより発電機20の両端が短絡し、開放されると、コイルの両端に高電圧が誘起され、この高い充電電圧によって電源回路(コンデンサ)22を充電することで充電効率が向上する。
【0072】
そして、ゼンマイ1aのトルクが大きくて発電機20の回転速度が大きい場合などでは、アップカウント信号によりカウンタ値が「12」になった後に、さらにアップカウント信号が入力されることがある。この場合には、カウンタ値は「13」となり、前記出力LBSはHレベルを維持するため、チョッピング信号CH31により一定周期でブレーキがオフされながらブレーキが掛けられる強ブレーキ制御が行われる。この強ブレーキ制御は、基準信号fsの1周期に関係なく、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「11」以下に低下するまで継続される。
【0073】
そして、ブレーキが掛けられたことにより、発電機20の回転速度が低下し、回転検出信号FG1が入力される前に基準信号fs(ダウンカウント信号)が2回入力されると、カウンタ値は「12」、「11」と低下し、「11」になった際にブレーキが解除される弱ブレーキ制御に切り替えられる。
【0074】
このような制御を行うと、発電機20が設定された回転スピード近くになり、アップカウント信号と、ダウンカウント信号とが交互に入力されて、カウンタ値が「12」と「11」とを繰り返すロック状態に移行する。この際は、カウンタ値に応じて強ブレーキ制御及び弱ブレーキ制御が繰り返される。つまり、ロータが1回転する基準周期の1周期の期間にデューティ比が大きいチョッピング信号と、デューティ比が小さいチョッピング信号とがスイッチ121,122に印加されてチョッピング制御が行われる。
【0075】
さらに、ゼンマイ1aがほどけてそのトルクが小さくなると、ダウンカウント信号(DCL)が連続して入力され、例えばカウンタ値が「11」、「10」と低下する場合がある。この際、出力LBS1はLレベルを維持するため、チョッピング信号CH31も弱ブレーキ制御用の信号が継続して出力される。これにより、強ブレーキを掛けずに発電機20の回転速度を基準速度に制御することになる。
【0076】
さらに、ゼンマイ1aがほどけると、弱ブレーキ制御のみであってもダウンカウント値が多く入力されるようになり、カウント値が「10」以下の小さな値になると、ゼンマイ1aのトルクが低下したと判断し、運針を停止したり、非常に低速にしたり、さらにはブザー、ランプ等を鳴らしたり、点灯させることで、利用者にゼンマイ1aを再度巻き上げるように促す。
【0077】
従って、アップダウンカウンタ54の出力LBSからHレベル信号が出力し、フリップフロップ86の出力LBS1からもHレベル信号が出ている間は、デューティ比の大きなチョッピング信号による強ブレーキ制御が行われ、出力LBSからLレベル信号が出力し、フリップフロップ86の出力LBS1からもLレベル信号が出ている間は、デューティ比の小さなチョッピング信号による弱ブレーキ制御が行われる。従って、アップダウンカウンタ54、より直接的にはフリップフロップ86によって強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御とが切り替えられる。
【0078】
そして、発電機20のMG1,MG2からは、磁束の変化に応じた交流波形が出力される。この際、出力LBS1の信号に応じて周波数およびデューティ比の異なるチョッピング信号CH31がスイッチ121,122に適宜印加され、出力LBS1がHレベル信号を出力した時、つまり強ブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が長くなってブレーキ量が増えて発電機20は減速される。そして、ブレーキが掛かる分、発電量も低下するが、このショートブレーキ時に蓄えられたエネルギーを、チョッピング信号CH31によりスイッチ121,122をオフした際に出力してチョッピング昇圧することができるため、ショートブレーキ時の発電量低下を補うことができ、発電電力の低下を抑えながら、制動トルクを増加することができる。
【0079】
逆に、出力LBS1がLレベル信号を出力した際、つまり弱ブレーキ制御時には、各チョッピングサイクル内におけるショートブレーキ時間が短くなってブレーキ量が減って発電機20は増速される。この際も、チョッピング信号CH31によりスイッチ121,122をオンからオフした際にチョッピング昇圧することができるので、まったくブレーキを掛けずに制御した場合に比べても発電電力を向上させることができる。
【0080】
そして、発電機20からの交流出力は、倍電圧整流回路21によって昇圧、整流されて電源回路(コンデンサ)22に充電され、この電源回路22により回転制御装置50が駆動される。
【0081】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
【0082】
(1) ブレーキ時のチョッピング信号CH31の開始タイミングをロータの回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)に同期させているので、UCLの入力によって強ブレーキ制御状態になると同時に強いブレーキを即座にかつ確実に掛けることができ、調速制御を安定して行うことができるとともに、応答性も早くすることができる。
【0083】
(2) その上、強ブレーキ制御状態から弱ブレーキ制御状態への移行は、基準信号に基づくダウンカウント信号(DCL)が入力されても即座に移行せず、強ブレーキ制御用のチョッピング信号CH31の周期に同期して切り替わるため、強ブレーキ制御時のチョッピング信号CH31を必ずその周期に応じた時間だけスイッチ121,122に加えることができるため、ブレーキ量の換算が容易になり、調速制御の精度をより一層向上することができる。
【0084】
(3) アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「12」以上であれば強ブレーキ制御を継続するため、例えば、ゼンマイ1aのトルクが大きく、発電機20のロータ回転速度が高い場合に、迅速に基準速度まで減速することができ、基準信号の1周期の間に必ずブレーキオンおよびブレーキオフ制御を行う場合に比べて、調速制御の応答性を高めることができる。
【0085】
同様に、アップダウンカウンタ54のカウンタ値が「11」以下であれば弱ブレーキ制御を継続するため、ゼンマイ1aのトルクが低下して発電機20のロータ回転速度が低くなった場合でも、強いブレーキを掛けないことで基準速度に戻すことができ、この場合も基準信号の1周期の間に必ずブレーキオンおよびブレーキオフ制御を行う場合に比べて、調速制御の応答性を高めることができる。
【0086】
(4) 強いブレーキおよび弱いブレーキの切替制御を、デューティ比および周波数の異なる2種類のチョッピング信号CH31を用いて行っているので、充電電圧(発電電圧)を低下させることなくブレーキ(制動トルク)を大きくすることができる。特に、強ブレーキ制御時にはデューティ比が大きくかつチョッピング周波数が小さなチョッピング信号を用いて制御しているので、充電電圧の低下を抑えながら制動トルクを大きくすることができ、システムの安定性を維持しながら、効率的なブレーキ制御を行うことができる。これにより、電子制御式機械時計の持続時間も長くすることができる。
【0087】
すわなち、発電機20の両端を短絡可能なスイッチを設け、このスイッチにチョッピング信号を印加して発電機20をチョッピング制御した場合、図11〜14に示すように、駆動トルク(ブレーキトルク、制動トルク)はチョッピング周波数が低いほど、またデューティ比が高いほど高くなり、充電電圧(発電電圧)はチョッピング周波数が高いほど高くなるがデューティ比が高くなってもそれほど低下せず、逆に50Hz以上の周波数ではデューティ比が0.8程度になるまでは充電電圧が高くなる。従って、チョッピング信号CH31の周波数およびデューティ比を本実施形態のように調整すれば、充電電圧(発電電圧)を低下することなく、ブレーキを大きくすることができ、効果的な調速制御を行うことができる。なお、図11,12は、チョッピング信号の周波数を、25,50,100,500,1000Hzの5段階に切り替えた場合であり、図13,14は、周波数を32,64,128,256,512,1024Hzの6段階に切り替えた場合であり、それぞれ各デューティー比でのコンデンサ22の充電電圧(発電電圧)および駆動トルクを測定したものである。
【0088】
(5) 回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)と、基準信号fsに基づくダウンカウント信号(DCL)とをアップダウンカウンタ54に入力することで、それらの各信号の位相の進みまたは遅れを検出し、その結果に基づいてその直後の1基準周期の期間のブレーキ制御を行っているので、モータ速度に短期的なふらつきがあったとしても、時計においては、長時間にわたって認識できるような時間の進み、遅れを無くすことができ、高精度の調速制御が行えて時刻指示精度も高めることができる。
【0089】
(6) 倍電圧整流回路21は、各端子MG1,MG2にゲートが接続された第1,3の電界効果型トランジスタ126,128を用いて整流制御を行っているので、コンパレータ等を用いる必要が無く、構成が簡単になって部品点数を少なくでき、かつコンパレータの消費電力による充電効率の低下も防止できる。さらに、発電機20の端子電圧(出力端子MG1,MG2の電圧)を利用して電界効果型トランジスタ126,128のオン、オフを制御しているので、発電機20の端子の極性に同期して各電界効果型トランジスタ126,128を制御することができ、整流効率を向上することができる。
【0090】
(7) また、チョッピング制御される第2,4の電界効果型トランジスタ127,129を各トランジスタ126,128に並列に接続することで、チョッピング制御を独立して行うことができ、かつ構成も簡易にできる。従って、構成が簡易で、発電機20の極性に同期し、かつ昇圧しながらチョッピング整流を行える倍電圧整流回路21を提供することができる。
【0091】
(8) 整流回路21では、コンデンサ123を用いた昇圧に加えて、チョッピングによる昇圧を行うことができるので、整流回路21の直流出力電圧つまりコンデンサ22への充電電圧を高めることができ、充電効率を向上することができる。
【0092】
(9) 4ビットのアップダウンカウンタ54を用いているので、16個のカウント値をカウントすることができる。このため、アップカウンタ信号が続けて入力された場合などに、その入力値を累積してカウントすることができ、設定された範囲つまりアップカウンタ信号やダウンカウンタ信号が連続して入力されてカウンタ値が「15」や「0」になるまでの範囲では、その累積誤差を補正することができる。このため、仮に発電機20の回転速度が基準速度から大きく外れても、ロック状態になるまでは時間が掛かるが、その累積誤差を確実に補正して発電機20の回転速度を基準速度に戻すことができ、長期的には正確な運針を維持することができる。
【0093】
(10)強ブレーキ制御と弱ブレーキ制御の切替は、カウンタ値が「11」以下であるか「12」以上であるかのみで設定され、ブレーキ時間等を別途設定する必要もないため、回転制御装置50をシンプルな構成にでき、部品コストや製造コストを低減でき、電子制御式機械時計を安価に提供できる。
【0094】
次に本発明の第2実施形態について、図8〜10を参照して説明する。なお、本実施形態において、前述の第1実施形態と同一もしくは同様の構成部分には、同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
【0095】
本実施形態は、強ブレーキ制御時と弱ブレーキ制御時のチョッピング信号CH32の周波数が同じになるように、前記第1実施形態のチョッピング信号発生部80とは構成が異なるチョッピング信号発生部180を用いたものである。
【0096】
具体的には、チョッピング信号発生部180は、アップカウント信号(UCL)によってリセットされる分周回路181を備えている。
【0097】
分周回路181は、分周回路52の出力Q3(4096Hz)をクロック入力とし、Q4a(2048Hz)〜Q7a(256Hz)の信号を出力するものである。
【0098】
さらに、チョッピング信号発生部180は、3つのANDゲート82〜84で構成され、分周回路181の出力Q4a〜Q7aを利用して第1のチョッピング信号CH12を出力する第1チョッピング信号発生手段81と、2つのORゲート186,187で構成され、分周回路181の出力Q4a〜Q7aを利用して第2のチョッピング信号CH22を出力する第2チョッピング信号発生手段185と、第2のチョッピング信号CH22に同期して切替信号LBS2を出力するフリップフロップ86等を含む前記第1実施形態と同様の切替回路100とを備えている。
【0099】
従って、チョッピング信号発生部180のNORゲート89からの出力CH32は、図9,10に示すように、デューティ比が小さな弱ブレーキ制御用のチョッピング信号(第1のチョッピング信号CH12を反転した信号)と、この信号と周波数は同一であるが、デューティ比が大きな強ブレーキ制御用のチョッピング信号(第2のチョッピング信号CH22を反転した信号)とが出力LBS2によって切り換えられてチョッピング信号CH32として出力されている。
【0100】
このチョッピング信号CH32は、各トランジスタ127,129に入力されている。従って、チョッピング信号CH32がLレベル信号となっている時は、各トランジスタ127,129つまりスイッチ121,122はオン状態に維持され、発電機20がショートされて閉ループ状態とされ、ブレーキが掛かる。
【0101】
一方、チョッピング信号CH32がHレベル信号となっている時は、スイッチ121,122はオフ状態に維持され、発電機20にはブレーキが加わらない。従って、チョッピング信号CH32によって発電機20をチョッピング制御することができる。
【0102】
次に、本実施形態における動作を図9,10のタイミングチャートを参照して説明する。
【0103】
発電機20が作動し始めて、初期化回路91からLレベルのシステムリセット信号SRがアップダウンカウンタ54のLOAD入力に入力されると、回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)と、基準信号fsに基づくダウンカウント信号(DCL)とがアップダウンカウンタ54でカウントされる。
【0104】
初期カウント値が「11」に設定されている状態から、アップカウント信号(UCL)が入力されるとカウンタ値は「12」となり、出力LBSがHレベル信号となり、チョッピング信号発生部180のフリップフロップ86に出力される。同時に、UCLによって分周回路181がリセットされ、各出力Q4a〜Q7aがそのUCLに同期して新たなタイミングで出力される。
【0105】
そして、分周回路181がリセットされることで、出力CH22からフリップフロップ86のクロック回路に最初のパルス信号が入力される。このため、アップカウント信号(UCL)が入力されてカウンタ値が「12」になると、フリップフロップ86の出力LBS2も即座にHレベル信号に切り替わる。
【0106】
一方、ダウンカウント信号(DCL)が入力されてカウンタ値が「11」に戻った場合には、出力LBSはLレベル信号となる。但し、フリップフロップ86の出力LBS2は、前記第1実施形態と同様に、CH22に同期して変化するため、図10に示すように、DCLが入力されても即座にLレベルに切り替わることはなく、チョッピング信号CH22の1周期が終了した時にLレベル信号に切り替わる。
【0107】
そして、チョッピング信号発生部180では、フリップフロップ86の出力LBS2からLレベル信号が出力されている場合(カウント値「11」以下)には、ANDゲート88からの出力もLレベル信号に維持されるため、NORゲート89からの出力CH32は出力CH12が反転したチョッピング信号、つまりデューティ比の小さなチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が短くなり、発電機20に対しては、ほとんどブレーキが掛けられない、つまり発電電力を優先した弱ブレーキ制御が行われる。
【0108】
一方、フリップフロップ86の出力LBS2からHレベル信号が出力されている場合(カウント値「12」以上)には、ANDゲート87からの出力はLレベル信号に維持されるため、NORゲート89からの出力CH32は出力CH22が反転したチョッピング信号、つまりデューティ比の大きなチョッピング信号となる。従って、基準周期におけるブレーキオン時間が長くなり、発電機20に対しては強ブレーキ制御が行われるが、一定周期でブレーキがオフされるためにチョッピング制御が行われ、発電電力の低下を抑えつつ制動トルクを向上することができる。
【0109】
従って、本実施形態においても、強ブレーキ制御の開始時は、ロータの回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)に同期するが、強ブレーキ制御の終了時つまり弱ブレーキ制御の開始時は、基準信号fsに基づくダウンカウント信号(DCL)には同期せず、チョッピング出力CH32の1周期が終了するまで待って開始され、前記第1実施形態と同様に、各チョッピング信号で調速制御が行われる。
【0110】
すなわち、強ブレーキおよび弱ブレーキの切替を制御するフリップフロップ86の出力は、出力CH22に同期して出力される。そして、この出力CH22は、ロータの回転検出信号FG1に基づくアップカウント信号(UCL)によってリセットされる分周回路181からの信号を用いて作られており、回転検出信号FG1に同期して出力されている。従って、弱ブレーキから強ブレーキに変化する強ブレーキ開始タイミングと、強ブレーキから弱ブレーキに変化する弱ブレーキ開始タイミングとは、共にロータの回転検出信号FG1に同期している。
【0111】
さらに、弱ブレーキ制御用のチョッピング信号(第1のチョッピング信号CH12を反転した信号)と、強ブレーキ制御用のチョッピング信号(第2のチョッピング信号CH22を反転した信号)とは、共に、ロータの回転検出信号FG1によってリセットされる分周回路181からの信号を利用して作られているため、それぞれの信号によるチョッピングのタイミングは、いずれもロータの回転検出信号FG1には同期している。
【0112】
このような本実施形態でも、前記第1実施形態の(1) 〜(3),(5) 〜(10)と同じ作用効果を奏することができる。
【0113】
さらに、弱ブレーキ制御開始タイミングと、弱ブレーキ制御時に用いられるチョッピング信号(第1のチョッピング信号CH12を反転した信号)CH31とが共にロータの回転検出信号FG1に同期しているので、弱ブレーキ制御に切り替わったときに、弱ブレーキ制御用のチョッピング信号も1周期の始めからスタートするため、弱ブレーキ制御時のチョッピング信号CH31も、必ずその周期に応じた時間だけスイッチ121,122に加えることができる。従って、弱ブレーキ時においてもブレーキ量の換算が容易になり、調速制御の精度をより一層向上することができる。
【0114】
なお、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【0115】
例えば、前記実施形態では、4ビットのアップダウンカウンタ54を用いていたが、3ビット以下のアップダウンカウンタを用いてもよいし、5ビット以上のアップダウンカウンタを用いても良い。ビット数が大きなアップダウンカウンタを用いれば、カウントできる値が増えるため、累積誤差を記憶できる範囲が大きくでき、特に発電機20の起動直後等の非ロック状態での制御が有利になる。一方で、ビット数の小さなカウンタを用いれば、累積誤差を記憶できる範囲が小さくなるが、特にロック状態になればアップおよびダウンを繰り返すことになるため、1ビットのカウンタでも対応できるとともに、コストを低減できる利点がある。
【0116】
また、制動制御回路55としては、アップダウンカウンタを用いたものに限らず、基準信号用fsおよび回転検出信号FG1用にそれぞれ設けた第1および第2の計数手段と、各計数手段の計数値を比較する比較回路とで構成されたものでもよい。ただし、アップダウンカウンタ54を用いたほうが回路構成が簡易になるという利点がある。さらに、制動制御回路55としては、発電機20の回転周期を検出してその回転周期に基づいて強ブレーキ制御および弱ブレーキ制御を切り替えることができるものであればよく、その具体的構成は実施にあたって適宜設定すればよい。
【0117】
さらに、前記第1実施形態ではデューティ比および周波数の異なる2種類のチョッピング信号CH31を用いてブレーキ制御をし、第2実施形態ではデューティ比のみが異なる2種類のチョッピング信号CH32を用いてブレーキ制御をしていたが、周波数のみが異なるチョッピング信号を用いてブレーキ制御してもよい。さらに、例えば、アップダウンカウンタのカウンタ値の大きさに応じて、強ブレーキ制御用のチョッピング信号を複数のものから選択して切り換える等することで、デューティ比や周波数が異なる3種類以上のチョッピング信号を用いてもよい。
【0118】
また、本発明においては、強ブレーキ開始タイミングのみをロータの回転検出信号に同期させてもよく、弱ブレーキ開始タイミングのみをロータの回転検出信号に同期させてもよく、さらには、強ブレーキ開始タイミングおよび弱ブレーキ開始タイミングの両方をロータの回転検出信号に同期させてもよく、これらは実施にあたって適宜設定すればよい。
【0119】
また、整流回路21、ブレーキ回路120、回転制御装置50、チョッピング信号発生部80,180等の具体的な構成は前記各実施形態に限らず、実施にあたって適宜設定すればよい。特に、整流回路21としては、例えば3倍以上の昇圧が可能な昇圧回路を組み込んで構成してもよく、発電機や整流回路を組み込む電子制御式機械時計の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0120】
さらに、前記各実施形態におけるチョッピング信号の周波数は、実施にあたって適宜設定すればよいが、例えば50Hz(発電機20のロータの回転周波数の5倍)程度以上あれば、充電電圧を一定値以上に維持しながら、ブレーキ性能を向上できる。また、チョッピング信号のデューティ比も実施にあたって適宜設定すればよい。
【0121】
また、本発明は、前記実施形態のような電子制御式機械時計に適用するものに限らず、置き時計、クロック等の各種時計、携帯型時計、携帯型の血圧計、携帯電話機、ページャ、万歩計、電卓、携帯用パーソナルコンピュータ、電子手帳、携帯ラジオ、オルゴール、メトロノーム、電気かみそり等にも適用することができる。特に、本発明では、発電機の回転速度を一定速度に効率的に制御でき、かつ発電電圧も一定以上に維持することができるため、各種電子機器を安定してかつ長時間作動させることができる。
【0122】
例えば、本発明をオルゴールに適用する場合には、前記実施形態における輪列7の歯車で、回転円板や回転ドラム(シリンダ)を回転させ、この回転ドラムなどに植設されたピンで振動板を弾いて音を発生させるようにすればよい。この場合も、時計の針と同様に回転ドラムなどを一定速度で回転させることができ、かつ長時間作動させ続けることができるため、正確な演奏を長時間行うことができる。
【0123】
また、本発明をメトロノームに適用する場合にも、輪列の歯車にメトロノーム音発信車を付け、その車の回転により、メトロノーム音片を弾いて周期的なメトロノーム音を発音させるようにすればよい。
【0124】
さらに、本発明は、発電機20のロータが一定の回転速度に制御される場合だけでなく、何段階かの設定回転速度に制御される場合にも適用することができる。例えば、メトロノームは、各種のテンポに対応した音を発生させる必要があり、1分間に60拍の場合もあれば、72拍や120拍の場合もある。これらの場合には、回転制御される発電機20の回転数がそれぞれ60拍、72拍、120拍に対応する回転数に制御されるように発電機20の制御回転数を可変できるようにすればよい。この制御回転数を変化させるには、例えば、基準信号発生装置の分周段を適宜切り換えて基準信号の周期を可変することなどで可能になる。
【0125】
また、発電機20を駆動する機械的エネルギ源としては、ゼンマイ1aに限らず、ゴム、スプリング、重錘、圧縮空気などの流体等でもよく、本発明を適用する対象などに応じて適宜設定すればよい。さらに、これらの機械的エネルギ源に機械的エネルギを入力する手段としては、手巻き、回転錘、位置エネルギ、気圧変化、風力、波力、水力、温度差等でもよい。
【0126】
また、ゼンマイ1aなどの機械的エネルギ源からの機械的エネルギを発電機20に伝達する機械エネルギー伝達装置としては、前記実施形態のような輪列7(歯車)に限らず、摩擦車、ベルト(タイミングベルト等)及びプーリ、チェーン及びスプロケットホイール、ラック及びピニオン、カムなどを利用したものでもよく、本発明を適用する電子機器や電子制御式機械時計の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0127】
また、時刻表示装置としては、指針14に限らず、円板、円環状や円弧形状のものを用いてもよい。さらに、液晶パネル等を用いたデジタル表示式の時刻表示装置を用いてもよい。
【0128】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の電子機器、電子制御式機械時計およびそれらの制御方法によれば、チョッピング信号を用いたブレーキ制御を行っている場合に、確実かつ十分なブレーキ量を与えることができ、調速制御の応答性を高め、安定した制御を行うことができるという効果がある。
【0129】
特に、本発明の電子制御式機械時計によれば、安定した調速制御を行うことができるため、時刻指示精度も高めることができ、高精度の時計にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における電子制御式機械時計の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の電子制御式機械時計の構成を示す回路図である。
【図3】第1実施形態の回転制御装置の回路構成を示す図である。
【図4】第1実施形態のチョッピング信号発生部におけるタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態のチョッピング信号発生部におけるタイミングチャートである。
【図6】第1実施形態のチョッピング信号発生部におけるタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態における制御方法を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態の回転制御装置の回路構成を示す図である。
【図9】第2実施形態のチョッピング信号発生部におけるタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態のチョッピング信号発生部におけるタイミングチャートである。
【図11】チョッピング周波数と駆動トルクとの関係を示すグラフである。
【図12】チョッピング周波数と充電電圧との関係を示すグラフである。
【図13】チョッピング周波数と駆動トルクとの関係を示すグラフである。
【図14】チョッピング周波数と充電電圧との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ゼンマイ
7 増速輪列
13 指針
20 発電機
21 倍電圧整流回路
22 電源回路(コンデンサ)
50 回転制御装置
51 発振回路
51A 水晶振動子
52 分周回路
53 回転検出回路
54 アップダウンカウンタ
55 制動制御回路
61 波形整形回路
62 モノマルチバイブレータ
70 同期回路
80 チョッピング信号発生部
81 第1チョッピング信号発生手段
82〜84 ANDゲート
85 第2チョッピング信号発生手段
86 フリップフロップ
87 ANDゲート
88 ANDゲート
89 NORゲート
91 初期化回路
100 切替回路
120 ブレーキ回路
121,122 スイッチ
123 コンデンサ
124,125 ダイオード
126〜129 電界効果型トランジスタ
180 チョッピング信号発生部
181 分周回路
185 第2チョッピング信号発生手段
186,187 ORゲート

Claims (12)

  1. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動され誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器において、
    前記回転制御装置は、
    時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、
    前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、
    前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、
    前記制動制御回路は、
    前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生し、かつ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する強ブレーキ開始タイミングおよび前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する弱ブレーキ開始タイミングの少なくとも一方を前記発電機のロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記同期させられた前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号または前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記発電機のロータの回転検出信号に同期させて前記発電機をチョッピング制御するチョッピング信号発生部
    を備えて構成されていることを特徴とする電子機器。
  2. 請求項1に記載の電子機器において、
    前記チョッピング信号発生部は、前記スイッチに印加するチョッピング信号を強ブレーキ制御用から弱ブレーキ制御用に切り換える弱ブレーキ開始タイミング、または、前記スイッチに印加するチョッピング信号を弱ブレーキ制御用から強ブレーキ制御用に切り換える強ブレーキ開始タイミングを、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号、または、弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に同期させていることを特徴とする電子機器。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
    前記チョッピング信号発生部は、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の出力を基準信号の1周期以上に渡って継続可能に構成されていることを特徴とする電子機器。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器は、計時装置であることを特徴とする電子機器。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器は、オルゴールまたはメトロノームであることを特徴とする電子機器。
  6. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、時刻を表示する時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計において、
    前記回転制御装置は、
    時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、
    前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、
    前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、
    前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、
    前記制動制御回路は、
    前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号 の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生し、かつ前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する強ブレーキ開始タイミングおよび前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加する弱ブレーキ開始タイミングの少なくとも一方を前記発電機のロータの回転検出信号に同期させ、且つ前記同期させられた前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号または前記弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の開始タイミングも前記発電機のロータの回転検出信号に同期させて前記発電機をチョッピング制御するチョッピング信号発生部
    を備えて構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  7. 請求項6に記載の電子制御式機械時計において、
    前記チョッピング信号発生部は、前記スイッチに印加するチョッピング信号を強ブレーキ制御用から弱ブレーキ制御用に切り換える弱ブレーキ開始タイミング、または、前記スイッチに印加するチョッピング信号を弱ブレーキ制御用から強ブレーキ制御用に切り換える強ブレーキ開始タイミングを、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号、または、弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に同期させていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  8. 請求項6または請求項7に記載の電子制御式機械時計において、
    前記チョッピング信号発生部は、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号の出力を基準信号の1周期以上に渡って継続可能に構成されていることを特徴とする電子制御式機械時計。
  9. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置とを備える電子機器の制御方法において、
    前記回転制御装置は、時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、前記制動制御回路は、前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部を備えているとともに、前記発電機のロータの回転検出信号が入力された際に、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加するとともに、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を開始させることを特徴とする電子機器の制御方法。
  10. 請求項9に記載の電子機器の制御方法において、
    前記回転制御装置は、前記基準信号が入力された際に、前記スイッチに印加するチョッピング信号を、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号に同期して弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に切り換えることを特徴とする電子機器の制御方法。
  11. 機械的エネルギ源と、前記機械的エネルギ源によって駆動されて誘起電力を発生して電気的エネルギを供給する発電機と、前記電気的エネルギにより駆動されて前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置と、時刻を表示する時刻表示装置とを備える電子制御式機械時計の制御方法において、
    前記回転制御装置は、時間標準源からの信号に基づいて基準信号を発生する基準信号発生装置と、前記発電機のロータの回転検出信号を出力する回転検出回路と、前記基準信号と前記回転検出信号とに基づいて前記発電機の回転周期を制御する強ブレーキ制御用と弱ブレーキ制御用のブレーキ制御信号を出力する制動制御回路と、前記発電機の両端を閉ループ状態に接続可能なスイッチと、を備え、前記制動制御回路は、前記スイッチに印加されるデューティ比および周波数の少なくとも一方が異なる強ブレーキ制御用および弱ブレーキ制御用に設定された2種類以上のチョッピング信号であって、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号および弱ブレーキ制御用のチョッピング信号の各々において前記発電機のロータの回転周波数の5倍以上の周波数を有するチョッピング信号を発生するチョッピング信号発生部を備えているとともに、前記発電機のロータの回転検出信号が入力された際に、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を前記スイッチに印加するとともに、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号を開始させることを特徴とする電子制御式機械時計の制御方法。
  12. 請求項11に記載の電子制御式機械時計の制御方法において、
    前記回転制御装置は、前記基準信号が入力された際に、前記スイッチに印加するチョッピング信号を、前記強ブレーキ制御用のチョッピング信号に同期して弱ブレーキ制御用のチョッピング信号に切り換えることを特徴とする電子制御式機械時計の制御方法。
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