JP3849268B2 - 定着装置用フッ素樹脂被覆ローラとその製造方法 - Google Patents

定着装置用フッ素樹脂被覆ローラとその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等の未定着トナー像を定着する定着装置に用いられるフッ素樹脂被覆ローラとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機やレーザービームプリンタ等は、記録媒体である紙の上に形成された未定着トナー画像を、定着装置内の加熱ローラと加圧ローラとによって形成されたニップ部で、熱と圧力によって定着していた。そのため、定着装置で使用される加熱ローラの表面は、トナーと直接接するので、トナーによるオフセットを防止する目的で、非粘着性物質が被覆されていた。そして、この非粘着性物質として、PFAやPTFEといったフッ素樹脂が使用されていた。
【0003】
ところが、フッ素樹脂は芯金に使用している金属との接着が難しく、金属と確実に接着させるためには、金属の表面にプライマーを塗布する必要があった。そのため、フッ素樹脂の被覆ローラは金属芯金の表面に3〜10μmのプライマー層を設けてから10〜25μmのフッ素樹脂層を設けていた。この結果、一般に芯金の上のプライマー層とフッ素樹脂層の総膜厚は20〜30μmの厚さとなっていた。
【0004】
近年、省エネの問題等から加熱ローラは定着する時だけ、すばやくハロゲンヒーターにより必要とする定着温度となるような、熱伝導の優れたものが要求されるようになってきた。ところが、従来からある加熱ローラは、芯金の上には総膜厚が20〜30μmの厚さの熱伝導の悪いフッ素樹脂層とプライマー層があるため、ハロゲンヒーターの熱が加熱ローラの表面に効率よく伝わらず、加熱ローラが必要な温度になる立ち上がりまでの時間が遅い等の問題が発生した。そして、この問題を回避するために、総膜厚で20μm以下の加熱ローラが要求された。
【0005】
このように、フッ素樹脂層の膜厚を薄くする要求を満足する為に、研磨による削り込みが行われたが、プライマーとフッ素樹脂との被膜は、スプレー塗装により形成されているので、形成された被膜の厚さは部分的に均等でなく、ローラ全体が均等な膜厚になるような研磨加工で、熱伝導の問題のでにくい総膜厚が20μm以下に仕上げるのは、精度的に困難であった。また、塗装していたフッ素樹脂の厚さを薄くする方法もあったが、耐久面でフッ素樹脂層の厚さが10μm以上ないと摩耗に対する信頼性が薄くなるため、プライマーを3〜10μm塗布している限りは、塗装膜厚を薄くする方法も難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このプライマーの問題を解決する方法として、特公平6−100877号に記載された、スプレー塗装によりフッ素樹脂系固体潤滑剤を含有する熱硬化性樹脂を被覆する方法がある。そして、この方法により総膜厚20μm以下の加熱ローラが作れるので、熱伝導の問題も解決ができる。しかし、この技術を使用すると、上記公告公報記載の発明者が自ら認めている通り、ローラ表面に微小な凹凸が発生する事になる。この様にローラ表面に発生した微小な凹凸が、定着圧力の低い複写機等では、黒ベタ部の光沢ムラとして画像にでてしまうという、別の問題が発生してしまい。解決が要望されている。
【0007】
そこで、本発明は上記のような問題を解決し、芯金の表面に熱伝導の問題が発生しにくい総膜厚20μm以下のフッ素樹脂層を形成するとともに、黒ベタ部で光沢ムラのでないような平滑な表面を有するフッ素樹脂ローラとその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決し、目的を達成するために、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラは、請求項1によれば、パイプ状の中空金属芯金の表面に、ポリアミドイミド又はポリイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物をプライマー層なしで厚さ20μm以下に被覆してなることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラは、請求項2によれば、パイプ状の中空金属芯金と、この芯金の表面にディップ塗装により直接に塗布され、ポリアミドイミド又はポリイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物を含む厚さ20μm以下の被覆層とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラは、請求項3によれば、前記ポリアミドイミド又はポリイミドに対して前記フッ素樹脂が重量比で4乃至10の範囲で混合されている事を特徴としている。
【0011】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラは、請求項4によれば、前記フッ素樹脂がPTFE又はPFAであることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラは、請求項5によれば、前記フッ素樹脂ローラの表面粗さがRz4μm以下であることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法は、請求項6によれば、パイプ状の中空金属芯金の表面に、ポリアミドイミド又はポリイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物をプライマー層なしで厚さ20μm以下にディップ塗装し、350〜400℃で焼成することを特徴としている。
【0014】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法は、請求項7によれば、前記フッ素樹脂がPTFE又はPFAであることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法は、請求項8によれば、前記ポリアミドイミドに対して前記フッ素樹脂を重量比で4乃至10の範囲で混合して前記混合物を調製する事を特徴としている。
【0016】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法は、請求項9によれば、前記混合物の液粘度が、50乃至150cpの範囲にある事を特徴としている。
【0017】
また、本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法は、請求項10によれば、前記ディップ塗装に際し、前記芯金の引き上げ速度を0.5乃至10mm/secの範囲に設定することを特徴とを特徴としている。
【0018】
【発明の概要】
本発明の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラは中空円筒のパイプ状の芯金に、熱硬化性樹脂であるポリアミドイミド又はポリイミドと平均粒径が1μm以下の乳化重合等で合成したフッ素樹脂の混合物をディップ塗装でコーティングし、焼成したものである。
【0019】
本発明に使用する芯金は、アルミ製の中空円筒のパイプ状のものを使用する。鉄製の芯金も使用できるが、薄肉の場合は芯金の精度が出にくく、錆びやすいのであまり好ましくはない。芯金の外径は12〜30mmで、芯金の厚さとしては0.4〜1.5mmくらいのものを使用する。これはあまり薄いと芯金としての強度が不足するし、厚いと熱容量が大きくなって立ち上がり温度に時間がかかってしまうので、好ましくない。
【0020】
熱硬化性樹脂であるポリアミドイミド又はポリイミドと平均粒径が1μm以下の乳化重合等で合成したフッ素樹脂の混合物の配合は、ポリアミドイミド又はポリイミドに対してフッ素樹脂を重量比で4〜10の範囲で混合したものが使用でき、重量比が5〜8の範囲が特に好ましい。重量比が4以下になるとフッ素樹脂による表面離型性の効果が減少するので好ましくない。使用するフッ素樹脂としては、PTFEかPFAが好ましく、表面を平滑にするために1μm以下の粒径のものを使用する必要がある。また、定着ローラの静電オフセット対策として、必要に応じてカーボン等の導電物質を含有させて、導電性の塗料として使用することも出来る。また、芯金への接着性を向上させるために、バインダー成分を配合してもよい。
【0021】
ローラ表面に被覆したポリアミドイミド又はポリイミドとフッ素樹脂の混合物層の膜厚は、熱伝導の関係から20μm以下にする必要があるので、好ましい膜厚としては12〜17μm程度が良い。また、表面粗さとしては、Rz4μm以下にしないと、表面の粗さが黒ベタ画像の光沢ムラとなる可能性があるので、Rz2〜3μm程度にするのが好ましい。
【0022】
塗装方法としてはディップ塗装が好ましい。これはスプレー塗装は芯金を横置きにして、円周方向に回転させてから、スプレーガンを芯金と平行に移動させながら塗料を霧状に噴射して塗装しているので、部分部分での塗着効率が変わり、狙った膜厚に対しての誤差を少なくすることが難しいからである。また、この塗装法は、空気の圧力で塗料を霧状にして吹き付けているため、塗料中の固形分は、スプレーガンのノズルから噴射されて芯金に付着する間に、表面が完全に濡れた状態と半乾燥状態との2種類が混ざった状態となる。そのため、固形分の表面が完全に濡れた状態で付着した部分は、表面張力によって平滑な表面となるが、半乾燥状態で付着した部分は、固形分の表面が完全に濡れた状態で付着した部分と比べて表面張力がうまく働かないため、微少な凸面となってしまい、スプレー塗装で表面が平滑なローラを作るのが難しい理由の一つとなっている。
【0023】
それに対してディップ塗装は、芯金を縦置きにして塗料の入った容器に沈め、一定の速度で引き上げる塗装方法なので、塗料の比重と塗料の液粘度と芯金の引き上げ速度とが一定であれば、付着量、表面の平滑さ等が、表面張力で決まるために何本でも同じ表面状態を持つローラを作ることができる。スプレー塗装の欠点である微少な凸面が出来るという問題も解決できる。
【0024】
ディップ塗装する際の引き上げ速度は0.5〜10mm/secの範囲で行うが、4〜8mm/secあたりが条件としては好ましい。そして、あまり早すぎると塗料が均一に芯金に塗れないので、10mm/secより早くすることは難しく、あまり遅すぎると量産性がなくなるので0.5mmより遅くすることは好ましくない。
【0025】
塗装に使うポリアミドイミド又はポリイミドとフッ素樹脂の混合物の液粘度としては、50〜150cpの範囲が使用でき、80cpあたりが最も好ましい。そして、150cpより粘度が高いと塗膜として厚くなりすぎてクラックが入り使用できず、50cpより低いと必要な膜厚をにることができない。
【0026】
このように、ディップ塗装したローラの焼成条件は、350〜400℃で行うが、フッ素樹脂の種類がPFAの場合は360℃、PTFEの場合は400℃が好ましい。これは350℃以下ではフッ素樹脂が充分に溶融しないため被膜の強度や芯金との接着が不十分となるためである。また、400℃以上ではフッ素樹脂の熱分解が始まるので好ましくない。
【0027】
【発明を実施する形態】
試験例
ポリアミドイミドとフッ素樹脂との混合比の最適な条件を決めるための試験例として、混合比を変えたローラを作成して、塗膜の接着強度を測定し、これにより、ポリアミドイミドとフッ素樹脂との混合比の最適な条件を決定した。この試験例では、フッ素樹脂としてPTFEを使用するものとする。
【0028】
先ず、外径が15.8mmで肉厚が0.7mmのアルミ製の中空パイプ状芯金を用意して、脱脂、洗浄、ブラストを行ってから、膜厚が10μmとなるように、ポリアミドイミドの量を変えてPTFEの量を一定にした液粘度が80cpの塗料を使用して、図1に示す試験装置(ディップ装置)10を用いて、引き上げ速度8mm/secでディップ塗装を行い、電気炉で400℃で30分間焼成して、符号A乃至Fで示す6種類のフッ素樹脂被覆ローラ(以下、単にローラと呼ぶ。)12を作成した。
【0029】
即ち、このローラ12は、図2に示すように、芯金12Aと、この芯金12Aの外周に全面に渡り直接に、換言すれば、プライマー層無しで、ディップ塗装されたフッ素樹脂被覆層(以下、単に被覆層と呼ぶ。)12Bとを備えて構成されている。
【0030】
そして、このローラ12の中央に円周方向に10mmの幅の切れ目を入れてから、株式会社島津製作所製のオートグラフで、引っ張り速度50mm/minで塗膜の接着強度(kgf/cm)を測定した。この測定結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003849268
【0032】
この表1の結果より、ポリアミドイミドに対するフッ素樹脂の重量比が5.3と8との場合は、接着強度が強く、塗膜が破断するほどの良好な結果となった。その他の重量比では、塗膜が破断するほどの良好な接着はしていないことから、ポリアミドイミドとPTFEとの混合比は、PTFEの量がポリアミドイミドより5乃至8倍程度多い方が良いという結果を得た。
【0033】
ここで、上述した試験装置10の概略構成を、図1を参照して説明する。
【0034】
この試験装置10は、基台14と、この基台14の4隅に起立した状態で固定された支柱兼用のガイドロッド16と、これらガイドロッド16の上端部分が連結された天板18とを備えている。これらガイドロッド16には、昇降台20が上下方向に沿って移動可能に支持されている。
【0035】
一方、基台14の下面には、回転速度を可変とされた駆動モータ22が取り付けられており、基台14と天板18との間には、ボールネジ棒24が起立して移動台20を貫通した状態で、自身の中心軸線回りに回動自在に軸支されている。そして、このボールネジ棒24と駆動モータ22のモータ軸とは、図示しないカップリング部材を介して、一体回転するように連結されている。尚、基台14のボールネジ棒24が貫通する部分には、これと螺合するボールネジ溝が螺刻されており、これにより、ボールネジ棒24の時計方向または反時計方向回転に応じて、昇降台20は昇降駆動されることになる。
【0036】
上述した昇降台20は、一側に延出しており、この延出片20Aの下面には、エアーピッカ26が取り付けられており、上述した芯金12Aは、このエアーピッカ26を介して、上下方向に延出する状態で、昇降台20に取り付けられることになる。
【0037】
また、このエアーピッカ26が取り付けられた部位の垂直下方には、ディップ液(塗料)が満たされたディップ槽28が配設されている。このディップ槽28には、図示していないが、この中のディップ液(塗料)の温度を一定に保つための恒温機構が備えられている。ここで、上述した駆動モータ22及びエアーピッカ26は、図示しない制御装置により、その駆動タイミング及び昇降台20の昇降速度を制御されている。
【0038】
このように試験装置10は構成されているので、上述した試験例及び後述する実施例において、芯金12Aの外周面に直接に塗料をディップ塗装したローラ12を得ることが出来る。
【0039】
次に、上述した試験例における試験結果に基づき、実際にディップ塗装とスプレー塗装とで同じ塗料を使用した場合に、塗装面の表面状態に差が出るか否かを、表面粗さ計、光沢度計、電子顕微鏡でそれぞれ確認する実施例1及び比較例1を行った。
【0040】
実施例1
この実施例1では、試験例で使用した芯金12Aを使って、脱脂、洗浄、ブラストを行ってから、膜厚が10μmとなるように、ポリアミドイミドとPTFEとの重量比が8で、液粘度が80cpの塗料を調製し、この塗料を試験装置10のディップ槽28に満たして、駆動モータ22による昇降台20の上昇速度、即ち、外周に塗料がディップされた芯金12Aの引き上げ速度が8mm/secとなる状態でディップ塗装を行い、その後、電気炉で400℃で30分間焼成して、ディップ塗装のローラ12を作成した。
【0041】
比較例1
実施例1で使用した塗料の液粘度を200cpにして、塗装方法をスプレー塗装に変更した以外は、実施例1と同様の加工方法でスプレー塗装用のローラを作成した。尚、塗料の粘度を200cpに変更したのは、80cpでは粘度が低すぎて、スプレー塗装がうまく実施できないからである。
【0042】
上述した実施例1及び比較例1で作成したローラを、東京精密社製のサーフコムの575A表面粗さ計に、ピックアップとしてE−DT−S01Aをセットして、CUT OFFが0.8mm、測定距離が2.5mm、送り速度0.3mm/secという測定条件で、各ローラの表面を3カ所ずつ測定した。その測定結果を表2に示す
【0043】
【表2】
Figure 0003849268
【0044】
この表2の結果より、表面粗さ計では、塗装方法の違いによる表面の微少な凸面を測定することが出来ず、実施例1と比較例1との間に明確な差異は出なかった。
【0045】
一方、実施例1と比較例1とで作成したローラを、日本電色工業社製の光沢度計のVGS−101DPで入射角75度、受光角75度という条件で、JIS Z8741において規定されている試験方法を用いて、5カ所の測定位置で測定した。その試験結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 0003849268
【0047】
この表3の結果より、実施例1のディップ塗装の方が、比較例1のスプレー塗装の場合よりも、光沢度が大きいという結果を得た。ここで、光沢度は、光を被測定物に当てて、反射した光の量を測定しているので、光沢度が大きい方が、被測定物の表面が平滑で乱反射が少ないことを意味している。従って、光沢度の大きいディップ塗装の方が、スプレー塗装と比較して、表面が平滑であるとの結論が得られた。
【0048】
また、実施例1と比較例1とで作成したローラを切断し、電子顕微鏡を用いて、夫々の塗装面の表面の状態を写真撮影した。夫々の結果を、図3及び図4に示す。図3は、実施例1のディップ塗装したローラの表面を100倍に拡大して写真撮影したものである。一方、図4は、比較例1のスプレー塗装したローラの表面を100倍に拡大して写真撮影したものである。
【0049】
これら図3及び図4より、実施例1のディップ塗装で作成したローラの表面は目視観察で平滑であるのに対し、比較例1のスプレー塗装で作成したローラの表面は、目視観察で細かな凸部が無数に存在しており、スプレー塗装では表面が平滑なローラを作成することが困難であることが判る。また、この結果より、表面の平滑性の差が、光沢度の差として測定できていたことが明確となった。
【0050】
実機試験
上述した実施例1と比較例1とでそれぞれ作成したローラを、実機に組み込んで、黒ベタ画像の光沢ムラが発生するか否かを確認した。ここで、実機として、ブラザー工業社製のレーザービームプリンタHL−720に、実施例1と比較例1とのローラを、順次、定着ローラとして組み込んで、A4サイズの用紙の中央に、10cm×10cmの黒ベタ部が設けられた試験チャートをOHPフィルムでプリントして、黒ベタ部に光沢ムラがあるか否かを試験した。
【0051】
この実機試験の結果、実施例1のディップ塗装で作成したローラは、黒ベタ部に光沢ムラは発生しなかったが、比較例1のスプレー塗装で作成したローラは、黒ベタ部に無数の抜けた様な光沢ムラが発生した。この結果からも、例え同じ成分の塗料を使用したとしても、塗装する方法によって、ローラとしての明確な性能差が出てしまうことが、明らかとなった。
【0052】
【変形例の説明】
この発明は、上述した実施例の試験例及び実施例の構成に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した試験例及び実施例において、塗料のフッ素樹脂と混合される成分として、ポリアミドイミドを用いるように説明したが、この発明はこのような構成に限定されることなく、ポリアミドイミドの替わりに、ポリイミドを用いるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、芯金の表面に熱伝導の問題が発生しにくい総膜厚20μm以下のフッ素樹脂層を形成するとともに、黒ベタ部で光沢ムラのでないような平滑な表面を有するフッ素樹脂ローラとその製造方法が提供されることになる。
【0054】
即ち、ポリアミドイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物をディップ塗装することにより、従来のスプレー塗装方法では実現し得なかった、表面が平滑で、20μm以下のフッ素樹脂の薄膜を形成することが可能となる。そして、熱応答性が良く、黒ベタ部に光沢ムラのでない高性能のフッ素樹脂被覆ローラを、プライマー塗装無しで製造することが出来る、新規な技術が提供されることになる。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる定着装置用フッ素樹脂被覆ロールの構成を示す断面図である。
【図2】試験装置としてのディップ塗装装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図3】実施例1における、塗料をディップ塗装したロール表面の表面状態を、電子顕微鏡で撮影した写真により示す図である。
【図4】比較例1における、塗料をスプレー塗装したロール表面の表面状態を、電子顕微鏡で撮影した写真により示す図である。
【符号の説明】
10 試験装置(ディップ装置)
12 定着装置用フッ素樹脂被覆ローラ
12A 芯金
12B 被覆層
14 基台
16 ガイドロッド
18 天板
20 昇降台
20A 延出片
22 駆動モータ
24 ボールネジ棒
26 エアーピッカ
28 ディップ槽

Claims (8)

  1. パイプ状の中空金属芯金の表面に、ポリアミドイミド又はポリイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物をプライマー層なしで厚さ20μm以下に被覆し、前記ポリアミドイミド又はポリイミドに対して前記フッ素樹脂が重量比で5.3乃至の範囲で混合されている事を特徴とする定着装置用フッ素樹脂被覆ローラ。
  2. パイプ状の中空金属芯金と、
    この芯金の表面にディップ塗装により直接に塗布された、ポリアミドイミド又はポリイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物を含む厚さ20μm以下の被覆層と、
    を備え、
    前記ポリアミドイミド又はポリイミドに対して前記フッ素樹脂が重量比で5.3乃至の範囲で混合されている事を特徴とする定着装置用フッ素樹脂被覆ローラ。
  3. 前記フッ素樹脂がPTFE又はPFAであることを特徴とする請求項前記1又は2に記載の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラ。
  4. 前記フッ素樹脂ローラの表面粗さがRz4μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラ。
  5. パイプ状の中空金属芯金の表面に、ポリアミドイミド又はポリイミドと粒径が1μm以下のフッ素樹脂との混合物であって、前記ポリアミドイミド又はポリイミドに対して前記フッ素樹脂を重量比で5.3乃至の範囲で混合して調整した混合物をプライマー層なしで厚さ20μm以下にディップ塗装し、350〜400℃で焼成することを特徴とする定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法。
  6. 前記フッ素樹脂がPTFE又はPFAであることを特徴とする請求項5に記載の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法。
  7. 前記混合物の液粘度が、50乃至150cpの範囲にある事を特徴とする請求項5に記載の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法。
  8. 前記ディップ塗装に際し、前記芯金の引き上げ速度を0.5乃至10mm/secの範囲に設定することを特徴とする請求項5に記載の定着装置用フッ素樹脂被覆ローラの製造方法。
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