JP3848741B2 - 一缶二水路式燃焼装置 - Google Patents

一缶二水路式燃焼装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術】
本発明は、給湯路と風呂追い焚き路が共通の熱交換器内を通過する一缶二水路式の燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる一缶二水式燃焼装置では、例えばシャワーなどに給湯するための給湯路と、風呂の追い焚きをするための風呂追い焚き路が同一の熱交換器を通過し、それらの中を通過する水を加熱する。このとき、従来から、給湯と追い焚きが同時に行われた場合、燃焼装置の機種によっては、熱交換器の最大燃焼熱量(最大号数)が小さいため、給湯と追い焚きを実行するのに、十分な熱量(号数)が得られない場合があった。このような場合、給湯温度が低下したり、所望の給湯量を確保できず、給湯使用者に不快感を与えるという問題があった。
【0003】
そこで、上記問題を解決するために、例えば、給湯中に風呂追い焚き要求が出された場合、又は風呂追い焚き中に給湯要求が出された場合、さらに、給湯要求と風呂追い焚き要求が同時に出された場合のように、給湯と風呂追い焚きを同時に実行する必要があるときは、給湯を優先し、風呂追い焚きを禁止していた。
【0004】
これにより、給湯に必要な熱量を確保することができるので、給湯温度を一定に保ち、且つ所望の給湯量を確保することができた。
【0005】
しかしながら、これでは、給湯中は追い焚きが全くできず、給湯終了を待って追い焚きを開始するため、追い焚き要求から完了まで長時間を有するという問題を有していた。
【0006】
そこで、さらに、この問題を解決するため、特開平6−185803号に記載の燃焼装置においては、給湯と風呂追い焚きを同時に実行する必要がある場合、給湯に必要な熱量(給湯要求号数)をあらかじめ演算し、この給湯要求号数が所定号数より小さい場合に限って、給湯と風呂追い焚きを同時に実行する。そして、このときの風呂追い焚き制御は、給湯要求号数を維持する範囲で、風呂追い焚き路に設けられた循環ポンプをデューティ制御することによって行われる。
【0007】
さらに、特願平8−253761号に記載される燃焼装置においては、給湯要求号数に加えて、浴槽水温の情報をも考慮して給湯と風呂追い焚きの同時実行の可否を判断する。そして、その判断に基づいて循環ポンプをデューティ制御することによって風呂追い焚き制御を行う。従って、より正確な風呂追い焚き制御が可能となった。
【0008】
そして、上記出願に記載されるとおり、給湯と風呂追い焚きの同時実行が可能であるか否かを判断するとき、浴槽水温情報を得るために、一旦、循環ポンプを駆動させ、浴槽の水を風呂追い焚き路に導き、風呂追い焚き路に設けられた浴槽水温センサによって浴槽水温が測定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このとき、浴槽の水を風呂追い焚き路に導いて浴槽水温を測定するために循環ポンプを駆動させると、風呂追い焚き路内を水が循環し、熱交換器内に冷たい水が流入する。そうすると、熱交換器内に入った水は熱交換を行うため、本来給湯に必要な熱量が消費されてしまう。従って、給湯温度が低下するおそれがある。
【0010】
従って、本発明の目的は、給湯と風呂追い焚きを同時に行う場合において、給湯温度を低下させずに浴槽水温情報を得ることができる燃焼装置を提供することである。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の構成は、給湯路と浴槽に接続された風呂追い焚き路が共通の熱交換器を通過する一缶二水路式燃焼装置において、該浴槽内の水を該風呂追い焚き路内に導き、循環させる循環ポンプと、該風呂追い焚き路内に配置され、前記風呂追い焚き路内に導かれた前記浴槽内の水の水温を測定する温度検出手段と、前記循環ポンプの駆動を制御して前記風呂追い焚き路内の水の循環量を制御する制御手段とを備え、給湯中に風呂追い焚き要求が出されたとき、前記制御手段は、給湯温度が変化しない程度の循環量で前記循環ポンプを駆動させ、前記温度検出手段によって前記浴槽内の水の水温を検出することを特徴とする一缶二水路式燃焼装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に従って説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲がこの実施の形態に限定されるものではない。
【0022】
図1は、一缶二水路式燃焼装置の概略構成図である。図1において、給湯路10と風呂追い焚き路20は、共通の熱交換器1を通過する。熱交換器1は、バーナー3によって加熱され、バーナー3には、ガス供給管4から燃料ガスが供給される。ガス供給管4には、このガス供給管4の開閉を行うガス電磁弁5とガス供給量を調節するガス比例弁6が設けられている。
【0023】
給湯路10は、熱交換器1の入口側に接続され、熱交換器1に水を供給する給水通路として機能する給水管11と、熱交換器1の出口側に接続され、熱交換器1によって加熱された湯が出湯される出湯管12が接続され、例えば台所の給湯栓16などの所望の場所に導かれる。
【0024】
そして、給水管11には、給水量を検出するフローセンサ13と、給水温度を検出する給水温度センサ14とが設けられている。また、給湯管12には、給湯温度を検出する給湯温度センサ15が設けられている。
【0025】
一方、風呂追い焚き路20は、そこに配置された循環ポンプ21を作動させることによって浴槽22内の水を熱交換器1に供給し、熱交換器1内で加熱された湯は再度浴槽22に注湯される循環路を構成している。
【0026】
そして、熱交換器1より上流側の風呂追い焚き路20には、浴槽22内の水温を検出する浴槽水温センサ23と設けられている。また、熱交換器1より下流側の風呂追い焚き路20には、熱交換器1から出湯される湯の温度を検出する追い焚き温度センサ24が設けられている。
【0027】
そして、上記各種センサから検出される温度及び流量とリモコン31などによって設定される設定温度とに基づいて、マイクロコンピュータなどで構成される制御部30が、ガス電磁弁5、ガス比例弁6及び循環ポンプ21などを制御する。
【0028】
例えば、給湯単独使用時においては、給湯使用者が給湯栓16を開くと、給水管11に一定量以上の流量の水流が発生する。そして、フローセンサ13がこの水流を検出すると、制御部30はフローセンサ13からの検出信号即ち給湯要求に応答して、ガス電磁弁5を開き、設定温度の給湯を行うのに必要な熱量(給湯要求号数)が供給されるように、ガス比例弁6の開度を制御し、バーナー3への供給ガス量を制御する。これにより、設定温度の給湯が行われる。このときに供給される熱量(給湯号数)は、比例弁6の開度を調節するための比例弁電流値から求めることができる。
【0029】
また、給湯号数G1は、次式によっても求めることができる。
【0030】
G1=Q1・(To −Ti ) ・・・(1)
なお、Q1はフローセンサ13によって検出される給水量、Ti は給水温度センサ14によって検出される給水温度、To は給湯温度センサ15によって検出される給湯温度である。
【0031】
また、風呂追い焚き単独使用時においては、リモコン31などに設けられた図示しない風呂追い焚きスイッチがONにされ、風呂追い焚き要求が出されると、制御部30は、これに応答して、循環ポンプ21を駆動することにより浴槽22の水を風呂追い焚き路20内を循環させる。そして、ガス電磁弁5を開き、ガス比例弁6の開度を全開にして、バーナー3にガスを供給する。これにより、風呂追い焚きが実行される。ガス比例弁6の開度が全開にされた場合は、燃焼装置の最大号数Gmax での燃焼が行われる。また、比例弁6の開度は、全開でない所定の開度であってもよい。この場合の供給される熱量(風呂追い焚き号数)は、上述同様に、比例弁6の開度を調節するための比例弁電流値から求めることができる。
【0032】
また、風呂追い焚き号数G2(Gmax を含む)は、次式によっても求めることができる。
【0033】
G2=Q2・(Tf −Ty ) ・・・(2)
なお、Tf は追い焚き温度センサ24によって検出される温度、Ty は浴槽温度センサ23によって検出される温度である。
【0034】
さらに、給湯と風呂追い焚きが同時に行われる場合(以下同時使用という)、即ち給湯中に風呂追い焚き要求が出されたとき、風呂追い焚き中に給湯要求が出されたとき、あるいは、給湯要求と風呂追い焚き要求が同時に出されたときは、給湯路10と風呂追い焚き路20の両方に水が流れ、それぞれを流れる水が熱交換器1で熱交換を行い加熱される。このとき、熱交換器1に供給される供給熱量(供給号数)Gは、比例弁6の開度を調節するための比例弁電流値から求められる。
【0035】
図2は、熱交換器1の断面を示す図である。図2に示すように、バーナー側に設けられた給湯路10に接して、バーナー側とは反対側に風呂追い焚き路20が設けられる。従って、風呂追い焚き路20内の水は、熱交換器1内の給湯路10内にある湯水を熱媒体として風呂追い焚き路20内の湯水を間接的に加熱される。このように、給湯路10内の加熱された湯水の熱量が、風呂追い焚き路20を流れる湯水に伝熱する。このとき、同時使用時に熱交換器1に供給された熱量(供給号数)Gのうち、給湯路10内の水が得た熱量(給湯号数)G1と風呂追い焚き路20内の水が得た熱量(風呂追い焚き号数)G2の比を分配比という。例えば、最大号数が24号の燃焼装置がその最大号数24号の熱量(号数)を供給して同時使用を行っている場合に、風呂追い焚き路20内の水が8号の熱量(号数)を得ているときの分配比はG1:G2=16:8となる。
【0036】
このとき、風呂追い焚き路20内を流れる流量が大きいほど、又は浴槽22内の温度が低く、風呂追い焚き路20内の水の温度が低いほど、給湯路10からより多くの熱量が風呂追い焚き路20内の水に伝熱する。従って、このような場合は、上記分配比において、風呂追い焚き号数G2が大きくなり、給湯号数G1は小さくなる。このため、同時使用の場合には、燃焼装置の機種によって、その最大号数の熱量を熱交換器1に与えても、給湯路10内の水が必要な給湯要求号数Gs を得ることができず、給湯温度を設定温度に維持することができない場合がある。例えば、最大号数24号の燃焼装置において、給湯要求号数Gs が16号であるにもかかわらず、風呂追い焚き号数G2が9号である場合は、給湯号数G1が15号となり、給湯路10内の水が給湯要求号数Gs の熱量を得られなくなる。
【0037】
このような場合は、従来技術において説明したように、給湯を優先しつつ、できるだけ給湯と風呂追い焚きを同時に実行できるような制御を行う必要がある。そこで、本発明の実施の形態においては、同時使用の場合における制御を以下のように行う。即ち、本発明の実施の形態においては、設定温度の給湯を行うのに必要な給湯要求号数Gs に加えて、浴槽22の水温及び風呂追い焚き路20内の循環流量に基づいて、風呂追い焚きの実行の可否が判断され、その判断に基づいた風呂追い焚き制御が行われる。
【0038】
図3は、風呂追い焚きの可否を判断を行うための図である。図において、縦軸は給湯号数G1を示し、横軸はリモコン31などにより設定される給湯設定温度Ts を示す。この横軸の設定温度Ts は、後述するように上記分配比に対応する値である。そして、図には、さらに、風呂追い焚き路20を循環する水の湯量Q2と浴槽22内の水温Ty に対応した複数のラインa乃至fが示され、この各ラインは風呂条件を表す。
【0039】
このような図において、風呂追い焚きの実行の可否の判断は以下のように行われる。まず、風呂条件である浴槽温度Ty 及び循環流量Q2を、後述する方法で求め、得られた風呂条件に対応するラインを選択する。例えば、給湯中に風呂追い焚き要求が出されたとき、風呂追い焚き路20の循環流量Q2が4リットル/分、浴槽水温Ty が40度である場合は、ラインaが選択される。
【0040】
次に、給湯中の給湯号数G1と設定温度Ts を図上の交点として求める。例えば、給湯号数G1が17号、設定温度Ts が56度である場合の交点は点Pとして求められる。
【0041】
そして、その交点が、上記風呂条件に対応するラインより上側にあるか下側にあるかが判断される。そして、その交点が所定ラインより上側にある場合は、風呂追い焚きが禁止され、交点が所定ラインより下側にある場合は、風呂追い焚きが許可される。
【0042】
即ち、図3中の各ラインは、それぞれの風呂条件下での最大燃焼能力時における給湯設定温度Ts に対する最大給湯号数をプロットしたものであり、要求される給湯号数G1がラインより下にないと給湯路10側に必要な熱量を分配することができないことを意味する。
【0043】
これは、交点が各ラインよりも上の領域にある場合は、燃焼装置の最大号数Gmax で燃焼が行われても、風呂追い焚きによって生じる給湯路10側から風呂追い焚き路20側への伝熱量(風呂追い焚き号数G2)が大きいため、給湯路10内の水が得る熱量(給湯号数G1)が給湯要求号数Gs より小さくなり、給湯温度To を設定温度に維持出来なくなるからからである。
【0044】
一方、交点が所定ラインより下の領域にある場合は、風呂追い焚き路20内に浴槽の水を循環させて風呂追い焚きを行うことによって、上記同様、給湯路10内の水の得る熱量(給湯号数G1)は減少するが、設定温度Ts を維持する給湯要求号数Gs は得られるので、風呂追い焚きが許可される。
【0045】
例えば、上記点Pはラインaより上側にあるので、給湯温度To を設定温度Ts である56度に維持できないとして、風呂追い焚きは禁止される。
【0046】
一方、交点が、例えば、給湯号数G1が15号、設定温度Ts が42度の点Qである場合は、風呂追い焚き路20に浴槽の水を循環させ、給湯路10側の熱量が風呂追い焚き路20側に伝熱しても、設定温度Ts の給湯を維持できるとして、風呂追い焚きは許可される。
【0047】
さらに、風呂条件がラインfである場合、即ち風呂追い焚き路20の循環流量Q2が6リットル/分、浴槽水温Ty が18度の場合であって、交点が、例えば、給湯号数G1が15号、設定温度Ts が42度である点Qである場合は、上記風呂条件がラインaであるときと異なり、風呂追い焚きが実行されることにより、給湯温度を設定温度である42度に維持できないと判断され、風呂追い焚きは禁止される。これは、ラインaよりラインfの風呂条件の循環流量Q2が多く、また、浴槽水温Ty も低いため、給湯路10側から風呂追い焚き路20側へ伝熱する熱量がより多くなるからである。即ち、風呂追い焚き号数G2が大きくなる。
【0048】
一方、風呂条件がラインfであっても、交点が、例えば、給湯号数G1が12号、設定温度Ts が40度の点Rである場合は、風呂追い焚き路20に浴槽の水を循環させ、給湯路10側の熱量が風呂追い焚き路20側に伝熱しても、設定温度Ts の給湯を維持できるとして、風呂追い焚きは許可される。
【0049】
ここで、図示される複数のラインが設定温度Ts の上昇に応じて右下がりであるのは以下の理由による。
【0050】
即ち、設定温度Ts が高いほど給湯路10内を流れる水の温度は高くなる。従って、風呂追い焚き路20内の水温が一定ならば、風呂追い焚き路20内を流れる水の水温との温度差が大きくなる。風呂追い焚き路20内の水への伝熱量(即ち、風呂追い焚き号数G2)は、この温度差が大きいほど大きい。そのため、設定温度Ts が高いほど風呂追い焚き号数G2が大きくなるので、同じ給湯号数G1であっても、同時使用時に多くの供給熱量を必要とする。従って、燃焼装置の最大号数Gmax を超えない範囲で給湯要求号数Gs の熱量を維持するために、給湯号数G1を小さくする必要があり、図に示すようにラインa乃至fは右下がりの傾きとなる。
【0051】
このように、給湯要求と風呂追い焚き要求の両方が出されたときの風呂追い焚き実行の可否を、給湯号数G1に加えて、風呂条件、即ち浴槽22内の水温Ty 及び風呂追い焚き路20を循環する流量Q2に基づいて判断することにより、より正確な風呂追い焚き制御が可能となる。そして、図3に示した関係は、制御部30に設けられた記憶手段にテーブルとして記憶される。
【0052】
さらに、図3においては、上述の通り、風呂条件を示すラインが所定間隔で複数示されているが、このラインは、給湯路10側から風呂追い焚き路20側への伝熱量(風呂追い焚き号数G2)が最大及び最小となると想定される風呂条件の範囲内で任意の位置のラインを選択することが可能である。例えば、図3において、伝熱量が最大となる風呂条件はラインfであり、伝熱量が最小となる風呂条件はラインaである場合、ラインa乃至ラインfの間に存在する風呂条件は、設定されている複数のラインに基づいて制御部30での補間演算などにより求めてもよい。
【0053】
また、図3に示すラインaより上のA領域においては、風呂追い焚き号数G2が最小である場合も風呂追い焚きが禁止される。また、図3に示すラインfより下のC領域においては、風呂追い焚き号数G2が最大である場合も風呂追い焚きが許可される。従って、上記図3における給湯号数と給湯設定温度の交点が、A領域又はC領域である場合は、風呂条件(各ライン)と比較することなく、無条件に風呂追い焚きをそれぞれ禁止又は許可してもよい。そして、上記交点がラインaとラインfとの間のB領域である場合に、風呂条件(各ライン)との比較を行い、風呂追い焚きの可否が判断される。
【0054】
次に、同時使用時における上記風呂条件である浴槽22内の水温Ty と風呂追い焚き路20内の循環流量Q2の検出方法について説明する。
【0055】
まず、第一の検出方法は、浴槽22内の水温(以下浴槽水温という)Ty は、上述のように循環ポンプ21を駆動させ、浴槽22内の水を風呂追い焚き路20内に導き、浴槽水温センサ23により検出される。しかし、給湯中に追い焚き要求が出されたときに、循環ポンプ21を駆動させると、熱交換器1内の風呂追い焚き路20に冷たい水が流れることにより、熱交換器1内において給湯路10側から風呂追い焚き路20側への伝熱により、給湯温度が低下するという不都合が生じる。
【0056】
従って、本発明の実施の形態においては、燃焼が行われていないときに、例えば一定時間毎に循環ポンプ21を駆動させ、浴槽水温Ty を随時検出し、その値を制御部30の記憶手段に記憶させる。
【0057】
これにより、風呂追い焚き指令が出されたときに、循環ポンプ21を駆動させる必要がなく、給湯温度To への影響を排除することができる。
【0058】
また、第二の検出方法として、給湯中に風呂追い焚き要求が出されたときの浴槽水温Ty を浴槽水温センサ23によって検出するために、循環ポンプ21を給湯温度To に影響しないように駆動させることによって、浴槽22内の水を風呂追い焚き路20に導き、浴槽水温センサ23によって検出してもよい。具体的には、熱交換器1内に流入する冷たい水が、給湯温度To に影響しない所定量(例えば熱交換器1内の風呂追い焚き路20の容積の半分)以下になるように循環ポンプ21の駆動を制御する。さらに詳しくは、例えば、熱交換器1内の風呂追い焚き路20の半分以下の容積に、冷たい水を流入させ、一時循環ポンプ21を止めて、流入した水が加熱昇温した後、再び循環ポンプ21を駆動する。又は、流入した冷たい水が熱交換器1を通って昇温が終了つまり平衡に達する位置が熱交換器1内の風呂追い焚き路20のほぼ半々以下になるように循環ポンプ21を駆動する。なお、循環ポンプの駆動は例えばデューティ制御により制御される。
【0059】
さらに、第三の検出方法として、浴槽水温Ty は、前回の風呂追い焚き(同時使用時を含む)終了時における浴槽水温Ty と、その水温の時間に対するあらかじめ求められた変化率より予測することも可能である。具体的には、風呂追い焚き終了後に徐々に下降する浴槽水温Ty の変化率をあらかじめ実験などにより求め、上記記憶手段に記憶させる。そして、給湯中に追い焚き指令が出されたとき、この変化率と前回の風呂追い焚き終了時からの経過時間とに基づいて、制御部30が今回の風呂追い焚き要求が出されたときの浴槽水温Ty を求める。
【0060】
この変化率は、外気温度や季節などにより変動するので、例えば、器具内に取り付けられた給気温度を測定する外気温サーミスタや浴室リモコンに付けられた温度センサ等の情報により、変動要素を考慮した所定の補正を行うことが好ましい。
【0061】
一方、風呂追い焚き路20内の循環流量Q2は、前回の同時使用時に熱交換器1に供給された号数Gに基づいて、以下に示す(4)式によって求めることが可能である。この供給号数Gは、比例弁6の開度を調節する比例弁電流の値から求めることができる。また、供給号数Gについては次の(3)式が成立する。
【0062】
G=Q1(To −Ti )+Q2・(Tf −Ty ) ・・・(3)
なお、Q1はフローセンサ13によって検出される給水量、Ti は給水温度センサ14によって検出される給水温度、To は給湯温度センサ15によって検出される給湯温度である。また、Q2は風呂追い焚き路20内を流れる循環流量、Tf は追い焚き温度センサ24によって検出される温度、Ty は浴槽温度センサ20によって検出される温度である。
【0063】
従って、上記(3)式より、求めるべき循環流量Q2は、
Q2=(G−Q1(To −Ti ))/(Tf −Ty ) ・・・(4)
によって求められる。求められた循環流量Q2は上記記憶手段に記憶され、次回の同時使用時に読み出される。
【0064】
また、図1に示した燃焼装置において、追い焚き温度センサ24が設けられていない機種が存在する。このような場合は、上記(4)式から循環流量Q2を演算することができないので、前回同時使用時における循環流量を以下に述べる方法により推定し、その循環流量を記憶手段に記憶し、それを次回の同時燃焼時に使用する。ここで、図4は、循環流量Q2の推定方法を説明するための図であって、図4(a)は比例弁電流値と燃焼装置の供給号数Gの関係を示す図、図4(b)は図3と同様の給湯号数G1及び給湯設定温度Ts と風呂条件の関係を示す図、図4(c)は図各ラインの浴槽水温Ty と循環流量Q2の関係を示す図である。
【0065】
(i )まず、前回同時使用時の供給号数Gを、図4(a)に示した比例弁6の開度を調節する比例弁電流の値から求める。例えば、比例弁電流値が100mAであるときは供給号数Gは18号である。
【0066】
(ii)給湯号数G1を上記式(1)式より求める。例えば、給湯温度To が46度、給水温度Ti が21度、流量Q1が13リットルである場合の給湯号数G1は13号である。
【0067】
(iii)その結果、風呂追い焚き号数G2を、供給号数Gから求めた給湯号数G1を減算することにより求める(G2=G−G1)。
【0068】
(iv)図4(b)上に、求められた給湯号数G1と給湯温度To との交点(図4(b)中の点M)をプロットする。なお、給湯温度To は給湯設定温度Ts になるように制御されるので、両者はほぼ等しい。
【0069】
(v )プロットされた交点上を通過するラインを選択する。例えば、図4(b)においては、ラインfが選択される。ここで、ラインfは、給湯号数G1と風呂追い焚き号数G2と給湯温度To が与えられたときに浴槽温度Ty と循環流量Q2と追い焚き温度Tf のある組み合わせ群に対応する。そして、その組み合わせ群は、浴槽水温Ty が与えられると、1組の循環流量Q2と出湯温度Tf がユニークに決まる。これは、一缶二水路式燃焼装置を同時使用しているからである。従って、各ラインにおける循環流量Q2と浴槽水温Ty の関係は、図4(c)に示すように、風呂追い焚き号数G2になるような循環流量Q2と浴槽水温Ty の組み合わせで表すことができる。そして、浴槽水温Ty は、同時使用開始前に上述の方法から測定されており、既知である。従って、図4(c)から対応する循環流量Q2が求められる。例えば、浴槽水温Ty が18度であるとき、ラインfにおける循環流量Q2は6リットルである。
【0070】
循環流量Q2は、循環ポンプ21を駆動させるのに供給される駆動電圧が同じ値であっても、燃焼装置の設置状態及びゴミづまりなどの経年変化によって異なる。従って、上記のような演算式を用いて、同時使用が行われるごとに測定することによって正確な循環流量を求めることができる。即ち、同時使用時における給湯号数G1、風呂追い焚き号数G2、給湯温度To 及び浴槽水温Ty から循環流量Q2が求められる。
【0071】
図5は、上記本発明の実施の形態における同時使用時での風呂追い焚き制御のフローチャートの一例である。そして、図5のフローチャートは、給湯中に追い焚き要求が出された場合についての風呂追い焚き制御の例を示す。図5によれば、給湯中(S1)にリモコン31などの追い焚きスイッチが押され、追い焚き要求が出されると(S2)、ステップS3において、給湯号数Q1が上記(1)式又は比例弁電流値から求められる。このとき、給湯要求号数Gs を演算してもよい。給湯中は、給湯温度To が給湯設定温度Ts に制御されているので、給湯号数G1と給湯要求号数Gs は一致する。
【0072】
そして、求められた給湯号数G1と給湯設定温度Ts 、さらには上述した方法により求められる浴槽水温Ty と循環流量Q2の図3に示した関係から風呂追い焚きの実行の可否を判断する(S4)。
【0073】
ステップS4において、風呂追い焚きが許可された場合は、比例弁6の開度がさらに所定開度に開けられるとともに循環ポンプ21が駆動されて風呂追い焚きが開始され、同時使用状態となる(S5)。また、ステップS4において、風呂追い焚きが禁止された場合は、風呂追い焚き待機状態となる(S6)。そして、給湯が終了した後(S7)、風呂追い焚き指令がまだ出されているときは(S8)、風呂追い焚きが開始される(S9)。風呂追い焚き指令が切られている場合は、燃焼が停止される(S10)。
【0074】
このように、浴槽水温Ty が高い場合、又は循環流量Q2が少ない場合は、風呂追い焚き号数が小さくて済むので、給湯号数G1が増加する。従って、給湯要求号数Gs が大きい場合であっても、給湯温度を十分確保しつつ、同時に風呂追い焚きを行うことができ、風呂追い焚きの要求から完了までの時間を短縮することができる。
【0075】
これとは逆に、浴槽水温Ty が低い場合、又は循環流量Q2が多い場合は、風呂追い焚き号数が大きくなり、給湯号数が減少する。この場合には、風呂追い焚きを待機状態にすることで、給湯温度が設定温度より低下するのを防止することができる。
【0076】
また、本発明の別の実施の形態においては、上記ステップS4において、追い焚き実行の可否を判断する代わりに、循環ポンプ21のデューティ比Dを演算してもよい。図6は、この本発明の別の実施の形態のフローチャートの例である。図5においては、図5のステップS4に代わって、ステップS41及びS42が実行される。即ち、ステップS3で求められた給湯号数と給湯設定温度Ts 、さらには、浴槽水温Ty と循環流量Q2に基づいて、循環ポンプ21のデューティ比が演算される(S41)。デューティ比は、循環ポンプを駆動することにより風呂追い焚き路20内の水が得る熱量(風呂追い焚き号数)によって減少する給湯号数G1が給湯要求号数Gs を下回らないように設定される。
【0077】
具体的には、給湯要求号数Gs が小さいほど、また、浴槽水温が高いほど、デューティ比は大きくなる。例えば、最大号数Gmax が24号、給湯要求号数Gs が20号であるとき、風呂追い焚きに消費できる風呂追い焚き号数G2は、4号である。このとき、デューティ比は、浴槽水温Ty と循環流量Q2から、風呂追い焚き号数が4号になるようにデューティ比Dを演算する。なお、デューティ比を100%にしても、上記風呂追い焚き号数に及ばない場合は、デューティ比Dは100%に設定される。
【0078】
デューティ比Dが演算されると、ステップS42において、求められたデューティ比が所定値以上であるか否かが判断される。これは、デューティ比Dが所定値より小さいと、循環ポンプ21の回転数が低すぎ、循環ポンプ21が停止する可能性があるからである。従って、デューティ比が所定値より小さい場合は、ステップS6に進み、風呂追い焚き待機状態となる。また、デューティ比Dが所定以上の場合は、ステップS5に進み、風呂追い焚きが開始され、同時使用状態となる。
【0079】
このように、デューティ比Dは、浴槽水温Ty 及び/又は循環流量Q2に応じて設定されるので、給湯温度の低下を招くことなく、燃焼装置が有している燃焼能力を最大限に生かして、風呂追い焚きのための熱量が与えられるので、風呂追い焚き時間を短縮することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、給湯要求と風呂追い焚き要求の両方が出されたとき、風呂追い焚きの実行の可否を判断する際に必要な浴槽水温の情報を、給湯中の給湯温度を低下させることなく得ることができる。
【0081】
そして、この浴槽水温情報を用いることにより、給湯と風呂追い焚きの同時使用の可否をより正確に行うことができる。また、同時使用時において、給湯温度が低下しない範囲の最適な風呂追い焚き号数で風呂追い焚きを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一缶二水路式燃焼装置の概略構成図である。
【図2】熱交換器1の断面を示す図である。
【図3】風呂追い焚きの可否を判断を行うための図である。
【図4】循環流量Q2の推定方法を説明するための図である
【図5】本発明の実施の形態の風呂追い焚き制御のフローチャートである。
【図6】本発明の別の実施の形態の風呂追い焚き制御のフローチャートである。
【符号の説明】
1 熱交換器
10 給湯路
20 風呂追い焚き路
21 循環ポンプ
23 浴槽水温センサ
30 制御部
31 リモコン

Claims (1)

  1. 給湯路と浴槽に接続された風呂追い焚き路が共通の熱交換器を通過する一缶二水路式燃焼装置において、
    該浴槽内の水を該風呂追い焚き路内に導き、循環させる循環ポンプと、
    該風呂追い焚き路内に配置され、前記風呂追い焚き路内に導かれた前記浴槽内の水の水温を測定する温度検出手段と、
    前記循環ポンプの駆動を制御して前記風呂追い焚き路内の水の循環量を制御する制御手段とを備え、
    給湯中に風呂追い焚き要求が出されたとき、前記制御手段は、給湯温度が変化しない程度の循環量で前記循環ポンプを駆動させ、前記温度検出手段によって前記浴槽内の水の水温を検出することを特徴とする一缶二水路式燃焼装置。
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