JP3847978B2 - ポリプロピレン系組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレンとポリ(エチレン−co−プロピレン)とが化学的に結合している新規なポリプロピレン系ブロックコポリマーを配合してなるポリプロピレン系組成物に関するものであり、さらに詳しくは、機械的強度(剛性、引張り特性、耐衝撃性)の改良された自動車内外装部品、家電部品等に有効なプロピレン系組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン樹脂は比較的に安価で、優れた熱的および機械的強度を有することから今日では多岐の分野にわたり使用されている。しかし、一般にプロピレンホモポリマーは高い剛性を有する反面、耐衝撃性、特に低温における耐衝撃性が劣っているために、利用範囲は制約をうけている。
【0003】
プロピレンホモポリマーの低温における耐衝撃性を向上させるために、初めにプロピレンホモポリマー成分を生成し、次いでポリ(エチレン−co−プロピレン)を生成させて得られたプロピレン系ブロックコポリマーが自動車、家電、日用品をはじめとして各産業分野に広く採用されている。
しかし、これらの従来から採用されているプロピレン系ブロックコポリマーは、ポリプロピレンとポリ(エチレン−co−プ口ピレン)とが化学的に結合していないブレンドの状態で存在しており、耐衝撃性に優れる反面、引張り特性(引張り強度および引張り伸び)が低いという問題があった。
【0004】
また、プロピレン系ブロックコポリマーの耐衝撃性を改良のために、エチレン−α−オレフィンコポリマーやスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーの水素添加物をポリプロピレンに配合する例が数多く開示されている。しかし、これらの配合量が5〜50重量%と大量であるために、得られるポリプロピレン組成物は耐衝撃性は向上するが、剛性、引張強度は低下してしまうという問題があった。
【0005】
一方、ポリプロピレンとポリ(エチレン−co−プロピレン)とが化学的に結合しているポリプロピレン系ブロックコポリマーを製造し、続いてプロピレン共重合体を製造し、さらに続いてエチレン−プロピレン共重合体を製造するプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物の製造方法が特開平9−241334に記載されている。
しかし、この方法では製造段階でプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物を製造する方法であり、所望のプロピレン系ポリマーの物性を後添加により目的の物性に改質するには、適当ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、後添加によりプロピレン系ポリマーの剛性を改良させながら、同時に耐衝撃性及び引張り特性が改良されたポリプロピレン系組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、プロピレン・エチレンブロックコポリマーの剛性、耐衝撃性、引張り特性(引張り強度、引張り伸び)に及ぼす要因について鋭意研究した。その結果、ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントとが化学的に結合した真のブロックコポリマーをプロピレン・エチレンブロックコポリマーに少量配合することにより、上述の問題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、(A)MFRが0.1〜200g/10分のプロピレン系ポリマー50.0〜99.99重量%および(B)下記(a)〜(b)の特徴を有するポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)0.01〜50重量%を含んでなるポリプロピレン系組成物を提供する。
(a)ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントとが化学的に結合している。
(b)チタンおよびハロゲンあるいはチタン、マグネシウムおよびハロゲンからなる固体触媒成分と有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下、ポリプロピレンセグメントを合成したのち、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントを合成する。
本発明の第2は、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)中のポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントの含有量が5〜99重量%であり、かつエチレン含有量が2〜90重量%である本発明の第1に記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
本発明の第3は、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)が、重量平均分子量(Mw)≧10,000である本発明の第1又は2に記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
本発明の第4は、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が3.5以上である本発明の第1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
本発明の第5は、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)が、20℃キシレン可溶分を1.0〜60重量%含有する本発明の第1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
本発明の第6は、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の融点(Tm)が135℃以上である本発明の第1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
本発明の第7は、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)が、二種類以上のポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の混合物である本発明の第1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
本発明の第8は、プロピレン系ポリマーがプロピレンホモポリマー、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダムもしくはブロックコポリマー(以下、プロピレン・α−オレフィンコポリマーという)、又はこれらの二種以上の混合物である本発明の第1に記載のポリプロピレン系組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、ポリプロピレン-b-ポリ(エチレン-co-プロピレン)で表されるブロックコポリマー中のポリプロピレン部分(ポリプロピレン−)をポリプロピレンセグメントといい、コポリマー部分(−ポリ(エチレン-co-プロピレン))をポリ(エチレン-co-プロピレン)セグメントといい、プロピレン単独重合体をポリプロピレンと、エチレン−プロピレン共重合体をポリ(エチレン-co-プロピレン)という。
本発明では、ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン-co-プロピレン)セグメントとが化学的に結合(共有結合)した真のブロック共重合体をポリプロピレン-b-ポリ(エチレン-co-プロピレン)といい、用語に混乱を生じない範囲で、単にブロックコポリマーと略称する。また、製造されたポリプロピレン-b-ポリ(エチレン-co-プロピレン)は、ポリプロピレン-b-ポリ(エチレン-co-プロピレン)を含む生成ポリマー全体をいう。
なお、以下においてメルトフローレート(MFR)は、温度230℃で荷重2.16kgを加えたときの10分間の溶融樹脂の吐出量である。
【0010】
<(A)プロピレン系ポリマー>
本発明のポリプロピレン系組成物を構成する成分(A)プロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマー、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダムもしくはブロックコポリマー(以下、プロピレン・α−オレフィンコポリマーという)、又はこれらの混合物である。その製造方法については特別に限定されるものではない。(A)プロピレン系ポリマーが二種以上の混合物の場合には、それぞれが別々に合成されたものを後で混合したものであっても、合成段階で混合状態になったものでもよい。
プロピレン・α−オレフィンコポリマーがランダムコポリマーの場合は、該コポリマー中のα−オレフィンの割合は、一般に10重量%以下、好ましくは、0.5〜7重量%であり、ブロックコポリマーの場合は、該コポリマー中のα−オレフィンのコポリマーの割合は一般に1〜40重量%、好ましくは1〜25%、さらには2〜20重量%である。
また、プロピレン・α−オレフィンコポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーでもよいが、本発明の目的である物性バランスをより高められる点で、プロピレン・エチレンブロックコポリマーを使用するのが好ましい。また、これらのプロピレン・α−オレフィンコポリマーは、2種以上のポリマーを併用したものであってもよい。
<プロピレン系ポリマーのMFR>
プロピレン系ポリマーのMFRは、一般に、0.1〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分、特に好ましくは、2〜100g/10分のものである。該MFRの値が低すぎると成形(特に射出成形)することが困難となってくるので好ましくない。また、MFRの値が高すぎると衝撃強度が低下するので好ましくない。
【0011】
<(B)プロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)>
本発明のポリプロピレン系組成物を構成する成分(B)プロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)は、下記(a)〜(b)の特徴を有するポリプロピレン系ブロックコポリマーである。
(a)ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントとが化学的に結合している。
(b)チタンおよびハロゲンあるいはチタン、マグネシウムおよびハロゲンからなる固体触媒成分と有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下、ポリプロピレンセグメントを合成したのち、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントを合成する。
【0012】
さらに、(B)は、下記(1)〜(6)の性状を有する。
(1)プロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメント中のポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメント含有量は、最終的な成形体の諸物性に影響を与え、過小または過大でも効果が現れない。ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントの含有量は、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%である。
(2)さらに、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)中ののエチレン含有量も最終的な成形体の諸物性に影響を与え、過小または過大でも効果が現れない。ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントのエチレン含有量は10〜95重量%が好ましく、更に好ましくは20〜90重量%である。
(3)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の重量平均分子量(Mw)は、最終的な成形品の剛性、引張り強度、引張伸び、耐衝撃性に作用するため、Mw≧10,000であることが好ましく、さらに好ましくはMw≧30,000である。
分子量の上限に特に限定はないが、実用的には数百万程度である。
(4)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はないが15以下、好ましくは3.5〜10である。分子量分布が過大になると得られる成形体の透明性、難白化性等が低下する。また、分子量分布が過小になると得られる成形体の流動性が低下する。
(5)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)中の20℃キシレン抽出による可溶分も最終的な成形体の諸物性に影響を与え、特に過大の場合には、剛性、耐衝撃性、引張り強度、引張り伸びが低下する。可溶分は50重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは40重量%以下である。
本発明のプロピレン・エチレンブロックコポリマーはポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントとが化学的に結合している割合が高いので、20℃キシレン可溶分が少ない。
また、20℃キシレン不溶分、即ち、抽出残分中のポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメント及びエチレン含有率があまり変わらないことが特徴である。
抽出残分中のポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントの残存率(抽出後/抽出前)は、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であり、90重量%以上とすることもできる。
また、抽出残分中の全エチレン含有率の残存率(抽出後/抽出前)は、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であり、90重量%以上とすることもできる。
(6)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の融点(結晶融解ピーク温度)Tmは135℃以上、好ましくは140℃以上、特に好ましくは150℃以上である。
Tmが高くなると機械的、熱的強度が高くなる傾向にある。
Tmが135℃未満では成形品のべたつきが発生するために好ましくない。
【0013】
<(B)プロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の製造>
(B)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の製造法は、特開平9−8733号公報に記載されている管式連続重合装置を用いて、チタンおよびハロゲンあるいはチタン、マグネシウムおよびハロゲンからなる固体触媒成分とトリエチルアルミニムのような有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下に、必要に応じて電子供与性化合物を添加して、初めにポリプロピレンセグメントを合成したのち、直ちにポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントが合成されるので、ポリプロピレンセグメントにポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントが化学結合した、真のブロックコポリマーが得られる。
【0014】
ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)は、混合する(A)プロピレン系ポリマーの物性に合わせて、二種類以上のポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)を混合して使用することができる。
【0015】
MFRが0.1〜200g/10分のプロピレン系ポリマー(A)とポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)(B)の比率は、(A)50.0〜99.99重量%および(B)0.01〜50重量%、好ましくは(A)50〜99.95重量%および(B)0.05〜50重量%、さらに好ましくは(A)99.9〜50重量%および(B)0.1〜50重量%である(ここで(A)と(B)の合計は100重量%である。
(B)の比率が50重量%を超えるとプロピレン系ポリマー(A)の剛性が低下し過ぎ、0.01未満では改質効果が不十分となる。
【0016】
本発明のポリプロピレン系組成物においては、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤などの各種添加剤、さらには本発明において用いられる上記成分(B)以外のオレフィン共重合体、ポリスチレン樹脂、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン系ゴム、スチレン・ブタジエン系ゴム、ポリブタジエン等の樹脂やゴム等をブレンドすることもできる。
【0017】
<樹脂組成物の製造>
(1)溶融・混練
本発明のプロピレン系組成物は、上記構成成分を上記割合で配合する以外は通常の樹脂組成物の製造と同様にして製造することができる。例えば、成分(A)と成分(B)を押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融、混練して、通常に用いられている方法でペレット状とするのが普通である。
【0018】
(2)成形
このようにして得られた本発明のポリプロピレン系組成物は、射出成形、圧縮成形、真空成形、ブロー成形、押出成形、フィルム成形、シート成形が可能である。
本発明のプロピレン系組成物から得られた成形品は、曲げ弾性率が500〜1500MPa、好ましくは500〜1300MPaのものである。
本発明のプロピレン系組成物から得られた成形品は、引張強度が20〜40MPa、好ましくは20〜35MPaのものである。
本発明のプロピレン系組成物から得られた成形品は、破断伸びが30%以上、好ましくは50%以上のものである。
本発明のプロピレン系組成物から得られた成形品は、23℃におけるIzod衝撃強度が2.5kJ/m2以上、好ましくは3.5kJ/m2以上のものである。
得られた成形品は、剛性、耐衝撃性、引張り強度、引張り伸びのバランスに優れ、自動車内装材、家電製品、日用品等に適した成形品となる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)評価方法
a)重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn):試料を135℃オルトジクロロベンゼンに溶解させ、GPC装置(SSC7100センシュウ化学製)を用いて測定した。分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から常法により求めた。
b)エチレン含有量(重量%):エチレン含有率が既知の各種の重合タイプのコポリマー、及びポリプロピレンとポリエチレンとの種々の混合比のサンプルを使用して、赤外線吸収(IR)スペクトル法及び核磁気共鳴(NMR)スペクトル法による、重合タイプ、エチレン含有率別の多数の検量線を作成して、上記検量線の適切なものを使用して、常法の吸収帯を使用して面積吸光度、又は線吸収度によりエチレン含有率を測定した。
コポリマー部のエチレン含有率(EL:重量%)は次式により換算する。
EL(重量%)=全エチレン含有率(重量%)×100/CO含有率
(上式でCO含有率(重量%)はコポリマー部重合量×100/(ポリプロピレン部の重合量+コポリマー部重合量)で表される。)
なお、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメント含有量(CO含有率)は試料の単位重量当たりのポリプロピレンセグメント部の融解潜熱量を、アイソタクチックポリプロピレンのみの融解潜熱量(113J/g)と比較しても得られる。ただし、全エチレン含有率によっても、ポリマーの種類によっても検量線が異なるので、上記全エチレン含有率の測定と同様に、全エチレン含有率の範囲毎、重合の種類毎により多数の検量線を用意しておき、場合によっては試料を溶剤分離して、抽出分、残分について測定し、求めることもできる。
上記ポリプロピレンセグメント部の融解潜熱量の測定方法は下記による。
装置:DSC(パーキンエルマー社製DSC−7型)
昇温速度10℃/分で200℃迄昇温し、10分間保持した後、降温速度10℃/分で−100℃まで降温し、10分間保持して、熱履歴を一定にした後、10℃/分で200℃迄昇温し融解曲線を得て、温度130〜175℃迄のピークをポリプロピレンセグメント部の融解潜熱量とした。
c)20℃キシレン可溶分(重量%):1リットルビーカーに試料0.1g、キシレン200mlを加え、室温で5時間撹拌後、テフロン製メンブランフィルターで濾過し、濾残を70℃、12時間減圧乾燥して秤量し、抽出量を求める。
抽出残分を抽残と略すことがある。
また、抽残のコポリマー含有率及びエチレン含有率(全エチレン含有率を意味する)が測定される。
d)引張強度及び伸び:JIS K6758に準拠し、引っ張り速度50mm分で測定した。
e)曲げ弾性率:JIS K6758に準拠し、曲げ速度1mm/分、支点間距離30mmで測定した。
f)Izod衝撃試験:JIS K6758に準拠して23℃、40kg荷重で測定した。
g)MFR(g):ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重における10分間における樹脂の押出量。
【0020】
[実施例1〜3]
成分(A)及び成分(B)に下記のものを使用した。
成分(A)として下記(I1)又は(I2)を使用した。
(I1)プロピレン系ブロックコポリマー(チッソ石油化学(株)製):重量平均分子量(Mw)18万、コポリマー含有量13重量%、プロピレン系ブロックコポリマー中のエチレン含有量6.2重量%、MFR29g/10min。
(I2)プロピレン系ブロックコポリマー(チッソ石油化学(株)製):重量平均分子量(Mw)19万、コポリマー含有量13.8重量%、プロピレン系ブロックコポリマー中のエチレン含有量9.0重量%、MFR24g/10min。
成分(B)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン):Mw300,000、Mw/Mn:6.5、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメント含有量52重量%、ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)中のエチレン含有量13重量%、20℃キシレン可溶分10重量%、融点(Tm)162℃、MFR2.0。
【0021】
上記成分(B)ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)は、次のようにして製造した。
<予備処理> 容器Aにトルエン1リットル、トリエチルアルミニウム2mol/リットルトルエン溶液30ml(東ソーアクゾ(株)社製)、有機ケイ素化合物としてジイソプロピルジメトキシシラン3.5g(0.02mol)(チッソ(株)社製)、チタン担持型塩素含有マグネシウム触媒(Ti担持型Mg触媒と略す)35g(東邦チタニウム(株)社製「THC−C触媒」、以下同様)を収容し、30℃で3分間予め混合接触させた。このときのAl/Tiモル比は3、Si/Tiモル比は1である。
<重合> 容器Bにはトルエン200ml、トリエチルアルミニウム2mol/リットルトルエン溶液240ml及びプロピレン300g(7.1mol)を収容し、容器Cにはトルエン900ml、エチレン9g(0.3mol)及びプロピレン35g(0.8mol)を収容し、容器B及びCの温度を30℃に保った。また、容器Dにはイソプロピルアルコール5リットルを収容し、温度を15℃に保った。
さらに、重合領域aおよびbの温度を25℃に保ち、それぞれの領域における反応マスの滞留時間が0.3秒になるように容器A〜Cを窒素で加圧し、重合を行い、容器Aの触媒を20g〜25g流出させた時点で重合を終了させた。
重合終了後、容器Dより生成物を抜き出し、35%塩酸溶液100mlを加え、24時間撹拌した後、生成ポリマーを濾過し、イソプロピルアルコール1リットルで3回、ついで1リットルのイオン交換水で3回洗浄後、濾過し、60℃で8時間減圧乾燥して目的とするブロックコポリマーのパウダーを得た。
【0022】
<樹脂組成物の製造及び成形品の物性測定>
上記プロピレン系ブロックコポリマー(A)とポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)(B)を表1に示す比率で使用し、これらにフェノール系熱安定剤、0.1重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%を加えて、混合機(ミクロ形S−3透視式混合器、筒井理化化学機械(株)製)を用い、室温下に10分混合した。混合物を小型混練押出機(CSI−マックスミキシングエクストルーダー;型式194AV東洋精機(株))を用いて、シリンダーおよびダイス温度200℃で混練、造粒をおこなった。得られたペレットを小型射出成形機(CS−ミニマックス・モールダー;型式CS−183MMX東洋精機(株))で金型温度18℃で小型テストピースを成形し、テストピースを湿度50%、室温23℃の恒温室内で72時間状態調節し、曲げ弾性率、引張り強度、引張り伸び、アイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
これらの結果から、曲げ弾性率、特に高温での曲げ弾性率が向上し、衝撃強度もよいことが判る。
【0023】
[比較例1及び2]
実施例1で用いたプロピレン系ブロックコポリマー(I1)又は(I2)を単独使用して、フェノール系熱安定剤、0.1重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%を加えて、実施例1と同様にして、小型テストピースを成形し、その物性を測定した。結果を表1に示す。
【0024】
[比較例3]
実施例1で用いたプロピレン系ブロックコポリマー(I1)99重量%とエチレン・プロピレンラバー「EP02P」(日本合成ゴム(株)製)1重量%を用いて実施例1と同様にして組成物を製造し、それをさらに成形し、その物性を評価した。結果を表1に示す。
【0025】
[比較例4]
実施例1で用いたプロピレン系ブロックコポリマー(I1)99重量%と高密度ポリエチレン「M691」(チッソ石油化学(株)製)1重量%を用いて、実施例1と同様に組成物を製造し、それをさらに成形し、その物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003847978
【0027】
【発明の効果】
従来からのプロピレン系ブロックコポリマーに少量の本発明の新規なポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)を配合することにより、機械的強度(剛性、引張り強度、引張り伸び、耐衝撃性)の改良されたプロピレン系ブロックコポリマーを提供すことができた。

Claims (9)

  1. (A)MFRが0.1〜200g/10分のプロピレン系ポリマー50.0〜99.99重量%および(B)下記(a)〜(b)の特徴を有するポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)0.01〜50重量%を配合し、それを溶融混練してなるポリプロピレン系組成物。
    (a)ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントとが共有結合により結合している。
    (b)チタンおよびハロゲンあるいはチタン、マグネシウムおよびハロゲンからなる固体触媒成分と有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下、ポリプロピレンセグメントを合成したのち、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントを合成する。
  2. ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)中のポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントの含有量が5〜99重量%であり、かつエチレン含有量が2〜90重量%である請求項1記載のポリプロピレン系組成物。
  3. ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)が、重量平均分子量(Mw)≧10,000である請求項1又は2に記載のポリプロピレン系組成物。
  4. ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が3.5以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物。
  5. ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)が、20℃キシレン可溶分を1.0〜60重量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物。
  6. ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の融点(Tm)が135℃以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物。
  7. ポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)が、二種類以上のポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)の混合物である請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン系組成物。
  8. プロピレン系ポリマーがプロピレンホモポリマー、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダムもしくはブロックコポリマー、又はこれらの二種以上の混合物である請求項1に記載のポリプロピレン系組成物。
  9. (A)MFRが0.1〜200g/10分のプロピレン系ポリマー50.0〜99.99重量%および(B)下記(a)〜(b)の特徴を有するポリプロピレン−b−ポリ(エチレン−co−プロピレン)0.01〜50重量%を配合し、それを溶融混練することを特徴とするポリプロピレン系組成物の製造方法。
    (a)ポリプロピレンセグメントとポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントとが共有結合により結合している。
    (b)チタンおよびハロゲンあるいはチタン、マグネシウムおよびハロゲンからなる固体触媒成分と有機金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下、ポリプロピレンセグメントを合成したのち、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントを合成する。
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