JP3847482B2 - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものである。詳しくは、耐ヒートショック性及び寸法安定性に優れた、自動車部品、電気・電子部品等に用いて有用なポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は機械的性質、電気的性質、その他物理的、化学的性質に優れ、かつ、加工性が良好であるがゆえにエンジニアリングプラスチックとして自動車、電気・電子部品等の広範な用途に使用されている。これらの部品の中にはその機能・機構の点から、ポリブチレンテレフタレート樹脂でケースを作成し、部品を内部に搭載し、その後エポキシ樹脂あるいはシリコン樹脂のような熱硬化性樹脂にて封止して製造されるものや、インサート成形が必要となるものが数多く存在する。インサート成形法は、樹脂の特性と金属または無機固体(以下、金属等と略記する)の素材の特性を生かして使用するため、金属等を樹脂に埋め込む成形法であり、今では一般的な成形法の一つとなっている。
しかしながら、ポリブチレンテレフタレート樹脂と熱硬化性樹脂、あるいは金属等では温度変化による膨張や収縮率(いわゆる線膨張係数)が極端に異なることから、成形品の樹脂部が肉薄であったり、肉厚の変化の大きい部分があるもの及び成形品がシャープコーナーを有していたりするものは、成形直後に割れたり、使用中の温度変化で割れたりするトラブルが多い。このため、用途や成形品の形状等がかなり制限されたものとなっているのが現状である。
更にこれらの部品は、年々構造が複雑になって来ており、樹脂のそり変形が大きいと部品の嵌合、組み付け、気密性の保持等に支障をきたす場合があるため、耐ヒートショック性の更なる改善と、高度な寸法安定性を有した材料が強く求められるようになってきた。
耐ヒートショック性に優れた樹脂組成物としては、特公平5−25260号公報、特開平8−183896号公報に記載されているように熱可塑性ポリエステル樹脂に対し特定のアクリル系ゴムを配合したものが提案されているが、当該組成物は耐ヒートショック特性並びに寸法安定性が十分ではなく、自動車部品等への応用に際し、更なる改善が求められていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み、耐ヒートショック性及び寸法安定性に優れた樹脂組成物を得るべく鋭意検討した。その結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂を主体とし、これに特定の共重合体及び特定の繊維状無機充填材、さらにポリエチレンテレフタレート樹脂を配合した組成物は、熱安定性がよく、ポリエステルの押出、成形温度では分解ガスあるいは蒸発ガスがほとんど出ない上に、機械的物性の大きな低下なしに耐ヒートショック性及び寸法安定性に極めて優れていることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち本発明は、
(A) ポリブチレンテレフタレート樹脂に対し
(B) ゴム状のコアをガラス状の樹脂が包含した多層構造からなるコアシェル型化合物1〜30重量%(全組成物中)、
(C) 断面が長手形状である非円形断面を有する繊維状充填剤5〜50重量%(全組成物中)、
を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、順次本発明の樹脂材料の構成成分について詳しく説明する。
まず本発明の樹脂組成物の基礎樹脂である(A) ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)とは、少なくともテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体(低級アルコールエステルなど)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素数4のアルキレングリコール(1,4 −ブタンジオール)又はそのエステル形成誘導体を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系樹脂である。PBT樹脂はホモPBT樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75〜95モル%程度)含有する共重合体(共重合PBT樹脂)であってもよい。
共重合PBT樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分(イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの、C6〜C12 アリールジカルボン酸など)、脂肪族ジカルボン酸成分(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC4〜C16 アルキルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのC5〜C10 シクロアルキルジカルボン酸など)、またはそれらのエステル形成誘導体などが例示できる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
好ましいジカルボン酸成分(コモノマー成分)には、芳香族ジカルボン酸成分(特にイソフタル酸などのC6〜C10 アリールジカルボン酸)、脂肪族ジカルボン酸成分(特にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC6〜C12 アルキルジカルボン酸)が含まれる。
1,4 −ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、脂肪族ジオール成分〔例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3 −ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3 −オクタンジオールなどのC2〜C10 アルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリオキシC2〜C4アルキレングリコールなど)、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどの脂環式ジオールなど〕、芳香族ジオール成分〔ビスフェノールA、4,4 −ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族アルコール、ビスフェノールAのC2〜C4アルキレンオキサイド付加体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体など)など〕、またはそれらのエステル形成誘導体などが挙げられる。これらのグリコール成分も単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
好ましいグリコール成分(コモノマー成分)には、脂肪族ジオール成分(特に、C2〜C6アルキレングリコール、ジエチレングリコールなどのポリオキシC2〜C3アルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール)が含まれる。
前記化合物をモノマー成分とする重縮合により生成するホモPBT樹脂又は共重合PBT樹脂は、いずれも本発明の(A) 成分として使用できる。ホモPBT樹脂及び共重合PBT樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上混合して使用できる。また未変性PBT樹脂(ホモPBT樹脂)と共重合PBT樹脂との併用も有用である。
PBT樹脂としては、共重合PBT樹脂の範疇に属する熱可塑性分岐PBT樹脂も使用できる。いわゆるポリブチレンテレフタレート又はブチレンテレフタレート単量体を主体とし、多官能性化合物との反応により分岐構造を有するポリエステル樹脂である。多官能性化合物としては、芳香族多価カルボン酸成分(トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらのアルコールエステルなど)、ポリオール成分(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)が例示できる。
【0005】
次に、本発明で(B) 成分として用いるコアシェル型化合物について説明する。(B) 成分は多層構造からなり、好ましくは平均粒径1.0 μm以下のゴム層をガラス状の樹脂が包含したコアシェル型化合物である。本発明には、コアシェル型化合物のゴム層は、平均粒径1.0 μm以下のものが使用でき、好ましい範囲は0.2 〜0.6 μmである。平均粒径が1.0 μmを越えると耐ヒートショック性の改善効果が不十分な場合がある。かかるコアシェル型化合物の、ゴム層としてはアクリル系、ジエン系、珪素系エラストマー単独または、この中から選ばれる2種以上のエラストマー成分系を共重合/グラフト重合させたものを用いることができる。
アクリル系ゴムとしては、ブチルアクリレートのようなアクリル酸エステルと少量のブチレンジアクリレートのような架橋性モノマーを重合させて得られる。上記アクリル酸エステルとしては、ブチルアクリレートの他に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。また、架橋性モノマーとしては、ブチレンジアクリレートの他に、ブチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタアクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレートのようなビニル化合物、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルイタニレート、モノアリルマレート、モノアリルフマレート、トリアリルシアヌレートのようなアリル化合物が挙げられる。
ジエン系ゴムとは、例としてブタジエン単量体を重合して得られるポリブタジエンが挙げられる。
珪素系エラストマーとしては、オルガノシロキサン単量体を重合させて製造されるもので、オルガノシロキサンとしては、例えばヘキサメチルトリシクロシロキサン、オクタメチルシクロシロキサン、デカメチルペンタシクロシロキサン、ドデカメチルヘキサシクロシロキサン、トリメチルトリフェニルシロキサン、テトラメチルフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が用いられる。
【0006】
更に、コアシェル化合物のガラス状の樹脂で形成されるシェル層は、ビニル系共重合体で形成される。ビニル系共重合体とは、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、メタクリル酸エステル系単量体、及びアクリル酸エステル単量体の中から選ばれた少なくとも1種の単量体を重合あるいは、共重合させて得られる。
かかるコアシェル型化合物のゴム層とシェル層は、通常グラフト結合によって結合されている。このグラフト共重合化は、必要な場合には、ゴム層の重合時にシェル層と反応するグラフト交差剤を添加し、ゴム層に反応基を与えた後、シェル層を形成させることによって得られる。グラフト交差剤としては、シリコン系ゴムでは、ビニル結合を有したオルガノシロキサンあるいは、チオールを有したオルガノシロキサンが用いられ、好ましくはアクロキシシロキサン、メタクリロキシシロキサン、ビニルシロキサンが使用される。
(B) 成分は、1〜30重量%(全組成物中)の範囲で配合される。(B) 成分が少なすぎると本発明の目的とする耐ヒートショック性の改良効果が得られず、多すぎると熱変形温度の低下を生じ且つ剛性等の機械的性質を阻害するため好ましくない。
【0007】
次に、本発明で用いられる(C) 成分の断面が長手形状である非円形断面を有する繊維状充填剤は、成形品の成形収縮率及び線膨張係数を低下させることにより、耐ヒートショック性、寸法安定性を向上させるために必須とされる成分である。
この断面が長手形状を有する非円形断面である繊維状充填剤としては、図1〜図3に示すような長円形、楕円形、繭形等の断面のものが使用される。これらの断面の細長比(図1〜図3のa:b)は 1.5:1〜6:1に選定され、好ましくは 2.5:1〜4:1に選定される。この細長比が 1.5より小さいと、即ち円形に近づくと断面を扁平にした効果が少なくなり、逆に6よりも大きくすると繊維が扁平になりすぎ割れやすくなって強度が低下する。
かかる繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤は、ガラス繊維またはカーボン繊維である。
これらの充填剤の使用に当たっては、必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。無機充填材(C) の使用量は、全組成物中5〜50重量%、好ましくは15〜35重量%である。使用量が過小であると耐ヒートショック性の向上効果が少なく、過大であると成形作業が困難になる。
【0008】
更に本発明では(D) ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)を添加することにより、耐ヒートショック性、寸法安定性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることが出来る。
PET樹脂は、少なくともテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素数2のアルキレングリコール(エチレングリコール)またはそのエステル形成誘導体を含むグリコール成分とを重縮合反応して得られるポリエチレンテレフタレート系樹脂であり、ホモPET樹脂に限らず、エチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75〜95モル%程度)含有する共重合体(共重合PET)樹脂であってよい。共重合PET樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分(イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などのC6〜C12 アリールジカルボン酸など)、脂肪族ジカルボン酸成分(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC5〜C10 シクロアルキルジカルボン酸など)、芳香族ヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸など)、またそれらのエステル形成誘導体などが例示できる。
好ましいジカルボン酸成分(コモノマー成分)には、芳香族ジカルボン酸成分(特にイソフタル酸などのC6〜C10 アリールジカルボン酸)、脂肪族ジカルボン酸成分(特にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC6〜C12 アルキルジカルボン酸が含まれる。
エチレングリコール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、脂肪族ジオール成分〔例えば、アルキレングリコール(プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3 −ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3 −オクタンジオールなどのC3〜C10 アルキレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのポリオキシC2〜C4アルキレングリコールなど)、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどの脂環式ジオールなど〕、芳香族ジオール成分〔ビスフェノールA、4,4'−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族アルコール、ビスフェノールAのC2〜C4アルキレンオキサイド付加体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体など)など〕、またはそれらのエステル形成誘導体などが挙げられる。これらのグリコール成分も単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
好ましいグリコール成分(コモノマー成分)には、脂肪族ジオール成分(特にC3〜C6アルキレングリコール、ジエチレングリコールなどのポリオキシC2〜C3アルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール)が含まれる。
ホモPET樹脂及び共重合PET樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上混合して使用できる。
更に共重合PET樹脂のコモノマーユニットは、芳香族ジカルボン酸残基(特に少なくともC3〜C10 アルキレングリコール残基、ポリオキシC2〜C3アルキレングリコール残基)から選択された少なくとも1種である。共重合PET樹脂には、イソフタル酸共重合PET樹脂(イソフタル酸変性PET樹脂)などが含まれる。
なお、PET樹脂としては、分岐PBT樹脂と同様に、芳香族多価カルボン酸成分及び/またはポリオール成分を用いて得られる分岐構造の熱可塑性PET樹脂も使用可能である。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(D) の使用量は、全組成物中1〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。使用量が過小であると耐ヒートショック性、寸法安定性の向上効果が少なく、過大であると成形サイクルの増大を招き好ましくない。
【0009】
さらに本発明で用いる樹脂組成物には、その目的に応じた所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、即ち酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、及び結晶化促進剤、結晶核剤等を配合することが可能である。
【0010】
本発明で用いる樹脂組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられる設備と方法を用いて容易に調製できる。例えば、1)各成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機により練り混み押出してペレットを調製し、しかる後成形する方法、2)一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し成形後に目的組成の成形品を得る方法、3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法等、何れも使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体として、これ以外の成分と混合して添加する方法は、これらの成分の均一配合を図る上で好ましい方法である。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の例に示した物性評価の測定法は次の通りである。
▲1▼引張強伸度
ASTM D-638に準拠して測定を行った。
▲2▼耐ヒートショック性
ペレットを用いて樹脂温度 260℃、金型温度65℃、射出時間25秒、冷却時間10秒で、試験片成形用金型(縦22mm、横22mm、高さ51mmの角柱内部に、縦18mm、横18mm、高さ30mmの鉄芯をインサートする金型)に、一部の樹脂部の最小肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形し、インサート成形品を製造した。得られたインサート成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて 140℃にて1時間30分加熱後、−40℃に降温して1時間30分冷却後、さらに 140℃に昇温する過程を1サイクルとする耐ヒートショック試験を行い、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、耐ヒートショック性を評価した。
▲3▼そり変形量
ペレットを用いて、樹脂温度 270℃、金型温度65℃、射出時間20秒、冷却時間10秒で、縦80mm、横80mm、厚み2mmの平板を成形した。その後、三次元測定機マイクロコードA121 ((株)ミツトヨ製)を使用して、そり変形量を測定した。
▲4▼成形収縮率
そり変形量を測定したものと同一の平板を使用し、3次元測定機を使用して、流動方向、直角方向各々の寸法を測定し、金型寸法との比を成形収縮率とした。
【0012】
実施例1〜4
(A) 成分として固有粘度 0.8dl/gポリブチレンテレフタレート(PBT)、(B) 成分としてコアシェル型化合物、(C) 成分として断面が長手形状である非円形断面を有するガラス繊維(CSH3PA860S:日東紡績製)とを表1に示す割合で混合した混合物を調製し、30mmφ押出機を用いて260 ℃で溶融混練して押出し、ペレット化した。次いで射出成形により各種試験片を作成し、上記物性の評価を行った。結果を表1に示す。
尚、(B) 成分として使用したコアシェル型化合物は以下のものである。
(B−1):アクリルゴム系コアシェル型化合物;パラロイドEXL-2311 、呉羽化学製
(B−2):アクリルゴム系コアシェル型化合物;スタフィロイドPO-3267 、武田薬品製
(B−3):シリコンゴム系コアシェル型化合物;メタブレンS-2001 、三菱レイヨン製
実施例5〜6
実施例2の組成物に、更に(D) 成分としてポリエチレンテレフタレート(ベルペットIFG8L:鐘紡製)を表1に示す割合で混合した後、押出機を用いてペレット状組成物を調製し、上記物性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1〜4
比較のため、表1に示すように、コアシェル型化合物を配合しない場合(比較例1)、本発明のコアシェル型化合物に代えてエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)を用いた場合(比較例2)、本発明の非円形断面を有するガラス繊維に代えて円形断面を有するガラス繊維を用いた場合(比較例3〜4)について上記実施例と同様にしてペレット状組成物を調製し、上記物性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
上記表1の結果からも明らかなように、特定のコアシェル型化合物及び、非円形断面を有する繊維状充填剤、オレフィン系グラフト共重合体を添加することにより極めて耐ヒートショック性の良好なポリブチレンテレフタレート組成物が得られることがわかる。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のインサート成形品は、極めて耐ヒートショック性に優れ、特に自動車工業の分野、例えばイグニッションシステムやディストリビューターの部品等に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の(C) 成分である断面が長手形状である非円形断面を有する繊維状充填材の1例を示す図である。
【図2】 本発明の(C) 成分である断面が長手形状である非円形断面を有する繊維状充填材の別の1例を示す図である。
【図3】 本発明の(C) 成分である断面が長手形状である非円形断面を有する繊維状充填材の更に別の1例を示す図である。
Claims (7)
- (A) ポリブチレンテレフタレート樹脂に対し
(B) ゴム状のコアをガラス状の樹脂が包含した多層構造からなるコアシェル型化合物1〜30重量%(全組成物中)、
(C) 断面が長手形状である非円形断面を有する繊維状充填剤5〜50重量%(全組成物中)、
を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。 - 更に、(D) ポリエチレンテレフタレート樹脂1〜30重量%(全組成物中)を含有するものである請求項1記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (B) コアシェル型化合物のゴム成分がアクリル酸エステル系エラストマーであり、外層がビニル系共重合体である請求項1又は2記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (B) コアシェル型化合物のゴム成分がポリオルガノシロキサン系エラストマーであり、外層がビニル系共重合体である請求項1又は2記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (B) コアシェル型化合物のゴム成分がアクリル酸エステル系エラストマー、ポリオルガノシロキサン系エラストマーから選択される2種以上の化合物の混合物からなる請求項1又は2記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の樹脂組成物と金属又は無機固体とをインサート成形してなるインサート成形品。
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1999
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