JP3846650B2 - 高熱効率サーマルヘッド - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は感熱記録プリンタ−用サーマルヘッドに係り、特に蓄熱層に耐熱性樹脂を用いた高熱効率のサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方式は、外部より供給された熱エネルギ−により発色するような表面処理を施した、いわゆる感熱記録紙を用いる記録方式である。
【0003】
一般的な感熱記録用プリンタ−においては、図6に示す構造のサーマルヘッドが用いられる。図6において、1は基板であり、該基板1上には蓄熱層2、バリア層3、発熱抵抗体層4、電極導体層5、更に耐摩耗層6が順次形成され、これらからサーマルヘッドチップが構成される。
【0004】
前記基板1には熱伝導率、耐熱性ともに高いアルミナが用いられることが多く、蓄熱層2の材料としては、従来より一般的にグレ−ズガラスが用いられている。電極導体層5はワイヤ−ボンディングやフリップチップボンディング等の接続法により、駆動IC7と電気的に接続され、駆動IC7から発熱抵抗体層4に電気エネルギ−が供給される。
【0005】
アルミナ等の基板1上に作製されたサーマルヘッドチップには、プリント情報に応じて電気エネルギ−が供給され、その電気エネルギ−は、発熱抵抗体層4中で熱エネルギ−に変換される。この熱エネルギ−は、サーマルヘッドとの熱の授受をよくするために、適当な方法でサーマルヘッドチップの表面に圧着された感熱紙9に供給されるが、ファクシミリ等のように、横一列に発熱抵抗体を並べて配置してあるような場合には、紙送りもかねてゴムロ−ラ−10で感熱紙9の裏面を押えて、サーマルヘッドチップの耐摩耗層6表面と、感熱紙9の表面とを圧着することが多い。良好な記録を得るためには、感熱紙の表面とサーマルヘッドチップの密着を良くすることが必要で、全面に良好な接触が保たれるように、硬度、形状等の点を充分に考慮されたゴムロ−ラ−が使用されている。
【0006】
またビデオプリンタ−等の高品位印刷用サーマルヘッドでは、さらに密着を良くするために、図7のように、発熱部近傍の蓄熱層を周辺部よりも厚くする構造が通常採用されており、一般的に部分グレ−ズと呼ばれている。
【0007】
一方、印字の高速化と良質印字のためには、発熱体の温度上昇が速く、パルス当たりの300〜400℃に維持する時間が長く、かつ温度降下も速いことが必要であるが、従来の70μm前後のガラス蓄熱層2の場合の熱応答特性は充分とはいえず、到達温度を上げるために蓄熱層2の厚さを増すと、熱容量が大きくなるため温度降下が鈍くなり、反対に、熱応答速度を上げるために厚さを薄くすると、到達温度を下げてしまう。ガラス蓄熱層2を用いて、高速印字と良質印字の両方を達成するためには、蓄熱層2の厚さを20μm程度にまで薄くし、大きな電力を印加する必要があり、消費電力の点に問題がある。
【0008】
この問題を解決するために、特開昭52−100245号公報においては、蓄熱層2に熱伝導率の極めて小さいエポキシあるいは芳香族ポリイミド等の樹脂を採用し、かつ蓄熱層厚を10μm程度にまで薄くして熱容量を小さくし、非常に優れた印字性能を実現しえたことが記載されている。
【0009】
また、特開平59−142167号公報においては、高熱効率のサーマルヘッドを実現するため、蓄熱層2としてポリイミド樹脂に銅等の高熱伝導率を有する粉体を混合したものが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
プリンタ−、ファクシミリ等に用いるサーマルヘッドにおいては、高印字性能、高品位印字性能の点のみならず、駆動電源や駆動ICのコストの点からも高熱効率、すなわち低消費電力化されたものの開発が望まれている。この要求に答えるべく、上述のように、ポリイミド等の樹脂を用いた蓄熱層を有するサーマルヘッドが開発され、優れた印字性能が実現され、ガラスグレーズによる蓄熱層を用いた場合に比較し、消費電力が約50%程度にまで低減することが可能となった。しかしながら樹脂材料の耐熱性および機械的強度の低さに起因する、以下に述べるような不具合が発生するため、実用化には至っていなかった。
【0011】
ビデオプリンタ−を用いた連続印刷試験を行ったところ、部分グレ−ズ品では1万枚印刷後も、その印刷性能に変化は見られなかったが、ポリイミド品では、1000枚程度までは印刷性能に変化は見られなかったものの、以降はドット抜け不良箇所が、全ドットの30%以上にまで増加した。
【0012】
不良発生のメカニズムについては定かではないが、発熱部の発熱体層4および耐摩耗層6にクラックが発生したことによる断線と、発熱部分の蓄熱層2および薄膜が消失し、クレ−タ−状の穴が開いたことによる断線の2種類の不良が発生していることから、次のようなメカニズムで、不良が発生したものと考えられる。
【0013】
まず、発熱体層4と耐摩耗層6に生じたクラックは、急激な温度上昇、降下の熱サイクルによる応力から発生したものと考えられ、ポリイミドと薄膜の膨張係数差が主要因であると推察される。一方クレ−タ−状の穴の発生は、300〜400℃の高温に保持されたポリイミドが徐々に分解もしくは変質し、下地との密着性が低下したため、感熱紙に擦られた際に発熱部のポリイミドと薄膜が剥し取られたものと推察される。
【0014】
また、砂粒等の固い粒子で擦られたために発生したと思われる傷のために、抵抗値が変化したドットや断線したドットも見られた。この傷は、プリンタ−内部に混入した後、さらに感熱紙に付着した砂粒が、プリント時にサーマルヘッドの耐摩耗層表面を引っ掻くことにより発生したものであるが、断線に至った深い傷は、蓄熱層2の形成領域に多く見られたことから、図4(a)に示すように、ポリイミドでなる蓄熱層2の機械的強度が不足しているために、砂粒(推定粒径100〜300μm)13によって蓄熱層2の形成領域が、図示のように押しつぶされたものと考えられる。
【0015】
このように樹脂のなかでは、耐熱性に優れているとされているポリイミドでさえ、サーマルヘッドの蓄熱層として採用した場合には、長期的信頼性および機械的強度の点では不十分であった。ましてや耐熱性に劣るエポキシ樹脂を採用した場合には、サーマルヘッドの寿命は更に短いことは言うまでもない。
【0016】
また、特開平59−142167号公報に記載のように銅等の熱伝導性の優れた粉体を混入した場合には、熱応答特性の向上は達成できるものの、一般的に熱伝導率の高い銅等の金属は硬度が低いために、機械的強度の点で優れたサーマルヘッドを得ることは困難である。
【0017】
本発明は、上記従来のサーマルヘッドの問題点を解決して、機械的強度が高く、長寿命でかつ信頼性の高い高熱効率サーマルヘッドを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のサーマルヘッドは、アルミナまたは窒化アルミニウムでなる基板と印刷用発熱抵抗体層との間に蓄熱層を有するサーマルヘッドにおいて、
樹脂と、ビッカース硬度が400以上の無機材質の粒子との混合物を前記蓄熱層として用い、
前記無機材質の粒子は、その平均粒径が0.1μm〜10μmの範囲内の真球状をなし、
前記無機材質の粒子/樹脂の体積比は1以上、10以下であり、
前記蓄熱層は、前記粒子を混入した樹脂ペーストの前記基板への塗布、硬化により形成される
ことを特徴とする。
【0019】
本発明においては、ビッカース硬度が400以上の機械的強度の高い耐熱性無機材料からなる粒子(フィラ−)を多量に添加することにより、蓄熱層として使用する樹脂の耐熱性および機械的強度を飛躍的に向上させたものである。
【0020】
本発明において、基板としては、熱伝導に優れたアルミナ基板が好適であり、その表面は平坦化のために、約10μmのグレ−ズガラスが被覆される。なお、熱伝導率の高い基材として、アルミナが好ましいが、室化アルミニウム等を用いることもできる。
【0021】
発熱抵抗体層と基板との間に設ける蓄熱層材料としては、耐熱性の面から、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、耐熱性を付与したシリコン樹脂等が用いられる。
【0022】
また、樹脂と混合する無機材質のフィラーとしては、微小粉末のビッカース硬度として500程度の値が得られるシリカや、ビッカース硬度が2000程度のアルミナを用いることができる。その他、窒化珪素、炭化珪素、炭化チタン、窒化チタン、窒化ホウ素等のセラミック粉等が用いられ、さらにビッカース硬度が400以上の合金を用いることができる。フィラーのビッカーズ硬度についての上限はないが、実用的にはビッカース硬度が10000程度のものまで用いることができる。
【0023】
また、蓄熱層の作用を保つ上で、蓄熱層に用いるフィラーの熱伝導率は1mj/cm・s・deg以上、100mj/cm・s・deg以下であることが好ましい。なぜならばフィラーの熱伝導率が1mj/cm・s・deg未満であると、蓄熱層としてガラスグレーズより熱伝導性のよい樹脂を用いて熱効率を向上させるという本来の目的が達成しにくくなり、また100mj/cm・s・degを超えると本来の蓄熱作用を得ることが困難となる。
【0024】
蓄熱層に用いる樹脂は、樹脂ペ−ストとフィラーとを混練、脱気処理した後、発熱部近傍に塗布し、所定の温度で硬化したものを使用する。
【0025】
無機材質粒子の平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。0.1μm未満の微粒子は、製造が難しく高価で、取り扱いが危険である。また、10μmを超えると、蓄熱層に対して相対的に粒径が大きくなり充填密度が上がらない。
【0026】
蓄熱層を構成するフィラー/樹脂の体積比は、1以上10以下とすることが好ましい。この体積比が1未満であると、フィラー混入による機械的強度の効果があまり期待できなくなり、一方10を超えると、フィラー間の結合が弱くなり、蓄熱層の所望の強度が得られなくなる。
【0027】
無機材質粒子の形状は、充填密度を上げて蓄熱層の強度を増大させ、また、塗布の際の流動性をあげる上で、真球が好ましい。この蓄熱層をシリカ/ポリイミドにより構成した場合、熱伝導率は、ポリイミド単体よりは大きいものの、約2mj/cm・s・degとグレ−ズガラスの1/5程度と小さくなる。
【0028】
【作用】
本発明において、蓄熱層に例えばシリカ/ポリイミド蓄熱層を採用した場合、グレ−ズガラス蓄熱層を採用した場合と比較して、その消費電力が50〜60%と小さくなる。またその機械的強度は、ポリイミド単体でなる蓄熱層を採用した場合と比較して、大幅に改善され、砂粒に擦られても傷の発生は見られない。耐熱性についても、シリカ/ポリイミド蓄熱層中のシリカ/ポリイミド体積比は1以上、10以下であり、シリカの方が多いので、蓄熱層全体の熱膨張係数は、ポリイミドよりもむしろ、シリカの方に近いため、膨張係数差に起因するクラックの発生を抑制することが可能となる。また、フィラーとして用いる前述したセラミック等は、バリア層等と近い熱熱膨張係数を有するため、熱サイクルによる層剥離や割れ等を回避できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。図1(a)は本発明によるサーマルヘッドの断面図、図1(b)はその蓄熱層の部分拡大図である。本実施例においては、蓄熱層2が部分グレーズ層として構成されたものを示す。図1(b)に示すように、本発明の蓄熱層2は、耐熱性樹脂11に無機質材料でなるフィラー12を混入して構成されたものであり、図6、図7と同じ他の符号は同じ機能を発揮することを目的として設けられたものである。
【0030】
図2、図3により、本実施例のサーマルヘッドの製造工程の一例を説明する。図2(a)、図3(a)に示すように、アルミナ表面に10μm厚のグレ−ズコ−ディングを施した基板1上に、シリカ(SiO2)/ポリイミド蓄熱層2を、発熱部近傍にのみ塗布し、形成した。塗布用のペ−ストは、市販のポリイミド(粘度50000cp)と、市販の微小シリカ球(平均粒径約1μm、真球状)を重量比で1:1の割合で混練し、真空脱気した後、ディスペンスシリンジ内に充填した。
【0031】
塗布は、所定の塗布パターンを予めプログラムされたディスペンスロボットを使用して行い、塗布後すみやかにキュア用オーブンに投入し、100℃で60分、240℃で30分、400℃で60分の3段階の硬化処理を行った。
【0032】
その後、蓄熱層2の形成された基板1全体をスパッタ装置内で、スパッタエッチ(逆スパッタ13.56MHz、100W、5分)し、次いで図2(b)に示すように、バリア層3と発熱抵抗体層4を連続的に成膜した。
【0033】
バリア層3の成膜条件は以下の通りとした。ターゲットには5インチ×15インチの溶融石英を使用し、アルゴンガスの流量50cm3/分(標準状態における流量、以下ガス流量は標準状態の値を記す)、酸素ガスの流量10cm3/分、スパッタ時圧力50Pa、高周波電力2.5kW、基板温度200℃の条件で1μmの厚さのSiO2からなるバリア層3を形成した。
【0034】
また、発熱抵抗体層4は、Nb−SiO 2 により、バリア層3上に同一スパッタ装置を用いて連続的に成膜した。この際、ターゲットには、5インチ×15インチのNb−SiO 2 ターゲットを使用し、また、アルゴンガスの流量50cm3/分、酸素ガスの流量10cm3/分、スパッタ時圧力50Pa、高周波電力1.5kW、基板温度200℃の条件で、0.15μmの厚さのNb−SiO 2 の発熱抵抗体層4を形成した。
【0035】
次に、Nb−SiO 2 からなる発熱抵抗体層4を、図2(c)、図3(b)に示した所定のパターンに、フォトリソグラフィーとRIE(リアクティブ・イオン・エッチング)法により加工した。
【0036】
その後、スパッタリングにより、Alでなる電極導体層5を形成し、図2(d)、図3(c)のパターンに加工した。この加工は、リン酸/硝酸/酢酸/水系エッチャントを使用したウエットエッチングにより行なった。
【0037】
さらにその後、図2(e)に示すように、耐摩耗層6として4μmのSiO2膜と、6μmのSiB膜を、この順にプラズマCVD法により成膜した。ここで、SiBは本来の保護層としての機能を持たせるものであり、また、SiO2は、SiB層と電極導体層5との電気的絶縁および相互の反応、拡散を防止するバリア層としての役目を果たすものである。
【0038】
耐摩耗層6を構成するSiO2膜およびSiB膜の成膜条件は以下の通りとした。原料ガスとしての純シランガスの流量50cm3/分、N2Oガスの流量450cm3/分としてプラズマCVD容器内に導入し、反応圧力20Pa、高周波電力30W、基板温度200℃の条件で厚さ4μmのSiO2膜を成膜した。
【0039】
次いで、原料ガスとして純シランガス流量5cm3/分、B2H6を15%含むH2ガス流量300cm3/分としてプラズマCVD容器内に導入し、反応圧力10Pa、高周波電力350W、基板温度200℃の条件で厚さ6μmのSiB膜を成膜した。このSiB膜は、主成分はアモルファス構造のBで、3atm%程度のSiが添加されている。そのビッカース硬度は2000以上あり、サーマルヘッドの耐摩耗層として、硬度のみならず、信頼性の点でも十分な特性を有する。
【0040】
最後に、SiO2およびSiBをフォトリソグラフィーとRIE法により加工し、図1に示したサーマルヘッドチップを完成させた。
【0041】
その後、アルミニウム製筐体にサーマルヘッドチップを、アルミナフィラー入りシリコン樹脂を使用して接着し、さらに予め駆動IC7および配線が搭載されたガラスエポキシ製のプリント基板を、サーマルヘッドチップに並べて、アルミニウム製筐体上に、両面テープを用いて接着した。そして最後に、駆動IC7とサーマルヘッドチップの電極導体層およびその他の配線とを、ボンディングワイヤ8により電気的に接続し、サーマルヘッドを完成させた。
【0042】
このサーマルヘッドに2msecのパルス電圧を印加し、ガンマ特性を評価した結果を図5に示す。本実施例のように、ポリイミド/シリカでなる蓄熱層を採用したサーマルヘッドは、従来のガラスグレーズを蓄熱層として使用したものと比較すると、従来のものの約55%の消費電力においても良好な印字が可能であった。また、ポリイミド樹脂のみの蓄熱層を用いた場合と本実施例の場合とでは消費電力に殆ど差が生じなかった。
【0043】
また、本実施例のサーマルヘッドをビデオプリンターに搭載し、連続1万枚の印刷試験を行ったところ、クラックや穴による抵抗膜変化および断線は一切観察されなかった。これはポリイミド樹脂より熱膨張率がバリア層3に近いSiO2フィラーを用いたため、蓄熱層2とバリア層3との熱膨張率の差が小さくなったことによると思われる。
【0044】
また、上記試験とは別に、約200μm径の砂粒でサーマルヘッドチップ表面を擦る砥粒試験を行ったところ、従来のポリイミド単体を蓄熱層に使用したサーマルヘッドにみられた引っ掻き傷や、えぐれ等の致命的な欠陥は一切発生しなかった。この理由は、図4(b)に示すように、本発明による場合、硬度の高いフィラーを樹脂に混入した蓄熱層を用いたので、砂粒13がサーマルヘッドとゴムローラー10との間に介在してサーマルヘッドが砂粒13によって押圧されながら移動した場合であっても、蓄熱層2に凹みが生じないため、蓄熱層2の上層14(バリア層3ないし耐摩耗層6)も破壊されないものと考えられる。
【0045】
なお本発明を実施する場合、各層を構成する材料は上記実施例のものに限定されない。また、各層を積層する工程は、特開平5−64905号公報に記載のように、基板1とは別に、後で除去可能な形成基板を用意し、その形成基板に耐摩耗層6、電極導体層5、発熱抵抗体層4、バリア層3…の順序で形成していき、最後に形成基板を除去するという前記とは逆の工程で層形成を行えば、樹脂でなる蓄熱層2の耐熱性を考慮することなく、各層3〜6の全部あるいは耐摩耗層6等の一部を印刷、焼結等によって形成できる。また、本発明は、図6、図7に示したように、蓄熱層2を発熱部以外の部分に形成したものや蓄熱層をフラットに形成したものにも適用可能である。
【0046】
【発明の効果】
請求項1によれば、ビッカース硬度が400以上の機械的強度の高い耐熱性無機材料からなるフィラーを樹脂に混合したものをサーマルヘッドの蓄熱層に採用したので、高熱効率サーマルヘッドの機械的強度および熱的安定性を改善することができ、サーマルヘッドの寿命および信頼性を飛躍的に向上させることが可能となった。
【0047】
また、無機材質の粒子の形状を真球状としたので、無機材料の充填率をあげ、機械的強度をより向上させることができ、かつ、樹脂に対するフィラーの混合や塗布が容易となる
【0048】
また、無機材質の粒子の平均粒径を0.1μm以上としたので、比較的製造が容易で安価に提供できる。また、無機材質の粒子の平均粒径を10μm以下としたので、蓄熱層に対する充填密度を確保することができる。
【0049】
請求項2によれば、無機材質の粒子としてSiO2を用いたので、硬度を容易に確保でき、かつ容易に入手可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明によるサーマルヘッドの一実施例を示す断面図、(b)はその蓄熱層の部分拡大図である。
【図2】 (a)〜(e)は本実施例の製造工程を示す断面図である。
【図3】 (a)〜(c)は本実施例の製造工程を示す平面図である。
【図4】 (a)は従来の樹脂製蓄熱層使用のサーマルヘッドにおける砂粒かみ込みによる損傷を説明する図、(b)は本発明によるサーマルヘッドの砂粒かみ込み時の状態を示す説明図である。
【図5】 蓄熱層にガラズグレーズ層を用いた従来のサーマルヘッドと本発明によるサーマルヘッドの供給電力と光学的濃度との関係図である。
【図6】 従来のサーマルヘッドの一例を示す断面図である。
【図7】 従来のサーマルヘッドの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基板、2:蓄熱層、3:バリア層、4:発熱抵抗体層、5:電極導体層、6:耐摩耗層、7:駆動IC、8:ボンディングワイヤ、9:感熱紙、10:ゴムローラー、11:樹脂、12:フィラー
Claims (2)
- アルミナまたは窒化アルミニウムでなる基板と印刷用発熱抵抗体層との間に蓄熱層を有するサーマルヘッドにおいて、
樹脂と、ビッカース硬度が400以上の無機材質の粒子との混合物を前記蓄熱層として用い、
前記無機材質の粒子は、その平均粒径が0.1μm〜10μmの範囲内の真球状をなし、
前記無機材質の粒子/樹脂の体積比は1以上、10以下であり、
前記蓄熱層は、前記粒子を混入した樹脂ペーストの前記基板への塗布、硬化により形成される
ことを特徴とする高熱効率サーマルヘッド。 - 請求項1において、
無機材質の粒子がSiO2である
ことを特徴とする高熱効率サーマルヘッド。
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