JPH11268316A - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

サーマルヘッドおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH11268316A
JPH11268316A JP7459798A JP7459798A JPH11268316A JP H11268316 A JPH11268316 A JP H11268316A JP 7459798 A JP7459798 A JP 7459798A JP 7459798 A JP7459798 A JP 7459798A JP H11268316 A JPH11268316 A JP H11268316A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal head
metal
electrode layer
electrode
heating resistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7459798A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryuichi Utsuka
竜一 兎束
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP7459798A priority Critical patent/JPH11268316A/ja
Publication of JPH11268316A publication Critical patent/JPH11268316A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウムのエレクトロマイグレーション
を抑えることのできる電極を有するサーマルヘッドおよ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 支持基体と、支持基体上に形成された発
熱抵抗体と、発熱抵抗体に接続された電極層と、発熱抵
抗体の発熱部分を少なくとも被覆するように設けられた
保護層とを具備するサーマルヘッドにおいて、電極層
は、第1の金属と、前記第1の金属を活性化させる第2
の金属とを含有することを特徴とするサーマルヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオプリンタや
カード印刷機、製版機等に用いられるサーマルヘッドに
関する。
【0002】
【従来の技術】サーマルヘッドは、低騒音、低メンテナ
ンスコストおよび低ランニングコスト等の利点があるこ
とから、ファクシミリ、ビデオプリンタあるいは製版機
等の各種ΟA機器の感熱式記録装置に多用されるように
なってきた。
【0003】一般に、サーマルヘッドは、次のような構
成からなっている。すなわち、アルミナ基体上に発熱抵
抗体層及びアルミニウム等の導電層を形成した後、フォ
トエングレービングプロセスにより複数の発熱抵抗体及
び電極パターンを形成する。さらに、この複数の発熱抵
抗体および電極パターンを保護する為の保護層をスパッ
タ法等の薄膜形成方法により形成した構成である。ま
た、アルミナ基体と発熱抵抗体層との間に、表面円滑性
と蓄熱性の向上を主目的とするグレーズガラス層を設け
た構成をとることも多い。
【0004】電極材料には、導電性、密着力、エッチン
グ性、ワイヤーボンディング性、コスト等総合的に優れ
ていることから、アルミニウムが主として用いられてい
る。
【0005】さて、最近のサーマルヘッドの開発動向と
して、発熱抵抗体形状の微細化および印字の高速化が挙
げられる。発熱抵抗体の微細化は、同時に電極パターン
の微細化を促し、印字の高速化に要する高電力パルス印
加と相俟って、通電する電流密度の増大を招く。
【0006】電流密度の増大はエレクトロマイグレーシ
ョンを誘発する。すなわち、アルミウム原子が電子との
衝突によって正極方向に移動する。移動した跡はボイド
が生成されるが、例えば保護膜との界面付近に生成する
と、保護膜とアルミナ間の付着力低下が起きる。
【0007】特に、サーマルヘッドの発熱抵抗体に大き
なエネルギーが加わるような使用条件下では、発熱によ
る熱ストレスが発熱抵抗体近傍のアルミナリードと保護
膜との付着力を上回り、保護膜の剥離が発生する場合が
あるが、エレクトロマイグレーションはこの剥離現象を
加速させている。
【0008】図10にエレクトロマイグレーションが生
じたアルミニウム電極の拡大断面図を示す。
【0009】ボイドは発熱抵抗体近傍の電極に生成され
やすい。これは、アルミウム原子に熱エネルギ一が与え
られ、上記電子との衝突との相乗効果で、いわゆるポテ
ンシャル障壁を容易に越えるようになるからである。
【0010】アルミウム原子が移動した跡はボイドが生
成され、一方、移動先にはヒロックと呼ばれる突起部が
生成される。構造的に電極端にはとりわけヒロックが出
来やすい。このヒロックは保護膜を突き上げるように作
用し、これによって保護膜が剥がれたり、更には保護膜
破壊を助長する。保護膜が剥れると、発熱抵抗体は大気
中の酸素と速やかに反応酸化し、その抵抗値は急上昇
し、サーマルへッドは使用不可となる。
【0011】このように、とくに微細および高速印字を
要求されるようなサーマルヘッドにおいては、アルミニ
ウム電極では使用に耐えられなくなってきている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のサーマルヘッドにおいては、アルミニウムのエレクト
ロマイグレーションにより電極にボイドやヒロックが発
生することにより、保護膜が剥離したりする等の問題が
あった。
【0013】本発明は、アルミニウムのエレクトロマイ
グレーションを抑えることのできる電極を有するサーマ
ルヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とす
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のサーマルヘッド
は、支持基体と、支持基体上に形成された発熱抵抗体
と、前記発熱抵抗体に接続された電極層と、前記発熱抵
抗体の少なくとも発熱部分を被覆するように設けられた
保護層とを具備するサーマルヘッドであって、前記電極
層は、第1の金属と、前記第1の金属を活性化させる第
2の金属とを含有することを特徴としている。
【0015】本発明に係るサーマルヘッドによれば、電
極層が第1の金属と、その第1の金属を活性化させる第
2の金属とを含有しているため、電極層に生じるエレク
トロマイグレーションを防止し、電極層が保護層から剥
離しににくすることができる。
【0016】本発明のサーマルヘッドの電極において、
前記第1の金属はAlであり、前記第2の金属はCuで
あることを特徴としている。
【0017】本発明に係るサーマルヘッドによれば、第
1の金属として比抵抗が小さく、扱いやすく、しかもコ
スト的に有利なAlを用い、第2の金属としてAlのエ
レクトロマイグレーションを効果的に防止することので
きるCuを用いることにより、エレクトロマイグレーシ
ョンを抑え、電極と保護層の密着性を高めることによっ
て、良好な熱伝導性を有する信頼性および耐久性に優れ
たサーマルヘッドを得ることができる。
【0018】本発明のサーマルヘッドの電極層におい
て、前記Cuの含有率が0.1〜3.0wt%であり、
残部組成が実質的にAlで構成されることを特徴として
いる。
【0019】本発明に係るサーマルヘッドによれば、電
極層がCuを0.1〜3.0wt%含み、残部組成が実
質的にAlで構成されていることにより、Alのエレク
トロマイグレーションを抑え、電極と保護層の密着性を
高めることによって、良好な熱伝導性を有する信頼性お
よび耐久性に優れたサーマルヘッドを得ることができ
る。
【0020】本発明のサーマルヘッドはさらに、前記電
極層が0.1wt%未満のSiを含有することを特徴と
している。Siの含有量を0.1wt%未満に抑えるこ
とで、ワイヤーボンディング性が損なわれるのを防止す
ることができる。
【0021】また、本発明のサーマルヘッドは、前記電
極層の比抵抗が、3.0〜6.0μΩcmの範囲にある
ことを特徴としている。電極層の比抵抗がこの範囲にあ
ることで、良好なマイグレーション耐性と防食性の両方
に優れた電極が得られる。
【0022】さらに、本発明のサーマルヘッドは、前記
電極層の表面粗さが、0.01〜0.10μmRaの範
囲にあることを特徴としている。電極層の表面粗さがこ
の範囲にあることで、保護膜が剥離しにくく、良好なワ
イヤーボンディング性が得られる。
【0023】本発明のサーマルヘッドの製造方法は、支
持基体上に発熱抵抗体を形成する工程と、前記発熱抵抗
体に接続された電極層を形成する工程と、前記発熱抵抗
体の少なくとも発熱部分を被覆するように保護層を形成
する工程とを具備するサーマルヘッドの製造方法であっ
て、前記電極層は、第1の金属と、前記第1の金属を活
性化させる第2の金属とを含有することを特徴としてい
る。
【0024】本発明に係るサーマルヘッドの製造方法に
よれば、電極層が第1の金属と、その第1の金属を活性
化させる第2の金属とを含有しているため、電極層に生
じるエレクトロマイグレーションを防止し、電極層が保
護層から剥離しににくすることができる。
【0025】本発明のサーマルヘッドの製造方法におい
て、前記第1の金属がAlであり、前記第2の金属がC
uであることを特徴としている。
【0026】本発明に係るサーマルヘッドの製造方法に
よれば、第1の金属として比抵抗が小さく、扱いやす
く、しかもコスト的に有利なAlを用い、第2の金属と
してAlのエレクトロマイグレーションを効果的に防止
することのできるCuを用いることにより、エレクトロ
マイグレーションを抑え、電極と保護層の密着性を高め
ることによって、良好な熱伝導性を有する信頼性および
耐久性に優れたサーマルヘッドを得ることができる。
【0027】さらに、本発明のサーマルヘッドの製造方
法は、電極層がCuを0.1〜3.0wt%含み、残部
組成が実質的にAlで構成されていることを特徴として
いる。
【0028】本発明に係るサーマルヘッドの製造方法に
よれば、電極層がCuを0.1〜3.0wt%含み、残
部組成が実質的にAlで構成されていることにより、A
lのエレクトロマイグレーションを抑え、電極と保護層
の密着性を高めることによって、良好な熱伝導性を有す
る信頼性および耐久性に優れたサーマルヘッドを製造す
ることができる。
【0029】本発明のサーマルヘッドの製造方法はさら
に、前記電極層が0.1wt%未満のSiを含有するこ
とを特徴としている。Siの含有量を0.1wt%未満
に抑えることで、ワイヤーボンディング性が損なわれる
のを防止することができる。
【0030】また、本発明のサーマルヘッドの製造方法
は、前記電極層の比抵抗が、3.0〜6.0μΩcmの
範囲にあることを特徴としている。電極層の比抵抗がこ
の範囲にあることで、良好なマイグレーション耐性と防
食性の両方に優れた電極が得られる。
【0031】さらに、本発明のサーマルヘッドの製造方
法は、前記電極層の表面粗さが、0.01〜0.10μ
mRaの範囲にあることを特徴としている。電極層の表
面粗さがこの範囲にあることで、保護膜が剥離しにく
く、良好なワイヤーボンディング性が得られる。
【0032】Alマイグレーションは選択的に粒界に沿
って進行していく。Cuはこの粒界中に析出しAl原子
の移動を阻止するように作用するといわれる。Alの活
性を高める金属としてCuの他にAgやAu、TiもA
lのマイグレーションを阻止する働きをするが、Agは
Alを腐食しやすく、Auはコストが高く、Tiは比抵
抗を上げてしまう。
【0033】Cuは、0.lwt%よりも少ないとマイ
グレーション抑制効果が発揮されにくくなり、3.0w
t%よりも多いと、ワイヤーボンディング性と耐蝕性に
支障が生ずるようになる。好ましくは0.3〜1.5w
t%、より好ましくは0.5〜1.0wt%の範囲であ
る。
【0034】本発明のサーマルヘッドに用いる電極は、
Al−CuまたはAl−Si−Cuである。この他、不
純物としてFe等が数ppm含まれることもあるが、C
u以外の残部組成は実質的にAlとし、他元素の混入は
極力避ける。中でもSiは0.1wt%未満に抑えるこ
とが肝要である。基板がSiウェハの場合には、いわゆ
るSiの突き抜け現象を防止するために、電極中にSi
を含有させることが有効だが本発明のサーマルヘッドの
ようにガラス層やアルミナ層を基体とする場合には、S
iは不要なばかりか、Siが0.1wt%以上含有され
ると、ワイヤーボンディング性が著しく低下する。
【0035】Cu含有率と共に、比抵抗値も重要であ
る。Cu含有率が同一でも、成膜方法や条件が異なれば
違った膜質になり、マイグレーション耐性等も自ずと変
わってくる。例えば、スパッタリングのArの濃度が低
いために、水分が取り込まれたりするとマイグレーショ
ンが増大してしまう。比抵抗値は膜質の指標を与えるも
のであり、3.0μΩcmより低いとマイグレーション
耐性は純Alとそれほど変わらなくなり、6.0μΩc
mより高くなるとエッチング性にバラツキが生じたり、
腐蝕が起きやすくなる。3.3〜4.0μΩcmの範囲
が望ましい。
【0036】電極層の表面を反応性イオンエッチング
(RIE)等で適度に粗らすことで、保護膜との付着力
を堅固にし、保護膜剥がれの抑止力を高めることができ
る。0.01μmRaより小さいと抑止力を高める効果
が不充分となり、また0.1μmRaを越えるとワイヤ
ーボンディング性が確保しづらくなる。好ましい範囲
は、0.03〜0.07μmRaである本発明のサーマ
ルヘッドにおける発熱抵抗体の材料としては、耐熱性に
優れ、高比抵抗化も容易なサーメットが例示される。例
えば、IVa〜VIIa族から選ばれた少なくとも1種
の金属元素と、絶縁成分であるSi−Oとの複合体から
なるサーメットである。特に、Τa−Si−O系のサー
メットは、耐熱性に最も優れると同時に、耐酸化性、形
成の容易性等も良好である。本発明のサーマルヘッドに
おいて形成される発熱抵抗体の膜厚は通常、0.02〜
0.2μmである。
【0037】本発明のサーマルヘッドの支持基体として
は、特に限定されるものではないが、アルミナセラミッ
クス等からなる各種セラミックス材料を用いることがで
き、支持基体の成形時に焼結助材等の添加剤を配合する
ことも可能である。また、支持基体には、セラミックス
材料以外にも、必要に応じて各種絶縁材料の使用が可能
である。
【0038】また、アルミナ基体と発熱抵抗体層との間
に、表面円滑性と蓄熱性の向上を主目的とするグレーズ
ガラス層を設けた場合には、グレーズガラス層として、
例えば、二酸化珪素あるいは二酸化珪素にカルシウム、
バリウム、アルミニウム、ストロンチウム等が混合した
ものが使用されるが、特に限定されるものではない。た
だし、サーマルヘッドの抵抗値の上昇を防止することか
ら、グレーズガラス層のガラス転移点は、670℃以上
であることが望ましい。また、グレーズガラス層の膜厚
は、通常、30〜70μm程度に形成される。
【0039】支持基体上にグレーズガラス層を形成する
場合には、グレーズガラス層は印刷法等により、膜厚3
0〜70μm程度に形成する。グレーズガラス層の主成
分としてはSiO2 が一般的であるが、特に限定される
ことはなく、しかもBa、Ca等の不純物が混在するも
のであってもよい。また、グレーズガラス層の代わりに
Si−N−O系等からなる膜を形成してもよい。
【0040】発熱抵抗体の上層や下層に無機のバリア層
や保護層を形成する場合、バリア層や保護層の成分は、
通常、Si−N−O系からなるが、これらの成分は必要
に応じて適宜選択される。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明を以下の実施例に従って説
明する。
【0042】
【実施例1】図1は、本発明のサーマルヘッドの感熱記
録部近傍要部を模式的に表わす断面図である。1はアル
ミナ等のセラミック基体、2はSiOを主成分とするグ
レーズ層、3はTaSiOやNbSiO等から成りアレ
イ状に配列された発熱抵抗体層、4は抵抗体3を選択的
に発熱させ所定の印画を行なう為の電流供給路たる電極
層で、前記のように所定量のCuを含有したAl材料で
形成される。5は保護層で抵抗体3の少なくとも発熱部
分を被覆して成るように形成されるもので、SiON等
の電気絶縁性の材料が選ばれる。保護層上にTaSiO
等で、帯電防止用の導電層を設けることもある。
【0043】以下に具体的な製造方法の一実施例を説明
する。
【0044】まず、アルミナ支持基体上に60μm程度
のグレーズ層が設けられたものを基板とし、この上にT
aSiO焼結体をターゲットに据えたスパッタリング法
により、発熱抵抗体層を形成する。次に、Cuを0.1
〜10.0wt%含有したAl−Cuターゲットを用
い、5〜20mtorrのAr雰囲気でDC放電を発生
させ、発熱抵抗体層上に、0.5〜1.0μm程度の電
極層をスパッタリング形成する。
【0045】次いで、写真食刻法により、所定の電極パ
ターンと発熱抵抗体パターンを形作る。電極膜のエッチ
ングには、H3 PO4 、HNO3 、CH3 COOHの混
合液を使用した。発熱抵抗体膜のエッチングは、CF4
+O2 ガスによるCDE(ケミカルドライエッチング)
法を採った。
【0046】さらに抵抗体の少なくとも発熱部分を被覆
してなるようにSiON保護層をスパッタリング形成
し、薄膜工程の主要部が完了する。
【0047】そして、PCB(プリントサーキットボー
ド)基板、放熱板との合体、IC(集積回路)との接続
など一連の実装工程を経て所定のサーマルヘッドが完成
する。
【0048】上記プロセスを適用して、主走査方向長4
5μm、副走査方向長45μmの発熱抵抗体寸法を有す
る解像度400dpiのサーマルヘッドを製造し、各種
評価を行った。
【0049】図2に、実機走行試験結果を示す。パワー
密度0.18W/dotで、製版フィルムを介し1×1
8 回パルスを連続的に与えたものである。横軸はCu
含有率(wt%)で、試験後に二次イオン質量分析法に
より測定した。縦軸は保護膜剥れが発生したドットの割
合である。Cu含有率が0.3wt%以下になると、保
護膜剥がれが始まり、その発生率はCu含有率低減に伴
い急増、0wt%すなわち純Alでは著しい増加とな
る。
【0050】図3は、実装工程におけるボンディング強
度不足を原因とするワイヤーボンディング不良発生率を
示したものである。Cu含有率が3.0wt%を越える
と、不良発生が散見されるようになり、5.0wt%で
は16%がボンディング不可となる。
【0051】図4は、腐蝕試験結果である。これは、製
版フィルムをへッドに押し付けた状態で、温度40℃、
湿度90%、27V印加の環境で168時間放置し、腐
蝕が生じた個別電極の率を示したものである。Cu含有
率が3.0wt%を越えると、腐蝕発生が散見されるよ
うになり、5.0wt%では全個別電極の12%に腐蝕
が起きた。
【0052】
【実施例2】実施例1と同様にして、Cu含有率1.0
wt%のサーマルヘッドを作製した。ただし、電極成膜
条件を変化させ、へッドごとの比抵抗値は、2.7〜
7.0μΩcmに分布をさせた。具体的には、背圧値や
スパッタリングレートで比抵抗値を制御した。
【0053】図5、6および7に、実機走行試験、ワイ
ヤーボンディング試験、腐蝕試験の結果をそれぞれ示
す。比抵抗値が3.0μΩcm未満或いは6.0μΩc
mを越えると保護膜剥れが起きるようになる。ボンディ
ング性および耐蝕性は、6.0μΩcm以上の領域で低
下をみせる。
【0054】
【実施例3】実施例1と同様にして、Cu含有率1.5
wt%、比抵抗値3.0μΩcmのサーマルヘッドを作
製した。ただし、ヘッドごとの表面粗さRaは、0.0
05〜0.20に分布をさせた。具体的には、CF4
囲気のRIEに投じることでRa値の上昇を図った。R
IE後は、0.05wt%のNaOH水溶液で洗浄し、
表面生成されるフッ化物の除去を行なった。
【0055】図8および9に、実機走行試験、ワイヤー
ボンディング試験の結果をそれぞれ示す。表面粗さRa
値が0.10を越えると、いずれも不具合が認められる
ようになる。0.005未満でも若干の不具合が生じ
る。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、Al電極中に所定量の
Cuを含有させることで、マイグレーションが抑制さ
れ、保護膜剥離現象が抑止されるから、長寿命で高信頼
性を備えたサーマルヘッドが提供される。さらに、電極
膜の比抵抗値や表面粗さを規定しているから、工程管理
が容易になり、高品質のサーマルヘッドを安定して製造
できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサーマルヘッドの感熱記録部近傍要
部を模式的に表わす断面図。
【図2】 銅含有率と保護膜剥がれ発生率の関係を示す
グラフ。
【図3】 銅含有率とボンディング不良発生率の関係を
示すグラフ。
【図4】 銅含有率と腐食発生率の関係を示すグラフ。
【図5】 比抵抗と保護膜剥がれ発生率の関係を示すグ
ラフ。
【図6】 比抵抗とボンディング不良発生率の関係を示
すグラフ。
【図7】 比抵抗と腐食発生率の関係を示すグラフ。
【図8】 表面粗さと保護膜剥がれ発生率の関係を示す
グラフ。
【図9】 表面粗さとボンディング不良発生率の関係を
示すグラフ。
【図10】 エレクトロマイグレーションの生じたアル
ミニウム電極の拡大断面図。
【符号の説明】
1……セラミック基体、2……グレーズ層、3……発熱
抵抗体、4……電極、5……保護層

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基体と、支持基体上に形成された発
    熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に接続された電極層と、前
    記発熱抵抗体の発熱部分を少なくとも被覆するように設
    けられた保護層とを具備するサーマルヘッドにおいて、 前記電極層は、第1の金属と、前記第1の金属を活性化
    させる第2の金属とを含有することを特徴とするサーマ
    ルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記第1の金属がAlであり、前記第2
    の金属がCuであることを特徴とする請求項1記載のサ
    ーマルヘッド。
  3. 【請求項3】 前記Cuの含有率が0.1〜3.0wt
    %、残部組成が実質的に前記Alで構成されることを特
    徴とする請求項2記載のサーマルヘッド。
  4. 【請求項4】 前記電極層がさらに、0.1wt%未満
    のSiを含有することを特徴とする請求項3記載のサー
    マルヘッド。
  5. 【請求項5】 前記電極層の比抵抗が、3.0〜6.0
    μΩcmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれか1項記載のサーマルヘッド。
  6. 【請求項6】 前記電極層の表面粗さが、0.01〜
    0.10μmRaの範囲にあることを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれか1項記載のサーマルヘッド。
  7. 【請求項7】 支持基体上に発熱抵抗体を形成する工程
    と、前記発熱抵抗体に接続された電極層を形成する工程
    と、前記発熱抵抗体の少なくとも発熱部分を被覆するよ
    うに保護層を形成する工程とを具備するサーマルヘッド
    の製造方法において、 前記電極層は、第1の金属と、前記第1の金属を活性化
    させる第2の金属とを含有することを特徴とするサーマ
    ルヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の金属がAlであり、前記第2
    の金属がCuであることを特徴とする請求項7記載のサ
    ーマルヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記Cuの含有率が0.1〜3.0wt
    %、残部組成が実質的に前記Alで構成されることを特
    徴とする請求項8記載のサーマルヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記電極層がさらに、0.1wt%未
    満のSiを含有することを特徴とする請求項9記載のサ
    ーマルヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記電極層の比抵抗が、3.0〜6.
    0μΩcmの範囲にあることを特徴とする請求項7乃至
    10のいずれか1項記載のサーマルヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記電極層の表面粗さが、0.01〜
    0.10μmRaの範囲にあることを特徴とする請求項
    7乃至10のいずれか1項記載のサーマルヘッドの製造
    方法。
JP7459798A 1998-03-23 1998-03-23 サーマルヘッドおよびその製造方法 Withdrawn JPH11268316A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7459798A JPH11268316A (ja) 1998-03-23 1998-03-23 サーマルヘッドおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7459798A JPH11268316A (ja) 1998-03-23 1998-03-23 サーマルヘッドおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11268316A true JPH11268316A (ja) 1999-10-05

Family

ID=13551732

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7459798A Withdrawn JPH11268316A (ja) 1998-03-23 1998-03-23 サーマルヘッドおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11268316A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015066809A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 東芝ホクト電子株式会社 サーマルヘッド
JP2017007282A (ja) * 2015-06-25 2017-01-12 京セラ株式会社 サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
JP2017043013A (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 京セラ株式会社 サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015066809A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 東芝ホクト電子株式会社 サーマルヘッド
JP2017007282A (ja) * 2015-06-25 2017-01-12 京セラ株式会社 サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
JP2017043013A (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 京セラ株式会社 サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6950117B2 (en) Thermal head
JPH06238933A (ja) サーマルプリントヘッド及びサーマルプリンタ
JPH11268316A (ja) サーマルヘッドおよびその製造方法
KR100380034B1 (ko) 후막형 서멀프린트헤드 및 그 제조방법
JP3041601B2 (ja) サーマルヘッドの製造方法
JP3455060B2 (ja) サーマルヘッドの製造方法
JP3172623B2 (ja) サーマルヘッド
US4990935A (en) Thermal head
JPH0864401A (ja) チップ状電子部品
JP4925535B2 (ja) サーマルヘッド
JP2593524Y2 (ja) ハイブリッドic
JP4925537B2 (ja) サーマルヘッド
JP3545948B2 (ja) サーマルヘッド及びサーマルヘッドの製造方法
JP2001135753A (ja) 半導体モジュール用基板及びその製造方法
JP3462056B2 (ja) サーマルヘッドおよびその製造方法
JP2000246929A (ja) サーマルヘッドの製造方法
JP2005335264A (ja) サーマルヘッド
JP2731453B2 (ja) サーマルヘッド用基板およびその製造方法
KR101843252B1 (ko) 칩 저항 소자 및 칩 저항 소자 어셈블리
JP3457821B2 (ja) サーマルヘッド
JPH03218856A (ja) サーマルヘッド
JPS6161988B2 (ja)
JP2503080B2 (ja) 通電方式記録ヘッド
JPS60112462A (ja) サ−マルヘツド
JP4925536B2 (ja) サーマルヘッド

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050607