JP3846319B2 - 酸素ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素ポンプの通気機能を有する断熱材の実装構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の酸素ポンプとしては、例えば、特開平11−23525号公報に記載されているようなものがあった。図7は、前記公報に記載された従来の酸素ポンプを示すものである。
【0003】
図7において、1は筐体、2はアルミナなどの多孔質基板3に形成された第一電極4と酸素イオン導電性の薄膜5と第二電極6とから構成される酸素ポンプ素子、7はアルミナ基板などの絶縁性基板8上に導電性ペーストをスクリーン印刷でパターン形成してなるヒータ線9から構成される加熱手段であり、加熱手段7は、筐体1に内包されておらず大気に解放された状態で配置されている。
【0004】
この構成において、加熱手段7に電圧を印加して発熱させ、酸素ポンプ素子が酸素ポンプとして作動する温度に加熱し、第一電極3に負電圧、第二電極に正電圧を印加すると、図中矢印で示すように第一電極3に解離吸着された空気中の酸素は酸素ポンプ素子2によって酸素イオンとして第二電極4に運ばれて酸素分子となって大気中に放出される。これによって、筐体1に取付られた容器内の酸素濃度を減少させることができる。
【0005】
また、その他に類似の酸素ポンプとしては、特開平10−160328号公報に開示されているものがある。図8は、前記公報に記載された酸素ポンプを示すものである。
【0006】
図8において、10は固体電解質の酸素イオン伝導体11と両面に形成された電極12、13から構成される酸素ポンプ素子、14は酸素ポンプ素子11の外周を、隙間を確保して配置されたアルミナ管であり、このアルミナ管14の一端に酸素の導入口となるアルミナなどの吸気管15とアルミナ管14の外周に電熱線などをコイル状に巻いた加熱手段16が設けられている。酸素ポンプ素子10の酸素が排出される側は大気に解放され、それ以外の部分は断熱材17で覆われた構成としている。
【0007】
この酸素ポンプの作用は、前述の図7の酸素ポンプと同様であり、酸素の流入出は図中矢印で示した通りである。この酸素ポンプでは、空気の導入は吸気管15から行われるため、断熱材17を通過しない構成となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−23525号公報の構成では、酸素ポンプ素子2と加熱手段7が大気に解放された状態にあるので、加熱手段7からの熱エネルギーは酸素ポンプ素子2だけでなく大気中の空気の加熱にも使われ、その結果、熱効率が悪くなり、酸素ポンプ2を動作する温度するのに必要な加熱手段7の消費電力が高くなるという課題を有していた。また、実施例での図面によると、加熱手段7は酸素ポンプ素子2の上部に配置されているので、酸素ポンプ素子2の加熱は輻射熱によるものとなり、加熱された空気の対流熱を利用できないという欠点を有する。
【0009】
また、特開平10−160328号公報の構成では、加熱手段16は断熱材17に覆われているが、酸素ポンプ素子10はアルミナ管14とアルミナ管14と酸素ポンプ素子10との間の空気を介して加熱されるため、熱抵抗が大きくなり、酸素ポンプ素子10を酸素オン伝導体として作動させる温度に加熱するために大きな電力を必要とする課題を有している。また、酸素を含む空気は吸気管15から導入されるため、この空気により酸素ポンプ素子10が冷却され、熱効率がさらに悪くなるという課題を有していた。さらに、酸素ポンプ素子10は、タンマン管の形状であるので温度分布が大きく、クラックの発生など破損しやすいという課題がある。また、構造が複雑であり、酸素ポンプ全体が大きくなるという課題を有している。
【0010】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、加熱手段からの熱を効率よく酸素ポンプ素子に伝達し、加熱に必要な電力を低減するとともに、簡素な構成とすることにより、小型でコンパクトなの酸素ポンプを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素ポンプは、酸素イオン導電性基板の一方の表面に形成された第1電極と他の表面に形成された第2電極を有する酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に形成された第1電極側の空間と第2電極側の空間を区画する区画手段と、前記酸素ポンプ素子を加熱する少なくとも一つの加熱手段と、前記酸素ポンプ素子と前記区画手段と前記加熱手段を囲むように微細空隙を有し、主成分がシリカ(SiO 2 )粒子の無機酸化物粒子からなる通気機能を有する断熱材を配置された通気機能を有する断熱材とで構成したものである。
【0012】
この通気機能を有する断熱材によって、酸素ポンプ素子と加熱手段が直接、大気と接触しないので加熱手段による酸素ポンプ素子への熱効率が向上し、酸素ポンプ素子の加熱に必要な電力を小さくすることができるともに、空気に存在する酸素分子は通気機能を有する断熱材を介して酸素ポンプ素子への流入及び大気への流出を可能とすることができるので酸素ポンプとして十分な性能を実現することができる。また、酸素ポンプ素子、区画手段、加熱手段が通気機能を有する断熱材に覆われた簡素な構成であるので酸素ポンプを小型化、コンパクトにすることができる。さらに、酸素ポンプ素子を均一な温度分布とすることができ、温度差が原因で発生する酸素ポンプ素子のクラックなどの破損を防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、酸素イオン導電性基板の両面に電極を形成した酸素ポンプ素子と空間を区画する区画手段と酸素ポンプ素子を加熱する加熱手段を囲むように微細空隙を有し、主成分がシリカ(SiO 2 )粒子の無機酸化物粒子からなる通気機能を有する断熱材を配置した構成としたものであり、空気に存在する酸素分子は通気機能を有する断熱材を介して酸素ポンプ素子への流入及び大気への流出を可能とすることができるので酸素ポンプとして十分な性能を実現することができるとともに、酸素ポンプ素子と加熱手段が大気に直接触れないようにしているので加熱手段による酸素ポンプ素子への熱効率が向上し、酸素ポンプ素子の加熱に必要な電力を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、酸素ポンプ素子全体を均一に加熱することができるので酸素ポンプ素子のクラックなどの破損が防止され、酸素ポンプの耐久性、信頼性を向上させることができる。また、酸素ポンプ素子、区画手段、加熱手段が通気機能を有する断熱材に覆われた簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化、コンパクト化を図ることができ、機器への実装を容易にすることができる。
【0014】
また、微細空隙を有し、主成分がシリカ(SiO 2 )粒子の無機酸化物粒子からなる通気機能を有する断熱材を多数の連通孔を有する多孔質体で構成することにより、空気や酸素分子が十分な通気量を確保することができるとともに、酸素ポンプへ導入する空気は断熱材を通過しながら徐々に加熱されるので酸素ポンプ素子の冷却が抑制され、加熱手段の熱効率をさらに高めることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、酸素イオン導電性基板の両面に電極を形成した酸素ポンプ素子と空間を区画する区画手段と酸素ポンプ素子を加熱する加熱手段を囲むように通気機能を有する断熱材を連通孔の無い多孔質体に少なくとも一つの貫通孔を設けた断熱材を配置した構成とすることにより、請求項1と同様な作用効果を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、酸素イオン導電性基板の両面に電極を形成した酸素ポンプ素
子と空間を区画する区画手段と酸素ポンプ素子を加熱する加熱手段を囲むように多数の連通孔を有する多孔質体からなる通気機能を有する断熱材に連通孔よりも大きい少なくとも一つの貫通孔を設けた断熱材を配置した構成とすることにより、酸素濃度が低下し酸素分子の数が減少しても多孔質体のみの場合と比べ、酸素ポンプ素子へ導入できる酸素分子の数を多くすることができるので低酸素雰囲気下での酸素ポンプ性能の低下を抑制することができ、目標の酸素濃度に下げる時間を短縮することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、加熱手段が配置された側の通気機能を有する断熱材と加熱手段の間に少なくとも一つの孔を有する熱線反射手段を設けた構成とすることにより、加熱手段からの放射熱を熱線反射手段によって酸素ポンプ素子の方向に反射することができるので酸素ポンプへの熱効率をなお一層向上させることができ、加熱に必要な電力を低減することができるとともに、空気の酸素ポンプへの流入は熱線反射手段に設けた孔によって行うことができるので酸素ポンプの優れた性能を確保することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、断熱材が微細空隙を有し、主成分がシリカ(SiO 2 )の無機酸化物粒子で構成することにより、微細空隙が空気の対流を抑制し断熱材料の熱伝導を小さくすることができるので優れた断熱性能を実現することができる。
【0019】
また、通気機能を有する断熱材の材料として主成分がシリカ(SiO2)粒子を用いることにより、高い耐熱性を実現することができ、優れた耐久性を確保することができるとともに、微少空隙の構造の破壊を防止することができ、初期の優れた断熱性能を長期にわたり実現することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図1〜7を参照しながら説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は、本発明の第1の実施例における酸素ポンプの断面図である。図1において、21は酸素ポンプ素子であり、酸素ポンプ素子21は酸素イオン導電性基板22の一方の表面に第1電極23を形成し、他の表面に第2電極24を形成した構成としており、酸素ポンプ素子21に直流電圧を印加する酸素ポンプ駆動電源回路25にリード線26、27を介して接続されている。酸素イオン導電性基板22としては、イットリウムをドープしたジルコニア(YSZ)やサマリウムをドープしたセリア(SDC)が用いられる。また、第1電極23や第2電極24としては、白金(Pt)、銀(Ag)、サマリウム−ストロンチウム−コバルトから成る複合金属酸化物(SSCO)などの焼成膜、蒸着膜が用いられる。第1電極23カソ−ド電極として作用するとき、第2電極24はアノ−ド電極として作用する。
【0022】
28は、第1電極23側の空間と第2電極24側の空間を区画する区画手段であり、第1電極23に対向する開口部を有しており、酸素ポンプ素子21とガラスなどの接着材料によって接着されている。本実施例では、区画手段28を第1電極23側に配置しているが、第2電極24側に配置してもよい。区画手段28としては、ニッケル、鉄−クロム合金、チタン、金、白金などの金属板もしくは箔、アルミナ、ムライトなどのセラミック板が用いられるが、酸素ポンプ素子21との熱膨脹差が少なく、熱歪みが小さいことが要求されることから、望ましくは、ニッケル、鉄−クロム合金の金属箔がよい。29は、酸素ポンプ素子21の下部に設けられた加熱手段であり、加熱手段29に電力を印加する加熱用電源30にリード線31、32を介して接続されている。加熱手段29としては、鉄−クロム合金、ニッケル−クロム合金などの電熱線や箔が用いられる。
【0023】
33、34は、通気機能を有する断熱材であり、多数の連通孔を有する多孔体で構成さ
れ、酸素ポンプ素子21、区画手段28、加熱手段29の周囲を覆うように位置されており、通気機能を有する断熱材33、34は、大気からの空気と大気への酸素の流出が可能となるように開口部を設けた筐体35に収納されている。この通気機能を有する断熱材33、34としては、主成分が無機酸化物のシリカ粒子の集合体が用いられる。
【0024】
図2は、前述したシリカ粒子の集合体からなる通気機能を有する断熱材33、34の模式図であり、シリカ粒子36による微細空隙37を有する構造となっている。この構造を有する断熱材としては日本エアロジル社製のマイクロサーム(商品名)があげられる。
【0025】
以上のように構成された酸素ポンプについて、以下その動作、作用を説明する。
【0026】
まず、加熱用電源30によって電力が加熱手段29に印加されると、加熱手段29は昇温し、酸素ポンプ素子21を加熱する。次に酸素ポンプ素子21に酸素ポンプ駆動電源25が第1電極23をカソード、第2電極24をアノードとして電圧が印加される。この状態で加熱手段29によって酸素ポンプ素子21が500〜800℃に昇温すると、第1電極23側の空間に存在する酸素分子が第1電極23から酸素イオンとして酸素イオン導電性基板22に取り込まれて第2電極24に到達する。第2電極24に到達した酸素イオンは酸素分子となり、第2電極24側の外部空間に放出される。第1電極23側の空間と第2電極24側の空間とは区画手段28で分離されているので常に第1電極23側の空間に存在する酸素分子を第2電極側の空間に輸送することができる。第1電極23側の空間の酸素分子が第2電極24側の空間に輸送されると、第1電極23側の酸素濃度が減少し、大気中の酸素分子を含む空気が通気機能を有する断熱材33の連通孔を拡散し、第1電極23側の空間に流入する。一方、第2電極24側の空間からは第2電極24から放出された酸素分子が通気機能を有する断熱材34を拡散し、大気中に流出する。酸素ポンプ素子が動作している間、図中矢印で示すように酸素分子が輸送され続ける。このとき、第1電極23側に密閉となるように容器を取り付けると、容器内の酸素濃度を下げることができる。
【0027】
以上のように本実施例においては、酸素ポンプ素子21と空間を区画する区画手段28と酸素ポンプ素子21を加熱する加熱手段29を囲むように通気機能を有する断熱材33、34を配置した構成とすることにより、空気に存在する酸素分子は通気機能を有する断熱材33、34を介して酸素ポンプ素子21への流入及び大気への流出を可能とすることができるので酸素ポンプとして十分な性能を実現することができる。また、酸素ポンプ素子21と加熱手段29が大気に直接触れないようにしているので加熱手段29による酸素ポンプ素子21への熱効率が向上し、酸素ポンプ素子21の加熱に必要な電力を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、酸素ポンプ素子21全体を均一に加熱することができるので酸素ポンプ素子21のクラックなどによる破損が防止され、酸素ポンプの耐久性、信頼性を向上させることができる。また、酸素ポンプ素子21、区画手段28、加熱手段29が通気機能を有する断熱材33、34に覆われた簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化、コンパクト化を図ることができ、機器への実装を容易にすることができる。
【0028】
また、特に本実施例のように、通気機能を有する断熱材33、34を多数の連通孔を有する多孔質体で構成することにより、空気や酸素分子が十分な通気量を確保することができるとともに、酸素ポンプ素子21へ導入する空気は多孔質体の連通孔を通過しながら徐々に加熱されるので酸素ポンプ素子21の冷却が抑制され、加熱手段29の熱効率をさらに高めることができる。
【0029】
また、通気機能を有する断熱材33、34として微細空隙37を有する無機酸化物であるシリカ粒子36で構成することにより、微少空隙が空気の対流を抑制し断熱材料の熱伝
導を小さくすることができるので優れた断熱性能を実現することができる。また、シリカ粒子36を用いることにより、高い耐熱性を実現することができ、優れた耐久性を確保することができるとともに、微少空隙37の構造の破壊を防止することができ、初期の優れた断熱性能を長期にわたり実現することができる。
【0030】
(実施例2)
図3は、本発明の第2の実施例における酸素ポンプの断面図である。図3において、38は多数の連通孔を有する多孔体からなる通気機能を有する断熱材で、実施例1の構成と異なるところは通気機能を有する断熱材38に貫通孔39を設けた点である。図中、実施例1と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0031】
空気中に含まれる酸素分子は通気機能を有する断熱材38として用いる多孔体に存在する多数の連通孔と貫通孔42を通り酸素ポンプ素子21へ流入し、酸素ポンプ素子21から放出された酸素分子は、上部の通気機能を有する断熱材38として用いる多孔体に存在する多数の連通孔を通り大気中へ流出する。
【0032】
多数の連通孔を有する多孔質体からなる通気機能を有する断熱材38に、貫通孔39を設けることにより、酸素濃度が低下し酸素分子の数が減少しても実施例1の多孔質体からなる通気機能を有する断熱材33よりも酸素ポンプ素子21へ導入できる酸素分子の数を多くすることができる。したがって、低酸素濃度雰囲気下においても酸素ポンプの性能の低下を抑制することができ、目標の酸素濃度に下げる時間を短縮することができる。
【0033】
図4は、本実施例の酸素ポンプと実施例1で述べた酸素ポンプを第1電極23側に密閉となるように容器を取り付け、酸素ポンプを作動させたときの動作特性を示したものであり、図中、点線が実施例1の酸素ポンプ、実線が本実施例の酸素ポンプの特性を示しており、酸素ポンプの動作時間とともに容器内の酸素濃度が低下している。図で明らかなように、本実施例の酸素ポンプの方が同じ酸素濃度に到達する時間が速いことがわかり、これは本実施例の酸素ポンプは低酸素濃度雰囲気下においても通気機能を有する断熱材38に貫通孔39を設けたことにより、酸素ポンプ素子21に導入される酸素分子の数が多いことに起因している。
【0034】
貫通孔39は孔の径が大きい場合や貫通孔の数が多くなると、断熱性能が悪くなり酸素ポンプ素子21の加熱に必要な電力が大きくなる。したがって、搭載する機器に求められる性能に応じて最適な貫通孔の径と数が設定されるものである。
【0035】
(実施例3)
図5は、本発明の第3の実施例における酸素ポンプの断面図である。図5において、40、41は連通孔のない多孔体で構成される断熱材、42、43は連通孔のない多孔体で構成される断熱材40、41に設けた貫通孔であり、実施例1の構成と異なるところは通気機能を有する断熱材として、連通孔のない多孔体で構成される断熱材に連通孔を設け、通気機能を有する断熱材とした点である。図中、実施例1と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0036】
空気中に含まれる酸素分子は貫通孔42を通り酸素ポンプ素子21へ流入し、酸素ポンプ素子21から放出された酸素分子は、上部の貫通孔43を通り大気中へ流出する。
【0037】
本実施例の酸素ポンプも実施例1と同様な効果を得ることができるが、貫通孔42、43は孔の径が大きい場合や貫通孔の数が多くなると、断熱性能が悪くなり酸素ポンプ素子21の加熱に必要な電力が大きくなる。したがって、搭載する機器に求められる性能に応じて最適な貫通孔の径と数が設定されるものである。
【0038】
(実施例4)
図6は、本発明の第4の実施例における酸素ポンプの断面図である。図6において、44は熱線反射手段、45は熱線反射手段44に設けられた孔であり、実施例1の構成と異なるところは加熱手段29が配置された側の通気機能を有する断熱材33の表面に、孔45を設けた熱線反射手段44を配置した点である。図中、実施例1と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
【0039】
空気中に含まれる酸素分子は通気機能を有する断熱材33として用いる多孔体に存在する多数の連通孔と熱線反射手段44に設けた孔45を通り酸素ポンプ素子21へ流入し、酸素ポンプ素子21から放出された酸素分子は、上部の通気機能を有する断熱材34して用いる多孔体に存在する多数の連通孔を通り大気中へ流出する。熱線反射手段44としては、500〜800℃レベルの温度で放射される熱を高反射する材料、及び耐熱性を有する材料が望ましく、ステンレス、鉄−クロム合金、チタン、白金、金などの板材、箔が用いられる。
【0040】
加熱手段29からの放射熱を熱線反射手段44によって酸素ポンプ素子21の方向に反射することができるので酸素ポンプ素子21への熱効率をなお一層向上させることができ、加熱に必要な電力を低減することができる。また、空気中に含まれる酸素分子の酸素ポンプ素子21への流入は熱線反射手段44に設けた孔45によって行うことができるので酸素ポンプとしての優れた性能を確保することができる。
【0041】
加熱手段29が第2電極24側に配置された場合、熱線反射手段44は、通気機能を有する断熱材34と加熱手段29の間に取り付けられる。また、熱線反射また、この熱線反射手段44は、実施例2及び実施例3の酸素ポンプにも適用することができる。
【0042】
なお、本発明の酸素ポンプは、食品保存庫などの低酸素雰囲気を必要とする機器や逆に、大気中よりも高い酸素濃度を必要とする機器に適用される。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、酸素ポンプとして十分な性能を実現するとともに、加熱手段による酸素ポンプ素子への熱効率を向上させることができるので酸素ポンプ素子の加熱に必要な電力を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、酸素ポンプ素子全体を均一に加熱することができるので酸素ポンプ素子のクラックなどの破損が防止され、酸素ポンプの耐久性、信頼性を向上させることができる。また、酸素ポンプを簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化、コンパクト化を図ることができ、機器への実装を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における酸素ポンプの断面図
【図2】 本発明の実施例1における通気機能を有する断熱材の模式図
【図3】 本発明の実施例2における酸素ポンプの断面図
【図4】 本発明の実施例2における酸素ポンプの動作特性図
【図5】 本発明の実施例3における酸素ポンプの断面図
【図6】 本発明の実施例4における酸素ポンプの断面図
【図7】 従来の酸素ポンプの断面図
【図8】 従来の他の酸素ポンプの断面図
【符号の説明】
21 酸素ポンプ素子
22 酸素イオン導電性基板
23 第1電極
24 第2電極
28 区画手段
29 加熱手段
33、34、38 通気機能を有する断熱材
36 シリカ粒子
37 微細空隙
39、42、43 貫通孔
40、41 連通孔のない多孔体
44 熱線反射手段
45 孔
Claims (5)
- 酸素イオン導電性基板の一方の表面に形成された第1電極と他の表面に形成された第2電極を有する酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に形成された第1電極側の空間と第2電極側の空間を区画する区画手段と、前記酸素ポンプ素子を加熱する少なくとも一つの加熱手段と、前記酸素ポンプ素子と前記区画手段と前記加熱手段を囲むように配置された微細空隙を有し、主成分がシリカ(SiO 2 )の無機酸化物粒子からなる通気機能を有する断熱材とで構成される酸素ポンプ。
- 酸素イオン導電性基板の一方の表面に形成された第1電極と他の表面に形成された第2電極を有する酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に形成された第1電極側の空間と第2電極側の空間を区画する区画手段と、前記酸素ポンプ素子を加熱する少なくとも一つの加熱手段と、前記酸素ポンプ素子と前記区画手段と前記加熱手段を囲むように配置された連通孔の無い多孔質体に少なくとも一つの貫通孔を設けた断熱材とで構成される酸素ポンプ。
- 酸素イオン導電性基板の一方の表面に形成された第1電極と他の表面に形成された第2電極を有する酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に形成された第1電極側の空間と第2電極側の空間を区画する区画手段と、前記酸素ポンプ素子を加熱する少なくとも一つの加熱手段と、前記酸素ポンプ素子と前記区画手段と前記加熱手段を囲むように配置された多数の連通孔を有する多孔質体からなり、前記連通孔をよりも大きな少なくとも一つの貫通孔を設けた断熱材とで構成される酸素ポンプ。
- 加熱手段が配置された側の通気機能を有する断熱材と前記加熱手段の間に少なくとも一つの孔を有する熱線反射手段を設けて構成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の酸素ポンプ。
- 断熱材は、微細空隙を有し、主成分がシリカ(SiO 2 )の無機酸化物粒子からなる請求項2乃至4のいずれか1項に記載の酸素ポンプ。
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