JP3985684B2 - 酸素ポンプ素子及び該素子を搭載した酸素ポンプ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素イオン伝導体を用い電極膜が改良された酸素ポンプ素子及び該酸素ポンプ素子を搭載した酸素ポンプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の酸素ポンプ素子及び該素子を搭載した装置としては、図10に示すようなものがある。図10において、1は筐体、2はアルミナなどの多孔質基板3に形成された第1電極4と酸素イオン伝導体の薄膜5と第2電極6とから構成される酸素ポンプ素子であり、第1電極膜4は白金の微粒子を多孔質基板3に、第2電極6は白金の微粒子を酸素イオン伝導体の薄膜5に結合して得られる薄膜を形成した構成としている。7はアルミナ基板などの絶縁性基板8上に導電性ペーストをスクリーン印刷でパターン形成してなるヒータ印刷膜9から構成される加熱手段であり、加熱手段7は、筐体1に内包されておら
ず大気に解放された状態で配置されている。
【0003】
この構成において、加熱手段7によって酸素ポンプ素子2を酸素ポンプとして作動する温度に加熱し、第1電極4をカソード、第2電極5をアノードとして両電極間に直流電圧を印加すると、図中矢印で示すように第1電極4に解離吸着された空気中の酸素は、酸素イオンとして酸素イオン伝導体の薄膜5中を移動し第2電極6に運ばれ、酸素分子となって大気中に放出される。これによって、筐体1に取り付けられた容器内の酸素濃度を減少させることができるというものである(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の酸素ポンプ素子としては図11に示すようなものがある。図11(a)は酸素ポンプ素子の平面図、図11(b)は図11(a)のA−A’線で切断した酸素ポンプ素子の断面図である。図11において、10は酸素イオン伝導体である固体電解質層、11は電極であり、電極11は固体電解質層10の両面にそれぞれ1層が形成された構成の酸素ポンプ素子である。電極11は白金などの粒子を混合したペーストをスクリーン印刷などの方法を用いて塗布し、乾燥、焼成して形成されている(例えば特許文献2参照)。そして、この酸素ポンプ素子は、特許文献1に示した酸素ポンプ装置と同様に作用する。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−23525号公報(2−3頁、図2)
【特許文献2】
特開平11−94792号公報(2−3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1、特許文献2で開示されている白金微粒子の膜やスクリーン印刷による焼成膜で構成される電極は、膜の厚さが数十μm以下と薄く、かつ酸素との電極反応を活性化するために多孔質構造となっており、電気抵抗が高くなっている。このような電極では、例えば、電極の外周部から直流電圧を印加した場合、電極の中央部は電気抵抗によって電圧が降下するため、酸素との電極反応が低下し、酸素イオンの輸送量が少なくなるという問題があった。特に、酸素ポンプ素子が大きい場合は、電極面積が大きくなるので電圧降下が著しく大きくなり、電極面全体を有効に機能させることができなくなる。
【0007】
また、特許文献1の酸素ポンプ装置の構成では、酸素ポンプ素子2と加熱手段7が大気に解放された状態にあるので、加熱手段7からの熱エネルギーは酸素ポンプ素子2だけでなく大気中の空気の加熱にも使われ、その結果、熱効率が悪くなり、酸素ポンプ素子2を作動させる温度に昇温させるのに必要な加熱手段7の消費電力が高くなるとともに、前述した電極面の電圧降下の問題と合わせて酸素ポンプ素子2の酸素イオンの輸送効率が悪いという課題を有していた。また、実施例では加熱手段7は酸素ポンプ素子2の上部に配置されているので酸素ポンプ素子2の加熱は輻射熱がほとんどとなり、加熱された空気の対流熱を利用できないという課題を有している。
【0008】
また、特許文献2の酸素ポンプ装置に用いられている電極膜11の結合材は酸素のイオン伝導性を向上させるため、酸素分子の透過性のよいビスマス酸化物を主成分とするものが用いられているが、この結合材は固体電解質層10との密着性が弱く、酸素ポンプ装置の作動と停止の繰り返しにより電極膜11が剥離し易くなり、酸素ポンプ装置としての耐久性に課題があった。特に500℃以上の高温、数アンペアの大電流が流れる環境下では耐久性が著しく低下する。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電極膜の電気抵抗を小さくし電極面全体を有効に機能させ、電極膜の密着性を向上させた酸素ポンプ素子を提供するとともに、加熱手段からの熱を効率よく酸素ポンプ素子に伝達し、且つ加熱に必要な電力を低減する酸素ポンプ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素ポンプ素子は、酸素イオン伝導性基板の両面に酸素の解離吸着作用を有する金属酸化物からなる第1電極膜を設け、さらに第1電極膜の表面に金属粒子とガラス系結合材を含む焼成膜よりなる第2電極膜を設けたものである。
【0011】
本発明によれば、第1電極膜の表面に金属粒子とガラス系結合材からなる第2電極膜を設け、第2電極膜から第1電極膜へ電圧を供給することにより、第1電極膜における電圧降下を抑制することができるので酸素との電極反応(酸素の解離吸着とイオン化)を第1電極膜の面全体で起こさせることができ、酸素子ポンプ素子の酸素イオン伝導性を向上させることができる。また、第2電極膜と第1電極膜の密着性を強固にすることができるので第2電極膜の剥離を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、酸素イオン伝導性基板の両面に酸素の解離吸着作用を有する金属酸化物からなる第1電極膜を設け、さらに第1電極膜の表面に主成分が金属粒子とガラス系結合材の焼成膜よりなる第2電極膜を設けることにより、第1電極膜の面方向での電圧降下を抑制することができるので第1電極膜の面全体の酸素との電極反応を高めることができ、酸素ポンプとしての酸素イオン伝導性を向上させることができるとともに、第1電極膜における電圧降下を抑制できることにより、電極の自己発熱による温度分布を少なくすることができるので酸素ポンプ素子のクラックなどの破損が抑制され、優れた耐久性を実現することができる。また、第2電極膜に含まれるガラス系結合材によって第1電極膜と第2電極膜の密着性を強固なものにすることができるので第2電極膜の剥離を防止することができ、酸素ポンプ素子の耐久性を一層向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、第2電極膜を第1電極膜の全面を覆わない構成とすることにより、第1電極膜の酸素分子が解離吸着する面積を拡大することができるので酸素ポンプ素子のイオン伝導性を向上させることができる。
請求項3から請求項6に記載の発明は、第2電極膜の構造を編目構造や渦巻き構造にしたり、また蛇行構造や環状構造にして、第2電極膜を第1電極膜の全面を覆わない構成としたことにより、第1電極膜の電極面全体に均一に電圧を印加することができるので酸素ポンプの性能をより一層向上させることができる。
【0014】
求項に記載の発明は、酸素イオン伝導性基板の両面に酸素の解離吸着作用を有する金属酸化物からなる第1電極膜を設け、さらに第1電極膜の表面に主成分が金属粒子とガラス系結合材の焼成膜よりなる第2電極膜を設けた酸素ポンプ素子と、酸素イオン伝導性基板の両面の電極(第1電極膜と第2電極膜)を区画する区画手段と、酸素ポンプ素子を加熱する少なくとも一つの加熱手段と、酸素ポンプ素子と区画手段と加熱手段を囲むように配置された通気機能を有する断熱材とで構成することにより、酸素ポンプ素子と加熱手段が大気に直接触れることがないので加熱手段による酸素ポンプ素子への熱効率が向上し、酸素ポンプ素子の加熱に必要な電力を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、酸素ポンプ素子全体を均一に加熱することができるので、酸素ポンプ素子の破損防止効果が一層向上し、前述の第1電極膜での電圧降下の抑制効果と合わせて酸素ポンプ素子の優れた性能を長期にわたり維持することができる。さらにまた、酸素ポンプ素子、区画手段、加熱手段が通気機能を有する断熱材に覆われた簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化が可能となり、機器への実装を容易にすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図1〜9を参照しながら説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における酸素ポンプ素子の構成図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は同図(a)のB−B’の断面図である。図1において、21は酸素イオン伝導性基板であり、イットリウムをドープしたジルコニア(YSZ)系、サマリウムをドープしたセリア系(SDC)、ランタンガレート系のセラミックが適用される。22は酸素イオン伝導性基板21の両面に形成した第1電極膜であり、酸素の解離吸着作用を有する金属酸化物の少なくとも1種から構成され、スクリーン印刷、スパッタ蒸着などの方法で形成される。23は第1電極膜22の表面に複数の環状構造に形成した第2電極膜であり、第2電極膜23は主成分が白金、金、銀、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種の金属粒子とガラス系結合材からなる焼成膜が用いられ、スクリーン印刷法によって形成される。第2電極膜23には、酸素ポンプ駆動電源(図示せず)からの電圧を酸素ポンプ素子に印加するためのリード部材24が接続され、リード部材24は環状構造の第2電極膜23のそれぞれに電気的、機械的に接続した構成としている。
【0016】
以上のように構成された酸素ポンプ素子について、以下その動作、作用を説明する。
【0017】
酸素ポンプ素子を加熱手段によって酸素ポンプとして作動する温度に加熱する。次に酸素ポンプ駆動電源からリード部材24を介して第2電極膜23の一方をカソード、他方をアノードとして電圧が印加され、印加された電圧は第2電極膜23から第1電極膜22のそれぞれに供給される。酸素イオン伝導性基板21が500〜800℃に昇温すると、カソード側の空間に存在する酸素分子が第1電極膜22で電極反応によって解離吸着し、酸素イオンとして酸素イオン伝導性基板21に取り込まれ、この中を酸素イオンとして移動し、アノード側の第1電極膜22に到達する。第1電極膜22に到達した酸素イオンは酸素分子となり外部空間に放出される。
【0018】
スクリーン印刷やスパッタ蒸着などの方法で形成される第1電極膜22は、膜の厚さが数十μm以下と薄く、かつ酸素との電極反応を活性化するために多孔質構造となっているため面方向の電気抵抗が高い。そのため第1電極膜22の外周部から直流電圧を印加した場合、第1電極膜22の中央部は電圧降下により外周部に比べて酸素分子の電極反応性が低く、その結果酸素イオン伝導性が低くなり、電極面全体が有効に機能しないという問題がある。本発明では第1電極膜22の表面に環状構造の電気伝導性の高い金属粒子を含む第2電極膜23を設け、第2電極23に電圧を印加することにより、第1電極膜22の面全体に比較的均一な電圧を供給することができるので第1電極膜22の面方向の電圧降下を抑制することができる。したがって、酸素分子の電極反応が第1の電極膜22の電極面全体で起こるため、酸素ポンプ素子の酸素イオン伝導性を高くすることができ、酸素ポンプとしての性能を向上させることができる。また、第1電極膜22の面方向の電圧降下を抑制できることにより、第1電極膜22自身の自己発熱による温度分布を少なくすることができるので酸素ポンプ素子のクラックなどの破損が抑制され、優れた耐久性を実現することができる。
【0019】
次に、本発明の具体的作用と効果について図2、図3を用いて説明する。
【0020】
酸素イオン伝導性基板21として、直径21mm、厚さ0.2mmのランタンガレート系金属酸化物La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3からなるセラミック板を用い、この酸素イオン伝導性基板21の両面に導電性を有するペロブスカイト型複合酸化物Sm0.5Sr0.5CoO3、有機溶剤、セルロース系ビヒクルを混合したペーストをスクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥、焼成することにより直径16mmで膜厚10〜20μmの第1電極膜22を形成した。次に第1電極膜22の表面に金、有機溶剤、ガラスを主成分とする結合材、セルロース系ビヒクルを混合したペーストをスクリーン印刷で0.5mm幅の3つの環状構造の印刷膜を形成し、乾燥、焼成することにより膜厚10〜20μmの第2電極膜23を形成した。3つの環状構造の第2電極膜23の直径は第1電極膜22の面に対して印加する電圧が均等になるようにした。また、リード部材24は環状構造の第2電極膜23のそれぞれに電気的、機械的に接続している。
【0021】
このように作製した酸素ポンプ素子についてV−I特性を評価した。
【0022】
図2は本発明の酸素ポンプ素子のV−I特性を測定する回路構成図である。図2で示すように電源からの直流電圧はリード部材24を介して3つの環状構造の第2電極膜23に印加され、この第2電極膜23から第1電極膜22に供給する構成とした。
【0023】
以上のように構成した酸素ポンプ素子について、図2に示す回路で直流電圧を印加し、V−I特性を評価した。図3は、本発明の実施例である酸素ポンプ素子のV−I特性の示すグラフであり、比較のため従来の第1電極膜22のみの構成である酸素ポンプ素子のV−I特性も示している。図3で明らかなように、本発明の酸素ポンプ素子は電圧に対して酸素イオンによるイオン電流が従来の酸素ポンプ素子よりも大きくなっている。この原因は第2電極膜23から第1電極膜22に電圧を供給することにより、第1電極膜22の面方向の電圧降下が抑制され、電極面全体で酸素分子の電極反応が起こり、イオン伝導性能が向上したことにある。このように、第1電極膜22の表面に第2電極膜23を形成することにより、酸素ポンプ素子のイオン電流を多くすることができ、酸素ポンプ素子の性能を向上させることができる。
【0024】
また、第2電極膜23は第1電極膜22の全面を覆わない構成、すなわち本実施例では第2電極膜23を環状構造とすることにより、第1電極膜22の酸素分子が解離吸着する面積を拡大することができるので酸素ポンプ素子のイオン伝導性を向上させることができる。
【0025】
また、酸素イオン伝導性基板21として、特にランタンガレート系金属酸化物用いることにより、酸素イオン伝導性を向上させることができるので低い温度で酸素ポンプ素子を作動させることができる。
【0026】
また、第2電極膜23の金属粒子として白金、金、銀、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種を用いることにより、耐熱性が高く、電気抵抗の低い電極膜とすることができるので第2電極23に印加された電圧を第1電極膜22へ効率よく供給することができ、優れた酸素ポンプ素子の性能と耐久性を実現することができる。
【0027】
また、第1電極膜22として用いるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物は酸素分子との電極反応性が高く、かつそれ自体が導電性を有するので優れた酸イオン伝導性を実現することができる。特に、ペロブスカイト型複合酸化物の中でもAサイトにランタン、サマリウムの少なくとも1種と、Bサイトにコバルト、鉄、マンガンの少なくとも1種で構成されるもの、また、Aサイトの一部をストロンチウムで置換したものが優れた導電性と高い酸素分子の電極反応性を有している。
【0028】
一方、酸素ポンプ素子は500℃以上の温度で作動するため、作動と停止において酸素ポンプ素子の第1電極膜22と第2電極膜23は大きな熱応力が発生する。この作動と停止が繰り返されると従来のように電極膜の結合材として酸化ビスマスを用いたものは密着性が弱いため、電極膜が剥離するという問題がある。本実施例の第2電極膜23は主成分がガラスからなる結合材を用いているので第1電極膜22と第2電極膜23の密着性を強固なものにすることができる。したがって、第2電極膜23の剥離を防止することができ、酸素ポンプ素子の耐久性を一層向上させることができる。本実施例の酸素ポンプ素子と第2電極膜23の結合材として酸化ビスマス系の結合材を用いた酸素ポンプ素子について、30分作動、30分停止の繰り返し試験を実施し、第2電極膜23の剥離する回数を比較したところ、本実施例の酸素ポンプ素子は5倍以上の耐久性を示した。ガラスの結合材は酸素分子の透過が悪くイオン伝導性が低下するため、通常はこの種の電極材料として用いられない。しかしながら、本実施例では第2電極膜23は第1電極膜22の全面を覆わない構成としているため、第2電極膜23を酸素分子が透過する特性は必要ない。
【0029】
なお、環状構造の第2電極膜25の数は限定されるものでなく、酸素ポンプ素子の大きさや必要とする性能に応じて適宜選択されるものである。
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2における酸素ポンプ素子の平面図である。図4において、25は第2電極膜であり、実施例1の構成と異なる点は、3つ環状構造の第1電極膜23をリード部材24の代わりに第2電極膜23と同じ材料でスクリーン印刷により電気的に接続した構成とした点であり、図中、実施例1と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。第2電極膜25は酸素イオン伝導性基板21の両面に形成された第1電極膜22の表面に設け、リード部材24を第2電極膜25の一部に電気的、機械的に接続している。実施例2における酸素ポンプ素子の動作原理は実施例1と同様であり、説明を省略する。
【0030】
以上のように構成された酸素ポンプ素子は3つの第2電極膜25の電気的接続を同じ材料で構成しているのでリード部材24による接続箇所を少なくすることができ、接続不良の発生を少なくすることができるとともに、電気的接続を電極膜と同時にスクリーン印刷で容易に形成できるので酸素ポンプ素子の生産性を向上させることができる。
(実施例3)
図5は、本発明の実施例3における酸素ポンプ素子の平面図である。図5において、26は酸素イオン伝導性基板、27は第1電極膜、28は第2電極膜である。実施例1の構成と異なる点は、酸素イオン伝導性基板26、第1電極膜27が四角の形状を有する点、および第2電極膜28が四角の環状構造を有する点である。図中、実施例1と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。第2電極膜28は第1電極膜27の両面に設けられ、本実施例では四角形の環状構造の第2電極膜28を3つ形成し、リード部材24は第2電極膜28のそれぞれに電気的、機械的に接続した構成としている。
【0031】
実施例3における酸素ポンプ素子の動作原理、作用は実施例1と同様であり、説明を省略する。以上のように構成された酸素ポンプ素子は、実施例1と同様な効果を有する。
(実施例4)
図6は、本発明の実施例4における酸素ポンプ素子の平面図である。図8において、29は第2電極膜である。実施例3の構成と異なる点は、第2電極膜29が網目構造を有する点である。図中、実施例3と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。網目構造の第2電極膜29は第1電極膜27の両面に設けられ、リード部材24は第2電極膜29に電気的、機械的に接続した構成としている。
【0032】
実施例4における酸素ポンプ素子の動作原理、作用は実施例1と同様であり、説明を省略する。以上のように構成された酸素ポンプ素子は、実施例1と同様な効果を有する。
(実施例5)
図7は、本発明の実施例5における酸素ポンプ素子の平面図である。図7において、30は第2電極膜である。実施例3の構成と異なる点は、第2電極膜30が渦巻き構造を有する点である。図中、実施例3と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。渦巻き構造の第2電極膜30は第1電極膜27の両面に設けられ、リード部材24は第2電極膜30に電気的に接続した構成としている。
【0033】
実施例5における酸素ポンプ素子の動作原理、作用は実施例1と同様であり、説明を省略する。以上のように構成された酸素ポンプ素子は、実施例1と同様な効果を有する。
(実施例6)
図8は、本発明の実施例6における酸素ポンプ素子の平面図である。図8において、31は第2電極膜である。実施例3の構成と異なる点は、第2電極膜31が蛇行構造を有する点である。図中、実施例3と同一構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。蛇行構造の第2電極膜31は第1電極膜27の両面に設けられ、リード部材24は第2電極膜312に電気的、機械的に接続した構成としている。
【0034】
実施例6における酸素ポンプ素子の動作原理、作用は実施例1と同様であり、説明を省略する。以上のように構成された酸素ポンプ素子は、実施例1と同様な効果を有する。
(実施例7)
図9は、本発明の実施例7における酸素ポンプ装置の断面図である。図91において、33は酸素ポンプ素子であり、酸素ポンプ素子31は実施例1から6で述べた構成のものを用いることができるが、図9では実施例1の酸素ポンプ素子の符号を付し、説明は省略する。
【0035】
図9において、34は酸素イオン伝導性基板21の両面に形成している電極膜(第1電極膜22と第2電極膜23)を区画する区画手段であり、電極膜に対向する開口部を有しており、酸素イオン伝導性基板21とガラスなどの接着材料によって接着されている。区画手段34としては、ニッケル、鉄−クロム合金、チタン、金、白金などの金属板もしくは箔、アルミナ、ムライトなどのセラミック板が用いられるが、酸素イオン伝導性基板21との熱膨脹差が少なく、熱歪みが小さいことが要求されることから、ニッケル、鉄−クロム合金の金属箔が適用される。35は酸素ポンプ素子33の下部に設けられた加熱手段であり、加熱手段35に電力を印加する加熱用電源36にリード線37を介して接続されている。加熱手段35としては、鉄−クロム合金、ニッケル−クロム合金などの電熱線や箔が用いられる。
【0036】
38は通気機能を有する断熱材であり、多数の連通孔を有する多孔体で構成され、酸素ポンプ素子33、区画手段34、加熱手段35の周囲を覆うように配置されており、大気からの空気と大気への酸素の流出が可能となるように開口部を設けた筐体39に収納されている。この通気機能を有する断熱材38としては主成分が無機酸化物のシリカ粒子の集合体が用いられる。
【0037】
以上のように構成された酸素ポンプ装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0038】
まず、加熱用電源36によって電力が加熱手段35に印加されると、加熱手段35は昇温し、酸素ポンプ素子33を加熱する。次に酸素ポンプ素子33に酸素ポンプ駆動電源40からリード部材24を介してそれぞれの第2電極膜23に所定の電圧が印加され、第2電極膜23に電気的に接合されている第1電極膜22に供給される。本実施例の場合、下方の第2電極膜23と第1電極膜22がカソード、上方の第2電極膜23と第1電極膜22をアノードとしている。この状態で加熱手段35によって酸素ポンプ素子33が500〜800℃に昇温すると、カソード側の空間に存在する酸素分子が第1電極膜22で解離吸着し、酸素イオンとして酸素イオン伝導性基板21に取り込まれてアノード側の第1電極膜22に到達する。第1電極膜22に到達した酸素イオンは酸素分子となり、外部空間に放出される。カソード側とアノード側の空間は区画手段34で分離されているので常にカソード側の空間に存在する酸素分子をアノード側の空間に移動することができる。カソード側の空間の酸素分子がアノード側の空間に移動すると、カソード側の酸素濃度が減少するが大気中の酸素分子を含む空気が通気機能を有するカソード側の断熱材38の連通孔を拡散し、カソード側の空間に流入する。一方、アノード側の空間からは第1電極膜22から放出された酸素分子がアノード側の通気機能を有する断熱材38を拡散し、大気中に流出する。酸素ポンプ素子33が動作している間、図中矢印で示すように酸素分子が移動し続けることになり、カソード側に密閉となるように容器を取り付けると、容器内の酸素濃度を下げることができる。
【0039】
以上のように本実施例においては、酸素ポンプ素子33と空間を区画する区画手段34と酸素ポンプ素子33を加熱する加熱手段35とを囲むように通気機能を有する断熱材38を配置した構成とすることにより、酸素ポンプ素子33と加熱手段35が大気に直接触れることがないので酸素ポンプ素子33への熱効率が向上し、酸素ポンプ素子33の加熱に必要な電力を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、酸素ポンプ素子33全体を均一に加熱することができるとともに、第2電極膜23が第1電極膜22により電圧降下が抑制されることにより、第1電極膜22の自己発熱による温度分布が小さくすることができるので酸素ポンプ素子33のクラックなどによる破損が防止され、酸素ポンプ装置の耐久性、信頼性を向上させることができる。また、酸素ポンプ素子33、区画手段34、加熱手段35が通気機能を有する断熱材38に覆われた簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化を図ることができ、機器への実装を容易にすることができる。
【0040】
また、特に本実施例のように通気機能を有する断熱材38を多数の連通孔を有する多孔質体で構成することにより、酸素ポンプ素子33へ導入される空気は多孔質体の連通孔を通過しながら徐々に加熱されるので酸素ポンプ素子33の冷却が抑制され、加熱手段35の熱効率をさらに高めることができる。
【0041】
なお、本発明の酸素ポンプ装置は、食品保存庫などの低酸素雰囲気を必要とする機器や、逆に大気中よりも高い酸素濃度を必要とする機器に適用される。
【0042】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように、本発明の酸素ポンプ素子及び該素子を搭載した酸素ポンプ装置によれば次の効果を奏する。
【0043】
酸素ポンプ素子の第1電極膜の電極面全体で酸素の電極反応を起こさせることができるので酸素ポンプ素子の酸素イオン伝導性を向上させることができ、酸素ポンプとしての性能を向上させることができるとともに、第1電極膜の電圧降下を抑制できることにより、電極面全体の自己発熱による温度分布を小さくすることが可能となり、酸素ポンプ素子のクラックなどの破損が抑制され、優れた耐久性を実現することができる。また、第2電極膜に含まれるガラス系結合材によって第1電極膜と第2電極膜の密着性を強固なものにすることができるので第2電極膜の剥離を防止することができ、酸素ポンプ素子の耐久性を一層向上させることができる。
【0044】
また、酸素ポンプ装置としては、加熱手段による酸素ポンプ素子への熱効率を向上させることができるので酸素ポンプ素子の加熱に必要な電力を小さくすることができ、省エネルギー化を図ることができとともに、酸素ポンプ素子全体を均一に加熱することができることにより酸素ポンプ素子のクラックなどの破損が防止され、酸素ポンプ装置の耐久信頼性を向上させることができる。また、酸素ポンプ装置を簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化を図ることができ、機器への実装をさらに容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の実施例1における酸素ポンプ素子の平面図、
(b)同酸素ポンプ素子の断面図
【図2】 同酸素ポンプ素子の電圧V−電流I特性を測定する回路構成図
【図3】 同酸素ポンプ素子の電圧Vと電流Iとの関係を示す特性図
【図4】 本発明の実施例2における酸素ポンプ素子の平面図
【図5】 本発明の実施例3における酸素ポンプ素子の平面図
【図6】 本発明の実施例4における酸素ポンプ素子の平面図
【図7】 本発明の実施例5における酸素ポンプ素子の平面図
【図8】 本発明の実施例6における酸素ポンプ素子の平面図
【図9】 本発明の実施例7における酸素ポンプ装置の構成を示す断面図
【図10】 従来の酸素ポンプ装置の構成を示す断面図
【図11】 (a)従来の酸素ポンプ素子の平面図
(b)従来の酸素ポンプ素子の断面図
【符号の説明】
21、26 酸素イオン伝導性基板
22、27 第1電極膜
23、25、28、29、30、31 第2電極膜
33 酸素ポンプ素子
34 区画手段
35 加熱手段
38 通気機能を有する断熱材

Claims (7)

  1. 酸素イオン伝導性基板と、前記酸素イオン伝導性基板の両面に形成され、酸素の解離吸着作用を有する金属酸化物からなる第1電極膜と、前記第1電極膜の表面に形成され、金属粒子とガラス系結合材を含む焼成膜よりなる第2電極膜とを備えた酸素ポンプ素子。
  2. 第2電極膜は、第1電極膜の全面を覆わないように構成された請求項1記載の酸素ポンプ素子。
  3. 第2電極膜は、網目構造を有する請求項2記載の酸素ポンプ素子。
  4. 第2電極膜は、渦巻き構造を有する請求項2記載の酸素ポンプ素子。
  5. 第2電極膜は、蛇行構造を有する請求項2記載の酸素ポンプ素子。
  6. 第2電極膜は、少なくとも1つの環状構造を有する請求項2記載の酸素ポンプ素子。
  7. 第1電極膜と第2電極膜とを区画する区画手段と、酸素ポンプ素子を加熱する加熱手段と、前記酸素ポンプ素子、前記区画手段及び前記加熱手段を囲むように配置され通気機能を有する断熱材とを備えた請求項1〜のいずれか1項記載の酸素ポンプ装置。
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