JP2007270169A - 酸素ポンプ素子およびそれを用いた酸素供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素ポンプ素子を高電圧小電流化して汎用的な電源で動作させることを目的とする。
【解決手段】金属箔部材に形成したは複数の開口部に酸素イオン伝導性の固体電解質1が絶縁的にガスシールされながら複数配置され、この固体電解質1の両面には電極膜7,8が形成され、一方の電極膜7に隣接した第1リード膜4と、他方の電極膜8のもう一方と電気的に接続され、かつ第1リード膜4と同じ側に形成された第2リード膜5とを有し、前記第1,2リード膜4,5とを電気的に結線することで複数の固体電解質1が直列回路となるように接続され、前記第1,22リード膜4,5は貴金属成分を主体とし、ガラスセラミック成分を3〜10wt%含有する。
【選択図】図4
【解決手段】金属箔部材に形成したは複数の開口部に酸素イオン伝導性の固体電解質1が絶縁的にガスシールされながら複数配置され、この固体電解質1の両面には電極膜7,8が形成され、一方の電極膜7に隣接した第1リード膜4と、他方の電極膜8のもう一方と電気的に接続され、かつ第1リード膜4と同じ側に形成された第2リード膜5とを有し、前記第1,2リード膜4,5とを電気的に結線することで複数の固体電解質1が直列回路となるように接続され、前記第1,22リード膜4,5は貴金属成分を主体とし、ガラスセラミック成分を3〜10wt%含有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、酸素イオン伝導性の固体電解質を用いた酸素ポンプ素子およびそれを用いた酸素供給装置に関するものである。
従来、この種の酸素ポンプは複数枚の酸素イオン伝導性基板を同時に使用する場合、同じ面側の電極膜をリード線等で電気的に接続し、電源電圧を並列に印加するものであった(例えば、特許文献1参照)。
具体的には図9,図10に示すように、25枚の酸素イオン導電性の固体電解質101が支持部材102に固定されている。そして、それぞれの固体電解質101における電極膜103の周縁部からリード線104が引き出されて集結され、配線に同電位の状態で接続されている。配線からはリード線105が引き出され、電源の一方の極に接続されている。また裏面からは同様にして引き出されたリード1066線が、電源のもう一方の極に接続されている。
国際公開第96/28589号パンフレット
しかしながら、前記従来の構成では、複数個の酸素イオン伝導性基板が並列に接続されているため、集結したリード線には大きな電流が流れることになる。したがって、十分に太いリード線や電気抵抗の小さな特別なリード線を使う必要があるという課題を有していた。
また、接続部やスイッチ部などの抵抗値が小さい部分でも発熱することがあった。さらに、例えば家庭での実使用を考慮した場合、数十ボルトの電圧よりも数十アンペアの電流の方が、電源回路の構成が複雑になり、高コストという課題もあった。
本発明は、前記従来の課題を解決するのもので、小電流型の酸素ポンプを提供するとともに、固体電解質を介して両側に存する空間部を十分にガスシールし、酸素ポンプ素子の急激な熱衝撃に対してもクラックあるいは剥離を生じることのない酸素ポンプ素子を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素ポンプ素子は、金属箔部材は複数の開口部を備え、前記開口部に酸素イオン伝導性の固体電解質が前記金属箔部材と絶縁構造でガスシールされながら複数配置され、前記固体電解質の両面には電極膜が形成され、前記電極膜の一方に隣接した第1リード膜と、前記電極膜のもう一方と電気的に接続され、かつ第1リード膜と同じ側に形成された第2リード膜とを有し、前記第1リード膜と前記第2リード膜とを電気的に結線することで複数の固体電解質が直列回路となるように構成され、前記第1リード膜と前記第2リード膜は貴金属成分を主体とし、ガラスセラミック成分を3〜10wt%含有したものである。
これによって、金属箔部材に複数の固体電解質を電気的に直列回路となるように構成することで、固体電解質に印加される電圧を積み上げることができ、酸素ポンプ素子を高電圧小電流化して動作させることが可能となる。複数の固体電解質を同一方向から、自動化で結線することも可能なため製造プロセスを簡素化できる。また固体電解質は金属箔部材
上に配置されているので、熱衝撃、熱歪に対しても十分な柔軟性を有している。
上に配置されているので、熱衝撃、熱歪に対しても十分な柔軟性を有している。
本発明の酸素ポンプ素子は、固体電解質に印加される電圧を積み上げることができ、高電圧小電流化して汎用的な電源で動作させることが可能となる。
第1の発明は、酸素ポンプ素子に対して、金属箔部材は複数の開口部を備え、前記開口部に酸素イオン伝導性の固体電解質が前記金属箔部材と絶縁構造でガスシールされながら複数配置され、前記固体電解質の両面には電極膜が形成され、前記電極膜の一方に隣接した第1リード膜と、前記電極膜のもう一方と電気的に接続され、かつ第1リード膜と同じ側に形成された第2リード膜とを有し、前記第1リード膜と前記第2リード膜とを電気的に結線することで複数の固体電解質が直列回路となるように構成され、前記第1リード膜と前記第2リード膜は貴金属成分を主体とし、ガラスセラミック成分を3〜10wt%含有することにより、固体電解質に印加される電圧を積み上げることができ、酸素ポンプ素子を高電圧小電流化して汎用的な電源で動作させることが可能となる。複数の固体電解質を同一方向から自動化で結線することも可能なため製造プロセスを簡素化できる。また固体電解質は金属箔部材上に配置されているので、熱衝撃、熱歪に対しても十分な柔軟性を有している。
第2の発明は、特に、第1の発明の酸素ポンプ素子に対して、一枚の固体電解質は第1リード膜と第2リード膜にワイヤーボンディング方法で複数本を略均等に分散させて結線することにより、流れる電流が固体電解質上の一箇所に集中することなく、分散できるため、固体電解質のクラックに対するリスクを軽減させることができるとともに固体電解質に対する負荷が緩和され、酸素ポンプ素子としての耐久性が大幅に向上する。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の固体電解質に対して、開口部周囲にはガラスセラミック膜が配設され、固体電解質は前記ガラスセラミック膜を介して接合固定される構成となることにより、固体電解質表面上の電極膜は金属箔部材と十分な絶縁性を維持することができ、複数の固体電解質を確実に直列回路として、印加した電圧を積み上げることが可能となる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の固体電解質に対して、開口部周囲にはガラスセラミック膜が配設され、固体電解質は前記ガラスセラミック膜を介して接合固定される構成となることにより、固体電解質表面上の電極膜は金属箔部材と十分な絶縁性を維持することができ、複数の固体電解質を確実に直列回路として、印加した電圧を積み上げることが可能となる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか一つの発明の電極膜に対して、固体電解質に直接接合する第一電極膜と、前記第一電極膜上に形成された第二電極膜とで構成され、前記固体電解質上に複合金属酸化物成分を主体とする膜を前記第一電極膜とし、貴金属成分を主体とする膜を前記第二電極膜として前記第一電極膜上に配設した構成とすることにより、第二電極膜は導電性の高い材料で構成されるので、ある程度の面積を有する電極部に対して等しい電位を印加することができる。また第一電極膜は固体電解質と第二電極膜の中間層として酸素を解離吸着する電極反応を高めることができるので酸素分子から酸素イオンへと変化するための良好な触媒作用を得ることができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか一つの発明のガラスセラミック成分に対して、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系またはSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスとすることにより、高い耐熱性を有しながら、固体電解質基板と強固に接着層を形成できるので、十分なボンディング用のリード膜を形成させることができるとともに、熱膨張係数も整合化しているので大きな熱歪を生じることもない。
第6の発明は、特に、第3〜第5のいずれか一つの発明のガラスセラミック膜に対して
、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系またはSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスとすることにより、高い耐熱性を有しながら、固体電解質基板と熱膨張係数を整合化させることができるので熱歪を生じることなく、固体電解質基板と金属箔部材との間に必要な絶縁性を保持させることができる。
、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系またはSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスとすることにより、高い耐熱性を有しながら、固体電解質基板と熱膨張係数を整合化させることができるので熱歪を生じることなく、固体電解質基板と金属箔部材との間に必要な絶縁性を保持させることができる。
第7の発明は、特に、第3〜第6のいずれか一つの発明のガラスセラミック膜に対して、格子構造で連結されていることにより、薄い金属箔部材に対してガラスセラミック膜を格子構造で連結することによって、金属箔部材の変形等に対して十分な機械的強度を保持させることができる。したがって、耐久性に対しても金属箔部材から固体電解質が剥離することを抑制できる。
第8の発明は、特に、第3〜第7のいずれか一つの発明のガラスセラミック成分とガラスセラミック膜に対して組成を同一とすることにより、固体電解質に基板のソリが生じることを抑制できる。また構成によっては製造プロセスの簡素化も可能となる。
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか一つの発明の金属箔部材に対して、一枚の金属箔部材で複数の固体電解質が接する空間部を区画する区画手段として構成されることにより、複数の固体電解質を介して両側に位置する空間部は一枚の金属箔部材によって区分されるので十分なガスシール性を保持させることができる。
第10の発明は、特に、第1〜第9の固体電解質に対して、ランタンガレートを使用することにより、ランタンガレートはランタンとガリウムを主成分としたペロブスカイト型複合金属酸化物であり、400℃以上で酸素イオン伝導性を有す。したがって酸素ポンプ素子の動作温度を600℃程度の比較的低温に保持することで十分な能力を得ることができるため、長期的にも酸素ポンプ素子の劣化を抑制できる。
第11の発明は、特に、第4〜第10のいずれか一つの発明の第一電極膜の複合金属酸化物として、ペロブスカイト型構造を使用することにより、固体電解質と第二電極膜の中間層として酸素を解離吸着する電極反応を高めることができるので酸素ポンプ素子としての酸素イオン伝導性を向上させることができる。
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか一つの発明の金属箔部材として、アルミニウムを含有したフェライト系ステンレスを使用することにより、高温酸化に対して優れた特性を有するようになり、800℃付近で長期使用に対して安定した特性を維持できる。
第13の発明は、特に、第1〜第12のいずれか一つの発明の酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段を制御する電圧制御手段と、前記酸素ポンプ素子を加熱する加熱手段と、前記酸素ポンプ素子の固体電解質温度を検知して前記加熱手段を制御する温度制御手段と、前記加熱手段および前記酸素ポンプ素子の熱拡散を防止する通気性の断熱手段と、前記酸素ポンプ素子を介して発生した酸素を空気と混合して所定酸素濃度の混合ガスにする混合手段とを備えた酸素供給装置としたものである。
これにより、固体電解質に印加される電圧を積み上げることができ、酸素ポンプ素子を高電圧小電流化して汎用的な電源で動作させることが可能となる。複数の固体電解質を同一方向から自動化で結線することも可能なため製造プロセスが簡素化できる。
また、固体電解質は金属箔部材上に配置されているので、熱衝撃、熱歪に対しても十分な柔軟性を有している。また固体電解質を介して両側に位置する空間部は一枚の金属箔部材によって区分されるので十分なガスシール性を保持させることができる。
さらに、酸素ポンプ素子、区画手段、加熱手段が断熱材に覆われた簡素な構造とすることができるので酸素ポンプの小型化が可能となり、機器への実装を容易にすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図4において、固体電解質1は置換型のランタンガレート(La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3)の焼結体を任意の厚さの平板状に成型したものであり、表面上には第一電極膜としての正電極膜2と負電極膜3が酸素イオン伝導性を発現するように形成されている。
図1〜図4において、固体電解質1は置換型のランタンガレート(La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2O3)の焼結体を任意の厚さの平板状に成型したものであり、表面上には第一電極膜としての正電極膜2と負電極膜3が酸素イオン伝導性を発現するように形成されている。
ここでは固体電解質1として寸法15×15.5mm、厚み100μmを想定して説明する。
正電極膜2と負電極膜3には、導電性を有するペロブスカイト型複合酸化物を用いた。具体的には、Sm0.5Sr0.5CoO3を有機溶剤であるセルロース系ビヒクルと混合したペーストを、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜、寸法12×12mmを形成し、乾燥後、1100℃×10minにて焼成することにより膜厚約15μmの多孔性を有した電極膜を形成した。
次に正極側にリード膜を形成する。正電極膜2と隣接した位置のリード膜4および正電極膜2と離れた位置のリード膜5として寸法10×0.5mmの棒状をしたリード膜を2本配置する。具体的には、AuにSiO2―Al2O3―CaO−BaO系のガラスセラミック粒子が6wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2−B2O3−MgO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。
その後負極側に負電極膜3から正極側のリード膜への導通部を形成する導電膜6を形成する。導電膜6として負電極膜3から固体電解質1の外周部向かう幅1mmの3本線、線間隔は4mmを配置する。具体的にはリード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。
さらに、正電極膜2と負電極膜3の表面上には、第二電極膜としてAu多孔性の正第二電極膜7、負第二電極膜8を積層した。この場合、Auペーストを使い、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜、寸法12.2×12.2mmを形成し、乾燥した。
さらにリード膜5と導電膜6との十分な導通構造を確保するために固体電解質1の端面部に導電膜9を形成した。この導電膜9リード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用し、パッド印刷によって形成し、乾燥した。
その後、920℃×10minにて焼成することにより、膜厚約4μmのリード膜と膜厚約3μmの第二電極膜とそれらを導通構造とする導電膜を形成した。正第二電極膜7、
負第二電極膜8は、正電極膜2と負電極膜3間に電圧を印加した時の電位に対して固体電解質1の面分布ムラを改善できる。
負第二電極膜8は、正電極膜2と負電極膜3間に電圧を印加した時の電位に対して固体電解質1の面分布ムラを改善できる。
図5は酸素ポンプ素子に使用する金属箔部材を、図6は酸素ポンプ素子を示すものである。ここでは固体電解質1が49個使用された酸素ポンプ素子について説明する。
金属箔部材10には49個の固体電解質1の電極膜側が接合できるように49個の開口部11が設けられている。
金属箔部材10としてはFe−20Cr−5Al、12μmを使用した。固体電解質1の負第二電極膜8面が露出するように設けられた49個の開口部11は、12.4×12.4mmの寸法に設定されている。金属箔部材10に配設される絶縁膜12は49個の開口部11を連結するように格子構造を有している。
絶縁膜5の具体的形成方法は以下の通りである。すなわち、SiO2−B2O3−MgO−BaO系のガラスセラミックペーストを350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、900℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜5を形成した。
ガラスセラミックペーストのガラスセラミック粒子は、組成がSiO2−B2O3−MgO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。
次に固体電解質1の負電極膜側の外周部に同じく絶縁膜となるガラスセラミックペーストを150メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成した。印刷膜の寸法は内寸12×12mm、外寸15×15mmである。印刷膜はウエットの状態で金属箔部材10上の開口部11へ接合し、固体電解質に50gの荷重を加えながら乾燥した。個々の固体電解質は同様な作業を繰り返すことで49個全てを金属箔部材10上に乾燥した状態で接合した。その後、個々の固体電解質に20gの荷重を加えながら、880℃×10minにて焼成することにより、固体電解質1を金属箔部材10と接合させた。固体電解質1と金属箔部材10との間には絶縁膜12としてガラスセラミック層が約20μm形成されている。
次に隣合う固体電解質のリード膜5とリード膜4とを結線することで電気的に直列回路となる。結線はφ0.05mmの金線13を16本ボールボンディングすることによって行った。金線13のピッチは0.45mmとし、リード膜5とリード膜4の面積を有効に活用できるように配置した。
図5において、個々の固体電解質1には直列回路に結線した序列を番号付けしている。49個の固体電解質1に対して最終的には1番目の固体電解質1の正第二電極膜7と結線されたリード部14と、49番の固体電解質の負第二電極膜8と電気的に導通する導電膜と結線されたリード部15から酸素ポンプ素子全体に電圧を印加する構成となる。
リード部14およびリード部15も固体電解質1の一箇所に電流が集中するのを抑制するために3箇所から撚り線にする構成とした。
図7は上記酸素ポンプ素子を使用した酸素供給装置のを示すものである。
49個の固体電解質に対して空間区画手段となる一枚の金属箔部材10の周囲には、電気絶縁性のガス封止剤16を介して支持体17に固定されている。また、リード部14,15には、導線を介して電圧印加手段18が接続されており、この電圧印加手段18には、電圧制御手段19が接続されている。
図7は上記酸素ポンプ素子を使用した酸素供給装置のを示すものである。
49個の固体電解質に対して空間区画手段となる一枚の金属箔部材10の周囲には、電気絶縁性のガス封止剤16を介して支持体17に固定されている。また、リード部14,15には、導線を介して電圧印加手段18が接続されており、この電圧印加手段18には、電圧制御手段19が接続されている。
加熱手段20を構成するヒータ21は、負電極側の表面に対向して配置されている。固体電解質1の温度を検知する手段22を有する温度制御手段23がこの加熱手段20に信号を送っている。ここではヒータ21としてFe-20Cr-5Alからなるリボンヒータを使用した。
固体電解質1の温度を検知する手段22は、温度センサーあるいは他の方法であってもよい。センサーの場合、固体電解質1の近傍に配置されるか、或いは任意の個所に配置してよい。温度制御手段23は固体電解質1の温度を検出して加熱手段20を構成するヒータ21の入力制御を行う。
ヒータ21が発生する熱の損失を抑制するために断熱手段24,25が配置してある。ここでは、シリカとアルミナを主成分とする平板状に成型された断熱部材を用いた。下方の断熱手段24には給気のために通気孔26が配設されている。この通気孔26からの空気は断熱手段24の通気抵抗によって均一に拡散され、固体電解質1の負極側へ均等に供給される。
送風ポンプ27から給気通路28へ送給された外部空気は、途中熱交換器29を経て通気孔26へと導かれ、断熱手段24から固体電解質1の負極側へ至る。
その後、排気通路30を経て外部へと排出される。この時、熱交換器29によってその排気熱が給気通路28を流動する空気に吸収される。
酸素ポンプ素子が収納されている容器31の正極側には、通気口32を介してガスの混合手段33が連結されている。混合手段33は、ガス誘導管34と、被混合ガス導入管35と、ガス混合器36と、ガスポンプ37によって構成されている。
以上のように構成された酸素供給装置について、以下その動作、作用を説明する。
ヒータ21に通電すると、断熱手段24,25内の固体電解質1の温度が上昇する。温度制御手段23は固体電解質1が動作するに必要な温度、約600℃となるようにヒータ21を制御しながら通電していく。
但し、この温度が限定を受けるものではなく、固体電解質1の特性に合わせて、任意の温度の動作も可能である。ここではヒータ21に250Wを入力して酸素ポンプ素子の起動を行った。その結果、約60secで600℃とすることができた。その後は酸素供給装置全体への熱拡散も考慮しながら、温度制御手段23で制御する。
固体電解質1のイオン伝導可能な温度に達した時点で、正第二電極膜7と負第二電極膜8を介して個々の固体電解質1に電圧を印加すると、負電極膜側の表面近傍の酸素が電気化学反応によってこの負電極膜3から固体電解質1の内部を酸素イオンとして正電極膜7へと移動し、正電極膜側の表面から酸素分子として放出される。
49個の固体電解質1からなる酸素ポンプ素子に30Vを印加することによって4.0Aの電流が流れる。その結果、酸素イオン伝導によって酸素ポンプ素子の正極側から酸素ガス、約700ml/minを得ることが可能となる。
この時、送風ポンプ27も起動させることで、所定量の外気が給気通路28を経て通気孔26へと導かれ、最後に断熱手段24を通過する過程で受熱しながら固体電解質1の負極側へと給気される。ここでは4300ml/minの空気を供給した。酸素ポンプ素子
が動作していると固体電解質1の負極側から正極側へと酸素が引き抜かれ、負極側が窒素リッチ状態に陥る。
が動作していると固体電解質1の負極側から正極側へと酸素が引き抜かれ、負極側が窒素リッチ状態に陥る。
これを抑制するために窒素リッチ状態の空気は排気通路30を経て外部へと排出し、新たな空気を連続的に給気通路28から供給している。
この時、熱交換器29によって給気通路28を通過する空気は排気通路30を通過する空気から熱を得ることになる。熱交換器29による熱回収率はほぼ50%で設定した。ここでは熱交換用部材としてアルミニウムのフィンを使用した。
その後ヒータ21への入力を徐々に低減させていくとともに、酸素ポンプ素子の電流値4.0Aを維持させるように、印加する電圧を徐々に上昇させた。最終的には酸素ポンプ素子への印加電圧を45Vとして、ヒータ21への入力をゼロにすることができた。
すなわち、酸素イオン伝導によって生じた45V、4.0Aの180Wによって断熱部材内部は給排気に伴う熱ロスも含めて熱平衡となり、固体電解質を定常的に動作可能とさせることができた。
したがって、金属箔部材11は1枚で構成されているため、固体電解質を動作させる高温雰囲気でも絶縁膜12は少なくとも45Vの1/2以上の絶縁破壊電圧を有することが要求されたが、絶縁膜12は約40V以上の絶縁破壊電圧を有していた。
この時、金属箔部材11も600℃の雰囲気温度に加えて高温状態に曝されることになる。金属箔部材11として、アルミニウムを含有するフェライト系ステンレスを使用することで優れた耐酸化性を得ることができる。
正電極膜側の表面近傍は、発生した酸素ガスによって純酸素に近い状態となり、正電極側の表面から離れ、通気性を有する断熱手段25を通過することになる。したがって、空間を区画する手段となる金属箔部材11とガス封止剤16が負電極膜側からのガスリークを防ぐ手段として有効に作用する。
また、固体電解質1と金属箔部材11とをガスシールする絶縁膜12も負電極膜側からのガスリークを防ぐ手段として有効に作用する。
正電極側から放出される酸素ガスは、通気口32を通り、ガス混合手段33を構成するガス誘導管34と、被混合ガス導入管35と、ガス混合器36とによって被混合ガスと混合される。
本実施例では、被混合ガスは大気である。生成される混合ガスは酸素富化ガスであり、その流量は、ガスポンプ37の吸引と排出速度によって決められる。
また、混合ガス中の酸素濃度は、混合ガス流量と、固体電解質を流れる酸素イオン量すなわちイオン電流の大きさによって決められる。
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2における酸素ポンプ素子となる固体電解質1への加工プロセスである。概略の構成は実施の形態1と重複しているので異なる部分について説明を加える。
図8は、実施の形態2における酸素ポンプ素子となる固体電解質1への加工プロセスである。概略の構成は実施の形態1と重複しているので異なる部分について説明を加える。
実施の形態2では、920℃×10minでリード膜と第二電極膜とそれらを導通構造とする導電膜を形成した後、負極側導電膜A上に絶縁膜をオーバーコートする構成とした
。実施の形態1と同様なガラスセラミックペーストを固体電解質の外周部に350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、900℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜を形成した。
。実施の形態1と同様なガラスセラミックペーストを固体電解質の外周部に350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、900℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜を形成した。
金属箔部材の構成も実施の形態1と同様に、金属箔部材上に絶縁膜を形成した。その後も実施の形態1と同様に、個々の固体電解質の負極側外周部にガラスセラミックペーストをスクリーン印刷して、ウエットの状態で金属箔部材上の開口部へ固体電解質を接合し、50gの荷重を加えながら乾燥した。
さらに、個々の固体電解質に20gの荷重を加えながら、880℃×10minにて焼成することにより、固体電解質を金属箔部材と接合させた。
その後実施の形態1と同様に、金線でボンディングすることで酸素ポンプ素子を完成させた。得られた酸素ポンプ素子を使用して酸素供給装置を作製した。この場合にも構成は実施の形態1と同様にした。その結果固体電解質電極膜と金属箔部材との絶縁破壊電圧は酸素ポンプ素子動作時での絶縁膜によって約60V以上を有していた。
実施の形態1と2からわかるように、固体電解質の導通部を形成とする導電膜上に絶縁膜を形成することで金属箔部材上に位置する固体電解質電極膜間の絶縁性を向上させることができた。固体電解質上の電極膜は金属箔部材よりも内側に位置しているので、導通部を形成する導電膜と金属箔部材との間の絶縁性が酸素ポンプ素子の直列回路の電位積上げに一番重要となる。1枚の金属箔部材に何枚の固体電解質を接合するかによって必要な絶縁破壊電圧は異なってくるが、1枚の金属箔部材により多くの固体電解質を接合する場合には実施の形態2にような仕様が必要になってくる。実施の形態では固体電解質の外周部全体に絶縁膜を配設したが、導電膜Bの部分だけオーバーコートするような構成としても良い。
(実施の形態3)
概略の構成は実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態3では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックス粒子が10wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。負電極膜から正極側のリード膜への導通部を形成する導電膜Aおよび導電膜Bとしてもリード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用した。
概略の構成は実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態3では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックス粒子が10wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。負電極膜から正極側のリード膜への導通部を形成する導電膜Aおよび導電膜Bとしてもリード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用した。
また、負極側導電膜上に絶縁膜をオーバーコートするため、SiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックペーストを固体電解質の外周部に350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、880℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜を形成した。
金属箔部材の構成も実施の形態1と同様に、金属箔部材上にSiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックペーストで絶縁膜を形成した。その後も実施の形態1と同様に、個々の固体電解質の負極側外周部にガラスセラミックペーストをスクリーン印刷して、ウエットの状態で金属箔部材上の開口部へ固体電解質を接合し、50gの荷重を加えながら乾燥した。
さらに、個々の固体電解質に20gの荷重を加えながら、860℃×10minにて焼成することにより、固体電解質を金属箔部材と接合させた。その後φ0.1mmの金線を
8本ボールボンディングすることで酸素ポンプ素子を完成させた。
8本ボールボンディングすることで酸素ポンプ素子を完成させた。
(実施の形態4)
概略の構成は、実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態4では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックス粒子が3wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。
概略の構成は、実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態4では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックス粒子が3wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。
負電極膜から正極側のリード膜への導通部を形成する導電膜Aおよび導電膜Bとしてもリード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用した。
また、負極側導電膜A上に絶縁膜をオーバーコートするため、SiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックペーストを固体電解質の外周部に350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、880℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜を形成した。
金属箔部材の構成も実施の形態1と同様に、金属箔部材上にSiO2―ZnO―CaO−BaO系のガラスセラミックペーストで絶縁膜を形成した。その後も実施の形態1と同様に、個々の固体電解質の負極側外周部にガラスセラミックペーストをスクリーン印刷して、ウエットの状態で金属箔部材上の開口部へ固体電解質を接合し、50gの荷重を加えながら乾燥した。
さらに、個々の固体電解質に20gの荷重を加えながら、860℃×10minにて焼成することにより、固体電解質を金属箔部材と接合させた。その後φ0.03mmの金線を24本ボールボンディングすることで酸素ポンプ素子を完成させた。
(実施の形態5)
概略の構成は実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態5では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系のガラスセラミックス粒子が8wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。
概略の構成は実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態5では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系のガラスセラミックス粒子が8wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。
ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。負電極膜から正極側のリード膜への導通部を形成する導電膜としてもリード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用した。
また、負極側導電膜上に絶縁膜をオーバーコートするため、SiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系のガラスセラミックペーストを固体電解質の外周部に350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、920℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜を形成した。
金属箔部材の構成も実施の形態1と同様に、金属箔部材上にSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系のガラスセラミックペーストで絶縁膜を形成した。その後も実施の形態1と同様に、個々の固体電解質の負極側外周部にガラスセラミック
ペーストをスクリーン印刷して、ウエットの状態で金属箔部材上の開口部へ固体電解質を接合し、50gの荷重を加えながら乾燥した。
ペーストをスクリーン印刷して、ウエットの状態で金属箔部材上の開口部へ固体電解質を接合し、50gの荷重を加えながら乾燥した。
さらに、個々の固体電解質に20gの荷重を加えながら、900℃×10minにて焼成することにより、固体電解質を金属箔部材と接合させた。その後φ0.05mmの金線を16本ボールボンディングすることで酸素ポンプ素子を完成させた。
(実施の形態6)
概略の構成は実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態6では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2−B2O3−MgO−BaO系のガラスセラミックス粒子が6wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。
概略の構成は実施の形態1あるいは2と重複しているので異なる部分について説明を加える。実施の形態6では、固体電解質上に形成するリード膜としてAuにSiO2−B2O3−MgO−BaO系のガラスセラミックス粒子が6wt%含有されるAuペーストを使用し、350メッシュ、スクリーン印刷により印刷し、乾燥した。
ガラスセラミック粒子は、組成がSiO2−B2O3−MgO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスである。負電極膜から正極側のリード膜への導通部を形成する導電膜Aおよび導電膜Bとしてもリード膜と同じガラスセラミック含有Auペーストを使用した。
また、負極側導電膜上に絶縁膜をオーバーコートするため、SiO2−B2O3−MgO−BaO系のガラスセラミックペーストを固体電解質の外周部に350メッシュ、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、860℃×10minにて焼成することにより、膜厚約5μmの絶縁膜を形成した。
金属箔部材の構成も実施の形態1と同様に、金属箔部材上にSiO2−B2O3−MgO−BaO系のガラスセラミックペーストで絶縁膜を形成した。その後も実施の形態1と同様に、個々の固体電解質の負極側外周部にガラスセラミックペーストをスクリーン印刷して、ウエットの状態で金属箔部材上の開口部へ固体電解質を接合し、50gの荷重を加えながら乾燥した。
さらに、個々の固体電解質に20gの荷重を加えながら、840℃×10minにて焼成することにより、固体電解質を金属箔部材と接合させた。その後φ0.05mmの金線を16本ボールボンディングすることで酸素ポンプ素子を完成させた。
実施の形態では、リード膜としてAuにSiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系、SiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有するガラスセラミック粒子が含有されるAuペーストを使用したがこれに限定させるものではない。
リード膜に対してガラスセラミック粒子が添加されていない場合にボールボンディングすると、塗膜強度が弱くボンディング時にかかる押し付け荷重あるいは引っ張り荷重によってAu膜が全部あるいは一部が引きちぎれてしまう。傾向的にはAu線が細いほうほど塗膜強度が弱くても持ちこたえることができた。
しかし、Au線が細くても引きちぎれない塗膜強度を得るためにはガラスセラミック粒子 3wt%以上添加するが必要であった。金線φ0.05mmの場合には最大約8g程度の引っ張り力がボンディング時に加わることになる。またガラスセラミック粒子の含有量があまり多くなると抵抗値も増大するとともに表面状態も凹凸が大きくなるので10wt%以下が好ましい。
また、リード膜に含有させるガラスセラミックとしては製造プロセス上から、絶縁膜と同じものを使用することで焼成回数を低減できる。
実施の形態では、絶縁膜としてリード膜に含有される結晶化ガラスと同じものを使用し、組成がSiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系、SiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有するもの使用したがこれに限定されるものではない。
金属箔部材との充分な絶縁性が維持でき、電極膜や導電膜となる材料と製造工程での処理温度に不具合を生じないものであればよい。リード膜に含有される結晶化ガラスと異なる構成であっても構わない。
しかし基本的には絶縁膜に使用する結晶化ガラスとリード膜に含有される結晶化ガラスは同じ構成とすることが望ましい。アルカリ金属の酸化物含有率を抑えることでガラスの特性は高温化し、アルカリ土類金属酸化物の含有率を15〜25wt%とすることで結晶化開始温度は840℃とすることができ、金属箔部材との接合温度を840〜930℃にすることができた。
実施の形態では、ワイヤーボンディングとして、φ0.05mmの金線を16本、φ0.03mmの金線を24本あるいは、φ0.1mmの金線を8本使用した。これは1本の金線に流れる電流値から、金線があまり発熱しない本数に決めた。したがってワイヤーボンディングに使用する金線の太さからワイヤーボンディングの本数を決めればよい。ワイヤーボンディングの位置はリード膜のスペースを有効に利用して、電流が分散するように配慮すべきである。
また、ワイヤーボンディングとして銀線を使用することも可能である。その場合にはリード膜も銀をベースとすることが好ましい。
実施の形態では、負電極膜から正電極膜側に位置するリード膜への電気的な導通部を形成するための導電膜として幅1mmの3本線で行ったが、導電膜の幅と本数はここを流れる電流値を鑑みて、ある程度余裕を持たせた設計とすることが望ましい。
実施の形態では、49個の開口部を有する金属箔部材に対して、開口部周囲に絶縁膜を形成する場合、絶縁膜を介して連結するように格子構造とした。それによって薄い金属箔部材も格子構造が連結した絶縁膜によって機械的強度が向上し、固体電解質との接合強度高めることができた。
酸素供給装置の実機耐久において、金属箔部材に一時的な風圧等かかった場合にも十分な強度を保持させることができた。また固体電解質間の結線においても間が全て絶縁膜で覆われているので、結線と金属箔部材との短絡を心配する必要がない。
実施の形態では、リード膜と第二電極膜とそれらを導通構造とする導電膜を形成した後、オーバーコートを構成する絶縁膜を印刷して焼成したが、リード膜と第二電極膜とそれらを導通構造とする導電膜を乾燥状態として、オーバーコートを構成する絶縁膜を印刷して同時に焼成することも可能である。そのためには絶縁膜となるガラスセラミックの組成を選択する必要がある。
実施の形態では、金属箔部材と接合させる際に1枚の固体電解質に対して乾燥時には50gを加え、熱処理時には20gを加えながら行った。金属箔部材と固体電解質との接合強度は、絶縁膜をスクリーン印刷後にうまく乾燥させることが最も効果的であったので、その時の荷重を50gとした。
また、焼成時にも、印刷膜からバインダーが熱分解すると接合強度がなくなるため接合状態を維持させる目的で荷重20gを加え続けた。これらの荷重は固体電解質の厚みとそり、また金属箔部材の厚みと表面上に形成した絶縁膜の強度等を勘案して選択する必要がある。荷重を加えないで固体電解質と金属箔部材を接合させた場合には部分的な接合状態の不具合を生じる場合が多い。
また、実施の形態では、固体電解質としてランタンガレートを使用したがこれに限定させるものではなく、イットリウムドープ型のジルコニア(YSZ)、サマリウムト゛ープ型のセリア(SDC)などであっても良い。但し現状ではランタンガレート系の材料が酸素イオン伝導体として動作温度が低いので材料の耐久性を鑑みた場合、もっとも好ましい材料といえる。
また、実施の形態では、第一電極膜の複合金属酸化物としてSm0.5Sr0.5CoO3を使用したがこれに限定されるものではない。しかしペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物は酸素分子との電極反応性が高く、かつそれ自体が導電性を有するので優れた酸素イオン伝導性を実現することができる。
特に、ペロブスカイト型複合酸化物の中でもAサイトにランタン、サマリウムの少なくとも1種と、Bサイトにコバルト、鉄、マンガンの少なくとも1種で構成されるもの、また、Aサイトの一部をストロンチウムで置換したものが優れた導電性と高い酸素分子の電極反応性を有していた。
また、実施の形態では、金属箔部材としてFe−20Cr−5Alの材料を使用したがこれに限定させるものではなく、高温酸化に対して耐久性を有する材料であれば他の金属箔材料を使用することができる。しかし現状ではアルミニウムを含有したフェライト系ステンレスが高温酸化に対して優れた特性を有していた。
さらに、耐高温酸化性を向上させる目的で希土類金属を添加することも可能である。また厚み12μmを使用したが金属箔部材としては5〜20μmが好ましいと考えられる。すなわち固体電解質で発生した熱を外周部方向へと伝熱拡散させないためには厚みが薄いほど好ましい。しかし5μm以下になると製造時でのハンドリングが悪くなるためである。
また、実施の形態では、金属箔部材の構成として負電極膜側に接合させて固体電解質が空間部を区画する区画手段として使用した場合についてだけ説明したが、逆に正電極膜側に接合させて空間部を区画する区画手段として使用してもかまわない。
また、実施の形態では、第二電極膜、導電膜としてAu系を使用したがこれに限定させるものではなく、抵抗値の小さな耐熱性を有する材料であれば他にもAg系、AgPd系のものが使用できる。
また、実施の形態では、固体電解質表面上の正電極膜と負電極膜にさらに第二電極膜をベタ印刷した場合について説明したが、第二電極膜をメッシュ状に配置した構造についても適用できる。
以上のように、本発明にかかる酸素ポンプ素子および酸素供給装置は、長期間に渡って安定した良好な電気電流特性が得られるため、酸素を利用する空気清浄機や空調機器あるいは健康促進機器、健康増進機器など広範な用途に適用できる。
1 固体電解質
2 正電極膜(第一電極膜)
3 負電極膜(第一電極膜)
4,5 リード膜
6,9 導電膜
7 正第二電極膜
8 負第二電極膜
10 金属箔部材
12 絶縁膜
2 正電極膜(第一電極膜)
3 負電極膜(第一電極膜)
4,5 リード膜
6,9 導電膜
7 正第二電極膜
8 負第二電極膜
10 金属箔部材
12 絶縁膜
Claims (13)
- 金属箔部材に設けた複数の開口部に酸素イオン伝導性の固体電解質を絶縁的に、かつガスシールした状態で複数配置し、前記固体電解質の両面には電極膜を形成するとともに、一方の電極膜には第1リード膜を隣接し、他方の電極膜には電気的に接続されるとともに、前記第1リード膜と同じ側に位置させて第2リード膜を設け、前記第1リード膜と第2リード膜とを電気的に結線することで複数の固体電解質が直列回路となるように構成され、前記第1リード膜と前記第2リード膜は貴金属成分を主体とし、ガラスセラミック成分を3〜10wt%含有することを特徴とする酸素ポンプ素子。
- 一枚の固体電解質は第1リード膜と第2リード膜にワイヤーボンディング方法で複数本を略均等に分散させて結線することを特徴とする請求項1に記載の酸素ポンプ素子。
- 前記金属箔部材の開口部周囲にはガラスセラミック膜が配設され、固体電解質は前記ガラスセラミック膜を介して接合固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素ポンプ素子。
- 前記電極膜は固体電解質に直接接合する第一電極膜と、前記第一電極膜上に形成された第二電極膜とで構成され、前記固体電解質上に複合金属酸化物成分を主体とする膜を前記第一電極膜とし、貴金属成分を主体とする膜を前記第二電極膜として前記第一電極膜上に配設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 前記ガラスセラミック成分は、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系またはSiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 前記ガラスセラミック膜は、組成がSiO2―ZnO―CaO−BaO系、SiO2−B2O3−MgO−BaO系、SiO2―Al2O3―CaO−BaO系、SiO2−La2O3−Al2O3−B2O3−CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を0.5wt%以下含有する結晶化ガラスであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 前記ガラスセラミック膜は、格子構造で連結されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 前記ガラスセラミック成分と前記ガラスセラミック膜は組成が同一であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 一枚の金属箔部材は複数の固体電解質が接する空間部を区画する区画手段として構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の酸素ポンプ素子。
- 固体電解質がランタンガレートであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 第一電極膜の複合金属酸化物がペロブスカイト型構造であることを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。
- 金属箔部材がアルミニウムを含有したフェライト系ステンレスであることを特徴とする請
求項1〜11のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子。 - 請求項1〜12のいずれか1項記載の酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段を制御する電圧制御手段と、前記酸素ポンプ素子を加熱する加熱手段と、前記酸素ポンプ素子の温度を検知して前記加熱手段を制御する温度制御手段と、前記加熱手段および前記酸素ポンプ素子の熱拡散を防止する断熱手段と、前記酸素ポンプ素子を介して発生した酸素を空気と混合して所定酸素濃度の混合ガスにする混合手段とを備えたことを特徴とする酸素供給装置。
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