JP2008010240A - 固体酸化物形燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型・薄型化することが可能で、単セルとインターコネクタとの電気的接続に優れた固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】インターコネクタ3は、一方の面である第一面側と他方の面である第二面側とに、単セル2を配置するために窪んだ形状に形成された第一収容部20a及び第二収容部20bが形成されている。それら収容部20の段差部25に単セル2を配置して、第一収容部20aに空気極層13が内側とされ、第二収容部20bに燃料極層12が内側とされて単セル2が収容される。そして段差部25に接する単セル2の外周部がシール部29とされて、空気極層13と底面部23との間隙が空気流通部31、燃料極層12と底面部23との間隙が燃料流通部32とされている。さらに、シール部29の少なくとも一部がロウ材により、電気導通部とされて、単セル2とインターコネクタ3とが電気的に接続されている。
【選択図】図4
【解決手段】インターコネクタ3は、一方の面である第一面側と他方の面である第二面側とに、単セル2を配置するために窪んだ形状に形成された第一収容部20a及び第二収容部20bが形成されている。それら収容部20の段差部25に単セル2を配置して、第一収容部20aに空気極層13が内側とされ、第二収容部20bに燃料極層12が内側とされて単セル2が収容される。そして段差部25に接する単セル2の外周部がシール部29とされて、空気極層13と底面部23との間隙が空気流通部31、燃料極層12と底面部23との間隙が燃料流通部32とされている。さらに、シール部29の少なくとも一部がロウ材により、電気導通部とされて、単セル2とインターコネクタ3とが電気的に接続されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、固体電解質を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)及びその製造方法に関する。
近年、携帯機器の多機能化に伴い電力消費量が高まり、その結果バッテリーの持続時間が急速に短くなっている。バッテリーの種類として、1次電池、2次電池があるが、持続時間はいずれもユーザーの要求を満たすものではない。そこで、未だ製品化されていないものの、エネルギー密度が高く持続時間が長いという点で、マイクロ燃料電池に対する期待が高まっている。
マイクロ燃料電池の形態としては、放熱・作動温度の観点から、一般に高分子電解質形燃料電池(PEFC)が主流で開発されてきており、形状としては、基板内に流路溝を設けたものや積層型が知られている。しかし、高分子電解質形燃料電池は、発電効率が低く、また貴金属の触媒を多量に使用する観点から望ましいとは言えない。
他方、従来から開発が進められてきた比較的大型なサイズの燃料電池として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)がある。従来の固体酸化物形燃料電池は、大出力を得たいことから、燃料電極と空気極とが電解質を介して配置された、複数の同一形態の単セルを用いてスタック化していた(例えば、特許文献1)。
固体酸化物形燃料電池は、発電効率が高く、携帯機器への適用が有望視されているが、作動温度が高いことがネックとされてきた。しかし、昨今の研究開発により、従来の1000℃から600〜800℃へと作動温度の低温化が進み、高効率なマイクロ燃料電池としての利用の実現可能性がでてきた。
しかしながら、固体酸化物形燃料電池は、単セルが比較的大きく、携帯機器への適用のためには、最低限の出力を確保しつつ、燃料電池本体のサイズをできるだけ小さくする必要がある。つまり、固体酸化物形燃料電池は、その使用目的から「小型」「急速起動」を可能とする素子設計が求められており、従来より開発が進められてきた比較的大型なサイズの定置型固体酸化物形燃料電池では、検討されていない新しい課題が生じた。
固体酸化物形燃料電池において、実用上十分な発電量を得るために、インターコネクタを用いて単セルを複数個電気的に接続するスタック化を行っているが、単セルを積層してスタックを構成する場合において、作動温度が高温であるために、構成する部材間の熱応力に起因して接合部が損傷し、ガスシール性が低下することが問題となる。また、単セルやインターコネクタにクラックが生じ、発電が不能になる場合もある。従来の定置型固体酸化物形燃料電池では、単セル、インターコネクタ等のスペースが十分にあることから、単セルの電気的接合とガスのシールを異なる場所で行うような設計が可能であり、このため信頼性のある電気的接合とガスのシールとを十分得ることが可能であったのに対し、サイズを小型化しつつも、単セルの電気的接合とガスのシールとを確実に行うことは困難であった。
本発明の課題は、小型・薄型化することが可能で、かつ、単セルとインターコネクタとの電気的接続に優れた固体酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、電解質層と、その電解質層上に形成された燃料極層と、電解質層上の燃料極層とは反対の面に形成された空気極層とを有する単セルと、一方の面である第一面側と他方の面である第二面側とに単セルを配置するインターコネクタと、を備え、インターコネクタは、第一面と第二面とに、単セルを配置するために窪んだ形状に形成された収容部として第一収容部及び第二収容部が形成され、第一収容部に空気極層が内側とされて単セルが収容され、第二収容部に燃料極層が内側とされて単セルが収容され、単セルとインターコネクタとが交互に積層されてスタック構造が形成され、単セルの外周部がインターコネクタと接してシール部とされて、第一収容部の一部が空気の流通する空気流通部、及び第二収容部の一部が燃料の流通する燃料流通部とされ、さらに、シール部の少なくとも一部が電気導通部とされて、単セルとインターコネクタとが電気的に接続された固体酸化物形燃料電池が提供される。
本発明の固体酸化物形燃料電池において、より具体的には、第一収容部及び第二収容部は、底面部と周壁部とによって窪んだ形状に形成されて、周壁部に段差部が形成され、段差部に単セルを配置することにより、段差部と接する単セルの外周部がシール部とされて、空気極層と底面部との間隙が空気流通部、燃料極層と底面部との間隙が燃料流通部とされた構成を採用することができる。
またインターコネクタは、段差部に第一収容部と第二収容部とを貫通するコネクタ貫通孔が形成され、単セルは、空気極層、電解質層、及び燃料極層を貫通するセル貫通孔が形成され、インターコネクタの第一収容部又は第二収容部に単セルを収容することにより、コネクタ貫通孔とセル貫通孔とが共貫通し、空気流通部に空気、又は燃料流通部に燃料が流通する構成とすることもできる。
さらに、インターコネクタは、段差部からさらに中央方向に延出して形成された延出段差部が設けられ、その延出段差部にコネクタ貫通孔が形成された構成とすることもできる。そして、インターコネクタの延出段差部は、第一収容部側と第二収容部側との対向しない位置に対として形成され、延出段差部の一方に形成されたコネクタ貫通孔と、単セルのセル貫通孔が共貫通する位置に単セルが収容された場合に、単セルの、他方の延出段差部とは異なる位置に、さらにセル貫通孔が形成されているように構成してもよい。
或いは、インターコネクタの第一収容部を形成する周壁部に、第一収容部と外部とを貫通する空気貫通孔が形成され、空気貫通孔から第一収容部に空気が導入され、空気貫通孔から第一収容部外へ空気が排出されるように構成することもできる。
一方、インターコネクタの第一収容部及び第二収容部は、底面部と周壁部とによって窪んだ形状に形成され、底面部又は周壁部に単セルを支持する弾性支持部が形成され、弾性支持部に単セルを配置することにより、弾性支持部と接する単セルの外周部がシール部とされて、空気極層と底面部との間隙が空気流通部、燃料極層と底面部との間隙が燃料流通部とされた構成を採用することもできる。そして、具体的には、弾性支持部は、バネ部として形成することができる。
さらに、上記の固体酸化物形燃料電池において、単セルの燃料極層及び空気極層は、多孔質電極層として形成され、電気導通部は、多孔質電極層が導電性物質により緻密化されて形成されているように構成することもできる。或いは、電解質層は、燃料極層及び空気極層によりも外周側に延出して形成され、その延出部が導電性物質によってシール部とされた構成としてもよい。これらの構成において、導電性物質は、ロウ材を使用することができる。
また本発明により、上記導電性物質を使用してシール部を形成する場合に、単セルとインターコネクタとの間に導電性物質を挟んだ状態において、単セルによって区切られた空間領域を減圧しつつ、導電性物質を溶解させて単セルとインターコネクタとを接合するという固体酸化物形燃料電池の製造方法が提供される。
さらに本発明により、燃料極層にニッケルを含む上記固体酸化物形燃料電池において、燃料極層の酸化ニッケルを金属ニッケルへ還元後、単セルとインターコネクタとを導電性物質により接続するという固体酸化物形燃料電池の製造方法が提供される。
以上の固体酸化物形燃料電池において、第一収容部及び第二収容部の少なくとも一方に、空気を第一収容部、又は燃料を第二収容部内に分布させて流通させるための凸状に形成された流通規制部が設けられた構成、第一収容部及び第二収容部に挟まれた収容部に、単セルの替わりに加熱機構部が備えられた構成、第一収容部又は第二収容部の窪んだ形状を形成する底面部と単セルの底面部側の面との間隙に、電気を集電する集電極が設けられた構成とすることもできる。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、単セルの外周部がインターコネクタと接してシール部とされて、第一収容部の一部が空気流通部、及び第二収容部の一部が燃料流通部とされ、さらに、シール部の少なくとも一部が電気導通部とされて、単セルとインターコネクタとが電気的に接続されており、単セルの外周部がシール部と電気導通部として兼用されていることから、構造が簡易であり小型化することができる。
インターコネクタの第一収容部及び第二収容部は、底面部と周壁部とによって窪んだ形状に形成され、底面部又は周壁部に単セルを支持する弾性支持部が形成されていることから、弾性支持部に単セルを配置することにより、熱等の影響によるひずみを吸収して、単セルが破損することが防止される。また単セルとインターコネクタを組み立てる際の破損防止にも有効である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
図1に本発明の固体酸化物形燃料電池(以下、単に燃料電池ともいう)1の一部破断斜視図、図2に、組み立てを示す斜視図を示す。燃料電池1は、単セル2とインターコネクタ3とが交互に積層されて、スタック構造とされている。
図2に示すように、単セル2は、電解質層11と、電解質層11上に形成された燃料極層12と、電解質層11上の燃料極層12とは反対の面に形成された空気極層13とを有し、平板状に形成されている。単セル2の燃料極層12及び空気極層13は、多孔質電極層として形成され、例えば、燃料極層12は、Ni−YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、空気極層13は、LSM(ランタンストロンチウムマンガナイト)、電解質層11は、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)により形成することができる。単セル2は、燃料極層12、電解質層11、及び空気極層13を貫通するセル貫通孔15が一辺側に並んで形成されている。
単セル2は、グリーンシート法により作成した電解質層11を構成する電解質焼成体(焼成条件:1400℃・1時間)に、燃料極層12を印刷法により形成し1400℃・1時間にて焼成し、空気極層13を同じく印刷法により形成した後1200℃1時間にて焼成して形成される。なお、本発明においては、緻密なジルコニア電解質層11を30μm、その電解質層11の両面に、燃料極層12を20μm、空気極層13を20μm形成し、基板厚(単セル厚)は70μm、基板サイズは30mm×30mmとして単セル2を形成した。このように本発明は、後述するようなインターコネクタ3との接合構造を採用することにより、従来の酸化物形燃料電池に比べ大幅に小型化されており、携帯用電子機器のバッテリーに利用することができる。
図2及び図3に示すように、インターコネクタ3は、一方の面である第一面側と他方の面である第二面側とに、単セル2を配置するために窪んだ形状に形成された収容部20である第一収容部20a及び第二収容部20bが形成され、第一収容部20aに空気極層13が内側とされて単セル2が収容され、第二収容部20bに燃料極層12が内側とされて単セル2が収容され、単セル2とインターコネクタ3とが交互に積層されてスタック構造が形成されている。また、インターコネクタ3の材料としては、フェライト系SUS、インコネル600、ハステロイ等のNi系耐熱合金を使用することができる。
また、第一収容部20a及び第二収容部20bの表面に導電性セラミックス膜を成膜しても良い。導電性セラミックスを形成しておくことで、特に空気流通部側において、インターコネクタのCr成分が空気極を被毒することで、長期信頼性を損なわせることがあるので望ましい。
インターコネクタ3の第一収容部20a及び第二収容部20bは、底面部23と周壁部24とによって窪んだ形状に形成され、周壁部24に段差部25が形成されている。そして、インターコネクタ3は、段差部25からさらに中央方向に延出して形成された延出段差部26が設けられ、その延出段差部26にコネクタ貫通孔28が形成されている。インターコネクタ3の延出段差部26は、第一収容部20a側と第二収容部側20bとの対向しない対角線上の位置に対として形成されている。
図2に示すように、単セル2及びインターコネクタ3を交互に積層してスタック化することにより、図1に示すような燃料電池1を形成することができる。この場合において、各単セル2は、燃料極層12が同一方向に(すなわち空気極層13も同一方向に)、セル貫通孔15の並びが互い違いになるように配置されている。また、インターコネクタ3は、延出段差部26の位置が互い違いになるように配置されている。このようにすることにより、空気及び燃料が、第一収容部20a、第二収容部20b内を広く流通することができるため、発電効率を高くすることができる。
図4に積層構造の断面図を示す。図4に示すように、単セル2がインターコネクタ3の第一収容部20a及び第二収容部20bに収容されて、単セル2及びインターコネクタ3が交互に積層させてスタック化されている。段差部25に単セル2を配置することにより、段差部25に接する単セル2の外周部がシール部29とされて、空気極層13と底面部23との間隙が空気流通部31、燃料極層12と底面部23との間隙が燃料流通部32とされている。なお、インターコネクタには段差部がなく、窪み形状のみのものであっても良い。
さらに、シール部29の少なくとも一部が電気導通部とされて、単セル2とインターコネクタ3とが電気的に接続されている。単セル2の燃料極層12及び空気極層13は、多孔質電極層として形成され、電気導通部は、多孔質電極層が導電性物質により緻密化されて形成されている。具体的には、導電性物質としては、ロウ材61を使用することができる。
インターコネクタ3と単セル2との接合について、図5(a)及び図5(b)を用いて説明する。インターコネクタ3と単セル2とは空気極層13又は燃料極層12にNi−Mnメタライズ層を形成した後、ロウ付けしても良いし、Ti等の活性金属を含んだ活性ロウ材を用いて直接接合しても良いが、図5(a)に示すように、単セル2の外周部にロウ材61を付着させて多孔質電極層(空気極層13又は燃料極層12)をロウ材61により緻密化する。具体的には、単セル2とインターコネクタ3との間に導電性物質を挟んだ状態において、単セル2によって区切られたインターコネクタ3側の空間領域を減圧しつつ、導電性物質を溶解させることにより、図5(b)に示すように、ロウ材61を多孔質電極層に浸透させて多孔質電極層を緻密化し、単セル2とインターコネクタ3とを接合することができる。また単に接合時に加圧することで、ロウ材61を多孔質電極層に浸透させて多孔質電極層を緻密化させても良い。これにより、多孔質電極層の外周部をシール部29とすることができる。なお、ロウ材61によって、多孔質電極層を緻密化した後に、インターコネクタ3と単セル2とを接合してもよいし、緻密化と接合とを同時に行ってもよい。
燃料極層にニッケルを含む燃料電池1では、酸素雰囲気下において、酸化ニッケルへの変態が発生し、単セル2の破壊を招きやすい。すなわち、通常の単セル作製プロセスにおいては、酸化ニッケルとYSZのサーメットとして焼成し、その後ニッケルへ還元することで燃料極としている。このため単セル作製後の還元処理時に単セルの破壊が生じることがある。そのため、燃料極層12の酸化ニッケルを金属ニッケルへ還元後、単セル2とインターコネクタ3とを導電性物質であるロウ材61により接続するとよい。
ロウ材厚みは10−30μmが良好な電気伝導性とシール性を得る観点から望ましい。ロウ付け雰囲気は1×10−3Pa以下の真空度で実施し、インターコネクタ3の内外の圧力差は5×10−4Pa以上設けることで、多孔質電極層内へロウ材61を含浸させることができる.
なお、ロウ材としては、素子の作動環境が600−800℃の酸化雰囲気であることから、耐酸化性に優れたロウ材を選択することが望ましい。具体的には、Ag系、Cu系、Ni系の材料があるが、耐酸化性の観点からNi系が望ましい。具体的には米国WESGO社のIcronibsi13(製品名)やCronisi(製品名)、米国ウォールコルモノイ社Nicrobraz31(製品名)が使用可能である。
以上のようにスタック化されて形成された燃料電池1は、図6に示すように、インターコネクタ3と単セル2の燃料極層12との間に燃料流路部、インターコネクタ3と単セル2の空気極層13との間に空気流路部が形成されて、発電を行うことができる。なお、インターコネクタ3間は、ショート防止のために、間隙を有して積層されている(図4参照)。また、図6の断面図にも示されるように、燃料流路部32と空気流路部31とがスタック方向において、交互に形成されている。このように、スタック化されることにより、高電圧・高出力を得ることができる。
図7〜図9にインターコネクタ3の底面部23に関する他の実施形態を示す。図7の実施形態2に示すように、空気又は燃料を分布させて流通させるために、第一収容部20a、第二収容部20bに、凸状に形成された流通規制部が設けられた構成とすることもできる。具体的には、燃料又は空気を面内に分布させて蛇行させるために、底面部23に凸状の蛇行隔壁部35が形成されている。また図8の実施形態3に示すように、分離した流通規制部36としてもよい。さらに図9の実施形態4に示すように、底面部23に複数の突起部37を設けてもよい。このようにすることにより、燃料又は空気が面内を広く分布して流通することになり、効率よく発電を行うことができる。
図10にインターコネクタ3のコネクタ貫通孔28に関する他の実施形態を示す。図11に示すように、インターコネクタ3の第一収容部20aに延出段差部26を2箇所設け、裏面の図示されていない第二収容部20bに延出段差部26を2箇所設けることもできる。それぞれの延出段差部26に、前述のようにコネクタ貫通孔28を設けることにより、燃料及び空気の流通を増加させ、発電効率を上げることができる。
図11及び図12にインターコネクタ3の空気流通部31の他の実施形態を示す。図11及び図12に示すように、インターコネクタ3の第一収容部20aを形成する周壁部24に、第一収容部20aと外部とに貫通する空気貫通孔39が形成された構成とすることもできる。このように構成すると、空気貫通孔39から第一収容部20aに空気が導入され、空気貫通孔39から第一収容部20a外へ空気が排出され、燃料電池1を小型化、高耐久化することができる。
作動温度が高い固体酸化物形燃料電池1においては、所定の温度まで達しないと高出力を得ることができない。また携帯用電子機器のバッテリーとして利用するためには、急速起動が求められる。起動時間の短縮化のために急速に、かつスタックの破損を防止するために均一に昇温させる必要がある。このために、加熱機構としてヒータ41を備えた燃料電池を図13に示す。図13に示すように、インターコネクタ3の第一収容部20a及び第二収容部20bに単セル2が収容され、スタック構造が形成され、さらに第一収容部20a及び第二収容部20bによって形成される収容部20に、単セル2の替わりにヒータ41が収容されている。このように構成することにより、単セル2がヒータ41に挟まれた状態となり、単セル2が上下から加熱されて作動温度まで昇温されるため、効率よく起動することができる。
なお、ヒータ41は非導電性の基板、例えばガラスやシリコンの上に、薄膜電極をパターンニングすることで形成出来る。薄膜電極へ通電することで、電極部は発熱しヒータ41とすることができる。基板には高熱伝導性が求められること、パターニングの容易性からシリコンが望ましい。例えば、薄膜電極としてSiO2(0.1μm)/Ti(0.1μm)/W(0.5μm)/Ti(0.1μm)/SiO2(0.1μm)の多層膜がて適用可能である。また、別のスタック加熱機構として、燃料ガスを燃焼し、その輻射熱を利用するものも考えられる。
図14及び図15に円形に形成された燃料電池1の実施形態を示す。図14は、斜視図、図15は、組み立てられた燃料電池1の断面図である。単セル2は、前述の実施形態と同様に、電解質層11と、電解質層11上に形成された燃料極層12と、電解質層11上の燃料極層12とは反対の面に形成された空気極層13とを有して形成されている。燃料及び空気を流通させるために、セル貫通孔15が形成されている。
インターコネクタ3は、一方の面である第一面側と他方の面である第二面側とに、単セル2を配置するために窪んだ形状に形成された第一収容部20a及び第二収容部20bが形成され、第一収容部20aに燃料極層12が内側とされて単セル2が収容され、第二収容部20bに空気極層13が内側とされて単セル2が収容され、単セル2とインターコネクタ3とが交互に積層されてスタック構造が形成されている。第一収容部20a及び第二収容部20bは、底面部23と周壁部24とによって窪んだ形状に形成され、周壁部24に段差部25が形成されている。そして、インターコネクタ3は、段差部25からさらに中央方向に延出して形成された延出段差部26が設けられ、その延出段差部26にコネクタ貫通孔28が形成されている。インターコネクタ3の延出段差部26は、第一収容部20a側と第二収容部側20bとの対向しない対角線上の位置に対として形成されている。詳細は、前述の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
内部に微細な流路を設けた燃料電池の場合、急激に昇温すると、内部の体積膨張によって応力が強度の弱い単セル2に掛かり燃料電池1の破壊を招くことになる。このために、インターコネクタ3に弾性支持部51が形成され、単セル2が弾性支持部と接合してシール部が形成された実施形態について図16〜図20を用いて説明する。図16(a)、図16(b)に示すように、インターコネクタ3の第一収容部20a及び第二収容部20bは、底面部23と周壁部24とによって窪んだ形状に形成され、周壁部24に単セル2を支持する弾性支持部51が形成されている。すなわち、周壁部24から、底面部23とほぼ平行に突出したリング状の板バネ構造とされた弾性支持部51が形成されている。そして、図16(a)に示すようにロウ材61を配置して弾性支持部51に単セル2を配置し、図16(b)に示すように接合することにより、弾性支持部51と接する単セル2の外周部がシール部とされて、空気極層13と底面部23との間隙が空気流通部31、燃料極層12と底面部23との間隙が燃料流通部32とされる。このように、弾性支持部51を底面部23とは、分離して形成することにより、熱等の影響によるひずみを吸収して、単セル2等が破損することが防止される。
また図17(a)に示すように、弾性支持部51は、板バネ部として形成することができる。すなわち、弾性支持部51は、周壁部24から湾曲して突出して形成されている。このように弾性支持部51を形成し、単セル2を弾性支持部51にロウ材61によって接合することにより、スタック構造を形成し、燃料電池1を形成することができる。このように形成されて燃料電池1は、図17(b)に示すような上下方向の荷重に対しても、図17(c)に示すような左右方向の荷重に対しても、弾性支持部51の弾性変形によって、その荷重を緩和することができ、単セル2等が破損することが防止される。
さらに図18(a)に示すように、弾性支持部51は、底面部23から湾曲して突出した形状に形成することもできる。このように弾性支持部51を形成することにより、前述の実施形態同様に、燃料電池1は、図18(b)に示すような上下方向の荷重に対しても、図18(c)に示すような左右方向の荷重に対しても、弾性変形によって、その荷重を緩和することができ、単セル2等が破損することが防止される。
以上のように、インターコネクタ3にフレキシブルなバネ部を設けておくことで、単セル(薄板セル)2に掛かる歪みを吸収でき、熱応力による単セル2の破損を防止することができる。金属製インターコネクタ3と単セル(薄板セル)2の場合、インターコネクタ3の方が熱膨張率が大きいとすると、面内方向で薄板セルに引張応力が掛かる。以上のような緩衝構造を採用することにより、これを吸収することができる。また、弾性支持部51を設けることで、単セル2とインターコネクタ3との接合・組立時の破損を防止することも可能である。
図19に内部に集電極52を設けた実施形態を示す。図19に示すように、空気極層13と底面部23との間隙に、集電極52を備えてもよい。このようにすることにより、単セル2からインターコネクタ3へ電気を効率よく集電することができる。
さらに図20に電解質層11によって支持される実施形態について説明する。セル2は、電解質層11と、電解質層11上に形成された燃料極層12と、電解質層11上の燃料極層12とは反対の面に形成された空気極層13とを有し、平板状に形成されている。さらに、電解質層11は、燃料極層12及び空気極層13よりも外周側に延出して形成され、その延出部11aが弾性支持部51にロウ材61によってロウ付けされシール部とされている。図20のように電解質で支持されるセル構造においても、図16、17、19のような構造を適用することで、高耐久で高効率な燃料電池とすることが可能である。
ところで、更なる高出力・高電圧化に対して、単セル2の積層数を増大させて対応することは好ましくない。その理由は発電セルのスタック数が増えれば、スタック内の接続部での信頼性確保、ガスの使用率の観点から限界があるものと考えるからである。望ましいスタック数は10層程度であり、その為高出力化・高電圧化に対しては、複数のスタックを配列して対応することが望ましい。
そこで、図21(a)、及び図21(b)に、発電セル70を複数配列した燃料電池1の実施形態を示す。図21(a)、及び図21(b)に示す燃料電池1は、単セル2とインターコネクタ3とがスタック化された発電セル70がケース72に断熱部71によって断熱されて収容され、複数の発電セル70によって構成されている。断熱部71は、真空断熱であってもよいし、断熱材を使用した断熱であってもよい。なお図21(b)は、ケース72内に、2つの発電セル70が断熱部71によって断熱されて収容されている。
複数のスタック(発電セル70)を有することで、1つのスタックに故障が発生しても、残りスタックへの燃料供給量を上げることで、系全体での出力を確保することが可能である。また、急速起動の観点からも、急速起動時に出力を得るための堅牢なスタックを準備して対応すればよく、定常運転時は別に用意した高出力なスタックを運転して対応できる。特性に合わせたスタックを別々に用意することで、系全体として高性能な燃料電池システムとすることができる。このように構成することにより、高出力・高電圧化することができ、携帯電子機器への適用のみならず、より大型の電子機器へ適用することも可能である。
以上で説明した本発明は、急速起動に対する熱衝撃性が有する種々の燃料電池に適用可能であり、例えば、固体電解質がプロトン伝導体からなる燃料電池へも適用可能である。プロトン伝導体の例としては、リン酸塩系プロトン伝導体(作動温度:150〜350℃)が挙げられる。したがって、固体酸化物形燃料電池に用いる固体酸化物からなる電解質は、燃料電池の作動温度により適宜選択されればよく、また、固体電解質について伝導するイオンも、酸素イオンに限定されるものではない。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、小型・薄型化することが可能で、かつ、単セルとインターコネクタとの電気的接続に優れており、携帯電話やノートPC等の携帯用電子機器のバッテリーとして利用することができる。
1:燃料電池、2:単セル、3:インターコネクタ、11:電解質層、11a:(電解質層の)延出部、12:燃料極層、13:空気極層、15:セル貫通孔、20:収容部、20a:第一収容部、20b:第二収容部、23:底面部、24:周壁部、25:段差部、26:延出段差部、28:コネクタ貫通孔、29:シール部、31:空気流通部、32:燃料流通部、35:蛇行隔壁部、36:分離した流通規制部、37:突起部、39:空気貫通孔、41:ヒータ、51:弾性支持部、52:集電極、61:ロウ材、70:発電セル、71:断熱部、72:ケース。
Claims (16)
- 電解質層と、その電解質層上に形成された燃料極層と、前記電解質層上の前記燃料極層とは反対の面に形成された空気極層とを有する単セルと、
一方の面である第一面側と他方の面である第二面側とに前記単セルを配置するインターコネクタと、を備え、
前記インターコネクタは、前記第一面と前記第二面とに、前記単セルを配置するために窪んだ形状に形成された収容部として第一収容部及び第二収容部が形成され、
前記第一収容部に前記空気極層が内側とされて前記単セルが収容され、前記第二収容部に前記燃料極層が内側とされて前記単セルが収容され、前記単セルと前記インターコネクタとが交互に積層されてスタック構造が形成され、
前記単セルの外周部が前記インターコネクタと接してシール部とされて、前記第一収容部の一部が空気の流通する空気流通部、及び前記第二収容部の一部が燃料の流通する燃料流通部とされ、
さらに、前記シール部の少なくとも一部が電気導通部とされて、前記単セルと前記インターコネクタとが電気的に接続された固体酸化物形燃料電池。 - 前記第一収容部及び前記第二収容部は、底面部と周壁部とによって窪んだ形状に形成されて、前記周壁部に段差部が形成され、
前記段差部に前記単セルを配置することにより、前記段差部と接する前記単セルの前記外周部が前記シール部とされて、前記空気極層と前記底面部との間隙が前記空気流通部、前記燃料極層と前記底面部との間隙が前記燃料流通部とされた請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記インターコネクタは、前記段差部に前記第一収容部と前記第二収容部とを貫通するコネクタ貫通孔が形成され、
前記単セルは、前記空気極層、前記電解質層、及び前記燃料極層を貫通するセル貫通孔が形成され、
前記インターコネクタの前記第一収容部又は前記第二収容部に前記単セルを収容することにより、前記コネクタ貫通孔と前記セル貫通孔とが共貫通し、前記空気流通部に前記空気、又は前記燃料流通部に前記燃料が流通する請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記インターコネクタは、前記段差部からさらに中央方向に延出して形成された延出段差部が設けられ、その延出段差部に前記コネクタ貫通孔が形成された請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記インターコネクタの前記延出段差部は、前記第一収容部側と前記第二収容部側との対向しない位置に対として形成され、
前記延出段差部の一方に形成された前記コネクタ貫通孔と、前記単セルの前記セル貫通孔が共貫通する位置に前記単セルが収容された場合に、前記単セルの、他方の前記前記延出段差部とは異なる位置に、さらにセル貫通孔が形成されている請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記インターコネクタの前記第一収容部を形成する周壁部に、前記第一収容部と外部とを貫通する空気貫通孔が形成され、前記空気貫通孔から前記第一収容部に前記空気が導入され、前記空気貫通孔から前記第一収容部外へ前記空気が排出される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記インターコネクタの前記第一収容部及び前記第二収容部は、底面部と周壁部とによって窪んだ形状に形成され、前記底面部又は前記周壁部に前記単セルを支持する弾性支持部が形成され、
前記弾性支持部に前記単セルを配置することにより、前記弾性支持部と接する前記単セルの前記外周部が前記シール部とされて、前記空気極層と前記底面部との間隙が前記空気流通部、前記燃料極層と前記底面部との間隙が前記燃料流通部とされた請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。 - 前記弾性支持部は、バネ部として形成された請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記単セルの前記燃料極層及び前記空気極層は、多孔質電極層として形成され、前記電気導通部は、前記多孔質電極層が導電性物質により緻密化されて形成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記電解質層は、前記燃料極層及び前記空気極層によりも外周側に延出して形成され、その延出部が導電性物質によって前記シール部とされた請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記導電性物質は、ロウ材である請求項9又は10に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第一収容部及び前記第二収容部の少なくとも一方に、前記空気を前記第一収容部、又は前記燃料を前記第二収容部内に分布させて流通させるための凸状に形成された流通規制部が設けられた請求項1ないし11のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第一収容部及び前記第二収容部に挟まれた収容部に、前記単セルの替わりに加熱機構が備えられた請求項1ないし12のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記第一収容部又は前記第二収容部の窪んだ形状を形成する底面部と前記単セルの前記底面部側の面との間隙に、電気を集電する集電極が設けられた請求項1ないし13のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 請求項9ないし11のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池を製造する製造方法であって、
前記単セルと前記インターコネクタとの間に前記導電性物質を挟んだ状態において、前記単セルによって区切られた空間領域を減圧しつつ、前記導電性物質を溶解させて前記単セルと前記インターコネクタとを接合する固体酸化物形燃料電池の製造方法。 - 前記燃料極層にニッケルを含む請求項9ないし11のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池を製造する製造方法であって、
前記燃料極層の酸化ニッケルを金属ニッケルへ還元後、前記単セルと前記インターコネクタとを前記導電性物質により接続する固体酸化物形燃料電池の製造方法。
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- 2006-06-28 JP JP2006177707A patent/JP2008010240A/ja not_active Withdrawn
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