JP2013257973A - 固体酸化物形燃料電池スタック - Google Patents
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Abstract
【課題】スタックの小型化を実現し、高い発電効率を実現する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池スタックは、セル21を含むセル収容部と、セル21の空気極に酸化剤ガスを供給しセルの燃料極に燃料ガスを供給する金属製のセパレータ25とを交互に積層する構造を有する。セル収容部は、平板型で燃料極支持型のセル21と、セル21と同等の厚みの平板型の絶縁体からなり、中央部にセル21を収納する貫通孔を有するセルフレーム22と、セル21とセルフレーム22とを接合する金属箔23,24とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】固体酸化物形燃料電池スタックは、セル21を含むセル収容部と、セル21の空気極に酸化剤ガスを供給しセルの燃料極に燃料ガスを供給する金属製のセパレータ25とを交互に積層する構造を有する。セル収容部は、平板型で燃料極支持型のセル21と、セル21と同等の厚みの平板型の絶縁体からなり、中央部にセル21を収納する貫通孔を有するセルフレーム22と、セル21とセルフレーム22とを接合する金属箔23,24とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電解質が酸素イオン電導性セラミックスからなる固体酸化物形燃料電池のスタック構造に関するものである。特に、セルの構造を燃料極が支持する燃料極支持型のセルを用いる固体酸化物形燃料電池のスタック構造に関する。
燃料極と空気極とがセラミックス製の電解質を介して配置され、燃料ガスとして水素を供給し、酸化剤ガスとして酸素や空気を供給することで、水の電気分解の逆の反応を利用して発電する固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cells、以下SOFC)が知られている。このSOFCでは、実用上十分な発電量を得るために、上述のSOFCの単位構成要素(単セル)を複数個、直列および並列に電気的に接続すること(スタック化)が必要となる。
SOFCの電解質には、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)やスカンジア安定化ジルコニア(ScSZ)などが用いられる。燃料極には、それら電解質材料とニッケルとの混合物の多孔体が用いられ、空気極には、SrドープLaMnO3やLa(NiFe)O3などの金属酸化物導電体の多孔体が用いられる。
SOFCの単セルを実際に燃料電池として動作させる際には、複数の単セルをスタック化し、電池の負極側(燃料極側)を還元雰囲気に保ち、正極側(空気極側)を酸化雰囲気に保ち、かつ、十分な発電効率を得るために電解質のイオン伝導性を確保することができ容易に酸化還元を起こすことが可能な600℃以上の高温に燃料電池本体を保つ必要がある。このような動作条件を実現するため、互いに異なる雰囲気に晒される正極と負極間をガス不透過でかつ電気伝導性のある部品で電気的に接続し、各電極にそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスを適正に分配、供給する目的で、各セル間に耐熱性のステンレス等の金属で作られた部品(セパレータ)が配置される。
単セルの形状も平板形や円筒形や一体積層形などがあるが、これらは原理的には同じである。平板形のSOFCには、固体酸化物電解質膜自体でその構造を保持する電解質支持型と、燃料極でその構造を支持する燃料極支持型とがある。図6(A)に燃料極支持型の単セルの断面図を示し、図6(B)に燃料極支持型の単セルの平面図を示す。燃料極支持型の単セルでは、薄い電解質11の構造を厚い燃料極12が支えており、電解質11のもう一つの面には空気極13が形成されている。
燃料極支持型、電解質支持型のいずれの型のSOFCについても、隣接する単セル同士を電気的に接続すると同時に燃料極と空気極のそれぞれに燃料ガスと酸化剤ガスを適正に分配、供給し排出する目的で、上述のセパレータ(インターコネクタまたはスペーサ)と単セルとが交互に積層される。
ところで、このようなSOFCでは、流通する燃料ガス、酸化剤ガス、燃料極オフガス、空気極オフガスはすべて気体であり、しかもSOFCの作動温度が600℃以上と高いことから、セパレータ相互間やセパレータと電池間でのシールが不十分であるとガス漏れが生じて電池として致命的となる。そこで、そのためのシール材やシール箇所の構造上の改良について幾つかの提案がなされている(特許文献1参照)。
また、燃料極支持型のSOFCでは、発電時にセル支持体である燃料極を還元雰囲気に保たなければならない制約があるため、発電時の電流に応じて発電効率を損なわない最適な燃料ガスをセルに供給することが、電解質支持型のセルを用いる場合にくらべて困難であった。このような課題を解決するために、従来はセルを円形にし、シールをセルの外縁部で行い、セルの中央部から外周部に向けて燃料ガスを供給するなど複雑なスタック構造を用いてきた(特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献2、特許文献3、特許文献4に開示された複雑な構造のSOFCでは、スタックの厚みが増加するため、小型で安価なSOFCスタックを構成しにくいという問題点があった。
また、SOFCスタックのサイズ縮小やコスト削減のために、セルの中央部から外周部に向けて燃料ガスを供給する方式に代えて、セルの一端から他端に向けて燃料ガスを供給する方式を採用した場合、セルの外縁部とセルを収納するセルフレームとの間に空隙が存在すると、燃料ガスの一部が燃料極面上を通過せずに空隙を経由して燃料ガス排出口に流れてしまい、燃料ガス利用率が低下し、発電効率が低下するという問題点があった。
また、SOFCスタックのサイズ縮小やコスト削減のために、セルの中央部から外周部に向けて燃料ガスを供給する方式に代えて、セルの一端から他端に向けて燃料ガスを供給する方式を採用した場合、セルの外縁部とセルを収納するセルフレームとの間に空隙が存在すると、燃料ガスの一部が燃料極面上を通過せずに空隙を経由して燃料ガス排出口に流れてしまい、燃料ガス利用率が低下し、発電効率が低下するという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、スタックの小型化を実現し、また高い発電効率を実現することができる燃料極支持型のSOFCスタックを提供することを目的とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池スタックは、固体酸化物形燃料電池セルを含むセル収容部と、前記セルの空気極に酸化剤ガスを供給し前記セルの燃料極に燃料ガスを供給する金属製のセパレータとを交互に積層する構造を有し、前記セル収容部は、平板型で燃料極支持型の固体酸化物形燃料電池セルと、このセルと同等の厚みの平板型の絶縁体からなり、中央部に前記セルを収納する貫通孔を有するセルフレームと、前記セルの電解質の外縁部と前記セルの周辺部に配置された前記セルフレームとを接合する第1の金属箔と、前記セルの燃料極の外縁部と前記セルフレームとを接合する第2の金属箔とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池スタックの1構成例において、前記セパレータは、前記セルの燃料極の周辺部から面方向に沿って前記燃料極に燃料ガスを供給することを特徴とするものである。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池スタックの1構成例において、前記セルと前記第1、第2の金属箔との接合、および前記セルフレームと前記第1、第2の金属箔との接合は、ガラスによる封着によって行われる。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池スタックの1構成例において、前記セルと前記第1、第2の金属箔との接合、および前記セルフレームと前記第1、第2の金属箔との接合は、ロウ材によるロウ付けによって行われる。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池スタックの1構成例において、前記セルと前記第1、第2の金属箔との接合、および前記セルフレームと前記第1、第2の金属箔との接合は、ガラスによる封着によって行われる。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池スタックの1構成例において、前記セルと前記第1、第2の金属箔との接合、および前記セルフレームと前記第1、第2の金属箔との接合は、ロウ材によるロウ付けによって行われる。
本発明によれば、固体酸化物形燃料電池スタックの小型化が可能であり、固体酸化物形燃料電池スタックを安価に構成することができる。また、本発明では、セルとセルフレームとの間の空隙に燃料ガスが流入することを防ぐことができるので、燃料極支持型特有のシールの問題を解決することができ、高い発電効率を実現することができる。
[発明の原理]
本発明は、燃料極と空気極がセラミックスの電解質を介して配置されるSOFCのセルが、平板型の燃料極で支持される燃料極支持型のセルであり、このセルの外周部にセルと同等の厚みでかつ絶縁性を有するセルフレームを配置することを特徴とする。
このセルフレームは、アルミナなどの絶縁性のセラミックスで構成することもできるし、金属と絶縁性のセラミックスやマイカなどを重ねることによっても構成できる。この際、金属とセラミックスは平坦性が十分な場合は単に当接するのみでも十分であるが、ロウ付けやガラス封着により接合してもよい。
本発明は、燃料極と空気極がセラミックスの電解質を介して配置されるSOFCのセルが、平板型の燃料極で支持される燃料極支持型のセルであり、このセルの外周部にセルと同等の厚みでかつ絶縁性を有するセルフレームを配置することを特徴とする。
このセルフレームは、アルミナなどの絶縁性のセラミックスで構成することもできるし、金属と絶縁性のセラミックスやマイカなどを重ねることによっても構成できる。この際、金属とセラミックスは平坦性が十分な場合は単に当接するのみでも十分であるが、ロウ付けやガラス封着により接合してもよい。
このとき、セルとセルフレームとを金属製の箔で接合することにより、セルとセルフレームはガスシールのされた一体の構造(セル収容部)となる。このセル収容部とセパレータとを交互に積層することにより、燃料極支持型のセルを複数枚積層し、その空気極、燃料極を互いにガスシールしつつ、空気極、燃料極にそれぞれ酸化剤ガス、燃料ガスを供給し、かつそれぞれのセルを電気的に直列に接続することが可能となり、実用的なSOFCスタックを構成することができる。
また、セルの電解質の外縁部とセルフレームとを金属箔で接合することは、セルのガスシールのために不可欠である。加えて、燃料極の外縁部とセルフレームとを金属箔で接合することにより、燃料極外縁部のガスシールが強固となるとともに、それによって、対抗する空気極が存在しないために本来発電には寄与しない燃料極外縁部に燃料ガス供給流路を設け、過剰な燃料を供給しなくとも、燃料極の酸化による破損を防ぐことができ、結果として、より少ない燃料で発電を行うことが可能となり、高い発電効率が実現できるSOFCスタックとなる。
また、セルとセルフレームへの金属製の箔の接合は、SOFCの動作温度付近で軟化するガラスによる封着によって実現することができる。
あるいは、セルとセルフレームへの金属製の箔の接合は、SOFCの動作温度より凡そ50℃程度高い温度でロウ付けすることによって実現することができる。
あるいは、セルとセルフレームへの金属製の箔の接合は、SOFCの動作温度より凡そ50℃程度高い温度でロウ付けすることによって実現することができる。
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に基づいて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施の形態に限定されないことはもちろんである。図1は本発明の実施の形態に係る燃料極支持型SOFCスタックの構造を示す分解断面図、図2(A)はセルとセルフレームとを金属製の箔で一体化したセル収容部の断面図、図2(B)はこのセル収容部の平面図である。
以下、本発明の実施の形態に基づいて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施の形態に限定されないことはもちろんである。図1は本発明の実施の形態に係る燃料極支持型SOFCスタックの構造を示す分解断面図、図2(A)はセルとセルフレームとを金属製の箔で一体化したセル収容部の断面図、図2(B)はこのセル収容部の平面図である。
燃料極支持型の単セル21は、平面視方形の平板型の構造をしている。この単セル21の詳細な構造は図6(A)、図6(B)に示したとおりである。単セル21の構成材料としては、一般に開発が行われているすべての材料系を適用することができる。例えば、電解質11として、Sc2O3およびAl2O3安定化ZrO2(SASZ)やイットリア安定化ジルコニア(YSZ)などのジルコニア系材料を用い、燃料極12としては、これらジルコニア系材料と酸化ニッケルとの混合サーメットを用いることができる。単セル21の厚みは、およそ0.3mmから1mmほどである。単セル21の面積は、必要とされる出力に応じて決められるが、おおよそ10〜1000cm2程度である。この場合、単セル21の600℃から1000℃までの平均熱膨張係数は、10×10-6〜11×10-6/K程度となる。
空気極13の材料には、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)などの一般的な空気極材料を用いることができる。ただし、本実施の形態では、合金製のセパレータを用いる観点から、SOFCの動作温度を800℃以下とすることが好ましい。したがって、空気極13の材料としては、低温での特性がより優れている、ランタンニッケルフェライト(LNF)やランタンストロンチウムコバルタイト(LSCo)などの材料を用いることが好ましい。
前述した単セル21を用いてSOFCスタックを構成するために、単セル21と同等の厚みで絶縁性を有するセルフレーム22を、単セル21を内包するように配置する。図3はセルフレーム22の平面図である。セルフレーム22には、燃料ガス供給用のマニホ−ルド29を構成する貫通孔220と、燃料ガス排出用のマニホールド30を構成する貫通孔221と、酸化剤ガス供給用のマニホ−ルド(図1では不図示)を構成する貫通孔222と、酸化剤ガス排出用のマニホールド(図1では不図示)を構成する貫通孔223と、単セル収納用の方形の貫通孔224とが形成されている。貫通孔224の径は、単セル21の外径よりも少し大きい寸法に設定されており、この貫通孔224の中に単セルが配置される。
このようなセルフレーム22は、アルミナやムライト、カルシア、ジルコニアなどのよく知られたセラミックスの単板で構成することができる。セルフレーム22の厚みは、単セル21の厚みと同等のおよそ0.3mmから1mmほどである。セルフレーム22の厚みと単セル21の厚みが異なると、後述する金属箔23,24に曲がりや折れが生じ、その部分に応力が発生する。このような応力が発生すると封着の精度が悪くなるために、シール性能が低下する恐れがある。したがって、セルフレーム22の厚みと単セル21の厚みは同じであることが望ましい。
単セル21とセルフレーム22とは、単セル21の外縁部とセルフレーム22とを被覆する形状の金属箔23,24を介して接合される。図2(A)、図2(B)に示すように、金属箔23,24には、燃料ガス供給用のマニホ−ルド29を構成する貫通孔230と、燃料ガス排出用のマニホールド30を構成する貫通孔231と、酸化剤ガス供給用のマニホ−ルド(図1では不図示)を構成する貫通孔232と、酸化剤ガス排出用のマニホールド(図1では不図示)を構成する貫通孔233と、単セル収納用の方形の貫通孔234とが形成されている。貫通孔234の径は、セルフレーム22の貫通孔224よりも小さい寸法に設定されており、金属箔23,24が単セル21の外縁部に掛かるように設定されている。
金属箔23,24には、フェライト系ステンレスなどが用いられる。この金属箔23,24は、電気伝導性よりも耐酸化性が重要であるため、AlやSiを含有するステンレス材料で構成することが好ましい。図1、図2(A)、図2(B)の例では、単セル21の表面(図1、図2(A)の上面)と裏面(図1、図2(A)の下面)の両方で単セル21とセルフレーム22の接合を行っており、単セル21の表面側に金属箔23を配置し、単セル21の裏面側に金属箔24を配置している。このように金属箔23,24を単セル21の両面に配置することで、燃料極12の外縁部に過剰の燃料ガスを供給することなく、単セル21を酸化による破損から守ることが可能となる。
単セル21と金属箔23,24との接合、およびセルフレーム22と金属箔23,24との接合は、ガラスによる封着、もしくはロウ材によるロウ付けによって実現することができる。このとき、接合を完成してセル収容部26の作製を完了するには、セル収容部26を加熱すればよい。
以上のようにして、単セル21とセルフレーム22と金属箔23,24によって構成されるセル収容部26が完成する。
以上のようにして、単セル21とセルフレーム22と金属箔23,24によって構成されるセル収容部26が完成する。
次に、平板型のセパレータ25について説明する。図4はセパレータ25の構造を示す斜視図である。セパレータ25には、燃料ガス供給用のマニホ−ルド29を構成する貫通孔250と、燃料ガス排出用のマニホールド30を構成する貫通孔251と、酸化剤ガス供給用のマニホ−ルド(図1では不図示)を構成する貫通孔252と、酸化剤ガス排出用のマニホールド(図1では不図示)を構成する貫通孔253とが形成されている。さらに、セパレータ25の燃料極側の面(図1、図4の上面)には、一端が貫通孔250と連通し他端が貫通孔251と連通する溝である燃料ガス流路254が形成されている。また、セパレータ25の空気極側の面(図1、図4の下面)には、一端が貫通孔252と連通し他端が貫通孔253と連通する溝である酸化剤ガス流路(不図示)が形成されている。
セパレータ25には、SUS430等のフェライト系ステンレス材料をはじめとする各種耐熱金属材料を用いることができる。ただし、セパレータ25は隣接する単セル間の電気的な接続を行うため、耐熱金属の表面にできる酸化皮膜の電気抵抗がなるだけ小さいことが好ましい。このため、セパレータ25の材料として、Alを含み、表面にAl2O3の皮膜ができる耐熱合金を使用することは好ましくない。また、酸化皮膜による抵抗の増加を抑制する意味でも、フェライト系ステンレス材料でもクロムの割合を20%−27%程度と高めた材料をセパレータ25の材料として用いることが好ましい。具体的には、セパレータ25には、crofer22APUやZMG232などSOFC向けに開発されているものの他、汎用のものでも例えばSUS445M2などを用いることができる。
なお、セパレータ25の構成方法はSOFCの性能を決める重要なものであり、本実施の形態に限定されることなく、さまざまな構造でセパレータ25を実現することができる。セパレータ25が如何様な構造であっても、その表裏面に酸化剤ガス、燃料ガスの流路があり、酸化剤ガスの流路が酸化剤ガスの供給排出用の貫通孔と連通し、燃料ガスの流路が燃料ガスの供給排出用の貫通孔と連通することは、本実施の形態と共通である。
セパレータ25を構成する代表的な耐熱金属材料の線熱膨張係数は11×10-6〜13×10-6/K程度であり、単セル21の熱膨張係数と比べて一般に大きい。したがって、単セル21とセパレータ25を積層してその外縁部をガスシールする際にはこの熱膨張特性の違いを吸収できるような方法でシールすることが望ましい。例えば、このようなシールは、ほう珪酸ガラスなど、SOFCの動作温度よりも軟化点の低いガラス材料を使うことで実現できる。
また、この単セル21とセパレータ25の積層では、単セル21とセパレータ25の熱膨張係数の差がサーマルサイクル時に問題とならないセルサイズであれば、上記のガラス材料によるシールの他に、金属ロウ付けによるシールを用いることもできる。例えば、セパレータ25の材料としてcrofer22APUやZMG232、SUS445M2などのフェライト系ステンレス材料を用いる場合には、凡そ単セル21の一辺が200mm以内であれば、ロウ付けを用いても問題が生じない。
単セル21の各電極とセパレータ25との電気的な接続は、燃料極12、空気極13、セパレータ25のそれぞれの表面の平坦性を確保することが困難なことから、変形できる集電材27,28を介して行うことが好ましい。
空気極13側の集電材27としては、白金、金、銀、銅などの貴金属の多孔体や発砲体、メッシュなどを用いることができるが、対酸化性と経済性のバランスから、電気伝導性酸化物粉末を有機物と混合してペースト状にしたものを用いることが好ましい。このようなペーストの電気伝導性酸化物には、LSC、LSCF、LSM、LNFなど、SOFCの空気極13に用いられる材料を用いることができる。
燃料極12側の集電材28としては、空気極13と同様の銀の多孔体や発砲体、メッシュのほかに、ニッケルの多孔体や発砲体、メッシュも用いることができる。
燃料極12側の集電材28としては、空気極13と同様の銀の多孔体や発砲体、メッシュのほかに、ニッケルの多孔体や発砲体、メッシュも用いることができる。
次に、本実施の形態のSOFCスタックの組み立て手順について簡単に説明する。まず、上記のようにセル収容部26を作製する。次に、セル収容部26とセパレータ25とを交互に積層してSOFCスタックを作製するが、このときセル収容部26の空気極13とセパレータ25の空気極側の面との間には集電材27を配置し、セル収容部26の燃料極12とセパレータ25の燃料極側の面との間には集電材28を配置する。さらに、金属箔23とセパレータ25との間、および金属箔24とセパレータ25との間には、上記のとおりガラスまたはロウからなるシール材を配置する。こうして、SOFCスタックの組み立てが完了する。また、SOFCスタックの上下から圧力を加えることによって、燃料極12とセパレータ25との更に良好な電気的接続、および空気極13とセパレータ25との更に良好な電気的接続を実現することができる。
なお、セル収容部26とセパレータ25を積層する際には、SOFCスタックの外縁部のガスシールと電極部の電気的接続とを両立させるよう、積層方向の各部品の寸法を十分に調整することが重要である。この調整が十分であるかは、SOFCスタックの初期特性から判断することができる。
次に、酸化剤ガスと燃料ガスの流れについて簡単に説明する。セルフレーム22の貫通孔220と金属箔23,24の貫通孔230とセパレータ25の貫通孔250とは、セル収容部26とセパレータ25の積層後は燃料ガス供給用のマニホ−ルド29を構成する。セルフレーム22の貫通孔221と金属箔23,24の貫通孔231とセパレータ25の貫通孔251とは、セル収容部26とセパレータ25の積層後は燃料ガス排出用のマニホールド30を構成する。セルフレーム22の貫通孔222と金属箔23,24の貫通孔232とセパレータ25の貫通孔252とは、セル収容部26とセパレータ25の積層後は酸化剤ガス供給用のマニホ−ルド(図1では不図示)を構成する。セルフレーム22の貫通孔223と金属箔23,24の貫通孔233とセパレータ25の貫通孔253とは、セル収容部26とセパレータ25の積層後は酸化剤ガス排出用のマニホールド(図1では不図示)を構成する。
酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給用のマニホ−ルドからセパレータ25の酸化剤ガス流路(不図示)を通って空気極13の面に均一に分配される。使用済みの酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路を通って酸化剤ガス排出用のマニホールドから外部に排出される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給用のマニホ−ルド29からセパレータ25の燃料ガス流路254を通って燃料極12の面に均一に分配される。使用済みの燃料ガスは、燃料ガス流路254を通って燃料ガス排出用のマニホールド30から外部に排出される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス供給用のマニホ−ルド29からセパレータ25の燃料ガス流路254を通って燃料極12の面に均一に分配される。使用済みの燃料ガスは、燃料ガス流路254を通って燃料ガス排出用のマニホールド30から外部に排出される。
図5はセル収容部26とセパレータ25の積層後の単セル21とセルフレーム22との空隙部分を拡大した断面図である。空気極側のみの金属箔23でガスシールを行うと、燃料極側と空気極側のガスシールを確保することはできるが、下部の燃料ガス流路254から単セル21とセルフレーム22との間の空隙31に燃料ガスが流入し、単セル側面を経由して燃料ガスが排出されてしまうので、燃料ガス利用率が低下する。これに対して、本実施の形態では、燃料ガス流路254と空隙31との間にも金属箔24を配置するので、空隙31に燃料ガスが流入することを防ぐことができ、燃料ガス利用率を向上させることができる。なお、金属箔24のみのガスシールでは、燃料極12が多孔質であるため、燃料極側と空気極側のガスシールを確保することはできない。
本実施の形態では、燃料極12の周辺部から面方向に沿って燃料極12に燃料ガスを供給し、また空気極13の周辺部から面方向に沿って空気極13に酸化剤ガスを供給することにより、単セル21の厚みおよびガス供給に必要となるセパレータ25の厚み以外に余分なスペースを必要としないため、SOFCスタックの小型化が可能である。このような構造は必然的に簡便になるため、SOFCスタックを安価に構成することができる。
また、本実施の形態では、単セルとセルフレームとの間の空隙に燃料ガスが流入することを防ぐことができるので、燃料極支持型特有のシールの問題を解決することができ、高い発電効率を実現することができる。
また、本実施の形態では、単セルとセルフレームとの間の空隙に燃料ガスが流入することを防ぐことができるので、燃料極支持型特有のシールの問題を解決することができ、高い発電効率を実現することができる。
なお、本実施の形態では、平面視方形の単セルの場合について説明しているが、これに限るものではなく、平面視円形の単セルなどあらゆる形の単セルに本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、金属箔23,24はセルフレーム全面を被覆する形で配置されているが、セルフレーム22のセル外周部に隣接する部分のみを被覆する形態でも構わない。ただし、本実施の形態のような内部マニホールド方式では、セルフレーム22のセル外周部に隣接する部分のみを金属箔で被覆する場合、セルフレーム22とセパレータ25との間に金属箔の厚さ分の隙間が発生してしまうため、マニホールド周囲に別途ガスケット等を配置する必要がある。
また、本実施の形態では、金属箔23,24はセルフレーム全面を被覆する形で配置されているが、セルフレーム22のセル外周部に隣接する部分のみを被覆する形態でも構わない。ただし、本実施の形態のような内部マニホールド方式では、セルフレーム22のセル外周部に隣接する部分のみを金属箔で被覆する場合、セルフレーム22とセパレータ25との間に金属箔の厚さ分の隙間が発生してしまうため、マニホールド周囲に別途ガスケット等を配置する必要がある。
本発明は、固体酸化物形燃料電池に適用することができる。
11…電解質、12…燃料極、13…空気極、21…単セル、22…セルフレーム、23,24…金属箔、25…セパレータ、26…セル収容部、27,28…集電材、29,30…マニホールド、220,221,222,223,224,230,231,232,233,234,250,251,252,253…貫通孔、254…燃料ガス流路。
Claims (4)
- 固体酸化物形燃料電池セルを含むセル収容部と、前記セルの空気極に酸化剤ガスを供給し前記セルの燃料極に燃料ガスを供給する金属製のセパレータとを交互に積層する構造を有し、
前記セル収容部は、
平板型で燃料極支持型の固体酸化物形燃料電池セルと、
このセルと同等の厚みの平板型の絶縁体からなり、中央部に前記セルを収納する貫通孔を有するセルフレームと、
前記セルの電解質の外縁部と前記セルの周辺部に配置された前記セルフレームとを接合する第1の金属箔と、
前記セルの燃料極の外縁部と前記セルフレームとを接合する第2の金属箔とを備えることを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタック。 - 請求項1記載の固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、
前記セパレータは、前記セルの燃料極の周辺部から面方向に沿って前記燃料極に燃料ガスを供給することを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタック。 - 請求項1または2記載の固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、
前記セルと前記第1、第2の金属箔との接合、および前記セルフレームと前記第1、第2の金属箔との接合は、ガラスによる封着によって行われることを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタック。 - 請求項1または2記載の固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、
前記セルと前記第1、第2の金属箔との接合、および前記セルフレームと前記第1、第2の金属箔との接合は、ロウ材によるロウ付けによって行われることを特徴とする固体酸化物形燃料電池スタック。
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