JP3774445B2 - 燃料電池用容器および燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質部材を収容可能なセラミックスから成る小型で高信頼性の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、これまでよりも低温で動作する小型燃料電池の開発が活発になされている。燃料電池には、これに用いる電解質の種類により、固体高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:以下、PEFCと記す)やリン酸型燃料電池、あるいは固体電解質型燃料電池といったものが知られている。
【0003】
中でもPEFCは、作動温度が80〜100℃程度という低温であり、
(1)出力密度が高く、小型化・軽量化が可能である、
(2)電解質が腐食性でなく、しかも作動温度が低いため、耐食性の面から電池構成材料の制約が少ないので、コスト低減が容易である、
(3)常温で起動できるため、起動時間が短い、
といった優れた特長を有している。このためPEFCは、以上のような特長を活かして、車両用の駆動電源や家庭用のコジェネレーションシステム等への適用ばかりでなく、携帯電話・PDA(Personal Digital Assistants)・ノートパソコン・デジタルカメラやビデオ等の出力が数W〜数十Wの携帯電子機器用の電源としての用途が考えられてきている。
【0004】
PEFCは、大別して、例えば、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子が付着した炭素電極から成る燃料極(アノード)と、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極から成る空気極(カソード)と、燃料極と空気極との間に介装されたフィルム状の電解質部材(以下、電解質部材と記す)とを有して構成されている。ここで、燃料極には、改質部を介して抽出された水素ガス(H)が供給され、一方、空気極には、大気中の酸素ガス(O)が供給されることにより、電気化学反応により所定の電気エネルギーが生成(発電)され、負荷に対する駆動電源(電圧/電流)となる電気エネルギーが生成される。
【0005】
具体的には、燃料極に水素ガス(H)が供給されると、次の化学反応式(1)に示すように、上記触媒により電子(e)が分離した水素イオン(プロトン;H)が発生し、電解質部材を介して空気極側に通過するとともに、燃料極を構成する炭素電極により電子(e)が取り出されて負荷に供給される。
【0006】
3H → 6H+6e ・・・(1)
一方、空気極に空気が供給されると、次の化学反応式(2)に示すように、上記触媒により負荷を経由した電子(e)と電解質部材を通過した水素イオン(H)と空気中の酸素ガス(O)とが反応して水(HO)が生成される。
【0007】
6H+3/2O+6e → 3HO ・・・(2)
このような一連の電気化学反応(式(1)および式(2))は、概ね80〜100℃の比較的低温の温度条件で進行し、電力以外の副生成物は基本的に水(HO)のみとなる。
【0008】
電解質部材を構成するイオン導電膜(交換膜)は、スルホン酸基を持つポリスチレン系の陽イオン交換膜、フルオロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフルオライドとの混合膜、フルオロカーボンマトリックスにトリフルオロエチレンをグラフト化したもの等が知られており、最近ではパーフルオロカーボンスルホン酸膜(例えばナフィオン:商品名、デュポン社製)等が用いられている。
【0009】
図3に、従来の燃料電池(PEFC)の構成を断面図で示す。同図において、21はPEFC、23は電解質部材、24および25は電解質部材を挟持するように電解質部材23上に配置され、ガス拡散層および触媒層としての機能を有する一対の多孔質電極、すなわち燃料極および空気極であり、26はガスセパレータ、28は燃料流路、29は空気流路である。
【0010】
ガスセパレータ26は、ガスセパレータ26の外形を形成する積層部およびガス流入出枠と、燃料流路28と空気流路29とを分離するセパレータ部と、このセパレータ部を貫通するように設けられた、電解質部材23の燃料極24および空気極25に対応するように配置された電極とから構成されている。電解質部材23の燃料極24・空気極25が電気的に直列および/または並列に接続されるようにガスセパレータ26を介して多数積層して電池の最小単位である燃料電池スタックとし、この燃料電池スタックを箱体に収納したものが一般的なPEFC本体である。
【0011】
ガスセパレータ26に形成された燃料流路28を通して燃料極24には改質器から水蒸気を含む燃料ガス(水素に富むガス)が供給され、また、空気極25には空気流路29を通して大気中から酸化剤ガスとして空気が供給され、電解質部材23での化学反応により発電される。
【0012】
〔特許文献1〕
特開2001−266910号公報
〔特許文献2〕
特表2001−507501号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような高電圧・高容量の電池として従来より提案され開発されている燃料電池21は、スタック構造を有し構成要素が大面積化された大重量で大型の電池であり、小型電池としての燃料電池の利用は、従来はほとんど考えられていなかった。
【0014】
すなわち、このような燃料電池21における従来のガスセパレータ26には、これを用いて電解質部材23を積層した積層体において、電解質部材23の側面が外部に露出していることによって、携帯時の落下等により損傷を受けやすく、燃料電池21全体の機械的信頼性を確保し難いという問題点があった。
【0015】
また、携帯電子機器に燃料電池21を搭載するためには、従来の大型燃料電池用容器とは異なった、コンパクト性・簡便性・安全性に優れる燃料電池用容器が必要になる。すなわち、汎用の化学電池のようなポータブル電源として適用するためには、作動温度までの温度上昇を短時間化するために、また熱容量を小さくするために、燃料電池用容器を小型化・低背化する必要があるが、従来の燃料電池21では熱容量の割合の大部分を占めるガスセパレータ26は、特にカーボン板の表面に切削加工で流路形成されるガスセパレータ26の場合など、薄肉化すると脆くなるため、数mmの厚みが必要である。このため、小型化・低背化が困難であるという問題点もあった。
【0016】
また、電解質部材23において、一連の電気化学反応により発電が行なわれると、電解質部材23が高温となり、それに伴って高温になった燃料電池21が皮膚等に触れた場合に、やけど等を発生させたりして実用上不具合を生じてしまうという問題点があった。
【0017】
さらに、外部への放熱を抑えることが困難である構造であるために、電解質部材23の温度分布のばらつきが発生しやすく、例えば燃料電池21における燃料極24と空気極25との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができず、燃料極24・空気極25に発電むらを発生させてしまうという問題点もあった。
【0018】
さらにまた、燃料電池21の端部に近い燃料極24・空気極25と中心部に位置する燃料極24・空気極25との間で温度差が生じてしまい、端部に位置する燃料極24・空気極25は、その温度が中心部に位置する燃料極24・空気極25の温度に対して相対的に低くなり、加湿過多となりやすく中心部の燃料極24・空気極25に比べて発電等の効率が悪くなるという問題点もあった。
【0019】
また、燃料電池21の出力電圧は、電解質部材23の表裏面の燃料極24・空気極25に供給されるガスの分圧によって決まる。すなわち、電解質部材23に供給された燃料ガスがガス流路28を進んで発電反応において消費されると、燃料極24の面上の燃料ガスの分圧が下がって出力電圧が下がる。これと同様に、空気も空気流路29を進んで消費されると、空気極25の面上の酸素の分圧が下がって出力電圧が下がる。従って、燃料ガスを均等に供給する必要があるが、従来の燃料電池21のガスセパレータ26は、特にカーボン板の表面に切削加工により流路を形成していることから、薄型化したときには流路の溝が狭くなるため、流路抵抗が大きくなり、均一なガス供給が困難であるという問題点もあった。
【0020】
また、複数の電解質部材23とその対向する燃料極24・空気極25とガスセパレータ26との組み合わせが、任意に効率よく直列接続または並列接続されて、全体の出力電圧および出力電流が調整されるようにする必要があるが、従来の燃料電池21では電解質部材23を挟む燃料極および空気極から電気を取り出すためには、外部に引き出し接続する方法か、もしくはガスセパレータ26を導電性材料として重ね合わせ直列接続する方法しかなく、小型燃料電池においてはそれが困難であるという問題点もあった。
【0021】
本発明は以上のような従来の技術の問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、電解質部材を収納可能な、小型で、堅牢な燃料電池用容器であり、また、外部への放熱を抑えることが可能で、ガスの均等供給・燃料電池容器内の温度勾配の均一化・高効率な電気接続・高効率な発電を図ることができる信頼性のある燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の燃料電池用容器は、下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、前記電解質部材の前記下側主面に対向する前記凹部の底面に形成された第1流体流路と、前記電解質部材の前記第1電極に対向する前記凹部の底面に前記基体と一体的に形成された第1配線導体と、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って取着される蓋体と、前記電解質部材の前記上側主面に対向する前記蓋体の下面に形成された第2流体流路と、前記電解質部材の前記第2電極に対向する前記蓋体の下面に前記蓋体と一体的に形成された第2配線導体と、前記基体の前記凹部の下方の一部分および前記蓋体の前記凹部の上方の一部分の少なくとも一方に形成された断熱層とを具備することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の燃料電池用容器は、上記構成において、前記断熱層は、多孔質セラミックスから成ることを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の燃料電池用容器は、上記構成において、前記断熱層は、中空部から成ることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の燃料電池用容器は、上記構成の本発明の燃料電池用容器の前記凹部に電解質部材を収容して、該電解質部材の前記下側および上側主面を前記第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体の供給あるいは排出が可能なように配置するとともに、前記第1および第2電極を前記第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って前記蓋体を取着して成ることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の燃料電池用容器によれば、下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、この基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って取着される蓋体とを具備していることから、気体等の流体の漏れがなく、この容器の他にパッケージ等の容器を設ける必要がないので、効率良く動作させることができる燃料電池を得ることができるとともに、小型化にも有効なものとなる。また、凹部を上面に有するセラミックスから成る基体とこの凹部を封止する蓋体とで形成される箱体内に複数の電解質部材を収納して燃料電池とすることができるので、電解質部材が容器の外部に露出して損傷を受けたりすることがなく、燃料電池全体としての機械的信頼性が向上する。また、凹部および蓋体で構成される容器内部に一端が配設された第1および第2配線導体の他には電解質部材自体に無用な電気的接触をしないで済むので、信頼性および安全性の高い燃料電池を得ることができる。さらに、燃料電池用容器の構成材料としてセラミックスを用いたことにより、各種のガスを始めとする流体に対する耐食性に優れる燃料電池を得ることができる。
【0027】
また、電解質部材の下側主面に対向する凹部の底面に形成された第1流体流路と、電解質部材の上側主面に対向する蓋体の下面に形成された第2流体流路とを具備していることから、複数のそれぞれの流体流路は、電解質部材を挟んで、それぞれ対向する内壁面に設けられているため、電解質部材へ供給される流体の均一供給性を向上させることができる。このような流体経路によれば、例えば、流体が水素ガスと空気(酸素)ガスとの場合に、電解質部材が下側および上側主面にそれぞれ有する第1および第2電極に供給される各ガス分圧が下がることはなく、所定の安定した出力電圧を得ることができるという効果がある。さらに、供給される流体の圧力、例えばガス分圧が安定するため、燃料電池用容器の内部温度の分布が均一化され、その結果、電解質部材に生じる熱応力を抑制することができ、燃料電池の信頼性を向上させることができる。
【0028】
さらにまた、それぞれの流体流路は基体と蓋体とに形成されるため、各流路の密閉性に優れ、本来は流路的に隔絶されるべき2種類の原料流体(例えば酸素ガスと水素ガスもしくはメタノール等)が混合してしまうことによって燃料電池としての機能が発現されなくなるようなことがなく、また、可燃性の流体が高温で混合された後に引火・爆発を起こす危険性もないので、安全な燃料電池を提供することができる。
【0029】
また、凹部の底面の下方の部位および前記蓋体の前記凹部の上方に位置する部位の少なくとも一方に形成された断熱層を具備していることにより、電解質部材に近接した領域に断熱層を設置しているため、電解質部材や電極を所望の温度に保ち、かつ燃料電池用容器の外壁が高温となるのを抑え、さらに電解質部材の温度分布のばらつきを効果的に抑えることができる。そのため、電解質部材が高温となった場合でも、燃料電池容器の外表面への伝熱が断熱層によって抑制されるため、燃料電池が、皮膚等に触れた場合においてもやけど等を発生させたりするような高温になることはない。また、燃料電池における燃料極と空気極との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができ、各電極の発電むらの発生を抑えることが可能となる。また、燃料電池の端部に近い各電極と中心部に位置する各電極との温度差を無くし、かつ端部に位置する各電極の温度が中心部に位置する各電極の温度に対して相対的に低くなることを抑えることができるため、加湿過多となることによる発電等の効率の悪化を抑えることができる。
【0030】
また、効率的な化学反応のためには、電解質部材の温度を概ね80〜100℃に上げることが好ましいが、本発明の燃料電池用容器によれば、上記のような断熱層を具備していることから、燃料の温度を上昇させるための付加装置が不要であり、電解質部材の温度を最適に保持することができ、化学反応の効率を上げることが可能である。特に、メタノールを直接燃料とするDMFC(Direct Methanol Fuel Cell)の燃料電池においては、供給される燃料によって電解質部材が冷却されやすいため、本発明の燃料電池用容器によれば、内蔵された断熱層が電解質部材の温度を保持するのに特に効果を発揮し、さらには、小型化と携帯性に優れる燃料電池用容器となる。
【0031】
また、空気極にて化学反応式(2)で生成される水が多孔質の電極に滞留すると、空気の供給が妨げられて化学反応の効率が低下するという問題が発生するが、本発明の燃料電池用容器によれば、発生した水蒸気が燃料電池内にて液化するのを断熱層をよって抑制することができ、これにより、効率低下を抑制することが可能である。
【0032】
また、本発明の燃料電池用容器によれば、断熱層は、多孔質セラミックスから成るものとすることが好ましい。断熱層を多孔質セラミックスから成るものとしたときには、多孔質セラミックスは内部に多数の微細な空洞を有するため、良好な保温効果を有する断熱層として機能し、燃料電池用容器の外表面が高温になるのを抑えることができるため、電解質部材が高温となった場合でも、燃料電池容器に皮膚等が触れた場合においてもやけど等を発生させたりすることがなく、電解質部材の温度分布のばらつきを効果的に抑えることができ、かつ燃料電池における燃料極と空気極との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができ、各電極の発電むらの発生を抑えることが可能となる好ましいものとなる。
【0033】
また、本発明の燃料電池用容器によれば、断熱層は、中空部から成るものとすることが好ましい。断熱層を中空部から成るものとしたときには、中空部は内部が空洞であるため、良好な保温効果を有する断熱層として機能し、燃料電池用容器の外表面が高温になるのを抑えることができるため、電解質部材が高温となった場合でも、燃料電池容器に皮膚等が触れた場合においてもやけど等を発生させたりすることがなく、電解質部材の温度分布のばらつきを効果的に抑えることができ、かつ燃料電池における燃料極と空気極との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができ、各電極の発電むらの発生を抑えることが可能となる好ましいものとなる。
【0034】
また、本発明の燃料電池によれば、本発明の燃料電池用容器の凹部に電解質部材を収容して、この電解質部材の下側および上側主面を第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体の供給あるいは排出が可能なように配置するとともに、第1および第2電極を第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って蓋体を取着して成ることから、以上のような本発明の燃料電池用容器による特長を備えた、小型・堅牢で、外部への放熱を抑えることが可能で、ガスの均等供給・燃料電池容器内の温度勾配の均一化・高効率な電気接続・高効率な発電を図ることができる信頼性のある燃料電池を得ることができる。
【0035】
従って、本発明の燃料電池用容器および燃料電池によれば、コンパクト性・簡便性・安全性に優れ、流体の均等供給・高効率な電気接続・高効率な発電により、長期にわたり安定して作動させることができる燃料電池を提供することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0037】
図1は本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池について実施の形態の一例を示す断面図である。これらの図において、1は燃料電池、2は燃料電池用容器、3は電解質部材、4は第1電極、5は第2電極、6は基体、7は蓋体、8は第1流体流路、9は第2流体流路、10は第1配線導体、11は第2配線導体、12は断熱層、13は連結部、14は導入部である。
【0038】
電解質部材3は、板状の固体電解質である例えばイオン導電膜(交換膜)の両主面上に、下側主面に形成された第1電極4および上側主面に形成された第2電極5にそれぞれ対向するように、アノード側電極となる燃料極(図示せず)と、カソード側電極となる空気極(図示せず)とが一体的に形成されている。そして、電解質部材3で発電された電流を第1電極4および第2電極5へ流し、外部へ取り出すことができるものとなっている。
【0039】
このような電解質部材3のイオン導電膜(交換膜)は、パーフルオロカーボンスルフォン酸樹脂、例えばナフィオン(商品名、デュポン社製)等のプロトン伝導性のイオン交換樹脂により構成されている。また、燃料極および空気極は、多孔質状態のガス拡散電極であり、多孔質触媒層とガス拡散層の両方の機能を兼ね備えるものである。これらの燃料極および空気極は、白金・パラジウムあるいはこれらの合金等の触媒を担持した導電性微粒子、例えばカーボン微粒子をポリテトラフルオロエチレンのような疎水性樹脂結合剤により保持した多孔質体によって構成されている。
【0040】
電解質部材3の下側主面の第1電極4および上側主面の第2電極5は、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子の付いた炭素電極を電解質部材3上にホットプレスする方法、または、白金や白金−ルテニウム等の触媒微粒子の付いた炭素電極材料と電解質材料を分散した溶液との混合物を電解質上に塗布または転写する方法等により形成される。
【0041】
本発明の燃料電池用容器2は、凹部を有する基体6と蓋体7とから成り、電解質部材3を凹部の内部に搭載して気密に封止する役割を持ち、酸化アルミニウム(Al)質焼結体・ムライト(3Al・2SiO)質焼結体・炭化珪素(SiC)質焼結体・窒化アルミニウム(AlN)質焼結体・窒化珪素(Si)質焼結体・ガラスセラミックス焼結体等のセラミックス材料で形成されている。
【0042】
なお、ガラスセラミックス焼結体はガラス成分とフィラー成分とから成るが、ガラス成分としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである),SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−M O系(但し、Mは前記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等が挙げられる。
【0043】
また、フィラー成分としては、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等が挙げられる。
【0044】
燃料電池用容器2は、凹部を有する基体6と蓋体7とから成り、基体6の凹部の周囲に凹部を覆って蓋体7を取着することによって凹部を気密に封止するため、半田や銀ろう等の金属接合材料での接合、エポキシ等の樹脂材料での接合、凹部の周囲の上面に鉄合金等で作られたシールリング等を接合してシームウェルドやエレクトロンビームやレーザ等で溶接する方法等によって、蓋体7が基体6に取着される。なお、蓋体7にも基体6と同様の凹部を形成しておいてもよい。
【0045】
基体6および蓋体7は、それぞれ厚みを薄くし、本発明の燃料電池1の低背化を可能とするためには、機械的強度である曲げ強度が200MPa以上であることが好ましい。
【0046】
基体6および蓋体7は、例えば相対密度が95%以上の緻密質からなる酸化アルミニウム質焼結体で形成されていることが好ましい。その場合であれば、例えば、まず酸化アルミニウム粉末に希土類酸化物粉末や焼結助剤を添加・混合して、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末を調製する。次いで、この酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末に有機バインダおよび分散媒を添加・混合してペースト化し、このペーストからドクターブレード法によって、あるいは原料粉末に有機バインダを加え、プレス成形・圧延成形等によって、所定の厚みのグリーンシートを作製する。そして、このグリーンシートに対して、金型による打ち抜き・マイクロドリル・レーザ等により、第1流体流路8および第2流体流路9としての貫通穴、ならびに第1配線導体10および第2配線導体11を配設するための貫通孔を形成する。
【0047】
また、本発明の燃料電池1および燃料電池用容器2は、基体6の凹部の下方の部位および蓋体7の凹部の上方に位置する部位の少なくとも一方に、断熱層12が形成されている。この例では両方に断熱層12が形成されており、基体6の断熱層12は、凹部の下方の第1流体流路8の下方に基体6の内部のほぼ全面にわたって形成されており、蓋体7の断熱層12は、第2流体流路9がこの断熱層12を貫通するように蓋体7の内部のほぼ全面にわたって形成されている。断熱層12をこのように形成したときには、電解質部材3の主面に対向配置されているため、化学反応で生じた熱が断熱層12により遮断され、燃料電池用容器2の外表面が高温になるのを抑えることが容易であり、さらには、電解質部材3の温度を最適に保持することができ、化学反応の効率を上げることに効果がある。これにより、燃料電池1の発電効率を上げることが可能なため、任意の出力に対し、電解質部材3のサイズを小型化することができ、携帯性に優れる小型化・低背化に寄与する燃料電池1となる。また、基体6の凹部の側面に位置する部位および蓋体7の側面に位置する部位に断熱層12を設けてもよい。
【0048】
多孔質セラミックスから成る断熱層12を形成する場合においては、多孔質グリーンシートを、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末から成る基体6または蓋体7となるグリーンシート積層体中の所定の層として積層し焼成することにより形成できる。多孔質グリーンシートを作製するためには、例えば、電融アルミナおよび電融ムライトから成る粒径が10〜150μmの骨材を用いて、骨材中の電融アルミナおよび焼結アルミナおよび電融ムライトの組成割合を、骨材50〜85質量%と結合材15〜50質量%とを用いて得られるアルミナ・ムライト系多孔質グリーンシートにおいて、Al:85〜95質量%およびSiO:5〜15質量%および不可避の不純物を含む状態となるように適切に選定すればよい。そして、所定量の骨材に有機バインダ・有機溶剤・可塑剤等を添加し、この多孔質セラミックス紛末に希土類酸化物粉末や焼結助剤を添加・混合してスラリーとするとともに、そのスラリーにドクターブレード法やカレンダロール法を採用することによって多幸質グリーンシートを成形すればよい。そして、このアルミナ・ムライト系多孔質グリーンシートに対して、金型による打ち抜き・マイクロドリル・レーザ等により、所望の形状に打ち抜きした後、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末から成るグリーンシートの積層体中の所定の層となるように積層し焼成すればよい。
【0049】
また、焼結体である多孔質セラミックスから成る断熱層12を形成する場合においては、例えば、焼結体アルミナ・ムライト系多孔質セラミックスの所定の個所にガラスボンド層としてガラスを含有したペーストを塗布し、酸化アルミニウム質焼結体の所定の層に貼り合わせ、還元雰囲気において300〜500℃の温度で積層体を熱処理して形成すればよい。また、焼結体アルミナ・ムライト系多孔質セラミックスの所定の個所に高耐熱エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂から成る接着剤を塗布し、酸化アルミニウム質焼結体の所定の層に貼り合わせて形成してもよい。
【0050】
また、中空部から成る断熱層12を形成する場合においては、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末から成るグリーンシートにあらかじめ金型による打ち抜き・マイクロドリル・レーザ等により、所定の位置および所望の形状に打ち抜きを行なった後、このグリーンシートを酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末から成るグリーンシートの積層体中の所定の層となるように積層し焼成すればよい。この中空部の形状としては丸穴または角穴のどちらでもよく、大きさおよび数としては、大きければ大きいほど、また多ければ多いほど断熱層12としての効果が大きいものとなるが、燃料電池用容器2の強度の問題を考慮して設計する必要がある。
【0051】
このような断熱層12は、流体流路8・9と基体6および蓋体7の外面との間に位置する部位に配置され、厚みが0.1mm以上であることが好ましい。厚みが0.1mm未満では、断熱層12における熱伝導の制限作用が不足しがちなため、燃料電池1の外表面が高温になるのを抑えることが困難となる傾向がある。他方、厚みが5mmを超えると、薄型化・低背化が困難となるため、小型携帯機器に搭載する燃料電池1としては不適切となる。また、電解質部材3が発電する際に生じる温度分布は、電解質部材3の主面中心部分において温度が高くなる傾向であるため、断熱層12が中空部である場合には、電解質部材3の主面に対向して設けることが好ましいが、特に主面中心部分に対向する中空部の大きさや数(開口率)を大きくし、あるいは、中空部の厚みを厚くすることで、断熱層12による熱の遮断および電解質部材3の温度分布を調整することが可能である。
【0052】
第1配線導体10および第2配線導体11は、酸化を防ぐために、タングステンもしくはモリブデンまたはこれらの合金で形成されているのが好ましい。その場合であれば、例えば、無機成分としてタングステンもしくはモリブデン粉末100質量部に対して、Alを3〜20質量部,Nbを0.5〜5質量部の割合で添加してなる導体ペーストを調製する。この導体ペーストをグリーンシートの貫通孔内に充填して、貫通導体としてのヴィア導体を形成する。
【0053】
これらの導体ペースト中には、基体6や蓋体7のセラミックスとの密着性を高めるために、酸化アルミニウム粉末や、基体6や蓋体7を形成するセラミックス成分と同一の組成物粉末を、例えば0.05〜2体積%の割合で添加することも可能である。
【0054】
なお、基体6や蓋体7の表層および内層への第1配線導体10および第2配線導体11の形成は、貫通孔へ導体ペーストを充填してヴィア導体を形成する前後あるいはそれと同時に、同様の導体ペーストをグリーンシートに対しスクリーン印刷・グラヴィア印刷等の方法で所定パターンに印刷塗布して形成する。
【0055】
その後、導体ペーストを印刷し充填した所定枚数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、この積層体を、例えば非酸化性雰囲気中にて、焼成最高温度が1200〜1500℃の温度で焼成して、目的とするセラミックスの基体6や蓋体7および第1配線導体10・第2配線導体11を得る。
【0056】
また、セラミックスから成る基体6や蓋体7は、その厚みを0.2mm以上とすることが好ましい。厚みが0.2mm未満では、強度が不足しがちなため、基体6に蓋体7を取着したときに発生する応力により、基体6および蓋体7に割れ等が発生しやすくなる傾向がある。他方、厚みが5mmを超えると、薄型化・低背化が困難となるため、小型携帯機器に搭載する燃料電池としては不適切となり、また、熱容量が大きくなるため、電解質部材3の電気化学反応条件に相当する適切な温度にすばやく設定することが困難となる傾向がある。
【0057】
第1配線導体10および第2配線導体11は、それぞれ電解質部材3の第1電極4および第2電極5に電気的に接続されて、電解質部材3で発電された電流を燃料電池用容器2の外部へ取り出すための導電路として機能する。
【0058】
第1配線導体10は、基体6の凹部の底面の電解質部材3の第1電極4に対向する第1流体流路8の開口の周辺に、好ましくは電解質部材3の第1電極4が接触する部位の面の全域に一端が配設され、他端が基体6の外面(図1に示す例では側面)に導出されて形成されている。これにより、電解質部材3の第1電極4の主面の第1流体流路8の開口と対向する部位を除く部位の全域と第1配線導体10とを当接させて直接に接続することができ、電解質部材3の第1電極4と第1配線導体10との接触面積が大きくとれることから電気抵抗の増大化および接触不良を有効に抑えることができ、高い発電効率を有した燃料電池を提供することができる。このような第1配線導体10は、前述のように基体6と一体的に形成され、第1配線導体10を第1電極4に当接させやすいように基体6の凹部の底面より、10μm以上高くするように形成するのが望ましい。この高さを得るためには、前述したように導体ペーストを印刷塗布して形成する際に、印刷条件を厚くするように設定すればよい。また、第1配線導体10は第1電極4に対向させて複数配置し、第1配線導体10による電気損失を減少させるようにしてもよく、第1配線導体10の基体6の貫通部についてはφ50μm以上の径とすることが好ましい。
【0059】
また、第2配線導体11は、蓋体7の下面の電解質部材3の第2電極5に対向する第2流体流路9の開口の周辺に、好ましくは電解質部材3の第2電極5が接触する部位の面の全域に一端が配設され、他端が蓋体7の外面(図1に示す例では側面)に導出されて形成されている。これにより、電解質部材3の第2電極5の主面の第2流体流路9の開口と対向する部位を除く部位の全域と第2配線導体11とを当接させて直接に接続することができ、電解質部材3の第2電極5と第2配線導体11との接触面積が大きくとれることから電気抵抗の増大化および接触不良を有効に抑えることができ、高い発電効率を有した燃料電池を提供することができる。このような第2配線導体11も、第1配線導体10と同様に、蓋体7と一体的に形成され、第2配線導体11を第2電極5に当接させやすいように蓋体7の凹部の底面より、10μm以上高くするように形成するのが望ましい。この高さを得るためには、前述したように導体ペーストを印刷塗布して形成する際に、印刷条件を厚くするように設定すればよい。また、第2配線導体11は第2電極5に対向させて複数配置し、第2配線導体11による電気損失を減少させるようにしてもよく、第2配線導体11の蓋体7の貫通部についてはφ50μm以上の径とすることが好ましい。
【0060】
これら第1配線導体10および第2配線導体11には、その露出する表面にニッケルから成る良導電性で、かつ耐蝕性およびロウ材との濡れ性が良好な金属をメッキ法により被着させておくと、第1配線導体10および第2配線導体11と、第1配線導体10および第2配線導体11ならびに外部電気回路との電気的接続を良好とすることができる。従って、第1配線導体10および第2配線導体11は、その露出する表面にニッケルから成る良導電性で、かつ耐蝕性およびロウ材との濡れ性が良好な金属をメッキ法により被着させておくことが好ましい。
【0061】
そして、これら第1および第2配線導体10・11と第1および第2電極4・5との電気的な接続は、基体6と蓋体7とで電解質部材3を挟み込むことによって、第1および第2配線導体10・11と第1および第2電極4・5とを圧着接触させて電気的接続させる等の構成によって行なえばよい。
【0062】
また、第1電極4および第2電極5に対向する基体6の凹部の底面および蓋体7の下面には、それぞれ第1流体流路8および第2流体流路9が配置されており、第1流体流路8は基体6の外面にかけて、また第2流体流路9は蓋体7の外面にかけて形成されている。これら第1および第2流体流路8・9は、それぞれ基体6や蓋体7に形成した貫通穴あるいは溝によって、燃料ガス例えば水素に富む改質ガス、あるいは酸化剤ガス例えば酸素や空気等の、電解質部材3へ供給される流体の通路として、あるいは反応で生成される水や二酸化炭素等の、反応後に電解質部材3から排出される流体の通路として設けられている。
【0063】
第1流体流路8および第2流体流路9として基体6および蓋体7に形成される貫通穴あるいは溝は、電解質部材3に均等に燃料ガスや酸化剤ガス等の流体が供給されるように、燃料電池1の仕様に応じて、貫通穴の径や数、あるいは溝の幅・深さ・配置を決めればよい。
【0064】
本発明の燃料電池用容器2および燃料電池1においては、第1流体流路8および第2流体流路9は、好適には、電解質部材3に均一な圧力で流体を流すため、φ0.1mm以上の穴径、間隔を一定とし、あるいは、溝を形成する場合には、幅0.5mm以上、深さ0.2mm以上にして配置するようにするとよい。
【0065】
このように電解質部材3の第1電極4が形成された下側主面に対向させて第1流体流路8を、第2電極5が形成された上側主面に対向させて第2流体流路9を形成したことによって、電解質部材3の下側および上側主面と第1および第2流体流路8・9との間で流体がそれぞれの流路を通して供給あるいは排出されることとなる。そして、例えば流体としてガスを供給する場合であれば、電解質部材3の第1電極4および第2電極5にそれぞれ供給されるガス分圧が下がることをなくすことができ、所定の安定した出力電圧を得ることができる。さらに、供給されるガス分圧が安定するため、燃料電池1の内部圧力が均一化され、その結果、電解質部材3に生じる熱応力を抑制することができるので、燃料電池1の信頼性を向上させることができる。
【0066】
また、断熱層12は、基体6の凹部の下方の部位および蓋体7の凹部の上方に位置する部位の少なくとも一方に、電解質部材3の下側主面または上側主面を取り囲むように形成されている。断熱層12のパターンとしては、基体6の凹部の底面の第1流体流路8の開口の周辺および連結部13周辺の底板中に形成したり、蓋体7の中の第2流体流路9の開口の周辺に形成したりすればよく、図1に示すような、電解質部材3での電気化学反応による発熱を均一に断熱できるパターン形状であれば種々の形状のパターンとすることができる。
【0067】
以上の構成により、図1に示すような、電解質部材3を収納可能な、小型で堅牢な本発明の燃料電池用容器2が得られ、高効率制御が可能な本発明の燃料電池1が得られる。
【0068】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更を行なっても何ら差し支えない。例えば、図示していないが、電解質部材3と断熱層12との間に、発熱体を形成してもよい。発熱体の形成方法としては、金や銀,パラジウム,白金族の金属またはこれらの合金や、タングステン,チタン,窒化チタン,ニッケル等の高融点金属を使用することができる。また、発熱体には、金や銀,パラジウム,白金等の材質から成る給電部(図示せず)が形成され、この給電部に導通端子を押圧して接触させることにより、導通が確保されている。これにより、電解質部材3の温度を変更したり、電解質部材3の温度が変動した場合に、発熱体の給電部に供給する電流量を制御することにより、電解質部材3に温度むらが発生することを防止し、さらには、電解質部材3の温度分布を均一にすることが可能となる。さらには、作動温度までの温度上昇を短時間化でき、電解質部材3の温度制御をさらに効率的に行なうことが可能となり、携帯電子機器に燃料電池1を搭載するのに必要な、コンパクト性・簡便性・安全性に優れるものとなる。
【0069】
また、図2に本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた燃料電池の実施の形態の他の例を断面図で示すように、複数の凹部を有する基体6’の凹部のそれぞれに電解質部材3を収容するとともに、隣接する凹部の端部間にわたって第3配線導体15を配設し、複数の電解質部材3の第1電極4の間または第1電極4と第2電極5との間を電気的に接続し、両端となる位置に配置された電解質部材3に全体としての出力を取り出すように第1配線導体10’および第2配線導体11’をそれぞれに電気的に接続するようにしてもよい。これによれば、第1〜第3配線導体10’・11’・15により3次元的に自由に配線ができるため、複数の電解質部材3を任意に直列接続または並列接続することが可能となる。その結果、全体の出力電圧および出力電流を効率よく調整することが可能となるため、電解質部材3にて電気化学的に生成された電気を良好に外部に取り出すことができる燃料電池用容器2’および燃料電池1’となる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用容器によれば、下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、この基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って取着される蓋体とを具備していることから、気体等の流体の漏れがなく、この容器の他にパッケージ等の容器を設ける必要がないので、効率良く動作させることができる燃料電池を得ることができるとともに、小型化にも有効なものとなる。また、凹部を上面に有するセラミックスから成る基体とこの凹部を封止する蓋体とで形成される箱体内に複数の電解質部材を収納して燃料電池とすることができるので、電解質部材が容器の外部に露出して損傷を受けたりすることがなく、燃料電池全体としての機械的信頼性が向上する。また、凹部および蓋体で構成される容器内部に一端が配設された第1および第2配線導体の他には電解質部材自体に無用な電気的接触をしないで済むので、信頼性および安全性の高い燃料電池を得ることができる。さらに、燃料電池用容器の構成材料としてセラミックスを用いたことにより、各種のガスを始めとする流体に対する耐食性に優れる燃料電池を得ることができる。
【0071】
また、電解質部材の下側主面に対向する凹部の底面に形成された第1流体流路と、電解質部材の上側主面に対向する蓋体の下面に形成された第2流体流路とを具備していることから、複数のそれぞれの流体流路は、電解質部材を挟んで、それぞれ対向する内壁面に設けられているため、電解質部材へ供給される流体の均一供給性を向上させることができる。このような流体経路によれば、例えば、流体が水素ガスと空気(酸素)ガスとの場合に、電解質部材が下側および上側主面にそれぞれ有する第1および第2電極に供給される各ガス分圧が下がることはなく、所定の安定した出力電圧を得ることができるという効果がある。さらに、供給される流体の圧力、例えばガス分圧が安定するため、燃料電池用容器の内部温度の分布が均一化され、その結果、電解質部材に生じる熱応力を抑制することができ、燃料電池の信頼性を向上させることができる。
【0072】
さらにまた、それぞれの流体流路は基体と蓋体とに形成されるため、各流路の密閉性に優れ、本来は流路的に隔絶されるべき2種類の原料流体(例えば酸素ガスと水素ガスもしくはメタノール等)が混合してしまうことによって燃料電池としての機能が発現されなくなるようなことがなく、また、可燃性の流体が高温で混合された後に引火・爆発を起こす危険性もないので、安全な燃料電池を提供することができる。
【0073】
また、凹部の底面の下方の部位および前記蓋体の前記凹部の上方に位置する部位の少なくとも一方に形成された断熱層を具備していることにより、電解質部材に近接した領域に断熱層を設置しているため、電解質部材や電極を所望の温度に保ち、かつ燃料電池用容器の外壁が高温となるのを抑え、さらに電解質部材の温度分布のばらつきを効果的に抑えることができる。そのため、電解質部材が高温となった場合でも、燃料電池容器の外表面への伝熱が断熱層によって抑制されるため、燃料電池が、皮膚等に触れた場合においてもやけど等を発生させたりするような高温になることはない。また、燃料電池における燃料極と空気極との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができ、各電極の発電むらの発生を抑えることが可能となる。また、燃料電池の端部に近い各電極と中心部に位置する各電極との温度差を無くし、かつ端部に位置する各電極の温度が中心部に位置する各電極の温度に対して相対的に低くなることを抑えることができるため、加湿過多となることによる発電等の効率の悪化を抑えることができる。
【0074】
また、効率的な化学反応のためには、電解質部材の温度を概ね80〜100℃に上げることが好ましいが、本発明の燃料電池用容器によれば、上記のような断熱層を具備していることから、燃料の温度を上昇させるための付加装置が不要であり、電解質部材の温度を最適に保持することができ、化学反応の効率を上げることが可能である。特に、メタノールを直接燃料とするDMFC(Direct Methanol Fuel Cell)の燃料電池においては、供給される燃料によって電解質部材が冷却されやすいため、本発明の燃料電池用容器によれば、内蔵された断熱層が電解質部材の温度を保持するのに特に効果を発揮し、さらには、小型化と携帯性に優れる燃料電池用容器となる。
【0075】
また、空気極にて化学反応式(2)で生成される水が多孔質の電極に滞留すると、空気の供給が妨げられて化学反応の効率が低下するという問題が発生するが、本発明の燃料電池用容器によれば、発生した水蒸気が燃料電池内にて液化するのを断熱層をよって抑制することができ、これにより、効率低下を抑制することが可能である。
【0076】
また、本発明の燃料電池用容器によれば、断熱層は、多孔質セラミックスから成るものとすることが好ましい。断熱層を多孔質セラミックスから成るものとしたときには、多孔質セラミックスは内部に多数の微細な空洞を有するため、良好な保温効果を有する断熱層として機能し、燃料電池用容器の外表面が高温になるのを抑えることができるため、電解質部材が高温となった場合でも、燃料電池容器に皮膚等が触れた場合においてもやけど等を発生させたりすることがなく、電解質部材の温度分布のばらつきを効果的に抑えることができ、かつ燃料電池における燃料極と空気極との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができ、各電極の発電むらの発生を抑えることが可能となる好ましいものとなる。
【0077】
また、本発明の燃料電池用容器によれば、断熱層は、中空部から成るものとすることが好ましい。断熱層を中空部から成るものとしたときには、中空部は内部が空洞であるため、良好な保温効果を有する断熱層として機能し、燃料電池用容器の外表面が高温になるのを抑えることができるため、電解質部材が高温となった場合でも、燃料電池容器に皮膚等が触れた場合においてもやけど等を発生させたりすることがなく、電解質部材の温度分布のばらつきを効果的に抑えることができ、かつ燃料電池における燃料極と空気極との間の発電効率のばらつきの低減を図ることができ、各電極の発電むらの発生を抑えることが可能となる好ましいものとなる。
【0078】
また、本発明の燃料電池によれば、本発明の燃料電池用容器の凹部に電解質部材を収容して、この電解質部材の下側および上側主面を第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体の供給あるいは排出が可能なように配置するとともに、第1および第2電極を第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、基体の凹部の周囲の上面に凹部を覆って蓋体を取着して成ることから、以上のような本発明の燃料電池用容器による特長を備えた、小型・堅牢で、外部への放熱を抑えることが可能で、ガスの均等供給・燃料電池容器内の温度勾配の均一化・高効率な電気接続・高効率な発電を図ることができる信頼性のある燃料電池を得ることができる。
【0079】
従って、本発明の燃料電池用容器および燃料電池によれば、コンパクト性・簡便性・安全性に優れ、流体の均等供給・高効率な電気接続・高効率な発電により、長期にわたり安定して作動させることができる燃料電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の燃料電池用容器およびそれを用いた本発明の燃料電池の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図3】従来の燃料電池の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、1’:燃料電池
2、2’:燃料電池用容器
3:電解質部材
4:第1電極
5:第2電極
6、6’:基体
7、7’:蓋体
8、8’:第1流体流路
9、9’:第2流体流路
10、10’:第1配線導体
11、11’:第2配線導体
12、12’:断熱層
13:連結部
14:導入部
15:第3配線導体

Claims (4)

  1. 下側および上側主面にそれぞれ第1および第2電極を有する電解質部材を収容する凹部を上面に有するセラミックスから成る基体と、前記電解質部材の前記下側主面に対向する前記凹部の底面形成された第1流体流路と、前記電解質部材の前記第1電極に対向する前記凹部の底面に前記基体と一体的に形成された第1配線導体と、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って取着される蓋体と、前記電解質部材の前記上側主面に対向する前記蓋体の下面形成された第2流体流路と、前記電解質部材の前記第2電極に対向する前記蓋体の下面に前記蓋体と一体的に形成された第2配線導体と、前記基体の前記凹部の下方の一部分および前記蓋体の前記凹部の上方の一部分の少なくとも一方に形成された断熱層とを具備することを特徴とする燃料電池用容器。
  2. 前記断熱層は、多孔質セラミックスから成ることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用容器。
  3. 前記断熱層は、中空部から成ることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用容器。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の燃料電池用容器の前記凹部に電解質部材を収容して、該電解質部材の前記下側および上側主面を前記第1および第2流体流路との間でそれぞれの流体の供給あるいは排出が可能なように配置するとともに、前記第1および第2電極を前記第1および第2配線導体にそれぞれ電気的に接続し、前記基体の前記凹部の周囲の上面に前記凹部を覆って前記蓋体を取着して成ることを特徴とする燃料電池。
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