JP3846074B2 - 証券発行装置及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、手形や小切手等の証券を印刷発行する証券発行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の金融機関の事務センター等において行われている手形帳、小切手帳の発行業務に利用されている証券発行装置は、未使用の手形・小切手用紙を発行するためのものである。また、その証券発行装置によって発行される手形・小切手の券面は、手形交換所規則に準拠したフォーマットの手形・小切手要件が印刷され、具体的には、顧客毎の顧客名のカナ印字又は署名鑑や、MICR(Magnetic Ink Character Recognition:磁気インキ文字読取用字体)による口座番号等が印刷される。
【0003】
このような証券発行装置は、印刷スピードを得るため手形・小切手用紙を上下2連式のものを使用し、ページプリンタにおいてその用紙の券面に必要事項を印刷した後、その上下を2つにカットし、カット後にMICR文字を印字するという方式をとっている。また、その証券発行装置の排紙スタッカは2組2種類のものが設けられており、その一つはノーマルスタッカで、正常に印刷されたものを蓄え、もう一つはエラースタッカで、何らかのエラーが発生したものを蓄えるもので、該当券は書損として廃棄されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の証券発行装置は、ページプリンタによって券面印刷するが、重要用紙であるにも関わらず、MICR文字以外の券面の印刷チェックを行わないでいるのが現状である。なぜならば、証券発行装置のオペレータであるユーザ自身が券面のチェックを行うことを前提に、証券発行装置が作られているからである。従って、券面チェックはユーザの負担になっているために、手形・小切手を多量に印刷・発行する場合には、ユーザに係る負担が多大なものになっているのが現状である。
【0005】
本発明の課題は、証券2面分の券面の印刷状況を同時に検査することのできる証券発行装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の証券発行装置は、2つの証券を印字するための第1の印字データと、第2の印字データとを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された第1の印字データと、第2の印字データとを読み出して、2連式証券用紙の券面の上半分に当該第1の印字データを印字し、下半分に当該第2の印字データを印字する印字手段と、前記印字手段により印字された2連式証券用紙の券面イメージを一度に読み取る読取手段と、前記記憶手段に記憶された第1の印字データと、第2の印字データとに基づいて、前記2連式証券用紙の券面に印字されるべき照合用イメージデータを生成する生成手段と、前記生成手段により生成された照合用イメージデータと、前記読取手段により読み取られた券面イメージとを比較して、前記印字手段により印字された2連式証券用紙の印字状態が正常か否かを判定する判定手段と、を具備したことを特徴としている。
【0007】
この請求項1記載の発明の証券発行装置によれば、
記憶手段は、2つの証券を印字するための第1の印字データと、第2の印字データとを記憶し、印字手段は、前記記憶手段に記憶された第1の印字データと、第2の印字データとを読み出して、2連式証券用紙の券面の上半分に当該第1の印字データを印字し、下半分に当該第2の印字データを印字し、読取手段は、前記印字手段により印字された2連式証券用紙の券面イメージを一度に読み取り、生成手段は、前記記憶手段に記憶された第1の印字データと、第2の印字データとに基づいて、前記2連式証券用紙の券面に印字されるべき照合用イメージデータを生成し、前記生成手段により生成された照合用イメージデータと、前記読取手段により読み取られた券面イメージとを比較して、前記印字手段により印字された2連式証券用紙の印字状態が正常か否かを判定する。
【0008】
したがって、2連式証券用紙に2面分の券面を印字することによって、2枚の証券に係る印字を同時に行うことができるとともに、印字前のデータに基づいて印字されるべき照合用イメージデータを作成し、この照合用イメージデータと、印字された券面を読み取ったイメージデータとを比較することにより、当該2連式証券用紙の2面分の券面の印字状態を検査することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図18は、本発明の証券発行装置を適用した一実施の形態の証券発行システム500を示す図である。この証券発行システム500は、金融機関の事務センター等に設置されて、上記MICR文字を含む証券(手形、小切手)を印刷(または印字と呼ぶ)して発行するために利用される。
【0010】
以下、図1〜図18を参照して本発明を適用した証券発行システム500の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
まず、構成を説明する。
図1は、本実施の形態における証券発行システム500の全体の概略構成を示す図である。この図1において、証券発行システム500は、クライアント100と、ホストコンピュータ200と、LAN300とから構成されており、クライアント100と、ホストコンピュータ200とはLAN300を介して接続されている。
【0012】
証券発行システム500は、ホストコンピュータ200が証券の印刷・発行用のデータや、印刷不良発生時に対処する対処法等を記憶しており、LAN300を介してこれらのデータがクライアント100に送信されることによって、クライアント100内において、手形・小切手用紙の券面印刷、券面チェック等が行われる装置である。
【0013】
図1において、ホストコンピュータ200は、その機能的構成を図2に示すブロック図のように、CPU202、表示装置203、入力装置204、RAM205、記憶装置206、記憶媒体207及び通信装置208により構成されており、記憶媒体207を除く各部はバス209により相互に接続されている。また、通信装置208には、上記LAN300が接続されており、このLAN300を介してクライアント100と接続されている。
【0014】
CPU(Central Processing Unit )202は、記憶媒体207内に格納されているシステムプログラム及び当該システムに対応する各種アプリケーションプログラムの中から指定されたアプリケーションプログラムをRAM205内の図示しないプログラム格納領域に展開し、入力装置204から入力される各種指示あるいはデータをRAM205内に一時的に格納し、この入力指示及び入力データに応じて記憶媒体207内に格納されたアプリケーションプログラムに従って各種処理を実行し、その処理結果をRAM205内に格納するとともに、表示装置203に表示する。そして、RAM205に格納した処理結果を入力装置204から入力指示される記憶媒体207内の保存先に保存する。
【0015】
また、CPU202は、記憶媒体207内に格納されたホスト側発行処理プログラムに従って、後述するホスト側発行処理(図8参照)を実行する。詳細は後述するが、概要を先ず説明する。CPU202は、記憶媒体207内に記憶された後述するバッチファイル207a(図3、4参照)から2レコード分のデータを読み出して、通信装置208に出力し、LAN300を介してクライアント100に当該2レコード分のデータを送信するとともに、記憶媒体207内に記憶された後述する発行制御データファイル207b(図3、5参照)や、証券のフォームに係るフォームデータ等を合わせて送信する。2レコード分のデータを送信するのは、クライアント100では、証券2面を同時に印刷するからである。また、CPU202は、当該2レコード分のデータ等を送信後、通信装置208等を介してクライアント100から2レコード発行終了信号を受信し、記憶媒体207内に記憶された後述する発行ロギングファイル207c(図3参照)に当該2レコード分のデータに係る証券の発行完了を書き込む。以上の処理を、CPU202は、バッチファイル207aの全てのレコードに対して行う。
【0016】
表示装置203は、CPU202から入力される各種入力データを表示し、例えば、上記CPU202により実行されるホスト側発行処理に必要な各種パラメータを入力する入力画面、そのホスト側発行処理の各処理工程を示す処理工程画面等を表示する。
【0017】
入力装置204は、上記CPU202により実行されるホスト側発行処理に必要な各種パラメータを入力するとともに、ホスト側発行処理の起動や停止等を指示入力し、その各種入力指示信号をCPU202に出力する。
【0018】
RAM(Random Access Memory)205は、上記CPU202により実行されるホスト側発行処理に必要なファイル及びパラメータを記憶するメモリエリアを形成すると共に、CPU202がホスト側発行処理を実行する際に、記憶媒体207から読み出す各種ファイルや、各種データの他、通信装置208を介して受信するデータ等を一時的に展開するメモリエリアを形成する。
【0019】
通信装置208は、LAN300を介してクライアント100と接続されており、CPU202によって実行されるホスト側発行処理において、クライアント100への証券発行指示信号や、発行制御データ、券面データ等を送信し、また、クライアント100から送信される2レコード発行終了信号等を受信する。
【0020】
記憶装置206は、プログラムやデータ等が予め記憶されている記憶媒体207を有しており、この記憶媒体207は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体207は記憶装置206に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、この記憶媒体207にはホスト側発行処理プログラムが格納されている。また、記憶媒体207には、発行バッチファイル207a(図4参照)、発行制御ファイル207b(図5参照)、発行ロギングファイル207c、券面フォームファイル207d、支店マスタファイル207e、口座マスタファイル207f、発行受付ファイル207gが記憶されている。
【0021】
ここで、これらの記憶媒体207に記憶されるファイルについて詳細に説明する。図3は、証券発行システム500における証券発行に係るプログラムと、ファイルとの関係を概念的に示した図である。ホストコンピュータ200と、クライアント100の制御装置1(図6参照)とは、それぞれ上記ホスト側発行プログラムと後述するクライアント側プログラムを実行することにより、上記ホスト側発行処理、クライアント側発行処理(図9参照)を行って、相互にデータや制御信号等の通信を行う。
【0022】
また、発行バッチファイル207aは、上記ホスト側発行処理をCPU202が実行する毎に、その前処理として作成・更新されるファイルであり、ホスト側発行処理においてクライアント100に送信され、手形・小切手用紙が印刷される。また、発行バッチファイル207aに格納されるデータは、クライアント100において印刷される手形・小切手用紙の券面に係る諸データであり、これらの諸データは、金融機関名や支店名等を記憶する支店マスタファイル207e、振出人毎の金融機関口座番号等を記憶する口座マスタファイル207f、振出日や発行する手形・小切手番号等を記憶する発行受付ファイル207gに格納されたデータに基づいて作成される。
【0023】
図4は、発行バッチファイル207aのデータ構造の一例を示す図である。図4において、発行バッチファイル207aは、金融機関番号や、支店番号、口座番号、顧客名、支払地、交換所名等をフィールドとし、発行する証券1枚を1レコードとして、発行する証券1冊分(後述する)のデータが格納されたテーブルである。
【0024】
また、図3において、発行制御データファイル207bは、上記ホスト側発行処理において、発行バッチファイル207aと合わせて、クライアント100に送信されるファイルであり、クライアント100によって実行される後述するクライアント側発行処理(図9参照)に係る設定データを格納したファイルである。これらの設定データとは、クライアント100における証券印刷後の券面チェック時に、エラーと判断された証券の再印刷方法や再印刷回数等を示すデータである。
【0025】
図5は、発行制御データファイル207bのデータ構造の一例を示す図である。図5において、発行制御データファイル207bは、エラー原因コード、判定基準値、リトライレベル1〜6をフィールドとするテーブル構造となっており、エラー原因コード毎にレコードが構成されている。エラー原因コードとは、印刷された券面のエラーを示すコードであり、券面中にゴミが印刷されていた場合にはコード"001"、券面に不足項目や文字の抜け等の欠け(カケ)があった場合にはコード"002"、印刷された券面が斜め(以降スキューと呼ぶ)であった場合にはコード"003"、印刷された券面が平行にズレていた場合にはコード"004"、印刷券面を文字認識した上でエラーがあった場合にはコード"005"が対応するコードである。
【0026】
また、判定基準値とは、読み取った券面中に何ドット以上の上記ゴミやカケ、ズレをもってエラーとするか、何度以上のスキューに対してエラーとするか、何文字以上の文字認識エラーをエラーとするかを示し、当該エラーによって、証券の印刷不良とみなす。
【0027】
また、リトライレベルとは、再印刷(以下リトライと呼ぶ)する方法を、リトライする度合い毎に示したものであり、同一方法のリトライ回数と併せて設定されるものであり、一のリトライ方法によって印刷不良が解消されない場合には、リトライレベルを上げて、次のリトライ方法が試行される。例えば、リトライレベル1でのリトライ方法が「単純リトライ」で、その回数が「3」であった場合には、「単純リトライ」を「3回」行い、それでも印刷不良が解消されない場合には、リトライレベル2のリトライ方法が行われる。尚、リトライ方法は、単に券面を再印刷する単純リトライの場合にはコード"001"、金融機関番号等の券面のフォームに係るデータを除く、証券番号等の可変データのみをMICRトナープリンタ20(図6参照)に再送して再印刷を行う場合にはコード"002"、フォームデータを含む券面に係るデータを全てMICRトナープリンタ20に再送して再印刷を行う場合にはコード"003"、MICRトナープリンタ20に対するソフトウェアによるリセットを行って、再印刷を行う場合にはコード"004"、MICRトナープリンタ20に対するハードウェアによるリセットを行って、MICRトナープリンタ20を初期状態とした後、再印刷を行う場合にはコード"005"が設定される。また、再印刷による証券不良が不可能であり、発行を停止する場合には、リトライ回数に"999"が設定される。
【0028】
また、図3において、券面フォームファイル207dは、発行する証券が手形か小切手かに応じた印刷フォームを記憶したファイルであり、証券の印刷は、証券を例えば50枚をひとまとまりとして、一括して印刷する。この50枚のひとまとまりを冊と呼び、後述するクライアント発行処理(図9参照)において冊単位で証券の印刷が行われる。また、1冊の印刷は、冊の表紙の印刷、43枚目までの本券の印刷(本券印刷1処理(図9、10〜14参照)と呼ぶ)、受領書の印刷、残り7枚の本券印刷(本券印刷2処理(図9参照)と呼ぶ)、冊の裏表紙の印刷の順に行われる。券面フォームファイル207dは、これらの表紙、受領書等のフォームを含めて、手形、小切手毎に記憶する。
【0029】
図3において、発行ロギングファイル207cは、上記CPU202によって実行されるホスト側発行処理において作成されるファイルで、発行した証券のログを記憶する。
【0030】
以上がホストコンピュータ200の構成である。次に、クライアント100の構成について説明する。
【0031】
図1において、クライアント100は、証券検査装置10及びMICRトナープリンタ20の各動作を制御及び管理する制御装置1と、証券検査装置10と、MICRトナープリンタ20と、から構成されており、制御装置1と証券検査装置10及びMICRトナープリンタ20との間には、イメージリーダー制御信号ケーブルC1、MICRリーダー制御信号ケーブルC2、装置本体制御信号ケーブルC3及びプリンタ制御信号ケーブルC4が接続されている。
【0032】
この図1において、制御装置1は、その機能的構成を図6に示すブロック図のように、CPU2、表示装置3、入力装置4、RAM5、記憶装置6、記憶媒体7及び通信装置8により構成されており、記憶媒体7を除く各部はバス9により相互に接続されたコンピュータシステムである。また、そのバス9には上記各ケーブルC1〜C4を介して証券検査装置10と、MICRトナープリンタ20とが接続されている他、通信装置8には、LAN300が接続されており、このLAN300を介してホストコンピュータ200と接続されている。
【0033】
CPU2は、記憶媒体7内に格納されたクライアント側発行処理プログラムに従って後述するクライアント側発行処理(図9参照)を実行し、MICRトナープリンタ20における用紙券面への印刷処理を制御するプリンタ制御信号をバス9及びプリンタ制御信号ケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20に出力するとともに、証券検査装置10内の各部における動作を監視して制御する各種制御信号をバス9及び装置本体制御信号ケーブルC3を介して証券検査装置10に出力する。また、証券検査装置10から入力されるMICR文字データ及び券面イメージデータをイメージリーダ制御信号ケーブルC1、MICRリーダ制御信号ケーブルC2及びバス9を介して授受する。
【0034】
このクライアント側発行処理において、CPU2は、ホストコンピュータ200から送信される証券発行指示信号を受信して実行を開始し、ホストコンピュータ200から送信される券面のフォームデータや、発行バッチファイル207aのデータを2レコード分受信した後、印刷する冊の表紙印刷処理や、本券の印刷に係る本券印刷1処理(図10〜14参照)及び本券印刷2処理、受領書の印刷処理、裏表紙の印刷処理等を行って、後述する1冊分の証券の発行終了を示す冊発行終了信号をホストコンピュータ200へ送信する。
【0035】
また本券印刷1処理及び本券印刷2処理において、CPU2は、2枚の証券を同時に印刷可能な2連用紙を利用して、MICRトナープリンタ20に手形や小切手としての必要事項とMICR文字を、その2連用紙に印刷させ、その印刷終了後は証券検査装置10に排紙させる。そして、CPU2は、証券検査装置10内のスリッタ部11で、2連用紙を1枚ずつの単券にカットさせるが、そのカットさせる前に、イメージリーダ112から入力される2連の証券券面イメージデータを、後述するRAM5内に格納された手形・小切手のチェック用基準イメージデータと比較してエラーの発生の有無及びエラー発生内容を判別する。また、CPU2は、2連用紙をカットさせた後、走行部12内に設けられたMICRリーダ121a、121bからそれぞれ入力される第1の証券券面のMICR文字データ及び第2の証券券面のMICR文字データと、MICR文字の印刷データとを比較してエラーの発生有無を判別する。そして、これらの判別結果に応じて各手形・小切手を正常処理券、エラー処理券に選別し、この選別結果に応じて証券検査装置10内のスタッカ部13に別々に蓄えさせる。
【0036】
さらに、CPU2は、その処理券のうちエラー処理券と選別した証券については、MICRトナープリンタ20においてその証券の証券データを再印刷処理させ、正常処理券と判別できればスタッカ部13内のスタッカ132a、132bの正常処理券用スタッカに蓄えさせる。また、CPU2は、エラー処理券と選別した証券については、スタッカ部13内のスタッカ132a、132bのエラー処理券用スタッカに蓄えさせる前にスタンプ131a、131bにより「VOID」刻印させる。
【0037】
以上のCPU2による証券印刷発行処理は、上記2連用紙1枚ずつに対して実行され、手形・小切手の印刷枚数が1冊(例えば、1ロット:50枚分であるが、枚数を変更できる)分蓄えられるまで繰返し実行される。
【0038】
なお、チェック用基準イメージデータとは、CPU2により実行される本券印刷1処理におけるエラー処理券の選別に際して利用され、上記ゴミやカケ、スキュー、ズレといったエラーの種別の判断にも利用されるイメージデータであり、まずホストコンピュータ200から受信されるフォームデータに基づいてフォームデータに係る印刷イメージデータが作成された後、さらに、印刷する1冊中の固定データである金融機関名、支店名等や、証券1枚毎に異なる可変データである証券番号等を上記印刷イメージデータに重ねてチェック用基準イメージデータとして作成される。
【0039】
表示装置3は、CPU2から入力される各種表示データを表示し、例えば、上記CPU2により実行されるクライアント側発行処理に必要な各種パラメータを入力する入力画面、クライアント側発行処理の各処理工程を示す処理工程画面、あるいはクライアント側発行処理において発生するエラー内容等を表示する。
【0040】
入力装置4は、上記CPU2により実行されるクライアント側発行処理に必要な各種パラメータを入力するとともに、そのクライアント側発行処理の起動や停止を指示入力し、その各種入力指示信号をCPU2に出力する。
【0041】
RAM5は、上記CPU2により実行されるクライアント側発行処理に必要なファイル及びパラメータを記憶するメモリエリアを形成すると共に、CPU2が上記クライアント側発行処理を実行する際に、記憶媒体7から読み出す各種ファイルや、基準イメージデータ、イメージリーダ112から入力される証券券面イメージ等の各種データの他、ホストコンピュータ200から受信するフォームデータや、発行バッチファイル207aに係る2レコードデータ、発行制御データファイル207bに係る再発行時の設定データ等を一時的に展開するメモリエリアを形成する。
【0042】
記憶装置6は、プログラムやデータ等が予め記憶されている記憶媒体7を有しており、この記憶媒体7は磁気的、光学的記録媒体、若しくは半導体メモリで構成されている。この記憶媒体7は記憶装置6に固定的に設けたもの、若しくは着脱自在に装着するものであり、この記憶媒体7にはクライアント側発行処理プログラムや、クライアント側発行処理プログラムのサブルーチンである、本券印刷1処理プログラム等の他、上記クライアント側発行処理における文字認識時に利用される文字認識辞書等が記憶されている。
【0043】
通信装置8は、LAN300を介してサーバ200と接続されており、CPU2によって実行されるクライアント側発行処理において、ホストコンピュータ200から送信されるフォームデータや、発行バッチファイル207aに係る2レコードデータ、発行制御データファイル207bに係る再発行時の設定データ等を受信し、また、クライアント側発行処理における1冊分の証券の発行終了を示す冊発行終了信号等をホストコンピュータ200へ送信する。
【0044】
また、図1において、証券検査装置10は、スリッタ部11、用紙走行部12及びスタッカ部13により構成されている。
【0045】
スリッタ部11は、その内部にスリッタ111と、イメージリーダ112とを備え、MICRトナープリンタ20から印刷後に排紙される2連式の手形・小切手用紙をイメージリーダ112によって読み取って、読み取った対象イメージをCPU2に出力した後、スリッタ111により第1の証券と第2の証券の半分にカットして分離し、そのカット分離した第1の証券と第2の証券を用紙走行部12内の各走行経路に排紙する。
【0046】
イメージリーダ112の概略構成を図7に示す。イメージリーダ112は、赤外線LED112aと、赤外線透過フィルタ112bと、ラインセンサー112cと、搬送ローラ112dと、ロータリーエンコーダ112eと、モータ112fとから構成されており、MICRトナープリンタ20から排紙される2連式の手形・小切手用紙は図中左方向へ、搬送ローラ112dによって搬送される。また、搬送中に、赤外線LED112aにより、手形・小切手用紙に赤外線が照射され、反射光を赤外線透過フィルタ112bを通してラインセンサー112cが受光することにより、手形・小切手用紙を読み取って、読み取った対象イメージデータは、イメージリーダ制御信号ケーブルC1を介して制御装置1へ出力される。赤外線を照射する理由は、MICRトナープリンタ20によって偽造防止等のために特殊なインクで印刷される用紙の背景(地紋)を、読み取り時に除去するためである。また搬送中には、搬送ローラ112dの回動によってベルトを介して連動されるロータリーエンコーダ112eによって、搬送速度を示すクロックパルスが発生され、制御装置1へ出力される。
【0047】
用紙走行部12は、その内部に2系統の用紙搬送機構を有する用紙搬送経路を備え、各用紙搬送経路上にはMICRリーダ121a、121bが設けられている。用紙走行部12は、その内部の各用紙搬送経路にスリッタ部11から分離排紙される第1の証券と第2の証券を1枚ずつ搬送し、MICRリーダ121a、121bが読取可能な速度で図中のスタッカ部13の方向に搬送して用紙走行部12からスタッカ部13にそれぞれ排紙する。
【0048】
MICRリーダ121a、121bは、その各走行経路上を搬送される第1の証券及び第2の証券の券面に印刷されたMICR文字をそれぞれ読み取り、その読み取った各MICR文字データをMICRリーダ制御信号ケーブルC2を介して制御装置1にそれぞれ出力する。
【0049】
スタッカ部13は、その内部に2系統の用紙搬送機構を有する用紙搬送経路と、この各用紙搬送経路を搬送される上記手形券及び小切手券を、その段毎に正常処理券、エラー処理券として2段に蓄えるスタッカ132a、132bとを備え、この各スタッカ132a、132bの2段目のエラー処理券用の用紙搬入口近傍には、書損してエラー処理券扱いとするための文字を刻印するスタンプ131a、131bが設けられている。
【0050】
スタッカ132a、132bは、各用紙搬送経路から搬送されて2種類(正常処理券、エラー処理券)に選別される第1の証券、第2の証券をその選別処理券毎に蓄えるように2段に設けられている。図1に示す2段のスタッカ132a、132bのうち、図中の1番上の段には正常処理券と選別された第1の証券、第2の証券をそれぞれ蓄え、2番目の段にはエラー処理券と選別された第1の証券、第2の証券をそれぞれ蓄える。
【0051】
スタンプ131a、131bは、上記スタッカ132a、132bの2段目の用紙搬入口の近傍に設けられており、エラー処理券であることを示す「VOID」を第1の証券、第2の証券の各券面に刻印する。
【0052】
MICRトナープリンタ20は、上記手形・小切手の各証券における必要事項とMICR文字との同時印刷を可能とするMICRトナーを使用するページプリンタであり、上記CPU2により実行されるクライアント側発行処理に際して、赤外線透過フィルタ112bによって、照射される赤外線の反射光を偏光して除去される特殊なインクを用いて手形・小切手の各証券の背景(地紋)を印刷すると共に、予め設定されたMICRフォントサイズで2連用紙の各券面に手形あるいは小切手に必要事項とMICR文字を印刷し、その印刷終了した2連用紙を上記証券検査装置10内のスリッタ部11に排紙する。
【0053】
次に動作を説明する。上記ホストコンピュータ200内のCPU202によって実行されるホスト側発行処理について図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0054】
図示しないが、ホスト側発行処理の実行開始前に、発行する証券1冊分のデータとして発行バッチファイル207aが上記の通り作成されているものとする。
【0055】
まず、CPU202は、記憶媒体207内に格納された発行バッチファイル207aから2レコード分のデータを読み取って(ステップS1)、全てのレコードを読み取り済みで、ファイルの終了を示すEOF(End Of File)を読み取った場合には(ステップS2)、ホスト側発行処理を終了する。即ち、ステップS1以降のステップS8までの処理をCPU202は繰り返し実行することによってホスト側処理を実行し、EOFを読み取った場合には、CPU202は、ホスト側発行処理を終了する。この判断を事前に行う。
【0056】
次いでCPU202は、ステップS1において読み取ったデータがEOFでなく(ステップS2)、証券1冊分の印刷における初回の印刷の場合には、通信装置208、LAN300を介して証券発行指示信号をクライアント100へ送信してステップS5へ、当該1冊分の印刷における2回目移行の印刷の場合にはステップS4へ移行する(ステップS3)。
【0057】
ステップS4において、CPU202は、ステップS1にて読み取った2レコード分のデータが、前回印刷した券種と同一の券種であるかどうかを比較し、同一の券種であった場合には、ステップS5をスキップしてステップS6へ移行する(ステップS4)。
【0058】
ステップS3において初回の印刷と判断したか、あるいはステップS4において、前回と異なる券種の印刷を行うと判断した場合には、CPU202は、記憶媒体207内に格納された券面フォームファイル207dから、当該1冊分の印刷に係る表紙、本券、受領書、裏表紙のフォームデータを読み出して、通信装置208等を介してクライアント100へ送信する(ステップS5)。
【0059】
次いでCPU202は、ステップS5の後、又はステップS4において前回印刷した券種と同一の券種と判断した場合には、ステップS1において読み取った発行バッチファイル207aの2レコード分のデータを、通信装置208等を介してクライアント100へ送信する(ステップS6)。そして、クライアント100において2レコード分のデータに係る証券の印刷、券面チェック等が行われ、クライアント100から送信される2レコード発行終了信号を通信装置208等を介して受信する(ステップS7)。
【0060】
そして、CPU202は、受信した2レコード発行終了信号に基づいて、券面印刷が正常に行われた否かを含め、ステップS6において送信した2レコード分のデータに係る証券の発行ログを、記憶媒体207に格納された発行ロギングファイル207cに書き込む(ステップS8)。
【0061】
以上のステップS1からステップS8までの処理をCPU202は繰り返し実行することで、発行バッチファイル207a内の全てのレコードをクライアント100に送信して、1冊分の証券を発行する。
【0062】
次に、クライアント側発行処理について図9を用いて説明する。図9は、クライアント100内のCPU2によって実行されるクライアント側発行処理を示すフローチャートである。
【0063】
まず、CPU2は、ホストコンピュータ200から送信される証券発行指示信号の受信によって、クライアント側発行処理を終了するか否かを判断し、証券発行指示信号を受信しなくなるまで、ステップS101からステップS116までの処理を繰り返し実行する(ステップS101)。なお、証券発行指示信号の1度の受信によって、ステップS101からステップS116までを1度実行することで、1冊分の証券の発行を行う。
【0064】
ステップS101において、通信装置8、LAN300を介して証券発行指示信号を受信すると、CPU2は、次いでフォームデータを受信したかどうかを判断する(ステップS102)。そして、フォームデータを受信した場合にはステップS103へ、受信しなかった場合にはステップS104へ移行する(ステップS102)。
【0065】
フォームデータを受信した場合には、CPU2は、受信したフォームデータを、表紙、本券、受領書、裏表紙のそれぞれのフォームデータとしてRAM5内に格納する(ステップS103)。フォームデータの受信後、またはステップS102においてフォームデータを受信しなかった場合には、CPU2は、発行バッチファイル207aの2レコード分のデータを受信し、RAM5内に格納する(ステップS104)。
【0066】
そして、CPU2は、RAM5内に格納した表紙のフォームデータに基づいて、印刷データを作成し、ケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20へ出力するとともに、証券検査装置10へ表紙の券面チェックを行う旨の制御信号等を出力することにより、証券1冊に係る表紙を印刷する表紙印刷処理を行う(ステップS105)。
【0067】
次いで、CPU2は、表紙印刷処理がエラー終了となったかどうかを判断し、エラー終了となった場合にはステップS116へ移行する(ステップS106)。正常に終了した場合には、CPU2は、RAM5内に格納した本券のフォームデータと、2レコード分のデータに基づいて、2連の手形・小切手用紙1枚に対する印刷データを作成し、ケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20へ出力するとともに、証券検査装置10へ券面チェックを行う旨の制御信号等を出力することにより、当該2レコード分のデータに係る証券を印刷する本券印刷1処理を行う。なお、本券印刷1処理の詳細は、図10〜図14を用いて詳細に後述するが、2レコード分のデータに係る証券の印刷発行後、CPU2は2レコード発行終了信号をホストコンピュータ200へ送信し、証券番号を変更して、再度印刷発行する処理を繰り返し行うことにより、1冊分の証券のうち、47枚分の証券を印刷発行する(ステップS107)。
【0068】
そして、CPU2は、本券印刷1処理がエラー終了となったかどうかを判断し、エラー終了となった場合にはステップS116へ移行する(ステップS108)。正常に終了した場合には、CPU2は、RAM5内に格納した受領書のフォームデータに基づいて、印刷データを作成し、ケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20へ出力するとともに、証券検査装置10へ受領書の券面チェックを行う旨の制御信号等を出力することにより、証券1冊に係る受領書を印刷する受領書印刷処理を行う(ステップS109)。
【0069】
次いで、CPU2は、受領書印刷処理がエラー終了となったかどうかを判断し、エラー終了となった場合にはステップS116へ移行する(ステップS110)。正常に終了した場合には、CPU2は、ホストコンピュータ200から、上記本券印刷1処理で発行しなかった残りの3枚分の証券を発行する本券印刷2処理を、本券印刷1処理と同様に実行する(ステップS111)。
【0070】
そして、CPU2は、本券印刷2処理がエラー終了となったかどうかを判断し、エラー終了となった場合にはステップS116へ移行する(ステップS112)。正常に終了した場合には、CPU2は、RAM5内に格納した裏表紙のフォームデータに基づいて、印刷データを作成し、ケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20へ出力するとともに、証券検査装置10へ裏表紙の券面チェックを行う旨の制御信号等を出力することにより、証券1冊に係る裏表紙を印刷する裏表紙印刷処理を行う(ステップS113)。
【0071】
次いで、CPU2は、裏表紙印刷処理がエラー終了となったかどうかを判断し、エラー終了となった場合にはステップS116へ移行し(ステップS114)、正常に終了した場合には、正常終了した旨の信号と併せて、冊発行終了信号をホストコンピュータ200へ送信する(ステップS115)。
【0072】
また、ステップS106、S108、S110、S112、S114においてエラー終了となった場合には、CPU2は、それぞれの処理がエラー終了となった旨の信号と併せて、冊発行終了信号をホストコンピュータ200へ送信する(ステップS116)。
【0073】
以上のステップS101からS116までの一連の処理を実行する毎に1冊分の証券を発行し、ステップS101からS116までの処理を繰り返し実行することにより、複数冊の証券を発行する。
【0074】
次に、上記クライアント側発行処理中に実行される本券印刷1処理について図10〜図14を参照して説明する。図10〜図12は、クライアント100のCPU2によって実行される本券印刷1処理を示すフローチャートであり、図13〜図14は、この本券印刷1処理の一部を変更した変形例のフローチャートである。先に図10〜図12に係る本券印刷1処理について説明する。
【0075】
まず、CPU2は、上記クライアント側発行処理においてホストコンピュータ200から受信した発行バッチファイル207aの2レコード分のデータの内、各証券番号を、2連式の手形・小切手用紙のそれぞれの券面の証券番号として、変数「k1」及び「k2」に記憶させる。また、この証券番号は、スリッタ部11によってカットされ、搬送される当該手形・小切手用紙の各系統に対応した証券番号である(ステップA1)。
【0076】
次いで、CPU2は、クライアント側発行処理においてRAM5内に格納した本券のフォームデータに基づいて、印刷する証券のフォームに係る印刷フォームデータを作成してRAM5内に格納する(ステップA2)。そして、CPU2は、作成した印刷フォームデータをケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20へ送信する(ステップA3)。
【0077】
次いで、CPU2は、上記2レコード分のデータに基づいて、1冊分の証券を印刷する際の固定データ(金融機関名や支店名、署名鑑等)を可変印刷データ1として作成し、RAM5内に格納するとともに、MICRトナープリンタ20へ送信する(ステップA4)。また、CPU2は、当該2レコード分のレコードに基づいて、証券毎に異なるデータ(証券番号等)を可変印刷データ2として作成し、RAM5内に格納するとともに、MICRトナープリンタ20へ送信する(ステップA5)。
【0078】
さらに、CPU2は、RAM5内に格納した印刷フォームデータ、可変印刷データ1及び可変印刷データ2を合わせて、印刷されるべき2連式の手形・小切手用紙の券面イメージを、チェック用基準イメージデータとして作成して、RAM5内に格納する(ステップA6)。
【0079】
次いで、CPU2は、ケーブルC4を介してMICRトナープリンタ20へ印刷実行命令を出力して、当該2レコード分のデータに係る手形・小切手用紙を印刷させるとともに、証券検査装置10へ印刷された手形・小切手用紙の搬送を指示する制御信号等を出力して、印刷された券面のチェックを開始させる(ステップA7)。
【0080】
そして、CPU2は、イメージリーダ112にMICRトナープリンタ20から排紙される2連式の手形・小切手用紙を読み取らせる旨の信号をスリッタ部11に出力し、読み取らせた券面のイメージデータ(以降、これを対象イメージと呼ぶ)を入力する(ステップA8)。次いで、CPU2は、RAM5内に格納したチェック用基準イメージデータと、対象イメージデータとを比較する(ステップA9)。
【0081】
一致していた場合には(ステップA10)、CPU2は、次にエラー処理中フラグが"ON"か"OFF"かを判定する(ステップA11)。このエラー処理中フラグは、一旦印刷エラーとなって、再印刷を実行中であるかどうかを示すフラグであり、再印刷中であれば"ON"として、そうでなければ"OFF"としてRAM5内に格納されている。エラー処理中フラグが"OFF"であった場合には、CPU2は、ステップA15へ移行し、エラー処理中フラグが"ON"であった場合には、CPU2は、さらに、実行中のエラー処理は、1系のみのエラーに係るものか、2系のみのエラーに係るものか、両系のエラーに係るものかを判断する(ステップA12)。
【0082】
両系のエラーに係るものであった場合には、CPU2は何もせずステップA15へ移行し、2系のみのエラーに係るものであった場合には、1系に対応する証券の券面に「VOID」を刻印させる1系ボイド処理を実行した後にステップA15へ移行し(ステップA13)、1系のみのエラーに係るものであった場合には、2系に対応する証券の券面に「VOID」を刻印させる2系ボイド処理を実行した後にステップA15へ移行する(ステップA14)。
【0083】
次いでCPU2は、変数「k1」と「k2」の数値を1づつ増加させ(ステップA15)、エラー処理中フラグを"OFF"として、2レコード発行終了信号をホストコンピュータ200へ送信する(ステップA16)。そして、CPU2は、「k1」及び「k2」の値から、47枚の証券を印刷したかどうかを判定し、印刷を終了する場合には、本券印刷1処理を終了し、印刷を続行する場合には、ステップA5へ移行する(ステップA17)。
【0084】
また、ステップA10において、チェック用基準イメージデータと、対象イメージデータとが一致していないと判断された場合には、CPU2は、エラー処理中フラグが"ON"か"OFF"かを判定する(ステップA18)。エラー処理中フラグが"OFF"であった場合には、CPU2は、チェック用基準イメージデータと、対象イメージデータとの不一致の原因を示すエラー原因コードを、ゴミなら"001"、カケなら"002"、スキューなら"003"、ズレなら"004"として、変数「N」に代入してRAM5内に格納する(ステップA19)。さらにCPU2は、変数「M」に、リトライレベルを示す数値"1"を代入してRAM5内に格納し(ステップA20)、エラー原因コード「N」で、リトライレベル「M」のリトライ回数を、上記クライアント側発行処理においてホストコンピュータ200から受信した発行制御データファイル207bから読み出して、変数「L」に代入してRAM5内に格納する(ステップA21)。
【0085】
そして、CPU2は、リトライ回数「L」が"999"であるかを判定し(ステップA22)、"999"であった場合には、本券印刷1処理をエラーとして終了する。"999"でなかった場合には、印刷エラーとして再印刷を実行する旨を示すエラー処理中フラグを"ON"としてRAM5内に格納する(ステップA23)。
【0086】
また、ステップA18において、エラー処理中フラグが"ON"であった場合には、リトライ回数「L」を1減じた後(ステップA24)、リトライ回数「L」が"0"がどうかを判定する(ステップA25)。"0"であった場合には、リトライレベル「M」を1増加させて(ステップA26)、ステップA21に移行する。
【0087】
ステップA23の後、またはステップA25においてリトライレベル「M」が"0"でなかった場合には、CPU2は、エラー原因コード「N」の値を判定する(ステップA27)。エラー原因コード「N」が"001"または"002"であった場合には、"001"であればゴミ、"002"であればカケの位置を、RAM5内に格納されたチェック用基準イメージデータと、対象イメージデータとから判別し(ステップA28)、その位置が1系のみの証券に係るものか、2系のみの証券に係るものか、両系の証券に係るものかを判別する(ステップA29)。そして、両系に係るものであった場合には、CPU2は、両系の証券に「VOID」刻印をスタンプ131a、131bにさせる旨の信号を証券検査装置10のスタッカ部13に出力して両系ボイド処理を行う(ステップA30)。また、当該ゴミやカケの位置が2系のみの証券に係るものであった場合には、CPU2は、2系の証券のみに「VOID」刻印をさせる旨の信号を出力して2系ボイド処理を実行し(ステップA31)、同様に1系の証券のみに係るものであった場合には、1系の証券のみに「VOID」刻印をさせる旨の信号を出力して1系ボイド処理を実行する(ステップA32)。
【0088】
また、ステップA27において、エラー原因コード「N」が"003"または"004"であった場合には、CPU2は、両系エラーと判断して、ステップA30へ移行して、両系ボイド処理を実行する。
【0089】
ステップA30、A31、A32の後、CPU2は、エラー原因コード「N」で、リトライレベル「M」のリトライ方法を、上記クライアント側発行処理においてホストコンピュータ200から受信した発行制御データファイル207bから読み出して、そのリトライ方法のコードを判定する(ステップA33)。
【0090】
そして、CPU2は、判定結果によって、リトライ方法のコードが"001"であった場合にはステップA7へ、"002"であった場合にはステップA4へ、"003"であった場合にはステップA3へ、"004"であった場合にはMICRトナープリンタ20に対するソフトウェアリセットを行った後(ステップA34)ステップA3へ、"005"であった場合にはMICRトナープリンタ20に対するハードウェアリセットを行った後(ステップA35)ステップA3へ移行する。
【0091】
以上のステップA1からステップA35までの処理を繰り返し実行することにより、1冊分の証券のうち、47枚分の証券印刷を行う本券印刷1処理を行う。
【0092】
次に、上記本券印刷1処理の変形例の動作を図13〜図14を参照して説明する。この本券印刷1処理の変形例は、印刷した券面を文字認識して、正しく印刷されているか否かの処理を追加したものである。また、この変形例の内、上記本券印刷1処理と同じ処理を行うステップは同一符号を付し、説明を省略する。
【0093】
CPU2は、ステップA10において、チェック用基準イメージデータと、対象イメージデータとが一致していると判定した場合には、対象イメージデータに対して文字認識処理を実行する(ステップB1)。そして、認識した文字と、ホストコンピュータ200から受信した2レコード分のデータとを比較して、CPU2は、認識結果が正常であるかどうかを判定する(ステップB2)。認識結果が当該2レコード分のデータと同一であり、正常であると判定した場合には、CPU2は、ステップA11へ移行し、正常でないと判定した場合には、ステップA18へ移行する。
【0094】
以上が新たに追加された処理である。また、変更された処理として、ステップA19において、CPU2は、エラーコード「N」に、文字認識エラーであった場合にはコード"005"を格納する。また、ステップA27において、CPU2は、エラーコード「N」が"005"であった場合には、ステップA28でのエラー位置判別に、文字認識エラー位置の判別を行う処理が追加される(ステップA28)。以上の処理が文字認識処理を追加することに伴って変更される処理である。これらの処理の追加・変更によって、本券印刷1処理に文字認識による券面印刷チェックを行うことが可能となる。
【0095】
次に、本券印刷1処理における各種券面データに基づいて印刷した場合の印刷例を図15〜図18を参照して説明する。
【0096】
図15(a)は、印刷フォームデータのみを印刷した場合の小切手に係る手形・小切手用紙の印刷例を示す図である。
【0097】
図15(b)は、図15(a)の券面に、可変印刷データ1の内の金融機関名、支店名等を印刷した場合の手形・小切手用紙の印刷例を示す図である。図15(b)に示す券面は、同一の金融機関、同一の支店であれば、振出人、証券番号等が異なった場合であっても同一である。
【0098】
図16(a)は、図15(b)の券面に、振出人等の可変印刷データ1の残りのデータを印刷した場合の手形・小切手用紙の印刷例を示す図である。
【0099】
図16(b)は、図16(a)の券面に、可変印刷データ2を印刷した場合の手形・小切手用紙の印刷例を示す図である。図16(b)において、図中上部の中央に、証券番号が印刷されているが、印刷する各証券毎に各系統毎に異なる券面となる。
【0100】
図17(a)は、1系ボイド処理を実行した場合の券面印刷例を示す図である。図17(a)において、実際には、スリッタ部11によって2連式の用紙が単券にカットされた後に「VOID」刻印されるが、分かり易くするため2連式として示した。
【0101】
図17(b)は、2系ボイド処理を実行した場合の券面印刷例を示す図である。同様に、実際には、スリッタ部11によって2連式の用紙が単券にカットされた後に「VOID」刻印される。
【0102】
図18は、両系ボイド処理を実行した場合の券面印刷例を示す図である。同様に、実際には、スリッタ部11によって2連式の用紙が単券にカットされた後に「VOID」刻印される。
【0103】
以上のように、本発明を適用した証券発行システム500は、LAN300を介してクライアント100とホストコンピュータ200とが接続されており、ホストコンピュータ200が証券の印刷・発行用のデータや、印刷不良発生時に対処する対処法等を記憶しており、LAN300を介してこれらのデータがクライアント100に送信されることによって、クライアント100内において、手形・小切手用紙の券面印刷、券面チェック等が行われる。
【0104】
この券面チェックは、券面印刷の前に、印刷データに基づいて、一旦、2連式の手形・小切手用紙の券面イメージを作成した後、印刷後の2連式の手形・小切手用紙を読み取ったイメージと比較することにより行う。また、偽造防止等のための券面背景(地紋)の印刷を、赤外線を偏光させる特殊なインクを用いて行い、券面の読み取り時に、赤外線の照射及び赤外線フィルタを介した読み取りを行うことにより、背景印刷を除去することが可能である。
【0105】
また、券面チェックのための、ゴミ、カケ、ズレ、文字認識等の種々の印刷エラーに対応した再印刷方法、回数等を細かく設定することができるため、印刷エラーの原因に応じて適切な再印刷を試みて、正常な券面の印刷を行わせることが可能である。
【0106】
また、1冊分の証券印刷に係る表紙や、受領書などを一括して印刷することができるとともに、その1冊分の証券印刷時にエラーとなったときに、自動的にエラーとなった証券の再印刷・再発行を行うことが可能である。
【0107】
なお、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、例えば、上記実施の形態の証券発行システム500において、ホストコンピュータ200と、クライアント100の制御装置1を同一のコンピュータシステムとして構成することとしてもよい。その場合には、証券発行システム全体のサイズを小さくすることができる他、LAN300等が不必要となって、ホストコンピュータ200と、クライアント100との間の通信処理を削減することができる。
【0108】
【発明の効果】
請求項1及び請求項9記載の発明によれば、2連式証券用紙に2面分の券面を印字することによって、2枚の証券に係る印字を同時に行うことができるとともに、印字前のデータに基づいて印字されるべき照合用イメージデータを作成し、この照合用イメージデータと、印字された券面を読み取ったイメージデータとを比較することにより、当該2連式証券用紙の2面分の券面の印字状態を検査することができる。
【0109】
請求項2記載の発明によれば、券面の読み取り時に、赤外線の照射によって読み取りを行うことにより、偽造防止等のために用紙に印刷された地紋を除去した券面イメージを読み取ることが可能である。
【0110】
請求項3及び請求項4記載の発明によれば、券面チェックのために、例えば、ゴミ、カケ、ズレ等の種々の印字エラーと、その判断基準値を設定することができるため、印字エラーの原因となる様々な項目に柔軟に対応することができる。
【0111】
請求項5及び請求項6記載の発明によれば、印字エラーの原因となった項目毎に、再印字させる方法と、試行回数とを細かく設定することができるため、印字エラーの原因に応じた適切な再印字を試みて、正常な券面の印字を行わせることが可能である。
【0112】
請求項7記載の発明によれば、印字された券面チェックを文字認識によっても行うことが可能となるため、より広範な印字エラー原因に対応させることができ、文字認識結果による印字エラーと、他の印字エラーとを組み合わせることも可能となる。
【0113】
請求項8記載の発明によれば、1冊分の証券印字に係る表紙や、受領書などを一括して印字することができるとともに、その1冊分の証券印字時にエラーとなったときに、自動的にエラーとなった証券の再印字・再発行を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した証券発行システム500の全体の概略構成を示す図。
【図2】図1のホストコンピュータ200の機能的構成を示すブロック図。
【図3】図1の証券発行システム500における証券発行に係るプログラムと、ファイルとの関係を概念的に示した図。
【図4】発行バッチファイル207aのデータ構造の一例を示す図。
【図5】発行制御データファイル207bのデータ構造の一例を示す図。
【図6】クライアント100の制御装置1の機能的構成を示すブロック図。
【図7】スリッタ部11内のイメージリーダ112の概略構成を示す図。
【図8】ホストコンピュータ200内のCPU202によって実行されるホスト側発行処理を示すフローチャート。
【図9】クライアント100内のCPU2によって実行されるクライアント側発行処理を示すフローチャート。
【図10】クライアント100のCPU2によって実行される本券印刷1処理の一部を示すフローチャート(図10〜図12で本券印刷1処理を示す)。
【図11】クライアント100のCPU2によって実行される本券印刷1処理の一部を示すフローチャート(図10〜図12で本券印刷1処理を示す)。
【図12】クライアント100のCPU2によって実行される本券印刷1処理の一部を示すフローチャート(図10〜図12で本券印刷1処理を示す)。
【図13】クライアント100のCPU2によって実行される本券印刷1処理の変形例の一部を示すフローチャート(図14へ続く)。
【図14】クライアント100のCPU2によって実行される本券印刷1処理の変形例の一部を示すフローチャート(図13から続く)。
【図15】(a)は、印刷フォームデータのみを印刷した場合の小切手に係る手形・小切手用紙の印刷例を示す図。(b)は、(a)の券面に、可変印刷データ1の内の金融機関名、支店名等を印刷した場合の手形・小切手用紙の印刷例を示す図。
【図16】(a)は、図15(b)の券面に、振出人等の可変印刷データ1の残りのデータを印刷した場合の手形・小切手用紙の印刷例を示す図。(b)は、(a)の券面に、可変印刷データ2を印刷した場合の手形・小切手用紙の印刷例を示す図。
【図17】(a)は、1系ボイド処理を実行した場合の券面印刷例を示す図。(b)は、2系ボイド処理を実行した場合の券面印刷例を示す図。
【図18】両系ボイド処理を実行した場合の券面印刷例を示す図。
【符号の説明】
500 証券発行システム
100 クライアント
1 制御装置
2 CPU
3 表示装置
4 入力装置
5 RAM
6 記憶装置
7 記憶媒体
8 通信装置
9 バス
10 証券検査装置
11 スリッタ部
112 イメージリーダ
12 走行部
13 スタッカ部
20 MICRトナープリンタ
200 ホストコンピュータ
300 LAN
Claims (9)
- 2つの証券を印字するための第1の印字データと、第2の印字データとを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された第1の印字データと、第2の印字データとを読み出して、2連式証券用紙の券面の上半分に当該第1の印字データを印字し、下半分に当該第2の印字データを印字する印字手段と、
前記印字手段により印字された2連式証券用紙の券面イメージを一度に読み取る読取手段と、
前記記憶手段に記憶された第1の印字データと、第2の印字データとに基づいて、前記2連式証券用紙の券面に印字されるべき照合用イメージデータを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された照合用イメージデータと、前記読取手段により読み取られた券面イメージとを比較して、前記印字手段により印字された2連式証券用紙の印字状態が正常か否かを判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする証券発行装置。 - 前記読取手段は、前記印字手段により印字された2連式証券用紙の券面に赤外線を照射することにより、証券用紙に印刷された地紋のイメージを除去した券面イメージを一度に読み取ることを特徴とする請求項1記載の証券発行装置。
- 前記記憶手段は、さらに、前記判定手段により判定される印字状態のエラー原因と、当該エラー原因に対応したエラーと判断するための基準値とを記憶することを特徴とする請求項1または2記載の証券発行装置。
- 前記記憶手段に記憶された基準値を設定する設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の証券発行装置。
- 前記記憶手段は、さらに、前記判定手段によって印字状態エラーと判断された場合に前記印字手段に再印字させる方法と、試行回数とを前記エラー原因に対応させて記憶することを特徴とする請求項3または4記載の証券発行装置。
- 前記記憶手段に記憶された方法と、試行回数とを設定する再印字設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の証券発行装置。
- 前記読取手段は、さらに、読み取った2連式証券用紙の券面イメージに基づいて文字認識を行い、前記判定手段は、さらに、前記読取手段により行われた文字認識結果と、前記記憶手段に記憶された第1の印字データ及び第2の印字データとを照合して印字状態を判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の証券発行装置。
- 前記記憶手段は、さらに、冊単位での証券の印字または照合のための、表紙と、本券と、受領書と、裏表紙等の券面イメージデータを、複数種類の証券毎に対応させて記憶することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の証券発行装置。
- 証券を印刷して発行するためのコンピュータが実行可能なプログラムを格納した記憶媒体であって、
2つの証券を印字するための第1の印字データと、第2の印字データとを記憶させるためのコンピュータが実行可能なプログラムコードと、
前記記憶させた第1の印字データと、第2の印字データとを読み出して、2連式証券用紙の券面の上半分に当該第1の印字データを印字し、下半分に当該第2の印字データを印字させるためのコンピュータが実行可能なプログラムコードと、
前記印字させた2連式証券用紙の券面イメージを一度に読み取らせるためのコンピュータが実行可能なプログラムコードと、
前記記憶させた第1の印字データと、第2の印字データとに基づいて、前記2連式証券用紙の券面に印字されるべき照合用イメージデータを生成させるためのコンピュータが実行可能なプログラムコードと、
前記生成させた照合用イメージデータと、前記読み取らせた券面イメージとを比較して、前記印字させた2連式証券用紙の印字状態が正常か否かを判定させるためのコンピュータが実行可能なプログラムコードと、
を含むプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35331398A JP3846074B2 (ja) | 1998-12-11 | 1998-12-11 | 証券発行装置及び記憶媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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