JP3845628B2 - 車両用可倒式アンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等に好適な車両用可倒式アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、乗用車等の車両のルーフ上に設置するアンテナとして、一定の取付角度でクリック感が付与されて角度が固定される一方で、アンテナ素子に車両前方または後方からの外力が加わった場合には素子の取付け基部が回動し、取付角度を代えることで、自動洗車機やタワーパーキング利用時のアンテナ素子の破損を防止するようにした可倒式のルーフマウントアンテナが知られている。
【0003】
(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【特許文献1】
特開2001−345613号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に示すような可倒式のルーフマウントアンテナは、主として車両のルーフに直接取り付けるアンテナベースの上部と可倒軸部周辺の部品点数が多く、構成も複雑で、ある程度の大きさが必要となる。
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、部品点数を極力削減し、構造を簡素化して小型化することが可能な車両用可倒式アンテナを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、アンテナベース、このアンテナベース上に取付けられた回動部及びこの回動部上に支持装架されたアンテナマストを備えた車両用可倒式アンテナであって、上記回動部は、上記アンテナベース上に取付けられ、その一方に軸穴を設けた一対の枢支板を形成した回動ボディ部と、この回動ボディ部の一対の枢支板の対向方向と軸方向が一致するようにして該枢支板間に挿入され、上記アンテナマストをその周面に取付けて支持する円柱状の回動ドラム部と、この回動ドラム部の中心軸位置に挿入され、一方を上記枢支板の軸穴に挿通する一対の軸部と、該軸部の上記枢支板の軸穴に挿通されない他方側を回動中心として配置されたクリック凸部とを形成したジョイント部と、上記回動ドラム部と上記回動ボディ部の軸穴を有していない他方の枢支板との間に挿入され、上記ジョイント部の上記枢支板の軸穴に挿通されない他方側の軸部を挿通する軸穴と、上記クリック凸部に対応したクリック凹部とを形成したクリックプレートと、このクリックプレートと上記回動ボディ部の軸穴を設けていない他方の枢支板との間に圧入され、上記クリックプレートを介して上記回動ドラム部及びジョイント部を上記回動ボディ部の軸穴を設けた側の枢支板に押圧する弾性部材と、上記回動ボディ部に対して取付けられ、上記アンテナマストの回動範囲に対応した長孔を形成し、上記回動ドラム部、ジョイント部、クリックプレート及び弾性部材を被覆するカバー部とを有することを特徴とする。
【0008】
このような構成とすれば、アンテナマストが所定の回動角度でクリック感を伴って保持されるようにしながら、アンテナマストの支持装架とその回動とを受け持つ回動部の部品点数を最小限に削減し、全体構造を大幅に簡素化して小型化することが可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記アンテナベースに対する上記回動ボディ部の取付け構造と上記回動ドラム部に対する上記アンテナマストの取付け構造とを共通化したことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、回動部を省略してアンテナマストを直接アンテナベースに取り付けることもでき、万が一可動部である回動部が破損してしまった場合にも対処できる一方で、例えば回動部をオプション部品として本アンテナをシステム展開するような場合にも対応できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記弾性部材は波ワッシャでなることを特徴とする。
【0012】
このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、非常に薄型で製造コストもきわめて安価であり、回動部の小型化と構造の簡素化を容易にしながら、強固に回動部内のクリック感の付与とアンテナマストの回動位置の保持、及びがたつきの除去に寄与できる。
【0015】
請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記回動ドラム部と上記ジョイント部とを一体成形したことを特徴とする。
【0016】
このような構成とすれば、上記請求項1記載の発明の作用に加えて、回動部の組立工程を大幅に簡略化することができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記回動ドラム部と上記ジョイント部、及び少なくとも上記アンテナマストの基部のアンテナ素子部を一体成形したことを特徴とする。
【0018】
このような構成とすれば、上記請求項4記載の発明の作用に加えて、回動部とアンテナマストとを実質的に一体化することができ、アンテナベースに対するアンテナマスト及び回動部の取付け及び取外しをより簡易化できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下本発明を車両用のルーフマウントアンテナに適用した場合の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るルーフマウントアンテナ10全体の外観構成を示すものである。同図で、ルーフマウントアンテナ10はその下側からアンテナベース11、回動部12、及びアンテナマスト13からなる。
【0021】
アンテナベース11は、車両の後方側に傾けた略円錐台状の形状を有し、車両ルーフ上に取付け固定されるもので、その底面からは電源供給用コード14及びラジオチューナ用同軸ケーブル15が延在される。
【0022】
これら電源供給用コード14及びラジオチューナ用同軸ケーブル15は、実際の車両への取付け後には車両ルーフから室内側に引込まれ、電源供給用コード14の先端に設けられた電源コネクタ16には図示しない車両バッテリからの直流電圧が与えられる一方で、ラジオチューナ用同軸ケーブル15の先端に設けられるラジオプラグ17は図示しないチューナユニットに接続される。
【0023】
図2は、主としてアンテナベース11単体を斜め上方から見た状態を示すもので、円錐台形状の上底面に相当する回動部取付け面11aは、若干の曲面形状をしており、その中央位置に雌ねじ11bが埋設成型されると共に、その近傍に1箇所、位置決め孔11cが形成される。
【0024】
続く図3により上記アンテナベース11上に取付けられる主として回動部12の構成について説明する。
【0025】
まず、上記アンテナベース11の回動部取付け面11aに取付け固定する部材として回動ボディ部21が用いられる。この回動ボディ部21は、樹脂製の円柱状形状を有し、その軸部に設けられた貫通孔211を介して雄ねじ22を上記アンテナベース11の雌ねじ11bに螺合することで、アンテナベース11上に取付け固定される。
【0026】
すなわち、回動ボディ部21の底面は上記アンテナベース11の回動部取付け面11aの曲面に対応した凹状の曲面で形成されており、且つ上記雌ねじ11bに対する位置決め孔11cと対応するようにして、位置決め凸部21aが形成されている。
【0027】
したがって、雄ねじ22を回動ボディ部21の中心軸部の貫通孔211を介してアンテナベース11の雌ねじ11bに強固に螺合することで、回動ボディ部21をアンテナベース11の回動部取付け面11a上に強固に取付け固定することができる。
【0028】
なお、この回動ボディ部21の中心軸部の貫通孔211を挟むようにして、一対の四角柱状の貫通孔212,213が平行に穿設形成される。
【0029】
加えて、回動ボディ部21の上面には、その一方に軸穴を設けた金属製の一対の枢支板21b,21cを対峙するように埋設する。
【0030】
そして、これら回動ボディ部21の枢支板21b,21c間に挿入するようにして、回動ドラム部23、ジョイント部24、クリックプレート25、及び波ワッシャ26を適宜配置する。
【0031】
回動ドラム部23は、上記一対の枢支板21b,21cの対向方向と軸方向が一致するようにした樹脂製の円柱状部材でなり、その径方向、図中の上下方向に沿って、内周面が螺刻された貫通孔が形成されるもので、後述するアンテナマスト13下端の雄ねじ13aを螺合することでアンテナマスト13を回動部12に取付け固定することとなる。
【0032】
ジョイント部24は、この回動ドラム部23の中心部に挿入され、回動ドラム部23と一体にしてアンテナマスト13の可倒動作に伴う回動動作を行なう金属製部材でなり、回動ドラム部23の中心軸方向に沿った一対の軸部24a,24bのうちの一方24aを上記回動ボディ部21の枢支板21bの軸穴に挿通する。
【0033】
また、このジョイント部24の他方の軸部24bが、クリックプレート25に形成された貫通孔25aに挿通される。クリックプレート25は、その下部を回動ボディ部21に固定する。
【0034】
図4は、このジョイント部24とクリックプレート25の係合状態を示すべくこれら2つの部材を抜き出して説明するもので、ジョイント部24には、上記回動ドラム部23と一体にしてアンテナマスト13の雄ねじ13aを螺合するための、内周面が螺刻された貫通孔24dが形成されると共に、上記軸部24bを形成した面には、軸部24bを挟んで180°相対向した一対のクリック凸部24c,24cが突出形成されている。
【0035】
これに対応して、クリックプレート25の上記クリック凸部24c,24cとの接触面においても、貫通孔25aを中心として180°相対向した2対のクリック凹部25b,25b,25c,25cが切削形成されている。
【0036】
すなわち、後述する波ワッシャ26の弾性によりクリックプレート25がジョイント部24の軸部24bを形成した面に強く押圧された状態では、ジョイント部24のクリック凸部24c,24cがクリックプレート25の2対のクリック凹部25b,25b,25c,25cのうちの一対にある状態でクリック感が付与され、アンテナマスト13の可倒角度が保持されることとなる。
【0037】
しかるに、ジョイント部24の軸部24bの軸長とクリックプレート25の板厚とをほぼ同一に設定することにより、ジョイント部24の軸部24bをクリックプレート25の貫通孔25aに挿通したとしても、クリックプレート25のジョイント部24とは接していない面側に軸部24bが大きく突出することはない。
【0038】
したがって、回動ボディ部21の一対の枢支板21b,21c間に、ジョイント部24を組込んだ回動ドラム部23と、クリックプレート25とを挿入し、ジョイント部24の軸部24aを枢支板21bの軸穴に挿通した状態で、クリックプレート25と回動ボディ部21の枢支板21cとの間に波ワッシャ26を圧入することにより、波ワッシャ26を上記軸部24bの端面に阻止されることなくクリックプレート25と枢支板21c間に位置させることができる。
【0039】
しかるに、この波ワッシャ26を圧入した状態で、上記ジョイント部24を組込んだ回動ドラム部23、クリックプレート25、及び波ワッシャ26を被覆すべく、一対の脚部27a,27bを有するカバー部27を配設し、該脚部27a,27bを上記回動ボディ部21の貫通孔212,213に挿通してその先端部の係止形状により取付け固定することで、回動ボディ部21の組立てが完成する。
【0040】
その後、カバー部27の半球状の上部に形成された、上記アンテナマスト13の回動範囲に対応した長孔27cを介して、アンテナマスト13の雄ねじ13aを回動ドラム部23及びこの回動ドラム部23の軸部に組込まれているジョイント部24に強く螺合することにより、アンテナベース11、回動部12、及びアンテナマスト13でなるルーフマウントアンテナ10の組立が完了する。
【0041】
このような構成にあって、上記図1で示した、アンテナマスト13が中立位置より略30°ほど車両後方側に傾いた状態、換言すればアンテナマスト13が車両後方側の水平面から略60°立てられた状態が、上記図4で示したクリックプレート25の一対のクリック凹部25b,25bに対応するクリック位置であるものとすれば、その位置からさらにアンテナマスト13を60°ほど車両後方側に可倒し、アンテナマスト13が完全に車両後方側の水平面にまで倒れた状態が、上記図4で示したクリックプレート25のもう一対のクリック凹部25c,25cに対応するクリック位置となるものである。
【0042】
加えて、アンテナマスト13が車両後方側の水平面から略60°立てられた状態からさらにアンテナマスト13を120°ほど反対側の車両前方側に可倒し、アンテナマスト13が完全に車両前方側の水平面にまで倒れた状態でも、上記図4で示したクリックプレート25のもう一対のクリック凹部25c,25cに対応するクリック位置となる。
【0043】
ここで、該クリック感を伴うアンテナマスト13の所定角度での保持力は、波ワッシャ26の弾性の大きさに加えて、アンテナマスト13の雄ねじ13aを形成している下端面が、カバー部27の長孔27cの両脇部分に接触している状態での摩擦力に左右されるものとなる。
【0044】
したがって、アンテナマスト13の雄ねじ13aをより強く回動ボディ部21内の回動ドラム部23及びその内部に組込まれたジョイント部24に螺合させ、アンテナマスト13の雄ねじ13aを形成している下端面を、カバー部27の長孔27cの両脇部分により強く押圧するように接触させてその摩擦力を増すことにより、アンテナマスト13はクリック感を伴う回動位置をより強く保持し、外部から与えられる力に対しても、より可倒し難くなる。
【0045】
そのため、車両の走行時や段差を越える際等の振動により不用意にアンテナマスト13が回動角度を変えてしまうことなく、且つ外力が与えられても回動によりその外力を逃がして破損しない程度の保持力となるようにアンテナマスト13を回動部12の回動ドラム部23及びジョイント部24に対して適宜締付け力を調整すればよい。
【0046】
このように、アンテナマスト13が所定の回動角度でクリック感を伴って保持されるようにしながら、アンテナマスト13の支持装架とその回動とを受け持つ回動部12の部品点数を最小限に削減することで、ルーフマウントアンテナ10の全体構造を大幅に簡素化して小型化することが可能となる。
【0047】
加えて、回動部12の回動ボディ部21をアンテナベース11の雌ねじ11bに螺合する雄ねじ22のねじ径、ねじ軸長、及びねじピッチ等を、アンテナマスト13の雄ねじ13aのそれらと同一となるように設定すれば、回動部12の存在なしにアンテナマスト13を直接アンテナベース11に取付けることもできる。
【0048】
このように、アンテナベース11に対する回動部12の取付け構造と、回動部12の回動ドラム部23及びジョイント部24に対するアンテナマスト13の取付け構造とを共通化することにより、回動部12を省略してアンテナマスト13を直接アンテナベース11に取付けることもできる。
【0049】
したがって、例えば万が一可動部である回動部12が破損してしまった場合にも、回動はしないものの、アンテナマスト13を直接アンテナベース11に取り付けることでラジオの受信等は問題なく続行でき、外観上も違和感のないものとできる。
【0050】
さらに、例えばアンテナベース11とアンテナマスト13を標準の装備とし、回動部12をオプションの装備とすることで、所謂、販売店オプションと呼称されているように、工場出荷時におけるアンテナベース11の取付け状態を変えることなく、当該車両の部品装備中における本ルーフマウントアンテナ10をシステム展開するような場合にも対応できる。
【0051】
なお、上記ルーフマウントアンテナ10におけるアンテナマスト13の回動位置をクリック感を付与しながら保持する大きな要素として、波ワッシャ26を回動ボディ部21の枢支板21cとクリックプレート25の間に圧入するものとして説明したが、この波ワッシャ26に代えて、他の弾性部材、例えば短軸のコイルスプリングやバネワッシャ、板バネ等を挿入するものとしてもよい。
【0052】
しかしながら、特に波ワッシャ26を用いることで、非常に薄型で製造コストもきわめて安価であり、回動部の小型化と構造の簡素化を容易にしながら、広い面範囲で強固に回動部内のクリック感の付与とアンテナマスト13の回動位置の保持、及び回動部12内のがたつきの除去に寄与できる。
【0053】
(第2の実施の形態)
以下本発明を車両用のルーフマウントアンテナに適用した場合の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0054】
なお、本実施の形態に係るルーフマウントアンテナ10′全体の外観構成については、基本的に上記図1と同様であるので、同一部分には同一符号を付すものとしてその図示及び説明は省略する。
【0055】
図5により主として回動部12′の構成を説明する。
後述するアンテナベース11′の回動部取付け面11dに取付け固定する部材として回動ボディ部21′が用いられる。この回動ボディ部21′は、樹脂製の円柱状形状を有し、その中心軸部に設けられた貫通孔を介して波ワッシャ31及びプラグ金具32を挿通し、その底面に設けられた円筒状のガイドリング21d内に該プラグ金具32の先端を突出させるもので、これらプラグ金具32の先端及びガイドリング21dにより後述するプラグ部21eを構成する。
【0056】
なお、この回動ボディ部21′に設けられた枢支板21b,21cと、回動部12′を構成する他の回動ドラム部23、ジョイント部24、クリックプレート25、波ワッシャ26、及びカバー部27の構成、並びにアンテナマスト13の取付け構造等については、上記第1の実施の形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその説明は省略するものとする。
【0057】
図6は、上記回動ボディ部21′のプラグ部21e、及びこのプラグ部21eと嵌合する、アンテナベース11′の回動部取付け面11dに設けられたソケット部11eの構成を示すものである。ソケット部11eは、上記回動ボディ部21′のガイドリング21dに合致した径の孔内にソケット金具33が埋設されて構成される。
【0058】
ここで、図7により特にプラグ部21eを構成するプラグ金具32と、ソケット部11eを構成するソケット金具33のみを抜き出してその嵌合構造についてに説明する。
【0059】
プラグ金具32の先端は、図示する如く中心軸32aに対して該軸方向に直交する一対の係止ピン32b,32cが突出形成されるものである。
これに対してソケット金具33は、上記プラグ金具32の先端に合致した形状の孔33aがその軸方向に沿って穿設された円筒状部材33bを有するもので、上記孔33aの最奥部にはまた、上記係止ピン32b,32cを中心軸32aの軸方向を中心として所定角度、例えば90°回動可能とする、円筒状部材33bの周方向に沿うように形成された遊貫部33c,33dを連続して形成しており、且つそれらの各先端部は上方、すなわち上記波ワッシャ31の弾性で係止ピン32b,32cが押し戻される方向がより大径となって、上記係止ピン32b,32cが係止される形状を有している。
【0060】
すなわち、回動ボディ部21′のプラグ部21eをアンテナベース11′のソケット部11eの孔33aの方向に併せて挿入し、突き当たった位置から例えば右方向に90°回動させると、回動ボディ部21′の係止ピン32b,32cが上記遊貫部33c,33dの各先端で係止され、ここでは図示しない波ワッシャ31の弾性によりプラグ部21eがソケット部11eにロックされることとなる。
【0061】
反対に、ソケット部11eにロックされているプラグ部21eを解除するには、回動ボディ部21′をもって若干押し気味に左方向に90°回動した後に引き抜けばよい。
【0062】
このように、アンテナベース11′に対する回動部12′の回動ボディ部21′を、挿入後に一定角度回動して係止する抜止め式の取付け構造としたことにより、回動部12′のアンテナベース11′に対する取付けをきわめて容易で迅速に実施し得るものとできる。
【0063】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、回動部12(12′)の回動ドラム部23及びジョイント部24を別個の部品として用いるものとしたが、これらを一体化して構成するものとしてもよい。
【0064】
その場合、ジョイント部24に相当する部分の特に軸部24a,24bの摩耗や枢支板21b,21cとの関係から全体を金属製とする必要があるが、いずれにしても、部品点数を削減することにより回動部12(12′)の組立工程を大幅に簡略化し、製造コストをより低いものにできる。
【0065】
さらに、回動ドラム部23とジョイント部24のみならず、これらと共に回動するアンテナマスト13基部のアンテナ素子自体も含めて、これらを一体化することも考えられる。
【0066】
図8は、これらを一体化した回動部材41の外観構成を例示するものである。同図で、短軸円柱状の軸に沿って軸部(24a,)24bを設けると共に、軸部24bを挟むようにして一対のクリック凸部24c,24cを設け、さらにその周面部にアンテナ素子41aを設けるものとした。
【0067】
このような構成とすることにより、回動部12(12′)の回動する部分とアンテナマスト13とを実質的に一体化することができ、アンテナベース11(11′)に対するアンテナマスト13及び回動部12(12′)の取付け及び取外しをより簡易化できる。
【0068】
なお、上記第1及び第2の実施の形態はいずれも、本発明を車両用のルーフマウントアンテナに適用した場合について説明したものであるが、本発明はこれに限らず、車両のトランクリッド、フェンダー、バックドア等に取付けるものにも容易に適用しうることは勿論である。
【0069】
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
【0070】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0071】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、アンテナマストが所定の回動角度でクリック感を伴って保持されるようにしながら、アンテナマストの支持装架とその回動とを受け持つ回動部の部品点数を最小限に削減し、全体構造を大幅に簡素化して小型化することが可能となる。
【0072】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、回動部を省略してアンテナマストを直接アンテナベースに取り付けることもでき、万が一可動部である回動部が破損してしまった場合にも対処できる一方で、例えば回動部をオプション部品として本アンテナをシステム展開するような場合にも対応できる。
【0073】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、非常に薄型で製造コストもきわめて安価であり、回動部の小型化と構造の簡素化を容易にしながら、強固に回動部内のクリック感の付与とアンテナマストの回動位置の保持、及びがたつきの除去に寄与できる。
【0075】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、回動部の組立工程を大幅に簡略化することができる。
【0076】
請求項5記載の発明によれば、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、回動部とアンテナマストとを実質的に一体化することができ、アンテナベースに対するアンテナマスト及び回動部の取付け及び取外しをより簡易化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るルーフマウントアンテナ全体の外観構成を示す斜視図。
【図2】 同実施の形態に係る主としてアンテナベース単体の外観構成を示す斜視図。
【図3】 同実施の形態に係る回動部とアンテナマストの組立構成を示す斜視図。
【図4】 同実施の形態に係る回動部内のジョイント部とクリックプレートの係合を説明するための斜視図。
【図5】 本発明の第2の実施の形態に係るルーフマウントアンテナの回動部とアンテナマストの組立構成を示す斜視図。
【図6】 同実施の形態に係るアンテナベースと回動部の取付け構造を示す斜視図。
【図7】 同実施の形態に係るアンテナベースと回動部の各取付け部品の構造を示す斜視図。
【図8】 同実施の形態に係る回動ドラム部とジョイント部等の他の構造例を示す斜視図。
【符号の説明】
10,10′…ルーフマウントアンテナ、11,11′…アンテナベース、11a…回動部取付け面、11b…雌ねじ、11c…位置決め孔、11d…回動部取付け面、11e…ソケット部、12,12′…回動部、13…アンテナマスト、14…電源供給用コード、15…ラジオチューナ用同軸ケーブル、16…電源コネクタ、17…ラジオプラグ、21,21′…回動ボディ部、211〜213…貫通孔、21a…位置決め凸部、21b,21c…枢支板、21d…ガイドリング、21e…プラグ部、22…雄ねじ、23…回動ドラム部、24…ジョイント部、24a,24b…軸部、24c…クリック凸部、24d…貫通孔、25…クリックプレート、25a…貫通孔、25b,25c…クリック凹部、26…波ワッシャ、27…カバー部、27a,27b…脚部、27c…長孔、31…波ワッシャ、32…プラグ金具、32a…中心軸、32b,32c…係止ピン、33…ソケット金具、33a…孔、33b…円筒状部材、33c,33d…遊貫部、41…回動部材、41a…アンテナ素子。

Claims (5)

  1. アンテナベース、このアンテナベース上に取付けられた回動部及びこの回動部上に支持装架されたアンテナマストを備えた車両用可倒式アンテナであって、
    上記回動部は、
    上記アンテナベース上に取付けられ、その一方に軸穴を設けた一対の枢支板を形成した回動ボディ部と、
    この回動ボディ部の一対の枢支板の対向方向と軸方向が一致するようにして該枢支板間に挿入され、上記アンテナマストをその周面に取付けて支持する円柱状の回動ドラム部と、
    この回動ドラム部の中心軸位置に挿入され、一方を上記枢支板の軸穴に挿通する一対の軸部と、該軸部の上記枢支板の軸穴に挿通されない他方側を回動中心として配置されたクリック凸部とを形成したジョイント部と、
    上記回動ドラム部と上記回動ボディ部の軸穴を有していない他方の枢支板との間に挿入され、上記ジョイント部の上記枢支板の軸穴に挿通されない他方側の軸部を挿通する軸穴と、上記クリック凸部に対応したクリック凹部とを形成したクリックプレートと、
    このクリックプレートと上記回動ボディ部の軸穴を設けていない他方の枢支板との間に圧入され、上記クリックプレートを介して上記回動ドラム部及びジョイント部を上記回動ボディ部の軸穴を設けた側の枢支板に押圧する弾性部材と、
    上記回動ボディ部に対して取付けられ、上記アンテナマストの回動範囲に対応した長孔を形成し、上記回動ドラム部、ジョイント部、クリックプレート及び弾性部材を被覆するカバー部と
    を有することを特徴とする車両用可倒式アンテナ。
  2. 上記アンテナベースに対する上記回動ボディ部の取付け構造と上記回動ドラム部に対する上記アンテナマストの取付け構造とを共通化したことを特徴とする請求項1記載の車両用可倒式アンテナ。
  3. 上記弾性部材は波ワッシャでなることを特徴とする請求項1記載の車両用可倒式アンテナ。
  4. 上記回動ドラム部と上記ジョイント部とを一体成形したことを特徴とする請求項1記載の車両用可倒式アンテナ。
  5. 上記回動ドラム部と上記ジョイント部、及び少なくとも上記アンテナマストの基部のアンテナ素子部を一体成形したことを特徴とする請求項4記載の車両用可倒式アンテナ。
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