JP3843811B2 - 擦弦楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、擦弦操作に応じた振動を検出することができる擦弦楽器、および擦弦操作に応じた検出信号を出力する振動検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、バイオリン等の自然弦楽器を模倣した電気弦楽器が用いられている。この電気弦楽器は、弦の振動をピックアップで検出し、その検出信号を増幅して出力するというものである。このような電気弦楽器では、検出信号をヘッドフォン等に出力する、いわゆる消音演奏が可能であり、大きな楽音等を発生させることができない環境下で行う練習に用いる楽器として非常に便利である。
【0003】
また、自然弦楽器にあるべき共鳴体等、アコースティックの構成を有するアコースティック弦楽器における駒にピックアップを装着し、このような自然楽器においても増幅装置を介したスピーカ等から楽音を出力させるようにした楽器も用いられている。
【0004】
上記のようなピックアップを備えた電気バイオリンの外観構成を図1に示す。同図に示すように、この電気バイオリン1Aは、弦4を支持する台座であるボディ(本体部)2A、ネック3および胴部5を備えた構成である。弦4は、ボディ2Aの底部に固定されたテールピース6から駒7を経てネック3の先端にわたり4本張られている。ネック3には、弦4の端部が巻回されて弦4に張力を与えるペッグスクリュー3aが装着されている。
【0005】
なお、この明細書においては、電気バイオリンであっても、上記のように本体部に設けられる弦4を支持する部材、すなわちアコースティックバイオリンにおける駒に相当する部材を駒と称することとする。
【0006】
この電気バイオリン1Aでは、通常の自然楽器バイオリンのように、胴部の音響放射機能は必要ないので、胴部5は演奏者が身体(顎)で支持する側とは反対側にデザイン的に形成され、その胴部5の反対側におけるボディ2Aの底部に、実際に顎に挟んで支持する部分として顎当てパッド8が取り付けられている。
【0007】
上記のように擦弦操作による振動を検出するピックアップは駒7とボディ2Aとの間に設けられており、その近傍の構成を図2に示す。同図に示すように、駒7の2つの脚部18a,18bと、ボディ2Aの表面部との間には、各々ピックアップ20a,20bが配置されている。そして、演奏操作によって振動する弦4から駒7に伝達される振動による機械エネルギーが、これらの圧電素子等から構成されるピックアップ20a,20bによって電気エネルギーに変換され、脚部18a,18bの振動に応じた電気信号を取得することができるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように駒7の振動を検出するピックアップ20a,20bは圧電素子等から構成されており、この振動検出構成の容量に関して、これを等価回路で表すと、圧電素子はコンデンサで表される。したがって、コンデンサの容量が大きくなると、ピックアップとしての出力インピーダンスが小さくなる。このように出力インピーダンスが大きくなると、カットオフ周波数が高くなり、振動の低周波成分を検出することができなくなる。したがって、出力インピーダンスの大きいピックアップ20a,20bで検出した信号を基に音響信号を生成した場合、低音域の音を正確に発生させることができなくなってしまう。また、出力インピーダンスが大きいと、検出信号にインピーダンスノイズが多く含まれてしまい、その結果、この検出信号に基づいて生成する音響信号の音質が悪化してしまうといった問題が生じる。もちろん、ピックアップ20a,20bを構成する圧電素子として薄型のものを採用すれば、コンデンサ容量が大きくなり、出力インピーダンスを小さくすることができるが、圧電素子の薄型加工は困難であり、実現できるとしても多大な費用がかかってしまう。
【0009】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、コスト増加などを招くことなく、駒の振動をより正確に検出することができる擦弦楽器および振動検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る擦弦楽器は、本体部と、前記本体部に脚部を介して立設された駒と、前記駒に支持されて前記本体部上に張り渡された弦と、前記脚部から前記本体部へ向かう前記駒の振動の伝達方向に沿って積層された第1の駒側圧電センサと第1の本体部側圧電センサとを並列接続してなる第1振動検出センサ群であって、前記第1の駒側圧電センサの分極方向を前記本体部から前記脚部に向けると共に前記第1の本体部側圧電センサの分極方向を前記脚部から前記本体部に向けた第1振動検出センサ群と、前記脚部から前記本体部へ向かう前記駒の振動の伝達方向に沿って積層された第2の駒側電圧センサと第2の本体部側圧電センサとを並列接続してなる第2振動検出センサ群であって、前記第2の駒側圧電センサの分極方向を前記脚部から前記本体部に向けると共に前記第2の本体部側圧電センサの分極方向を前記本体部から前記脚部に向けた第2振動検出センサ群とを備える。
【0011】
この構成によれば、複数の圧電素子を並列接続することにより、当該圧電素子の組から構成される振動検出センサ全体としての出力インピーダンスが低下する。すなわち、等価回路で表すと、コンデンサとなる圧電素子を並列接続することにより静電容量が複数倍となり、その結果出力インピーダンスが低下する。出力インピーダンスが小さくなることで、カットオフ周波数を小さくしたり、ノイズを低減したりすることができ、より正確な振動検出を行うことができる。また、圧電素子として薄型のものを採用する等、圧電素子単体として出力インピーダンスが低下するような構成を採用すれば上記と同様の効果が得られるが、圧電素子の薄型加工は困難であり、実現できたとしても多大なコストを要する。すなわち、本発明によれば、大幅なコスト増加を招くことなく、より正確な振動検出を実現することができる。
【0012】
本発明に係る擦弦装置は、前記第1振動検出センサ群によって出力される検出信号の周波数特性を調整する第1の周波数特性調整手段と、前記第2振動検出センサ群によって出力される検出信号の周波数特性を調整する手段であって、前記第1の周波数特性調整手段とは異なる周波数特性の調整を行う第2の周波数特性調整手段とを更に備えてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
A.実施形態
まず、本発明の一実施形態に係る電気バイオリンの全体構成は図1に示した一般的な電気バイオリンと同様であり、本実施形態に係る電気バイオリンは駒7の振動を検出する振動検出センサユニット(振動検出装置)および検出した振動に応じて楽音をヘッドフォン等から放音させる音響信号生成ユニットを有しており、その振動検出センサユニットの構成に特徴を有している。したがって、バイオリンの一般的な構成の説明は省略することとし、図3および図4を参照しながら、駒7近傍の振動検出構成について説明する。
【0014】
図3に示すように、駒7の脚部18a,18bとボディ2Aとの間には、擦弦操作によって生じる駒7の振動を検出することができる振動検出センサユニット50が配置されており、振動検出センサユニット50は、脚部18a,18bの各々の下方側に配置される第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bを有している。
【0015】
振動検出センサユニット50は、圧電センサ51a,51bと、絶縁層52と、圧電センサ53a,53bとを有しており、これらの各構成要素が駒7とボディ2Aとの間に図の上下方向、すなわち駒7とボディ2Aとを結ぶ振動の伝達方向に積層された構造となっている。
【0016】
第1振動検出センサ群50aの圧電センサ51aおよび圧電センサ53aは、脚部18aの下面に絶縁層52を挟んで積層されており、お互いの分極方向が逆方向(図示の例では、圧電センサ51aが上から下、圧電センサ53aが下から上)となるよう配置されている。そして、圧電センサ51aと圧電センサ53aに挟まれる絶縁層52には、スルーホール52aが形成されており、スルーホール52aを挿通させられた配線55aによって圧電センサ51aおよび圧電センサ53aの対向する面同士が電気的に接続されている。そして、圧電センサ51aの下面、すなわち圧電センサ53aと対向する面に出力配線56aが接続されており、圧電センサ51aの上面および圧電センサ53aの下面に接地線57aが接続されている。これにより、擦弦操作によって駒7(脚部18a)に振動が生じた場合、その振動が圧電センサ51aおよび圧電センサ53aによって電気エネルギーに変換され、この結果出力配線56aを介して振動に応じた電気信号が出力されるようになっている。なお、圧電センサ51aと圧電センサ53aとの面同士の接続方法はスルーホールを利用するものに限らず、例えば絶縁層52を介さずに両者を直接導電性接着剤等で貼り付けるようにしてもよい。
【0017】
第2振動検出センサ群50bの圧電センサ51bおよび圧電センサ53bは、脚部18bの下面に絶縁層52を挟んで積層されており、お互いの分極方向が逆方向となるよう配置されている。また、図示のように、圧電センサ51bはその分極方向が圧電センサ51aと逆方向となるよう配置されており、圧電センサ53bはその分極方向が圧電センサ53aと逆方向となるよう配置されている。そして、圧電センサ51bの下面、すなわち圧電センサ53bと対向する面に出力配線56bが接続されており、圧電センサ51bの上面および圧電センサ53bの下面に接地線57bが接続されている。これにより、擦弦操作によって駒7(脚部18b)に振動が生じた場合、その振動が圧電センサ51bおよび圧電センサ53bによって電気エネルギーに変換され、この結果出力配線56bを介して振動に応じた電気信号が出力されるようになっている。以上のように圧電センサ51bはその分極方向が圧電センサ51aと逆方向となるよう配置し、圧電センサ53bはその分極方向が圧電センサ53aと逆方向となるよう配置するとともに同一側の面に出力線57a,57bを結線することによって、駒7に生じる振動の横振動成分をより正確に検出することができる。すなわち、駒7の横振動成分、つまりある一時点における脚部18a,18bの振動方向は逆方向(一方が下から上の場合、他方は上から下となる)となる振動成分を検出した際に圧電センサ51a,51bおよび圧電センサ53a,53bから出力される信号が、お互いの特性を打ち消し合うことがないので、横振動成分をより正確に検出することができるのである。
【0018】
以上のような構成の振動検出センサユニット50の容量に関する等価回路を図4に示す。同図に示すように、振動検出センサユニット50は、脚部18aの下方側に配置される圧電センサ51aおよび圧電センサ53aの2つのセンサ(等価回路ではコンデンサに相当)が並列に接続され、脚部18bの下方側に配置される圧電センサ51bおよび圧電センサ53bの2つのセンサ(コンデンサに相当)とが並列に接続されるといった等価回路となる。したがって、各圧電センサ51a,51bおよび圧電センサ53a,53bのコンデンサの静電容量をCとした場合、各々の脚部18a,18bの下方側に設けられる並列接続された第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bの静電容量は2倍、すなわち2Cとなるから、インピーダンスZは、次式で表される。
Z=1/(2πf*2C)
なお、上記式において、fは周波数である。
【0019】
すなわち、圧電センサ51aと圧電センサ53aおよび圧電センサ51bと圧電センサ53bを各々並列接続することによって、第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bの静電容量が2倍となり、この結果、当該各センサ群の出力インピーダンスは、1つの圧電センサ(静電容量C)を利用した場合(Z=1/2πfC)と比較して低下することになる。このように、第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bの出力インピーダンスが低下すると、これに伴ってカットオフ周波数を低くすることができ、各々第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bは、脚部18a,18bに生じる振動の低周波成分をより正確に検出することができる。また、上記のように出力インピーダンスを低下させることで、インピーダンスノイズが減少するので、第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bはノイズの少ない検出信号を出力することができる。
【0020】
以上のような構成の第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bを有する振動検出センサユニット50が脚部18a,18bとボディ2Aとの間に設けられており、擦弦操作に応じた駒7の振動を検出することができ、振動に応じた電気信号を出力することができる。
【0021】
次に、上記構成の振動検出センサユニット50の第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bが検出した駒7の振動に対応する電気信号に基づいて音響信号を生成し、外部スピーカ等の放音装置から放音するための音響信号生成ユニットの構成について図5を参照しながら説明する。
【0022】
同図に示すように、音響信号生成ユニット60は、アンプ61a,61bと、アンプ62a,62bと、周波数特性調整フィルタ65a,65bと、加算回路66とを備えている。
【0023】
アンプ61a,61bの各々には、上記構成の振動検出センサユニット50の第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bによって検出された振動に対応する信号が供給されるようになっており、両信号の振幅が個別に設定された所定の増幅率で増幅された後、各々アンプ62a,62bに供給される。アンプ62a,62bでは、各々供給された信号が所定の増幅率で増幅され、周波数特性調整フィルタ65a,65bに供給される。
【0024】
周波数特性調整フィルタ65a,65bは、各々異なる特性を有するフィルタである。第1振動検出センサ群50aが駒7の低音側の弦が配置される側の脚部の下面に配置されるものであり、第2振動検出センサ群50bが駒7の高音側の弦が配置される側の脚部に配置されるものであるから、各々のフィルタは駒7における振動検出位置に応じた周波数特性調整を行うような特性を有している。
【0025】
周波数特性調整フィルタ62a,62bから供給される周波数特性調整後の信号は加算回路66に出力される。加算回路66では、これらの信号が加算され、音響信号としてヘッドフォンやスピーカ等から構成される放音装置68に出力される。なお、図示はしないが、加算回路66から出力される信号をディジタル信号に変換し、残響付与等のディジタル信号処理を施してから放音装置68に出力するようにしてもよい。
【0026】
音響信号生成ユニット60は上記の構成を有しており、振動検出センサユニット50の第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bによって検出される駒7の振動に対応する電気信号に対し、適当な信号処理を施して音響信号を生成するようになっている。
【0027】
以上説明したように本実施形態に係る電気バイオリンでは、擦弦操作による駒7の振動を検出する手段として、第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bを複数(本実施形態では2つ)の圧電センサを並列接続した構成を採用している。このように複数の圧電センサを並列接続した構成とすることにより、出力インピーダンスが低下し、擦弦操作によって駒7に生じる振動の低周波成分をより正確に検出することができ、当該検出結果を用いた楽音発生の際における低音域の音質を向上させることができる。また、上記のように検出結果に含まれるノイズを減少させることもできるので、当該検出結果を用いた楽音発生を行うと、より高品位の楽音を発生させることができる。
【0028】
もちろん、脚部18a,18bの各々の下面側に配置する圧電センサとして、薄型のものを採用すれば、出力インピーダンスを低下させることができ、上記第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bと同様の効果を得ることも可能であるが、圧電センサを非常に薄く加工するのは困難であり、仮に可能であったとしても多大なコストを要することになると考えられる。これに対し、複数の圧電センサを並列接続するといった構成を採用することにより、市販等されている圧電センサを利用しながら、つまり大幅なコストの増加等を招くことなく、センサ群全体としてみれば出力インピーダンスを低下させることができ、これにより上記のような種々の効果を得ることができる。
【0029】
ところで、上記のように複数の圧電センサを並列接続した構成の振動検出センサ群としては、駒7における点在する部位に各圧電センサを取り付け、これらを並列接続することも考えられる。しかしながら、このようにした場合には、各々のセンサの出力特性が異なることがあり、これらを並列接続した構成のセンサによって得られる検出結果の正確性が損なわれるおそれがある。これに対し、本実施形態では、並列接続する各圧電センサを脚部18a,18bの下面側において、駒7からボディ2Aへの振動伝達方向に積層配置することにより、積層配置された各圧電センサにはほぼ同じ振動が加わり、この結果、各圧電センサから出力される信号の特性もほぼ同じようなものとなる。したがって、これらの積層配置された圧電センサの出力結果の正確性が損なわれる可能性が小さくなる、つまりより正確な振動検出が可能となるのである。
【0030】
また、並列接続する各圧電センサに対し、ほぼ同じような振動が加わるようにするために脚部18a,18bの各々の下面に、それぞれ2つの圧電センサを貼り付け、これらを並列接続することも考えられる。しかしながら、バイオリンの駒7の脚部18a,18bの下面の面積は微小であり、この限られた面積をさらに2分割した領域、つまり小さな領域に取り付けられた各圧電センサを利用して振動検出を行う場合、振動を検出することにより得られる信号の出力値が小さい等に起因して正確な振動検出ができなくなるおそれもある。これに対し、本実施形態では、第1振動検出センサ群50aおよび第2振動検出センサ群50bを構成する各圧電センサ51a、圧電センサ53aおよび圧電センサ51b、圧電センサ53bとして、各々脚部18a,18bの下面とほぼ同じ面積を有するものを採用した上で、これらを上下方向に積層配置することで、上記のような可能な限り大きい面積を有する圧電センサを並列接続とすることができるようにしている。したがって、上記のように脚部18a,18bの下面を各々2分割した領域に圧電センサを取り付ける場合よりも、得られる検出信号の出力値が大きくなり、より正確な振動検出を行うことが可能となる。
【0031】
B.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0032】
(変形例1)
上述した各実施形態においては、本発明をバイオリンに適用した場合について説明したが、弦と、弦を支持する部材(駒等)とを有し、該弦を弓等によって擦ることにより演奏を行う擦弦楽器に適用することが可能であり、例えばチェロ、ビオラ、コントラバス等に適用することができる。
【0033】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、圧電センサ51aと圧電センサ53a、および圧電センサ51bと圧電センサ53bといった2つの圧電センサを並列接続する構成としていたが、これに限らず、3つ以上の圧電センサを並列接続するようにしてもよい。このように3つ以上の圧電センサを並列接続する場合には、上述した実施形態と同様、3つ以上の各圧電センサを絶縁層を挟んで積層配置するようにしてもよい。
【0034】
(変形例3)
また、上述した各実施形態においては、本発明を電気バイオリンに適用した場合について説明したが、アコースティックな発音機能を有する擦弦楽器に適用することができる。例えば、図6に示すようなアコースティックバイオリンにも本発明を適用することができる。
【0035】
同図に示すように、このバイオリンは、通常のバイオリンと同様に共鳴体である響胴(本体部)11と、響胴11から延出するネック12とを有しており、ネック12に設けられた糸巻13と響胴11に設けられた緒止板14とで4本の弦15を張力を与えた状態で支持している。響胴11およびネック12の上面(紙面手前側)には、指盤16が弦15とほぼ平行に配置されている。響胴11には駒18が立設されており、弦15との間で挟持されている。これにより弦15の振動が駒18を介して響胴11に伝達されるようになっている。これらの各構成要素は、通常のアコースティックバイオリンと同様の機能を有している。当該バイオリンの駒18の脚部に、上記実施形態と同様の振動検出センサユニットを取り付けるようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コスト増加などを招くことなく、駒の振動をより正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気バイオリンの外観構成を示す正面図である。
【図2】 前記電気バイオリンの駒近傍の構成を示す図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る電気バイオリンの駒の振動を検出するための振動検出センサユニットの構成を示す図である。
【図4】 前記振動検出センサユニットの容量に関する等価回路を示す図である。
【図5】 前記振動検出センサユニットによって検出された信号に基づいて音響信号を生成する音響信号生成ユニットの構成を示す図である。
【図6】 前記実施形態に係るバイオリンの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1A……電気バイオリン、2A……ボディ、4……弦、5……胴部、7……ブリッジ、11……響胴、12……ネック、15……弦、18……駒、18a,18b……脚部、50……振動検出センサユニット、50a……第1振動検出センサ群、50b……第2振動検出センサ群、51a,51b,53a,53b……圧電センサ、52……絶縁層、60……音響信号生成ユニット、68……放音装置

Claims (2)

  1. 本体部と、
    前記本体部に脚部を介して立設された駒と、
    前記駒に支持されて前記本体部上に張り渡された弦と、
    前記脚部から前記本体部へ向かう前記駒の振動の伝達方向に沿って積層された第1の駒側圧電センサと第1の本体部側圧電センサとを並列接続してなる第1振動検出センサ群であって、前記第1の駒側圧電センサの分極方向を前記本体部から前記脚部に向けると共に前記第1の本体部側圧電センサの分極方向を前記脚部から前記本体部に向けた第1振動検出センサ群と、
    前記脚部から前記本体部へ向かう前記駒の振動の伝達方向に沿って積層された第2の駒側電圧センサと第2の本体部側圧電センサとを並列接続してなる第2振動検出センサ群であって、前記第2の駒側圧電センサの分極方向を前記脚部から前記本体部に向けると共に前記第2の本体部側圧電センサの分極方向を前記本体部から前記脚部に向けた第2振動検出センサ群と
    を備えた擦弦楽器。
  2. 請求項1に記載の擦弦楽器において、
    前記第1振動検出センサ群によって出力される検出信号の周波数特性を調整する第1の周波数特性調整手段と、
    前記第2振動検出センサ群によって出力される検出信号の周波数特性を調整する手段であって、前記第1の周波数特性調整手段とは異なる周波数特性の調整を行う第2の周波数特性調整手段と
    を更に備えた擦弦楽器。
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