JP3843680B2 - 燃料電池システムの出力制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムの出力制御装置に関し、燃料電池で発電された電力を最適に負荷系に供給して十分な運転性能を引き出すことができる燃料電池システムの出力制御装置を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムで発電された電力を駆動用モータに供給するように構成された燃料電池車両では、一般に、運転者の操作に応じて燃料電池の出力が変化することとなる。同時に、駆動用モータに供給すべき電力をスタックに発電させるため、改質器で発生させる水素量を変化するように制御されるが、改質器の応答速度は負荷変動より遅い傾向にある。
【0003】
このため、駆動用モータによる負荷増加に合せて電力をスタックから引き出すと、スタックに供給されている水素量が不足するので、スタック電圧が異常に降下するといった問題が発生する。
そこで、スタックに供給される水素量及び空気量に応じた電力を引き出すようにしておき、スタックによる応答の遅れ分だけ、すなわち、スタックからの電力と負荷により要求される電力との過不足が生じた電力差だけ2次電池から充放電することにより吸収するようにしている。
【0004】
従来、燃料電池車両に搭載されている燃料電池システムの出力制御装置においては、スタックでの発電電力を制御するのに、図10に示すような基本構成を有する昇降圧型のDC/DCコンバータ121をスタックと負荷の間に配置させている。
このDC/DCコンバータ121においては、昇圧変換と降圧変換とでは、動作させるスイッチング素子がそれぞれ異なっており、トランジスタTr101,Tr103のベースに加える制御信号のデューティ比に応じて所望の電圧を発生させている。図11は、トランジスタTr101,Tr103のベースに加える制御信号のデューティ比と昇降圧比との関係を示すグラフである。
【0005】
昇圧時には、CNT101にON制御信号(1)を加えてトランジスタTr101をON動作させるとともに、CNT103に所望のデューティ比の制御信号を加えてトランジスタTr103をON−OFF動作させ、入力電圧Vin以上の電圧を出力するように制御されている。
一方、降圧時には、CNT103にOFF制御信号(0)を加えてトランジスタTr103をOFF動作させるとともに、CNT101に所望のデューティ比の制御信号を加えてトランジスタTr101をON−OFF動作させ、入力電圧Vin以下の電圧を出力するように制御されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示すように、DC/DCコンバータ121から引き出すことができる出力電圧には必ずしも連続性があるわけではない。特に、入出力電圧がほぼ等しく、昇圧変換から降圧変換に切り替わる場合や、降圧変換から昇圧変換に切り替わる場合には、DC/DCコンバータ121により電力を安定的に変換させることが困難なことが考えられる。
【0007】
すなわち、DC/DCコンバータ121の出力側に設けられている2次電池や負荷の電圧を検出するために、電圧センサを用いた場合、センサ自体がある程度の検出誤差を有しており、センサ出力信号をA/Dコンバータに入力して量子化しても、A/Dコンバータ自体の分解能や誤差などが加わる。このため、例えば2次電池や負荷の電圧とスタックからの出力電圧を比較して、両者の大小関係に基づいて、DC/DCコンバータ121の変換機能を切り替えたとしても、上述した検出誤差が加算され切替判定に誤差が生じるため、適切な変換機能を選択できないことが考えられる。
【0008】
このように、DC/DCコンバータの昇圧変換と降圧変換との切り替わり境界領域では、切替制御の判断情報となる入出力電圧やスタック電流等の検出誤差によって、適切な切替制御が阻害されることが考えられ、この結果、所望の運転性能を確保し難いおそれがある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、燃料電池で発電された電力を最適に負荷系に供給して十分な運転性能を引き出すことができる燃料電池システムの出力制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、燃料電池車両に搭載される燃料電池システムの出力制御装置であって、燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、空気を圧縮する圧縮器と、改質器から供給される改質ガスと圧縮器から供給される空気とを用いて発電する燃料電池と、燃料電池から出力される電力を要求指令に応じて昇圧変換または降圧変換する電力制御手段と、電力制御手段から出力される電力を貯蔵する電力貯蔵手段と、電力貯蔵手段と並列に接続され、電力制御手段から出力される電力を運転状況に応じて消費する負荷とを備え、前記電力制御手段の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された入力電圧と出力電圧との電圧差を算出する算出手段と、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する機能、及び燃料電池の出力電圧の固定を解除する機能を有した固定制御手段と、を備え、固定制御手段は、電圧検出手段により検出された入力電圧と出力電圧との電圧差を算出する算出手段と、算出手段により算出された電圧差が所定の範囲内にある場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定することを要旨とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、前記固定制御手段は、前記燃料電池の出力電流を一定値になるように制御することを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記電力制御手段は、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定した後に、前記燃料電池に所望される出力としたときの出力電圧を推定する電圧推定手段と、電圧推定手段により推定された推定出力電圧と、前記電力制御手段の出力電圧値との電圧差を算出する電圧差算出手段とを備え、電圧差算出手段により算出される電圧差が所定値以上の場合には、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、前記改質器に設けられ燃料電池から排出される水素を燃焼する排水素燃焼器と、排水素燃焼器の温度を検出する温度検出手段とを備え、前記固定制御手段は、前記排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを要旨とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、上記課題を解決するため、前記燃料電池の入力側および出力側の水素量を検出する水素量検出手段と、水素量検出手段により検出された入力側および出力側の水素量に基づいて、前記燃料電池での水素利用率を算出する水素利用率算出手段を備え、前記固定制御手段は、前記水素利用率算出手段により算出された水素利用率が所定値を超えた場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを要旨とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、電力制御手段の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を検出するようにしておき、検出された入力電圧と出力電圧との電圧差が所定の範囲内にある場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定するように制御することで、電力制御手段が昇圧変換と降圧変換との切替領域で動作しているときでも一方の変換動作により出力電圧を固定することができる。この結果、切替制御の判断情報となる入出力電圧やスタック電流等の検出誤差によって、適切な切替制御が阻害されることを防止でき、十分な運転性能を引き出すことができる。
【0016】
また、請求項2記載の本発明によれば、燃料電池の出力電流を一定値になるように制御することで、燃料電池の出力電圧を一定値に固定することができる。
【0017】
また、請求項3記載の本発明によれば、電力制御手段は、燃料電池の出力電圧を一定値に固定した後に、燃料電池に所望される出力としたときの出力電圧を推定し、この推定出力電圧と電力制御手段の出力電圧値との電圧差が所定値以上の場合には、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、電力制御手段が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【0018】
また、請求項4記載の本発明によれば、改質器に設けられ燃料電池から排出される水素を排水素燃焼器で燃焼するようにしておき、排水素燃焼器の温度を検出しておく。ここで、排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、燃料電池は要求電力値に応じて発電して水素量を消費することで、排水素燃焼器へ入る水素量を元に戻し、排水素燃焼器の温度が予め定められた範囲を超えることを防止することができる。
【0019】
また、請求項5記載の本発明によれば、燃料電池の入力側および出力側の水素量を検出しておき、検出された水素量に基づいて、燃料電池での水素利用率を算出し、この水素利用率が所定値を超えた場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、電力制御手段が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置のシステム構成を示す図である。
【0021】
図1において、燃料タンク1には、燃料となるメタノールが貯蔵されており、このメタノールは改質器3へ送られ水素ガスを含む改質ガスに改質され、更にスタック7に供給される。同時に、コンプレッサ5は、空気を吸い込んで圧縮してスタック7に供給する。このスタック7は、多数枚からなる燃料電池の集合体であり、流入した水素ガスと空気中の酸素を反応させて電気エネルギーを得る。
【0022】
なお、スタック7内での反応に使われず残った排水素は、改質器3内の排水素燃焼器(図示せず)に戻されて燃焼され、改質器3内で熱源として利用される。また、スタック7から排空気が車外に排気される。
スタック7から発電される電流は、電力制御部9により電力制御され、充放電可能な例えば2次電池からなる電力貯蔵部11、インバータや駆動用モータや燃料電池のシステム機器からなる負荷13に供給される。
【0023】
システム制御部15は、装置全体を制御するための制御プログラム及び制御データを記憶するROMと、制御データや制御フラグ等を常時記憶するRAMと、ROMに記憶された制御プログラムに従って装置全体を制御するCPUとから構成されている。
温度センサ17は、改質器に設けられている排水素燃焼器の温度を検出してシステム制御部15に出力する。
【0024】
図2は、電力制御部9を構成するDC/DCコンバータ21の具体的構成を示す図である。
このDC/DCコンバータ21の入力側と出力側には、DC/DCコンバータ21の入力電圧Vin及び出力電圧Vout を検出するための電圧検出部23,25が設けられており、電圧検出部23,25で検出される出力電圧はシステム制御部15に出力される。そして、DC/DCコンバータ21は、システム制御部15から与えられる指令値CNT1,CNT3に基づいてトランジスタTr1及びTr3をスイッチング動作させ、出力電流を所望の値に制御する。
【0025】
次に、図3〜図8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置の動作を説明する。なお、図3は、メイン制御フローを表すフローチャートである。図4は、出力保持判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。図5は、出力保持解除判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。図6は、スタックの電流−電圧特性を示すグラフである。図7は、要求電力量が増加する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。図8は、要求電力量が減少する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。
【0026】
まず、図3において、ステップS10では、スタック7から引き出す電力を要求電力値の変化に関わらず一定値に保持するか否かを判定する。ここで、図4に示すサブルーチンを参照して、出力保持判定処理について詳細に説明する。
【0027】
図4に移り、まず、ステップS110では、DC/DCコンバータ21の入力電圧及び出力電圧を電圧検出部23,25でそれぞれ検出する。
次に、ステップS120では、検出された入力電圧Vin及び出力電圧Vout の電圧差に対して絶対値を求め、予め定められた基準値ΔV未満かどうかを判定する。すなわち、入出力電圧差が基準範囲(−ΔV〜ΔV)内にあるかどうかを判定する。
【0028】
|Vin−Vout |≦ΔV
なお、上述した判断に用いられる基準値ΔVは、制御系の検出誤差により昇降圧判断を誤る程度の電圧幅より大きく設定することが望ましい。すなわち、DC/DCコンバータ21の入出力電圧の大小関係が逆転することが考えられる境界領域に対して、電圧検出部23,25による入出力電圧の検出誤差により両者がほぼ等しくなっている時間や、システム制御部15を構成するCPU内のA/Dコンバータが分解能以下となる時間などをサンプリング周期以下となるように設定することが望ましい。
【0029】
そして、DC/DCコンバータ21の入出力電圧差の絶対値が基準値ΔV以上の場合には、スタック7から引き出す電力を一定値に保持する必要がないと判断し、保持フラグをセットすることなく、本サブルーチンを終了する。なお、スタック7から引き出す電力指令値は、アクセル開度やブレーキ踏力、負荷となる例えばインバータや駆動用モータ(図示せず)やシステム機器から要求される電力量と、電力貯蔵部11の充放電可能量を考慮して求められたスタック7に要求される全電力の指令値であり、本実施の形態では、システム制御部15により算出されることとする。
【0030】
一方、ステップS130では、この入出力電圧差の絶対値が基準値ΔV未満の場合には、入出力電圧の大小関係がしばらく後に逆転する可能性がある境界領域にあるので、スタック7から引き出す電力指令値を保持するため、保持フラグをセット(1)する。
【0031】
次に、図3に移り、ステップS20では、保持されている電力指令値を維持すべきか、解除すべきかを判定する。ここで、図5に示すサブルーチンを参照して、出力保持解除判定処理について詳細に説明する。
まず、ステップS210では、DC/DCコンバータ21の出力電圧Vout を電圧検出部25で検出する。
【0032】
そして、ステップS220では、電力指令値の保持を解除した時にスタック7からDC/DCコンバータ21へ入力される入力電圧、すなわち、スタック7の出力電圧を推定する。具体的には、電力指令値の保持を継続するとともに、元々要求されている電力指令値を監視し、その電力をスタック7から引き出した時の電圧値Vin’を図6に示す電流−電圧特性を参照して推定する。
【0033】
なお、スタック7の電流−電圧特性は、図6に示すように、電流Iの増加に伴い電圧Vが降下する傾向を示している。図6は、発電に必要な水素及び空気が十分供給されている場合の例である。また、スタック7に供給される水素量や空気量または両者の圧力を用いて、図6に示す電流−電圧特性を補正してもよいが、本発明とは直接関係がないのでその詳細な説明を省略する。
【0034】
そして、ステップS230では、DC/DCコンバータ21の出力電圧Vout と、推定した入力電圧Vin’との電圧差の絶対値を求め、予め定められた基準値ΔV未満かどうかを判定する。
この電圧差が基準値ΔV以上の場合には、スタック7から引き出す電力指令値の保持を維持する必要がないと判断し、ステップS300では、保持フラグをクリア(0)する。
【0035】
一方、入出力電圧差が基準値ΔV未満の場合には、まだ電力指令値の保持を解除する必要がないと判定し、ステップS240に進む。
ステップS240では、改質器3内の排水素燃焼器(図示せず)に設けられた温度センサ17により排水素燃焼器の温度Tを検出する。
【0036】
なお、排水素燃焼器は、スタック7で消費されなかった排水素を燃焼して改質器3内の温度を保っており、スタック7で消費される水素量をある一定値で保持し、その結果、スタック7から引き出す電力をある一定値で保持している。
【0037】
さて、改質器3の応答速度は、スタック7や他の負荷よりも一般的に遅いので出力保持を解除した時点で、スタック7から十分な出力を引き出せるよう、改質器3で発生させる水素量をスタック7で消費される水素量に関わらず、燃料電池システムとして要求される電力に応じて変化させることを考える。この場合、スタック7で消費されない排水素量が、排水素燃焼器で燃焼を予定している所要量と差異が生じることになり、排水素量が過剰な場合、排水素燃焼器の温度Tは上昇傾向となり、また、排水素量が不足の場合、温度Tは下降気味となる。
【0038】
そこで、ステップS250では、温度センサ17により検出された排水素燃焼器の温度Tが、予め定められた下限温度Tlow から上限温度Thiまでの範囲を超えるかどうかを判定する。
【0039】
Tlow ≦ T ≦ Thi
排水素燃焼器の温度Tがこの範囲を超えると判定された場合には、ステップS300に進み、電力指令値の保持フラグをクリア(0)し、そして、スタック7は要求電力値に応じて発電して水素量を消費することで、排水素燃焼器へ入る水素量を元に戻し、温度Tがこの範囲を超えることを防止する。
【0040】
図7(b)に示すように、スタック電圧(入力電圧)がバッテリ電圧(出力電圧)に近づいた時間t1で、スタック7から引き出す電流を一定値に制御し始める。この場合、図7(b)に示すように、スタック7で消費される水素量が一定値になり、改質器3は要求電力量に応じて水素を発生するようになるため、排水素量が増加する。さらに、時間t2で保持フラグがクリア(0)されて出力保持が解除され、要求電力量をスタック7から引き出すと、電圧がその電力値に応じて低下し、また水素消費量も増加するので、図7(c)に示すように、排水素量も元に近い値に戻ることになる。
【0041】
また、図8(b)に示すように、スタック電圧(入力電圧)がバッテリ電圧(出力電圧)に近づいた時間t3で、スタック7から引き出す電流を一定値に制御し始める。この場合、図8(b)に示すように、スタック7で消費される水素量が一定量になり、改質器3は要求電力量に応じて発生水素量を減じるようにするため、排水素量が減少する。さらに、時間t4で保持フラグがクリア(0)されて出力保持が解除され、要求電力量をスタック7から引き出すと、電圧がその電力値に応じて低下し、また水素消費量も減少するので、図8(c)に示すように、排水素量も元に近い値に戻ることになる。
【0042】
図5に移り、ステップS260では、要求電力が保持決定後も引き続き同傾向にあるかどうかを判定する。すなわち、DC/DCコンバータ21の入出力電圧の大小関係が交差すると予想判定した後に、要求電力値の変化方向が反転し、交差することがなくなるかどうかを推定する。
【0043】
具体的には、要求電力変化量の時間変化を算出し、今回値と前回値とが同一符号、すなわち、引き続き増加あるいは減少している場合には、スタック電圧もそれぞれ減少傾向または増加傾向が続くと判断し、保持フラグをクリアせずに、スタック7からの電力を保持し続ける。
【0044】
符号が反転していた場合、スタック7からの電力保持の解除を判断するため、ステップS270では、保持解除時点でのスタック電圧を推定する。なお、本ステップの内容は上述したステップS220と同様である。
【0045】
そして、ステップS280では、既に入出力電圧が交差したかどうかを判定する。既に交差済みだった場合には再び交差するまで保持を継続する。
そして、入出力電圧の大小関係がまだ交差していないと推定された場合には、次に、ステップS290へと進み、保持フラグをクリア(0)して解除するかどうかを判定する。すなわち、このステップS280は、要求電力値の変化方向が反転し、スタック電圧の変化傾向も反転する場合、入出力電圧の大小関係がそのまま変化しないと考えられるため、一度入出力電圧の大小関係が反転してしまっている場合には再度反転し、元の関係に戻るのを待つようにする。
【0046】
ステップS290では、出力電圧Vout と推定した入力電圧Vin’との電圧差の絶対値が予め定められた基準値ΔV以内かどうかを判定する。入出力電圧差の絶対値が基準値を超える場合には、ステップS300に進み、出力保持フラグをクリア(0)して解除し、図3に示すメインルーチンに復帰する。
【0047】
一方、入出力電圧差の絶対値が基準値以下の場合には、そのまま図3に示すメインルーチンに復帰する。
図3に移り、ステップS30では、保持フラグがセット状態(1)かどうかを判定し、保持フラグが(1)の場合にはステップS40に進み、出力保持制御を行い、入出力電圧の大小関係が元に戻るのを待つ。
【0048】
一方、保持フラグがセット状態(1)ではない場合にはステップS50に進み、通常制御を行い、処理を終了する。すなわち、通常制御としては、DC/DCコンバータ21の入出力側に設けられた電圧検出部23,25で検出される入力電圧Vinと出力電圧Vout を比較する。
【0049】
Vin < Vout
となり、入力電圧Vinの方が出力電圧Vout より低い場合には、DC/DCコンバータ21に昇圧動作を行せるため、CNT1によりトランジスタTr1をON制御した状態で、所望の電流Iが流れるように、あるデューティ比の矩形波からなるCNT3をトランジスタTr3に出力してスイッチング動作させる。この結果、トランジスタTr3がON制御時に、スタック7から入力される電力がインダクタL1に充電され、トランジスタTr3がOFF制御時に、インダクタL1から電力が放電されてコンデンサC3の端子間電圧に加わり昇圧される。
【0050】
一方、入力電圧Vinと出力電圧Vout を比較して、Vin > Voutとなり、入力電圧Vinの方が出力電圧Vout より高い場合には、DC/DCコンバータ21に降圧動作を行せるため、まず、CNT3によりトランジスタTr3をOFF制御し、所望の電流Iが流れるように、あるデューティ比の矩形波からなるCNT1をトランジスタTr1に出力してスイッチング動作させる。この結果、トランジスタTr1がON制御時に、スタック7から入力される電力がインダクタL1、ダイオードD3を介してコンデンサC3に充電され、トランジスタTr1がOFF制御時に、コンデンサC3から電力が放電されてコンデンサC3の端子間電圧が降圧される。
【0051】
第1の実施の形態に関する効果は、DC/DCコンバータ21の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を電圧検出部23,25で検出するようにしておき、検出された入力電圧と出力電圧との電圧差が所定の範囲内にある場合に、スタック7の出力電圧を一定値に固定するように制御することで、DC/DCコンバータ21が昇圧変換と降圧変換との切替領域で動作しているときでも一方の変換動作により出力電圧を固定することができる。この結果、切替制御の判断情報となる入出力電圧やスタック電流等の検出誤差によって、適切な切替制御が阻害されることを防止でき、十分な運転性能を引き出すことができる。
【0052】
また、スタック7の出力電流を一定値になるように制御することで、スタック7の出力電圧を一定値に固定することができる。
また、DC/DCコンバータ21は、スタック7の出力電圧を一定値に固定した後に、スタック7に所望される出力としたときの出力電圧を推定し、この推定出力電圧とDC/DCコンバータ21の出力電圧値との電圧差が所定値以上の場合には、スタック7の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、DC/DCコンバータ21が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【0053】
また、改質器3に設けられスタック7から排出される排水素を排水素燃焼器で燃焼するようにしておき、排水素燃焼器の温度を温度センサ17で検出しておく。ここで、排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、スタック7の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、スタック7は要求電力値に応じて発電して水素量を消費することで、排水素燃焼器へ入る水素量を元に戻し、排水素燃焼器の温度が予め定められた範囲を超えることを防止することができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置は、図1に示す第1の実施の形態に対応する燃料電池システムの電力制御装置と同様の基本的構成を有しており、その説明を省略することとする。
【0055】
次に、図9に示す出力保持解除判定処理に関するサブルーチンのフローチャートに従って電力制御装置の制御動作の一部を説明する。なお、図9に示す制御フローチャートは、図5に示す制御フローチャートと同様の基本的手順を有しており、同一の手順には同一の符号を付している。また、図9に示す制御フローチャートも、システム制御部15の内部ROMに制御プログラムとして記憶されている。
【0056】
図8(a)に示すように、要求電力値が減少傾向にある時に、スタック7からの出力を保持する場合、スタック7からの排水素量が減少する。これは改質器3で改質された水素が要求電力量に応じて減じる一方で、スタック7の出力電力をある一定値に保持するため、スタック7に供給される水素に対し電力に変換された割合、すなわち、消費した水素の割合(以下、水素利用率という)が増加することによる。
【0057】
この水素利用率がある限度を超えると、スタック7を構成するセル全てに均等に水素の圧力や量が配分されないなどの理由により、スタック7の出力電圧が低下するなどの電圧特性が低下してしまう場合が考えられる。
【0058】
そこで、第2の実施の形態の特徴は、この水素利用率が限度を超えて上昇することを防止する点にある。
詳しくは、図9において、ステップS253では、水素利用率Srを算出する。すなわち、図1に示す改質器3からスタック7に供給される水素経路、スタック7から排出される排水素の水素経路にそれぞれ水素流量計(図示せず)を設け、両検出値の流量差から利用率Srを算出する。
【0059】
そして、ステップS255では、算出された水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えたかどうかを判断する。ここで、水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えた場合には、ステップS300に進み、スタック7の出力保持フラグをクリア(0)して解除する。
【0060】
一方、水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えてなければ出力保持フラグはセット状態(1)に継続して保持される。
なお、ステップS253,S255に代わって、スタック7の出力電圧の変化を検出して水素利用率が限度を超えて上昇したことを推定してもよい。これはスタック7の出力電流を一定値に維持している場合で、十分な水素量がスタック7に供給されているときに、スタック7の出力電圧も一定値に維持されているので、改質器3から供給される水素量が相対的に減少すると、スタック7の出力電圧が低下するなどの電圧特性が変化することを利用するものである。
【0061】
スタック7の出力保持中にスタックの出力電圧、すなわち、DC/DCコンバータ21の入力電圧Vinの変化を検出し、予め定められた値以上の低下幅を検出した場合、水素利用率Srがある限度を超えて上昇したと判断する。
なお、ステップS253&S255において、水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えたと判断した場合に、スタック7の出力保持フラグをクリア(0)して解除するように選択しているが、改質器3からスタック7に供給される水素量をその時点での水素量に維持してもよい。
【0062】
具体的には、スタック7の出力保持を解除するときの判断に用いる水素利用率Srより小さい閾値Sr”を別途に設定しておき、水素利用率Srがこの閾値を超えたと判断したときに、改質器3を要求電力値に応じて制御するのを一旦停止し、その時点での水素生成量で改質器3の運転を継続する。これにより水素利用率Srを前記閾値Sr”前後の値に保つことが可能となり、スタック7の出力保持を継続することができる。
【0063】
スタック7の出力電圧で水素利用率Srを推定する場合は、スタック出力保持解除を判断するための電圧の変化幅より小さい電圧変化幅の閾値を別途設定し、この閾値を超えた時点の水素生成量を保つことで表現される。この場合の改質器3の制御は、スタック7の出力保持が解除された時点で、生成量の目標値をシステムから求まる要求電力値に応じた値に戻すのが適当である。
【0064】
第2の実施の形態に関する効果は、第1の実施の形態に関する効果に加えて、スタック7の入力側および出力側の水素量を検出しておき、検出された水素量に基づいて、スタック7での水素利用率を算出し、この水素利用率が所定値を超えた場合に、スタック7の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、DC/DCコンバータ21が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置のシステム構成を示す図である。
【図2】電力制御部9を構成するDC/DCコンバータ21の具体的構成を示す図である。
【図3】メイン制御フローを表すフローチャートである。
【図4】出力保持判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図5】出力保持解除判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図6】スタックの電流−電圧特性を示すグラフである。
【図7】要求電力量が増加する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。
【図8】要求電力量が減少する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。
【図9】出力保持解除判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図10】従来のDC/DCコンバータの具体的構成を示す図である。
【図11】従来のDC/DCコンバータを構成するトランジスタTr101,Tr103のベースに加える制御信号のデューティ比と昇降圧比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料タンク
3 改質器
5 コンプレッサ
7 スタック
9 電力制御部
11 電力貯蔵部
13 負荷
15 システム制御部
17 温度センサ
21 DC/DCコンバータ
23,25 電圧検出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムの出力制御装置に関し、燃料電池で発電された電力を最適に負荷系に供給して十分な運転性能を引き出すことができる燃料電池システムの出力制御装置を提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムで発電された電力を駆動用モータに供給するように構成された燃料電池車両では、一般に、運転者の操作に応じて燃料電池の出力が変化することとなる。同時に、駆動用モータに供給すべき電力をスタックに発電させるため、改質器で発生させる水素量を変化するように制御されるが、改質器の応答速度は負荷変動より遅い傾向にある。
【0003】
このため、駆動用モータによる負荷増加に合せて電力をスタックから引き出すと、スタックに供給されている水素量が不足するので、スタック電圧が異常に降下するといった問題が発生する。
そこで、スタックに供給される水素量及び空気量に応じた電力を引き出すようにしておき、スタックによる応答の遅れ分だけ、すなわち、スタックからの電力と負荷により要求される電力との過不足が生じた電力差だけ2次電池から充放電することにより吸収するようにしている。
【0004】
従来、燃料電池車両に搭載されている燃料電池システムの出力制御装置においては、スタックでの発電電力を制御するのに、図10に示すような基本構成を有する昇降圧型のDC/DCコンバータ121をスタックと負荷の間に配置させている。
このDC/DCコンバータ121においては、昇圧変換と降圧変換とでは、動作させるスイッチング素子がそれぞれ異なっており、トランジスタTr101,Tr103のベースに加える制御信号のデューティ比に応じて所望の電圧を発生させている。図11は、トランジスタTr101,Tr103のベースに加える制御信号のデューティ比と昇降圧比との関係を示すグラフである。
【0005】
昇圧時には、CNT101にON制御信号(1)を加えてトランジスタTr101をON動作させるとともに、CNT103に所望のデューティ比の制御信号を加えてトランジスタTr103をON−OFF動作させ、入力電圧Vin以上の電圧を出力するように制御されている。
一方、降圧時には、CNT103にOFF制御信号(0)を加えてトランジスタTr103をOFF動作させるとともに、CNT101に所望のデューティ比の制御信号を加えてトランジスタTr101をON−OFF動作させ、入力電圧Vin以下の電圧を出力するように制御されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示すように、DC/DCコンバータ121から引き出すことができる出力電圧には必ずしも連続性があるわけではない。特に、入出力電圧がほぼ等しく、昇圧変換から降圧変換に切り替わる場合や、降圧変換から昇圧変換に切り替わる場合には、DC/DCコンバータ121により電力を安定的に変換させることが困難なことが考えられる。
【0007】
すなわち、DC/DCコンバータ121の出力側に設けられている2次電池や負荷の電圧を検出するために、電圧センサを用いた場合、センサ自体がある程度の検出誤差を有しており、センサ出力信号をA/Dコンバータに入力して量子化しても、A/Dコンバータ自体の分解能や誤差などが加わる。このため、例えば2次電池や負荷の電圧とスタックからの出力電圧を比較して、両者の大小関係に基づいて、DC/DCコンバータ121の変換機能を切り替えたとしても、上述した検出誤差が加算され切替判定に誤差が生じるため、適切な変換機能を選択できないことが考えられる。
【0008】
このように、DC/DCコンバータの昇圧変換と降圧変換との切り替わり境界領域では、切替制御の判断情報となる入出力電圧やスタック電流等の検出誤差によって、適切な切替制御が阻害されることが考えられ、この結果、所望の運転性能を確保し難いおそれがある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、燃料電池で発電された電力を最適に負荷系に供給して十分な運転性能を引き出すことができる燃料電池システムの出力制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、燃料電池車両に搭載される燃料電池システムの出力制御装置であって、燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、空気を圧縮する圧縮器と、改質器から供給される改質ガスと圧縮器から供給される空気とを用いて発電する燃料電池と、燃料電池から出力される電力を要求指令に応じて昇圧変換または降圧変換する電力制御手段と、電力制御手段から出力される電力を貯蔵する電力貯蔵手段と、電力貯蔵手段と並列に接続され、電力制御手段から出力される電力を運転状況に応じて消費する負荷とを備え、前記電力制御手段の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された入力電圧と出力電圧との電圧差を算出する算出手段と、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する機能、及び燃料電池の出力電圧の固定を解除する機能を有した固定制御手段と、を備え、固定制御手段は、電圧検出手段により検出された入力電圧と出力電圧との電圧差を算出する算出手段と、算出手段により算出された電圧差が所定の範囲内にある場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定することを要旨とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、前記固定制御手段は、前記燃料電池の出力電流を一定値になるように制御することを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記電力制御手段は、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定した後に、前記燃料電池に所望される出力としたときの出力電圧を推定する電圧推定手段と、電圧推定手段により推定された推定出力電圧と、前記電力制御手段の出力電圧値との電圧差を算出する電圧差算出手段とを備え、電圧差算出手段により算出される電圧差が所定値以上の場合には、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、前記改質器に設けられ燃料電池から排出される水素を燃焼する排水素燃焼器と、排水素燃焼器の温度を検出する温度検出手段とを備え、前記固定制御手段は、前記排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを要旨とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、上記課題を解決するため、前記燃料電池の入力側および出力側の水素量を検出する水素量検出手段と、水素量検出手段により検出された入力側および出力側の水素量に基づいて、前記燃料電池での水素利用率を算出する水素利用率算出手段を備え、前記固定制御手段は、前記水素利用率算出手段により算出された水素利用率が所定値を超えた場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを要旨とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、電力制御手段の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を検出するようにしておき、検出された入力電圧と出力電圧との電圧差が所定の範囲内にある場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定するように制御することで、電力制御手段が昇圧変換と降圧変換との切替領域で動作しているときでも一方の変換動作により出力電圧を固定することができる。この結果、切替制御の判断情報となる入出力電圧やスタック電流等の検出誤差によって、適切な切替制御が阻害されることを防止でき、十分な運転性能を引き出すことができる。
【0016】
また、請求項2記載の本発明によれば、燃料電池の出力電流を一定値になるように制御することで、燃料電池の出力電圧を一定値に固定することができる。
【0017】
また、請求項3記載の本発明によれば、電力制御手段は、燃料電池の出力電圧を一定値に固定した後に、燃料電池に所望される出力としたときの出力電圧を推定し、この推定出力電圧と電力制御手段の出力電圧値との電圧差が所定値以上の場合には、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、電力制御手段が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【0018】
また、請求項4記載の本発明によれば、改質器に設けられ燃料電池から排出される水素を排水素燃焼器で燃焼するようにしておき、排水素燃焼器の温度を検出しておく。ここで、排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、燃料電池は要求電力値に応じて発電して水素量を消費することで、排水素燃焼器へ入る水素量を元に戻し、排水素燃焼器の温度が予め定められた範囲を超えることを防止することができる。
【0019】
また、請求項5記載の本発明によれば、燃料電池の入力側および出力側の水素量を検出しておき、検出された水素量に基づいて、燃料電池での水素利用率を算出し、この水素利用率が所定値を超えた場合に、燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、電力制御手段が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置のシステム構成を示す図である。
【0021】
図1において、燃料タンク1には、燃料となるメタノールが貯蔵されており、このメタノールは改質器3へ送られ水素ガスを含む改質ガスに改質され、更にスタック7に供給される。同時に、コンプレッサ5は、空気を吸い込んで圧縮してスタック7に供給する。このスタック7は、多数枚からなる燃料電池の集合体であり、流入した水素ガスと空気中の酸素を反応させて電気エネルギーを得る。
【0022】
なお、スタック7内での反応に使われず残った排水素は、改質器3内の排水素燃焼器(図示せず)に戻されて燃焼され、改質器3内で熱源として利用される。また、スタック7から排空気が車外に排気される。
スタック7から発電される電流は、電力制御部9により電力制御され、充放電可能な例えば2次電池からなる電力貯蔵部11、インバータや駆動用モータや燃料電池のシステム機器からなる負荷13に供給される。
【0023】
システム制御部15は、装置全体を制御するための制御プログラム及び制御データを記憶するROMと、制御データや制御フラグ等を常時記憶するRAMと、ROMに記憶された制御プログラムに従って装置全体を制御するCPUとから構成されている。
温度センサ17は、改質器に設けられている排水素燃焼器の温度を検出してシステム制御部15に出力する。
【0024】
図2は、電力制御部9を構成するDC/DCコンバータ21の具体的構成を示す図である。
このDC/DCコンバータ21の入力側と出力側には、DC/DCコンバータ21の入力電圧Vin及び出力電圧Vout を検出するための電圧検出部23,25が設けられており、電圧検出部23,25で検出される出力電圧はシステム制御部15に出力される。そして、DC/DCコンバータ21は、システム制御部15から与えられる指令値CNT1,CNT3に基づいてトランジスタTr1及びTr3をスイッチング動作させ、出力電流を所望の値に制御する。
【0025】
次に、図3〜図8を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置の動作を説明する。なお、図3は、メイン制御フローを表すフローチャートである。図4は、出力保持判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。図5は、出力保持解除判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。図6は、スタックの電流−電圧特性を示すグラフである。図7は、要求電力量が増加する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。図8は、要求電力量が減少する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。
【0026】
まず、図3において、ステップS10では、スタック7から引き出す電力を要求電力値の変化に関わらず一定値に保持するか否かを判定する。ここで、図4に示すサブルーチンを参照して、出力保持判定処理について詳細に説明する。
【0027】
図4に移り、まず、ステップS110では、DC/DCコンバータ21の入力電圧及び出力電圧を電圧検出部23,25でそれぞれ検出する。
次に、ステップS120では、検出された入力電圧Vin及び出力電圧Vout の電圧差に対して絶対値を求め、予め定められた基準値ΔV未満かどうかを判定する。すなわち、入出力電圧差が基準範囲(−ΔV〜ΔV)内にあるかどうかを判定する。
【0028】
|Vin−Vout |≦ΔV
なお、上述した判断に用いられる基準値ΔVは、制御系の検出誤差により昇降圧判断を誤る程度の電圧幅より大きく設定することが望ましい。すなわち、DC/DCコンバータ21の入出力電圧の大小関係が逆転することが考えられる境界領域に対して、電圧検出部23,25による入出力電圧の検出誤差により両者がほぼ等しくなっている時間や、システム制御部15を構成するCPU内のA/Dコンバータが分解能以下となる時間などをサンプリング周期以下となるように設定することが望ましい。
【0029】
そして、DC/DCコンバータ21の入出力電圧差の絶対値が基準値ΔV以上の場合には、スタック7から引き出す電力を一定値に保持する必要がないと判断し、保持フラグをセットすることなく、本サブルーチンを終了する。なお、スタック7から引き出す電力指令値は、アクセル開度やブレーキ踏力、負荷となる例えばインバータや駆動用モータ(図示せず)やシステム機器から要求される電力量と、電力貯蔵部11の充放電可能量を考慮して求められたスタック7に要求される全電力の指令値であり、本実施の形態では、システム制御部15により算出されることとする。
【0030】
一方、ステップS130では、この入出力電圧差の絶対値が基準値ΔV未満の場合には、入出力電圧の大小関係がしばらく後に逆転する可能性がある境界領域にあるので、スタック7から引き出す電力指令値を保持するため、保持フラグをセット(1)する。
【0031】
次に、図3に移り、ステップS20では、保持されている電力指令値を維持すべきか、解除すべきかを判定する。ここで、図5に示すサブルーチンを参照して、出力保持解除判定処理について詳細に説明する。
まず、ステップS210では、DC/DCコンバータ21の出力電圧Vout を電圧検出部25で検出する。
【0032】
そして、ステップS220では、電力指令値の保持を解除した時にスタック7からDC/DCコンバータ21へ入力される入力電圧、すなわち、スタック7の出力電圧を推定する。具体的には、電力指令値の保持を継続するとともに、元々要求されている電力指令値を監視し、その電力をスタック7から引き出した時の電圧値Vin’を図6に示す電流−電圧特性を参照して推定する。
【0033】
なお、スタック7の電流−電圧特性は、図6に示すように、電流Iの増加に伴い電圧Vが降下する傾向を示している。図6は、発電に必要な水素及び空気が十分供給されている場合の例である。また、スタック7に供給される水素量や空気量または両者の圧力を用いて、図6に示す電流−電圧特性を補正してもよいが、本発明とは直接関係がないのでその詳細な説明を省略する。
【0034】
そして、ステップS230では、DC/DCコンバータ21の出力電圧Vout と、推定した入力電圧Vin’との電圧差の絶対値を求め、予め定められた基準値ΔV未満かどうかを判定する。
この電圧差が基準値ΔV以上の場合には、スタック7から引き出す電力指令値の保持を維持する必要がないと判断し、ステップS300では、保持フラグをクリア(0)する。
【0035】
一方、入出力電圧差が基準値ΔV未満の場合には、まだ電力指令値の保持を解除する必要がないと判定し、ステップS240に進む。
ステップS240では、改質器3内の排水素燃焼器(図示せず)に設けられた温度センサ17により排水素燃焼器の温度Tを検出する。
【0036】
なお、排水素燃焼器は、スタック7で消費されなかった排水素を燃焼して改質器3内の温度を保っており、スタック7で消費される水素量をある一定値で保持し、その結果、スタック7から引き出す電力をある一定値で保持している。
【0037】
さて、改質器3の応答速度は、スタック7や他の負荷よりも一般的に遅いので出力保持を解除した時点で、スタック7から十分な出力を引き出せるよう、改質器3で発生させる水素量をスタック7で消費される水素量に関わらず、燃料電池システムとして要求される電力に応じて変化させることを考える。この場合、スタック7で消費されない排水素量が、排水素燃焼器で燃焼を予定している所要量と差異が生じることになり、排水素量が過剰な場合、排水素燃焼器の温度Tは上昇傾向となり、また、排水素量が不足の場合、温度Tは下降気味となる。
【0038】
そこで、ステップS250では、温度センサ17により検出された排水素燃焼器の温度Tが、予め定められた下限温度Tlow から上限温度Thiまでの範囲を超えるかどうかを判定する。
【0039】
Tlow ≦ T ≦ Thi
排水素燃焼器の温度Tがこの範囲を超えると判定された場合には、ステップS300に進み、電力指令値の保持フラグをクリア(0)し、そして、スタック7は要求電力値に応じて発電して水素量を消費することで、排水素燃焼器へ入る水素量を元に戻し、温度Tがこの範囲を超えることを防止する。
【0040】
図7(b)に示すように、スタック電圧(入力電圧)がバッテリ電圧(出力電圧)に近づいた時間t1で、スタック7から引き出す電流を一定値に制御し始める。この場合、図7(b)に示すように、スタック7で消費される水素量が一定値になり、改質器3は要求電力量に応じて水素を発生するようになるため、排水素量が増加する。さらに、時間t2で保持フラグがクリア(0)されて出力保持が解除され、要求電力量をスタック7から引き出すと、電圧がその電力値に応じて低下し、また水素消費量も増加するので、図7(c)に示すように、排水素量も元に近い値に戻ることになる。
【0041】
また、図8(b)に示すように、スタック電圧(入力電圧)がバッテリ電圧(出力電圧)に近づいた時間t3で、スタック7から引き出す電流を一定値に制御し始める。この場合、図8(b)に示すように、スタック7で消費される水素量が一定量になり、改質器3は要求電力量に応じて発生水素量を減じるようにするため、排水素量が減少する。さらに、時間t4で保持フラグがクリア(0)されて出力保持が解除され、要求電力量をスタック7から引き出すと、電圧がその電力値に応じて低下し、また水素消費量も減少するので、図8(c)に示すように、排水素量も元に近い値に戻ることになる。
【0042】
図5に移り、ステップS260では、要求電力が保持決定後も引き続き同傾向にあるかどうかを判定する。すなわち、DC/DCコンバータ21の入出力電圧の大小関係が交差すると予想判定した後に、要求電力値の変化方向が反転し、交差することがなくなるかどうかを推定する。
【0043】
具体的には、要求電力変化量の時間変化を算出し、今回値と前回値とが同一符号、すなわち、引き続き増加あるいは減少している場合には、スタック電圧もそれぞれ減少傾向または増加傾向が続くと判断し、保持フラグをクリアせずに、スタック7からの電力を保持し続ける。
【0044】
符号が反転していた場合、スタック7からの電力保持の解除を判断するため、ステップS270では、保持解除時点でのスタック電圧を推定する。なお、本ステップの内容は上述したステップS220と同様である。
【0045】
そして、ステップS280では、既に入出力電圧が交差したかどうかを判定する。既に交差済みだった場合には再び交差するまで保持を継続する。
そして、入出力電圧の大小関係がまだ交差していないと推定された場合には、次に、ステップS290へと進み、保持フラグをクリア(0)して解除するかどうかを判定する。すなわち、このステップS280は、要求電力値の変化方向が反転し、スタック電圧の変化傾向も反転する場合、入出力電圧の大小関係がそのまま変化しないと考えられるため、一度入出力電圧の大小関係が反転してしまっている場合には再度反転し、元の関係に戻るのを待つようにする。
【0046】
ステップS290では、出力電圧Vout と推定した入力電圧Vin’との電圧差の絶対値が予め定められた基準値ΔV以内かどうかを判定する。入出力電圧差の絶対値が基準値を超える場合には、ステップS300に進み、出力保持フラグをクリア(0)して解除し、図3に示すメインルーチンに復帰する。
【0047】
一方、入出力電圧差の絶対値が基準値以下の場合には、そのまま図3に示すメインルーチンに復帰する。
図3に移り、ステップS30では、保持フラグがセット状態(1)かどうかを判定し、保持フラグが(1)の場合にはステップS40に進み、出力保持制御を行い、入出力電圧の大小関係が元に戻るのを待つ。
【0048】
一方、保持フラグがセット状態(1)ではない場合にはステップS50に進み、通常制御を行い、処理を終了する。すなわち、通常制御としては、DC/DCコンバータ21の入出力側に設けられた電圧検出部23,25で検出される入力電圧Vinと出力電圧Vout を比較する。
【0049】
Vin < Vout
となり、入力電圧Vinの方が出力電圧Vout より低い場合には、DC/DCコンバータ21に昇圧動作を行せるため、CNT1によりトランジスタTr1をON制御した状態で、所望の電流Iが流れるように、あるデューティ比の矩形波からなるCNT3をトランジスタTr3に出力してスイッチング動作させる。この結果、トランジスタTr3がON制御時に、スタック7から入力される電力がインダクタL1に充電され、トランジスタTr3がOFF制御時に、インダクタL1から電力が放電されてコンデンサC3の端子間電圧に加わり昇圧される。
【0050】
一方、入力電圧Vinと出力電圧Vout を比較して、Vin > Voutとなり、入力電圧Vinの方が出力電圧Vout より高い場合には、DC/DCコンバータ21に降圧動作を行せるため、まず、CNT3によりトランジスタTr3をOFF制御し、所望の電流Iが流れるように、あるデューティ比の矩形波からなるCNT1をトランジスタTr1に出力してスイッチング動作させる。この結果、トランジスタTr1がON制御時に、スタック7から入力される電力がインダクタL1、ダイオードD3を介してコンデンサC3に充電され、トランジスタTr1がOFF制御時に、コンデンサC3から電力が放電されてコンデンサC3の端子間電圧が降圧される。
【0051】
第1の実施の形態に関する効果は、DC/DCコンバータ21の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を電圧検出部23,25で検出するようにしておき、検出された入力電圧と出力電圧との電圧差が所定の範囲内にある場合に、スタック7の出力電圧を一定値に固定するように制御することで、DC/DCコンバータ21が昇圧変換と降圧変換との切替領域で動作しているときでも一方の変換動作により出力電圧を固定することができる。この結果、切替制御の判断情報となる入出力電圧やスタック電流等の検出誤差によって、適切な切替制御が阻害されることを防止でき、十分な運転性能を引き出すことができる。
【0052】
また、スタック7の出力電流を一定値になるように制御することで、スタック7の出力電圧を一定値に固定することができる。
また、DC/DCコンバータ21は、スタック7の出力電圧を一定値に固定した後に、スタック7に所望される出力としたときの出力電圧を推定し、この推定出力電圧とDC/DCコンバータ21の出力電圧値との電圧差が所定値以上の場合には、スタック7の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、DC/DCコンバータ21が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【0053】
また、改質器3に設けられスタック7から排出される排水素を排水素燃焼器で燃焼するようにしておき、排水素燃焼器の温度を温度センサ17で検出しておく。ここで、排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、スタック7の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、スタック7は要求電力値に応じて発電して水素量を消費することで、排水素燃焼器へ入る水素量を元に戻し、排水素燃焼器の温度が予め定められた範囲を超えることを防止することができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置は、図1に示す第1の実施の形態に対応する燃料電池システムの電力制御装置と同様の基本的構成を有しており、その説明を省略することとする。
【0055】
次に、図9に示す出力保持解除判定処理に関するサブルーチンのフローチャートに従って電力制御装置の制御動作の一部を説明する。なお、図9に示す制御フローチャートは、図5に示す制御フローチャートと同様の基本的手順を有しており、同一の手順には同一の符号を付している。また、図9に示す制御フローチャートも、システム制御部15の内部ROMに制御プログラムとして記憶されている。
【0056】
図8(a)に示すように、要求電力値が減少傾向にある時に、スタック7からの出力を保持する場合、スタック7からの排水素量が減少する。これは改質器3で改質された水素が要求電力量に応じて減じる一方で、スタック7の出力電力をある一定値に保持するため、スタック7に供給される水素に対し電力に変換された割合、すなわち、消費した水素の割合(以下、水素利用率という)が増加することによる。
【0057】
この水素利用率がある限度を超えると、スタック7を構成するセル全てに均等に水素の圧力や量が配分されないなどの理由により、スタック7の出力電圧が低下するなどの電圧特性が低下してしまう場合が考えられる。
【0058】
そこで、第2の実施の形態の特徴は、この水素利用率が限度を超えて上昇することを防止する点にある。
詳しくは、図9において、ステップS253では、水素利用率Srを算出する。すなわち、図1に示す改質器3からスタック7に供給される水素経路、スタック7から排出される排水素の水素経路にそれぞれ水素流量計(図示せず)を設け、両検出値の流量差から利用率Srを算出する。
【0059】
そして、ステップS255では、算出された水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えたかどうかを判断する。ここで、水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えた場合には、ステップS300に進み、スタック7の出力保持フラグをクリア(0)して解除する。
【0060】
一方、水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えてなければ出力保持フラグはセット状態(1)に継続して保持される。
なお、ステップS253,S255に代わって、スタック7の出力電圧の変化を検出して水素利用率が限度を超えて上昇したことを推定してもよい。これはスタック7の出力電流を一定値に維持している場合で、十分な水素量がスタック7に供給されているときに、スタック7の出力電圧も一定値に維持されているので、改質器3から供給される水素量が相対的に減少すると、スタック7の出力電圧が低下するなどの電圧特性が変化することを利用するものである。
【0061】
スタック7の出力保持中にスタックの出力電圧、すなわち、DC/DCコンバータ21の入力電圧Vinの変化を検出し、予め定められた値以上の低下幅を検出した場合、水素利用率Srがある限度を超えて上昇したと判断する。
なお、ステップS253&S255において、水素利用率Srが予め定められた基準値Sr’を超えたと判断した場合に、スタック7の出力保持フラグをクリア(0)して解除するように選択しているが、改質器3からスタック7に供給される水素量をその時点での水素量に維持してもよい。
【0062】
具体的には、スタック7の出力保持を解除するときの判断に用いる水素利用率Srより小さい閾値Sr”を別途に設定しておき、水素利用率Srがこの閾値を超えたと判断したときに、改質器3を要求電力値に応じて制御するのを一旦停止し、その時点での水素生成量で改質器3の運転を継続する。これにより水素利用率Srを前記閾値Sr”前後の値に保つことが可能となり、スタック7の出力保持を継続することができる。
【0063】
スタック7の出力電圧で水素利用率Srを推定する場合は、スタック出力保持解除を判断するための電圧の変化幅より小さい電圧変化幅の閾値を別途設定し、この閾値を超えた時点の水素生成量を保つことで表現される。この場合の改質器3の制御は、スタック7の出力保持が解除された時点で、生成量の目標値をシステムから求まる要求電力値に応じた値に戻すのが適当である。
【0064】
第2の実施の形態に関する効果は、第1の実施の形態に関する効果に加えて、スタック7の入力側および出力側の水素量を検出しておき、検出された水素量に基づいて、スタック7での水素利用率を算出し、この水素利用率が所定値を超えた場合に、スタック7の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することで、DC/DCコンバータ21が一方の変換動作から他方の変換動作に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの電力制御装置のシステム構成を示す図である。
【図2】電力制御部9を構成するDC/DCコンバータ21の具体的構成を示す図である。
【図3】メイン制御フローを表すフローチャートである。
【図4】出力保持判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図5】出力保持解除判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図6】スタックの電流−電圧特性を示すグラフである。
【図7】要求電力量が増加する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。
【図8】要求電力量が減少する場合のスタック出力電力(a)、スタック電圧(b)、排水素量(c)の時間変化の一例を示した図である。
【図9】出力保持解除判定処理の詳細を表すサブルーチンのフローチャートである。
【図10】従来のDC/DCコンバータの具体的構成を示す図である。
【図11】従来のDC/DCコンバータを構成するトランジスタTr101,Tr103のベースに加える制御信号のデューティ比と昇降圧比との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 燃料タンク
3 改質器
5 コンプレッサ
7 スタック
9 電力制御部
11 電力貯蔵部
13 負荷
15 システム制御部
17 温度センサ
21 DC/DCコンバータ
23,25 電圧検出部
Claims (5)
- 燃料電池車両に搭載される燃料電池システムの出力制御装置であって、
燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、
空気を圧縮する圧縮器と、
改質器から供給される改質ガスと圧縮器から供給される空気とを用いて発電する燃料電池と、
燃料電池から出力される電力を要求指令に応じて昇圧変換または降圧変換する電力制御手段と、
電力制御手段から出力される電力を貯蔵する電力貯蔵手段と、
電力貯蔵手段と並列に接続され、電力制御手段から出力される電力を運転状況に応じて消費する負荷とを備え、
前記電力制御手段の入力側および出力側の入力電圧および出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する機能、及び前記燃料電池の出力電圧の固定を解除する機能を有した固定制御手段と、を備え、
前記固定制御手段は、前記電圧検出手段により検出された入力電圧と出力電圧との電圧差を算出する算出手段と、算出手段により算出された電圧差が所定の範囲内にある場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する
ことを特徴とする燃料電池システムの出力制御装置。 - 前記固定制御手段は、
前記燃料電池の出力電流を一定値になるように制御することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの出力制御装置。 - 前記電力制御手段は、
前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定した後に、前記燃料電池に所望される出力としたときの出力電圧を推定する電圧推定手段と、
電圧推定手段により推定された推定出力電圧と、
前記電力制御手段の出力電圧値との電圧差を算出する電圧差算出手段とを備え、
電圧差算出手段により算出される電圧差が所定値以上の場合には、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの出力制御装置。 - 前記改質器に設けられ燃料電池から排出される水素を燃焼する排水素燃焼器と、
排水素燃焼器の温度を検出する温度検出手段とを備え、
前記固定制御手段は、
前記排水素燃焼器の温度が所定の温度範囲以外にある場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの出力制御装置。 - 前記燃料電池の入力側および出力側の水素量を検出する水素量検出手段と、
水素量検出手段により検出された入力側および出力側の水素量に基づいて、前記燃料電池での水素利用率を算出する水素利用率算出手段を備え、
前記固定制御手段は、
前記水素利用率算出手段により算出された水素利用率が所定値を超えた場合に、前記燃料電池の出力電圧を一定値に固定する制御を解除することを特徴とする請求項1または請求項4のいずれかに記載の燃料電池システムの出力制御装置。
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