JP5651528B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
[1−1.全体構成]
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池システム12(以下「FCシステム12」という。)を搭載した燃料電池車両10(以下「FC車両10」という。)の概略全体構成図である。図2は、FC車両10の電力系のブロック図である。図1及び図2に示すように、FC車両10は、FCシステム12に加え、走行用のモータ14と、インバータ16とを有する。
モータ14は、FCユニット18及びバッテリ20から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション26を通じて車輪28を回転させる。また、モータ14は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]をバッテリ20等に出力する(図2参照)。
(1−3−1.全体構成)
図3は、FCユニット18の概略構成図である。FCユニット18は、燃料電池スタック40(以下「FCスタック40」又は「FC40」という。)と、FCスタック40のアノードに対して水素(燃料ガス)を給排するアノード系と、FCスタック40のカソードに対して酸素を含む空気(酸化剤ガス)を給排するカソード系と、FCスタック40を冷却する冷却水(冷媒)を循環させる冷却系と、セル電圧モニタ42とを備える。
FCスタック40は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成された燃料電池セル(以下「FCセル」という。)を積層した構造を有する。
アノード系は、水素タンク44、レギュレータ46、エゼクタ48及びノーマルクローズ型のパージ弁50を有する。水素タンク44は、燃料ガスとしての水素を収容するものであり、配管44a、レギュレータ46、配管46a、エゼクタ48及び配管48aを介して、アノード流路52の入口に接続されている。これにより、水素タンク44の水素は、配管44a等を介してアノード流路52に供給可能である。なお、配管44aには、ノーマルクローズ型の遮断弁(図示せず)が設けられており、FCスタック40の発電の際、当該遮断弁は、ECU24により開とされる。
カソード系は、エアポンプ60、加湿器62、ノーマルオープン型の背圧弁64と、ノーマルオープン型の循環弁66、流量センサ68、70及び温度センサ72を有する。
冷却系は、ウォータポンプ80及びラジエータ82(放熱器)を有する。ウォータポンプ80は、冷却水(冷媒)を循環させるものであり、その吐出口は、配管80a、冷媒流路84、配管82a、ラジエータ82及び配管82bを順に介して、ウォータポンプ80の吸込口に接続されている。ECU24の指令に従ってウォータポンプ80が作動すると、冷却水が冷媒流路84とラジエータ82との間で循環し、FCスタック40を冷却する。
セル電圧モニタ42は、FCスタック40を構成する複数の単セル毎のセル電圧Vcellを検出する機器であり、モニタ本体と、モニタ本体と各単セルとを接続するワイヤハーネスとを備える。モニタ本体は、所定周期で全ての単セルをスキャニングし、各単セルのセル電圧Vcellを検出し、平均セル電圧及び最低セル電圧を算出する。そして、平均セル電圧及び最低セル電圧をECU24に出力する。
図2に示すように、FC40からの電力(以下「FC電力Pfc」という。)は、インバータ16及びモータ14(力行時)とDC/DCコンバータ22及び高電圧バッテリ20(充電時)とに加え、前記エアポンプ60、前記ウォータポンプ80、エアコンディショナ90、ダウンバータ92、低電圧バッテリ94、アクセサリ96及びECU24に供給される。なお、図1に示すように、FCユニット18(FC40)とインバータ16及びDC/DCコンバータ22との間には、逆流防止ダイオード98が配置されている。また、FC40の発電電圧(以下「FC電圧Vfc」という。)は、電圧センサ100(図4)により検出され、FC40の発電電流(以下「FC電流Ifc」という。)は、電流センサ102により検出され、いずれもECU24に出力される。
バッテリ20は、複数のバッテリセルを含む蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えば、リチウムイオン2次電池又はキャパシタ等を利用することができる。本実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。バッテリ20の出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」という。)[V]は、図示しない電圧センサにより検出され、バッテリ20の出力電流(以下「バッテリ電流Ibat」という。)[A]は、図示しない電流センサにより検出され、それぞれECU24に出力される。さらに、バッテリ20の残容量(以下「SOC」という。)[%]は、SOCセンサ104(図2)により検出され、ECU24に出力される。
DC/DCコンバータ22は、FCユニット18からのFC電力Pfcと、バッテリ20から供給された電力(以下「バッテリ電力Pbat」という。)[W]と、モータ14からの回生電力Pregとの供給先を制御する。
ECU24は、通信線140(図1等)を介して、モータ14、インバータ16、FCユニット18、バッテリ20及びDC/DCコンバータ22を制御する。当該制御に際しては、メモリ(ROM)に格納されたプログラムを実行し、また、セル電圧モニタ42、流量センサ68、70、温度センサ72、電圧センサ100、120、126、電流センサ102、124、130、SOCセンサ104等の各種センサの検出値を用いる。
次に、ECU24における制御について説明する。
図5には、ECU24における基本的な制御のフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU24は、メインSW158がオンであるかどうかを判定する。メインSW158がオンでない場合(S1:NO)、ステップS1を繰り返す。メインSW158がオンである場合(S1:YES)、ステップS2に進む。ステップS2において、ECU24は、FCシステム12に要求される負荷(システム負荷Psys)[W]を計算する。
図6には、システム負荷Psysを計算するフローチャートが示されている。ステップS11において、ECU24は、開度センサ150からアクセルペダル156の開度θpを読み込む。ステップS12において、ECU24は、回転数センサ152からモータ14の回転数Nm[rpm]を読み込む。
上記のように、本実施形態におけるエネルギマネジメントでは、FCスタック40の劣化を抑制しつつ、FCシステム12全体の出力を効率化することを企図している。
図9は、FCスタック40を構成するFCセルの電位(セル電圧Vcell)[V]とセルの劣化量Dとの関係の一例を示している。すなわち、図9中の曲線160は、セル電圧Vcellと劣化量Dとの関係を示す。
図11は、本実施形態における複数の電力供給モードの説明図である。本実施形態では、エネルギマネジメントで用いる電力供給の制御方法(電力供給モード)として、3つの制御方法(電力制御モード)を用いる。すなわち、本実施形態では、目標FC電圧Vfctgt及びFC電流Ifcがいずれも可変である電圧可変・電流可変制御(第1モード)と、目標FC電圧Vfctgtが一定でありFC電流Ifcが可変である電圧固定・電流可変制御(第2モード)と、目標FC電圧Vfctgtが一定でありFC電流Ifcが一定である電圧固定・電流固定制御(第3モード)とを切り替えて用いる。
図12には、ECU24が、FCシステム12のエネルギマネジメント(図5のS3)を行うフローチャートが示されている。ステップS21において、ECU24は、ステップS2で計算したシステム負荷Psysの平均値(以下「平均システム負荷Psysave」という。)が、低負荷を判定するための閾値Psysave1以下であるか否かを判定する。
上記のように、第1モードは、主として、システム負荷Psysが相対的に高いときに用いられるものであり、目標酸素濃度Cotgtを固定(或いは、酸素を豊潤な状態に維持)した状態で、目標FC電圧Vfctgtを調整することによりFC電流Ifcを制御する。
上記のように、第2モードは、主として、システム負荷Psysが相対的に中くらいのときに用いられるものであり、目標セル電圧Vcelltgt(=目標FC電圧Vfctgt/セル数)を、酸化還元領域R3よりも低い電位以下で設定された基準電位{本実施形態では、電位v2(=0.8V)}に固定すると共に、目標酸素濃度Cotgtを可変とすることにより、FC電流Ifcを可変とする。
上記のように、第3モードは、主として、システム負荷Psysが相対的に低いときに用いられるものであり、目標セル電圧Vcelltgt(=目標FC電圧Vfctgt/セル数)を、酸化還元領域R3外の電位{本実施形態では、電位v3(=0.9V)}に固定し、FC電流Ifcを一定とする。FC電力Pfcの不足分は、バッテリ20からアシストし、FC電力Pfcの余剰分は、バッテリ20に充電する。目標酸素濃度Cotgtは、通常酸素濃度Conmlに固定(或いは、酸素を豊潤な状態に維持)される。
図20には、本実施形態における各電力供給モードと、FC電力Pfcと、FC40の発電効率との関係が示されている。図20からわかるように、第1モードでは、基本的に、システム負荷Psysの全てをFC電力Pfcでまかないつつ、FC40の発電効率を高く維持することができる。第2モードでは、FC40の発電効率は低くなるものの、基本的に、システム負荷Psysの全てをFC電力Pfcでまかなうことで、バッテリ20の充放電の頻度を抑え、FCシステム12全体での出力効率を高くすることが可能である。第3モードでは、FC電力Pfcとバッテリ電力Pbatによりシステム負荷Psysをまかなうものの、FC40の発電効率を高く維持することが可能となる。
上記のように、FC発電制御(図5のS4)として、ECU24は、FCスタック40の周辺機器、すなわち、エアポンプ60、背圧弁64、循環弁66及びウォータポンプ80を制御する。具体的には、ECU24は、エネルギマネジメント(図5のS3)で算出したこれらの機器の指令値(例えば、図14のS34)を用いてこれらの機器を制御する。
図21には、モータ14のトルク制御のフローチャートが示されている。ステップS51において、ECU24は、車速センサ154から車速Vを読み込む。ステップS52において、ECU24は、開度センサ150からアクセルペダル156の開度θpを読み込む。
図22には、本実施形態に係る各種制御と比較例に係る各種制御を用いた場合のタイムチャートの例が示されている。図22において実線で示されるものが本実施形態に係るものであり、破線で示されるものが比較例に係るものである。当該比較例は、第1モードと第2モードのみを用いる(図11参照)。
以上説明したように、本実施形態によれば、FC40の劣化を抑制しつつ、FCシステム12全体での効率化を図ることが可能となる。
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
上記実施形態では、FCシステム12をFC車両10に搭載したが、これに限らず、別の対象に搭載してもよい。例えば、FCシステム12を船舶や航空機等の移動体に用いることもできる。或いは、FCシステム12を家庭用電力システムに適用してもよい。
上記実施形態では、FC40と高電圧バッテリ20を並列に配置し、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、図23に示すように、FC40とバッテリ20を並列に配置し、昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ22をFC40の手前に配置する構成であってもよい。或いは、図24に示すように、FC40とバッテリ20を並列に配置し、FC40の手前に昇圧式、降圧式又は昇降圧式のDC/DCコンバータ160を、バッテリ20の手前にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。或いは、図25に示すように、FC40とバッテリ20を直列に配置し、バッテリ20とモータ14の間にDC/DCコンバータ22を配置する構成であってもよい。
上記実施形態では、ストイキ比を調整する手段又は方法として、目標酸素濃度Cotgtを調整するものを用いたが、これに限らず、目標水素濃度を調整することも可能である。また、目標濃度の代わりに、目標流量又は目標濃度と目標流量の両方を用いることもできる。
上記実施形態では、第2モードにおける目標FC電圧Vfctgtを電位v2(=0.8V)×セル数に設定したが、これに限らない。第2モードにおける目標FC電圧Vfctgtを、例えば、還元領域R2のその他の電位に設定してもよい。また、第3モードにおける目標FC電圧Vfctgtを電位v3×セル数に設定したが、これに限らない。例えば、還元領域R2又は酸化領域R4のその他の電位に設定することもできる。
14…走行モータ(負荷) 16…インバータ(負荷)
18…燃料電池ユニット(反応ガス供給部)20…高電圧バッテリ(蓄電装置) 22…DC/DCコンバータ 24…ECU(制御装置)
30…負荷 40…FC
60…エアポンプ(負荷) 80…ウォータポンプ(負荷)
90…エアコンディショナ(負荷)
Claims (5)
- 燃料電池と、
前記燃料電池からの電力を蓄電する蓄電装置と、
前記燃料電池又は前記蓄電装置の少なくとも一方から電力を供給される負荷と、
前記燃料電池の電圧を調整するコンバータと、
前記負荷が必要とする電力に基づいて前記燃料電池の目標電圧を設定し、前記燃料電池の実電圧を前記目標電圧と等しくするように前記コンバータを制御することにより、前記燃料電池と前記蓄電装置が前記負荷へ供給する電力を制御する制御装置と、
前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給装置と
を備えた燃料電池システムであって、
前記制御装置は、
前記燃料電池の目標電圧が、白金の酸化還元進行電圧範囲より低い第1電圧以下のとき、前記燃料電池の実電圧を前記コンバータの出力電圧で調整して前記目標電圧に追従させる第1モードと、
低負荷条件が成立し且つ前記蓄電装置が充電を必要とする所定の条件が成立するとき、又は前記低負荷条件が不成立であり且つ高負荷条件が不成立であるとき、前記実電圧を前記コンバータの出力電圧で調整して前記第1電圧に維持すると共に、前記反応ガス供給装置を制御し、前記燃料電池への反応ガス供給量を調整して前記燃料電池の電流−電圧特性を変化させ、前記負荷が必要とする電力を前記燃料電池が出力するようにする第2モードと、
前記低負荷条件が成立し且つ前記蓄電装置が充電を必要とする前記所定の条件が不成立であるとき、前記実電圧を前記コンバータの出力電圧で調整し前記白金の酸化還元進行電圧範囲外で設定される第2電圧に維持すると共に、前記燃料電池内部のガスを豊潤な状態に維持する第3モードと
を切替制御する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1記載の燃料電池システムにおいて、
前記第2電圧は、前記酸化還元進行電圧範囲より高い値に設定される
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1又は2記載の燃料電池システムにおいて、
前記負荷は、回生可能なモータを含み、
前記制御装置は、前記モータの回生エネルギが所定値以下である場合に前記第3モードに切り替える
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池システムは、車両に搭載される
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 燃料電池と、
前記燃料電池からの電力を蓄電する蓄電装置と、
前記燃料電池又は前記蓄電装置の少なくとも一方から電力を供給される負荷と、
前記燃料電池の電圧を調整するコンバータと、
前記負荷が必要とする電力に基づいて前記燃料電池の目標電圧を設定し、前記燃料電池の実電圧を前記目標電圧と等しくするように前記コンバータを制御することにより、前記燃料電池と前記蓄電装置が前記負荷へ供給する電力を制御する制御装置と、
前記燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給装置と
を備えた燃料電池システムであって、
前記制御装置は、
低負荷条件が成立し且つ前記蓄電装置が充電を必要とする所定の条件が成立するとき、又は前記低負荷条件が不成立であり且つ高負荷条件が不成立であるとき、前記実電圧を前記コンバータの出力電圧で調整して白金の酸化還元進行電圧範囲より低い第1電圧に維持すると共に、前記反応ガス供給装置を制御し、前記燃料電池への反応ガス供給量を調整して前記燃料電池の電流−電圧特性を変化させ、前記負荷が必要とする電力を前記燃料電池が出力するようにする第2モードと、
前記低負荷条件が成立し且つ前記蓄電装置が充電を必要とする前記所定の条件が不成立であるとき、前記実電圧を前記コンバータの出力電圧で調整し前記白金の酸化還元進行電圧範囲外で設定される第2電圧に維持すると共に、前記燃料電池内部のガスを豊潤な状態に維持する第3モードと
を切替制御する
ことを特徴とする燃料電池システム。
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