JP3843004B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧電体の圧電効果を利用して記録を行うインクジェットヘッドが知られている。
【0003】
このインクジェットヘッドは、共通電極と、圧力室に対応する部分に位置するように個別化された圧電体と、圧力室に対応する部分に位置するように個別化された個別電極とが順に積層されてなる圧電アクチュエータを有している。この圧電アクチュエータの一方の面には、振動板が積層されている。この振動板がインク流路形成部材上に接着材により接着されることにより圧力室が形成されている。インクを吐出する際には、上記共通電極と上記個別電極の間に電圧が印加されて圧電体は伸縮する。その伸縮が振動板に拘束されることで、圧電アクチュエータは厚さ方向にたわみ変形する。そして、そのたわみ変形により圧力室内の容積は変化し、圧力室内のインクはノズルから吐出される。
【0004】
ところで、インクジェットヘッドの製造過程において、圧電体を形成する際、製造装置内の不純物の圧電体中への混入、あるいは、圧電体の熱応力の影響等により、圧電体中に欠陥部が生じることがある。そのため、上記欠陥部が存在することにより、インク吐出動作の際、圧電体の絶縁破壊を生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本願出願人は、インクジェットヘッドの製造過程において、個別電極と共通電極との間に微小な時間だけ電圧を印加し、欠陥部に対応する部分を除去する技術を考案した(特開2001−88310参照)。本技術では、圧電体に欠陥部が含まれている場合、微小電圧の印加に伴って上記欠陥部に急激に大きな電流が流れ、微小な絶縁破壊が起こる。そして、これに伴う発熱により、共通電極又は個別電極における上記欠陥部に対応する部分が溶けて気化し、上記部分における共通電極又は個別電極の一部が除去される。よって、インク吐出動作の際、個別電極と共通電極との間に電圧を印加しても、局所的に上記欠陥部には電圧が印加されないことになる。したがって、圧電体に欠陥部が含まれていたとしても、圧電体の耐電圧性は維持され、上記欠陥部において絶縁破壊が生じるおそれはなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、個別電極と共通電極との間の静電容量は、個別電極及び共通電極の面積に比例して大きくなる。ゆえに、圧電体に欠陥部が含まれている場合、個別電極及び共通電極の面積が大きいと、上記欠陥部に流れる電流が大きくなり、過大な絶縁破壊が起こるおそれがある。したがって、インクジェットヘッドの製造過程において微小な絶縁破壊を起こす場合、あらかじめ個別電極及び共通電極を個別化しておくことが好ましい。
【0007】
ところで、共通電極を個別化した場合は、各共通電極同士を導通させなければならない。
【0008】
ここで、各共通電極同士を導通させるために、各共通電極同士を配線でつなぐことが考えられる。しかし、この場合、別途配線を設ける必要があり、構成が複雑になる。また、製造コストの上昇を招くことになる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、個別化された各共通電極を導通させる新たな構成を提供し、また、インクジェットヘッド及びその製造のコスト低減を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数のノズルと、上記ノズル各々に連通する複数の圧力室とが設けられたヘッド本体と、上記圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の共通電極と、上記各共通電極上に積層された圧電体と、上記圧電体上に積層され、上記圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の個別電極を有する個別電極層と、上記各共通電極又は上記個別電極層上に積層された絶縁膜と、上記絶縁膜上に積層され、導電性材料から成る振動板とを備え、上記各共通電極は、上記振動板と積層方向に接触する接触部を有するものである。
【0011】
これにより、導電性材料から成る振動板と各共通電極の接触部とが積層方向に接触するため、上記振動板を介して各共通電極同士は導通される。よって、共通電極同士をつなぐ配線を別途設ける必要はない。したがって、インクジェットヘッドの製造コストの低減を図ることができる。また、配線を別途設ける必要がないため、配線を設けるためのスペースが不必要となる。したがって、インクジェットヘッドの小型化を図ることができる。
【0012】
請求項2の発明は更に、個別電極層は、上記各個別電極に対応して設けられた複数の電圧入力端子と、上記各個別電極と上記各電圧入力端子とを繋ぐ個別電極用配線とを有し、上記電圧入力端子は、走査方向と直交する直交方向に配列され、共通電極の接触部は、上記共通電極における上記電圧入力端子側と反対の側において上記直交方向に配設されているものである。
【0013】
これにより、共通電極の接触部が上記共通電極における上記各電圧入力端子側の反対の側において上記直交方向に配設されるため、接触部と電圧入力端子側に延びる個別電極用配線とが重なることはない。よって、共通電極と個別電極との間に電圧が印加されても、接触部と個別電極用配線との間に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体における接触部に対応する部分の位置に欠陥部が含まれていたとしても、接触部及び個別電極用配線の絶縁破壊は防止される。
【0014】
請求項3の発明は更に、共通電極の接触部は、上記個別電極に重なっていないものである。
【0015】
これにより、接触部は個別電極に重ならないため、共通電極と個別電極との間に電圧が印加されても、上記接触部に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体における上記接触部に対応する部分の位置に欠陥部が含まれていたとしても、上記接触部の絶縁破壊は防止される。
【0016】
請求項4の発明は更に、個別電極層は、上記各個別電極に対応して設けられた複数の電圧入力端子と、上記各個別電極と上記各電圧入力端子とを繋ぐ個別電極用配線とを有し、上記各個別電極用配線は、上記各共通電極の接触部に重ならない非重複部を有しているものである。
【0017】
これにより、個別電極用配線は、共通電極の接触部に重ならない非重複部を有するため、共通電極と個別電極との間に電圧が印加されても、上記非重複部に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体における上記非重複部に対応する部分の位置に欠陥部が含まれていたとしても、個別電極用配線及び共通電極の接触部の上記非重複部における絶縁破壊は防止される。
【0018】
請求項5の発明は更に、各個別電極用配線の非重複部が上記各個別電極用配線に占める体積割合を80%〜100%にしたものである。
【0019】
これにより、上記非重複部が上記個別電極用配線に占める体積割合はより高くなる。したがって、個別電極用配線の絶縁破壊を、より高い確率で防止することができる。
【0020】
請求項6の発明は、基板上に、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の個別電極と、上記各個別電極上に積層された圧電体と、上記圧電体上に積層され、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の共通電極とを形成する工程と、上記各共通電極と上記各個別電極との間に電圧を印加し、上記共通電極における上記圧電体の欠陥部に対応する部分を絶縁破壊によって除去する工程と、上記各共通電極上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の一部を除去し、各共通電極の露出部を形成する工程と、上記絶縁膜及び上記共通電極の露出部上に導電性材料から成る振動板を形成する工程と、を備えるものである。
【0021】
これにより、導電性材料から成る振動板と各共通電極の接触部とが積層方向に接触するため、上記振動板を介して各共通電極同士は導通される。よって、共通電極同士をつなぐ配線を別途設ける必要はない。また、配線を別途設ける必要がないため、配線を設けるためのスペースが不必要となる。したがって、インクジェットヘッドを本製造方法によって製造すれば、インクジェットヘッドの小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
請求項7の発明は、基板上に圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の共通電極と、上記各共通電極上に積層された圧電体と、上記圧電体上に積層され、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の個別電極とを形成する工程と、上記各個別電極と上記各共通電極との間に電圧を印加し、上記個別電極における上記圧電体の欠陥部に対応する部分を絶縁破壊によって除去する工程と、上記各個別電極上に絶縁膜を形成する工程と、上記各共通電極の一部が露出するように上記絶縁膜と上記個別電極と上記圧電体との一部を除去する工程と、上記絶縁膜上及び上記共通電極の露出部分に導電性材料から成る振動板を形成する工程と、を備えるものである。
【0023】
これにより、導電性材料から成る振動板と各共通電極の接触部とが積層方向に接触するため、上記振動板を介して各共通電極同士は導通される。よって、共通電極同士をつなぐ配線を別途設ける必要はない。また、配線を別途設ける必要がないため、配線を設けるためのスペースが不必要となる。したがって、インクジェットヘッドを本製造方法によって製造すれば、インクジェットヘッドの小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0024】
請求項8の発明は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のインクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段とを備えているインクジェット式記録装置である。
【0025】
これにより、インクジェットヘッドの小型化及び製造コストの低減が図られたインクジェット式記録装置が得られる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性材料から成る振動板と各共通電極の接触部とが積層方向に接触するため、共通電極同士をつなぐ配線を別途設ける必要はない。したがって、インクジェットヘッドの小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
共通電極の接触部が上記共通電極における各電圧入力端子側の反対の側において走査方向と直交する直交方向に配設されるとすれば、共通電極と個別電極との間に電圧が印加されても、接触部と個別電極用配線との間に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体における接触部に対応する部分の位置に欠陥部が含まれていたとしても、接触部及び個別電極用配線の絶縁破壊は防止される。
【0028】
上記接触部を各個別電極と重ならないように配設すれば、共通電極と個別電極との間に電圧が印加されても、上記接触部に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体における上記接触部に対応する部分の位置に欠陥部が含まれていたとしても、上記接触部の絶縁破壊は防止される。
【0029】
各個別電極用配線が各共通電極の接触部に重ならない非重複部を有するとすれば、共通電極と個別電極との間に電圧が印加されても、上記非重複部に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体における上記非重複部に対応する部分の位置に欠陥部が含まれていたとしても、個別電極用配線における上記非重複部の絶縁破壊は防止される。
【0030】
各個別電極用配線の非重複部が上記各個別電極用配線に占める体積割合を80%〜100%とすれば、上記非重複部が上記各個別電極用配線に占める体積割合はより高くなるため、個別電極用配線の絶縁破壊を、より高い確率で防止することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、インクジェット式記録装置としてのインクジェットプリンタ3に組み込まれ、吐出したインク滴を紙等の記録媒体5に着弾させて記録を行うものである。インクジェットヘッド1は、キャリッジ軸7に沿って往復移動するキャリッジ9に搭載され、キャリッジ9とともに主走査方向Xに往復運動を行う。ローラ11は、キャリッジ9が主走査方向Xに一走査分移動するごとに、記録媒体5を副走査方向Yに搬送するように構成されている。
【0032】
図2に示すように、インクジェットヘッド1は、共通インク室13と複数の圧力室用凹部15と複数のノズル17とが形成されたヘッド本体部19と、圧力室21内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ23とを備えている。
【0033】
ヘッド本体部19の圧力室用凹部15は、副走査方向Yに沿って所定間隔毎に配設されている。各圧力室用凹部15は、開口断面(XY断面)が主走査方向Xに細長い略矩形状に形成されている。各圧力室用凹部15の底部の長手方向の一端(図2の右側端)には、共通インク室13と圧力室21とを繋ぐインク供給口25が形成され、その他端(図2の左側端)には、圧力室21とノズル17とを繋ぐインク流路27が形成されている。
【0034】
圧電アクチュエータ23は、厚さ4μmの導電性材料であるCrからなる導電性振動板37と、導電性振動板37上に形成された厚さ0.5μmの絶縁膜35と、絶縁膜35上に形成された厚さ0.1〜0.2μmのPtからなる共通電極33と、共通電極33上に形成された厚さ3μmのPZT薄膜からなる圧電体31と、圧電体31上に形成された厚さ0.1〜0.2μmのPtからなる個別電極29とを備えている。個別電極29、圧電体31及び共通電極33は、ヘッド本体部19の各圧力室用凹部15に対応した部分に位置するように設けられている。また、共通電極33の一部は、導電性振動板37と積層方向に接触しており、接触部34を形成している。なお、図2では、後述する個別電極用配線39a,39b等(図3参照)の図示は省略されている。
【0035】
次に、図3を参照しながら、ヘッド本体部19の圧力室21等の配置パターンを説明する。
【0036】
図3に示すように、本インクジェットヘッド1では、複数の圧力室21が主走査方向X及び副走査方向Yにそれぞれ所定間隔毎に設けられ、副走査方向Yに延びる4列の圧力室列が形成されている。圧力室21はその長径Lが列方向Yと直交するように形成されている。各圧力室列の圧力室21は、他の圧力室列の圧力室21に対して、副走査方向Yにずれている。例えば、図3において左端に位置する第1圧力室列21aに対して、第2圧力室列21bの圧力室21は、第1圧力室列の隣り合う圧力室21、21の間に対応する部分に配置されている。すなわち、隣り合う列の圧力室21同士の位置がずれた千鳥状になるように配置されている。
【0037】
第1個別電極列29a及び第2個別電極列29bはそれぞれ、第1圧力室列21a及び第2圧力室列21bに対応する部分に位置している。第1個別電極列29a及び第2個別電極列29bの個別電極29からはそれぞれ、個別電極用配線39a,39bがヘッド本体部19の主走査方向Xの一端側(図3の左端側)へ延びている。第2個別電極列29bの個別電極用配線39bは、第1個別電極列29aの隣り合う個別電極29、29間を通るように配置されている。各個別電極用配線39a,39bそれぞれは、電圧入力端子41に接続されている。各電圧入力端子41は、ヘッド本体部19の主走査方向Xの一端側(図3の左端側)において副走査方向Yに沿って配列されている。
【0038】
第1共通電極列33a及び第2共通電極列33bはそれぞれ、第1圧力室列21a及び第2圧力室列21bに対応する部分に位置している。また、第1共通電極列33a及び第2共通電極列33bの共通電極33は、接触部34において導電性振動板37と積層方向に接触している。導電性振動板37の一部は、ヘッド本体部19の隅部に設けられたアース取り出し部45と積層方向に接触している。これにより、各共通電極33が個別化されているにもかかわらず、すべての共通電極33はゼロ電位の状態に保たれる。
【0039】
共通電極33、個別電極29は、この順に面積が小さくなっている。そのため、個別電極29から延びる個別電極用配線39の一部は共通電極33と上下方向に重なっており、個別電極用配線39の一部は重複部39cとなっている。
【0040】
なお、個別電極29と共通電極33との面積を等しくすることも可能である。その場合には、個別電極用配線39と共通電極33との重複部をなくすことができる。
【0041】
図3における右側2列の圧力室列における圧力室21等は、左側2列の圧力室列21a,21bとほぼ同一パターンで配置されている。なお、右側2列の共通電極列の共通電極33は、接触部34において導電性振動板37と接触している。
【0042】
次に、図4を参照にしながら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。まず、図4(a)に示すように、MgO基板47上の全体に、Al、Au、Ni、Pt等の金属や導電性酸化物などの導電性材料を用いて、スパッタリングや蒸着等により上部電極49を形成する。次に、図4(b)に示すように、この上部電極49上にスパッタリングや蒸着等によりPZT薄膜からなる圧電体31を形成する。なお、この際、圧電体31の内部に欠陥部53が含まれる場合がある。
【0043】
次に、図4(c)に示すように、上部電極49及び圧電体31を個別化することにより、個別電極29及び個別電極用配線39(図4では図示せず)を形成するとともに、個別電極29及び個別電極用配線39上以外の部分に位置する圧電体31を除去する。ここで、個別化は、エッチング等により実施する。次に、図4(d)に示すように、圧電体31の除去部分に絶縁体30を埋め込み、それから、圧電体31及び絶縁体30上にPtからなる下部電極51を形成する。次に、図4(e)に示すように、下部電極51を個別化することにより、共通電極33を形成する。ここで、個別化は、エッチング等により実施する。
【0044】
次に、個別電極29と共通電極33との間に微小な時間だけ電圧を印加する。これにより、圧電体31に欠陥部53が含まれている場合には、欠陥部53に急激に大きな電流が流れ、微小な絶縁破壊が起こる(図5(a)参照)。そして、これに伴う発熱により、共通電極33における欠陥部53の上方部分が溶けて気化し、上記部分における共通電極33の一部が除去される。
【0045】
次に、図5(b)に示すように、共通電極33上にポリイミドからなる絶縁膜35を形成する。これは、個別化によって除去された部分及び微小絶縁破壊によって形成された欠損部54を絶縁材たるポリイミドで埋めて、共通電極33同士を絶縁する工程である。それから、絶縁膜35をエッチング等により個別化することにより絶縁膜35の一部を除去し、露出部33cを形成する。次に、図5(c)に示すように、共通電極33の露出部33c及び絶縁膜35上に導電性振動板37を形成する。これにより、導電性振動板37を介してすべての共通電極33が導通されることになる。導電性振動板37の一部は、アース取り出し部45と積層方向に接触させる。次に、図5(d)に示すように、圧力室21が形成されたヘッド本体部19を導電性振動板37上に接着し、MgO基板47を取り除く。
【0046】
以上のように、本実施形態では、導電性振動板37と各共通電極33の接触部34が積層方向に接触するため、導電性振動板37を介して各共通電極33同士は導通されている。よって、共通電極33同士をつなぐ配線を別途設ける必要はない。したがって、インクジェットヘッド1の小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、接触部34は、各共通電極33における電圧入力端子41側の反対の側において副走査方向Yに配設されている。したがって、圧電体31における接触部34に対応する部分の位置に欠陥部53が含まれているとしても、接触部34及び個別電極用配線39の絶縁破壊は防止される。
【0048】
また、本実施形態では、接触部34は個別電極29に重ならないため、共通電極33と個別電極29との間に電圧が印加されても、接触部34と個別電極29との間に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体31における接触部34に対応する部分の位置に欠陥部53が含まれているとしても、接触部34の絶縁破壊は防止される。
【0049】
また、本実施形態では、個別電極用配線39は接触部34に重ならない非重複部を有する。よって、個別電極29と共通電極33との間に電圧が印加されても、上記非重複部に電圧が印加されることはない。したがって、圧電体31における上記非重複部に対応する部分の位置に欠陥部53が含まれていたとしても、絶縁破壊は防止される。本実施形態では、個別電極用配線39と接触部34との非重複部の体積割合(個別電極用配線39の全体に占める体積割合)が80%〜100%である。したがって、高い確率で絶縁破壊を防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、第2個別電極列29bの各個別電極29に対する個別電極用配線39bは、第1個別電極列29aの隣り合う個別電極29,29の間を通る延伸部39dを有し、この延伸部39dは共通電極33に重なっていない。よって、個別電極29と共通電極33との間に電圧が印加されても、延伸部39dに電圧が印加されることはない。したがって、延伸部39dの圧電体31に欠陥部53が含まれていたとしても、絶縁破壊は防止される。本実施形態では、延伸部39dの共通電極33に重なっていない非重複部が延伸部39dに占める体積割合は、80%〜100%であるので、高い確率で絶縁破壊を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態では、圧電体31に欠陥部53が含まれている場合であっても、下部電極51(共通電極33)における欠陥部53に対応する部分は微小絶縁破壊によって除去された欠損部54となっているので、個別電極29と共通電極33との間に電圧を印加しても、局所的に欠陥部53には電圧が印加されないことになる。そのため、圧電体31の欠陥部53には電圧が印加されないことになる。したがって、圧電体31に欠陥部53が含まれていたとしても、インク吐出動作の際に絶縁破壊が生じるおそれはない。
【0052】
なお、本実施形態では、共通電極33上に絶縁膜35を介して導電性振動板37を設けているが、図6に示すように、個別電極29上に絶縁膜35を介して導電性振動板37を設けてもよい。
【0053】
このインクジェットヘッド1は、以下のように製造される。
【0054】
まず、基板(図示せず)上の全体に、共通電極33を形成する。次に、共通電極33上に圧電体31を形成する。なお、この際、圧電体31の内部に欠陥部53が含まれる場合がある。次に、個別電極29及び個別電極用配線39(図6では図示せず)を形成する。次に、個別電極29と共通電極33との間に微小な時間だけ電圧を印加する。これにより、圧電体31に欠陥部53が含まれている場合には、欠陥部53に急激に大きな電流が流れ、微小な絶縁破壊が起こる。そして、これに伴う発熱により、個別電極29における欠陥部53の上方部分が溶けて気化し、上記部分における個別電極29の一部が除去される。次に、個別電極29上に絶縁膜35を形成する。次に、絶縁膜35上に導電性振動板37を形成し、導電性振動板37と共通電極33の接触部34とを接触させる。最後に、基板を加工し、圧力室21が形成されたヘッド本体部19を形成する。
【0055】
なお、本実施形態では、各共通電極33がそれぞれ接触部34を有し、すべての共通電極33を導電性振動板37を通じて導通させているが、一部の共通電極のみを導電性振動板37を通じて導通させることも可能である。少なくとも2つの共通電極33が接触部34を有すればよい。この場合、接触部34を有さない共通電極33は、配線等により他の共通電極34に接続してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、アース取り出し部45はヘッド本体部19の左上部に設けられているが(図3参照)、これに限らず、例えば、ヘッド本体部19の右下部等、他の箇所に設けられてもよい。
【0057】
また、個別電極29、圧電体31、共通電極33等は、本実施形態と異なる材料や厚みのものを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。
【図3】本実施形態に係るインクジェットヘッドの正面図である。
【図4】(a)〜(e)は、本実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程図である。
【図5】(a)〜(d)は、本実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程図である。
【図6】本実施形態に係るインクジェットヘッドの変形例における、図3のI−I線の断面図に相当する図である。
【符号の説明】
19 ヘッド本体部
21 圧力室
23 圧電アクチュエータ
29 個別電極
31 圧電体
33 共通電極
34 接触部
35 絶縁膜
37 導電性振動板
39 個別電極用配線
53 欠陥部
54 欠損部
Claims (8)
- 複数のノズルと、上記ノズル各々に連通する複数の圧力室とが設けられたヘッド本体と、
上記圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の共通電極と、
上記各共通電極上に積層された圧電体と、
上記圧電体上に積層され、上記圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の個別電極を有する個別電極層と、
上記各共通電極又は上記個別電極層上に積層された絶縁膜と、
上記絶縁膜上に積層され、導電性材料から成る振動板とを備え、
上記各共通電極は、上記振動板と積層方向に接触する接触部を有するインクジェットヘッド。 - 個別電極層は、上記各個別電極に対応して設けられた複数の電圧入力端子と、上記各個別電極と上記各電圧入力端子とを繋ぐ個別電極用配線とを有し、
上記電圧入力端子は、走査方向と直交する直交方向に配列され、
共通電極の接触部は、上記共通電極における上記電圧入力端子側と反対の側において上記直交方向に配設されている請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 共通電極の接触部は、上記個別電極に重なっていない請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 個別電極層は、上記各個別電極に対応して設けられた複数の電圧入力端子と、上記各個別電極と上記各電圧入力端子とを繋ぐ個別電極用配線とを有し、
上記各個別電極用配線は、上記各共通電極の接触部に重ならない非重複部を有している請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 各個別電極用配線の非重複部が上記各個別電極用配線に占める体積割合は80%〜100%である請求項4に記載のインクジェットヘッド。
- 基板上に、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の個別電極と、上記各個別電極上に積層された圧電体と、上記圧電体上に積層され、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の共通電極とを形成する工程と、
上記各共通電極と上記各個別電極との間に電圧を印加し、上記共通電極における上記圧電体の欠陥部に対応する部分を絶縁破壊によって除去する工程と、
上記各共通電極上に絶縁膜を形成する工程と、
絶縁膜の一部を除去し、各共通電極の露出部を形成する工程と、
上記絶縁膜及び上記共通電極の露出部上に導電性材料から成る振動板を形成する工程と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法。 - 基板上に、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の共通電極と、上記各共通電極上に積層された圧電体と、上記圧電体上に積層され、圧力室に対応した部分に位置するように個別化された複数の個別電極とを形成する工程と、
上記各個別電極と上記各共通電極との間に電圧を印加し、上記個別電極における上記圧電体の欠陥部に対応する部分を絶縁破壊によって除去する工程と、
上記各個別電極上に絶縁膜を形成する工程と、
上記各共通電極の一部が露出するように上記絶縁膜と上記個別電極と上記圧電体との一部を除去する工程と、
上記絶縁膜上及び上記共通電極の露出部分に導電性材料から成る振動板を形成する工程と、を備えるインクジェットヘッドの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載のインクジェットヘッドと、
上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段とを備えているインクジェット式記録装置。
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