JP3842822B2 - 正確なコードの長さと張力をもつベルトを製造する方法と装置 - Google Patents

正確なコードの長さと張力をもつベルトを製造する方法と装置 Download PDF

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Description

技術分野及び背景技術
本発明は一般にコードを回転構造体に施す装置と方法の技術に関し、より具体的には正確なコード長さとコード張力をもつ弾性ベルトを製造する装置と方法に関する。
コードを回転マンドレルに施す伝統的な方法は最小コンプライアンスの円筒状マンドレルを必要とし、このことはマンドレルの寸法、特に直径と円周が本質的に一定であることを意味した。マンドレルは堅ろうな円筒であって、この場合コードの長さは正しい円周をもつ円筒状マンドレルを選ぶことによって調節される。他のマンドレルは円筒ではなく、本明細書に開示された発明はこのようなマンドレルにも同様に適用される。
ある先行技術のマンドレルでは、マンドレルの円周は材料の層をその表面に施したり、またはその表面から取り除いたりして調整される。他のマンドレルは円に近い一連の弧を形成する半径方向に伸縮する素子をもつ。これらのすべてにおいて、コードは需要送りの方式で出来るだけ正確にコード張力を調節する案内車(くるま)を用いて施される。マンドレルの一回転当たりのコードの長さは円筒の円周によって、従って円筒の製造許容差(tolerances)によってきまる。
マンドレルはしばしば自動車用のタイミングまたはドライブベルトのような弾性ベルト製品の製造に用いられる。多くのベルト設計ではまたコードの前に他のベルト材料の層をシリンダー上に巻くことが必要である。これら材料の厚さ、硬度および温度の許容差はまたコードの長さに影響することがある。
本発明ではシリンダーまたは下にある層の許容差に関係なくコードの長さを調節する。更に本発明は百万分の30までの精度が可能な、非常に正確な方法でコードの長さを調節することができる。このことは歯付きタイミングベルト(toothed timing belts)をつくるときに特に重要で、この場合コードの長さの誤差が歯の不適当なかみ合わせや未熟な(premature)歯やベルトの損傷を招くことがある。
本発明の他の利点は本発明によってつくられたらせんコード構造体は長さ精度の喪失やらせん寸法(helix dimensions)のひずみなしにシリンダーから容易に取り除くことができることである。このためコードを含有するベルトがタイヤ金型のような外部金型中で、あるいは、プレス(成形機)、ロートキュアー(回転加硫プレス)、または組立硬化装置(sectional cure device)中で内圧によってつくりうるようになる。ベルトはマンドレルの崩壊性(collapsibility)のために容易に除くことができる。マンドレルを崩壊させることでコード内の張力は解除されベルトをマンドレルから容易に取り除くのに十分な隙間が得られる。
タイミングベルトは伝統的にシリンダー軸に平行な外側の面上に歯形をもつ円筒状金型上でつくられる。織物(布)、ゴム、プラスチックや他の可撓性材料の層がシリンダー上におかれる、コードがこの集成体の外側に巻きとられる。追加の材料をコードの上においてもよい。ベルトは硬化工程の間隔膜から内側に半径方向の圧をかけることによってつくられる。製品は軸方向にスライドさせて金型の歯をベルトの歯からはずすことによって取除かれる。この工程は軸方向の歯をもつベルトまたは一組のらせん状の歯をもつベルトには有効に働くが、例えばヘリンボーン歯(やまば歯)、二重らせん歯またはジグザグ歯のような断続歯(interrupted tooth)には働くことができない。何故ならばこのような歯形をもつベルトはマンドレルから離れて軸方向にスライドすることはできないからである。
本発明は、これら製品を、コード長さの精度を保持しつつ、内部金型よりもむしろ外部金型を用いてつくることを可能にする。本発明はまたこれら製品を、コード長さの精度を保持しつつ、平らな組立金型(sectional molds)を用いてつくることを可能にする。これらの方法は共に金型表面にほぼ垂直な運動によってベルト歯が金型からはずれることを可能にする。このことは断続歯形が金型から取り除かれることを可能にする。
本発明は正確なコードの長さと張力をもつベルトを製造する新しくかつ改良された方法を意図し、この方法は設計が簡単で、使用が効果的であり前途の困難さや他の困難さを克服し、一方ではよりよいまたより多くの有利な総合的結果をもたらすものである。
発明の開示
本発明によれば、正確なコードの長さと張力をもつベルトを製造する新しくかつ改良された方法が提供される。
本発明は歯車伝動送りキヤプスタン(geared feed capstan)を用いて正確な長さのコードを回転するマンドレルに施す方法と装置である。歯車伝動送りキヤプスタンはマンドレル1回転当たりのコードの選択長さを測定し計量する。コードやワイヤなどの巻き取るのに適した実在物質はすべて弾性があるかあるいは伸縮可能であり、従って施すべきコードの長さの正確な記述では、長さを測定するときのコードの張力も特定しなければならない。この送りキヤプスタンの測定と計量の精度は送りキヤプスタンに出入りするコードの張力に影響される。このためコードの張力を測定し調節することが必要となる。出て行くコードの張力はマンドレルの膨張によって調節される。入ってくるコードの張力は張力制御キヤプスタンによって一定に保たれるが、入ってくるコードの張力を正確に維持する他のいかなる手段もまた適している。この開示では、出て行くコードの張力制御は膨張するマンドレルとこの膨張をある程度調節する張力検知ロードセルによって達成される。主としてコードの長さを調節し補助的にコードの張力を調節するという概念が発明の基本要素である。
特開昭63−0230234号公報に於いて、樹脂含浸フィラメントは回転する金型ジグ上で巻き取られる。サーボモーターの回転は張力測定機器と速度検知機からの信号によって制御され、フィラメントは指定された張力で巻き取られる。
例えば、他のコード巻取機はコードの張力を制御パラメーターとして用いている。マンドレルは回転するのでコードの長さはマンドレルの円周によって、即ちこの開示の目的のために“需要送り”(demand feed)と呼ばれる手法によって決定される。コードの長さはマンドレルの円周とこの円周の許容差に依存する。このようにして施されたコードの長さを正確に測定する方法はない。
本明細書に開示された装置の機能は逆にすることができ(従ってコードの長さは補助的に調節されコードの張力が主として調節される)、しかもこの場合も装置は尚先行技術を超える改良と利益をもたらす。可撓性隔膜の膨張を調節するロードセルはその代りに直接コード張力を調節するのに用いられ、また送りキヤプスタンは測定と定量の機器としてよりもむしろ正確な長さを測る機器として用いることができる。送りキヤプスタンで測った長さは次にマンドレルのインフレーション(膨張)を調節するのに用いられ所望の定量された長さのコードを得ることができる。
本発明によればコードを回転構造体に施す装置が開示され、この装置はコードの長さを調整するキヤプスタン、コードをキヤプスタンに供給する供給手段、回転構造体を保持し回転させる保持手段、およびキヤプスタンからのコードを保持手段上の回転構造体に施す適用手段を含んでいる。
本発明のもう一つの態様によれは、コードを回転構造体に施す装置にはさらに供給手段と適用手段の間に第1キヤプスタン、およびその第1キヤプスタンと適用手段の間に第2キヤプスタンがある。
本発明のもう一つの態様によれば、適用手段は布設車(くるま)(laying wheel)と第2張力検知器を含み、その第2張力検知器は布設車と第2キヤプスタンの間に配置される。
本発明のもう一つの態様、すなわちコードを回転構造体に施す方法によれば、この方法はコードを供給手段によってキヤプスタンに供給する工程、コードをキヤプスタンのまわりに配置し、それによってコードに張力を加える工程、コードを適用手段に送る工程、および回転構造体のまわりにコードを施す工程を含んでいて、回転構造体はマンドレル手段に接続している。回転構造体は伸縮可能である。
本発明のもう一つの態様によると、この方法はさらに決められたアルゴリズム(algorithm)に従ってコードが確実にマンドレルに送られることを含むが、このアルゴリズムは該マンドレルの形、円周および回転速度に基いている。
本発明の一つの態様によればコードを回転可能なマンドレルに正確に施す装置は制御入力に応じてマンドレルの円周を動的に(dynamically)調整する手段を含む。この調整手段はマンドレルの外表面上にとりつけられた膨張性の隔膜である。
本発明のもう一つの態様によれば、装置は更に測定したコード張力のフィードバック制御入力に応じて隔膜を選択的にふくらませたりへこませたりしてマンドレルの円周を動的に調整することができる制御弁を含む制御手段を含む。
本発明のもう一つの態様によれば、装置は制御弁と張力制御手段を含む制御手段を含むが、この張力制御手段は電子的に歯車がかみ合う方式(electronically geared)の張力制御キヤプスタンである。
本発明のもう一つの態様によれば、該マンドレル上にコードを布設するコード布設手段は該マンドレルから半径方向指向の力を分離するコード布設車を含む。
本発明のもう一つの態様によれば、ベルトは第1および第2プーリー上でコードがけすることができる。第1および第2プーリーはある中心距離だけはなして置かれ、その中心距離は選択的に調整可能で、コードのコード張力を調節する。第1および第2プーリーの中心距離は動的に調節可能で、コードをマンドレル上に例の積極送り(positive-feeding)をしている間に、コードのコード張力を調節する。
本発明のもう一つの態様によれば位置決定手段、すなわちエンコーダーはマンドレルを回転させるモーターやシヤフトと操作的に結びついている。
本発明のもう一つの態様、すなわち、コードを回転可能なマンドレルに正確に施す方法によれば、該方法はマンドレルを回転させる工程を含んでおり、マンドレルは制御入力に応じてマンドレルの円周を動的に調整する手段をもち、この手段は該マンドレルの外表面にとりつけられた膨張性の隔膜であり、所望のコード張力を維持するために制御入力をこの手段に送ることによって該マンドレルの円周を調整する。
本発明のもう一つの態様、すなわちコードを回転可能なマンドレルに正確に施す方法によれば、該方法はマンドレルを回転させる工程、コードを該マンドレルに送る工程、コードを該マンドレル上に布設する工程、および半径方向指向の力を円周方向指向の力から分離する工程を含んでいる。
本発明の一つの利点は決められたアルゴリズムに従って既知の長さと張力においてコードを回転構造体に施すことができることであり、このような適用は回転構造体の形、寸法及び回転速度に関係なく行われる。
本発明のもう一つの利点は、送りキヤプスタンに出入りする張力を正確に調節する手段と関連して正確な送りキヤプスタンを用いることである。
本発明のもう一つの利点は張力キヤプスタンを用いて送りキヤプスタンに入るコードの張力を調節することである。
本発明のもう一つの利点は巻取られているコードに対し回転構造体を半径方向に従わせる(make compliant)ことによって送りキヤプスタンから回転構造体への張力を調節することである。
本発明のもう一つの利点は、マンドレルの半径を調整して所望のコード張力をうるために測定した張力のフィードバックを用いてマンドレルが回転するときにその半径を動的に調整することができることである。
本発明のもう一つの利点は頑丈なコード布設車を使用してマンドレル上のコードの位置を正確に調節しコードの布設によって発生する半径方向の力をコードの張力から生ずる所望の力から分離することである。
本発明のもう一つの利点は、タイミングベルトまたはチェーンを使用してコードを二つ以上のプーリー上で回転するベルト板(slab)上に積極的に(positively)送ることである。
本発明のもう一つの利点はコードの積極送りの間にプーリー間の中心から中心までの距離を調整してコード張力を調節することができることである。
発明のさらに他の有利性と利点は下記の詳細な明細書の説明を読み理解すれば当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
本発明ではある部分および部分の配列は物理的な形(physical form)をとってよい。これら部分の好ましい実施態様は明細書の中で詳細に説明されこの開示の一部をなす添付図の中で列証されるであろう。図については
図1は正確なコード長さをもつベルトを製造するのに用いられる本発明の装置の透視図である。
図2は単一のマンドレルよりもむしろ二つのプーリーを特徴とする本発明の更なる実施態様の透視図である。
発明の詳細な説明
単に本発明の好ましい実施態様を説明するためのものであって、本発明を制限するためのものではない図面に言及すると、図1はコード12を回転マンドレル14に施す装置10の透視図を示す。例示のマンドレル14は円筒形であるが、本明細書に開示の方法と装置は円筒形でないマンドレルにも等しく適用でき、このような適用は等しく特許請求の主題の範囲内にある。
本発明はコード12が張力を受けている発明装置に組込まれた三つの区域またはスパンについて都合よく開示されている。第1スパン12Cではコード12は張力T1をうけている。第1スパン12Cはコード12の送りキヤプスタン18からマンドレル14への径路である。第2スパン12Bではコード12は張力T2をうけている。第2スパン12Bは電子的に歯車がかみ合う方式の張力キヤプスタン16から送りキヤプスタン18の入口までのコード12の径路である。第3スパン12Aではコード12は張力T3をうけている。第3スパン12Aは張力キヤプスタン16からコード12の供給源までのコード12の径路である。
張力キヤプスタン16は需要送り方式の張力制御装置であってコード12の張力をコード径路12Aの第1区分における張力T3から径路12Bの第2区分における張力T2に変化させる。コード張力のこの変化は装置10がコード径路の第2区分12Bにおいて可変のコード速度で運転されている間に起こる。この可変のコード速度はコード12が送りキヤプスタン18に入るのに必要な速度によって決定される。第2径路区分12Bにおけるコード張力は従来設計の張力検知器20によって測定される。問題となっている特定の用途に対して適切な工学的判断で選ばれる張力検知器20ならば如何なるものでも十分である。張力検知器20は送りキヤプスタン18の速度に対応して張力キヤプスタン16の速度を調節して第2径路区分12Bの長さの如何なる変化も補整して第2径路区分12Bにおける張力T2を所望のレベルに保つ。
張力キヤプスタン16は従来の設計のものが好ましく、このことは張力キヤプスタン16が張力キヤプスタン16とコード12の間の摩擦係数と接触弧によって決まることを意味する。張力キヤプスタン16はさらに両者とも零より大きいT3とT2の値により決定され、T3の値と、T3の値の変化と相対的に無関係なT2の値との間に差を生ずる。そして、そこではT2の値はT3の値より大きくもまた小さくもなりうる。許容できる張力T3の値はコード12の特性と問題となっているベルトに関するコードの実装設計(package design)によって定まる。許容できる張力T3の値は記述したいくつかの部品の寸法を率に応じて決めることによって数グラムから数百ポンドまたはキログラムまで変化しうる。
張力キヤプスタン16を回転させるモーター22の制御系は張力検知器20からのフィードバックと送りキヤプスタンエンコーダー24からの位置と回転のデーターを用いて張力T2を正確に調節することができる。
送りキヤプスタン18は上記の特徴をもつ一つ以上の同様なコード径路12Bから送りキヤプスタン18に入る一つまたは二つ以上のコード12を受け入れる(accommodate)ことができることが好ましい。送りキヤプスタン18は従来の設計のものであることが好ましく、コード12と送りキヤプスタン18の間の摩擦係数と接触弧によって定まりまたさらにT2とT1によって定まる点と、、さらに両者とも零より大きいT2とT1の値に依存する点が張力キヤプスタン16と似ていて、コード12を径路12Bの第2部分から径路12Cの第3部分に進ませる。T1/T2の比は典型的には0.05から20の範囲にあり、0.5または2.0であることが好ましく、また装置の運転中常に1.0より小さいかまたは大きいことが更に好ましい。
送りキヤプスタン18は、その円周上に送りキヤプスタン18と接触する時にコード12がのっている、正確に知られた周長の円筒形の外面をもつことが好ましい。送りキヤプスタン18は時計まわりまたは逆時計回りにトルクを送りキヤプスタン18に加えることができるサーボモーター26と接続している。このようにして加えられたトルクは張力T2とT1の値に相対的に無関係に送りキヤプスタン18とコード12を径路12Bと12Cに沿って所望の送り距離だけ動かすのに十分な大きさのものである。
送りキヤプスタン18はコード12の張力よりむしろその長さを調節することができるように電子的に歯車がかみ合う方式になっている。換言すれば、送りキヤプスタン18はコード12をコード12の張力に関して“需要送りにする”よりもむしろコード12をその長さに関して“積極的送りにする”(positively feeds)。
膨張するマンドレル54がコード12の張力を調節する。
もしコード12が明確な高度に一様な弾性率をもつならば、コード12を回転面に正確に巻き取る別の方法が用いられよう。このような場合、マンドレル回転に対し送りキヤプスタン18を電子的に歯車がかみ合うようにするのに用いられるアルゴリズムには、ある指定された張力における所望の長さと、第3コードスパン(張力T1)においてロードセルによって検知された実際の張力の両者を考慮することが含まれうる。このアルゴリズムは実際の張力T1において施された実際の長さをコードの弾性率にしたがって所望のコード張力における所望の長さに対応するように調整することができる。この方法はマンドレルがコードの弾性率に似た弾性コンプライアンスをもつことに基いており、非常に小さな範囲の調整に適用できる。この方法は膨張性マンドレルに対する必要性をなくすことができる。しかしこのアルゴリズムは実行することが非常に難しく、コードの実際の弾性率は時間がたつと変わりうるので、この方法を本明細書に記載の好ましい方法よりも望ましくないものにしている。
送りキヤプスタン18は、送りキヤプスタン18の位置と回転を正確に検出するエンコーダー24と接続し、それによって第2径路区分12Bから第3径路区分12Cへのコード12の移動を正確に測定する。
第3コード径路区分12Cは送りキヤプスタン18からコード12が巻き取られることになるマンドレル14まで延びている。コード径路区分12C内に含まれるものは区分12Cを通る各コード12用の張力測定器28と、少なくとも一つのコード布設車(くるま)30である。コード布設車30は円周の溝72を持っている。円周の溝72は各々一つ以上のコード12はマンドレル14の円周上に導くことができる。
コード布設車30、張力測定器28および送りキヤプスタン18は互いに動かないように取りつけられて集成体32をつくり、第3コード径路区分12Cで一定の長さを保つ。集成体32は半径方向位置ぎめ装置34上に取つけられて半径方向集成体36を形成し、この集成体36はコード布設車30の外周をマンドレル14の回転の中心から所望の半径距離に正確に位置させることができる。半径方向位置ぎめ装置34には軸方向位置ぎめ装置38上に取りつけられた線形ベアリングまたはスライドが含まれる。この線形ベアリングはただ一つの自由度を有し、それはマンドレル14の回転軸に垂直な方向の線形運動である。
半径方向集成体36は、半径方向集成体36をマンドレル14の回転軸と平行に動かすことができる軸方向位置ぎめ装置38上に取りつけられている。軸方向位置ぎめ装置38には、半径方向位置ぎめ装置34を支える線形ベアリングまたはスライドがある。軸方向位置ぎめ装置38の線形ベアリングはただ一つの自由度をもち、それはマンドレル14の回転軸に平行な方向の線形運動である。軸方向位置ぎめ装置38は如何なる望ましくない方向の線形運動や半径方向位置ぎめ装置34の如何なる軸のまわりの回転も防止するのに十分な程強固で頑丈で堅ろうである。
半径方向および軸方向支持装置34と38の組合された運動はマンドレル14の回転軸とコード布設車30の中心線を含む面を定める。この配置はコードがマンドレル14上に布設される範囲の容易な調節を可能にしている。これらの装置は需要送りの方式で、調節された張力下にコードを巻き取る既知技術に現在存在する精度にまですることができる。軸方向および半径方向支持装置34と38の正確度と頑丈さはコード布設機器が半径方向と円周方向の力を分離できるようにするために重要である。
マンドレル14は駆動モーター44に接続した第1端78を有するマンドレル支持シヤフト42に硬く結合しこのシヤフト42と共に回転するので駆動モーター44はシヤフト42とマンドレル14を回転させる。シヤフト42の第2端80はマンドレル14についている。シヤフト42はまた該マンドレルの位置を正確に決める位置決定手段に接続している。好ましい実施態様では位置決定手段はシヤフト42とマンドレル14の位置と回転を正確に測定するエンコーダー46である。
特にそのシヤフト42が典型的な回転“C”軸を表すコンピューター数値制御(CNC)工作機械に似て、シヤフト42、半径方向位置づけ装置34、および軸方向位置づけ装置38は協調して作動するために従来の方法で接続される。このような装置は、コード布設車30をマンドレル14の外側の円筒状表面に沿ってらせん状またはその他の指定した径路で動かすやり方で、シヤフト42と軸方向支持体38を同時に動かすことを可能にする。
もしまた半径方向位置ぎめ装置34がシヤフト42および軸方向位置ぎめ装置38と同時に動くように調節されるならば、コード布設車30はシヤフト42のまわりをまわる三次元の回転面上の任意の限定できる径路に沿って動くことができる。この三次元の形は、例えば円環体、タイヤ、回巻状の空気ばね、らせん巻きまたは可変角度巻きの円筒状空気ばね、ビード硬化ブラダー(bead setting bladder)、タイヤ硬化ブラダー、圧力容器、またはミサイルケーシングのような、よく知られたフイラメント巻き対象物でありうる。
マンドレル14の回転はマンドレル支持シヤフト42に取りつけられたエンコーダー46によって測定される。送りキヤプスタン18の回転はエンコーダー24で測定される。制御系(図示せず)はマンドレル14か送りキヤプスタン18かどちらかの回転速度と角加速度を調節しなければならず、またマンドレル14と送りキヤプスタン18の所望の相対運動を規定するアルゴリズムを含んでいなければならない。例えば、コード12が一定のらせん形ピッチで円筒形マンドレル14上に巻き取られる場合、相対運動は送りキヤプスタン18上のコード12の速度をマンドレル14上で適切な張力T1の下に径路12Dをつくるのに必要な理論的表面速度にマッチする一定のギア比である。
機械的手段を用いて送りキヤプスタン18とマンドレル14の相対運動を調節することができるが、電子制御を用いるとはるかに順応性があり費用有効な方式が得られる。エンコーダー24と46は送りキヤプスタン18とマンドレル14の相対運動または速度の誤差を検出できる。モーター26と44の正しい相対速度を維持するために従来のモーター速度制御方式を用いることができるが、相対速度を調節すると小さい速度誤差の蓄積を招くことがありその結果ますます大きな位置の誤差を生ずる。好ましい制御方式は電子式で、エンコーダー24と46を用いてマンドレル14と送りキヤプスタン18の相対位置を測定し、それによって各々の相対位置における誤差を検出する。この好ましい制御方式はモーター26かモーター44かどちらかの速度を調節し、意図的な小さな速度誤差をつくり出すが、この小さな速度誤差は位置の誤差をほぼ零にもどし、また容認できない大きな位置の誤差になりうる小さな位置の誤差の蓄積を防ぐ。
マンドレル14は外表面86をもちその上でコード12はコード径路12Dに沿って巻き取られる。コード12を巻き取る前に他のベルト材料50の層をマンドレル14上においてもよい。これらの層50は別々の複数の成分、シート材料、または予め施された巻かれたコードを含んでもよい。マンドレル14とこれらの下敷きされている層50の円周は少なくともコード径路区分12Cにおける最小必要張力T1を維持するのに十分な程度大きくなければならず、また径路12Cにおける最大許容張力を維持するのに必要な円周より大きくしてはならない。もしマンドレル14と下敷きされている層50が十分に正確な寸法をもつか、あるいは張力T1を許容できる誤差の範囲内に保つ圧縮性またはコンプライアンスをもつならば、マンドレル14は従来の設計のものでよい。
張力T1を調節する際により高い精度を得るために、マンドレル14はマンドレル14の円周を動的に調節する円周手段をもつことができる。好ましい実施態様では、円周手段は調節可能な半径をもつ層54である。この層54の好ましい構成はマンドレル14の堅固な構造体に取りつけられた可撓性隔膜54よりなり、マンドレル14と隔壁54の間に液密の(fluid tight)空隙を形成する。流体はマンドレル14の円周を調節する制御手段によって隔膜54中に導入される。好ましい実施態様において制御手段は隔膜54を半径方向に膨張させうる制御弁58であり、これによって工程下にあるベルトの下敷きされている層50の半径または円周を所望の張力T1を得るのに必要な寸法に調節する。張力キヤプスタン16は送りキヤプスタン18への張力を調節し、一方送りキヤプスタン18からの張力は膨張する隔膜54によって調節される。コード径路12Cにある張力検知器28は、弁58を用いてマンドレル14と隔膜54の間の空隙中の流体の量を調整する制御系へのフィードバック素子として用いることができる。
張力T1の調節の際の更なる改良は、布設するコードと結びついた半径方向の力がコード布設車30、位置づけ装置34、38および機械の枠によって支えられるようにコード布設車30を正確な要求されたコード布設半径に置くことによって、達成される。これによって張力T1はただ円周方向の力にのみ依存するようになる。
上記のマンドレル14と隔膜54はマンドレル14上につくられるタイミングベルトの長さの非常に小さな調整を可能にする。異なった半径をもつマンドレル14がマンドレル支持シヤフト42に取りつけられた広範囲の(タイミングベルトの)長さまたは円周をもつタイミングベルトをつくることができる。マンドレル14は長いタイミングベルトをつくるために大きな直径と重量をもたねばならない。
図2に関して、本発明の別の実施態様が開示される。マンドレル14の大きな在庫をもたずに、長いベルトを含む種々の長さのベルトをつくることがしばしば望まれる。図2には、種々の長さのタイミングベルトをつくるために指定された中心−中心間距離Eにおかれたプーリーまたはスプロケット14Aと14Bを支持する二つの平行なシヤフト42Aと42Bをもつ機械が示される。タイミングベルトはプーリー14Aと14Bのまわりに組立てられ、そのベルトの長さは一つのプーリー14A、14Bの円周にプーリー14Aと14Bの間の中心−中心間距離Eの2倍をプラスすることによって定められる。
前に記した積極送り方式はベルト運動が正確に測定できる場合にのみこのような組立機械に適用できる。下敷きされているベルト構造体はもはやマンドレルについていないので(図1参照)、この位置はプーリー14A、14Bまたはシヤフト42A、42Bの回転の位置を検出することによって測ることはできない。プーリー14A、14B上のスプロケット64を走行するリーダーチェーンまたはタイミングベルト62はコード12の端末をプーリー14A、14Bのまわりの既知の位置に導くのに用いることができる。張力T1はプーリー14A、14Bの中心−中心間距離Eをかえることによりまたは膨張性隔膜54をもつ(図1参照)プーリー14Aまたは14Bの一つを上記のようにつくることにより調整することができる。
膨張性の隔膜54の場合、上記の制御方式は、もちろん、同様に使用される。リードベルトまたはチェーン62は中心−中心間距離Eが調整されるにつれて長さを変えねばならない。このことはベルトの弾性率の適切な選択によってまたはベルトまたはチェーン62にスプロケット上で有効半径を変えさせうる歯圧角(tooth pressure angle)を用いることによって達成することができる。(ベルトまたはチェーンの“歯圧角”はスプロケットの中心から歯接触点を通るスプロケットの半径方向線と歯接触点における法線との間の角である。もしこれらの線が垂直であるならば、圧角度は零で、ベルトとスプロケットの間の力は接線方向のみである。ベルトは半径方向成分のないトルクを法線力(normal forces)に伝えることができる。圧角度が零より大きい場合、ベルトとスプロケットの間の法線力はベルトを半径方向外側に押すことができる半径方向成分を含んでいる。たとえスプロケットの中心−中心間距離が少しだけ変化したとしても、この外側への運動のためベルトは一定の円周方向長さで作用するようになる。)この制御方式はロードセル28からのフィードバックを用いて膨張する隔膜、従って、コードの張力を制御する。もし、コード張力が中心−中心間距離Eを変えることによって調節されるならば、ロードセル28はこの中心−中心間調整機構にフィードバックを提供し従ってコード張力を調節する筈である。
本発明を好ましい実施態様について説明してきた。明らかに、明細書を読んで理解する際に修正や変更が読者の脳裏に浮かぶことがあろう。このような修正や変更が添付した特許請求項またはその同等物の範囲に入る限り、本願はこれらをすべて包含することを出願者は意図するものである。

Claims (3)

  1. コード供給源からの所定の長さのコード部分を、回転可能なマンドレルに取り付ける装置であって、
    回転可能なマンドレルと、
    前記コードを、前記回転可能なマンドレルに積極的に送る送りキャプスタンであって、該コードは該送りキャプスタンに入る入側張力と、該キャプスタンから出る出側張力を有する送りキャプスタンと、
    前記送りキャプスタンと前記回転可能なマンドレルとの間に配置され、前記コードを所定のパターンで前記回転可能なマンドレル上に配置するコード布設車と、
    前記送りキャプスタンと前記回転可能なマンドレルとの間の前記コードと接触し、前記出側張力を測定する第1の張力測定手段と、
    前記送りキャプスタンを出るコードの長さを測定する測定手段と、
    前記マンドレルの外周部を動的に調整して、前記送りキャプスタンと前記コード布設車との間の前記コードの所定の張力を維持する調整手段と
    を有する装置。
  2. 供給源からのコードを、回転可能なマンドレルに正確に取り付ける装置であって、
    回転軸のまわりを回転可能であり、マンドレルの外周部を動的に調整する外周部調整手段を有するマンドレルと、
    前記コードを前記マンドレル上に布設するコード布設アセンブリと、
    前記供給源と前記回転可能なマンドレルとの間の位置における前記コードの張力を測定する第1の張力測定手段と、
    前記第1の張力測定手段からのフィードバックを、該フィードバックに応答して前記マンドレルの前記外周部を調整するように動作することのできる前記外周部調整手段に供給するフィードバック手段と
    を有する装置。
  3. 供給源からの所定の長さと張力を有するコード部分を、支持装置に正確に取り付ける装置であって、
    中心間が所定距離離れていて、平行な回転軸のまわりを回転可能な第1および第2の平行なシャフトと、
    前記第1および第2のシャフトにそれぞれ取り付けられている第1および第2のプーリと、
    前記第1および第2のプーリと外周部において係合し、それらとともに回転可能なリードベルトと、
    前記コードの前記所定の長さを前記第1および第2のプーリ上に積極的に送る積極送り手段であって、前記コードは前記積極送り手段を出る出側張力を有する積極送り手段と、
    前記積極送り手段と前記第1および第2のプーリとの間に配置され、前記出側張力を測定するように動作することのできる第1の張力測定装置と、
    前記所定の張力を維持するように前記出側張力を制御する制御手段と
    前記マンドレルの外周部を動的に調整して、前記送りキャプスタンとコード布設車との間の前記コードの所定の張力を維持する調整手段と、
    を有する装置。
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