JP3840747B2 - 圧縮機の片頭ピストン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両空調装置に使用される圧縮機の片頭ピストンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、可変容量圧縮機においては、ハウジングの内部にクランク室が形成されるとともに、駆動シャフトが回転可能に支持されている。ハウジングの一部を構成するシリンダブロックには複数のシリンダボアが形成され、各シリンダボア内には片頭ピストンが往復動可能に収容されている。クランク室内において駆動シャフトにはカムプレートが一体回転可能かつ揺動可能に装着され、このカムプレートは駆動源を構成している。そのカムプレートの周縁には各片頭ピストンの尾部が係留され、各片頭ピストンが駆動源に連結されている。そして、容量制御弁等により、クランク室内の圧力とシリンダボア内の圧力との片頭ピストンを介した差圧を変更し、その差圧に応じてカムプレートの傾角を変更して、吐出容量を制御するように構成されている。
【0003】
この種の可変容量圧縮機においては、クランク室が冷媒ガスの吸入通路を構成しておらず、外部冷媒回路からの冷媒ガスがクランク室を通ることなく、吸入室へ導入されるようになっている。このため、片頭ピストンと斜板等のカムプレートとの連結部に対する潤滑は、ブローバイガスとともにクランク室に供給される潤滑油に大きく依存している。
【0004】
ところが、このブローバイガスの量、すなわち、片頭ピストンとカムプレートとの連結部に供給される潤滑油の量は、片頭ピストンとシリンダボアとの間のクリアランスの大きさに左右される。従って、この連結部に対して十分な量の潤滑油を供給するためには、クリアランスを大きく取る必要がある。しかし、片頭ピストンとシリンダボアとの間のクリアランスを大きく取ることは、圧縮機の基本的性能である圧縮効率の低下につながる。
【0005】
このような問題に対処するため、例えば片頭ピストンの外周面に円環状の油掻き溝を形成し、片頭ピストンの往復運動に際して、この油掻き溝によりシリンダボアの内周面に付着している潤滑油を掻き集めて、クランク室内へ導くように構成した圧縮機も従来から提案されている。この構成によれば、片頭ピストンとシリンダボアとの間のクリアランスを大きくすることなく、つまり、圧縮効率の低下を招くことなく、片頭ピストンとカムプレートとの連結部に潤滑油を供給することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の可変容量圧縮機においては、各片頭ピストンの尾部の先端周縁が断面直角状に形成されている。このため、片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、ピストン尾部の端面及びハウジングの内周面に付着したり、クランク室の底部に貯留されたりしている潤滑油が、片頭ピストンの尾部先端面により押し戻されて飛び散り、片頭ピストンとカムプレートとの連結部に十分供給されないという問題があった。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、クランク室内の潤滑油を押し戻して飛び散らせることなく、必要部分に十分に取り込むことができる圧縮機の片頭ピストンを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、圧縮機ハウジングのシリンダボア内に収容され、シリンダボア内の流体に圧縮作用を及ぼすヘッド部と、ヘッド部に連接され、駆動源と連結される連結部を備える尾部とから構成される圧縮機の片頭ピストンにおいて、片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、ハウジング内の潤滑油を、前記連結部側に導くための傾斜面を尾部の端面に形成したものである。
【0009】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の圧縮機のピストンにおいて、尾部は、ハウジングの内周面と当接して片頭ピストンの回転を抑制するための回り止め部を有し、傾斜面はその回り止め部に形成されたものである。
【0010】
請求項3に記載の発明においては、請求項2に記載の圧縮機のピストンにおいて、回り止め部は尾部の一部に設けられ、尾部の回り止め部以外の部分は、回り止め部より幅狭にしたものである。
【0011】
請求項4に記載の発明においては、請求項2または3に記載の圧縮機のピストンにおいて、尾部の回り止め部以外の部分の外周側には、ハウジング内周面との間に空隙を形成すべく窪み部を設けたものである。
【0012】
請求項5に記載の発明においては、請求項2〜4のいずれかに記載の圧縮機のピストンにおいて、回り止め部の頂部には、ハウジング内周面との間に空隙を形成すべく切欠部を設けたものである。
【0013】
請求項6に記載の発明においては、請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮機のピストンにおいて、前記傾斜面は尾部の端面周縁に対しほぼ全周に亘って形成したものである。
【0014】
さて、請求項1においては、シリンダボアの内周面の潤滑油が、片頭ピストンの往復動に伴って、クランク室内に導入される。そして、クランク室内の潤滑油は、片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、片頭ピストンの尾部の端面周縁に形成された傾斜面に沿って、片頭ピストンの連結部に導かれる。
【0015】
請求項2においては、傾斜面が回り止め部に形成されているため、その傾斜面をハウジングの内周面に近接して配置できる。
請求項3においては、傾斜面によって導入された潤滑油が幅狭部を通ってスムーズに連結部に到達する。また、回り止め部を幅広とすることにより、より多くの潤滑油を捕捉することができる。
【0016】
請求項4においては、窪み部により、尾部の幅狭部とハウジング内周面との間における潤滑油通過通路が形成される。
請求項5においては、切欠部により、尾部の回り止め部とハウジング内周面との間における潤滑油通過通路が形成される。
【0017】
請求項6においては、潤滑油が尾部のほぼ全域から連結部側に導入される。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下に、この発明の第1の実施形態のピストンを採用した可変容量圧縮機について、図1〜図5に基づいて説明する。なお、図1において左側を圧縮機の前部、右側を圧縮機の後部として説明する。
【0019】
図1に示すように、フロントハウジング11は、シリンダブロック12の前部に接合固定されている。リヤハウジング13は、バルブプレート14を介してシリンダブロック12の後部に接合固定されている。そして、フロントハウジング11、シリンダブロック12及びリヤハウジング13により、圧縮機全体のハウジングが構成されている。
【0020】
前記リヤハウジング13内には吸入室13a及び吐出室13bが区画形成されている。バルブプレート14には吸入弁14a及び吐出弁14bが設けられている。前記フロントハウジング11とシリンダブロック12とにより形成された閉空間はクランク室15をなしている。そのクランク室15内を貫通するように、フロントハウジング11及びシリンダブロック12には、駆動シャフト16が一対のベアリング17を介して回転可能に架設支持されている。
【0021】
ラグプレート18は前記駆動シャフト16に止着されている。また、カムプレートをなす斜板19は、クランク室15内において駆動シャフト16にその軸線L1方向へスライド移動可能かつ傾動可能に支持されている。そして、この斜板19はヒンジ機構20を介してラグプレート18に連結され、そのヒンジ機構20により軸線L1方向へのスライド移動及び傾動が案内されるとともに、駆動シャフト16と一体回転される。この斜板19は駆動源を構成する。
【0022】
複数のシリンダボア12aは前記シリンダブロック12に形成されている。片頭ピストン21は、各シリンダボア12a内に往復動可能に収容されている。片頭ピストン21は中空状のヘッド部21cと、そのヘッド部21cの後端背部から後方に突出する尾部21aとよりなる。尾部21aの腹側には凹部21bが形成され、その凹部21bの前後に対向する内側面には一対の球状をなす受け面21dが形成されている。
【0023】
そして、前記斜板19は、片頭ピストン21の尾部21aの凹部21b内に進入した状態で、受け面21dに支持された前後一対のシュー22を介して片頭ピストン21に係留されている。従って、シュー22、受け面21d等により片頭ピストン21を斜板19に連結するための連結部が構成されている。そして、斜板19の回転運動がシュー22を介して片頭ピストン21の往復直線運動に変換され、その片頭ピストン21がシリンダボア12a内を前後動される。これにより、吸入室13aから吸入弁14aを介してシリンダボア12a内へ吸入された冷媒ガスが圧縮されつつ、吐出弁14bを介して吐出室13bへ吐出される。
【0024】
圧力供給通路23は、吐出室13bとクランク室15とを接続するように形成されている。電磁弁よりなる容量制御弁24は圧力供給通路23上に介在されている。この容量制御弁24のソレノイド24aが励磁されることにより、スプール24bがポート24cを閉鎖する。また、ソレノイド24aが消磁されることにより、スプール24bがポート24cを開放する。
【0025】
そして、前記片頭ピストン21の前後に作用されるクランク室15内の圧力と、シリンダボア12a内の圧力との差圧を調整して、斜板19の傾斜角を制御し、片頭ピストン21のストロークを変更することにより、吐出容量が調整されるようになっている。このクランク室15内の圧力は、容量制御弁24の励磁・消磁による圧力供給通路23の閉・開により制御される。
【0026】
つまり、圧力供給通路23が閉鎖された状態においては、駆動シャフト16及びシリンダブロック12の中心に形成された放圧通路16aと、バルブプレート14の中心に形成された放圧孔12bとを介して、クランク室15内の圧力が吸入室13aに放圧される。そして、クランク室15の圧力が、吸入室13aの低圧力に近づいていく。よって、図1に示すように、斜板19の傾角が最大傾角になって、吐出容量は大きくなる。また、圧力供給通路23が開放された状態においては、吐出室13b内の高圧力がクランク室15に導入され、そのクランク室15内の圧力上昇により、斜板19の傾角が最小傾角に移行される。従って、吐出容量は小さくなる。
【0027】
なお、前記斜板19の最大傾角は、その斜板19に設けられたストッパ19aと、ラグプレート18との当接によって規定される。また、斜板19の最小傾角は、駆動シャフト16に装着されたリング25と、斜板19との当接によって規定される。
【0028】
さて、図1〜図4に示すように、油掻き溝26は片頭ピストン21のヘッド部21cの先端部の外周面において、その周方向へ円環状に形成されている。図3に示すように、この油掻き溝26は、片頭ピストン21が下死点位置に至った場合においても、シリンダボア12a内から露出されない位置に形成されている。なお、図1においては、斜板19が最大傾角の状態にある。
【0029】
また、図1〜図4に示すように、縦溝27は、片頭ピストン21のヘッド部21cの外周面において前記油掻き溝26の直近の前部側から、片頭ピストン21の中心軸線L2方向に延びるように形成されている。さらに、この縦溝27は、片頭ピストン21の中心軸線L2に対して、駆動シャフト16の回転中心軸線L1側及び回転方向R1側ではない四半周面における上位部分21−1(図4における上方部分)を除いた周面部分21−2(図4において矢印で示す部分)に設けられている。そして、図1に示すように、この縦溝27は片頭ピストン21が上死点位置付近にある状態では、シリンダボア12a内から露出されない位置及び長さに形成されている。また、この縦溝27と前記油掻き溝26とは接続されていない。
【0030】
なお、前記片頭ピストン21の表面の研磨処理は、センタレス研磨にて行われる。このセンタレス研磨においてはチャックを用いず、ピストンワークは受け台上に載置されて研磨輪とともに回転される。このため、片頭ピストン21の周方向(ワークの回転方向)に対して部分的に存在することとなる縦溝27の数が多いと、受け台上に載置されたピストンワークの回転中心が安定せず、精度の良い研磨を行い得ない。よって、片頭ピストン21の精度良い研磨処理を行うためには、縦溝27の数はできるだけ少ないほうが良く、この実施形態においては潤滑油供給構成にて必要最小限の幅及び深さを有する1本のみが形成されている。
【0031】
図1、図2及び図5に示すように、前記片頭ピストン21の尾部21aの端部にはほぼT字状をなす回り止め部21eが形成され、片頭ピストン21の往復にともない、この回り止め部21eがフロントハウジング11の内周面を当接して、片頭ピストン21の自身の軸線を中心とした回転を抑制する。その回り止め部21eの端面周縁には傾斜面28がほぼ全周に亘って形成されている。そして、片頭ピストン21が上死点位置から下死点位置に移動されるとき、片頭ピストン21の尾部21aの端面及びフロントハウジング11の内周面に付着したり、クランク室15の下部に貯留されたりしている潤滑油を、この傾斜面28に沿って片頭ピストン21と斜板19との連結部側に導くようになっている。
【0032】
窪み部29は尾部21aの背部側において、回り止め部21eを除いた部分に形成されている。この窪み部29の最大幅W1は、回り止め部21eの最大幅W2よりも狭い。平坦状の切欠部30は窪み部29と連通するように回り止め部21eの頂面に形成され、その両側には一対の円弧面状の回り止め面31が形成されている。また、この回り止め面31の曲率半径は、フロントハウジング11の内周面の曲率半径とほぼ同一となるように形成されている。
【0033】
そして、片頭ピストン21が往復動される際には、回り止め部21eがこの一対の回り止め面31においてフロントハウジング11の内周面に当接することにより、片頭ピストン21が中心軸線L2の周りで回転しないように回り止めされる。また、この片頭ピストン21の往復動時には、クランク室15内の潤滑油が、切欠部30とフロントハウジング11の内周面との間の空隙S1を通して窪み部29に導かれた後、片頭ピストン21と斜板19との連結部に取り込まれる。
【0034】
次に、前記のように構成された可変容量圧縮機の動作を説明する。
さて、この圧縮機において駆動シャフト16が回転されると、斜板19を介して片頭ピストン21が往復動され、斜板19の傾角に応じた吐出容量で冷媒ガスの圧縮が行われる。この圧縮運転時には、潤滑油が、冷媒ガスとともにブローバイされて、シリンダボア12aの内周面に付着される。そして、片頭ピストン21が往復動するとき、特に、上死点位置から下死点側に向けて変位する吸入行程において、前記油掻き溝26によりシリンダボア12aの内壁面に付着している潤滑油が掻き取られて、その溝26内に一時的に蓄えられる。
【0035】
このとき、前記油掻き溝26と縦溝27とは、図1に示す片頭ピストン21とシリンダボア12aとの間の狭いクリアランスC1を介して連通されている。従って、吸入行程中に油掻き溝26内に蓄えられた潤滑油は、片頭ピストン21が下死点位置から上死点側に向けて変位する圧縮行程中に、圧力差に基づきクリアランスC1を介して徐々に縦溝27へ送られ、その後クランク室15内に流入される。
【0036】
この場合、縦溝27内には潤滑油がクリアランスC1により絞られた状態で送り込まれるため、その縦溝27内とクランク室15内との圧力差は小さくなる。ところが、縦溝27の前端部と片頭ピストン21の尾部21aとのシール長が短く設定されている。このため、片頭ピストン21の上死点位置で、縦溝27がシリンダボア12a内から露出されないような設定であっても、縦溝27内の潤滑油はクランク室15に向けて円滑に導入される。
【0037】
そして、クランク室15内に導入されてフロントハウジング11の内周面に付着したり、クランク室15の下部に貯留されたりしている潤滑油は、片頭ピストン21が上死点位置から下死点位置に移動されるとき、片頭ピストン21の尾部21aの端面周縁に形成された傾斜面28に沿って、片頭ピストン21と斜板19との連結部に導かれる。加えて、片頭ピストン21の往復動時には、片頭ピストン21の尾部21aの端面及びフロントハウジング11の内周面上の潤滑油が、切欠部30とフロントハウジング11の内周面との間の空隙S1を通して窪み部29に導かれた後、片頭ピストン21と斜板19との連結部に導入される。
【0038】
従って、片頭ピストン21が上死点位置から下死点側に変位する吸入行程において、片頭ピストン21の尾部21aの端面により、その端面及びフロントハウジング11の内周面に付着している潤滑油が押し戻されて飛び散ることが抑制される。そして、クランク室15内の潤滑油が、片頭ピストン21と斜板19との連結部に十分に導かれる。
【0039】
前記の実施形態によって期待できる効果について、以下に記載する。
(a) この実施形態においては、片頭ピストン21の尾部21aの端面周縁に傾斜面28が形成されている。このため、片頭ピストン21が上死点位置から下死点位置に移動されるとき、片頭ピストン21の尾部21aの端面及びフロントハウジング11の内周面に付着している潤滑油を、この傾斜面28に沿って片頭ピストン21と斜板19との連結部に十分に取り込むことができる。従って、最も潤滑を必要とするその連結部を効果的に潤滑することができる。
【0040】
(b) この実施形態においては、片頭ピストン21には、その尾部21aの先端にフロントハウジング11の内周面に当接して、そのピストン21自身の回転を抑制するための回り止め部が21eが設けられている。そして、傾斜面28がその回り止め部21eに形成されている。このため、この傾斜面28をフロントハウジング11の内周面に近接して配置することができる。従って、フロントハウジング11の内周面に付着している潤滑油を、この傾斜面28に沿って片頭ピストン21と斜板19との連結部に効率よく取り込むことができる。
【0041】
(c) この実施形態においては、片頭ピストン21の尾部21aの回り止め部21e以外の部分の最大幅W1は、その回り止め部21eの最大幅W2より狭くなっている。このため、傾斜面28によって導入された潤滑油が、尾部21aの幅狭部、ここでは窪み部29に対応する部分を通ってスムーズに片頭ピストン21と斜板19との連結部に導かれる。
【0042】
(d) この実施形態においては、片頭ピストン21の尾部21aの外側に窪み部29が形成されている。このため、片頭ピストン21の往復動時には、この窪み部29により、尾部21aの幅狭部とフロントハウジング11の内周面との間における潤滑油通過通路が形成される。このため、前記傾斜面28によって尾部21aの幅狭部、ここでは窪み部29に対応する部分に導かれたクランク室15内の潤滑油が、片頭ピストン21と斜板19との連結部に効率的に導入される。従って、前記傾斜面28の構成との相乗効果により、連結部の潤滑効果をより向上させることができる。
【0043】
(e) この実施形態においては、片頭ピストン21の尾部21aの外側に平坦状の切欠部30が形成されている。このため、片頭ピストン21の往復動時には、この切欠部30により、尾部21aの回り止め部21eとフロントハウジング11の内周面との間における潤滑油通過通路が形成されて、クランク室15内の潤滑油が片頭ピストン21と斜板19との連結部に効率的に導入される。従って、前記傾斜面28の構成との相乗効果により、連結部の潤滑効果をより向上させることができる。
【0044】
(f) この実施形態においては、傾斜面28が片頭ピストン21の尾部21aの先端周縁に対しほぼ全周に亘って形成されている。このため、潤滑油が尾部21aのほぼ全域から連結部側に導入される。従って、片頭ピストン21と斜板19との連結部に対して、潤滑油を一層効率よく取り込むことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、この発明の第2の実施形態を、図6に基づいて説明する。
さて、この第2の実施形態においは、片頭ピストン21の尾部21aの背側全体を円弧状にして、尾部21a上の切欠部30が省略されている。また、傾斜面28は尾部21aの頂部側のみの先端周縁に形成されている。
【0046】
この第2の実施形態においては、傾斜面28の加工が容易になり、しかも、片頭ピストン21とフロントハウジング11の内周面との接触面積を拡大でき、片頭ピストン21の自身の軸線を中心とした回転を確実に抑制して、安定した圧縮動作を確保できる。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、この発明の第3の実施形態を、図7に基づいて説明する。
さて、この第3の実施形態においては、傾斜面28が片頭ピストン21の尾部21aの腹部側のみに形成されている。
【0048】
従って、この第3の実施形態においては、傾斜面28の加工が容易になる。
なお、この発明は、次のように変更して具体化することも可能である。
(1) 傾斜面28を、片頭ピストン21の尾部21aの端面周縁に対し、周方向に複数に分割して形成すること。
【0049】
(2) 複数のシリンダボア12aに収容される各片頭ピストン21について、片頭ピストン21の尾部21aの端面周縁に対する傾斜面28の形成位置、幅あるいは角度を変更すること。例えば、潤滑油が貯留されるクランク室15の下部側に位置する片頭ピストン21の傾斜面28を幅の広いものとすること。
【0050】
これらのように構成すれば、傾斜面28によって片頭ピストン21の連結部側に供給される潤滑油の量を調整できる。
(3) 縦溝27の後端を延長して油掻き溝26に接続させること。
【0051】
このように構成すれば、縦溝27に対する潤滑油の導入がいっそう円滑になる。
(4) 縦溝27の前端を延長して尾部21aの後端に開口するように構成すること。
【0052】
このように構成すれば、クランク室15に対する潤滑油の導入がいっそう円滑になる。
前記実施形態から把握される技術的思想を以下に述べる。
【0053】
(イ) ハウジングの内部にクランク室を形成するとともに駆動シャフトを回転可能に支持し、ハウジングの一部を構成するシリンダブロックには複数のシリンダボアを形成し、各シリンダボア内には片頭ピストンを往復動可能に収容し、クランク室内において駆動シャフトにはカムプレートを一体回転可能かつ揺動可能に装着して、そのカムプレートの周縁を各片頭ピストンの尾部に係留して連結した可変容量圧縮機において、
前記各片頭ピストンの尾部の先端周縁には、片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、片頭ピストンの尾部の端面及びハウジングの内周面に付着している潤滑油を、片頭ピストンとカムプレートとの連結部に導くための傾斜面を形成した圧縮機。
【0054】
このような構成においては、前記実施形態と同様な効果を享受できる。
(ロ) 前記(イ)項において、前記クランク室内の圧力とシリンダボア内の圧力との片頭ピストンを介した差圧を変更し、その差圧に応じてカムプレートの傾角を変更して、吐出容量を制御するようにした制御手段24を設けた可変容量圧縮機。
【0055】
この構成においては、傾斜面を設けた構成がいっそう有効である。すなわち、可変容量圧縮機においては、クランク室の圧力を調整するために、クランク室をガス通路にすることができない。このため、クランク室内がオイルの少ない雰囲気になりやすい。これに対して、(ロ)項の構成によれば、ブローバイガスに同伴される少量の潤滑油を、片頭ピストンとカムプレートとの連結部の潤滑のために有効に利用できる。
【0056】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、片頭ピストンの尾部の端面及びハウジングの内周面に付着している潤滑油を押し戻して飛び散らせることがほとんどない。従って、片頭ピストンの尾部の先端周縁の傾斜面に沿って、片頭ピストンの連結部へ十分に取り込むことができる。そして、圧縮機において、最も潤滑を必要とするその連結部を効果的に潤滑することができる。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、傾斜面をハウジングの内周面に近接して配置することができる。従って、ハウジングの内周面に付着している潤滑油を、この傾斜面に沿って片頭ピストンの連結部に効率よく取り込むことができる。
【0058】
請求項3に記載の発明によれば、傾斜面によって導入された潤滑油が、尾部の幅狭部を通ってスムーズに片頭ピストンの連結部に導くことができる。
請求項4及び5に記載の発明によれば、片頭ピストンの往復動時には、その窪み部及び切欠部を介しても、クランク室内の潤滑油が、片頭ピストンの連結部に導入されるようになっている。従って、前記傾斜面の構成との相乗効果により、連結部の潤滑効果をより向上させることができる。
【0059】
請求項6に記載の発明によれば、傾斜面が片頭ピストンの尾部の先端周縁に対しほぼ全周に亘って形成されているため、潤滑油が尾部のほぼ全域から連結部側に導入される。従って、片頭ピストンの連結部側に対して、潤滑油を一層効率よく取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態の片頭ピストンを採用した可変容量圧縮機全体を示す断面図。
【図2】 その片頭ピストンを拡大して示す斜視図。
【図3】 片頭ピストンが下死点位置に移動された状態を示す斜視図。
【図4】 片頭ピストンに対する縦溝の形成位置を示す説明図。
【図5】 片頭ピストンの尾部を拡大して示す側面図。
【図6】 第2の実施形態の片頭ピストンの尾部を示す側面図。
【図7】 第3の実施形態の片頭ピストンの尾部を示す側面図。
【符号の説明】
11…ハウジングの一部を構成するフロントハウジング、12…ハウジングの一部を構成するシリンダブロック、12a…シリンダボア、13…ハウジングの一部を構成するリヤハウジング、15…クランク室、16…駆動シャフト、19…駆動源を構成する斜板、21…片頭ピストン、21a…尾部、21c…ヘッド部、21d…連結部の一部を構成する受け面、21e…回り止め部、22…連結部の一部を構成するシュー、28…傾斜面、29…窪み部、30…切欠部。
Claims (6)
- 圧縮機ハウジングのシリンダボア内に収容され、シリンダボア内の流体に圧縮作用を及ぼすヘッド部と、ヘッド部に連接され、駆動源と連結される連結部を備える尾部とから構成される圧縮機の片頭ピストンにおいて、
片頭ピストンが上死点位置から下死点位置に移動されるとき、ハウジング内の潤滑油を、前記連結部側に導くための傾斜面を尾部の端面に形成した圧縮機の片頭ピストン。 - 尾部は、ハウジングの内周面と当接して片頭ピストンの回転を抑制するための回り止め部を有し、傾斜面はその回り止め部に形成された請求項1に記載の圧縮機の片頭ピストン。
- 回り止め部は尾部の一部に設けられ、尾部の回り止め部以外の部分は、回り止め部より幅狭である請求項2に記載の圧縮機の片頭ピストン。
- 尾部の回り止め部以外の部分の外周側には、ハウジング内周面との間に空隙を形成すべく窪み部を設けた請求項2または3に記載の圧縮機の片頭ピストン。
- 回り止め部の頂部には、ハウジング内周面との間に空隙を形成すべく切欠部を設けた請求項2〜4のいずれかに記載の圧縮機の片頭ピストン。
- 前記傾斜面は尾部の端面周縁に対しほぼ全周に亘って形成した請求項1〜5のいずれかに記載の圧縮機の片頭ピストン。
Priority Applications (1)
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JP18475196 | 1996-07-15 | ||
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Family
ID=26502689
Family Applications (1)
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JP18969297A Expired - Lifetime JP3840747B2 (ja) | 1996-07-15 | 1997-07-15 | 圧縮機の片頭ピストン |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3840747B2 (ja) |
-
1997
- 1997-07-15 JP JP18969297A patent/JP3840747B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH1082362A (ja) | 1998-03-31 |
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