JP3839974B2 - 符号化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像データの符号化を行う符号化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、静止画像を電子データとして圧縮し外部に伝送したりメモリに格納したりする用途が増加している。これら画像の中でも医療用の静止画像等については画質を劣化させない様に可逆(ロスレス)圧縮符号化されることが好ましい。
【0003】
これに伴いこの様な可逆圧縮を効率良く行う為の種々の圧縮符号化方式が提案されている。例えば、符号化対象画素と、周辺画素から生成された予測値との差分を出力し、この差分をGolomb-Rice符号化する手順を行うロスレス圧縮符号化方式の提案がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら提案された圧縮符号化方式を実行する為の具体的な装置構成については未だ確立されていない。
【0005】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたものであり、効率良くロスレス圧縮符号化を行うことを主な目的とする。
【0006】
特に上記ロスレス圧縮符号化方式に適用するGolomb-Rice符号化を高速に行える構成を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明の符号化装置によれば、複数の画素を順次Golomb−Rice符号化する符号化装置であって、符号化対象画素(例えば本実施の形態ではxに相当)の周辺画素の状態(同じく図4の状態Sに相当)を複数の状態の中から決定する状態決定手段(状態判別回路110に相当)と、前記符号化対象画素の予測値(同じくP或いはP’に相当)を、該符号化対象画素の周辺画素(同じくa,b,cに相当)に基づき発生する予測値発生手段(同じく予測器401、エラーフィードバック回路402に相当)と、Golomb−Rice符号化に用いるパラメータk(k≧0)を前記複数の状態毎に格納する学習メモリ(同じくメモリ404に相当)と、前記符号化対象画素とその予測値との予測誤差を、前記学習メモリ内の、前記状態決定手段により決定した状態に相当するパラメータk、及び前記予測誤差により定まる符号長の可変長符号に符号化するGolomb−Rice符号化手段(同じくGolomb−Rice符号化回路104に相当)と、前記符号化対象画素をGolomb−Rice符号化した後に、前記パラメータkを、前記状態決定手段により決定した状態と同じ状態を有する別画素をGolomb−Rice符号化する為に予め更新し、前記学習メモリへ書き込むパラメータk更新手段(kパラメータ生成回路406に相当)とを有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
次に本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1に本発明の第1の実施の形態を実行するためのブロック図を示す。同図において100は画像データを入力するための入力部である。
【0010】
101及び114は画像データを後段に伝送する信号線、102は予測変換回路である。104及び107はGolomb-Rice符号化回路、105は予測変換回路である。106は符号化予測変換回路であり、108はランレングスカウンタである。109はMelcode符号化回路であり、110は状態判別回路、111はモードセレクタ、112及び113はスイッチである。115は2ライン分の画像データを保持するバッファである。
【0011】
本実施の形態では、3つの符号化モードを切り換えて符号化を実行する。具体的には、1つ目のモードとして予測変換回路102及びGolomb-Rice符号化回路104で符号化処理を行うノーマルモード、2つ目のモードとしてランレングスカウンタ108及びMelcode符号化回路109により符号化処理するランレングスモード、3つ目のモードとして予測変換回路105及び符号予測変換回路106及びGolomb-Rice符号化回路107により符号化処理を行うラン終端モードである。
【0012】
次に、1画素8ビット(0〜255の値)のモノクロ画像信号を符号化する場合を例に、本実施の形態での各部の動作を順に説明する。しかしながら、本発明はこれに限らず、RGBの各8ビットの色成分、又はLabの各8ビットの輝度、色度成分からなる多値カラー画像を符号化する場合にも適用でき、各成分を上記モノクロ画像信号と同様に符号化すれば良い。
【0013】
また各成分の符号化切り換え単位は、画面毎に行うこともでき、これによれば画像全体の様子を復号化側で早めに確認することが可能となる。また各成分の符号化切り換え単位は、画素毎、1ライン毎、複数ラインから成るバンド毎に行うこともでき、これによれば部分的ではあるが完全なカラー画像を早期に見ることが可能となる。
【0014】
なおバッファ115の内部の値は初期値を全て0に設定しておくこととする。
【0015】
まず、入力部100から符号化対象となる画素(以下符号化対象画素とする)がラスタースキャン順に入力され、信号線101を通じてスイッチ112、バッファ115へ入力される。
【0016】
バッファ115は信号線101から順次入力される画像データを2ライン分まで保持しておく。この2ラインは符号化対象画素の存在するラインとその1つ前に入力されるラインである。
【0017】
状態判別回路110は、符号化対象画素の周辺画素の状態を表す状態番号Sとその位相を表す位相フラグRを生成するものであり、以下の処理を行う。まず、符号化対象画素の周辺画素a,b,c,dに対応する画素データをバッファ115から読み出す。
【0018】
図2に符号化対象画素xに対する周辺画素a,b,c,dの位置関係を示す。図2において周辺画素a,b,c,dは、符号化対象画素xに対する既に符号化済の画素である。次に読み出した画像データa,b,c,dを用いてd−b,b−c,c−aを求め、各々図3に示す対応に従って−4,−3,−2,−1,0,1,2,3,4の9レベルの値に量子化し、量子化値q(d−b),q(b−c),q(c−a)を求める。
【0019】
次にq(d−b)×81+q(b−c)×9+q(c−a)の計算式により周辺画素の状態を表す状態番号Sを生成する。次に状態番号Sの符号の正負を調べ、正である場合には位相フラグを0に設定し、負である場合には位相フラグを1に設定すると共に状態番号Sの正負を反転(正の値に反転)する。以上の処理により、0〜365までの値をとる状態番号Sと、0または1の値をとる位相フラグRが生成され出力される。
【0020】
モードセレクタ111は、状態判別回路110の生成された状態番号Sとランレングスカウンタ108の生成するラン長RL、符号化制御信号Qに基づいて、符号化モードを選択し、スイッチ112及びスイッチ113の切り換え制御を行う。ランレングスカウンタ108からのラン長RLの初期値は0とする。
【0021】
図8に符号化対象画素の1画素に対するモードセレクタ111による全体的な符号化モード制御の流れを示す。なお、以下の各ステップの詳細な動作は後述する。
【0022】
まずSTEP801においてモードセレクタ111は、最初に符号化対象画素に対応する状態番号Sとラン長RLを入力し、S≠0かつRL=0と判別した場合にはSTEP802へ、それ以外の場合にはSTEP803へ処理を進める。
【0023】
STEP802ではスイッチ112を端子Cに、スイッチ113を端子C’に接続し、ノーマルモードの符号化を行う。一方、STEP803ではスイッチ112を端子Aに、スイッチ113を端子A’に接続し、ランレングスモードの符号化即ちラン長の符号化を行う。ランレングスモードの詳細な符号化処理については後述するが、ランレングスモードで実際に符号化出力されるのは画素毎ではなく、ラン長が確定した場合、即ち同一画素値の連続が途切れた場合のみである。この場合、符号化制御信号cの値は「0」から「1」となる。
【0024】
STEP803の後、STEP804では符号化制御信号cの値を調べ、c=1の場合にはSTEP805と処理を進める。STEP805ではスイッチ112を端子Bに、スイッチ114を端子B’に接続し、ラン終端モードでの符号化処理を行う。以上の制御を1画素毎に繰り返して行い、3つの符号化モードを選択して符号化処理する。
【0025】
上記3つの符号化モードを切り換える理由、即ち3つの符号化モードの役割について簡単に述べる。
【0026】
ノーマルモードは、予測変換した場合の予測誤差がラプラス分布になるであろうと予測される画素の符号化に適用されるものである。ただし、同一輝度レベルの連続が期待される様な場合(周辺画素が同一輝度レベルである様な場合)にはランレングスモードに切り換えることにより、更に符号化効率を上げるものである。
【0027】
ランレングスモードは、同一輝度レベルの連続が期待される様な場合に用いられるモードであり、予測誤差を符号化するのではなく画素値のラン長を符号化(ランレングス符号化)する。これにより、上記ノーマルモード(予測誤差のHuffman符号化、Golomb-Rice符号化等を用いた場合)では1サンプル当たり1ビット以下では符号化できないが、ランレングスモードでは1サンプル当たり1ビット以下での符号化も可能となり、符号化効率が良好になる。
【0028】
ラン終端モードは、同一輝度レベルのランが終端した際の符号化対象画素を符号化するものである。また、この符号化対象画素の値は、ランレングス符号化におけるラン長の終端であるから、直前の画素値とは異なることが分かっている。従って、ノーマルモードの様に直前の画素値を予測値とした場合には、予測誤差0が発生せず符号化効率が良好にならない様な特殊な状態になっている。
【0029】
この様な状態であることを考慮し、ランレングスモードが終わった画素、即ち直前の画素との画素値が変化した符号化対象画素に対してはノーマルモードではなくラン終端モードにより符号化を行う様にする。また上記状態における符号化対象画素を予測符号化した場合には、予測誤差の分布は離散的な値になることが多く、ラプラス分布からはほど遠いものとなることが推測される。この様な条件下ではノーマルモードで用いる後述の予測値修正はあまり有効でないので、これを用いずに符号化する。なお、次の符号化対象画素からは直前の画素値を予測値として符号化しても符号化効率が良好になる可能性が高い。
【0030】
以下上述した3つの各符号化モードについて個別に説明する。
【0031】
まず、予測変換回路102とGolomb-Rice符号化回路104により符号化処理を行うノーマルモードの符号化処理について説明する。
【0032】
図1の予測変換回路102では、符号化対象画素の周囲画素a,b,cから符号化対象画素の画素値を予測し、この予測により発生した予測値と符号化対象画素の実際の画素値との差分(予測誤差)Diff及び後述するkパラメータを生成する。
【0033】
図4に予測変換回路102の内部構成図を示す。
【0034】
図4において401は予測器、402はエラーフィードバック回路、403は予測誤差生成回路、404はメモリ、405はパラメータ更新回路、406はkパラメータ生成回路である。
【0035】
また、図1には図示されていないが予測変換回路102には図1のバッファ115から周辺画素a,b,cの画素値のデータ、状態判別回路110から状態Sと位相フラグRが入力される。また、スイッチ112の端子Cから符号化対象画素の画素値xが入力される。
【0036】
メモリ404には個々の状態番号Sに対する4つのパラメータN,A,Bγ,Cαが格納される。これらの値は符号化の開始時にN=1、A=4、Bγ=Cα=0に初期化される。
【0037】
また本発明においては、メモリ404には符号化対象画素がGolomb-Rice符号化される際に使用されるkパラメータをも随時更新しながら格納しておく。具体的には、符号化対象画素が符号化された直後に、パラメータA及びNの更新直後のパラメータA’及びN’を用いてkパラメータを作成してしまい、上記メモリ404に予め格納しておく。言い換えると、このkパラメータの作成及びメモリへの格納は、上記符号化対象画素以降の画素がこのkパラメータを用いてGolomb-Rice符号化を開始するタイミングとは関わりなく、前もって行われる。従って、上記符号化対象画素の次以降の画素をGolomb-Rice符号化する際には、この符号化開始のタイミングに合わせてkパラメータの作成を開始する必要が無くなるので、高速にGolomb-Rice符号化を行うことが可能となる。なおパラメータkは符号化開始時に2に初期化される。
【0038】
上記パラメータNは状態Sの生起回数であり、Aは状態Sにおける予測誤差の絶対値の累計であり、Bγは状態Sにおける予測誤差の累計であり、Cαは予測値を修正する為の修正値である。
【0039】
以下、図4を用いて予測変換回路102の動作を説明する。まず、予測器401はバッファ115から符号化対象画素の周辺画素a,b,c(位置関係は図2参照)の画素値を入力し、この画素値a,b,cに基づいて予測値Pを生成する。なお予測値Pは以下の式により求める。
【0040】
【0041】
エラーフィードバック回路402はメモリ404に入力される状態Sにおける後述する予測修正値Cαを用いて予測値Pを修正し、修正予測誤差P’を生成する。即ち、状態判別回路110から入力される位相フラグRが0ならばP’=P+Cαとし、フラグRが1ならばP’=P−Cαとする。更に、P’が0未満の時にはP’=0と制限し、P’=255以上の時にはP’=255と制限する。
【0042】
予測誤差生成回路403は符号化対象画素の画素値xと修正予測値P’の差分をとり予測誤差Diffを生成する。位相フラグRが0の場合にはDiff=x−P’とし、位相フラグが1の場合にはDiff=P’−xとする。
【0043】
予測誤差生成回路403はDiffが−128未満の場合にはDiffに255を加算し、Diffが128以上の場合にはDiffから255を減算することにより、Diffの値を−128〜127の範囲で表現することができる。
【0044】
パラメータ更新回路405は、符号化対象画素がGolomb-Rice符号化されるタイミングに合わせて、メモリ404から状態Sにおける4つのパラメータN,A,Bγ,Cαを読み出し、これらをN’,A’,Bγ’,Cα’に更新する。具体的にはA’=A+|Diff|、Bγ’=Bγ+DiffによりA’とBγ’を求める。ここでNの値が閾値Th1に等しい場合にはN,A,Bγを1/2倍にする。閾値Th1はN,A,Bγを一定範囲内に限定するためのものであり、予め設定しておく(例えばTh1=64)。次に、N’=N+1によりNを更新する。
【0045】
図12に予測修正値Cαの更新手順を示す。Cα’にCαの値を代入した後、まずSTEP1201においてパラメータBγ’が−N以下であるか否かを判定する。この値が−N以下であった場合にはSTEP1203へ進み、そうでない場合にはSTEP1202へ処理を進める。
【0046】
STEP1203ではCα’の値を−128と比較し、−128より大きい場合にはCα’から1を減算する(STEP1204)。
【0047】
次にBγ’にNを加算する(STEP1205)。次にBγ’が−N以下である場合にはBγ’=−N+1とする(STEP1206、1207)。
【0048】
STEP1202ではBγ’を0と比較し、Bγ’が0以上の場合にはSTEP1208へと処理を進め、そうでない場合にはこの更新処理を終了する。
【0049】
STEP1208ではCα’の値を127と比較し、127未満である場合にはCα’に1を加算する(STEP1209)。次に、Bγ’からNを減算する(STEP1210)。Bγ’が0以上である場合にはBγ’=0とする(STEP1211、1212)。
【0050】
最後に更新されたN’,A’,Bγ’,Cα’をメモリ404に出力し、このメモリに格納されている状態Sにおける4つのN,A,Bγ,Cαを置き換える。同時にN’とA’はkパラメータ生成回路406へも出力される。
【0051】
kパラメータ生成回路406では、符号化対象画素のGolomb-Rice符号化が実行されると同時にパラメータ更新回路405で更新された、状態Sの生起回数N’、及び状態Sでの予測誤差の絶対値の累積加算値A’とを入力すると同時に、min(k|N×2^k>=A)によりGolomb-Rice符号化時に用いるkパラメータの値を求める。ここでmin(a|b)は、条件bを満たす最小のaを意味する。
【0052】
この時点で生成されたkパラメータは次以降の符号化対象画素のGolomb-Rice符号化が始まるまでメモリ404に保持される。そして次以降のGolomb-Rice符号化が始まると同時にkパラメータが速やかに出力される。この方法によれば、Golomb-Rice符号化が開始される度に、その際メモリ404から読み出されるNとAからkパラメータを生成してGolomb-Rice符号化回路104へ供給する場合と比較して、kパラメータを生成する処理時間だけGolomb-Rice符号化の速度を高めることができ、結果的に全体の符号化速度を高めることが可能となる。
【0053】
以上の処理により、予測変換回路102は予測誤差Diffとkパラメータとを生成し、後段のGolomb-Rice符号化回路104にこれらを出力する。
【0054】
Golomb-Rice符号化回路104では、まず予測変換回路102の出力する予測誤差Diffを次式により非負の整数値Vに変換する。
【0055】
【0056】
次にこのVをkパラメータに基づいてGolomb-Rice符号化する。非負の整数値Vをkパラメータに基づいてGolomb-Rice符号化する符号化手順は次の通りである。
【0057】
まず、非負の整数値Vを2進数表現する。次にこれを下位kビット部分と上位の残りのビット部分に分割する。次に下位kビット部分に、上位の残りのビット部分を10進数で表現される数だけの「0」のビットを付加し、最後に「1」のビットを付加して符号語とする。
【0058】
具体例をあげて説明する。k=2、V=13の場合には、Vの2進数表現「1101」を生成し、この下位2ビット「01」を最初の1〜2ビット目のGolomb-Rice符号化データとし、残りの上位2ビットの「11」を10進数で表す数「3」の0(「000」)を3〜5ビット目のGolomb-Rice符号化データとし、最後に「1」のビットをGolomb-Rice符号化データとして付加する。よってこの場合の最終的なGolomb-Rice符号化データは「010001」となる。
【0059】
なお、図9に上述の符号化処理を施す場合のkパラメータ=0,1,2における非負の整数値と符号語の対応を示す。
【0060】
Golomb-Rice符号化回路104で生成された符号は、スイッチ113’の端子C’へと出力される。
【0061】
次に予測変換回路105、符号予測変換回路106、Golomb-Rice符号化回路107により符号化処理を行うラン終端モードについて説明する。
【0062】
予測変換回路105は周辺画素値a,bから符号化対象画素値を予測し、予測誤差を生成する。図5に予測変換回路105の構成図を示す。
【0063】
同図において501は比較器、502は予測器、503は予測誤差生成回路、504はメモリ、505はkパラメータ生成回路、506はパラメータ更新回路である。また、図1には示されていないが、予測変換回路105にはバッファ115から周辺画素a,bの画素値のデータが入力される。また、スイッチ112の端子Bからは符号化対象画素値xが入力される。
【0064】
メモリ504には状態番号Sで特定される各状態に対応する3つのパラメータN,A,Bαが格納される。N,A,Bαは画像符号化の開始時にN=1,A=4,Bα=0に初期化される。なお、Nは状態Sの生起回数であり、Aは状態Sにおける予測誤差の絶対値の累計であり、Bαは状態Sにおける負の予測誤差が出現した回数である。
【0065】
図5を用いて予測変換回路105の動作を詳細に説明する。まず、比較器501はバッファ115から渡される符号化対象画素の周辺画素a,bを比較し、b>aの場合には1を出力し、そうでない場合には0を出力する。以降、この比較器501から出力する値を位相フラグr(1又は0)と呼ぶことにする。
【0066】
予測器502は周辺画素a,bから予測値Pと状態番号Sを生成する。状態番号Sの値はa=bの場合には1、a≠bの場合には0となる。また予測値Pは常にbとする。
【0067】
予測誤差生成回路503は符号化対象画素値xと予測値Pより予測誤差Diffを生成する。位相フラグrが0の場合にはDiff=x−Pとし、位相フラグrが1の場合にはDiff=P−xとする。
【0068】
kパラメータ生成回路505は、状態S、状態Sの生起回数N、及び状態Sでの予測誤差の絶対値の累積加算値Aを読み出し、次式によりTを求める。
【0069】
T=|A :S=0の時
|A+N/2: S=1の時
【0070】
min(k|N×2^k>=T)によりGolomb-Rice符号化時のkパラメータの値を求め、出力する。
【0071】
パラメータ更新回路506は、符号化対象画素がGolomb-Rice符号化されるタイミングに合わせて、メモリ504から状態Sにおける3つのパラメータN,A,Bαを読み出し、N’,A’,Bα’に更新する。まず、A’=A+|Diff|によりA’を求める。次にDiffの正負を調べ、正である場合にはBα’=Bαとし、負である場合にはBα’=Bα+1とする。即ち、Bαは予測誤差Diffが負であった回数を示すものとなる。また、N’=N+1によりN’を求める。
【0072】
最後に更新されたN’,A’,Bα’はメモリ504に出力され、次の符号化対象画素のGolomb-Rice符号化が開始される前までに、状態Sにおける3つのパラメータN,A,Bαとして置き換えられる。
【0073】
以上の処理により、予測変換回路105は予測誤差Diffとkパラメータ、状態番号S、状態番号Sの状態における2つのパラメータBαとNを出力する。
【0074】
符号化予測変換回路106は、kパラメータが0の場合に、BαとNの値から予測誤差Diffの符号(+/−)を予測し、予測結果に基づいてDiffの符号を変更する。
【0075】
図6に符号予測変換回路106の構成を示す。同図において601は反転判定回路602は符号反転回路、603はセレクタである。
【0076】
図6を用いて符号予測変換回路106の動作を詳細に説明する。まず、反転判定回路601は、k=0の場合でありかつBα>N/2の場合に符号反転を指示する信号「1」を、それ以外の場合には符号反転しないことを指示する信号「0」を出力する。
【0077】
符号反転回路602は、この指示信号(1又は0)に基づいて符号化対象画素に対応するDiffの符号(+/−)を反転し、−Diffを信号線604に出力する。
【0078】
セレクタ603は反転判定回路601の出力値が「0」の場合は信号線605を通じて入力されるDiffを選択して出力し、「1」の場合には符号反転回路602の出力値である−Diffを出力する。
【0079】
以上の処理により、符号予測反転回路106は入力値Diffに対し、Diff又は−Diffを選択して出力する。
【0080】
ここで符号反転の役割を簡単に説明する。kパラメータが0の場合及びkパラメータが2の場合のGolomb-Rice符号化の符号化割り当ては、図13の様になる。図13においてkパラメータが0の場合とは符号化対象画素を含めた周辺画素の値の変動が少ない場合を意味する。よってGolomb-Rice符号化を行った時の整数値Vと符号化出力及び符号長は図の様な関係になっている。
【0081】
一方、kパラメータが2の場合には、0の場合と比較して多少符号化対象画素を含めた周辺画素の値の変動が大きくなっていることを表しているので、これに適した符号化が行える様、Golomb-Rice符号化を行った時の後述する整数値V又は予測誤差Diffと、符号化出力又は符号長は図の様な関係になっている。
【0082】
ここでkパラメータが0の場合には、予測誤差Diffが同じ絶対値を有するにも拘わらず符号長が異なるという特徴がある。これに対して、kパラメータが0以外の値(例えば2)の場合には、予測誤差Diffが同じ絶対値を有するものは同じ符号長になることが多い。
【0083】
この符号化特性を考慮して、kパラメータが0の場合かつBα>N/2の場合(状態Sにおける予測誤差が負であった回数が過半数を越える場合)に符号反転を行い、それ以外の場合には符号反転をしない様にすれば、同じ絶対値を有する予測誤差Diff(例えば−1と1)で発生頻度が多い方を符号長の短い符号化出力とすることが可能である。
【0084】
即ち、−1の方が発生頻度が多ければ符号予測反転回路106の符号反転はしないで良しとし、−1の方が発生頻度が少ない(1の方が発生頻度が大きい)時には、−1を1として解釈して符号化することで符号化効率を上げることができる。
【0085】
一方、kパラメータが0以外の場合にも上記符号反転処理を行うことは可能であるが、本実施の形態ではそれほど効果が無いことから、符号反転処理を行わないものとする。
【0086】
以上の符号反転処理は画像を符号化している途中で適宜切り換わるものではあるが、もちろん、復号化側でも復号化された周辺画素に基づいて上記反転判定回路601や符号反転回路602と同等の処理部を有するので、どの符号化対象画素の時点から予測誤差Diffの正負の解釈の仕方が切り換わったかを知ることができる。
【0087】
上記符号反転の処理が行われた後、Golomb-Rice符号化回路107は、符号予測変換回路106の出力する予測誤差Diff’をkパラメータを用いてGolomb-Rice符号化し、符号化データをスイッチ113の端子B’へと出力する。まずDiffを以下の式により非負の整数値Vへと変換する。
【0088】
V=|−2×(Diff−S)−1 : Diff<0の時
| 2×(Diff−S) : Diff≠0の時
【0089】
次に、非負の整数値VをkパラメータでGolomb-Rice符号化する。Golomb-Rice符号化の手順はGolomb-Rice符号化回路104の説明で述べたのと同じである。
【0090】
最後に、ランレングスカウンタ108とMelcode符号化回路109により符号化処理を行うランレングスモードについて説明する。
【0091】
ランレングスカウンタ108には、スイッチ112の端子Aから符号化対象画素値x、バッファ115から直前の画素値aが入力され、信号線116に符号化制御信号c、信号線117に同一輝度連続数RLを出力する。
【0092】
図7はランレングスカウンタ108の構成を示したものである。
【0093】
同図において、701は比較器、702はカウンタである。比較器701は符号化対象画素値xと直前の画素aとを比較し、値が等しい時には「1」を、等しくない時には「0」を符号化制御信号cとして出力する。カウンタ702は内部に同一輝度値の連続数RLを保持しており、比較器701の出力する符号化制御信号cが「1」である場合にはRLをインクリメントして出力し、符号化制御信号cが「0」である場合にはRLの値を出力した後、0にリセットする。
【0094】
Melcode符号化回路109は信号線116から入力される符号化制御信号が「0」である場合にのみ信号線117から入力される同一輝度連続数RLを符号化する。このMelcode符号化の手順を図10に示す。
【0095】
図10のSTEP1001においてまず、Melcode符号化回路109の内部に保持されているindex(符号化開始時の初期値は0)に基づいてラン長閾値RLTが決定する。
【0096】
図11にindexとRLTの対応関係を示す。次にSTEP1002ではRLTとラン長RLとを比較し、RL≧RLTならばSTEP1003に処理を進め、そうでない場合にはSTEP1008へと処理を進める。
【0097】
STEP1003では「0」を符号として出力する。続いてSTEP1004でRL=RL−RLTによりRLの値を更新する。STEP1005ではindexの値をインクリメントし、STEP1006ではindexが31を越えた場合にはSTEP1007でindexに31を設定してからSTEP1001に処理を戻し、indexが31を越えない場合にはそのままSTEP1001に処理を戻す。
【0098】
一方、STEP1008へと処理が進んだ場合には、STEP1008でまず、「1」を符号として出力する。次にSTEP1009において、RLを2進数表現し、その下位RLTビットを符号として出力する。STEP1010ではindexの値をデクリメントし、STEP1011でindexが0以下になったかどうか判断する。indexが0以下になった場合にはSTEP1012においてindexに0を設定して終了し、indexが0以下になっていない場合にはそのまま終了する。
【0099】
以上によりラン長RLに対する符号が生成され、出力される。
【0100】
上述の処理を、入力部100より入力される最後の画素までに対して繰り返し、符号化処理を行う。これにより信号線114に入力される画像データに対する符号系列を出力できる。
【0101】
なお、上記Melcode符号化の方法についての説明は、「電子通信学会論文誌,77/12 Vol.J60-A No.12」に開示されているので詳細は省略する。
【0102】
以上に説明した3つの各符号化モードが、図8に示した符号化モードの切り換えに従って用いられる。
【0103】
上述した符号化方法によれば、カラー又はモノクロの多値画像の情報量を失うことなく可逆(ロスレス)圧縮符号化することができる。
【0104】
なお本実施の形態で示したロスレス符号化において、図6に示した符号反転処理を行うことにより、予測誤差Diffが同じ絶対値を有するにも拘わらず符号長が異なる様なGolomb-Rice符号化等のエントロピー符号化に対して、この符号化特性を考慮して、符号化対象画素の前画素までに予測誤差Diffの正の符号と負の符号の何れが多く発生しているかに基づいてエントロピー符号化前に予測誤差Diffを符号反転するか否か(予測誤差Diffの正負の符号の解釈を変えるか否か)を制御する様にすれば、同じ絶対値の予測誤差Diffにおいて発生頻度が多い方を短い符号長とすることができ、効率の良いエントロピー符号化が可能となる。
【0105】
また以上の実施の形態の符号反転処理は、符号化対象画像の前画素までに予測誤差Diffの正の符号と負の符号の何れが多い回数発生しているかという、単なる発生回数に基づいて反転処理を行うことを大きな特徴とし、これによれば、符号化対象画素の前画素mでの予測誤差Diffの累積値が正の符号と負の符号の何れであるかに基づいて反転処理を行う様な方法と比較して、本実施の形態の方が処理が容易である。
【0106】
更には画像のノイズ等により予測誤差Diffに正又は負の大きな値が発生してしまった時に、上記累積値は正負の一方に偏ってしまい最適な符号反転処理ができないが、本実施の形態によればこの様なノイズによる影響を受けないで済む。
【0107】
(変形例)
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、符号化対象画素値の予測方法として単純に前置予測を用いる場合にも適用でき、幾つかの予測方法を用意して、適宜切り換えても構わない。またエントロピー符号化手段としてGolomb-Rice符号とMelcodeを用いているが、これらの一部を他のエントロピー符号化にすることもできる。
【0108】
なお上述の実施の形態では、ラン終端モードで符号反転処理を行ったが、本発明はこれに限らず、ノーマルモードの場合には代表される予測値をエントロピー符号化する様な符号化モード又は単独の符号化処理に適用することも可能であり、これらの変形例も本発明の範疇に含まれる。
【0109】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムの1部として適用しても、1つの機器(たとえば複写機、ファクシミリ装置)からなる装置の1部に適用してもよい。
【0110】
また、本発明は上記実施の形態を実現するための装置及び方法のみに限定されるものではなく、上記システム又は装置内のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に、上記実施の形態を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、このプログラムコードに従って上記システムあるいは装置のコンピュータが上記各種デバイスを動作させることにより上記実施の形態を実現する場合も本発明の範疇に含まれる。
【0111】
またこの場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、具体的には上記プログラムコードを格納した記憶媒体は本発明の範疇に含まれる。
【0112】
この様なプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0113】
また、上記コンピュータが、供給されたプログラムコードのみに従って各種デバイスを制御することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合だけではなく、上記プログラムコードがコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上記実施の形態が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の範疇に含まれる。
【0114】
更に、この供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施の形態が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
【0115】
本発明においてはGolomb-Rice符号化に用いるkパラメータを符号化対象画素の符号化を開始する際に生成するのでは無く、符号化対象画素の直前の画素が符号化された直後に、上記符号化対象画素の符号化開始のタイミングとは関わりなく予め作成してメモリに保持しておくようにしたので、上記符号化を高速に行えるという効果がある。
【0116】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明によれば、効率良くロスレス圧縮符号化を行うことができ、特にkパラメータを符号化対象画素の符号化の開始タイミングに関係無く予め作成し、学習メモリに保持しておく様にしたので、このkパラメータを使用するGolomb-Rice符号化を高速に行え、結果的に全体の符号化処理を高速に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に用いるブロック図
【図2】符号化対象画素と周辺画素の位置関係を示す図
【図3】周辺画素の差分値の量子化方法を示す図
【図4】予測変換回路102の構成を示す図
【図5】予測変換回路105の構成を示す図
【図6】符号予測反転回路106の構成を示す図
【図7】ランレングスカウンタ108の構成を示す図
【図8】モードセレクタ111による符号化モードの制御を示す図
【図9】kパラメータ0,1,2におけるGolomb-Rice符号の例を示す図
【図10】 Melcode符号化の手順を示す図
【図11】ランレングス符号化におけるindex値に対するRLTの値を示す図
【図12】予測修正値Cの更新手順を示す図
【図13】kパラメータが0,2の場合のGolomb-Rice符号の割り当てを示す図
【符号の説明】
100 入力部
101,114,116,117 信号線
102,105 予測変換回路
104,107 Golomb−Rice符号化回路
106 符号予測変換回路
108 ランレングスカウンタ
109 Melcode符号化回路
110 状態判別回路
111 モードセレクタ
112,113 スイッチ
115 バッファ
Claims (5)
- 複数の画素を順次Golomb−Rice符号化する符号化装置であって、
符号化対象画素の周辺画素の状態を複数の状態の中から決定する状態決定手段と、
前記符号化対象画素の予測値を、該符号化対象画素の周辺画素に基づき発生する予測値発生手段と、
Golomb−Rice符号化に用いるパラメータk(k≧0)を前記複数の状態毎に格納する学習メモリと、
前記符号化対象画素とその予測値との予測誤差を、前記学習メモリ内の、前記状態決定手段により決定した状態に相当するパラメータk、及び前記予測誤差により定まる符号長の可変長符号に符号化するGolomb−Rice符号化手段と、
前記符号化対象画素をGolomb−Rice符号化した後に、前記パラメータkを、前記状態決定手段により決定した状態と同じ状態を有する別画素をGolomb−Rice符号化する為に予め更新し、前記学習メモリへ書き込むパラメータk更新手段とを有することを特徴とする符号化装置。 - 更に、前記予測値発生手段による予測値を、前記符号化対象画素よりも前の画素を符号化した際に発生した予測誤差の累積値に基づいて修正する予測値修正手段を有することを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
- 前記Golomb−Rice符号化手段は、更に、前記別画素とその予測値との予測誤差を、前記パラメータk更新手段により更新されたパラメータkに基づいてGolomb−Rice符号化することを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
- 複数の画素を順次Golomb−Rice符号化する符号化装置であって、
符号化対象画素の周辺画素の状態を複数の状態の中から決定する状態決定手段と、
前記符号化対象画素の予測値を発生する予測値発生手段と、
Golomb−Rice符号化に用いるパラメータk(k≧0)を前記複数の状態毎に格納する学習メモリと、
前記符号化対象画素とその予測値との予測誤差を、前記学習メモリ内の、前記状態決定手段により決定した状態に相当するパラメータk、及び前記予測誤差により定まる符号長の可変長符号に符号化するGolomb−Rice符号化手段と、
前記符号化対象画素をGolomb−Rice符号化した後に、前記パラメータkを、前記状態決定手段により決定した状態と同じ状態を有する別画素をGolomb−Rice符号化する為に予め更新し、前記学習メモリへ書き込むパラメータk更新手段とを有することを特徴とする符号化装置。 - 前記Golomb−Rice符号化手段は、更に、前記別画素とその予測値との予測誤差を、前記パラメータk更新手段により更新されたパラメータkに基づいてGolomb−Rice符号化することを特徴とする請求項4に記載の符号化装置。
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