JP3839744B2 - サーモスタット - Google Patents

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  • Devices That Are Associated With Refrigeration Equipment (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫等の庫内の温度を制御するサーモスタットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫等の庫内温度を制御するものとして、実開昭56−2546号公報に開示されているようなサーモスタットが広く採用されている。
【0003】
以下図面を参照しながら、従来のサーモスタットについて説明する。図6は従来のサーモスタットの正面図、図7は同サーモスタットの側面図である。
【0004】
図6、図7において、1は金属板をプレス加工することで一体成形された本体ケースであり、上面部2、ふたつの長側面部3、ひとつの短側面部4から成る。
【0005】
5は本体ケース1の短側面部4と対向する側面を形成するように配置されたスイッチ部であり、6は本体ケース6の上面部と対向する底面を形成するように配置された底板である。
【0006】
本体ケース1の上面部2には、温度調節用の調節軸7、調節軸7の根元に形成されたカム7a、カム7aによって変位する調節板8が設けられている。
【0007】
スイッチ部5は本体ケース1内部側にスイッチ機構(図示せず)を有しており、外側に向かって接続用端子5a、5bが突出している。底板6には雰囲気温度に応じて膨張・収縮するガスが封入されたベローズ9が設けられており、ベローズ9は本体ケース1内部側へも進入しており、ベローズ9の変位がスイッチ部5のスイッチ機構を動作させる。
【0008】
ベローズ9からはチューブ10が所定長さだけ延びており、ベローズ9とチューブ10の内部はつながっており、ガスが封入されている。
【0009】
チューブ10内のガスは雰囲気温度に応じて膨張・収縮するので、膨張時はベローズ9を伸長させてスイッチ部5のスイッチ機構を操作して回路を閉じる。また、収縮時はベローズ9を短縮させてスイッチ部5のスイッチ機構の操作を解除し回路を開く。
【0010】
そして、本体ケース1の上面部2に設けられた調節軸7を所定角度回転させるとカム7aも所定角度回転し、調節板8がカム7aに沿って回動し変位する。この調節板8の変位がスイッチ部5のスイッチ機構を操作するのに必要な操作力を増減させ、ベローズ9の伸長時の動作力と均衡させることで回路を開閉する温度を設定することができる。なお、本体ケース1の長側面部3には、調節板8が回動するときの支点8aを支持する支持穴3aが設けられており、支点8aは外側へ露出している。
【0011】
11は、調節軸7の回転位置によって設定された温度を微調整する調整ネジであり、調整ネジ11は本体ケース1の短側面部4に設けられた貫通孔4aから、ドライバー等を使って回転させることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のサーモスタットは、本体ケース1の長側面部3に設けられた支持穴3aから調節板8に関係する支点8aが露出した構成であるため、本体ケース1を手で持ったときに指が支点8aと接触し易く、設定温度を変動させる可能性がある。
【0013】
本発明は従来の課題を解決するもので、調整板等、可動部の支点に手の指が接触したり、物が接触したりしない構成のサーモスタットを提供することを目的とする。
【0014】
また、上記従来のサーモスタットは、設定温度を微調整する際に、調整ネジ11を上側にするとスイッチ部5が下側となり接続用端子5a、5bが突出しており姿勢が不安定になる。このことから、姿勢を安定させるため長側面部3または短側面部4を下側にしなければならないが、この場合調整ネジ11を横から見ることになり、調整作業が困難である。
【0015】
本発明の他の目的は、設定温度調整時のサーモスタットの姿勢を安定させると共に、調整作業を容易にさせることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、外殻内に収納されたスイッチ機構と、周囲温度に反応して膨張収縮するガスの体積変化を前記スイッチ機構を操作する力に変換する感温部と、前記感温部の力を受けて所定の支点を中心に回動し前記スイッチ機構の接点を開閉させるレバーと、前記レバーに係合し所定の支点を中心に回動して前記レバーを回動させるのに必要な力を増減する調整板と、前記調整板を回動させるカムを有するカム軸とで構成されたサーモスタットにおいて、前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持する壁の外側に、前記レバーの支点と前記調整板の支点を覆って前記外殻の一部を形成する壁を設け、前記外殻は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板と、前記感温部を保持する金属板と、前記カム軸を保持する金属板で形成され、前記熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板によって前記レバーの支点と前記調整板の支点を覆い、前記外殻は略六面体に形成され、六面の壁の内、少なくとも4面の壁は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板から成り、残り2つの壁の一方は前記感温部を保持する金属板で形成し、他方の壁は前記カム軸を保持する金属板で形成し、前記カム軸を保持する金属板は前記壁板の内面に沿って延びる2つの支持壁を有し、前記支持壁に前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持させたものであり、サーモスタットを手で持ったときに指が前記レバーの支点或は前記調整板の支点と接触することがないので設定温度を変動させることがない。
また、サーモスタットを手で持ったときに熱可塑性樹脂で保護されているため指が前記レバーの支点或は前記調整板の支点と接触することがないので設定温度を変動させることがない。また、サーモスタットとしての外観がスッキリし、部品としての取り扱い性がよく意匠性も高められる。
また、前記レバーの支点と前記調整板の支点が前記熱可塑性樹脂の壁板に保護されて外部へは露出しないので、ケースを手で持ったときに指が各支点と接触することがなく設定温度を変動させることがない。
【0019】
次に請求項に記載の発明は、前記請求項に記載の発明において、前記支持壁の一領域に他の領域よりも隆起した凸面を設け、前記凸面以外の領域に前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持させた状態で前記凸面を前記壁板の内面と接するようにしたものであり、凸面との接触により外殻を内側から補強し、かつ支持壁自体も平面構造より補強がなされて外力の作用による耐力が向上する。
【0020】
次に請求項に記載の発明は、前記請求項に記載の発明において、前記レバーの支点と前記調整板の支点が前記支持壁より突出する高さを前記凸面の高さよりも低くしたものであり、前記レバーの支点と前記調整板の支点と、前記壁板の内面とが接触して干渉することがなく、設定温度を変動させることがない。また、削れ粉等の発生による接点表面への悪影響がなく、スイッチ機構の信頼性が向上する。
【0021】
次に、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記スイッチ機構に接続された端子を前記ケースの内部から前記感温部とは対向しない壁板に貫通させて外側へ突出させ、前記スイッチ機構の操作に必要な力を微調整する調整ネジを前記ケース内に設けるとともに、前記調整ネジを前記感温部が配置された壁側から操作できる位置に配置したものであり、前記感温部と対向する壁板に水平面を確保できるので前記感温部を上にして配置しても姿勢が安定し、且つ感温部側から調整ネジの操作ができるので作業が容易となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明によるサーモスタットの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明による実施の形態1によるサーモスタットの斜視図であり、図2は同実施の形態のサーモスタットの分解斜視図で、図3は同実施の形態のサーモスタットの左側面図、図4は図3における同実施の形態のサーモスタットのA−A’断面図である。
【0024】
図1、図2、図3、図4において、21は外殻を形成する本体ケースであり、22は本体ケース21の6つの壁のうち、4つの壁を成す壁板であり、熱可塑性樹脂で一体に成形されている。壁板22は後述の支持板24を覆う保護面22aと、後述の金属板27に設けられた位置決め穴27bに挿入される位置決め突起22bと、後述の導電板37、端子板38を保持する保持穴22cと、支持壁24に設けられた連結爪24dが挿入される連結穴22dと、金属板23に設けられた連結爪23eが挿入される連結穴22eを有する。
【0025】
23は本体ケース21の1つの壁を成す金属板であり、外部取付け用の取付け面23aと、壁板22の開口部を覆い後述のカム軸25を保持する保持面23bから成る。金属板23の取付け面23aには取付け用のネジが挿入される取付け穴23cが設けられ、保持面23bには後述のカム26が摺動する突起23dと、壁板22の連結穴22eに挿入されて壁板22と金属板23を連結する連結爪23eが設けられている。なお、連結爪23eは相手側の連結穴22eに挿入された後、一部を変形させることで連結を成す。
【0026】
24は金属板23の保持面23bから壁板22の保護面22aに沿って延びる支持壁である。支持壁24は、後述のレバー31の支点31aを支持する支点受24aと、後述の調整板39の支点39bを支持する支点受24bと、後述の金属板27に設けられた連結穴27cに挿入され支持壁24と金属板27を連結する連結爪24cと、壁板22に設けれた連結穴22dに挿入されて壁板22と支持壁24を連結する連結爪24dと、他の領域よりも0.3mm〜0.5mm程度外側へ隆起した凸面24eが設けられている。
【0027】
後述のレバー31の支点31aを支持する支点受24aと、後述の調整板39の支点39bを支持する支点受24bは、支持壁24の凸面24e以外の領域にあり、支点31aと支点39bは凸面24eより外側へ突出することはない。また、連結爪24c、24dは対応する相手側の連結穴に挿入された後、一部を変形させることで相手側との連結を成す。
【0028】
25は金属板23のほぼ中央から外側へ突出するカム軸であり、突起23dと接触する位置にカム26を有する。カム軸25の先端部25aは所定の長さだけは半円柱状に成形されており、ダイヤル等を装着した際の回り止めの機能を果たしている。
【0029】
カム26はカム軸25側からみて反時計方向に進むほどカム軸26の中心から離れるように形成されているカム面26aと、カム面26aの両端を隔絶するようにカム軸25の中心から離れるように鋭角に突出したストッパー26bから成る。
【0030】
27は本体ケース21の残りの開口部を覆う金属板であり、後述の調整ネジ40が外側から観られるようにする覗き穴27aと、壁板22から突出する位置決め突起22bが挿入される位置決め穴27bと、支持板24から突出する連結爪24cが挿入される連結穴27cを有する。
【0031】
28は金属板27上に形成された感温部であり、感温部28の中央には温度検知すべき位置へ延びる検知管29が設けら、さらに本体ケース21内部側には伸縮可能なベローズ30が設けられている。
【0032】
検知管29内部とベローズ30内部は繋がっており、温度検知用のガスが封入されている。ガスの体積は温度検知位置での温度に応じて膨張収縮するので、ベローズ30はガスの膨張収縮に応じて伸縮する。
【0033】
31はベローズ30の伸縮を回動動作へ変換するレバーであり、支持板24の支点受24aに支持される支点31aと、ベローズ30に接触して力を受ける力点31bと、もっとも変位する作用点31cから成る。
【0034】
32はレバー31上で力点31bと作用点31cとの間に配置された押し部材であり、後述のスイッチバネ33の受けバネ33aを操作する。
【0035】
33はスイッチバネであり、押し部材32に常時押さえられて撓んでいる受けバネ33aと、受けバネ33aが押し部材32に押されて所定の位置を超えたとき瞬間的に飛び移り動作をする可動バネ33bから成る。
【0036】
34はU字状に加工されたトグルバネであり、一端はスイッチバネ33の受けバネ33aに支持され、他端は可動バネ33bに支持されている。前述の受けバネ33aが押し部材32によって押されて変位したときに、トグルバネ34は内部に付勢力を蓄え、受けバネ33aが所定の位置を超えて変位した際に、トグルバネ34が蓄えた付勢力を可動バネ33bへ開放することで、可動バネ33bは瞬間的に飛び移り動作する。
【0037】
35は可動バネ33bの自由端に固定された接点であり、36は可動バネ33bが飛び移り動作をしたときに接点35が到達する位置で且つ接点35に対向接触するように位置決めされた固定接点である。
【0038】
37はスイッチバネ33に連結された導電板であり壁板22の保持穴22cを貫通して外側へ突出している。38は固定接点36に連結された端子板であり壁板22の保持穴22cを貫通して外側へ突出している。導電板37と端子板38は、接点35と固定接点36が接触したときに電気的に導通可能となる。
【0039】
39は一端が支持壁24に支持され他端はカム26のカム面26aに接する調整板であり、カム面26aの高低に応じて支点39bを中心に回動する。40は調整板39の中央を貫通して支持された調整ネジであり、ネジ頭部40aは調整板39上に回転可能に支持されている。また調整ネジ40の先端には連結部材40bが螺合されている。
【0040】
41は一端が調整ネジ40の連結部材40bに巻き付くように固定されたコイルバネであり、連結部材40bの外周がコイルバネ41の内周を押し広げるように入り込んでおり密着度が高い。また、コイルバネ41の他端には略U字状のフック42が設けられており、フック42はレバー31の作用点31cに引っ掛っている。
【0041】
43は壁板22に螺合し接点35の反接点面側から接点35を押して位置を調整するスクリューであり、ON設定温度のみを調整したいときに回転させ接点35の位置を変える。例えば、スクリュー43を進めて接点35を固定接点36側へ押し上げることで、可動バネ33bが固定接点36側へ飛び移り移動するために必要な受けバネ33aの必要変位量が軽減されるので、レバー31の必要回動量も軽減され、ベローズ30の必要伸長量も軽減される。したがって、検知管29、ベローズ30内に封入されたガスの必要体積膨張量も軽減され、必然的に周囲温度が先の設定温度よりも低くても接点がONするようになるのである。
【0042】
逆に、スクリュー43を後退させて接点35を固定接点36から離れる方向へ移動させると、可動バネ33bが固定接点36側へ飛び移り移動するために必要な受けバネ33aの必要変位量が加増されるので、レバー31の必要回動量も加増され、ベローズ30の必要伸長量も加増される。したがって、検知管29、ベローズ30内に封入されたガスの必要体積膨張量も加増され、必然的に周囲温度が先の設定温度より高くならなければ接点がONしないようになるのである。
【0043】
以上のように構成されたサーモスタットについて、以下その動作を説明する。
【0044】
冷蔵庫の冷却運転を開始する温度をON設定温度として、冷蔵庫庫内の所定の位置に配置された検知管29の周囲温度が設定温度以上になると、検知管29内部に封入されたガスが膨張し検知管29の内部およびその内部と繋がるベローズ30の内部の圧力が上昇する。
【0045】
ベローズ30は内圧が上昇することで長手方向に伸長し、レバー31の力点31bを押すので、レバー31は支点31aを中心に回動をしようとする。このとき、レバー31の作用点31cにはフック42が引っ掛っているので、レバー31は回動を阻止されている。
【0046】
そして、ベローズ30がさらに伸長するとレバー31の作用点31cはフック42の阻止力を超える力で引張り、コイルバネ41を伸長させることとなる。これによって、レバー31の回動が始まり、押し部材32がスイッチバネ33の受けバネ33aを押す。
【0047】
押し部材32が受けバネ33aを押し続けると、トグルバネ34が変形を開始し内部に付勢力を蓄える。受けバネ33aは所定の位置を超えて押されると、トグルバネ34が付勢力を一挙に開放し、トグルバネ34を支持する可動バネ33bは瞬間的に飛び移り動作し、接点35が固定接点36に当接する。
【0048】
これによって、導電板37と端子板38が電気的につながり冷蔵庫の冷却運転を開始する。
【0049】
一方、冷却運転を停止する温度をOFF設定温度として、冷蔵庫庫内の所定の位置に配置された検知管29の周囲温度がOFF設定温度以下になると、検知管29内部のガスが収縮するのでベローズ30の内圧が減少し、ベローズ30はレバー31の力点31bから離れる方向に縮む。レバー31は作用点31cがコイルバネ41で引張られているので、レバー31はベローズ30を追いかける方向に回動する。
【0050】
このため、押し部材32がスイッチバネ33の受けバネ33aから離れる方向に変位し、受けバネ33aも押し部材32を追いかける方向に変位する。このときトグルバネ34は受けバネ33aに攣られて安定位置へ戻るので、可動バネ33bは自己の付勢力で安定位置へ戻り、接点35が固定接点36から離れ、冷却運転を停止させる。
【0051】
また、カム26を回転させて調整板39をベローズ30側へ回動させれば、調整ネジ40のネジ頭部40aが調整板39に引張られ、コイルバネ41を引張ることとなる。これによって、レバー31がベローズ30側へ引かれる力が増すので、ベローズ30がレバー31を押してスイッチバネ33を動作させる力も増す必要がある。ベローズ30の力を増すためには検知管29の周囲温度が増さなければならず必然的に設定温度を高くすることができる。
【0052】
また、カム26を回転させて調整板39をベローズ30と反対側へ回動させれば、調整ネジ40のネジ頭部40aが調整板39と共にレバー31側へ移動し、コイルバネ41を縮めることとなる。これによって、レバー31がベローズ30側へ引かれる力が減少するので、ベローズ30がレバー31を押してスイッチバネ33を動作させる力も減少することになる。レバー31を押す力が減れば検知管29の周囲温度が低くても、ベローズ30がレバー31を押すことが可能となり必然的に設定温度を低くすることができる。
【0053】
なお、設定温度を微調整する際には、本体ケース21の感温部28側の面(金属板27)に設けた覗き穴27aから精密ドライバーを挿入し、調整ネジ40の頭部40aを回すことで、コイルバネ41を引き伸ばしたり縮めたりすることでレバー31にかかる力を微調整することができる。
【0054】
図5は、本実施の形態のサーモスタットの設定温度調整時の姿勢を示す斜視図である。図5において、44は液体45を一定の温度に設定する液槽であり、検知管29が浸される。一般に液体45にはアルコールが使用される。
【0055】
本実施の形態では本体ケース21の感温部28側の面に設けた覗き穴27aから設定温度の微調整をするようにしたので、組立て後は本体ケース21の感温部28側の面を上に向けて調整することとなる。このとき、図5に示すように感温部28と対向する壁板22が下側になり、平面部が確保されているので位置決めが容易で、姿勢が安定し調整作業がやり易いという長所が得られる。
【0056】
以上のように、本実施の形態のサーモスタットは、外形が略六面体を成す箱状の本体ケース21と、本体ケース21内に収納されたスイッチバネ33と、周囲温度に応じて膨張収縮するガスの体積変化をスイッチバネ33を操作する力に変換するベローズ30と、ベローズ30の力を受けて支点31aを中心に回動しスイッチバネ33を変位させて接点35と固定接点36を開閉させるレバー31と、レバー31に係合し支点39bを中心に回動してレバー31を回動させるのに必要な力を増減する調整板39と、調整板39を回動させるカム26を有するカム軸25とで構成され、本体ケース21の6つの壁の内、少なくとも4つの壁は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板22で形成し、残り2つの壁の一方はベローズ30を保持する金属板27で形成し、他方の壁はカム軸25を保持する金属板23で形成し、カム軸25を保持する金属板23には熱可塑性樹脂の壁板22の内面(保護面22a)に沿って延びる2つの支持壁24を設け、支持壁24の支点受24a、24bにレバー31の支点31aと調整板39の支点39bを支持させたので、本体ケース21を掴んだり、何らかの物体と接触・衝突した際に、各支点と接触して位置を狂わせることがないので、設定温度が安定する。
【0057】
その上、壁板22で支持壁24を保護したことにより、部品点数を増やす必要がなく、低コストが実現できる。
【0058】
また、一体成形された熱可塑性樹脂の壁板22で外殻の大部分を覆われているため外観がスッキリし、サーモスタットとしての取り扱いや適用機器への組み立て性が向上する。
【0059】
さらに、外観意匠が向上し、部品としてのイメージを高めて販売機会当のアピール効果を高めることもできる。
【0060】
また、本実施の形態では、略六面体を成す本体ケース21の6面のうち、4面を熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板22で構成したことにより、完全開放状態の貫通穴の総面積が小さくなり、外部からのゴミ等の異物侵入を抑制でき、接点35、固定接点36間への異物付着も抑制されるのでスイッチ機構の信頼性が向上する。
【0061】
さらに、近年では地球温暖化防止のため地球温暖化係数が低いイソブタン等の可燃性冷媒を使用した冷蔵庫が普及しつつあり、そのような冷蔵庫では万が一可燃性冷媒が漏洩した場合でもサーモスタットの接点が着火源とならないようにする必要がある。可燃性冷媒を使用した冷蔵庫に本実施の形態のサーモスタットを搭載し、仮に可燃性冷媒が庫内に漏洩しサーモスタット内部で発火しても、前述の通り完全開放状態の貫通穴の総面積を小さくしているので、火炎がその小さい穴を通って外部に伝播できなくなり爆発を未然に回避することが可能となる。
【0062】
また、支持壁24には一領域が他の領域よりも隆起した凸面24eが設けられ、凸面24eが壁板22の保護面22aと接しているので、支点受24a、24bは凸面24eによって壁板22の保護面22aに対して少なくとも凸面24eの高さ分だけはすきまがあり、支点31a、39bと保護面22aとの干渉を避ける空間が確保されている。
【0063】
すなわち、支点31a、39bの支持壁24からの突出高さが、凸面24eの高さよりも低くなるよう設計されている。したがって、支点31a、39bと保護面22aが接触することにより設定温度に変動を与えることがない。また、削れ粉等ゴミの発生がないので接点表面への悪影響がなく、スイッチ機構の信頼性が向上する。
【0064】
その上、支持壁24に凸面24eを設けたことにより、支持壁24の補強が実現され、不慮の外力作用に対する耐力が向上する。
【0065】
また、スイッチバネ33に接続された導電板37及び固定接点36に接続された端子板38を本体ケース21の内部から壁板22のベローズ30とは対向しない壁に貫通させて外側へ突出させ、スイッチバネ33の操作に必要な力を微調整する調整ネジ40を本体ケース21内に設けるとともに、調整ネジ40をベローズ30側から操作できる位置に配置したことにより、壁板22でベローズ30側ではない壁板に水平面を確保しているので検知管29を上にして配置しても姿勢が安定し、且つ検知管29側から調整ネジ39の操作ができるので作業が容易となる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、外殻内に収納されたスイッチ機構と、周囲温度に反応して膨張収縮するガスの体積変化を前記スイッチ機構を操作する力に変換する感温部と、前記感温部の力を受けて所定の支点を中心に回動し前記スイッチ機構の接点を開閉させるレバーと、前記レバーに係合し所定の支点を中心に回動して前記レバーを回動させるのに必要な力を増減する調整板と、前記調整板を回動させるカムを有するカム軸とで構成されたサーモスタットにおいて、前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持する壁の外側に、前記レバーの支点と前記調整板の支点を覆って前記外殻の一部を形成する壁を設け、前記外殻は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板と、前記感温部を保持する金属板と、前記カム軸を保持する金属板で形成され、前記熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板によって前記レバーの支点と前記調整板の支点を覆い、前記外殻は略六面体に形成され、六面の壁の内、少なくとも4面の壁は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板から成り、残り2つの壁の一方は前記感温部を保持する金属板で形成し、他方の壁は前記カム軸を保持する金属板で形成し、前記カム軸を保持する金属板は前記壁板の内面に沿って延びる2つの支持壁を有し、前記支持壁に前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持させたので、ケースを手で持ったときに指が前記レバーの支点或は前記調整板の支点と接触することがないので設定温度を変動させることがなく、温度調節の信頼性を高めることができる。
また、ケースを手で持ったときに熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板で保護されて、指が前記レバーの支点或は前記調整板の支点と接触することがないので設定温度を変動させることがなく、温度調節の信頼性を高めることができる。また、サーモスタットとしての外観がスッキリし、部品としての取り扱い性がよく意匠性も高められる。
また、前記レバーの支点と前記調整板の支点が前記熱可塑性樹脂の壁板に保護されて外部へは露出しないので、ケースを手で持ったときに指が各支点と接触することがなく設定温度を変動させることがなく、温度調節の信頼性を高めることができる。また、サーモスタットとしての外殻形成が容易で組み立て性が高められる。
【0069】
さらに、完全開放状態の貫通穴の総面積が小さくなり、外部からのゴミ等の異物侵入を抑制でき、接点間への異物付着も抑制されるのでスイッチ機構の信頼性が向上する。
【0070】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記支持壁の一領域に他の領域よりも隆起した凸面を設け、前記凸面以外の領域に前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持させた状態で前記凸面を前記壁板の内面と接するようにしたので、凸面との接触により外殻を内側から補強し、かつ支持壁自体も平面構造より補強がなされて外力の作用による耐力を向上することができる。
【0071】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記レバーの支点と前記調整板の支点が前記支持壁より突出する高さを前記凸面の高さよりも低くしたので、前記レバーの支点と前記調整板の支点と、前記壁板の内面とが接触して干渉することがなく、設定温度を変動させることがない。また、削れ粉等の発生による接点表面への悪影響がなく、スイッチ機構の信頼性が向上する。
【0072】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記スイッチ機構に接続された端子を前記ケースの内部から前記感温部とは対向しない壁板に貫通させて外側へ突出させ、前記スイッチ機構の操作に必要な力を微調整する調整ネジを前記ケース内に設けるとともに、前記調整ネジを前記感温部が配置された壁側から操作できる位置に配置したものであり、前記感温部と対向する壁板に水平面を確保できるので前記感温部を上にして配置しても姿勢が安定し、且つ感温部側から調整ネジの操作ができるので作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるサーモスタットの実施の形態の斜視図
【図2】同実施の形態のサーモスタットの分解斜視図
【図3】同実施の形態のサーモスタットの左側面図
【図4】図3における同実施の形態のサーモスタットのA−A’断面図
【図5】同実施の形態のサーモスタットの設定温度調整時の姿勢を示す斜視図
【図6】従来のサーモスタットの正面図
【図7】同サーモスタットの側面図
【符号の説明】
21 本体ケース(ケース)
22 壁板(支点を覆う壁)
23 金属板
24 支持板(支点を支持する壁)
24e 凸面
25 カム軸
26 カム
27 金属板
28 感温部
29 検知管(感温部)
30 ベローズ(感温部)
31 レバー
31a 支点
33 スイッチバネ(スイッチ機構)
34 トグルバネ(スイッチ機構)
35 接点(スイッチ機構)
36 固定接点(スイッチ機構)
37 導電板(端子)
38 端子板(端子)
39 調整板
39b 支点
40 調整ネジ

Claims (4)

  1. 外殻内に収納されたスイッチ機構と、周囲温度に反応して膨張収縮するガスの体積変化を前記スイッチ機構を操作する力に変換する感温部と、前記感温部の力を受けて所定の支点を中心に回動し前記スイッチ機構の接点を開閉させるレバーと、前記レバーに係合し所定の支点を中心に回動して前記レバーを回動させるのに必要な力を増減する調整板と、前記調整板を回動させるカムを有するカム軸とで構成されたサーモスタットにおいて、前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持する壁の外側に、前記レバーの支点と前記調整板の支点を覆って前記外殻の一部を形成する壁を設け、前記外殻は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板と、前記感温部を保持する金属板と、前記カム軸を保持する金属板で形成され、前記熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板によって前記レバーの支点と前記調整板の支点を覆い、前記外殻は略六面体に形成され、六面の壁の内、少なくとも4面の壁は熱可塑性樹脂で一体に成形された壁板から成り、残り2つの壁の一方は前記感温部を保持する金属板で形成し、他方の壁は前記カム軸を保持する金属板で形成し、前記カム軸を保持する金属板は前記壁板の内面に沿って延びる2つの支持壁を有し、前記支持壁に前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持させたことを特徴とするサーモスタット。
  2. 前記支持壁の一領域に他の領域よりも隆起した凸面を設け、前記凸面以外の領域に前記レバーの支点と前記調整板の支点を支持させた状態で前記凸面を前記壁板の内面と接するようにしたことを特徴とする請求項に記載のサーモスタット。
  3. 前記レバーの支点と前記調整板の支点が前記支持壁より突出する高さを前記凸面の高さよりも低くしたことを特徴とする請求項に記載のサーモスタット。
  4. 前記スイッチ機構に接続された端子を前記ケースの内部から前記感温部とは対向しない壁板に貫通させて外側へ突出させ、前記スイッチ機構の操作に必要な力を微調整する調整ネジを前記ケース内に設けるとともに、前記調整ネジを前記感温部が配置された壁側から操作できる位置に配置したことを特徴とする請求項に記載のサーモスタット。
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