JP3839200B2 - はんだ付け装置における搬送コンベア - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板のような多数の電子部品を搭載した板状の被はんだ付けワークを溶融はんだの噴流波に接触させてはんだ付けする装置において、前記噴流波に対するプリント配線板の保持位置を極めて高精度に維持することができる搬送コンベアに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板に電子部品を実装して電子回路を構成する場合において、はんだ付けが行われている。すなわち、プリント配線板に電子部品を搭載してこの電子部品の電極やリード線をプリント配線板の回路パターンにはんだ付けすることで電気的接続と機械的接続とが行われる。
【0003】
図9および図10を参照して、従来のはんだ付け装置における搬送コンベアを説明する。
【0004】
図9および図10は、従来の噴流式はんだ付け装置を説明するための図で、図9(a)は、このはんだ付け装置を上から見た図、(b)は、(a)のI−I断面から見た図である。また、図10は、図9(a)のII−II断面からみた図である。
【0005】
図9および図10に示したはんだ付け装置は、プリント配線板102の両側端部102a,102bを保持して搬送する平行2条の搬送コンベア101を備えている。
【0006】
この搬送コンベア101は一般的に使用されている搬送コンベアであり、コンベアフレーム103の両端にスプロケット104を設けてこのスプロケット104間に搬送チェーン105を張架してなる搬送コンベア101を平行2条に設け、この搬送チェーン105に設けた保持爪106のアーム部106aの保持部107にプリント配線板102の両側端部102a、102bを保持して矢印A方向に搬送する仕組みである。
【0007】
なお、Wは、プリント配線板102の保持幅、101aは搬入口、101bは搬出口である。
【0008】
そして、スプロケット104には図示しない回転駆動手段例えばモータを設けて回転駆動し、このスプロケット104の回転により搬送チェーン105を走行させ保持爪106に保持したプリント配線板102を搬送する仕組みである。
【0009】
コンベアフレーム103に設けられたガイドレール108は、搬送チェーン105の走行位置を直線状に保持するための部材である。また、保持爪106には摺動ロッド部109と嵌合ロッド部110とからなるロッド111を設けてあり、嵌合ロッド部110を搬送チェーン105の連結部105aに嵌合してその先端にクリップリング112を嵌め合わせ、この保持爪106を搬送チェーン105に固定している。
【0010】
尚、搬送チェーン105が走行すると前記摺動ロッド部109もガイドレール108に摺動してその走行位置を正確に保持することができる構成となっている。
【0011】
噴流式はんだ付け方法では、プリント配線板102の被はんだ付け面すなわち図9および図10に示すプリント配線板102の下方側の面にフラックスを塗布しておいて、予備加熱用ヒータ115で予備加熱した後に、はんだ槽116に収容されている溶融はんだ117の噴流波118にプリント配線板102の被はんだ付け面を接触させてはんだ付けを行う。
【0012】
すなわち、図9(a)に例示するように、プリント配線板102を搬送コンベア101で矢印A方向へ搬送しながらフラックスの塗布、予備加熱および噴流波118との接触が行われる。尚、図9(a)ではフラックス塗布装置を省略して図示していない。
【0013】
図9(b)は、噴流式のはんだ槽116においてプリント配線板102と噴流波118がどのように接触するかを示している。すなわち、図示しないヒータにより加熱されて溶融状態の溶融はんだ117がはんだ槽116に収容され、ポンプ122により吹き口体119の吹き口120にこの溶融はんだ117を供給して噴流させて噴流波118を形成する。案内板121は噴流波118を形成した溶融はんだ117がはんだ槽116に還流する際の案内板である。
【0014】
プリント配線板102を噴流波118に浸漬する探さdは、図9(b)に例示するようにプリント配線板102の板厚eの約1/2程度とする。これ以上深く浸漬すると、噴流波118すなわち溶融はんだ117がプリント配線板102の上方側の面に流入して、いわゆるはんだ被りを生じ、プリント配線板102の上方側の面に搭載されている電子部品(不図示)を損傷してしまう。
【0015】
逆に、プリント配線板102の浸漬深さdが浅いと、噴流波118すなわち溶融はんだ117がこのプリント配線板102の被はんだ付け面に十分に接触せず、また、噴流波118の動圧が十分に印加されず、プリント配線板102の被はんだ付け部が溶融はんだ117で十分に濡れなかったり、被はんだ付け部に十分に溶融はんだが供給されなかったりする。
【0016】
ちなみに、プリント配線板102の板厚eは、0.8mm〜3.2mm程度のものが良く使用されているが、その中でも特に1.2mm〜1.6mm程度のものが良く使用されている。そして、その大きさ(縦,横)には様々なものがある。
【0017】
すなわち、プリント配線板102のはんだ付け品質を良好に保持する上では、プリント配線板102を噴流波118に浸漬する浸漬深さdをこのプリント配線板102の板厚eの約1/2に安定して維持する必要があり、そのためには搬送コンベア101の搬送位置精度がそれ以上に優れていなければならない。
【0018】
しかし、この搬送コンベア101は、予備加熱用ヒータ115やはんだ槽116の溶融はんだ117等により数10℃〜300℃程度に加熱されるという過酷な温度サイクル環境にあり、このような環境にあっても図9に例示するように、プリント配線板102の板厚eの約1/2を噴流波118に浸漬するという精度を維持する必要がある。
【0019】
また、搬送チェーン105には捩じれや寸法公差があり、また、搬送チェーン105の連結部105aにロッド111を介して保持爪106を嵌合して設ける場合にも誤差を生じ、そのままで使用すると通常2〜3mm程度の搬送位置精度しか得られない。
【0020】
そのため、組み立てられた搬送コンベアの搬送位置精度を例えば0.3mm以内の程度に納まるように保持爪106の1つ1つに対応して作業員が組み立て調整を行ったりしている。
【0021】
他方で、特開昭61−82969号公報には、搬送されるプリント配線板を上下動させる技術が開示されているが、この技術では繰り返し精度の低いエアシリンダ等で強制的にプリント配線板を上下動させる仕組みであり、また、平行2条の搬送コンベアの各条間の搬送位置を精密に合わせるトラッキングを行うことができないので、搬送位置精度も高めることができるものではなかった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような組み立て調整時間を膨大にかけているにもかかわらず、搬送チェーン自体の連結部の遊び嵌め合わせに起因して、その精度の再現性が低いためや、過酷な温度サイクル環境のために、搬送位置精度を0.3mm程度にしか維持することができないのが現状なのである。
【0023】
他方で、この搬送位置精度は、先に説明したように直ちにプリント配線板のはんだ付け品質に大きく影響する。そして、板厚の薄いプリント配線板ほど顕著にその影響が現れ、一層高品質のプリント配線板102をはんだ付け製造することの障害となっている。
【0024】
本発明の目的は、搬送コンベア101の組み立て調整を行うことなく、それでいて今迄以上に搬送精度の高い搬送コンベアを実現することにより、はんだ付け装置によりはんだ付けされるプリント配線板102のはんだ付け品質を一層高品質にするとともに安定に維持することができるようにすることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアは、搬送チェーンに設けられた個々の保持爪の保持部の上下方向位置、すなわち溶融はんだの噴流波の浸漬深さ方向の位置と、搬送方向へ並んで走行する際のピッチング角度とを調節できるように構成したところに特徴がある。
【0026】
(1)コンベアフレームに平行2条に備えられた搬送チェーンに設けた保持爪の保持部で板状の被はんだ付けワークの両側端部を保持して搬入口から搬送し、その搬送途中に備えられたはんだ槽の溶融はんだの噴流波に前記板状の被はんだ付けワークを接触させてはんだ付けを行うはんだ付け装置における搬送コンベアであって、前記保持爪は、前記板状の被はんだ付けワークを保持する態様において前記板状の被はんだ付けワークの板面に対して上下方向にその保持部との上下位置寸法が規定された保持爪の基準面を有し、かつ前記搬送チェーンの連結部に対して上下方向に上下動可能に設けられたロッドを有する。
【0027】
そして、前記保持爪の基準面に摺接して前記保持爪を前記上下方向の上方へ持ち上げて所定の上下位置に導くための基準面を有する基準板を、前記搬送方向と同方向に回動軸を有するヒンジの一端に固着して前記基準板を前記上下方向に位置調節可能に保持するとともに、前記ヒンジの他端を前記搬送方向および前記上下方向に直交する方向の軸により回動可能に前記コンベアフレームに対して軸支して、前記搬送方向に対して前記基準板をピッチング(PITCHING)方向に角度調節可能に設けて成るように構成する。
【0028】
すなわち、保持爪の保持部と基準面との相対位置は精密に決まっている。したがって、基準板の基準面に保持爪の基準面を摺接することにより前記保持爪の保持部の上下方向の位置を精密に決定することができる。すなわち、基準板をヒンジの回動軸を中心として回動させて上下調節することにより、保持爪の保持部の上下方向の位置を精密に調節しその位置を精密に決定することができる。
【0029】
また、図9および図10に例示するように、板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板の両側端部を保持爪で保持して搬送する搬送コンベアは平行2条に構成されるが、左右のコンベアのそれぞれについて基準板のピッチング方向の角度調節を行うことにより、左右のコンベアの搬送方向を正確に合わせることができるようになり、完全にトラッキングのとれた状態でプリント配線板を搬送することができるようになる。
【0030】
すなわち、搬送コンベアの搬送方向に対して直交する上下方向つまり板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板の上下方向の搬送位置を、前記プリント配線板の両側端部のそれぞれにおいて精密に合わせることができるようになる。
【0031】
しかも、保持爪の上下方向の位置やピッチング方向の並び方は、搬送チェーンの公差や嵌め合わせの遊び等に影響されることがないので、板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板の搬送位置は、極めて再現性の高い精密な搬送位置とすることができる。
【0032】
(2)前記(1)の搬送コンベアにおいて、前記基準板は、基準板の基準面に搬送コンベアの搬送方向に対して直交する方向のスリットを設けるように構成する。
【0033】
基準板が搬送コンベアの構成要素としてはんだ付け装置に設備されると、前記基準板がはんだ付け装置によって加熱されて熱膨張を生じる。板面方向に発生する熱膨張は板面に凸凹の歪みとして現れるが、搬送コンベアの搬送方向すなわち基準板の長手方向に対して直交する方向にスリットを設けることにより、前記スリットの幅の拡大や縮小として熱膨張を吸収することが可能となり、基準板の板面に歪みを生じることがなくなって、高温のはんだ付け環境においても精度の高い搬送位置精度を保持することができるようになる。
【0034】
(3)前記(1)または(2)の搬送コンベアにおいて、前記搬送チェーンを張架して循環回動するスプロケットを前記搬入口に有し、前記保持爪の基準面に摺接して上下方向に持ち上げる基準面を有する基準円板を前記搬入口に位置するスプロケットの回動軸と同軸に上下調節可能に設けるように構成する。
【0035】
これにより、搬入口で、スプロケットに張架されて搬送チェーンとともに旋回する保持爪の保持部の上下方向の位置を、基準板により精密に合わせることができるようになる。したがって、前記搬入口よりも前工程側に位置する装置から板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板が渡される際にも、正確で確実な受け渡し/受け取りが可能となる。
【0036】
(4)前記(1)ないし(3)の搬送コンベアにおいて、前記保持爪は、前記板状の被はんだ付けワークを保持する保持部の近傍に厚さが薄い凹部が形成されるように構成されている。
【0037】
図9に例示するように、保持爪の保持部は板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板を保持して溶融はんだの噴流波に浸漬させる部分である。そのため、前記保持部も溶融はんだの噴流波中に浸漬される。その結果、前記保持部に接触した溶融はんだが前記溶融はんだよりも温度の低い前記保持爪に接触して溶融はんだの温度が低下し、溶融はんだが固化した状態で付着し易い。
【0038】
このように、保持爪の保持部にはんだが付着した状態で持ち出されると、搬送コンベアに新たに搬入されてくる板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板を保持爪が保持する場合に、付着したはんだにより保持位置が変わって精密な保持位置を維持することができなくなったり、甚だしくは付着したはんだが障害となりプリント配線板の保持さえ困難になる場合もある。
【0039】
しかし、保持爪が板状の被はんだ付けワークを保持する保持部の近傍に保持爪の厚さが薄い凹部を形成するように構成することにより、前記凹部の熱伝導が低下して保持部が溶融はんだに浸漬された際に前記保持部の温度が素早く上昇し、前記保持部に接触した溶融はんだが保持部に固化して付着することがなくなる。したがって、このような溶融はんだの付着によるプリント配線板の保持位置精度ひいては搬送位置精度の悪化が解消され、常に正確な搬送位置精度を保つことができるようになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明のはんだ付け装置における搬送コンベアは、次のような実施形態例において実施することができる。
【0041】
(1)直線搬送部分の構成(搬送コンベア−1)
本発明が適用されるはんだ付け装置は、従来の技術において説明した図9に例示したはんだ付け装置と同様の構成である。
【0042】
そして、本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアにおいては、図1乃至図3に示すように、精密に位置決めするための保持爪1を備え、保持爪1に保持爪の基準面1aを設けて、これを搬送チェーン3に対してプリント配線板102の板面に垂直な方向すなわち上下方向に上下動可能に保持する。また、この保持爪1の上下方向の位置や搬送方向に対するピッチング方向Pの調節手段である第1の基準レベル設定装置7を備えている。
【0043】
本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアは、搬送コンベア14のどの搬送領域においても適用可能であるが、目的とする搬送領域は、プリント配線板102を溶融はんだ117の噴流波118に精密に安定して浸漬させるための領域、すなわちプリント配線板102と溶融はんだ117の噴流波118とを接触させるはんだ槽116の上方部分の領域である。
【0044】
図1乃至図3を参照して、本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアの直線搬送部分の構成の実施形態例を説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施形態例における平行2条の搬送コンベアのうちの一方の搬送コンベアの縦断面を示す図で、はんだ付け装置のはんだ槽上方部分について示す。また、図2は、本発明の実施形態例の作動を説明するための図で、図1に示したコンベアフレームや搬送チェーン等の部分を省略して要部のみを示した斜視図である。さらに図3は、保持爪の保持部と基準面との関係を説明するための図である。
【0046】
図1に示した本発明の実施形態例の搬送コンベア14の縦断面を、図10に示した従来の搬送コンベア101の縦断面(左側のコンベア)と比較してその相違を説明する。
【0047】
すなわち、図3に示すように、保持爪1は精密機械加工された保持爪の基準面1aが設けられており、この保持爪の基準面1aに対してアーム部1bの先端に設けた保持部1cの凹状の部分、すなわちプリント配線板102の両側端部を保持する部分を精密機械加工する。したがって、保持爪の基準面1aと保持部1cとは所定寸法Yで精密にその位置が決まる。この所定寸法Yの方向は、保持部1cに保持されるプリント配線板102の板面に垂直な方向すなわち上下方向であり、プリント配線板102が溶融はんだ117の噴流波118に浸漬される方向である。
【0048】
尚、保持部1cの近傍のアーム部1bには凹部1dを設けてあり、この凹部1dでの熱伝導が小さくなるように構成してある。これにより、この凹部1dの熱伝導が低下するので、保持爪1の保持部1cが溶融はんだ117に浸漬された際にこの保持部1cの温度が素早く上昇し、この保持部1cに接触した溶融はんだ117が保持部1cに固化して付着することがなくなる。
【0049】
したがって、このようなはんだの付着によって、保持部1cに保持されるプリント配線板102の位置が正規の位置から外れたりすることがなくなり、プリント配線板102の保持位置精度、ひいては搬送位置精度の悪化が解消され、常に正確な搬送位置精度を保つことができるようになる。
【0050】
図1に示すように、ロッド2に固定された保持爪1は、次のように、搬送チェーン3の結合部3aに結合される。すなわち、このロッド2は摺動ロッド部2aと嵌合ロッド部2bとから成り、この嵌合ロッド部2bが搬送チェーン3の結合部3aの孔に上下動可能に嵌め合わされてクリップリング6で固定される。また、嵌合ロッド部2bには圧縮状態で挿入された圧縮ばね4を設けてあり、この圧縮ばね4により通常は保持爪1が搬送チェーン3の下方側に位置するようにテンションが加えられている。
【0051】
摺動ロッド部2aはガイドレール5に摺接して、ロッド2が上下動しても図1の左右方向への位置変動がないように構成されている。また、搬送チェーン3とそのガイドレール5、コンベアフレーム12などの構成は従来の技術(図9、図10の搬送チェーン105、ガイドレール108、コンベアフレーム103など)と同様である。
【0052】
このように構成された保持爪1の位置を精密に決める手段が、図2に示す第1の基準レベル設定装置7である。第1の基準レベル設定装置7は台座8およびこの台座8に軸支用ねじ9とヒンジ10を介して設けられた基準板11とからなり、この台座8はコンベアフレーム12に固定ねじ13で固定されている。
【0053】
このヒンジ10の回動軸の方向と搬送コンベア14の搬送方向Aとは同一であり、これによりヒンジ10の一端10aに設けられた基準板11をY00方向に回動させて、基準板11の先端部分すなわち精密機械加工により形成した基準板の基準面11aをY21,Y22方向すなわち上下方向に移動調節できるように構成されている。
【0054】
また、このヒンジ10の他端10bは軸支用ねじ9により台座8に回動可能に設けられている。この軸支用ねじ9の方向はヒンジ10の回動軸と直交する方向であり搬送コンベア14の搬送方向Aに対してヒンジ10がピッチング方向Pに回動する方向である。これにより、基準板11の先端部分の基準板の基準面11aを搬送方向に対してピッチング方向Pの角度調節ができるように構成されている。
【0055】
基準板の基準面11aの以上のような上下方向の位置調節とピッチング方向Pの角度調節は、図1に示した調節ねじ15、すなわち図2に示した第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bによって行う構成である。
【0056】
すなわち、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bとは、図1および図2に示すように、台座8に設けた挿通孔16を通して基準板11に螺合するが、この螺合は軸支用ねじ9を挟んで搬送方向の前後位置に当たる基準板11の両側端部位置に螺合する。また、両調節ねじ15a、15bには台座8と基準板11との間に圧縮状態の圧縮ばね17を挿通してあり、この圧縮ばね17のテンションにより両調節ねじ15a、15bの螺合位置で決まる位置に基準板11を押し下げて固定するように作用する。
【0057】
これにより、調節ねじ15を回すことにより基準板11がY11,Y12方向に上下動し、基準板の基準面11aをY21,Y22方向に上下動させることができる。尚、調節ねじ15に挿通された筒体18は圧縮ばね17の長さを適度にしてそのテンションを安定化するための部材である。
【0058】
図2は、基準レベル設定装置の作動を分かりやすく説明するための図である。すなわち、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bとを同じ量だけ回動調節すれば基準板11の螺合位置でのこの基準板11の上下量はY11=Y12となり基準板の基準面11aの上下量はY21=Y22となる。そして、ヒンジ10はY00方向に僅かに回動する。
【0059】
また、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bの調節量が異なる場合はそれぞれY11≠Y12,Y21≠Y22となり、基準板11はヒンジ10を介して軸支用ねじ9を回動軸としてピッチング方向Pに回動し、基準板の基準面11aは搬送方向に対してピッチング方向Pに角度調節される。
【0060】
したがって、搬送チェーン3の走行によって一緒に移動する保持爪1が、保持爪の基準面1aを基準板の基準面11aに摺接することによりロッド2がY23方向に上下動し、この保持爪1の保持部1cがY30方向に上下動する。尚、図1においてY21=Y23=Y30となる。保持爪1の保持部1cの上下方向の移動量は基準板の基準面11aの上下方向の位置とピッチング方向Pの角度によって精密に決まるので、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bとによりこれらを精密に調節することができる。
【0061】
平行2条の搬送コンベア14によりプリント配線板102のような板状の被はんだ付けワークの両側端部102a、102bを保持して搬送する場合は、この両側端部102a、102bの保持高さおよび角度によって搬送位置精度が決まるので、最低限これら2つの要素を2条の搬送コンベア14の間において精密に合わせてトラッキングを行っておく必要がある。
【0062】
すなわち、これら上下調節とピッチング方向Pの角度調節とにより、平行2条に構成される搬送コンベア14によって搬送されるプリント配線板102の板面におけるあらゆる点において、その搬送位置を精密に優れた再現性で定めることができる。
【0063】
ところで、基準板11には図2に示すようにその端部に形成した基準板の基準面11aの部分にスリット19を複数設けてあり、このスリットの基部には円孔20を設けてある。これは、基準板11が過酷な高温環境のはんだ付け装置内に設けられた際に発生する熱膨張を、このスリット19の幅の拡大/縮小として吸収し、基準板の基準面11aに曲がり等の変形を生じないようにするための手段である。すなわち、これにより過酷な高温環境においても基準板の基準面11aの精度が維持される。
【0064】
また、基準板11の縦断面が階段状に形成されている理由も、熱膨張による変形を抑制するためである。
【0065】
(2)基準板のその他の実施形態例
図4を参照して、基準板のその他の実施形態例を説明する。
【0066】
図4は、基準板のその他の実施形態例を説明するための図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のIII一III断面から見た基準板の一部拡大図である。
【0067】
すなわち、図4において、基準板の基準面11aの下方に受け板21を設けて円孔20にグリス(耐熱グリス)23を蓄えた構成であり、これにより、スリット19に僅かずつ流出するグリス23が、基準板の基準面11aと保持爪の基準面1aとが摺接して摺動する際に、それを滑らかな状態に維持することができるようになる。
【0068】
尚、受け板21は基準板11の中央部分のスポット溶接部22のみで例えばスポット溶接等の手段により固着して固定する。これにより、受け板21の熱膨張が基準板11に与える影響を解消することができる。
【0069】
(3)搬入搬送部分の構成(搬送コンベア−2)
図5および図6を参照して、搬入搬送部分の構成について説明する。
【0070】
図5および図6は、搬送コンベアの搬入部分の構成を説明するための図で、図5(a)は平行2条の搬送コンベアの一方のコンベアの搬入部分を上から見た図、図5(b)は(a)を正面から見た際の搬入口部分のみを抜粋して示した図、図6は、図5(a)をIV−IV断面から見た図である。
【0071】
尚、図5(a)においては、スプロケットを、円を用いて省略して示し、また、搬送チェーンを、実線を用いて省略して示している。
【0072】
図9(a)に示す搬送コンベア101の搬送チェーン105は、コンベアフレーム103の両端部に設けられたスプロケット104に張架されて回動走行する。図5(a)は、この搬送コンベア101の搬入口101aの部分のコンベアの一方を拡大して示した図である。
【0073】
すなわち、図5において、搬送チェーン3に上下動可能に設けられた保持爪1は、搬送チェーン3がスプロケット39を旋回するのに合わせて旋回し、その際に、前工程ベルトコンベア25から搬出されたプリント配線板102を搬入ガイド24を介してその保持爪1の保持部1cに保持することで搬入が行われる。
【0074】
搬入ガイド24はホーン状のガイド溝24aを備えて成り、このガイド溝24aに案内されてプリント配線板102が保持爪1の保持部1cに案内される。尚、前工程ベルトコンベア25はローラプーリ26に掛け渡された平行2条のベルト27上に、プリント配線板102の両側端部102a、102bを載置し保持して搬送する仕組みである。
【0075】
したがって、搬入ガイド24による搬入位置と搬送コンベア101の保持爪1の保持部1cの位置とは精密に一致している必要がある。これが一致していないと、前工程ベルトコンベア25からのプリント配線板102の受け渡し/受け取りが行われなくなるばかりか、甚だしい場合には保持爪1の保持部1cからプリント配線板102が外れてこのプリント配線板102を変形させたり破損させたりする。
【0076】
そのため、この搬入口14a部分にも、図1と同様の第2の基準レベル設定装置38を設けてある。すなわち、固定台28は、コンベアフレーム12に固定ねじ29で固定され、この固定台28に固定ねじ30により固定された軸31に、軸受けベアリング32とスラストベアリング33を介して回動自在にスプロケット39を保持してある。
【0077】
このスプロケット39に基準円板34の螺合台座35を固定ねじ36で同軸に固定し、この螺合台座35に同軸に設けた螺合部35aを介して基準円板34を螺合し、その螺合の調節により基準円板34の上下方向の位置すなわち軸線方向の位置を決定する。そして螺合台座35と基準円板34とは調節後に固定ねじ40でその調節状態を保持する構成である。尚、Eリング37はスプロケット39の固定用である。
【0078】
これにより、搬入口14aでスプロケット39に張架された搬送チェーン3とともに旋回する保持爪1は、保持爪の基準面1aが基準円板34の基準面34aに摺接して上方へ持ち上げられることにより、保持爪1の保持部1cの上下方向の位置を基準円板34により精密に合わせることができるようになる。したがって、この搬送コンベア14の搬入口14aよりも前工程側に位置する前工程ベルトコンベア25から搬入されてくるプリント配線板102を、正確かつ確実に受け渡し/受け取ることが可能となる。
【0079】
尚、この第2の基準レベル設定装置38は、平行2条の搬送コンベア14のそれぞれに設けられているので、搬入されるプリント配線板102の両側端部102a、102bにおける搬送位置を合わせて精密に保持することができる。したがって、前工程からのプリント配線板102の受け渡し/受け取りを完全な状態でミスなく行うことができるようになる。
【0080】
【実施例】
図7を参照して、搬送コンベアの搬送位置偏差を測定する実施例を説明する。
【0081】
図7は、搬送コンベアの搬送位置偏差を測定する態様を説明するための図で、(a)は上方から見た図、(b)は搬入口側から見た図であり、図9に示す従来のはんだ付け装置のはんだ槽の領域に本発明の搬送コンベアの技術を適用した場合を示す。
【0082】
すなわち、平行2条のコンベアフレーム12のそれぞれに第1の基準レベル設定装置7を固定ねじ13で固定してある(図1参照)。
【0083】
そして、搬送コンベアの調節すなわち第1の基準レベル設定装置7の調節であるが、これは次のような手順で行う。先ず、保持爪1に保持した測定用板状ワーク102c(平坦度の高い基準となる板)をプリント配線板102のダミーとして搬送し、この測定用板状ワーク102cが第1の基準レベル設定装置7の領域に位置するようにして搬送コンベア14の搬送を停止する。
【0084】
続いて、この測定用板状ワーク102cの搬送方向であるA方向のいずれの座標においてもX方向座標の水平が確保されるように、この測定用板状ワーク102cの搬送方向Aの座標上に水準器を置き、例えば最低でも(イ)(ロ)(ハ)の3点に置き、X座標方向の水平がいずれも確保されるように第1の基準レベル設定装置7の第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bを、平行2条の搬送コンベア14のそれぞれについて調節する。
【0085】
この調節により、平行2条に構成されたそれぞれの搬送コンベア14は搬送位置が上下方向においてもピッチング方向Pの角度においても完全に一致し、その搬送軌跡が完全に一致する完全なトラッキング状態が実現する。
【0086】
ここで、X方向座標の水平を基準とする理由は、図9に示されるはんだ槽116によって形成される溶融はんだ117の噴流波118は、プリント配線板102と接触する波頭領域において通常その噴流波118がX座標方向に水平となるように形成されるからである。すなわち噴流波118の水平の波頭と水平に保持され搬送されるプリント配線板102を接触させてはんだ付けが行われるわけである。
【0087】
そして、このように調節されたはんだ付け装置における搬送コンベアに、例えばそのコンベアフレーム12に、測定用板状ワーク102cとの距離を測定する距離センサ41を固定し、搬送されてくる測定用板状ワーク102cとの距離を測定する。なお、Shは測定値の電気信号出力である。
【0088】
この場合、例えば1枚目の測定用板状ワーク102cとの距離(例えば、測定用板状ワーク102cの点(ロ)との距離)hを基準距離とし、2枚目以降に搬送されてくるその距離との偏差を求めるようにして測定する。尚、測定用板条ワークとしては縦横150mm×150mmの大きさのものを用いた。
【0089】
図8は、搬送コンベアの搬送位置偏差の測定結果を示す図であり、横軸は時間tを表し、縦軸は距離hの偏差を表している。すなわち、時間t1〜t2の2枚目の測定用板状ワークでは+0.02mm〜−0.06mmの範囲にその偏差が収まり、時間t3〜t4の3枚目の測定用板状ワークでは−0.05mm〜−0.04mmの範囲にその偏差が納まっている。そして、以下同様である。
【0090】
この測定結果から、偏差は最大でも−0.1mm〜+0.1mmの範囲に納まることがわかる。このデータは、搬送チェーン3に保持爪1を設けた際に従来行われていた組み立て調整を行わない値である。すなわち、そのような作業を行わなくとも、従来の搬送位置精度よりも優れた搬送位置精度が確保されるようになる。ちなみに、従来では保持爪1の1つひとつについて組み立て調整をおこなっても、その搬送位置精度は例えば−0.3mm〜+0.3mm程度に収めることしかできなかった。
【0091】
また、同様の偏差測定を図5に示した搬送コンベアの搬入口についても行ったが、図8に示す結果と同様の−0.1mm〜+0.1mmの範囲に納まる結果が得られた。
【0092】
【発明の効果】
以上のように本発明のはんだ付け装置における搬送コンベアによれば、板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板を、その搬送位置において高い精度と高い再現性で搬送することが可能となり、当該のプリント配線板を溶融はんだの噴流波に浸漬する際にも安定した接触状態を保持することが可能となり、良好なはんだ付け品質を安定して維持することができるようになる。
【0093】
特に、平行2条の搬送コンベアにおいては、プリント配線板の両側端部を保持する高さや搬送角度をその両側端部において正確に合わせて完全なトラッキングを行うことができるようなり、プリント配線板を溶融はんだの噴流波に浸漬させる深さを精密に合わせてそれを安定に再現性良く保持することができるようになり、プリント配線板の各部のはんだ付け品質に斑を生じたりするようなこともなく、プリント配線板の各部に対して均質で高品質のはんだ付けを行うことが可能となる。
【0094】
この効果に加えて請求項2の発明では、高温の過酷な温度環境においても高い搬送位置精度を維持することができるようになる。
【0095】
また、これらの効果に加えて請求項3の発明では、搬送コンベアの搬入口においても高い搬送位置精度を確保することができるようになり、前工程の装置から受け渡されるプリント配線板を確実に受け取ることができるようになる。
【0096】
さらに、これらの効果に加えて請求項4の発明では、保持爪の保持部に溶融はんだが固化して付着することがなくなり、この付着に起因してプリント配線板の保持位置にオフセットが与えられて搬送位置に誤差を生じるというようなこともなくなり、安定したはんだ付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における平行2条の搬送コンベアのうち一方の搬送コンベアの縦断面を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の動作を説明するための図である。
【図3】保持爪の保持部と基準面との関係を説明するための図である。
【図4】基準板のその他の実施形態例を説明するための図である。
【図5】搬送コンベアの搬入部分の構成を説明するための図である。
【図6】搬送コンベアの搬入部分の構成を説明するための図である。
【図7】搬送コンベアの搬送位置偏差を測定する態様を説明するための図である。
【図8】搬送コンベアの搬送位置偏差の測定結果を示す図である。
【図9】従来の噴流式はんだ付け装置を説明するための図である。
【図10】従来の噴流式はんだ付け装置を説明するための図である。
【符号の説明】
1 保持爪
1a 保持爪の基準面
1b アーム部
1c 保持部
1d 凹部
2 ロッド
2a 摺動ロッド部
2b 嵌合ロッド部
3 搬送チェーン
3a 結合部(孔部)
4 圧縮ばね
5 ガイドレール
6 クリップリング
7 第1の基準レベル設定装置
8 台座
9 軸支用ねじ
10 ヒンジ
11 基準板
11a 基準板の基準面
12 コンベアフレーム
13 固定ねじ
14 搬送コンベア
14a 搬入口
15 調節ねじ
15a 第1の調節ねじ
15b 第2の調節ねじ
16 挿通孔
17 圧縮ばね
18 筒体
19 スリット
20 円孔
21 受け板
22 スポット溶接部
23 グリス
24 搬入ガイド
24a ガイド溝
25 前工程ベルトコンベア
26 ローラプーリ
27 ベルト
28 固定台
29 固定ねじ
30 固定ねじ
31 軸
32 軸受けベアリング
33 スラストベアリング
34 基準円板
34a 螺合部
35 螺合台座
35a 螺合部
36 固定ねじ
37 Eリング
38 第2の基準レベル設定装置
39 スプロケット
40 固定ねじ
41 距離センサ
102 プリント配線板
102c 測定用板状ワーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板のような多数の電子部品を搭載した板状の被はんだ付けワークを溶融はんだの噴流波に接触させてはんだ付けする装置において、前記噴流波に対するプリント配線板の保持位置を極めて高精度に維持することができる搬送コンベアに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板に電子部品を実装して電子回路を構成する場合において、はんだ付けが行われている。すなわち、プリント配線板に電子部品を搭載してこの電子部品の電極やリード線をプリント配線板の回路パターンにはんだ付けすることで電気的接続と機械的接続とが行われる。
【0003】
図9および図10を参照して、従来のはんだ付け装置における搬送コンベアを説明する。
【0004】
図9および図10は、従来の噴流式はんだ付け装置を説明するための図で、図9(a)は、このはんだ付け装置を上から見た図、(b)は、(a)のI−I断面から見た図である。また、図10は、図9(a)のII−II断面からみた図である。
【0005】
図9および図10に示したはんだ付け装置は、プリント配線板102の両側端部102a,102bを保持して搬送する平行2条の搬送コンベア101を備えている。
【0006】
この搬送コンベア101は一般的に使用されている搬送コンベアであり、コンベアフレーム103の両端にスプロケット104を設けてこのスプロケット104間に搬送チェーン105を張架してなる搬送コンベア101を平行2条に設け、この搬送チェーン105に設けた保持爪106のアーム部106aの保持部107にプリント配線板102の両側端部102a、102bを保持して矢印A方向に搬送する仕組みである。
【0007】
なお、Wは、プリント配線板102の保持幅、101aは搬入口、101bは搬出口である。
【0008】
そして、スプロケット104には図示しない回転駆動手段例えばモータを設けて回転駆動し、このスプロケット104の回転により搬送チェーン105を走行させ保持爪106に保持したプリント配線板102を搬送する仕組みである。
【0009】
コンベアフレーム103に設けられたガイドレール108は、搬送チェーン105の走行位置を直線状に保持するための部材である。また、保持爪106には摺動ロッド部109と嵌合ロッド部110とからなるロッド111を設けてあり、嵌合ロッド部110を搬送チェーン105の連結部105aに嵌合してその先端にクリップリング112を嵌め合わせ、この保持爪106を搬送チェーン105に固定している。
【0010】
尚、搬送チェーン105が走行すると前記摺動ロッド部109もガイドレール108に摺動してその走行位置を正確に保持することができる構成となっている。
【0011】
噴流式はんだ付け方法では、プリント配線板102の被はんだ付け面すなわち図9および図10に示すプリント配線板102の下方側の面にフラックスを塗布しておいて、予備加熱用ヒータ115で予備加熱した後に、はんだ槽116に収容されている溶融はんだ117の噴流波118にプリント配線板102の被はんだ付け面を接触させてはんだ付けを行う。
【0012】
すなわち、図9(a)に例示するように、プリント配線板102を搬送コンベア101で矢印A方向へ搬送しながらフラックスの塗布、予備加熱および噴流波118との接触が行われる。尚、図9(a)ではフラックス塗布装置を省略して図示していない。
【0013】
図9(b)は、噴流式のはんだ槽116においてプリント配線板102と噴流波118がどのように接触するかを示している。すなわち、図示しないヒータにより加熱されて溶融状態の溶融はんだ117がはんだ槽116に収容され、ポンプ122により吹き口体119の吹き口120にこの溶融はんだ117を供給して噴流させて噴流波118を形成する。案内板121は噴流波118を形成した溶融はんだ117がはんだ槽116に還流する際の案内板である。
【0014】
プリント配線板102を噴流波118に浸漬する探さdは、図9(b)に例示するようにプリント配線板102の板厚eの約1/2程度とする。これ以上深く浸漬すると、噴流波118すなわち溶融はんだ117がプリント配線板102の上方側の面に流入して、いわゆるはんだ被りを生じ、プリント配線板102の上方側の面に搭載されている電子部品(不図示)を損傷してしまう。
【0015】
逆に、プリント配線板102の浸漬深さdが浅いと、噴流波118すなわち溶融はんだ117がこのプリント配線板102の被はんだ付け面に十分に接触せず、また、噴流波118の動圧が十分に印加されず、プリント配線板102の被はんだ付け部が溶融はんだ117で十分に濡れなかったり、被はんだ付け部に十分に溶融はんだが供給されなかったりする。
【0016】
ちなみに、プリント配線板102の板厚eは、0.8mm〜3.2mm程度のものが良く使用されているが、その中でも特に1.2mm〜1.6mm程度のものが良く使用されている。そして、その大きさ(縦,横)には様々なものがある。
【0017】
すなわち、プリント配線板102のはんだ付け品質を良好に保持する上では、プリント配線板102を噴流波118に浸漬する浸漬深さdをこのプリント配線板102の板厚eの約1/2に安定して維持する必要があり、そのためには搬送コンベア101の搬送位置精度がそれ以上に優れていなければならない。
【0018】
しかし、この搬送コンベア101は、予備加熱用ヒータ115やはんだ槽116の溶融はんだ117等により数10℃〜300℃程度に加熱されるという過酷な温度サイクル環境にあり、このような環境にあっても図9に例示するように、プリント配線板102の板厚eの約1/2を噴流波118に浸漬するという精度を維持する必要がある。
【0019】
また、搬送チェーン105には捩じれや寸法公差があり、また、搬送チェーン105の連結部105aにロッド111を介して保持爪106を嵌合して設ける場合にも誤差を生じ、そのままで使用すると通常2〜3mm程度の搬送位置精度しか得られない。
【0020】
そのため、組み立てられた搬送コンベアの搬送位置精度を例えば0.3mm以内の程度に納まるように保持爪106の1つ1つに対応して作業員が組み立て調整を行ったりしている。
【0021】
他方で、特開昭61−82969号公報には、搬送されるプリント配線板を上下動させる技術が開示されているが、この技術では繰り返し精度の低いエアシリンダ等で強制的にプリント配線板を上下動させる仕組みであり、また、平行2条の搬送コンベアの各条間の搬送位置を精密に合わせるトラッキングを行うことができないので、搬送位置精度も高めることができるものではなかった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような組み立て調整時間を膨大にかけているにもかかわらず、搬送チェーン自体の連結部の遊び嵌め合わせに起因して、その精度の再現性が低いためや、過酷な温度サイクル環境のために、搬送位置精度を0.3mm程度にしか維持することができないのが現状なのである。
【0023】
他方で、この搬送位置精度は、先に説明したように直ちにプリント配線板のはんだ付け品質に大きく影響する。そして、板厚の薄いプリント配線板ほど顕著にその影響が現れ、一層高品質のプリント配線板102をはんだ付け製造することの障害となっている。
【0024】
本発明の目的は、搬送コンベア101の組み立て調整を行うことなく、それでいて今迄以上に搬送精度の高い搬送コンベアを実現することにより、はんだ付け装置によりはんだ付けされるプリント配線板102のはんだ付け品質を一層高品質にするとともに安定に維持することができるようにすることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアは、搬送チェーンに設けられた個々の保持爪の保持部の上下方向位置、すなわち溶融はんだの噴流波の浸漬深さ方向の位置と、搬送方向へ並んで走行する際のピッチング角度とを調節できるように構成したところに特徴がある。
【0026】
(1)コンベアフレームに平行2条に備えられた搬送チェーンに設けた保持爪の保持部で板状の被はんだ付けワークの両側端部を保持して搬入口から搬送し、その搬送途中に備えられたはんだ槽の溶融はんだの噴流波に前記板状の被はんだ付けワークを接触させてはんだ付けを行うはんだ付け装置における搬送コンベアであって、前記保持爪は、前記板状の被はんだ付けワークを保持する態様において前記板状の被はんだ付けワークの板面に対して上下方向にその保持部との上下位置寸法が規定された保持爪の基準面を有し、かつ前記搬送チェーンの連結部に対して上下方向に上下動可能に設けられたロッドを有する。
【0027】
そして、前記保持爪の基準面に摺接して前記保持爪を前記上下方向の上方へ持ち上げて所定の上下位置に導くための基準面を有する基準板を、前記搬送方向と同方向に回動軸を有するヒンジの一端に固着して前記基準板を前記上下方向に位置調節可能に保持するとともに、前記ヒンジの他端を前記搬送方向および前記上下方向に直交する方向の軸により回動可能に前記コンベアフレームに対して軸支して、前記搬送方向に対して前記基準板をピッチング(PITCHING)方向に角度調節可能に設けて成るように構成する。
【0028】
すなわち、保持爪の保持部と基準面との相対位置は精密に決まっている。したがって、基準板の基準面に保持爪の基準面を摺接することにより前記保持爪の保持部の上下方向の位置を精密に決定することができる。すなわち、基準板をヒンジの回動軸を中心として回動させて上下調節することにより、保持爪の保持部の上下方向の位置を精密に調節しその位置を精密に決定することができる。
【0029】
また、図9および図10に例示するように、板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板の両側端部を保持爪で保持して搬送する搬送コンベアは平行2条に構成されるが、左右のコンベアのそれぞれについて基準板のピッチング方向の角度調節を行うことにより、左右のコンベアの搬送方向を正確に合わせることができるようになり、完全にトラッキングのとれた状態でプリント配線板を搬送することができるようになる。
【0030】
すなわち、搬送コンベアの搬送方向に対して直交する上下方向つまり板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板の上下方向の搬送位置を、前記プリント配線板の両側端部のそれぞれにおいて精密に合わせることができるようになる。
【0031】
しかも、保持爪の上下方向の位置やピッチング方向の並び方は、搬送チェーンの公差や嵌め合わせの遊び等に影響されることがないので、板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板の搬送位置は、極めて再現性の高い精密な搬送位置とすることができる。
【0032】
(2)前記(1)の搬送コンベアにおいて、前記基準板は、基準板の基準面に搬送コンベアの搬送方向に対して直交する方向のスリットを設けるように構成する。
【0033】
基準板が搬送コンベアの構成要素としてはんだ付け装置に設備されると、前記基準板がはんだ付け装置によって加熱されて熱膨張を生じる。板面方向に発生する熱膨張は板面に凸凹の歪みとして現れるが、搬送コンベアの搬送方向すなわち基準板の長手方向に対して直交する方向にスリットを設けることにより、前記スリットの幅の拡大や縮小として熱膨張を吸収することが可能となり、基準板の板面に歪みを生じることがなくなって、高温のはんだ付け環境においても精度の高い搬送位置精度を保持することができるようになる。
【0034】
(3)前記(1)または(2)の搬送コンベアにおいて、前記搬送チェーンを張架して循環回動するスプロケットを前記搬入口に有し、前記保持爪の基準面に摺接して上下方向に持ち上げる基準面を有する基準円板を前記搬入口に位置するスプロケットの回動軸と同軸に上下調節可能に設けるように構成する。
【0035】
これにより、搬入口で、スプロケットに張架されて搬送チェーンとともに旋回する保持爪の保持部の上下方向の位置を、基準板により精密に合わせることができるようになる。したがって、前記搬入口よりも前工程側に位置する装置から板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板が渡される際にも、正確で確実な受け渡し/受け取りが可能となる。
【0036】
(4)前記(1)ないし(3)の搬送コンベアにおいて、前記保持爪は、前記板状の被はんだ付けワークを保持する保持部の近傍に厚さが薄い凹部が形成されるように構成されている。
【0037】
図9に例示するように、保持爪の保持部は板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板を保持して溶融はんだの噴流波に浸漬させる部分である。そのため、前記保持部も溶融はんだの噴流波中に浸漬される。その結果、前記保持部に接触した溶融はんだが前記溶融はんだよりも温度の低い前記保持爪に接触して溶融はんだの温度が低下し、溶融はんだが固化した状態で付着し易い。
【0038】
このように、保持爪の保持部にはんだが付着した状態で持ち出されると、搬送コンベアに新たに搬入されてくる板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板を保持爪が保持する場合に、付着したはんだにより保持位置が変わって精密な保持位置を維持することができなくなったり、甚だしくは付着したはんだが障害となりプリント配線板の保持さえ困難になる場合もある。
【0039】
しかし、保持爪が板状の被はんだ付けワークを保持する保持部の近傍に保持爪の厚さが薄い凹部を形成するように構成することにより、前記凹部の熱伝導が低下して保持部が溶融はんだに浸漬された際に前記保持部の温度が素早く上昇し、前記保持部に接触した溶融はんだが保持部に固化して付着することがなくなる。したがって、このような溶融はんだの付着によるプリント配線板の保持位置精度ひいては搬送位置精度の悪化が解消され、常に正確な搬送位置精度を保つことができるようになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明のはんだ付け装置における搬送コンベアは、次のような実施形態例において実施することができる。
【0041】
(1)直線搬送部分の構成(搬送コンベア−1)
本発明が適用されるはんだ付け装置は、従来の技術において説明した図9に例示したはんだ付け装置と同様の構成である。
【0042】
そして、本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアにおいては、図1乃至図3に示すように、精密に位置決めするための保持爪1を備え、保持爪1に保持爪の基準面1aを設けて、これを搬送チェーン3に対してプリント配線板102の板面に垂直な方向すなわち上下方向に上下動可能に保持する。また、この保持爪1の上下方向の位置や搬送方向に対するピッチング方向Pの調節手段である第1の基準レベル設定装置7を備えている。
【0043】
本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアは、搬送コンベア14のどの搬送領域においても適用可能であるが、目的とする搬送領域は、プリント配線板102を溶融はんだ117の噴流波118に精密に安定して浸漬させるための領域、すなわちプリント配線板102と溶融はんだ117の噴流波118とを接触させるはんだ槽116の上方部分の領域である。
【0044】
図1乃至図3を参照して、本発明にかかるはんだ付け装置における搬送コンベアの直線搬送部分の構成の実施形態例を説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施形態例における平行2条の搬送コンベアのうちの一方の搬送コンベアの縦断面を示す図で、はんだ付け装置のはんだ槽上方部分について示す。また、図2は、本発明の実施形態例の作動を説明するための図で、図1に示したコンベアフレームや搬送チェーン等の部分を省略して要部のみを示した斜視図である。さらに図3は、保持爪の保持部と基準面との関係を説明するための図である。
【0046】
図1に示した本発明の実施形態例の搬送コンベア14の縦断面を、図10に示した従来の搬送コンベア101の縦断面(左側のコンベア)と比較してその相違を説明する。
【0047】
すなわち、図3に示すように、保持爪1は精密機械加工された保持爪の基準面1aが設けられており、この保持爪の基準面1aに対してアーム部1bの先端に設けた保持部1cの凹状の部分、すなわちプリント配線板102の両側端部を保持する部分を精密機械加工する。したがって、保持爪の基準面1aと保持部1cとは所定寸法Yで精密にその位置が決まる。この所定寸法Yの方向は、保持部1cに保持されるプリント配線板102の板面に垂直な方向すなわち上下方向であり、プリント配線板102が溶融はんだ117の噴流波118に浸漬される方向である。
【0048】
尚、保持部1cの近傍のアーム部1bには凹部1dを設けてあり、この凹部1dでの熱伝導が小さくなるように構成してある。これにより、この凹部1dの熱伝導が低下するので、保持爪1の保持部1cが溶融はんだ117に浸漬された際にこの保持部1cの温度が素早く上昇し、この保持部1cに接触した溶融はんだ117が保持部1cに固化して付着することがなくなる。
【0049】
したがって、このようなはんだの付着によって、保持部1cに保持されるプリント配線板102の位置が正規の位置から外れたりすることがなくなり、プリント配線板102の保持位置精度、ひいては搬送位置精度の悪化が解消され、常に正確な搬送位置精度を保つことができるようになる。
【0050】
図1に示すように、ロッド2に固定された保持爪1は、次のように、搬送チェーン3の結合部3aに結合される。すなわち、このロッド2は摺動ロッド部2aと嵌合ロッド部2bとから成り、この嵌合ロッド部2bが搬送チェーン3の結合部3aの孔に上下動可能に嵌め合わされてクリップリング6で固定される。また、嵌合ロッド部2bには圧縮状態で挿入された圧縮ばね4を設けてあり、この圧縮ばね4により通常は保持爪1が搬送チェーン3の下方側に位置するようにテンションが加えられている。
【0051】
摺動ロッド部2aはガイドレール5に摺接して、ロッド2が上下動しても図1の左右方向への位置変動がないように構成されている。また、搬送チェーン3とそのガイドレール5、コンベアフレーム12などの構成は従来の技術(図9、図10の搬送チェーン105、ガイドレール108、コンベアフレーム103など)と同様である。
【0052】
このように構成された保持爪1の位置を精密に決める手段が、図2に示す第1の基準レベル設定装置7である。第1の基準レベル設定装置7は台座8およびこの台座8に軸支用ねじ9とヒンジ10を介して設けられた基準板11とからなり、この台座8はコンベアフレーム12に固定ねじ13で固定されている。
【0053】
このヒンジ10の回動軸の方向と搬送コンベア14の搬送方向Aとは同一であり、これによりヒンジ10の一端10aに設けられた基準板11をY00方向に回動させて、基準板11の先端部分すなわち精密機械加工により形成した基準板の基準面11aをY21,Y22方向すなわち上下方向に移動調節できるように構成されている。
【0054】
また、このヒンジ10の他端10bは軸支用ねじ9により台座8に回動可能に設けられている。この軸支用ねじ9の方向はヒンジ10の回動軸と直交する方向であり搬送コンベア14の搬送方向Aに対してヒンジ10がピッチング方向Pに回動する方向である。これにより、基準板11の先端部分の基準板の基準面11aを搬送方向に対してピッチング方向Pの角度調節ができるように構成されている。
【0055】
基準板の基準面11aの以上のような上下方向の位置調節とピッチング方向Pの角度調節は、図1に示した調節ねじ15、すなわち図2に示した第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bによって行う構成である。
【0056】
すなわち、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bとは、図1および図2に示すように、台座8に設けた挿通孔16を通して基準板11に螺合するが、この螺合は軸支用ねじ9を挟んで搬送方向の前後位置に当たる基準板11の両側端部位置に螺合する。また、両調節ねじ15a、15bには台座8と基準板11との間に圧縮状態の圧縮ばね17を挿通してあり、この圧縮ばね17のテンションにより両調節ねじ15a、15bの螺合位置で決まる位置に基準板11を押し下げて固定するように作用する。
【0057】
これにより、調節ねじ15を回すことにより基準板11がY11,Y12方向に上下動し、基準板の基準面11aをY21,Y22方向に上下動させることができる。尚、調節ねじ15に挿通された筒体18は圧縮ばね17の長さを適度にしてそのテンションを安定化するための部材である。
【0058】
図2は、基準レベル設定装置の作動を分かりやすく説明するための図である。すなわち、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bとを同じ量だけ回動調節すれば基準板11の螺合位置でのこの基準板11の上下量はY11=Y12となり基準板の基準面11aの上下量はY21=Y22となる。そして、ヒンジ10はY00方向に僅かに回動する。
【0059】
また、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bの調節量が異なる場合はそれぞれY11≠Y12,Y21≠Y22となり、基準板11はヒンジ10を介して軸支用ねじ9を回動軸としてピッチング方向Pに回動し、基準板の基準面11aは搬送方向に対してピッチング方向Pに角度調節される。
【0060】
したがって、搬送チェーン3の走行によって一緒に移動する保持爪1が、保持爪の基準面1aを基準板の基準面11aに摺接することによりロッド2がY23方向に上下動し、この保持爪1の保持部1cがY30方向に上下動する。尚、図1においてY21=Y23=Y30となる。保持爪1の保持部1cの上下方向の移動量は基準板の基準面11aの上下方向の位置とピッチング方向Pの角度によって精密に決まるので、第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bとによりこれらを精密に調節することができる。
【0061】
平行2条の搬送コンベア14によりプリント配線板102のような板状の被はんだ付けワークの両側端部102a、102bを保持して搬送する場合は、この両側端部102a、102bの保持高さおよび角度によって搬送位置精度が決まるので、最低限これら2つの要素を2条の搬送コンベア14の間において精密に合わせてトラッキングを行っておく必要がある。
【0062】
すなわち、これら上下調節とピッチング方向Pの角度調節とにより、平行2条に構成される搬送コンベア14によって搬送されるプリント配線板102の板面におけるあらゆる点において、その搬送位置を精密に優れた再現性で定めることができる。
【0063】
ところで、基準板11には図2に示すようにその端部に形成した基準板の基準面11aの部分にスリット19を複数設けてあり、このスリットの基部には円孔20を設けてある。これは、基準板11が過酷な高温環境のはんだ付け装置内に設けられた際に発生する熱膨張を、このスリット19の幅の拡大/縮小として吸収し、基準板の基準面11aに曲がり等の変形を生じないようにするための手段である。すなわち、これにより過酷な高温環境においても基準板の基準面11aの精度が維持される。
【0064】
また、基準板11の縦断面が階段状に形成されている理由も、熱膨張による変形を抑制するためである。
【0065】
(2)基準板のその他の実施形態例
図4を参照して、基準板のその他の実施形態例を説明する。
【0066】
図4は、基準板のその他の実施形態例を説明するための図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のIII一III断面から見た基準板の一部拡大図である。
【0067】
すなわち、図4において、基準板の基準面11aの下方に受け板21を設けて円孔20にグリス(耐熱グリス)23を蓄えた構成であり、これにより、スリット19に僅かずつ流出するグリス23が、基準板の基準面11aと保持爪の基準面1aとが摺接して摺動する際に、それを滑らかな状態に維持することができるようになる。
【0068】
尚、受け板21は基準板11の中央部分のスポット溶接部22のみで例えばスポット溶接等の手段により固着して固定する。これにより、受け板21の熱膨張が基準板11に与える影響を解消することができる。
【0069】
(3)搬入搬送部分の構成(搬送コンベア−2)
図5および図6を参照して、搬入搬送部分の構成について説明する。
【0070】
図5および図6は、搬送コンベアの搬入部分の構成を説明するための図で、図5(a)は平行2条の搬送コンベアの一方のコンベアの搬入部分を上から見た図、図5(b)は(a)を正面から見た際の搬入口部分のみを抜粋して示した図、図6は、図5(a)をIV−IV断面から見た図である。
【0071】
尚、図5(a)においては、スプロケットを、円を用いて省略して示し、また、搬送チェーンを、実線を用いて省略して示している。
【0072】
図9(a)に示す搬送コンベア101の搬送チェーン105は、コンベアフレーム103の両端部に設けられたスプロケット104に張架されて回動走行する。図5(a)は、この搬送コンベア101の搬入口101aの部分のコンベアの一方を拡大して示した図である。
【0073】
すなわち、図5において、搬送チェーン3に上下動可能に設けられた保持爪1は、搬送チェーン3がスプロケット39を旋回するのに合わせて旋回し、その際に、前工程ベルトコンベア25から搬出されたプリント配線板102を搬入ガイド24を介してその保持爪1の保持部1cに保持することで搬入が行われる。
【0074】
搬入ガイド24はホーン状のガイド溝24aを備えて成り、このガイド溝24aに案内されてプリント配線板102が保持爪1の保持部1cに案内される。尚、前工程ベルトコンベア25はローラプーリ26に掛け渡された平行2条のベルト27上に、プリント配線板102の両側端部102a、102bを載置し保持して搬送する仕組みである。
【0075】
したがって、搬入ガイド24による搬入位置と搬送コンベア101の保持爪1の保持部1cの位置とは精密に一致している必要がある。これが一致していないと、前工程ベルトコンベア25からのプリント配線板102の受け渡し/受け取りが行われなくなるばかりか、甚だしい場合には保持爪1の保持部1cからプリント配線板102が外れてこのプリント配線板102を変形させたり破損させたりする。
【0076】
そのため、この搬入口14a部分にも、図1と同様の第2の基準レベル設定装置38を設けてある。すなわち、固定台28は、コンベアフレーム12に固定ねじ29で固定され、この固定台28に固定ねじ30により固定された軸31に、軸受けベアリング32とスラストベアリング33を介して回動自在にスプロケット39を保持してある。
【0077】
このスプロケット39に基準円板34の螺合台座35を固定ねじ36で同軸に固定し、この螺合台座35に同軸に設けた螺合部35aを介して基準円板34を螺合し、その螺合の調節により基準円板34の上下方向の位置すなわち軸線方向の位置を決定する。そして螺合台座35と基準円板34とは調節後に固定ねじ40でその調節状態を保持する構成である。尚、Eリング37はスプロケット39の固定用である。
【0078】
これにより、搬入口14aでスプロケット39に張架された搬送チェーン3とともに旋回する保持爪1は、保持爪の基準面1aが基準円板34の基準面34aに摺接して上方へ持ち上げられることにより、保持爪1の保持部1cの上下方向の位置を基準円板34により精密に合わせることができるようになる。したがって、この搬送コンベア14の搬入口14aよりも前工程側に位置する前工程ベルトコンベア25から搬入されてくるプリント配線板102を、正確かつ確実に受け渡し/受け取ることが可能となる。
【0079】
尚、この第2の基準レベル設定装置38は、平行2条の搬送コンベア14のそれぞれに設けられているので、搬入されるプリント配線板102の両側端部102a、102bにおける搬送位置を合わせて精密に保持することができる。したがって、前工程からのプリント配線板102の受け渡し/受け取りを完全な状態でミスなく行うことができるようになる。
【0080】
【実施例】
図7を参照して、搬送コンベアの搬送位置偏差を測定する実施例を説明する。
【0081】
図7は、搬送コンベアの搬送位置偏差を測定する態様を説明するための図で、(a)は上方から見た図、(b)は搬入口側から見た図であり、図9に示す従来のはんだ付け装置のはんだ槽の領域に本発明の搬送コンベアの技術を適用した場合を示す。
【0082】
すなわち、平行2条のコンベアフレーム12のそれぞれに第1の基準レベル設定装置7を固定ねじ13で固定してある(図1参照)。
【0083】
そして、搬送コンベアの調節すなわち第1の基準レベル設定装置7の調節であるが、これは次のような手順で行う。先ず、保持爪1に保持した測定用板状ワーク102c(平坦度の高い基準となる板)をプリント配線板102のダミーとして搬送し、この測定用板状ワーク102cが第1の基準レベル設定装置7の領域に位置するようにして搬送コンベア14の搬送を停止する。
【0084】
続いて、この測定用板状ワーク102cの搬送方向であるA方向のいずれの座標においてもX方向座標の水平が確保されるように、この測定用板状ワーク102cの搬送方向Aの座標上に水準器を置き、例えば最低でも(イ)(ロ)(ハ)の3点に置き、X座標方向の水平がいずれも確保されるように第1の基準レベル設定装置7の第1の調節ねじ15aと第2の調節ねじ15bを、平行2条の搬送コンベア14のそれぞれについて調節する。
【0085】
この調節により、平行2条に構成されたそれぞれの搬送コンベア14は搬送位置が上下方向においてもピッチング方向Pの角度においても完全に一致し、その搬送軌跡が完全に一致する完全なトラッキング状態が実現する。
【0086】
ここで、X方向座標の水平を基準とする理由は、図9に示されるはんだ槽116によって形成される溶融はんだ117の噴流波118は、プリント配線板102と接触する波頭領域において通常その噴流波118がX座標方向に水平となるように形成されるからである。すなわち噴流波118の水平の波頭と水平に保持され搬送されるプリント配線板102を接触させてはんだ付けが行われるわけである。
【0087】
そして、このように調節されたはんだ付け装置における搬送コンベアに、例えばそのコンベアフレーム12に、測定用板状ワーク102cとの距離を測定する距離センサ41を固定し、搬送されてくる測定用板状ワーク102cとの距離を測定する。なお、Shは測定値の電気信号出力である。
【0088】
この場合、例えば1枚目の測定用板状ワーク102cとの距離(例えば、測定用板状ワーク102cの点(ロ)との距離)hを基準距離とし、2枚目以降に搬送されてくるその距離との偏差を求めるようにして測定する。尚、測定用板条ワークとしては縦横150mm×150mmの大きさのものを用いた。
【0089】
図8は、搬送コンベアの搬送位置偏差の測定結果を示す図であり、横軸は時間tを表し、縦軸は距離hの偏差を表している。すなわち、時間t1〜t2の2枚目の測定用板状ワークでは+0.02mm〜−0.06mmの範囲にその偏差が収まり、時間t3〜t4の3枚目の測定用板状ワークでは−0.05mm〜−0.04mmの範囲にその偏差が納まっている。そして、以下同様である。
【0090】
この測定結果から、偏差は最大でも−0.1mm〜+0.1mmの範囲に納まることがわかる。このデータは、搬送チェーン3に保持爪1を設けた際に従来行われていた組み立て調整を行わない値である。すなわち、そのような作業を行わなくとも、従来の搬送位置精度よりも優れた搬送位置精度が確保されるようになる。ちなみに、従来では保持爪1の1つひとつについて組み立て調整をおこなっても、その搬送位置精度は例えば−0.3mm〜+0.3mm程度に収めることしかできなかった。
【0091】
また、同様の偏差測定を図5に示した搬送コンベアの搬入口についても行ったが、図8に示す結果と同様の−0.1mm〜+0.1mmの範囲に納まる結果が得られた。
【0092】
【発明の効果】
以上のように本発明のはんだ付け装置における搬送コンベアによれば、板状の被はんだ付けワークであるプリント配線板を、その搬送位置において高い精度と高い再現性で搬送することが可能となり、当該のプリント配線板を溶融はんだの噴流波に浸漬する際にも安定した接触状態を保持することが可能となり、良好なはんだ付け品質を安定して維持することができるようになる。
【0093】
特に、平行2条の搬送コンベアにおいては、プリント配線板の両側端部を保持する高さや搬送角度をその両側端部において正確に合わせて完全なトラッキングを行うことができるようなり、プリント配線板を溶融はんだの噴流波に浸漬させる深さを精密に合わせてそれを安定に再現性良く保持することができるようになり、プリント配線板の各部のはんだ付け品質に斑を生じたりするようなこともなく、プリント配線板の各部に対して均質で高品質のはんだ付けを行うことが可能となる。
【0094】
この効果に加えて請求項2の発明では、高温の過酷な温度環境においても高い搬送位置精度を維持することができるようになる。
【0095】
また、これらの効果に加えて請求項3の発明では、搬送コンベアの搬入口においても高い搬送位置精度を確保することができるようになり、前工程の装置から受け渡されるプリント配線板を確実に受け取ることができるようになる。
【0096】
さらに、これらの効果に加えて請求項4の発明では、保持爪の保持部に溶融はんだが固化して付着することがなくなり、この付着に起因してプリント配線板の保持位置にオフセットが与えられて搬送位置に誤差を生じるというようなこともなくなり、安定したはんだ付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における平行2条の搬送コンベアのうち一方の搬送コンベアの縦断面を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の動作を説明するための図である。
【図3】保持爪の保持部と基準面との関係を説明するための図である。
【図4】基準板のその他の実施形態例を説明するための図である。
【図5】搬送コンベアの搬入部分の構成を説明するための図である。
【図6】搬送コンベアの搬入部分の構成を説明するための図である。
【図7】搬送コンベアの搬送位置偏差を測定する態様を説明するための図である。
【図8】搬送コンベアの搬送位置偏差の測定結果を示す図である。
【図9】従来の噴流式はんだ付け装置を説明するための図である。
【図10】従来の噴流式はんだ付け装置を説明するための図である。
【符号の説明】
1 保持爪
1a 保持爪の基準面
1b アーム部
1c 保持部
1d 凹部
2 ロッド
2a 摺動ロッド部
2b 嵌合ロッド部
3 搬送チェーン
3a 結合部(孔部)
4 圧縮ばね
5 ガイドレール
6 クリップリング
7 第1の基準レベル設定装置
8 台座
9 軸支用ねじ
10 ヒンジ
11 基準板
11a 基準板の基準面
12 コンベアフレーム
13 固定ねじ
14 搬送コンベア
14a 搬入口
15 調節ねじ
15a 第1の調節ねじ
15b 第2の調節ねじ
16 挿通孔
17 圧縮ばね
18 筒体
19 スリット
20 円孔
21 受け板
22 スポット溶接部
23 グリス
24 搬入ガイド
24a ガイド溝
25 前工程ベルトコンベア
26 ローラプーリ
27 ベルト
28 固定台
29 固定ねじ
30 固定ねじ
31 軸
32 軸受けベアリング
33 スラストベアリング
34 基準円板
34a 螺合部
35 螺合台座
35a 螺合部
36 固定ねじ
37 Eリング
38 第2の基準レベル設定装置
39 スプロケット
40 固定ねじ
41 距離センサ
102 プリント配線板
102c 測定用板状ワーク
Claims (4)
- コンベアフレームに平行2条に備えられた搬送チェーンに設けた保持爪の保持部で板状の被はんだ付けワークの両側端部を保持して搬入口から搬送し、その搬送途中に備えられたはんだ槽の溶融はんだの噴流波に前記板状の被はんだ付けワークを接触させてはんだ付けを行うはんだ付け装置における搬送コンベアであって、
前記保持爪は、前記板状の被はんだ付けワークを保持する態様において前記板状の被はんだ付けワークの板面に対して上下方向にその保持部との上下位置寸法が規定された保持爪の基準面を有し、かつ前記搬送チェーンの連結部に対して上下方向に上下動可能に設けられたロッドを有し、
前記保持爪の基準面に摺接して前記保持爪を前記上下方向の上方へ持ち上げて所定の上下位置に導く基準面を有する基準板を、前記搬送方向と同方向に回動軸を有するヒンジの一端に固着して前記基準板を前記上下方向に位置調節可能に保持するとともに、前記ヒンジの他端を前記搬送方向および前記上下方向に直交する方向の軸により回動可能に前記コンベアフレームに対して軸支して、前記搬送方向に対して前記基準板をピッチング方向に角度調節可能に設けて成ること
を特徴とするはんだ付け装置における搬送コンベア。 - 前記基準板は、基準板の基準面に搬送コンベアの搬送方向に対して直交する方向のスリットを設けたことを特徴とする請求項1記載のはんだ付け装置における搬送コンベア。
- 前記搬送チェーンを張架して循環回動するスプロケットを前記搬入口に有し、前記保持爪の基準面に摺接して上下方向に持ち上げる基準面を有する基準円板を前記搬入口に位置するスプロケットの回動軸と同軸に上下調節可能に設けたことを特徴とする請求項1または2記載のはんだ付け装置における搬送コンベア。
- 前記保持爪は、前記板状の被はんだ付けワークを保持する保持部の近傍に厚さが薄い凹部が形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のはんだ付け装置における搬送コンベア。
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