例えば、ワークとしての基板においては、生産性を向上させるためにコード情報(例えば、IDコード)を付与し、このコード情報を利用して、製作する基板の管理しており、この場合、基板から読み取ったコード情報に基づいてその基板の生産管理情報が個別に管理される(例えば、特許文献1参照)。この管理方法では、基板に施されたコード情報の位置を検知するための検知センサと、コード情報を読み取るための画像認識カメラとを用い、検知センサによってコード情報の位置を検知し、この検知した位置情報に基づき画像認識カメラでもってコード情報を読み取り、このようにすることにより、基板のコード情報を確実に読み取って基板の生産管理情報を管理することが可能となる。
このようなコード情報をワーク(例えば、基板)に施すマーク印字検査装置として、例えば、図10~図14に示すものが知られている。図10において、このマーク印字装置102は、例えば、工場の床面などに設置固定されるベース本体102と、このベース本体102に所定方向(図11において左右方向)に移動自在に支持された搬送ユニット104と、この搬送ユニット104の上方に配置されたマーク印字手段106(例えば、レーザーマーカ)及び検査カメラ108とを備え、この搬送ユニット104は、矢印110で示す搬送方向に見て上流側に位置する第1の位置(図10及び図12に示す位置)と、下流側に位置する第2の位置(図11及び図13に示す位置)と、この第2の位置よりも更に下流側に位置する排出位置(図14に示す位置)との間を移動可能に構成されている。
搬送ユニット104には、一対の搬送手段114(図10~図14において一方のみ示す)が設けられ、かかる一対の搬送手段114によって、基板112が矢印110で示す搬送方向に移動される。一対の搬送手段114間には停止手段116が設けられ、矢印110で示す方向に搬送される基板112は、停止手段116に当接することにより、印字・検査域118に位置付けられる。
この従来のマーク印字装置では、次のようにして基板112へのマークの印字が行われ、またこの印字マークの検査が行われる。図8~図11をも参照して、基板112へ印字マークを施すには、図7に示すように、搬送ユニット104が第1の位置に位置付けられ、この状態において、基板112が一対の搬送手段114により矢印110で示す方向に搬送され、停止手段116に当接することにより印字・検査域118に位置付けられる(この印字・検査域118に位置付けられた後に搬送ユニット104の作動が停止する)。
次いで、図11に示すように、搬送ユニット104が矢印110に示す方向に第1の位置から第2の位置まで移動され、かかる状態において、検査カメラ108が搬送ユニット104上の基板112(即ち、印字・検査域118に位置する基板112)に施された位置情報マークを読み取り、読み取った位置情報マークの画像認識情報を利用して基板112の位置補正が行われる。
次に、図12に示すように、搬送ユニット104が矢印120で示す方向(矢印110で示す方向と反対方向)に第2の位置から第1の位置に戻され、この状態において、マーク印字手段106が基板112の表面の一部に印字マークを施す。この印字マークを施す際に、上述した画像認識情報に基づいて基板112の位置補正を行い、位置補正を行った状態でマーク印字手段106により印字マークが施される。
その後、図13に示すように、搬送ユニット104が矢印110で示す方向に第1の位置から第2の位置に移動され、かかる状態において、検査カメラ108が搬送ユニット1基板112に施された印字マークを画像認識し、その印字状態を画像検査して所要の通りに印字マークが施されているかを検査する。
しかる後、図14に示すように、搬送ユニット104が更に第2の位置から矢印110で示す方向に第3の位置まで移動され、かかる状態において、停止手段116が作用位置(図10~図13に示す位置)から下方に降下して非作用位置(図14に示す位置)に位置付けられ、その後搬送手段114が作動し、印字マークが施され且つ画像検査された基板112が、矢印110で示す下流側に搬送される。
しかしながら、従来のマーク印字検査装置では、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、このマーク印字検査装置では、搬送ユニット104がベース本体102に移動自在に支持される構成であるために、搬送ユニット104を支持するための機構、また移動させるための駆動源などが必要となり、装置の構成が複雑になるとともに、製造コストが高くなる問題がある。
第2に、この搬送ユニット104が第1の位置から第2の位置を通して第3の位置まで移動自在であるので、これらの位置への移動を許容するための空間が必要となり、そのために装置全体が大きくなる問題がある。
第3に、印字マークを施すときには、搬送ユニット104を第1の位置に移動させて基板112をマーク印字手段106の下方に位置付け、印字した印字マークを検査するときには、搬送ユニット104を第2の位置まで移動させて基板112を検査カメラ108の下方に位置付け、更に基板112を下流側に搬出するときには、この搬送ユニット104を第3の位置まで移動させるために、搬送ユニット104をこれらの位置に移動させるための時間が必要となり、これにより、基板112に印字を施して下流側に流すための工程時間(具体的には、印字マークを施して検査するための時間)が長くなり、生産効率が低くなる問題がある。
上述した問題は、加工検査装置としてのマーク印字検査装置以外にも、例えば、基板に載せられた電子部品をハンダ付けするハンダ付け検査装置、基板112などのワークにマークを印刷するマーク印刷検査装置、基板などのワークに小さな穴加工などを施す穴加工検査装置、基板などのワークにシールなどを貼付するシール貼付検査装置などの加工検査装置にも同様の問題が存在する。このマーク印刷検査装置(又はハンダ付け検査装置、穴加工検査装置、シール貼付検査装置など)においては、例えば、搬送ユニット104が第1の位置に位置するときに基板112に印刷が施され(又は電子部品のハンダ付けが施され、小さな穴加工が施され、シールが貼付され)、この搬送ユニット104が第2の位置に位置するときに施された印刷状態(又はハンダ付けされた電子部品のハンダ状態、加工された小さな穴の穴加工状態、貼付されたシールの貼付状態)の検査が行われる。
本発明の目的は、装置の簡略化、小型化を図ることができるとともに、ワークへの加工の工程及び施した加工の検査の工程の工程時間の短縮を図ることができる加工検査装置を提供することである。
本発明の請求項1に記載の加工検査装置は、ワークを加工・検査域を通して所定方向に搬送するための搬送手段と、前記ワークを前記加工・検査域に停止させるための停止手段と、前記加工・検査域に位置する前記ワークを検査するための検査カメラと、前記加工・検査域に位置する前記ワークに所定の加工を施すための加工手段と、を備えた加工検査装置において、
前記加工手段は前記加工・検査域の上方に配置され、前記検査カメラはチルトレンズ付き画像認識カメラから構成され、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記加工・検査域の斜め上方に配置されており、
前記ワークが前記加工・検査域に位置付けられた状態において、前記加工手段は前記ワークに所定の加工を施し、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記加工手段により施された加工状態を画像検査することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の加工検査装置では、前記ワークは基板であり、前記加工手段は前記基板に印字マークを施すマーク印字手段であり、前記マーク印字手段は前記加工・検査域としての印字・検査域に位置する前記基板に前記印字マークを施し、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記マーク印字手段により施された前記印字マークの印字状態を画像検査することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の加工検査装置では、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記印字・検査域に位置する前記基板に施された位置情報マークを画像認識し、前記マーク印字手段は、前記チルトレンズ付き画像認識カメラによる前記位置情報マークの画像認識情報に基づいて位置補正して前記基板の表面に前記印字マークを施すことを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の加工検査装置では、前記ワークは基板であり、前記加工手段は前記基板に電子部品をハンダ付けするハンダ付け手段であり、前記ハンダ付け手段は前記加工・検査域としてのハンダ付け・検査域に位置する前記基板に載せられた前記電子部品をハンダ付けし、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記ハンダ付け手段によりハンダ付けされた前記電子部品のハンダ付け状態を画像検査することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載の加工検査装置では、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記ハンダ付け・検査域に位置する前記基板に施された位置情報マークを画像認識し、前記ハンダ付け手段は、前記チルトレンズ付き画像認識カメラによる前記位置情報マークの画像認識情報に基づいて位置補正して前記基板に載せられた前記電子部品をハンダ付けすることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載の加工検査装置では、前記チルトレンズ付き画像認識カメラは前記ハンダ付け・検査域に位置する前記基板上のハンダ付け箇所を画像認識し、前記ハンダ付け手段は、前記チルトレンズ付き画像認識カメラによる前記ハンダ付け箇所の画像認識情報に基づいて位置補正して前記基板に載せられた前記電子部品をハンダ付けすることを特徴とする。
更に、本発明の請求項7に記載の加工検査装置では、前記検査カメラは、前記加工・検査域の斜め上方の異なる位置に配置された一対のチルトレンズ付き画像認識カメラから構成され、前記一対のチルトレンズ付き画像認識カメラは、前記加工・検査域に位置する前記基板の画像情報を合成して前記加工手段により施された加工状態を画像検査することを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の加工検査装置によれば、加工手段は加工・検査域の上方に配置され、検査カメラはチルトレンズ付き画像認識カメラから構成され、このチルトレンズ付き画像認識カメラは加工・検査域の斜め上方に配置されているので、ワークは加工・検査域を通して所定の搬送方向に移動させればよく、この加工検査装置の構成を簡単にすることができるとともに、その小型化を図ることができる。また、ワークが加工・検査域に位置付けられた状態において、加工手段はこのワークに所定の加工を施し、またチルトレンズ付き画像認識カメラは、加工手段により施された加工状態を画像検査するので、このワークを移動させることなく加工手段による加工及びチルトレンズ付き画像認識カメラによる画像検査を行うことができる。
また、本発明の請求項2に記載の加工検査装置によれば、ワークは基板であり、加工手段はこの基板に印字マークを施すマーク印字手段であるので、加工・検査域としての印字・検査域に位置する基板に対して、マーク印字手段により印字マークを施し、またチルトレンズ付き画像認識カメラにより施された印字マークの印字状態を画像検査することができる。
また、本発明の請求項3に記載の加工検査装置によれば、チルトレンズ付き画像認識カメラは印字・検査域に位置する基板に施された位置情報マークを画像認識し、マーク印字手段は、チルトレンズ付き画像認識カメラによる位置情報マークの画像認識情報に基づいて位置補正して前記基板に印字マークを施すので、印字・検査域に位置する基板の位置が多少ずれていても位置補正してこの基板の所定部位に印字マークを施すことができる。
また、本発明の請求項4に記載の加工検査装置によれば、ワークは基板であり、加工手段はこの基板に載せられた電子部品をハンダ付けするハンダ付け手段であるので、加工・検査域としてのハンダ付け・検査域に位置する基板に対して、ハンダ付け手段により電子部品のハンダ付けを行い、またチルトレンズ付き画像認識カメラによりハンダ付けされた電子部品のハンダ状態を画像検査することができる。
また、本発明の請求項5に記載の加工検査装置によれば、チルトレンズ付き画像認識カメラはハンダ付け・検査域に位置する基板に施された位置情報マークを画像認識し、ハンダ付け手段は、チルトレンズ付き画像認識カメラによる位置情報マークの画像認識情報に基づいて位置補正して前記基板に載せられた電子部品をハンダ付けするので、ハンダ付け・検査域に位置する基板の位置が多少ずれていても位置補正してこの基板に載せられた電子部品を所要の通りにハンダ付けすることができる。
また、本発明の請求項6に記載の加工検査装置によれば、チルトレンズ付き画像認識カメラはハンダ付け・検査域に位置する基板上のハンダ付け箇所を画像認識し、ハンダ付け手段は、チルトレンズ付き画像認識カメラによるハンダ付け箇所の画像認識情報に基づいて位置補正して前記基板に載せられた電子部品をハンダ付けするので、ハンダ付け・検査域に位置するハンダ対象電子部品の位置が多少ずれていても位置補正してこの基板に載せられた電子部品を所要の通りにハンダ付けすることができる。
更に、本発明の請求項7に記載の加工検査装置によれば、検査カメラは一対のチルトレンズ付き画像認識カメラから構成され、一対のチルトレンズ付き画像認識カメラは、加工・検査域に位置する基板の画像情報を合成して加工手段により施された加工状態を画像検査するので、基板の広範囲に施された加工の加工状態の画像検査を行うことができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う加工検査装置の一例としてのマーク印字検査装置について説明する。図1及び図2において、図示のマーク印字検査装置2は、工場の床面などに設置固定されるベース本体3を備え、このベース本体3に一対の搬送手段4,6(図2参照)が取り付けられている。一対の搬送手段4,6は、マーク印字検査装置2の幅方向(図1において紙面に対して垂直な方向、図2において上下方向)に間隔をおいて配設され、ワークとしての基板8を矢印10で示す搬送方向に後述する如く搬送する。
矢印10で示す搬送方向に見て右側の搬送手段4(右搬送手段)とその搬送方向に見て左側の搬送手段6(左搬送手段)は、基板10を搬送する搬送経路12の幅方向の中心線を基準にして左右対称に構成され、右搬送手段4は基板10の右側部を支持して搬送し、左搬送手段6は基板10の左側部を支持して搬送する。
次に、一対の搬送手段4,6のうち右搬送手段4(左搬送手段6)について説明する。右搬送手段4(左搬送手段6)は、右搬送フレーム本体14(左搬送フレーム本体16)を備え、この右搬送フレーム本体14(左搬送フレーム本体16)の内面に右搬送ベルト機構18(左搬送ベルト機構20)が取り付けられている。右搬送フレーム本体14は、例えば、一対の右支持部材15を介してベース本体3に取り付けられ、また左搬送フレーム本体16は、一対の左支持部材(図示せず)を介してベース本体3に取り付けられている。
右搬送ベルト機構18(左搬送ベルト機構20)は、右搬送フレーム本体14(左搬送フレーム本体16)の両端部に回転自在に支持された一対の従動プーリ22,24と、一対の従動プーリ22,24間に配設された一対のテンションプーリ26,28と、一対のテンションプーリ26,28間に配設された駆動プーリ30とを備え、これらプーリ22~30に搬送ベルト32が巻き掛けられている。
搬送ベルト32の上走行部34は従動プーリ22から下流側に他方の従動プーリ24に向けて直線状に延び、その下走行部36はこの従動プーリ24からテンションプーリ28、駆動プーリ30及び他方のテンションプーリ26に巻き掛けられた後に従動プーリ22に至る。駆動プーリ30には駆動モータ37(搬送用駆動源を構成する)の出力軸が駆動連結され、この駆動モータ37が駆動されると、搬送ベルト32の上走行部34は矢印10で示す方向に移動される。
右搬送手段4及び左搬送手段6の間には停止手段38が配設され、この停止手段38は、ストッパ部材40と、このストッパ部材40を上下方向に移動させるための駆動用シリンダ機構42(ストッパ用駆動源を構成する)とを備え、駆動用シリンダ機構42の出力部がストッパ部材40に連結されている。このように構成されているので、駆動用シリンダ機構42が伸張すると、ストッパ部材40が上方に移動して図1に示す作用位置(図3及び図4にも示す位置)に位置し、この作用位置においてはに搬送経路12に突出する。また、この駆動シリンダ機構42が収縮すると、ストッパ部材40が下方に移動して図5に示す非作用位置に位置し、この非作用位置においては搬送経路12から下方に後退する。
この停止手段38に関連して、加工・検査域としての印字・検査域44が設けられ、矢印10で示す方向に下流側に移動する基板8(ワーク)は、停止手段38のストッパ部材40に当接して印字・検査域44に位置付けられる(図4参照)。この印字・検査域44の上方(即ち、印字・検査域44に位置する基板8の上方)には、加工手段としてのマーク印字手段46が固定的に配設され、このマーク印字手段46は、例えば、レーザーマーカから構成される。このレーザーマーカは、例えば、基板の表面に品質管理用、工程管理用などに利用する二次元バーコード、バーコード、管理番号などを印字する。
また、この印字・検査域44の斜め上方(即ち、印字・検査域44に位置する基板8の斜め上方)、この実施形態では、矢印10で示す搬送方向において印字・検査域44の下流側の斜め上方に、マーク印字手段46により施された印字マークを検査確認するための検査カメラ48が固定的に配設されている。この検査カメラ48としては、例えば、それ自体周知のチルトレンズ付き画像認識カメラを好都合に用いることができる。このチルトレンズ付き画像認識カメラは、レンズが斜めに取り付けられており、このような画像認識カメラでは、斜め上方から画像を取り込んでも基板の手前側と奥側との双方にピントが合い、画像を補正することによって真上から見たような画像にすることができ、これにより、斜め上方から取り込んだ画像であってもマーク印字手段46による印字マークを正確に読み取ることができる。
この実施形態では、検査カメラ48(チルトレンズ付き画像認識カメラ)を基板8の搬送方向に見て印字・検査域44の下流側の斜め上方に設けているが、この印字・検査域44の上流側の斜め上方に設けるようにしてもよく、或いはこの搬送方向に対して垂直な横方向の斜め右上方又は斜め左上方に設けるようにしてもよい。
次に、このマーク印字検査装置2による基板8へのマーク印字及びその検査は、次のようにして行われる。図1及び図2とともに図3~図6を参照して、基板8への印字マークを施すには、図4に示すように基板8を搬送経路12の印字・検査域44に位置付ける(基板位置付け工程S1)。即ち、右搬送手段4及び左搬送手段6の駆動モータ37(搬送用駆動源)が作動されて搬送ベルト32の上走行部34が矢印10で示す方向(即ち、基板8の搬送方向)に移動され、上流側からの基板8は、その片側部(右側部)が右搬送手段4の搬送ベルト32の上走行部34に導かれ、その他側部(左側部)が左搬送手段6の搬送ベルト32の上走行部34に導かれ、これら搬送ベルト32の上走行部34に載置支持された状態で矢印10で示す方向に搬送される。
このとき、停止手段38のストッパ部材40が作用位置に保持されて搬送経路12内に突出しており、従って、基板8が印字・検査域44まで移動されると、基板8の先端部がこのストッパ部材40に当接し、その移動が阻止されて印字・検査域44に位置付けられる。尚、基板8が印字・検査域44まで移動すると、右搬送手段4及び左搬送手段6の駆動モータ37の作動が停止し、それらの搬送ベルト32による基板8の搬送が停止する。
この位置付けが終了すると、次に、図5に示すように、まずカメラ手段48(チルトレンズ付き画像認識カメラ)が印字・検査域44の基板8に施された位置情報マーク(図示せず)を読み取り、読み取った位置情報マークを画像処理して印字マークを施す部位の位置補正を行う(位置情報マークの読取り工程S2)。カメラ手段48としてチルトレンズ付き画像認識カメラを用いることにより、基板8の位置情報マークを斜め上方から取り込んで所要の通りに認識することができ、これにより、印字・検査域44に位置する基板8の位置情報マークの画像認識情報に基づいて正確な位置補正を行うことができる。
次いで、マーク印字手段46(例えば、レーザーマーカ)により印字・検査域44に位置する基板8の表面に印字マークを施す(印字マークの印字工程S3)。このとき、マーク印字手段46は、基板8から読み取った位置情報マークの画像認識情報に基づいて位置補正を行って基板8の表面に印字マーク(図示せず)を施すので、基板8の所定部位に正確に印字マークを施すことができる。この印字マークとしては、二次元バーコード、バーコード、管理番号などのマークであり、このような印字マークは、例えば基板8の生産管理などに用いられる。
その後、基板8の表面に施した印字マークの検査を行う(印字マークの検査工程S4)。即ち、カメラ手段48(チルトレンズ付き画像認識カメラ)は、マーク印字手段46により施された印字マーク(図示せず)を読み取り、読み取った印字マークを画像処理して印字マークの印字状態、即ち印字マークが所要の通りに(例えば、所定の部位に所定の内容でもって)印字されているかを検査する。このときもカメラ手段48としてチルトレンズ付き画像認識カメラを用いることにより、基板8に施された印字マークを斜め上方から取り込んで所要の通りに画像認識して印字マークの印字状態を正確に検査することができる。
しかる後、図6に示すように、印字マークが施された基板8の下流側への搬送を行う(基板の搬出工程S5)。即ち、右搬送手段4及び左搬送手段6の駆動モータ37が再び作動されて搬送ベルト32の上走行部34が矢印10で示す方向に移動され、また、停止手段38の駆動用シリンダ機構42(ストッパ用駆動源)が収縮し、ストッパ部材40が非作用位置に位置付けられて搬送経路12から後退し、これにより、印字マークが施された基板8は、これら搬送ベルト32の上走行部34に載置支持された状態で矢印10で示す方向に下流側に搬送される。
このマーク印字検査装置2では、上述した記載から理解される如く、位置情報マークの読取り工程S2、印字マークの印字工程S3及び印字マークの検査工程S4において基板8を移動させる必要がなくなり、これにより、基板を移動させるための移動機構が不要になるとともに、基板を移動させるための時間もなくなり、装置の構成を簡単にすることができるとともに、装置全体の小型化を図ることができ、更には、印字マークを印字のためのタクト時間、また施された印字マークを検査するためのタクト時間の短縮をも図ることができる。
尚、上述した実施形態では、印字マークの印字工程S3の前に位置情報マークの読取り工程S2を行って印字・検査域44に位置する基板8の位置補正を行っているが、この基板8を印字・検査域44に所要の通りに位置付けることができるときには、この位置情報マークの読み取り工程S2を省略することもできる。
次に、図7を参照して、本発明に従う加工検査装置の一例としてのマーク印字検査装置の他の実施形態について説明する。尚、この他の実施形態において、上述した実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
この他の実施形態のマーク印字検査装置2Aでは、カメラ手段48Aは一対のチルトレンズ付き画像認識カメラ52,54から構成されている。一対のチルトレンズ付き画像認識カメラ52,54は、印字・検査域44の斜め上方の異なる位置に配設され、一方のチルトレンズ付き画像認識カメラ52は、矢印10で示す搬送方向に見て印字・検査域44の上流側の斜め上方に配設され、他方のチルトレンズ付き画像認識カメラ54は、この搬送方向に見て印字・検査域44の下流側の斜め上方に配設されている。
これら一対のチルトレンズ付き画像認識カメラ52,54は、印字・検査域44に位置する基板8に印字された印字マーク(図示せず)を読み取り、これら画像認識カメラ52,54により読み取られた画像情報は基板8の画像認識情報として合成され、このように画像情報を合成することにより、基板8の広い範囲にわたって施された印字マークの印字状態を正確に画像検査することができる。
尚、この他の実施形態では、一対のチルトレンズ付き画像認識カメラ52,54を基板8の搬送方向に間隔をおいてマーク印字手段46の両側に(搬送方向に見て上流側の斜め上方及び下流側の斜め上方)に配設しているが、このような構成に代えて、例えば、基板8の搬送方向に対して垂直な横方向に間隔をおいてマーク印字手段46の両側に(搬送方向に見て右側の斜め上方及び左側の斜め上方)に配設するようにしてもよい。
次に、図8及び図9を参照して、本発明に従う加工検査装置の一例としてのハンダ付け検査装置について説明する。図8において、図示のハンダ付け検査装置62は、ベース本体63を備え、このベース本体63に一対の搬送手段64が取り付けられ(図8において一方のみ示す)、ワークとしての基板66を矢印68で示す搬送方向に後述する如く搬送する。
図8と図1とを対比することによって容易に理解される如く、このハンダ付け検査装置62の基本的構造は、上述したマーク印字検査装置と実質上同一であり、一方の搬送手段64(他方の搬送手段)は、右搬送フレーム本体70(左搬送フレーム本体)に取り付けられたに右搬送ベルト機構72(左搬送ベルト機構)を備え、この右搬送ベルト機構72(左搬送ベルト機構)は、一対の従動プーリ74,76と、一対の従動プーリ74,76間に配設された一対のテンションプーリ78,80と、一対のテンションプーリ78,80間に配設された駆動プーリ82とを備え、これらプーリ74~82に搬送ベルト84が巻き掛けられている。
一対の搬送手段64の間には停止手段85が配設され、この停止手段85のストッパ部材86は、作用位置にあるときには上方に突出して矢印68です方向に移動する基板66に当接する。この停止手段38に関連して、加工・検査域としてのハンダ付け・検査域87が設けられ、矢印68で示す方向に下流側に移動する基板66(ワーク)は、停止手段85のストッパ部材86に当接して印字・検査域44に位置付けられる。このハンダ付け・検査域87の上方(即ち、ハンダ付け・検査域87に位置する基板66の上方)には、加工手段としてのハンダ付け手段88が固定的に配設され、このハンダ付け手段88は、例えば、レーザーハンダ付け器から構成される。このレーザーハンダ付け器は、例えば、レーザー光でハンダ材(例えば、クリームハンダ)を溶かしてハンダ付けする。
また、このハンダ付け・検査域87の斜め上方(即ち、ハンダ付け・検査域87に位置する基板66の斜め上方)、この実施形態では、矢印68で示す搬送方向においてハンダ付け・検査域87の下流側の斜め上方に、ハンダ付け手段88によりハンダ付けされた電子部品90(例えば、半導体チップ)のハンダ付け状態を検査確認するための検査カメラ92が固定的に配設されている。この検査カメラ92としては、上述したと同様に、それ自体周知のチルトレンズ付き画像認識カメラを好都合に用いることができる。
次に、このハンダ付け検査装置62による基板66の電子部品90(例えば、半導体チップ)へのハンダ付け及びその検査は、次のようにして行われる。図8及び図9を参照して、基板8の電子部品90をハンダ付けするには、このハンダ付け・検査域87の上流側において、基板66の所定部位(ハンダ付けする部位)にハンダ材(例えば、クリームハンダ)の塗布が行われ(ハンダ材の塗布工程S11)、塗布されたハンダ材に位置するように電子部品90が載せられ(電子部品の載置工程S12)、このようにして電子部品90が載せられた基板66がハンダ付け検査装置62に搬送される。
そして、このように搬送されてきた基板66が、図8に示すように、上述したと同様にして搬送経路のハンダ付け・検査域87に位置付けられる(基板位置付け工程S13)。
次に、カメラ手段48(チルトレンズ付き画像認識カメラ)がハンダ付け・検査域87の基板66に施された位置情報マーク(図示せず)を読み取り、読み取った位置情報マークを画像処理してハンダ付けを施す部位の位置補正を行う(位置情報マークの読取り工程S14)。
このような位置補正は、カメラ手段48(チルトレンズ付き画像認識カメラ)がハンダ付け・検査域87の基板66上のハンダ付け箇所を画像認識し、読み取ったハンダ付け箇所を画像認識してハンダ加工を施す部位の位置補正を行うようにしてもよく、この場合、ハンダ付け・検査域87に位置する基板66におけるハンダ対象の電子部品90の位置が多少ずれていても位置補正してハンダ付けすることができる。
次いで、ハンダ付け手段88(例えば、レーザーハンダ付け器)が、ハンダ付け・検査域87に位置する基板8に載った電子部品90のハンダ材にレーザー光を照射してハンダ付けを行う(電子部品のハンダ付け工程S15)。このとき、ハンダ付け手段88は、基板66から読み取った位置情報マークの画像認識情報に基づいて位置補正を行って電子部品90のハンダ材にレーザー光を照射して溶かしてハンダ付けしているので、電子部品90を正確にハンダ付けすることができる。この実施形態では、一つの電子部品90をハンダ付けしているが、二つ以上の電子部品90をハンダ付けするようにしてもよい。
その後、電子部品90のハンダ付け状態の検査を行う(ハンダ付け状態の検査工程S16)。即ち、カメラ手段92(チルトレンズ付き画像認識カメラ)は、ハンダ付け手段88によるハンダ取付状態を撮影し、撮影したハンダ付け状態を画像処理してこのハンダ付け状態が所要の通りに行われているか(例えば、電子部品90が所定部位に固定されているか、ハンダ不良がないかなど)を検査する。そして、この検査後に、電子部品90がハンダ付けされた基板66が、上述したと同様にして下流側に搬送される(基板の搬出工程S17)。
このようなハンダ付け検査装置62においても、位置情報マークの読取り工程S14、電子部品のハンダ付け工程S15及びハンダ付け状態の検査工程S16において基板66を移動させる必要がなくなり、これにより、基板を移動させるための移動機構が不要になり、また基板を移動させるための時間もなくなり、上述したと同様の作用効果を達成することができる。
以上、本発明に従う加工検査装置としてのマーク印字検査装置の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、加工検査装置の一例としてのマーク印字検査装置に適用して説明したが、このマーク印字検査装置に限定されず、基板などのワークに所定の印刷を施すマーク印刷検査装置、基板などのワークに所定の穴加工を施す穴加工検査装置、基板などのワークにシールを貼付するシール貼付検査装置などの他の形態の加工検査装置にも同様に適用することができ、この場合、検査カメラ(チルトレンズ付き画像認識カメラ)は、ワークに施された加工状態、例えば、印刷状態、穴加工状態、シール貼付状態を検査するようになる。