JP3838957B2 - セラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置 - Google Patents

セラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、セラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置に関し、さらに詳しくは、多重化したセラミックス粒子の生成を防止または抑制することのできるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
優れた耐熱性、耐摩耗性および耐衝撃性を有するセラミックス微粒子は、その特性により、粉砕ボール材料、軸受材料、生体材料、水または大気の浄化吸着材、核融合炉ブランケット材、切削工具材料、研磨工具材料、または研削工具材料などに広く利用されている。
【0003】
前記セラミックス微粒子は、セラミックス原料粉末を高分子化合物の水溶液中に分散させてスラリーを調製し、このスラリーをノズルから液化冷媒例えば液体窒素中に滴下することによりスラリーの液滴凍結体を形成させ、次いで、この液滴凍結体をゲル化剤と接触させてゲル粒子を得、得られたゲル粒子を乾燥することにより製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−151434号公報(特許請求の範囲および図1)
【0005】
ところが、このセラミックス微粒子の製造方法においては、前記スラリーを液化冷媒中に滴下して液滴凍結体を形成させる工程で、液化冷媒中に滴下された液滴がその内部まで完全に凍結を完了する前に、他の滴下された液滴と衝突または接触し、液滴凍結体同士が相互に結合してなる集合液滴凍結体が形成されるという現象が生じ、その結果、本来前記個々の液滴凍結体から得られる個々のセラミック粒子が相互に結合してなる多重化したセラミックス粒子(以下、「多重セラミックス粒子」ということがある。)が多量に生成するという問題を有していた。
【0006】
この多重セラミックス粒子は、単一の液滴凍結体から生成されるセラミックス微粒子(以下、「単一セラミックス微粒子」ということがある。)に比し、粗大で、その形状や大きさも不均一であることから、不良品と評価される。このため、多重セラミックス粒子を目視により選別して除去しなければならなかった。また、振動する金属板などの上で転動させて、単一セラミックス微粒子と多重セラミックス粒子とをその軌跡の相違を利用して選別し、除去することも行われていた。この選別された多重セラミックス粒子は、廃棄処分されていた。
【0007】
このように、多重セラミックス粒子が生成すると、単一セラミックス微粒子と多重セラミックス粒子とを選別除去する工程を必要とし、その上、歩留まりの悪化、廃棄物の増大などを招くため、多重セラミックス粒子の生成を防止または抑制することが強く要望されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、前記の要望に応え、多重化したセラミックス粒子の生成を防止または抑制することのできるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために、セラミックス原料粉末を高分子化合物の水溶液中に分散させて調製されるスラリーを液化冷媒中に滴下することによりスラリーの液滴凍結体を形成させるに当たり、用いる液化冷媒槽の内部構造について種々検討を重ねた結果、液化冷媒槽内に複数の壁体を設けることにより、多重セラミックス粒子の生成を防止または抑制することのできるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体が形成可能であるということを見出し、この知見に基づいてこの発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、前記課題を解決するためのこの発明の手段は、
液化冷媒槽内に、台座および前記台座上に直立して配置された複数の壁体を備えて成ることを特徴とするセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置である。
【0011】
この発明の手段の好ましい態様としては、前記台座が、支持体上に設置されて成るセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置、前記液化冷媒槽が、液体窒素槽であるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置、前記壁体が、矩形状壁体であるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置、前記矩形状壁体の頂角部が前記液化冷媒槽内の中央に向いて成るセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置および前記壁体が、前記液化冷媒槽の内壁に沿って、それぞれ対向する位置に配置されて成るセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明に係るセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置は、液化冷媒槽内に、台座および前記台座上に直立して配置された複数の壁体を備えて成る。
【0013】
以下、図面に基づき、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置について説明する。図1は、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置の一例を示す平面図であり、図2は、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置の一例を示す断面図である。図1および2において、1は液化冷媒槽、2は保冷材、3は支持体、4は台座、5−1は壁体(A)、5−2は壁体(B)、6は液滴滴下位置、7は液化冷媒の液面を示す。
【0014】
一般的に言うと、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置によって、セラミックス微粒子製造用液滴凍結体を形成するに先立ち、まず、セラミックス原料粉末を高分子化合物の水溶液中に分散させてスラリーを調製する。
【0015】
セラミックス原料としては特に制限はなく、例えば、Al、Zn、Sn、Ti、Zr、Si、Fe、B、Liなどの元素またはこれらの複合元素を成分とする酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの汎用の原料を挙げることができる。このようなセラミックス原料は、通常、平均径0.05〜50μmの粉末である。
【0016】
また、高分子化合物としては、水溶性高分子化合物が用いられ、この水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロースなどを挙げることができる。
【0017】
前記スラリーは、このような高分子化合物の水溶液中に前記セラミックス原料粉末を分散させて調製される。このときの高分子化合物の水溶液の濃度に特に制限はないが、通常は、0.5〜15質量%である。分散は、ミキサーなどにより、20〜100℃で0.5〜2時間、攪拌することによって行われる。
【0018】
高分子化合物の水溶液中にセラミックス原料粉末を分散させて調製されるスラリーにおけるセラミックス原料粉末の濃度にも特に制限はないが、通常は、5〜60質量%、好ましくは、10〜50質量%である。この濃度が5質量%未満では、最終的に生成するセラミックス微粒子の強度が小さくなることがあり、60質量%を超えると、滴下が困難となることがあるので好ましくない。
【0019】
このようにして調製されたスラリーを用い、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置によって、セラミックス微粒子製造用液滴凍結体を形成する。
【0020】
この発明の一例であるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置は、液化冷媒槽1内に、台座4と前記台座4上に直立して配置された4基の壁体(A)5−1及び壁体(B)5−2とを備えて成る。
【0021】
液化冷媒槽1は、液体窒素、液体アンモニア、液体亜硫酸ガス、液体フレオンなどの液化冷媒を収容した槽である。環境保全の上から、液化冷媒槽1は、液体窒素を収容することのできる槽すなわち液体窒素槽であることが、好ましい。
【0022】
図1に示すように、液化冷媒槽1は、円筒状に形成され、金属製、特に耐食性に優れるステンレス製であることが好ましい。その大きさは、セラミックス微粒子の製造規模によって適宜、決定される。また、この液化冷媒槽1は、中空二重構造となっていて、その中空部には、ポリスチレン発泡体、ポリウンタン発泡体、グラスウール、ケイ酸カルシウム、パーライトなどの保冷材2が充填されている。この保冷材2により、液化冷媒槽1内の液化冷媒の気化を抑制し、可能な限り長時間、液化冷媒の液体状態が保持される。
【0023】
台座4は、円板形状を有し、前記液化冷媒槽1内に水平に固定された状態で配置される。図2における3は、この台座4を固定的に支持する支持体である。この台座4の直径は、液化冷媒槽1の内径よりも小さく設計され、したがって、液化冷媒槽1内に配置された台座4の円周と液化冷媒槽1の内周面との間に、間隙が生じている。この間隙は、台座4の下面下に存在する液化冷媒から発生する気泡が台座4の下面下から台座4の上方へと通り抜ける通路となる。この間隙の寸法は、台座4の下面下で発生した液化冷媒1中の気泡が前記間隙を通り抜けて液化冷媒槽1の内壁面に沿って液化冷媒中を上昇することにより、台座4の上方における液化冷媒の液流を発生させるように、決定される。なお、円板状をなす台座4の下面に付着する気泡は、前記間隙を通過する気泡の群により発生する液化冷媒の流動により、台座4の下面から離脱して台座4の円周方向へと移動して行くのでさしあたり問題がないが、台座4の下面に多量の気泡が滞留すると安全上の問題を生じるから、台座4の下面を台座4の中心線上に頂点を有する下向きの円錐面に形成しておくと、台座4の下面に到達する気泡を台座4の縁辺へと円滑に移動させることができるので、このような下向き円錐形をした台座4の下面形状が、安全上好適である。
【0024】
なお、この台座4は適宜の駆動装置によって台座4の中心を軸にして回転可能に形成されていてもよいが、図1に示されるように、通常は支持体3上に固定設置されている。これら支持体3、および台座4は、ステンレス製であることが好ましい。
【0025】
図1に示されるように、台座4上には、4基の壁体(A)5−1と4基の壁体(B)5−2とが立設固定されている。それぞれ4基の壁体(A)5−1及び壁体5−2(B)は、円形をなす台座4の上方に存在する液化媒体の対流を形成し易くすること、前記対流の整流をすること、液化媒体中に滴下された液滴および滴下後に半固化状態となった液滴凍結体による衝突を受けること、それによって前記液滴および半固化状態の液滴凍結体の移動速度を減少させることができるように、その形状及び配置が決定される。
【0026】
前記壁体(A)5−1は、互いに直交するように形成された一対の壁面材からなり、図1に示されるように、台座4上にこの壁体(A)5−1を立設したときに、この壁体(A)5−1の高さが液化媒体の液面より高くなるように設計される。
【0027】
図1に示されるように、4基の壁体(A)5−1は、台座4の上面上に、一方の壁体(A)5−1の一つの壁面材が他方の壁体(A)5−1の一つの壁面材と所定の間隔を有して相対向するように、しかも4基の壁体(A)5−1が共同して前記壁面材により台座4の上面上に十文字の通路が形成され、しかもその十文字の通路の交差部が台座4の中心部を通るように、配置される。
【0028】
壁体(A)5−1と他の壁体(A)5−1とを相対向して配置する場合のその相互間隔は、後述する壁体(B)5−2を壁体(A)5−1と他の壁体(A)5−1との間に配置することができる寸法となるように、決定される。
【0029】
他方の壁体(B)5−2は、前記壁体(A)5−1よりも小さな規模で形成されてなる。壁体(B)5−2は、壁体(A)5−1と同様に、互いに直交するように形成された一対の壁面材からなり、図1に示されるように、台座4上にこの壁体(B)5−2を立設したときに、この壁体(B)5−2の高さが液化媒体の液面より低くなるように設計される。
【0030】
この壁体(B)5−2の高さが液化媒体の液面より低く設定されていると、台座4の円周部と液化冷媒槽1の内壁面との間隙を通って台座4の下方より沸き上がる気泡により発生する液化媒体の前記液化冷媒槽1の内周面に沿って上昇する液化媒体の液流が、液化媒体の液面から液化媒体の中心部すなわち台座4の中心部の上方に対応する位置に、前記4基の壁体(B)5−1により形成された十文字状に形成された通路を通って、容易に流通することができるようになる。
【0031】
また、この壁体(B)5−2それぞれは、図1に示されるように、一対の壁面材が接合する辺が台座4の中心部に向かうように、立設配置される。このように4基の壁体(B)5−2が配置されていると、台座4の上面上に存在するところの、台座4の中心部から周辺部に向かう液化媒体の液流が、適度に調節されることになる。
【0032】
前記液化冷媒槽1の上方であって、台座4の中心部に向かって液滴を滴下することができる位置に、前記スラリーを滴下するスラリー滴下ノズル(図示せず。)が、配置される。このスラリー滴下ノズルから滴下される液滴の容積及び液滴の滴下速度については特に制限がなく、液化冷媒槽中に滞留する液滴の時間等により適宜に決定される。具体的には、前記スラリー滴下ノズルから液滴が、1〜5滴/秒の滴下速度で滴下されることができる。また、このスラリー滴下ノズルから滴下される液滴は、自然落下によってもよいし、機械的手段によって制御された滴下であってもよい。
【0033】
この発明の一例であるセラミック微粒子製造用液滴凍結体の形成装置の上記構成の作用について、以下に説明する。
【0034】
液化冷媒槽1に、液化冷媒例えば液体窒素が、壁体(A)5−1の上端辺よりも低く、壁体(B)5−2の上端辺よりも液体窒素の液面が高くなるように、収容される。
【0035】
液化冷媒槽1内においては、液体窒素中から多数の気泡が沸き上がっている。台座4の下方に存在する液体窒素中から沸き上がる気泡は、台座4の周辺部と液化冷媒槽1の内周面との間隙を通り抜けて、液体窒素の液面に向かって上昇する。気泡が液面に向かって上昇することにより、台座4の上面上に存在する液体窒素において、液化冷媒槽1の内周面に沿って下方から上方に向かう液流が発生し、液面に到達した液流は液化冷媒槽1における内周面から液化冷媒槽1の中心部に向かい、液化冷媒槽1の中心部から台座4の中心部に向かう下降流となり、台座4の中心部に至った液体窒素が台座4の上面上に沿って台座4の中心部から台座4の周辺部へと向かう。
【0036】
もっとも、4基の壁体(A)5−1が台座4上に配設されているので、液体窒素の液面における液流は、4基の壁体(A)5−1により形成される十文字状の通路を通って液化冷媒槽1の中心部に向かう。液化冷媒槽1の内周面から壁体(A)5−1における壁面材に向かう液体窒素の液流は、壁体(A)5−1に阻まれて液化冷媒槽1の中心部に至らない。したがって、液体窒素の液面における液体流れは、液化冷媒槽1の内周面から中心部に向かう液流のうちの一部だけが、液化冷媒槽1の中心部に向かうことになる。したがって、4基の壁体(A)5−1により、液化冷媒槽1の中心部に向かう液体窒素の液面における流量が調整されて、流量調整作用が発揮される。
【0037】
液体窒素の液面において液化冷媒槽1の内周面から中心部に向かった液体窒素の液流は、台座4の中心部上方から台座4の上面中心部へと下降する。4基の壁体(A)により形成される十文字状の流通路を通って液化冷媒槽1の内周面から中心部へと液体窒素が流れ込んで来ることにより調整された流量の液体窒素が液化冷媒槽1内の液体窒素の液面側から台座4の中心部へと下降する際の液体窒素の流速は、穏やかな下降流となっている。
【0038】
このとき、液化冷媒槽1における液体窒素の中心部へと、スラリー滴下ノズルから、スラリーの液滴を滴下する。
【0039】
滴下された液滴は、液体窒素に接触することにより液滴内の水分が液体窒素中に移行し、また液滴の表面から凍結していくことにより、液滴の外表面が固化して行く。この発明においては、外表面が固化してはいるけれど内部は充分に固化していない液滴をも、液滴凍結体と称する。
【0040】
液体窒素中で、液滴はその外表面を固化させつつ、液面から台座4上へと下降していく。そのような液滴凍結体の表面に液体窒素から発生する気泡が付着し、付着した気泡が液滴凍結体から離脱するときに離脱する気泡の反作用により液滴凍結体は、液体窒素の流れに沿って、または前記流れとは異なる方向に、流動する。
【0041】
台座4の上方に存在する液体窒素は、台座4の上方中心部から下方中心部に向かった後に、台座4の上面に沿って、前記4基の壁体(A)5−1により形成される十文字状の通路に沿って台座4の縁辺部へと向かう流れを、形成している。
【0042】
台座4の上面に沿って中心部から縁辺部へと向かう液体窒素の流れと気泡が離脱することによる反作用とによって液滴凍結体は、液体窒素内で転動することとなる。この転動により液滴凍結体は、台座4の中心部に滞留し、蓄積することがなく、台座4の周辺部へと転動移動して行く。台座4の中心部に、外表面が不完全に凍結した液滴凍結体が滞留し、蓄積することがないので、複数の液滴凍結体が結合してなる多重粒子の生成が抑制される。また、この液滴凍結体の移動に際し、一部の液滴凍結体が壁体(A)5−1及び壁体(B)5−2の壁面に衝突する。衝突した液滴凍結体の移動速度が減少する。減少した移動速度で液体窒素中を液滴凍結体が移動し、台座4の上面において液体窒素の中心部から縁辺部に向かう整流が形成されているので、液滴凍結体が液体窒素中を転動移動していく間に液滴凍結体の内部にまで凍結が進行する。外表面が固く凍結した液滴凍結体は、液滴凍結体同士が接触しても、もはや相互に結合することがない。
【0043】
完全に凍結した液滴凍結体は、例えば液体窒素を完全に蒸発させてしまうと、固形物として液化冷媒槽1中に存在するので、液化冷媒槽1を傾斜するなどして液滴凍結体を捕集することができる。
【0044】
捕集された液滴凍結体は、ゲル化剤と接触させてゲル粒子とし、得られたゲル粒子を乾燥することにより、セラミックス微粒子が製造される。得られるセラミックス微粒子の粒径は0.1〜2.5mmであることが好ましい。そして、セラミックス製品は、このセラミックス微粒子を所望により成形し、焼成することによって製造される。
【0045】
用いるゲル化剤としては、アセトンが好ましいが、添加剤として使用するポリビニルアルコールなどの高分子化合物中に含まれる水分子を脱水し、ゲル化させる物質であれば、アセトンに限定されることはない。液滴凍結体とゲル化剤とを接触させる態様に制限はないが、通常は、液滴凍結体をゲル化剤中に投入し、一定時間、保持することにより行われる。ゲル粒子の乾燥条件にも制限はないが、通常は、20〜100℃で1〜10時間、乾燥処理される。
【0046】
以上、この発明の一例について説明したが、この発明は前記一例に限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲で様々に設計変更をすることができる。
【0047】
例えば、この発明における台座として、図1に示される台座4の代わりに、円錐形をした上面を有する円錐台座を採用することができる。円錐台座を採用すると、台座の中心部から台座の縁辺部へと液滴凍結体を円滑に転動移動させることができる。
【0048】
例えば、この発明における複数の壁体として、図1に示される壁体の代わりに、以下の作用を奏することができるその形状に制限がない。
【0049】
作用
(1)液化冷媒槽内に存在する液化冷媒の表面近くにおいて、液化冷媒槽の内周面近傍から液化冷媒槽の中心部へと向かう液化冷媒の流量を減少させる流量調整作用、
(2)液化冷媒槽内に存在する液化冷媒の表面近くにおいて、液化冷媒槽の内周面近傍から液化冷媒槽の中心部へと向かう液化冷媒の流れを整流にする整流作用、
(3)液化冷媒槽内に存在する液化冷媒の中心部において、液化冷媒の表面から台座へと下降する液化冷媒の流速を減少させる流速減少作用。
【0050】
台座の上に配置される壁体は、図1に示されるような、液化冷媒の液面よりも高い高さ寸法を有する壁体と液化冷媒の液面よりも低い高さ寸法を有する壁体との組合せでなくてもよく、二種の壁体のいずれもが液化冷媒の液面よりも高い高さ寸法を有するように設計してもよい。
【0051】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。
【0052】
SUS304を材料として、支持体3上に設置したφ266mmの台座4、幅70mm、高さ130mmの壁体(A)5−1(頂角の角度を90°として、2枚の板を溶接して作製)4個および幅47mm、高さ130mmの壁体(B)5−2(頂角の角度を100°として、2枚の板を溶接して作製)4個を、液化冷媒槽1内に設置された台座4の上面上に取り付け、図1および2に示すセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を作製した。保冷材2としては、ポリスチレン発泡体を使用した。
【0053】
作製されたセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置においては、図1および2に示すように、相対的に大きな幅を有する壁体(A)5−1と相対的に小さな幅を有する壁体(B)5−2とが交互に配置されていて、これら壁体5は、前記液化冷媒槽1の内壁に沿って、それぞれ対向する位置に配置されている。
【0054】
前記のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を用いてセラミックス微粒子製造用液滴凍結体を形成するに先立ち、まず、セラミックス原料粉末としてリチウムタイタネート(LiTiO)を用い、この粉末を3質量%ポリビニルアルコール水溶液中に分散させて、25質量%のスラリーを調製した。
【0055】
次いで、液体窒素を液化冷媒槽1に充填し、液化冷媒液面7を一定に維持するように液体窒素を供給した。続いて、前記調製されたスラリーの液滴を、液滴滴下位置6に向けて約2滴/秒の滴下速度で自然滴下させ、液滴凍結体を形成させた。スラリーの滴下を全て完了した後、形成された液滴凍結体をアセトン中に投入して2時間保持し、ゲル粒子を得た。
【0056】
このようにして、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を用いて得られたゲル粒子と、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を用いることなく、単に液体窒素を充填した容器に、前記調製されたスラリーの液滴を滴下して液滴凍結体を形成し、この液滴凍結体から得られたゲル粒子とについて、全ゲル粒子に対する多重セラミックス粒子の原因となる多重ゲル粒子の生成割合を調べた。
【0057】
その結果、前者では18質量%であり、後者では質量42%であった。このように、この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置を用いて得られたゲル粒子に含有される多重セラミックス粒子の原因となる多重ゲル粒子の量は、著しく低減されていることが確認された。
【0058】
【発明の効果】
この発明によれば、多重化したセラミックス粒子の生成を防止または抑制することのできるセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置が提供され、セラミックス製品の製造分野に寄与するところはきわめて多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置の平面図である。
【図2】この発明のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置の断面図である。
【符号の説明】
1 液化冷媒槽
2 保冷材
3 支持体
4 台座
5 壁体
5−1 壁体(A)
5−2 壁体(B)
6 液滴滴下位置
7 液化冷媒液面

Claims (6)

  1. 液化冷媒槽内に、台座および前記台座上に直立して配置された複数の壁体を備えて成ることを特徴とするセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置。
  2. 前記台座が、支持体上に設置されて成る請求項1に記載のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置。
  3. 前記液化冷媒槽が、液体窒素槽である請求項1または2に記載のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置。
  4. 前記壁体が、矩形状壁体である請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置。
  5. 前記矩形状壁体の頂角部が、前記液化冷媒槽内の中央に向いて成る請求項4に記載のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置。
  6. 前記壁体が、前記液化冷媒槽の内壁に沿って、それぞれ対向する位置に配置されて成る請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックス微粒子製造用液滴凍結体の形成装置。
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