JP2018104787A - アトマイズ金属粉末の製造方法及びアトマイズ金属粉末の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気膜・膜沸騰による冷却抑制の問題を解決するためのより適切な手段を提供する。【解決手段】鉛直方向に落下する溶融金属流の鉛直方向長さLdの領域と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却し、非晶質化率90%以上の軟磁性鉄粉であるアトマイズ金属粉末を製造するアトマイズ金属粉末の製造方法であって、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に、鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持つ斜面を有し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下から斜面下端までの斜面の長さLeが80mm以上である衝突部を設置し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突部の斜面に冷却中の金属粉末を衝突させることを特徴とするアトマイズ金属粉末の製造方法とする。【選択図】図2
Description
本発明は、水アトマイズ装置を用いた金属粉末(以下、アトマイズ金属粉末ともいう)の製造方法に関する。特にFe系元素(Fe、Ni、Co)が多い非晶質金属粉末を製造するための水アトマイズ時の冷却速度を向上させることができる製造方法及び製造装置に関する。
従来から、金属粉末を製造する方法として、アトマイズ法がある。このアトマイズ法には、溶鋼の流れに高圧の水ジェットを噴射して金属粉末を得る水アトマイズ法、水ジェットに代えて不活性ガスを噴射するガスアトマイズ法などがある。
水アトマイズ法では、ノズル等より噴射した水ジェットで溶鋼の流れを分断し、粉末状の金属(金属粉末)とするとともに、水ジェットで粉末状の金属(金属粉末)の冷却も行ってアトマイズ金属粉末を得ている。一方、ガスアトマイズ法では、ノズルより噴射した不活性ガスにより溶鋼の流れを分断し、粉末状の金属としたのち、通常、粉末状の金属を、アトマイズ装置の下に備えられた水槽、あるいは流水のドラム中に落下させて、粉末状の金属(金属粉末)の冷却を行ってアトマイズ金属粉末を得ている。
金属粉末を製造する上では、水アトマイズ法はガスアトマイズ法に比べて、生産能力が高く、低コストである。ガスアトマイズ法では、アトマイズする際に、不活性ガスを使用する必要があり、かつアトマイズする際のエネルギー力も水アトマイズ法には劣る。また、ガスアトマイズ法によって製造された金属粉末はほぼ球形にあるのに対して、水アトマイズ法によって製造された金属粉末は不定形状である。モーターコアなどを製造するためにその金属粉末を圧縮成型した際、ガスアトマイズ法で得られた球形金属粉末より、水アトマイズ法で得られた不定形状な金属粉末の方が、粉末同士が絡みやすく圧縮後の強度が高くなる利点がある。
近年、省エネルギーの観点から、例えば電気自動車やハイブリッド車に使用されるモーターコアの低鉄損化及び小型化が要望されている。従来、モーターコアは、電磁鋼板を薄くして積層させて製作されてきたが、最近では、形状設計の自由度が高い金属粉末を用いて作製したモーターコアが注目されている。このようなモーターコアの低鉄損化のためには、使用する金属粉末の非晶質化(アモルファス化)することが有効であると考えられる。非晶質化した金属粉末を得るためには、溶融状態の高温からアトマイズしながら、アトマイズした金属粉末を冷却媒体で急速冷却することによって結晶化を防ぐ必要がある。また低鉄損化とともにモーターの小型化、高出力化のためには磁束密度を上昇させる必要があり、高磁束密度化にはFe系成分(Ni、Coを含む)の濃度が重要で、Fe系濃度(Fe系成分の濃度)が76〜90at%程度のモーターコア用非晶質化軟磁性金属粉末が求められている。Fe濃度が80at%クラスになると冷却速度が106K/s以上が必要とされる。そのため、金属粉末を急冷する方法がいくつか提案されている。金属粉末の低鉄損化と磁束密度向上を両立させることは非常に困難なことである。一例として、特許4584350号公報の実施例78に見られるように、Fe83.3at%の材料を水アトマイズした場合には、粒径を3μm以下まで篩うことによりようやく非晶質化率が90%を超えている。しかし、粒径が大きい場合には、表面よりも遅れて冷却される粒内部が徐冷となることで大きな非晶質化率が安定して得られていない。
高温の溶鋼を水によって冷却すると、水が溶鋼に接触した際に、水は一瞬のうちに蒸発して溶鋼の周りに蒸気膜を形成し、被冷却面と水との直接接触を妨げる状態(膜沸騰の発生)になり、冷却速度が上がらなくなる。
非晶質鉄粉を製造する上で、この蒸気膜・膜沸騰による冷却抑制の問題を解決するために、特許文献1による検討がされている。
特許文献1には、蒸気膜に覆われた金属粉末の進行方向を変更させて蒸気層を分離させる方法が開示されている。
特許文献1に開示されるような、蒸気膜に覆われた金属粉末の進行方向を変更させて蒸気層を分離させる方法は、進行方向を変える際に、蒸気膜をまとっている金属粉末の温度が高すぎると、また再び周囲にある冷却水のために蒸気膜で覆われる可能性がある。また、逆に冷却ブロックに当たったときの温度が低すぎると、金属粉末が凝固して結晶化が進む可能性がある。このため、蒸気膜に覆われた金属粉末の進行方向を変更させて蒸気層を分離させる方法は、蒸気膜・膜沸騰による冷却抑制の問題を解決するための手段として十分とはいえない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蒸気膜・膜沸騰による冷却抑制の問題を解決するためのより適切な手段を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、蒸気膜に覆われた金属粉末の進行方向を変更するのではなく、蒸気膜に覆われた金属粉末を所定の長さ板に沿って移動させることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
[1]鉛直方向に落下する溶融金属流の鉛直方向長さLdの領域と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却し、非晶質化率90%以上の軟磁性鉄粉であるアトマイズ金属粉末を製造するアトマイズ金属粉末の製造方法であって、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に、鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持つ斜面を有し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下から斜面下端までの斜面の長さLeが80mm以上である衝突部を設置し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突部の斜面に冷却中の金属粉末を衝突させることを特徴とするアトマイズ金属粉末の製造方法。
[2]前記衝突部は2枚の板からなり、該2枚の板はいずれも鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持ち、上辺部が水平方向と平行になり、上辺部同士が接触し、該上辺部の接触位置が長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に位置することを特徴とする[1]に記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
[3]前記衝突部は、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に頂点が位置し、中心軸の方向が鉛直方向と一致するように設置された、頂角が20〜120°である円錐体または多角形錐体であることを特徴とする[1]に記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
[4]前記衝突部は、前記斜面が螺旋斜面となる螺旋状の板状部材であることを特徴とする[1]に記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
[5]前記アトマイズ金属粉末が、Fe系成分(Fe+Ni+Co)を含む軟磁性金属粉末であり、Fe系成分(Fe+Ni+Co)が76at%以80at%未満では非晶質化率95%以上、Fe系成分(Fe+Ni+Co)が80at%以上86at%未満では非晶質化率90%以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
[6]鉛直方向に落下する溶融金属流の鉛直方向長さLdの領域と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却し、非晶質化率90%以上の軟磁性鉄粉であるアトマイズ金属粉末を製造するためのアトマイズ金属粉末の製造装置であって、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に、鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持つ斜面を有し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下から斜面下端までの斜面の長さLeが80mm以上である衝突部を設置されたことを特徴とするアトマイズ金属粉末の製造装置。
本発明によれば、蒸気膜に覆われた金属粉末を所定の長さ板に沿って移動させることで、蒸気膜・膜沸騰による冷却抑制の問題をより効果的に解決できる。その結果、本発明により高Fe系軟磁性材料の非晶質化が可能となる。この高Fe系軟磁性材料の粉末(軟磁性鉄粉)を成型後に適切な熱処理を施せば、ナノサイズの結晶が析出し、低損失性と高磁束密度を両立できることが可能となる。
本発明は、例えば従来知られる任意の非晶質利用軟磁性材料の水アトマイズ製造に用いることができる。加えて近年では、まてりあVol.41 No.6 P.392, Journal of Applied Physics 105, 013922(2009)、特許4288687号公報、特許4310480号公報、特許4815014号公報、WO2010−084900号、特開2008−231534号公報、特開2008−231533号公報、特許2710938号公報などに示されるように磁束密度の大きなヘテロアモルファス材料や、ナノ結晶材料が開発されてきている。これらの高Fe系成分濃度の軟磁性材料の水アトマイズによる製造に際して、本発明はきわめて有利に適合する。特にat%でFe系成分濃度が82.5%を超えると、さらには83.5%を超えると、アトマイズ後の非晶質化率が90%を超えかつ(篩下粒径)−75μmの粒径とした際に飽和磁束密度(Bs)値が極めて大きくなるため本発明の効果は顕著である。また、上記範囲外の組成範囲のものに適用して、従来より容易に大径の粉末に対しても安定して非晶質粉末が得られる効果を有する。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明は、非晶化率が90%以上の軟磁性鉄粉の製造方法である。まず、「軟磁性鉄粉」について説明する。本発明の製造方法は、一般的な軟磁性鉄粉の製造に適用することができる。本発明においては、Fe系成分(Fe+Ni+Co)を含む軟磁性金属粉末であり、Fe系成分が多い軟磁性鉄粉の製造に好ましく用いることができる。具体的には、Fe系成分(Fe+Ni+Co)が76at%以上80at%未満の場合に、非晶質化率95%以上の軟磁性鉄粉を製造できる。Fe系成分(Fe+Ni+Co)が80at%以上86at%未満の場合に非晶質化率90%以上の軟磁性粉末を製造できる。特に、80.0%<Fe+Ni+Co<86%の軟磁性粉末の製造に本発明を用いれば、篩下粒径25μmにおいて非晶質化率90%以上含有するヘテロアモルファス材、ナノ結晶材料、もしくはこれらの原料である軟磁性鉄粉を製造することができる。また、篩下粒径が75μmまでであれば本発明により容易に非晶質化率90%以上の軟磁性鉄粉を製造することができる。なお、上記篩下粒径とは篩による分級法で測定された粒径(篩下粒径25μmは500メッシュ篩を通過した粉末、篩下粒径75μmは200メッシュ篩を通過した粉末)を意味する。また、上記組成の金属粉末の製造には、上記組成の溶鋼を原料として用いればよい。
本発明は、鉛直方向に落下する溶融金属流と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却する金属粉末の製造方法に関する。本発明はこの製造方法において衝突部を用いる点に特徴がある。先ず、衝突部を用いない、通常の「鉛直方向に落下する溶融金属流と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却する金属粉末の製造」について、図1に示す水アトマイズ金属粉末の製造装置を用いて説明する。
図1の水アトマイズ金属粉末の製造装置は、冷却水用温度調節機16を用いて、冷却水タンク15中の冷却水の温度を調整し、温度調整された冷却水をアトマイズ冷却水用高圧ポンプ17に送り、アトマイズ冷却水用高圧ポンプ17からアトマイズ冷却水用配管18を通して、アトマイズ装置14に送り、このアトマイズ装置14から、鉛直方向に落下する溶融金属流と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却して、金属粉末を製造する。本発明の製造方法では、アトマイズ装置14を、衝突部を有するアトマイズ装置に変更することで実施することができる。この衝突部を有するアトマイズ装置が本発明の製造装置に相当する。以下、図2を用いて、「衝突部を有するアトマイズ装置」について説明する。
図2には、溶解炉1、溶解炉1で溶かした溶鋼3を注ぐタンディッシュ2、タンディッシュ2に注がれた溶鋼3をアトマイズ水流に向けて落下させる溶鋼注入ノズル4、高圧水を噴射する為のノズルヘッダー5、高圧水を噴射するスプレーノズル6、溶鋼注入ノズル4によって落下してくる溶融金属流7、スプレーノズルより噴射された冷却水流8(高圧水に相当)、アトマイズ装置全体を覆っているチャンバー9、粉末回収用ホッパー10、不活性ガスバルブ11、溶鋼温度(溶融金属流における溶鋼温度)を測定するファイバー温度計12、粉末回収バルブ13が図示されている。以上の構成は、通常のアトマイズ装置の一例である。なお、本発明の説明に必要のない装置は省略されている。
図2において、本発明の特徴である衝突板51(衝突部に相当)は、不活性ガスバルブ11での調整により雰囲気が調整されたチャンバー内9にステー52で固定して設置されている。図2に示すように、衝突板51は、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に、鉛直方向に対してθの傾きを持つ斜面を形成する。また、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下から斜面下端までの斜面の長さがLeである。本発明においては、上記θが10〜60°、Leが80mm以上になっていることが必要である。また、図2に示すように、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突板51の表面に冷却中の金属粉末を衝突させることができるように、衝突板51を長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に配置することが重要である。
次に、本発明において重要な条件となるLd、Leについて図3を用いて説明する。図3は落下する溶融金属流7に、スプレーノズル6からの高圧水が衝突し、金属粉末が製造される様子を示す模式図である。ここで、高圧水の噴射速度はVj(m/s)とする。噴射速度(Vj)は噴射圧によるが、本発明における高圧水が噴射圧20〜60MPaで噴射された冷却水であることを考慮すれば、約200〜300m/sである。膜沸騰を除去するためにも噴射圧は20MPa以上必要であるが、60MPaを超えると配管費用等がたかくなるため60MPaまでとした。
スプレーノズル6からの高圧水は、図3に示すように、鉛直方向に広がっている(鉛直方向に一定の長さを持つ)ため、落下する溶融金属流7と衝突する際に、落下する溶融金属流7の鉛直方向長さLdの領域と衝突する。このLdの領域では、高圧水が分断された溶融金属流7に直接作用して膜沸騰を除去して冷却している。通常Ldは衝突圧分布測定による調査の結果10〜40mm程度である。この領域Ldを直接接触領域と呼ぶ場合がある。
上記の通り、高圧水は、落下する溶融金属流7の鉛直方向長さLdの領域と衝突するため、高圧水により冷却が開始されるのはLdの領域の上端になる。したがって、ここでの溶融金属流7の温度を冷却開始温度Ts(K)とする。本発明の製造対象である非晶質化した軟磁性鉄粉を製造する場合、冷却開始温度は、通常1673〜1373K程度である。なお、高圧水の衝突位置は、適切な冷却開始温度から適宜決められる。
また、直接接触領域よりも下側(Ld領域以降)は分断された溶融金属流7の周りを蒸気膜が覆って徐冷される。しかし、本発明の非晶質化した軟磁性鉄粉を得るためには、冷却速度Cv(平均冷却速度=(冷却開始温度−冷却終了温度)/冷却時間)は約106K/s以上にする必要がある。また、非晶質化のための冷却終了温度Tf(K)は約973〜773K程度である。このように、冷却開始温度から冷却停止温度までの温度範囲である(ΔT[K])を急冷する必要がある。ここで、Ldに加えて、長さLe分だけ蒸気膜に覆われずに急冷される必要があるとすると、Leは次のように算出できる。
蒸気膜に覆われずに急冷される必要がある長さLcはLe+Ldになる。また、Lcは、ΔT、Vj、Cvを用いて、Lc=ΔT(Vj/Cv)で表すことができる。ΔTが600K、Vj=200m/s、Cv=106K/sとすると、Lc=700・200/106=0.14m(140mm)となる。上記の通り、Ldは10〜40mm程度である。したがって、Leは100mm以上が好ましい。また、Ts(K)が1673〜1373K程度でありTf(K)が973〜773K程度であることからΔTが600K未満になることや、冷却速度は最低でも106K/s必要でありこれより速い場合もあることを考慮すれば、Leは100mm以下でも本発明の効果を奏する。具体的にはLeは80mm以上であれば本発明の効果を奏すると考えられる。また、Leの上限は特に限定されないが、200mm以下が好ましい。
上記の製造装置を用いて、アトマイズ金属粉末を製造する方法が、本発明の製造方法に相当する。具体的には、1673〜1373K程度の溶融金属流7に高圧水を衝突させ、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突部の斜面に冷却中の金属粉末を衝突させる方法で、アトマイズ金属粉末を製造する方法である。
次いで、本発明の効果について説明する。
先ず、本発明の効果の概要について図4を用いて説明する。図4は本発明の製造方法において金属粉末が冷却される様子を模式的に示す図である。本発明では、上記で説明した構成を満たすことで、金属粉末が斜面を転がりながら冷却される。上記特許文献1にされるような、金属粉末の方向を変える技術の場合、金属粉末が斜面に衝突後反射して、進行方向が変わるが、上記の通り、本発明では、金属粉末は衝突板に衝突後、斜面の傾斜に沿って斜面の傾斜方向に転がりながら冷却される。このように冷却されることで、蒸気膜が消失した状態が継続し続け、金属粉末と水(高圧水からの水)との直接接触状態が維持され、冷却が促進されると考えられる。
上記の通り、本発明では、衝突板は、鉛直方向に対してθの傾きを持つ斜面を形成し、上記θが10〜60°である。上記θが10°未満になると、冷却効率が低下する。これは、角度が狭すぎて、金属粉末が斜面と衝突しないか、衝突しても斜面から離れてしまい、上記直接接触状態が維持され続けないためと考えられる。また、上記θが60°超になると、冷却効率が低下する。これは、金属粉末が衝突板に衝突後、はじかれ、斜面から離れてしまい、上記直接接触状態が維持され続けないためと考えられる。また、θが大きすぎると、80mm以上の十分なLeを確保することが困難である。
また、本発明では、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に衝突板を配置し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突板の表面に冷却中の金属粉末を衝突させる。長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突板の表面に冷却中の金属粉末を衝突させることで、膜沸騰状態で冷却される時間が無いか、ほとんど無くなるため、冷却が促進される。
また、上記の通り、金属粉末が斜面を転がりながら冷却できればよく、そのために必要な条件は、高圧水を用いること、Ld直下に斜面が存在すること、斜面の鉛直方向に対する傾斜角度が10〜60°であり、Leが80mm以上であることである。したがって、これらの条件を満たせば、図5に示すような、衝突部が2枚の板51Aからなり、該2枚の板はいずれも鉛直方向に対して10〜60°の傾き(θ)を持ち、上辺部が水平方向と平行になり、上辺部同士が接触し、該上辺部の接触位置が長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に位置する場合であってもよい。
また、図6に示すように、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に頂点が位置し、中心軸の方向が鉛直方向と一致するように設置された、頂角が20〜120°、母線の長さが80mm以上である円錐体(円錐状衝突部)51B(多角形錐体でも可)であってもよい。
また、図7に示すように、衝突部は、斜面が螺旋斜面となる螺旋状の板状部材(螺旋型衝突部)51Cであってもよい。
図2、6〜7に示すタイプの装置を用いて、本発明の効果の確認を行った。表中の「衝突部の種類」の項目で、「衝突部51」は図2のタイプの装置を用いたことを意味し、「板状衝突部51A」は図5のタイプの装置を用いたことを意味し、「円錐状衝突部51B」は図6のタイプの装置を用いたことを意味し、「螺旋状衝突部51C」は図7のタイプの装置を用いたことを意味し、「無し」は衝突部を備えない装置を用いたことを意味する。斜面の角度はθまたは頂角の大きさを意味する。また、衝突部の材質、製造した金属粉末の組成、金属粉末中のFe系成分の含有量も表に示した。また、噴射圧、水量の条件も表に示し、非晶化率とその評価(90%以上の場合を「○」)も表に示した。なお、いずれの金属粉末も非晶質化率を調査した粒径は篩下粒径25μ、篩下粒径75μmとした。
表1の実施例1〜3、比較例1及び2との対比から、斜面の傾斜角度が10〜60°の範囲にあれば、非晶化率を顕著に高められることを確認した。
表1の実施例1〜3、比較例3との対比から、高圧水を用いることで、非晶化率を顕著に高められることを確認した。
また、表2から円錐状の衝突部、螺旋状の衝突板のいずれでも同様の効果が得られることが確認された。
1 溶解炉
2 タンディッシュ
3 溶鋼
4 溶鋼注入ノズル
5 ノズルヘッダー
6 スプレーノズル
7 溶融金属流
8 冷却水流
9 チャンバー
10 粉末回収用ホッパー
11 不活性ガスバルブ
12 ファイバー温度計
13 粉末回収バルブ
14 アトマイズ装置
15 冷却水タンク
16 冷却水用温度調節機
17 アトマイズ冷却水用高圧ポンプ
18 アトマイズ冷却水用配管
51 衝突部
51A 板状衝突部
51B 円錐状衝突部
51C 螺旋型衝突部
2 タンディッシュ
3 溶鋼
4 溶鋼注入ノズル
5 ノズルヘッダー
6 スプレーノズル
7 溶融金属流
8 冷却水流
9 チャンバー
10 粉末回収用ホッパー
11 不活性ガスバルブ
12 ファイバー温度計
13 粉末回収バルブ
14 アトマイズ装置
15 冷却水タンク
16 冷却水用温度調節機
17 アトマイズ冷却水用高圧ポンプ
18 アトマイズ冷却水用配管
51 衝突部
51A 板状衝突部
51B 円錐状衝突部
51C 螺旋型衝突部
Claims (6)
- 鉛直方向に落下する溶融金属流の鉛直方向長さLdの領域と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却し、非晶質化率90%以上の軟磁性鉄粉であるアトマイズ金属粉末を製造するアトマイズ金属粉末の製造方法であって、
長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に、鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持つ斜面を有し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下から斜面下端までの斜面の長さLeが80mm以上である衝突部を設置し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下で、衝突部の斜面に冷却中の金属粉末を衝突させることを特徴とするアトマイズ金属粉末の製造方法。 - 前記衝突部は2枚の板からなり、該2枚の板はいずれも鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持ち、上辺部が水平方向と平行になり、上辺部同士が接触し、該上辺部の接触位置が長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に位置することを特徴とする請求項1に記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
- 前記衝突部は、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に頂点が位置し、中心軸の方向が鉛直方向と一致するように設置された、頂角が20〜120°である円錐体または多角形錐体であることを特徴とする請求項1に記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
- 前記衝突部は、前記斜面が螺旋斜面となる螺旋状の板状部材であることを特徴とする請求項1に記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。
- 前記アトマイズ金属粉末が、Fe系成分(Fe+Ni+Co)を含む軟磁性金属粉末であり、
Fe系成分(Fe+Ni+Co)が76at%以80at%未満では非晶質化率95%以上、
Fe系成分(Fe+Ni+Co)が80at%以上86at%未満では非晶質化率90%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアトマイズ金属粉末の製造方法。 - 鉛直方向に落下する溶融金属流の鉛直方向長さLdの領域と衝突する高圧水を噴射し、該溶融金属流を分断して金属粉末とし、かつその金属粉末を冷却し、非晶質化率90%以上の軟磁性鉄粉であるアトマイズ金属粉末を製造するためのアトマイズ金属粉末の製造装置であって、
長さLdの領域の鉛直方向下端の直下に、鉛直方向に対して10〜60°の傾きを持つ斜面を有し、長さLdの領域の鉛直方向下端の直下から斜面下端までの斜面の長さLeが80mm以上である衝突部を設置されたことを特徴とするアトマイズ金属粉末の製造装置。
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CN113828780A (zh) * | 2020-06-24 | 2021-12-24 | 湖南天际智慧材料科技有限公司 | 一种二次急冷式非晶粉末生产设备及其方法 |
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2016
- 2016-12-28 JP JP2016254623A patent/JP2018104787A/ja active Pending
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