JP3838519B2 - 吐出ヘッド製造方法及び吐出ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は吐出ヘッド製造方法及び吐出ヘッドに係り、特に薄膜積層構造を有する液吐出ヘッドの製造技術及びに構造に関する。
近年、画像やドキュメント等のデータ出力装置としてインクジェットプリンターが普及している。インクジェットプリンターは記録ヘッドに備えられたノズル等の記録素子をデータに応じて駆動させ、該ノズルから吐出されるインクによって記録紙などの被記録媒体(記録メディア)上にデータを形成することができる。
インクジェットプリンターでは、多数のノズルを有する記録ヘッドと被記録媒体とを相対的に移動させ、該ノズルからインク滴を吐出させることによって被記録媒体上に所望の画像が形成される。
インクジェット記録装置から出力される画像の印字品質は、搭載される印字ヘッドの性能に大きく依存する。即ち、出力される画像の印字品質を向上させるには印字ヘッドの性能を上げることが必要になる。
インクジェット記録装置に搭載される印字ヘッドには被記録媒体の全幅に対応した長さのノズル列を備えたフルライン型の印字ヘッドや、被記録媒体の幅よりも短い長さのノズル列を備え、被記録媒体の幅方向に走査させながら被記録媒体の幅方向のラインを形成するシリアル型(シャトルスキャン型)の印字ヘッドがある。フルライン型の印字ヘッドでは、該印字ヘッドが被記録媒体上を1回走査することで被記録媒体の全印字領域に画像が形成されるシングルパス印字が可能であり、前記シリアル型ヘッドに比べて高速の印字が可能である。
画像品質を向上させるためには、被記録媒体上に微小ドットを高密度に形成させる必要がある。これは、印字ヘッドに設けられる微小孔径を有するノズルを高密度に配置させることになり、印字ヘッドに設けられるノズル、圧力室(インク室)の形成には加工精度のよい微細加工技術が用いられる。
しかしながら、上述したフルライン型の印字ヘッドのような長尺タイプの印字ヘッドでは、構造上反りが発生し易くなる。特に、長手方向は短手方向に比べて反りが発生し易くなっており、該印字ヘッドに反りが発生すると印字性能に大きな影響を与える。
例えば、印字ヘッド長手方向の反りが発生すると、ヘッド中央部付近とヘッド両端部付近では、印字ヘッドのノズル形成面(印字ヘッドの被記録媒体と対向する面)から被記録媒体までのクリアランスが異なってしまい、ヘッド両端部付近のノズルから打滴されたインクの着弾位置に大きな誤差が生じることがある。更に、カラー画像印字に対応すべく色ごとに印字ヘッドを備えた場合、各ヘッド間で着弾位置の誤差があると色むらの原因となり得る。
このように、印字ヘッドの反りは画像ずれや色むらなどの原因となり、該インクジェットプリンターから出力される画像品質に大きな影響を及ぼすことになる。
一般に、インクジェットプリンターなどに搭載される印字ヘッドは、複数の薄膜(薄板)部材が積層される積層構造を有している。これらの各層を形成する部材に反りが発生すると、各層間の接合不良や各層間で連通される穴、開口等の位置ずれなどが発生し、所定の印字性能を満足できないことがあり得る。また、複数の薄膜部材を積層させる積層構造では、各層の熱膨張の違いによって、熱処理工程の後、常温に戻す際に、反りが発生し易くなっている。
このような問題を解決するために、各層を形成する部材には要求される加工精度に合わせて加工方法及び該加工方法に適した材料が選択される。一方、熱処理時に発生する反りを防止するために反りが起こりにくい材質(熱膨張係数の低い材質)を選択し、また、該印字ヘッドの構成部材に反りが発生しても製造上及び構造上の工夫によって各層の反りを打ち消すように構成したり、積層構造全体として反りを打ち消すように構成したりすることで印字ヘッドの印字性能が維持されている。
特許文献1に記載された液吐出ヘッド及びその製造方法では、振動板が金属材料酸化物で構成され、圧力室の隔壁が耐食性金属材料で構成されており、圧力室の耐食性を高めるように構成されている。
また、特許文献2に記載された液吐出ヘッド及びその製造方法では、振動板が圧電材料で構成され、圧力室隔壁を耐食性金属材料で構成されており、振動板が圧電体と兼用されるように構成されている。
特開2003−136714号公報 特開2003−136715号公報
しかしながら、精度のよい微細加工を行うためには各層ごとに加工方法に適した材質を用いる必要がある。これは、積層構造を構成する層ごとに異なる材質が用いられることがあり、これらの材質の熱膨張係数が異なると、熱処理後に反りを発生させることになる。また、反りにくい材質の中には加工が困難なものや特殊な加工技術を要するものがあり、後工程の難易度が上がったり、工程数が増えたりしてしまうことがあり得る。
特許文献1、特許文献2に記載された液吐出ヘッド及びその製造方法では、圧力室の材料には耐食性金属材料を用い、形成方法にはウエットエッチングが用いられる。例えば、圧力室の材料にSUS (ステンレス鋼板)を用いると、SUS のウエットエッチングではエッチング液をコントロールして角Rやテーパをなくして微細な形状を形成することは困難である。また、基板(振動板)にエアロゾルデポジション法で圧電膜形成をする際の熱に起因する反りを考慮すると、該基板厚を厚くする必要があり、その基板にエッチングで圧力室を形成する場合、アスペクト比が高い形状の加工には加工精度の面から不利である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、液吐出ヘッドの製造時に発生する反りを防止すると共に精度のよい微細加工を実現する吐出ヘッド製造方法及び吐出ヘッドを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、被吐出媒体上に吐出させる液滴に吐出力を与える圧電体を有する吐出ヘッドの製造方法であって、ベース基板の少なくとも何れか1つの面にエアロゾルデポジション法を用いて圧電体膜を形成させる圧電体膜形成工程と、前記圧電体膜形成工程によって形成された前記圧電体膜形成時或いは前記圧電体膜形成後のうち少なくとも何れか一方で前記圧電体膜に熱処理を施して焼結させる熱処理工程と、前記圧電体膜形成工程及び前記熱処理工程を経て前記圧電体が形成された後に前記圧電体の前記ベース基板と反対側の面に振動板を接合或いは成膜により形成する振動板形成工程と、前記振動板の前記圧電体と反対側の面にエアロゾルデポジション法を用いて圧力室壁を形成させる圧力室形成工程と、前記圧力室に収容される液を吐出させる吐出孔が形成された吐出孔板を前記圧力室壁に接合させる吐出孔板接合工程と、前記ベース基板の前記圧電体の個別電極形成領域に対応する部分を除去するとともに他の部分を残すベース基板除去工程と、前記ベース基板除去工程の後に、前記圧電体膜の個別電極形成領域に個別電極を形成する個別電極形成工程と、を含み、前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが所定の範囲内であることを特徴とする。
即ち、圧電体が形成されるベース基板の熱膨張係数aが該圧電体の熱膨張係数bと近い値になる材料を該ベース基板に適用し、圧電体膜を該ベース基板上に形成させた後或いは、該ベース基板上に該圧電体膜を形成させるときのうち少なくとも何れか一方で圧電体膜を加熱して焼結させる熱処理を施すように構成したので、熱処理工程から常温化する際に起こる該ベース基板及び該圧電体の反りを低減させることができる。また、ベース基板は圧電体の個別電極形成領域が除去されるので、圧電体の駆動による振動板の変位を妨げない。
また、熱処理工程後に振動板を接合或いは成膜させ、圧力室壁を形成し、吐出孔板を圧力室壁に接合させるので、圧力室壁板や吐出孔板は熱処理による反りが発生しない。
薄膜形成技術には、粒子状の材料を基板上に堆積させて薄膜を形成するエアロゾルデポジション法(AD法)などの堆積法、融点の高い金属を電極として放電溶解させ該溶融粒子を高速で被めっき材に吹き付けて被覆するスパッタリングなどの溶射法、パターニングされた金属を浸食液などによって除去し所望の形状を得るエッチングなどの食刻法を含んでもよく、また、これ以外にも、ゾルゲル法、レーザアブレーション、MOCVD、蒸着などを含んでいてもよい。
ベース基板は圧電体を形成させるためのベースとなる基板であり、該圧電体形成の後に振動板及び圧力室が形成され、吐出孔板の接合が行われると、その一部が除去される。但し、該ベース基板を残した部分は剛性が高くなる。したがって、該ベース基板の除去を必要最小限の領域に限定することで、吐出ヘッド全体の剛性が上がることが見込まれる。なお、ベース基板除去工程は、少なくとも熱処理工程後であればよい。
圧電体には、1つの圧電体に複数の個別電極を備え、各個別電極を独立に制御することで、1つの圧電体を等価的に複数の圧電体として機能させる電極分割型圧電体や、1つの圧電体に少なくとも1つの個別電極を備え、1つの駆動信号で1つの圧電体を駆動させるメカ分割型圧電体がある。本発明には何れの圧電体にも適用可能である。
また、圧電体の材料には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電セラミックを適用してもよい。
圧電体膜生成工程は該駆動電圧を印加させる個別電極を形成させる個別電極形成工程を含んでいてもよい。
熱処理工程では、圧電体膜を形成した後に該圧電体膜を加熱する態様や、高温雰囲気化で圧電体膜の形成を行う態様を含んでいてもよい。
吐出ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたって液滴を吐出させる吐出孔が並べられたフルライン型吐出ヘッドや、被吐出媒体の全幅に対応する長さよりも短い長さにわたって液滴を吐出させる吐出孔が並べられた短尺ヘッドを被吐出媒体の幅方向に走査させながら被吐出媒体上に液滴を吐出させるシリアル型吐出ヘッド(シャトルスキャン型吐出ヘッド)などがある。
また、フルライン型の吐出ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の吐出孔列を有する短尺ヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、被吐出媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
請求項2に示すように、請求項1に記載された発明は、前記吐出ヘッドは、前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の長さに対応したライン型ヘッドを含み、前記ベース基板除去工程では、前記圧電体の個別電極形成領域の外側となる前記ベース基板の前記被吐出媒体の移動方向と略平行方向の両端部を前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の全長にわたって残すとともに他の部分を除去することを特徴としている。即ち、ベース基板を除去するためのマスクパターンが簡単になるとともに、ベース基板除去工程が簡素化される。また、吐出ヘッドの長手方向(即ち、ベース基板の長手方向)の反りを低減させる効果が大きい。請求項3に示すように、請求項1又は2に記載された発明は、前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが、次式0.6≦(b/a)≦1.4を満たすことを特徴としている。
即ち、ベース基板の熱膨張係数aは圧電体の熱膨張係数bの±40%以内であれば、該ベース基板上に形成された圧電体膜を焼結させる熱処理工程後の常温化の際に、ベース基板及び圧電体に発生する反りを抑制することができる。更に、好ましくは0.7≦(b/a)≦1.3(±30%以内)とする態様である。
また、請求項に示すように、請求項1、2又は3に記載された発明は、前記熱処理工程の処理温度Tは、常温Tc 、前記ベース基板の熱膨張係数a、前記圧電体の熱膨張係数b、熱変化量差cとの関係が、次式T={c/|a−b|}+Tc を満たすことを特徴としている。
即ち、熱処理時におけるベース基板と圧電体との熱変化量差cの値が所定の範囲内になるように熱処理工程時の処理温度T及びベース基板の熱膨張係数a(ベース基板の材料)が決められるので、熱処理時のベース基板及び圧電体の伸び量の差が少なくなり、ベース基板及び圧電体の反りを低減させることができる。
熱変化量差cは2つの部材を接合させた複合部材において温度変化に対する単位長さ当たりの伸び量の差(無次元)を示している。この、熱変化量差cができるだけ小さくなることが好ましい。なお、熱変化量差cは吐出ヘッド長手方向、短手方向、厚み方向に適用することができる。
また、請求項に示すように、請求項に記載された発明は、前記熱変化量差cは、次式c≦5.0×10-3を満たすことを特徴としている。
即ち、ベース基板の熱膨張係数aおよび熱処理時の処理温度Tは、熱変化量差cが5.0×10-3以下になるように決められるので、熱処理時のベース基板及び圧電体の伸び量の差が小さくなり、ベース基板及び圧電体の反りを防ぐことができる。
また、前記目的を達成するために請求項に記載された発明は、被吐出媒体上に吐出させる液滴に吐出力を与える圧電体を有する吐出ヘッドの製造方法であって、ベース基板の少なくとも何れか1つの面にエアロゾルデポジション法を用いて圧電体膜を形成させる圧電体膜形成工程と、前記圧電体膜形成工程によって形成された前記圧電体膜形成時或いは前記圧電体膜形成後のうち少なくとも何れか一方で前記圧電体膜に熱処理を施して焼結させる熱処理工程と、前記圧電体膜形成工程及び前記熱処理工程を経て前記圧電体が形成された後に前記圧電体の前記ベース基板と反対側の面に振動板を接合或いは成膜する振動板形成工程と、前記振動板の前記圧電体と反対側の面にエアロゾルデポジション法を用いて圧力室壁を形成させる圧力室形成工程と、前記圧力室に収容される液を吐出させる吐出孔が形成された吐出孔板を前記圧力室壁に接合させる吐出孔板接合工程と、前記ベース基板の前記圧電体の個別電極形成領域に対応する部分を除去するとともに他の部分を残すベース基板除去工程と、前記ベース基板除去工程の後に、前記圧電体の前記ベース基板側の面に個別電極を形成する個別電極形成工程と、前記熱処理工程の処理温度Tは、常温Tc 、前記ベース基板の熱膨張係数a、前記圧電体の熱膨張係数b、熱変化量差cとの関係が、次式T={c/|a−b|}+Tc を満たすことを特徴としている。
即ち、圧電体膜に熱を加えて焼結させる熱処理時の熱変化量差cが所定の値になるように、ベース基板の材料が選定され、且つ、熱処理工程の熱処理温度が決められるので、熱処理時のベース基板及び圧電体の伸び量(膨張量)の差を少なくすることができ、圧電体が形成されたベース基板及び該圧電体の反りを低減させることができる。
常温Tc には、熱処理工程後の後工程(振動板接合成膜工程、圧力室形成工程等)を行う環境温度が含まれていてもよい。
請求項7によれば、請求項6に記載された発明は、前記吐出ヘッドは、前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の長さに対応したライン型ヘッドを含み、前記ベース基板除去工程では、前記圧電体の個別電極形成領域の外側となる前記ベース基板の前記被吐出媒体の移動方向と略平行方向の両端部を前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の全長にわたって残すとともに他の部分を除去することを特徴としている。即ち、前記ベース基板の一部が除去される態様によれば、ベース基板は必要な領域を残して除去される犠牲層となるので、該ベース基板には様々な材料を用いることができる。ベース基板が除去される領域には該圧電体の駆動電圧が印加させる個別電極形成領域を含んでいてもよく、該個別電極形成領域及び該個別電極への配線取出領域(パッド部)を含んだ態様が好ましい。
また、請求項によれば、請求項6又は7記載された発明は、前記熱変化量差cは、次式c≦5.0×10-3を満たすことを特徴としている。
圧電体(圧電体膜)を成膜する工程にエアロゾルノズルと呼ばれる射出孔から射出される粒子状材料をベース基板上に堆積させるエアロゾルデポジション法を用いると、様々な形状の圧電体を形成することができ、ベース基板と圧電体の密着性を上げることができる。
また、圧電体を形成させるベース基板の圧電体形成面に凹凸形状や湾曲形状が含まれていても、該圧電体形成面に圧電体を形成させることができる。
また、請求項によれば、請求項1乃至のうち何れか1項に記載された発明は、前記振動板はエアロゾルデポジション法を用いて形成されることを特徴としている。
即ち、振動板の反りを防止できる。また、振動板の形状の自由度を上げることができる。更に、圧電体、振動板、圧力室壁の形成を同一の成膜方法を用いて行うので、製造工程を簡略化することができる。
エアロゾルでポジション法を用いた成膜方法では、マスクの形状に合わせて各膜が形成されるので、エッチングや機械加工では実現することが難しい角Rをなくした加工やテーパをなくした加工などの微細加工が可能になる。
また、前記目的を達成するために請求項10に係る発明は、被吐出媒体上に吐出させる液滴に吐出力を与える圧電体を有する吐出ヘッドであって、前記圧電体が形成されるベース基板と、前記ベース基板の少なくとも1つの面にエアロゾルデポジション法を用いて形成される圧電体と、前記圧電体の前記ベース基板と反対側の面に接合或いは成膜される振動板と、前記振動板の前記圧電体と反対側の面にエアロゾルデポジション法を用いて形成される圧力室壁と、液滴が吐出される吐出孔が設けられ、前記圧力室壁の前記振動板と反対側に接合される吐出孔板と、を備え、前記ベース基板は前記圧電体の個別電極形成領域に対応する部分が除去されるとともに他の部分が残され、前記圧電体の前記ベース基板側の面の個別電極形成領域に個別電極が形成され、前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが所定の範囲内であることを特徴としている。
即ち、圧電体が形成されるベース基板によって圧電体膜焼結後の該圧電体及び該基板の反りを低減させることができる。また、該ベース基板を完全に除去せずに少なくともその一部を残すように構成すると、圧力室壁上部の剛性を上げることができるので液吐出時のクロストーク防止に寄与する。
請求項11によれば、請求項10に係る発明は、前記吐出ヘッドは、前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の長さに対応したライン型ヘッドを含み、前記ベース基板は、前記圧電体の個別電極形成領域の外側となる前記ベース基板の前記被吐出媒体の移動方向と略平行方向の両端部を前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の全長にわたって残すとともに他の部分が除去されることを特徴としている。また、請求項12によれば、請求項10又は11に係る発明は、前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが、次式0.6≦(b/a)≦1.4を満たすことを特徴としている。
請求項13によれば、請求項10、11又は12に記載された発明は、前記ベース基板は、ステンレス鋼板或いは、結晶化ガラス、Fe-Ni 系合金のうち少なくとも何れか1つを含むことを特徴としている。
即ち、ステンレス鋼板或いは、結晶化ガラス、Fe-Ni 系合金は、コスト及び加工の容易性から量産に好適なベース基板の材料である。ステンレ鋼板にはSUS430が含まれていてもよい。
また、請求項14によれば、請求項10、11又は12に記載された発明は、前記ベース基板は前記圧電体と同一材料で形成されることを特徴としている。
更に、圧電体を形成させるベース基板は圧電体と同一材料を用いて形成されるので、熱処理時の反り及び熱処理後の常温化するときの反りを防ぐことができる。
本発明によれば、圧電体膜を形成させるベース基板の材料に該圧電体の熱膨張係数に近い材料を用い、該ベース基板に該圧電体膜を形成された後に該圧電体膜に熱を加えて焼結させる熱処理工程を施すように構成したので、熱処理工程時に圧電体及びベース基板の反りを低減させることができる。また、熱処理後の後工程で振動板を接合或いは成膜させ、圧力室壁を形成し、圧力室壁に吐出孔板を接合させるので、ヘッド全体の反りを防止することができる。なお、ベース基板と圧電体の材料は同一材料を用いてもよい。
また、圧電体を形成する成膜工程にエアロゾルデポジション法が適用されるので、各膜(板)の加工精度が向上すると共に各膜の形状の自由度を上げることができる。なお、圧力室壁、振動板など他の成膜工程にエアロゾルデポジション法を適用してもよい。
以下、図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔本発明に係る印字ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係る印字ヘッドが搭載されたインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印字済みの記録紙16(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図1中不図示,図7中符号88として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に記録紙16の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される記録紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを記録紙搬送方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。詳細な構造例は後述するが(図3乃至図5)、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、図2に示したように、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の送り方向(以下、記録紙搬送方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K,12C,12M,12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各印字ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図3(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a) ,(b) 中の4−4線に沿う断面図)である。記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3(a) 〜(c) 及び図4に示したように、インク滴が吐出されるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
即ち、本実施形態における印字ヘッド50は、図3(a) ,(b) に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が記録紙搬送方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図3(c) に示すように、短尺の2次元に配列されたヘッド50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、印字媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して、図4に示した共通流路55と連通されている。
圧力室52の天面を構成している振動板56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53を図5に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
即ち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。以下、説明の便宜上、ヘッドの長手方向(主走査方向)に沿って各ノズル51が一定の間隔(ピッチP)で直線状に配列されているものとして説明する。
なお、用紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等の駆動制御が行われ、記録紙16の幅方向(記録紙搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクスに配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン又は1個の帯状の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、圧力室内のインクに吐出力を付与するアクチュエータ58にピエゾ素子(圧電素子)を用いて、アクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクに吐出を付与する吐出力付与手段はピエゾ素子には限定されず、他の圧電素子を適用してもよい。
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
インク供給タンク60はインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインク供給タンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インク供給タンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面の清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(アクチュエータ58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)アクチュエータ58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ64(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、アクチュエータ58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合には印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構(ワイパー)により印字ヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。なお、該ブレード機構によりインク吐出面の汚れを清掃した際に、該ブレードによってノズル51内に異物が混入することを防止するために予備吐出が行われる。
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御(打滴制御)が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
プログラム格納部(不図示)には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。
なお、前記プログラム格納部は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行う。
なお、図1に示した例では、印字検出部24が印字面側に設けられており、ラインセンサの近傍に配置された冷陰極管などの光源(不図示)によって印字面を照明し、その反射光をラインセンサで読み取る構成になっているが、本発明の実施に際しては他の構成でもよい。
本実施形態では、フルライン型の印字ヘッドを例示したが、本発明はシャトル型ヘッドにも適用可能である。
〔印字ヘッド製造方法〕
次に、本発明に係る印字ヘッド50の製造方法について詳説する。
印字ヘッド50は図4にその立体構造を示したように、複数の薄膜(キャビティプレート)を積層させた積層構造を有している。各層を形成する成膜方法には主としてエアロゾルデポジション法 (以下、AD法と記載)が適用される。
ここで、図8を用いて前記AD法による成膜方法の概要について説明する。
図8は、AD法による成膜装置を示す模式図である。この成膜装置は、原料の粉体100を収容するエアロゾル生成容器102を有している。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。
エアロゾル生成容器102には、キャリアガス導入部103、エアロゾル導出部104、振動部105が設けられている。キャリアガス導入部103から窒素ガス(N2 )等の気体を導入することによってエアロゾル生成容器102内に収容された原料の粉体が噴き上げられ、エアロゾルが生成される。その際に、振動部105によってエアロゾル生成容器102に振動を与えることにより、原料の粉体が攪拌され、効率よくエアロゾルが生成される。生成されたエアロゾルは、エアロゾル導出部104を通って成膜チャンバ106に導かれる。
成膜チャンバ106には、排気管107、ノズル108、可動ステージ109が設けられている。排気管107は、真空ポンプに接続されており、成膜チャンバ106内を排気する。エアロゾル生成容器102において生成され、エアロゾル導出部104を通って成膜チャンバ106に導かれたエアロゾルは、ノズル108から基板110に向けて噴射される。これにより、原料の粉体が基板110上に衝突して堆積する。基板110は、3次元に移動可能な可動ステージ109に載置されており、可動ステージ109を制御することにより、基板110とノズル108との相対的位置が調節される。
このようにして積層構造の各層となる膜を形成し、ノズル108から噴射されるエアロゾルを切り換えながら複数の膜を形成させる。AD法にて形成可能な材料は金属、金属酸化物、シリコンなど様々な材料がある。
次に、印字ヘッド50の製造方法をその工程の順を追って説明する。
図9(a) 〜(k) は、メカ分割型の圧電体を備えた印字ヘッド50の製造工程を示す。なお、図9(a) 〜(k) 中図4と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。但し、図4ではインク室ユニット53の最下面にノズルが形成されているが、図9(a) 〜(k) では説明の都合上、図4と上下関係が入れ替わっており、図9(a) 〜(k) 中ノズル形成面は最上面になる。
図9(a) には上述した積層構造のベースとなるベース基板200を示す。図9(a) 〜(k) 中ベース基板200は図8では基板110に相当する。
ベース基板200の幅広面のうち何れか一方の面には圧電体等が形成される。図9(a) 〜(k) ではベース基板200の上側面が圧電体形成面202となっている。
ベース基板200には、SUS430、インバー(商標)と呼ばれるFe-Ni 系合金、マコール (商標)と呼ばれるマシナブルガラス (結晶化ガラス)など、ベース基板200上に形成される圧電体 (図9(a) では不図示、図4及び図9(d) 等に符号58で図示)の材料と熱膨張係数が近い材料が用いられる。もちろん、PZT (チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O 3))等の圧電体と同じ材料を用いてもよい。
ここで、熱膨張係数とは、単位の温度変化に対する物質の長さや体積の変化率のことを示している。即ち、図10(a) に示すような異なる2つの部材201A及び201Bを接合させた接合体201に熱を与えると、各部材の熱膨張係数の違いによって各部材の熱による長さ (体積)の変化量が異なるために、該接合体に反りが発生してしまうことがある。
例えば、部材201を加熱したときに(即ち、正の温度変化を与え)、部材201Aの熱膨張係数が部材201Bの熱膨張係数よりも小さい場合には、部材201Aの体積変化量 (膨張量)に比べて部材201Bの体積変化量が大きくなり、結果として部材201にはその中央部が図10(b) の下方向(膨張量が大きい部材201B側)に撓んだ反りが発生する。更に、2つの部材の体積変化量が大きく異なると各部材の剥離が起こる。図10に矢印線で示したZはベース基板200の略中央部の変位方向を示している。2つの部材201A及び201B間の熱膨張係数の違いが大きいほどこの撓みの量は大きくなる傾向がある。
したがって、複数の部材を接合させて形成される接合体では、反りや剥離を防止するために、各部材同士の熱膨張係数の差が小さくなるよう各部材を選定する必要がある。
次に、図9(b) にはマスキング工程を示す。先ず、ベース基板200の圧電体形成面202にはレジストパターン204によって電極及び配線(図9(b) には不図示、図15に符号240として図示)が形成されない領域にマスキングが行われる。なお、図9(a) 〜(k) の各工程は複数の同一構造を有する圧力室を複数形成させる態様を示しているので、各圧力室の構成部材のうち同一部材については任意の1つの圧力室のみに符号を付す。
図9(c) には個別電極生成工程を示している。図9(b) に示したマスキング工程の後に、レジストパターン204によってマスキングされない領域に個別電極57及び、該配線が形成される。個別電極57及び該配線には金(Au)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)などの金属薄膜や、酸化チタン(TiO2 ) などの金属酸化物薄膜が用いられる。なお、個別電極57と該配線とを同一層内に形成してもよいし、少なくとも個別電極57が含まれる個別電極層 (不図示)と、少なくとも該配線が含まれる配線層 (不図示)と、を別に形成してもよい。
図9(c) に示した個別電極形成工程ではAD法を用いて個別電極57となる金属薄膜が形成される。なお、個別電極形成工程ではAD法以外にもスパッタ等の成膜技術を適用してもよい。
続いて、図9(d) には圧電体生成工程及び熱処理工程を示す。図9(c) に示した個別電極形成工程の後に、個別電極57のベース基板200と反対側の面にはAD法によってノズル108から噴出された圧電材料微粒子205がベース基板200に堆積され、この圧電材料微粒子205から圧電体58(図4のアクチュエータ58に相当)が形成される。
〜(k) ではベース基板200の上側面が圧電体形成面202となっている。
圧電体58の材料(圧電材料微粒子205)には、前記チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウム(BaTiO 3 )などの圧電セラミックが適用される。
AD法によって圧電体58の材料を個別電極57上に堆積させた後に、圧電体58を焼結させるために熱処理が施される。この熱処理工程では基板が拡散しない処理温度で圧電材料を焼結させて圧電体58が形成される。
本例では、圧電体58と熱膨張係数が近い材料をベース基板200に適用し、ベース基板200に圧電体58を形成させて熱処理を施すので、熱を加えることによる圧電体58及びベース基板200の膨張量の違いや、常温化したときの収縮量の違いによって発生する反りを防止することができる。
ここで、ベース基板200と圧電体58との熱膨張係数について説明する。
図11は、基板の熱膨張係数aと圧電体58の熱膨張係数bの差kが、次式〔数1〕に示す関係であるときのベース基板200 (圧電体58)の反り及びベース基板200と圧電体58との接合結果を示している。
〔数1〕
k={(b−a) /a}×100(%)
図11によれば、ベース基板200と圧電体58との熱膨張係数の差が40%の場合には熱処理温度が600℃ではベース基板200と圧電体58との接合に剥離が発生し、200℃の場合にもベース基板200に許容範囲を超えた反りが発生する。したがって、ベース基板200の熱膨張係数aと圧電体58の熱膨張係数bとの熱膨張係数の差の関係は、次式〔数2〕示すようになる。
〔数2〕
−40(%)<k<40(%)
なお、前記〔数2〕に示した関係は、ベース基板200の熱膨張係数aを基準にしたときの圧電体58の熱膨張係数bの割合を(b/a)を用いて、次式〔数3〕のように表すこともできる。
〔数3〕
0.6≦(b/a)≦1.4
また、熱膨張係数の差が30%の場合、熱処理温度600℃ではベース基板200に反りが発生するが、この反りは許容範囲内の反りである。更に、熱膨張係数の差が4%であれば、ベース基板200には反りが発生しない。
即ち、ベース基板200の熱膨張係数aと圧電体58の熱膨張係数bとの差は、次式〔数4〕に示す関係であることが好ましい。
〔数4〕
−30(%)<k<30(%)
前記〔数4〕に示した関係は、次式〔数5〕のように表してもよい。
〔数5〕
0.7<(b/a)<1.3
また、図12は、圧電体58(PZT )を成膜するベース基板200と熱処理温度Tを変化させたときの圧電体58成膜後のベース基板200の反りに関する結果である。
圧電体(PZT )58の熱膨張係数bの範囲を1×10-6/ ℃≦b≦1.2×10-5/ ℃、ベース基板200の熱膨張係数aを基準にしたときの圧電体58の熱膨張係数bの割合を(b/a)を0.6≦(b/a)≦1.4、熱処理温度TをT≦1100℃、常温 (室温)Tc をTc =20℃としている。ここで言う常温には20℃に限定されず、熱処理以外の工程の環境温度を適用可能である。
図12に示すように、次式〔数6〕で表されるベース基板200及び圧電体58を加熱したときにベース基板200及び圧電体の単位長さあたりの伸び量の差を示す熱変化量差cが所定の範囲内のなるように、ベース基板200の熱膨張係数及び熱処理温度Tを選定することでベース基板200の反りを防止できることを示している。
〔数6〕
c=(T−Tc )×|a−b|(即ち、T=(c/|a−b|)+Tc )
前記〔数6〕に示した熱変化量差cは、図13に示す、部材209に熱量を与えたときに部材の単位長さlの方向の変化量Δl、温度の変化量ΔT、部材209の長さl、線膨張係数αが、次式〔数7〕に示す関係になるときの部材209の変化量Δlに相当する。
〔数7〕
Δl=(ΔT×α×l)/2
温度の変化量ΔTは△T=T−Tc と表すことができ、部材209の長さl方向の伸び量に対する線膨張係数αはα=|a−b|(ベース基板200の熱膨張係数aと圧電体58の熱膨張係数bとの差)と表すことができる。
なお、一様な分子構造の物質については、熱膨張による体積変化も一様である。この場合、xyz各方向の線膨張係数は等しい。但し、物質の分子構造に異方性があれば、方向によって線膨張係数も異なる。
一般に、圧電体膜の場合、膜厚が薄いので膜厚方向の熱変形量は無視でき、面方向の熱変形を考慮すればよい。ピエゾ膜(圧電体膜)に異方性が無いと考えると、面内のあらゆる方向について線膨張係数は等しい。
長手方向、短手方向のみならず、斜め方向についても、同じ線膨張係数での議論が成り立ち、加熱時のベース基板200及び圧電体58の膨張量は実質的に線膨張係数で議論すれば十分である。
また、熱膨張係数(線膨張係数)は、部材の大きさに依存せず、部材が大きいと加熱時の分布、熱の伝わり方の均一性が崩れるので、マクロでみると熱膨張係数(線膨張係数)は違うが、理想的な加熱に対しては、部材のサイズ依存はないと考えられる。
本例のベース基板200及び圧電体58の加熱時の熱変形に着目する方向は、印字ヘッド50の長手方向(被記録媒体搬送方向に略直交する方向)、短手方向(被記録媒体搬送方向に略平行な方向)及びこれらが形成する面内の斜め方向(長手方向と短手方向の複合方向)がある。
図12によれば、ベース基板200の熱膨張係数aを16.8×10-6/ ℃、圧電体58の熱膨張係数bを12×10-6/℃、熱処理温度Tを1100℃にすると、ベース基板200に許容範囲を超えた反りが発生する。このときの熱変化量差cは5.18×10-3である。
また、上述したベース基板200に反りが発生する条件のうち、熱処理温度Tを1100℃から1000℃に変えるとベース基板200には許容範囲を超えた反りが発生しない。
したがって、熱変化量差cは、次式〔数8〕に示す範囲であればベース基板200には許容範囲を超えた反りが発生しない。
〔数8〕
c≦5.0×10-3
次に、図9(e) には研磨工程を示している。上述した熱処理工程の後に圧電体58の個別電極57と反対側の面(振動板形成面)210の平坦度 (平面性)を確保し、該振動板形成面210上に付着している異物を除去するために圧電体及びレジストパターンの研磨が行われる。
この後の工程で圧電体58に振動板(図9(e) には不図示、図4及び図9(f) 等に符号56で図示) を取り付ける際に、圧電体58と該振動板との密着性を確保するために圧電体58の振動板形成面210は所定の平坦度が必要になる。また、振動板形成面210上にある異物によって圧電体58と該振動板との接合性能低下を防止する。
なお、研磨工程に用いられる方法には公知の技法が用いられる。例えば、機械的手法を用いてもよいし、化学的手法を用いてもよい。
図9(f) には振動板形成工程を示している。図9(e) の研磨工程によって平坦化された圧電体58の振動板形成面210上に共通電極を兼ねた振動板56を形成させる。振動板56にはNi、Cuなどの金属材料が適用され、AD法を用いて形成される。
なお、振動板56を形成する手法はAD法に限定されず、これ以外の成膜技術を用いてもよいし、予め所定の形状、大きさに形成された振動板56を接着剤等によって圧電体58(振動板形成面210)に接合させてもよい。
図9(g) はマスキング工程(圧力室形成領域マスキング工程)を示している。図9(f) に示した振動板形成工程によって形成された振動板56の圧電体58と反対側の面(圧力室形成面)214にレジストパターン216で圧力室(図9(g) には不図示、図4、図9(i) 等に符号52で図示)が形成される領域にマスキングが施される。
図9(h) には圧力室形成工程を示している。図9(g) に示したマスキング工程によってマスキングが施された振動板56には、マスキングが施されていない領域に圧力室壁218がAD法によって形成される。
圧力室壁218の材料(圧力室部材)にはNi、Cuなどの金属材料が用いられる。即ち、ノズル108から噴出させる金属材料微粒子205’を圧力室壁218が形成される領域に堆積させて、圧力室壁218が形成される。
なお、製造工程簡素化の観点から、圧力室壁218の材料に、図9(f) に示した振動板形成工程で形成された振動板56と同一材料を用いることが好ましい。例えば、圧力室壁218と振動板56とを同一材料(例えば、金属材料、金属酸化物材料、セラミック材料、シリコンなど)を用いてAD法によって形成すると、ノズル108の切換工程を減らすことができる。一方、耐食性の観点から、圧力室壁218の材料は耐インク性を有する材料を用いることが好ましい。
図9(i) には、レジスト剥離工程を示している。図9(h) に示した圧力室形成工程時にマスキングされ、材料粒子体(エアロゾル)が堆積されない領域(即ち、マスキングされた領域)を圧力室52となる空隙とするように不要なレジストを剥離する。
なお、図9(g) に示したマスキング工程を省略して、図9(h) に示した圧力室形成工程によって振動板56の圧力室形成面全体に圧力室壁218を形成させた後に、図9(i) に示したレジスト剥離工程に代わり圧力室壁218を穿孔して圧力室52となる空隙を形成する穿孔工程を設けてもよい。穿孔工程には異方性エッチングやウエットエッチングなどの手法が用いられる。異方性エッチングによって圧力室52を形成させる場合には圧力室壁218に用いられる材料はシリコンを用いるとよい。また、ウエットエッチングによって圧力室52を形成させる場合には圧力室壁218に用いられる材料にSUS などの金属材料を用いるとよい。
図9(j) には、ノズルプレート接合工程(吐出孔板接合工程)を示している。図9(h) に示したレジスト剥離工程によって圧力室52が形成されると、圧力室52の振動板56と反対側の面には、インク供給系から圧力室52へのインク流路となる共通流路 (図9には不図示、図4に符号55として図示)等が形成される不図示の流路プレート、該共通流路と圧力室52とを連通させ、絞りとして機能する供給口 (図9には不図示、図4に符号54として図示)等が形成される不図示の供給口プレート、圧力室52に対応してノズル51が形成されたノズルプレート(吐出孔板)224が接合される。これらのプレートを接合させる手法には接着剤を用いた接合などが適用される。
図9(k) には、エッチング工程を示している。ベース基板200のうち不要な部分がエッチング処理によって除去される。即ち、ベース基板200は少なくとも一部が除去される犠牲層となり、圧電体58を駆動して振動板56を変形させるときに、振動板56の変位を妨げない部分を残してもよい。
エッチング処理ではマスクパターンによってベース基板200の除去する部分と除去しない部分とが決められる。なお、ベース基板200は機械加工によって除去することも可能である。
図14にはベース基板200の一部を残した態様を示す。図14に示すように、個別電極57の形成領域に対応する部分のベース基板200は除去し、他の部分のベース基板200は残すように構成すると、圧電体58の駆動による振動板56の変位を妨げることなく、印字ヘッド50全体の反り防止効果が大きくなる。
図15は、個別電極57側(図14の下側)から見た印字ヘッド50の一部を拡大した平面図である。なお、図3では印字ヘッドの短手方向に6個のノズルを配列する態様を例示したが、図15では印字ヘッド50の短手方向に8個のノズルが配列された態様を示している。また、図3はノズル形成面側から見た平面透視図を示し、図15は個別電極側から見た平面透視図を示している。
図15に示すように、個別電極57、個別電極への配線240及び、配線240の取出電極242が形成される領域はベース基板200が除去され、一方、これ以外の領域はベース基板200が残されている。なお、マスクパターンを簡素化するために少なくとも個別電極57が形成される領域のベース基板200を除去すればよい。パッド部(取出電極)242形成領域に対応するベース基板200を除去しない場合には、個別電極57への配線の取出領域を設ける必要がある。したがって、パッド部242の形成領域はベース基板200を除去する態様が好ましい。
更に、図16の印字ヘッド50の斜視図(図14の下側から見た図)に示すように、印字ヘッド50の長手方向に沿って、短手方向の端部の領域にベース基板200を残してもよい。
図16に示す態様では、ベース基板200を除去するためにマスクパターンが簡単になり、また、ベース基板200を除去する工程も簡素化することができ、印字ヘッド50の長手方向の反りを低減させる効果が大きい。
図17には、ベース基板200にSUS430を用いた態様を示す。ベース基板200に用いられるSUS430の熱膨張係数aは10.5×10-6/ ℃であり、圧電体58に用いられるPZT の熱膨張係数bは10.4×10-6/ ℃である。したがって、〔数5〕に示したb/aは、0.99となる。
これは、圧電体58の熱膨張係数bに近い熱膨張係数aを持つ材料として好適な材料をベース基板200に適用した例である。なお、図17中図9と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図17(a) にはSUS430ベース基板200’を示し、図17(b) には、ベース基板200’の圧電体形成面202に金(Au)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)などの金属薄膜や、酸化チタン(TiO2 ) などの金属酸化物薄膜から成る少なくとも個別電極57を含んだ個別電極層57’を形成する個別電極層形成工程を示す。
図17(b) に示す個別電極層形成工程に適用される手法はAD法を用いてもよいし、メッキ、スパッタ、蒸着等により成膜してもよい。
図17(b) に示す個別電極形成工程によって形成された個別電極層57’のベース基板200’と反対側の面には、図17(c) に示すように、圧電体58が形成され、圧電体58を焼結させるために圧電体58に熱処理を施す熱処理工程が行われる。
圧電体58の材料にはPb(Zr,Ti)O 3などの圧電セラミックが適用され、図17(c) に示す圧電体形成工程の手法には図8に示したAD法が適用される。即ち、圧電体形成工程では、ノズル108から噴出させる圧電材料微粒子205を個別電極層57’に堆積させて、圧電体58が形成される。
更に、図17(c) に示す圧電体形成工程、熱処理工程を経て形成された圧電体58の個別電極層57’と反対側の面には振動板56が形成される。図17(d) には振動板形成工程を示す。振動板形成工程では、振動板56は共通電極と兼用できるように金属薄膜が適用される。
振動板形成工程の手法はAD法を適用してもよいし、予め所定の大きさ形状に形成された振動板56を接着剤等で接合させてもよい。
なお、図17では、図9(e) に示した研磨工程を省略したが、熱処理工程と振動板形成工程との間に圧電体58の振動板形成面を研磨する研磨工程が含まれる態様が好ましい。
図17(d) に示す振動板形成工程によって振動板56が形成されると、図17(e) に示すマスキング工程が行われる。該マスキング工程では、振動板56の圧電体58と反対側の面の圧力室52となる領域にレジストパターン204を用いてマスキングが施される。
図17(e) に示すマスキング工程の後に、図17(f) に示す圧力室形成工程が行われる。圧力室壁218の材料は、Ni、Cuなどの金属材料を用いてもよいし、金属酸化物やセラミック、シリコンなどを用いてもよい。図17(f) に示す圧力室形成工程にはAD法が適用され、ノズル108から噴出される金属材料微粒子(または、金属酸化物材料微粒子、セラミック材料微粒子、シリコン微粒子)205’を圧力室壁218が形成される領域に堆積させて、圧力室壁218が形成される。
図17(f) に示す圧力室形成工程の後に、図17(g) に示すレジスト剥離工程によって圧力室52となる領域のレジストパターンが剥離される。
また、図17(f) に示すレジスト剥離工程の後に、図17(h) に示すノズルプレート接合工程によって圧力室壁218にノズル51が形成されたノズルプレート224が接合される。
図17(h) に示すノズルプレート接合工程の後に、図17(i) に示す基板除去工程によって、ベース基板200は除去され、図17(j) に示すマスキング工程(個別電極形成マスキング工程)によって、個別電極層57’の圧電体58と反対側の面に圧力室52に対応した領域に個別電極57を形成させる領域にレジストパターン260を用いてマスキングが施される。
図17(j) に示すマスキング工程によってマスクされた領域を残して個別電極層57’及び圧電体58が除去される個別加工が行われる。図17(k) には個別加工工程を示す。個別加工工程ではRIE やイオミリングなどの手法が用いられる。
更に、図17(l) に示すレジスト剥離工程によってレジスト260が剥離された後に、個別電極57への配線などが行われる。
このようにして図17(a) 〜(l) の工程を経て印字ヘッド50が製造される。
図18には、電極分割型の圧電体を備えた印字ヘッド50の製造工程を示す。なお、図18中図9と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図18(a) にはベース基板200を示す。ベース基板200には図9に示したメカ分割型の圧電体を備えた印字ヘッド50と同様に、圧電体58と熱膨張係数が近い材質が適用される。
先ず、図18(b) に示すように、ベース基板200の圧電体形成面202には圧電体58が形成される。電極分割型の圧電体は1つの圧電体に複数の個別電極を備え、各個別電極には独立の駆動電圧(駆動信号)が印加され、該圧電体は駆動電圧が印加された個別電極が形成されている領域が該個別電極に印加された駆動電圧に従って圧電効果を発生させるので、1つの圧電体を複数の圧電体として動作させることができる。したがって、電極分割型の圧電体を形成させる場合には、ベース基板200の圧電体形成面には少なくとも1つの圧電体が形成されればよい。
即ち、ベース基板200の圧電体形成面202のうち圧電体を形成させる領域には、少なくとも1つの圧電体が形成されればよい。もちろん、該圧電体形成領域を複数の領域に分割して、分割された領域ごとに圧電体を形成させてもよい。
圧電体58の材料にはPb(Zr,Ti)O 3などの圧電セラミックが適用され、圧電体形成工程の手法にはAD法が適用される。図18(b) に示すように、ノズル108から噴出させる圧電材料微粒子205を圧電体形成面202に堆積させて、圧電体58が形成され、更に、圧電体58の膜が形成されると、熱処理が施され、圧電体58は焼結される。
図18(b) に示す圧電体形成工程及び熱処理工程を経て圧電体58が形成されると、図18(c) に示す振動板形成工程によって、圧電体58の振動板形成面210には振動板56が形成される。
図18(c) に示す振動板形成工程では、振動板56は共通電極と兼用できるように金属薄膜が適用される。また、振動板形成工程の手法にはAD法を適用してもよいし、予め所定の大きさ形状に形成された振動板56を接着剤等で接合させてもよい。
もちろん、振動板形成工程の前の工程に、図9(e) に示した研磨工程を行う態様が好ましい。
図18(c) に示す振動板形成工程によって圧電体58の振動板形成面210に振動板56が形成されると、図18(d) に示すマスキング工程によって、圧力室52となる振動板56の圧電体58と反対側の面の領域にレジストパターン204を用いてマスキングが施される。
その後に、図18(d) に示すマスキング工程によってマスキングされた領域以外の領域に圧力室壁218を形成させる。図18(e) には、圧力室壁218を形成させる圧力室形成工程を示す。図18(e) に示す圧力室形成工程ではAD法が適用され、ノズル108から噴出される材料微粒子 (例えば、金属材料微粒子)205’を圧力室壁218が形成される領域に堆積させて、圧力室壁218が形成される。
図18(f) に示すレジスト剥離工程によってレジストパターン204が取り除かれた後に、図18(g) に示すノズルプレート接合工程によってノズルプレート224及び不図示の流路プレートを圧力室壁218に接合させる。
更に、その後に、圧電体58の圧力室52と反対側の面(圧電体58がベース基板200と接合されている面)に個別電極57を形成させるために、ベース基板200の少なくとも一部を取り除く必要がある。
図18(h) には、個別電極57が形成される領域280に対応したベース基板200の領域280をエッチングによって除去するエッチング工程を示す。図18(h) にはベース基板200の一部を残す態様を例示したが、もちろん、ベース基板200を全て除去してもよい。図18(h) に示すようにベース基板200の一部を残すように構成すると、この残されたベース基板200によって印字ヘッド50の剛性を高めることができ、反り防止の効果を期待することができる。
図18(h) に示したエッチング工程によって個別電極57が形成される領域に対応したベース基板200の領域が除去されると、図18(i) に示す個別電極形成工程によって、圧電体58の振動板と反対側の面に個別電極57が形成される。
図18(h) に示した個別電極形成工程ではAD法を用いて個別電極57を形成してもよいし、AD法以外にもスパッタ等の成膜技術を用いて個別電極57を形成してもよい。
また、個別電極57の材料には金(Au)、銅(Cu)、プラチナ(Pt)などの金属や、酸化チタン(TiO2 ) などの金属酸化物を適用すればよい。
本実施形態では振動板56及び圧力室壁218の材料にNi、Cuなどの金属材料を適用したが、金属材料以外にも金属酸化物、セラミック、ガラスなどAD法を適用可能な材料を広く適用可能である。
但し、振動板56を共通電極と兼用する態様では振動板56には金属などの導電性を有する物質が適用される。
上記の如く構成された印字ヘッド50は、圧電体58、振動板56、圧力室壁218などが形成される膜(層)が積層される積層構造を有し、圧電体58と熱膨張係数が近いベース基板200上に圧電体58の膜が形成され、ベース基板200と圧電体58との接合体に熱処理が施されるので、圧電体58焼結時の熱処理温度から常温化する際にベース基板200及び圧電体58に発生する反りを低減させることができる。また、圧電体58の形成工程まで反り低減効果を得ることができ、振動板形成工程などの後工程で熱処理が入らないため熱膨張による反りを低減させることができる。
また、ベース基板200上に圧電体58、振動板56、圧力室52をAD法によって順次形成させるので、圧力室52の寸法精度向上が見込まれると共に、圧力室52の形状の自由度が大きくなる。
なお、個別電極57を形成したベース基板200上にAD法を用いて圧電体58を含んだ膜である圧電膜を形成し、圧電体58を焼結させるために熱処理を施し、熱処理工程の後に振動板56を形成する。振動板56が形成された後に、個別電極57をストッパーとしてサンドブラストで加工を行うと、耐圧性の高い膜をハンドリングが容易な形状で形成させることができる。
本実施形態では液滴の吐出ヘッドとしてインクジェット記録装置に用いられる印字ヘッドを例示したが、本発明は、ウエハやガラス基板、エポキシなどの基板類等の被吐出媒体上に液類(水、薬液、レジスト、処理液)を吐出させて画像、回路配線、加工パターンなどの形状を形成させる液吐出装置に用いられる吐出ヘッドにも適用可能である。
本発明の実施形態に係る印字ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の基本構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字周辺の要部平面図 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3中の4−4線に沿う断面図 図3に示した印字ヘッドのノズル配列を示す拡大図 本実施形態に係る印字ヘッドを搭載したインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概念図 本実施形態に係る印字ヘッドを搭載したインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 AD法による成膜装置を示す模式図 本実施気形態に係る印字ヘッドの製造工程を示す図 複数の層から成る積層部材の熱膨張係数の違いによる反りを説明する図 熱膨張係数の差の違いによる熱処理温度ごとの積層部材の接合結果を示す図 圧電体58を成膜するベース基板と熱処理温度を変化させたときの圧電体成膜後のベース基板の反りに関する結果を示す図 線膨張係数を説明する図 本実施形態に係る印字ヘッド立体構造を示す断面図 図14に示した印字ヘッドの個別電極形成面側から見た平面透視図 図15に示した印字ヘッドの他の態様を示す斜視図 本実施形態に係る印字ヘッドの基板にSUS430を適用した場合の製造工程を示す図 本実施形態に係る印字ヘッドのうち電極分割型アクチュエータを備えた印字ヘッドの製造工程を示す図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…印字ヘッド、52…圧力室、56…振動板、57…個別電極、58…アクチュエータ、200…ベース基板、218…圧力室壁、224…ノズルプレート、240…配線、242…パッド部

Claims (14)

  1. 被吐出媒体上に吐出させる液滴に吐出力を与える圧電体を有する吐出ヘッドの製造方法であって、
    ベース基板の少なくとも何れか1つの面にエアロゾルデポジション法を用いて圧電体膜を形成させる圧電体膜形成工程と、
    前記圧電体膜形成工程によって形成された前記圧電体膜形成時或いは前記圧電体膜形成後のうち少なくとも何れか一方で前記圧電体膜に熱処理を施して焼結させる熱処理工程と、
    前記圧電体膜形成工程及び前記熱処理工程を経て前記圧電体が形成された後に前記圧電体の前記ベース基板と反対側の面に振動板を接合或いは成膜により形成する振動板形成工程と、
    前記振動板の前記圧電体と反対側の面にエアロゾルデポジション法を用いて圧力室壁を形成させる圧力室形成工程と、
    前記圧力室に収容される液を吐出させる吐出孔が形成された吐出孔板を前記圧力室壁に接合させる吐出孔板接合工程と、
    前記ベース基板の前記圧電体の個別電極形成領域に対応する部分を除去するとともに他の部分を残すベース基板除去工程と、
    前記ベース基板除去工程の後に、前記圧電体膜の個別電極形成領域に個別電極を形成する個別電極形成工程と、
    を含み、
    前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが所定の範囲内であることを特徴とする吐出ヘッド製造方法。
  2. 前記吐出ヘッドは、前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の長さに対応したライン型ヘッドを含み、
    前記ベース基板除去工程では、前記圧電体の個別電極形成領域の外側となる前記ベース基板の前記被吐出媒体の移動方向と略平行方向の両端部を前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の全長にわたって残すとともに他の部分を除去することを特徴とする請求項1記載の吐出ヘッド製造方法。
  3. 前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが、次式
    0.6≦(b/a)≦1.4
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の吐出ヘッド製造方法。
  4. 前記熱処理工程の処理温度Tは、常温Tc 、前記ベース基板の熱膨張係数a、前記圧電体の熱膨張係数b、熱変化量差cとの関係が、次式
    T={c/|a−b|}+Tc
    を満たすことを特徴とする請求項1、2又は3記載の吐出ヘッド製造方法。
  5. 前記熱変化量差cは、次式
    c≦5.0×10-3
    を満たすことを特徴とする請求項記載の吐出ヘッド製造方法。
  6. 被吐出媒体上に吐出させる液滴に吐出力を与える圧電体を有する吐出ヘッドの製造方法であって、
    ベース基板の少なくとも何れか1つの面にエアロゾルデポジション法を用いて圧電体膜を形成させる圧電体膜形成工程と、
    前記圧電体膜形成工程によって形成された前記圧電体膜形成時或いは前記圧電体膜形成後のうち少なくとも何れか一方で前記圧電体膜に熱処理を施して焼結させる熱処理工程と、
    前記圧電体膜形成工程及び前記熱処理工程を経て前記圧電体が形成された後に前記圧電体の前記ベース基板と反対側の面に振動板を接合或いは成膜する振動板形成工程と、
    前記振動板の前記圧電体と反対側の面にエアロゾルデポジション法を用いて圧力室壁を形成させる圧力室形成工程と、
    前記圧力室に収容される液を吐出させる吐出孔が形成された吐出孔板を前記圧力室壁に接合させる吐出孔板接合工程と、
    前記ベース基板の前記圧電体の個別電極形成領域に対応する部分を除去するとともに他の部分を残すベース基板除去工程と、
    前記ベース基板除去工程の後に、前記圧電体の前記ベース基板側の面に個別電極を形成する個別電極形成工程と、
    前記熱処理工程の処理温度Tは、常温Tc 、前記ベース基板の熱膨張係数a、前記圧電体の熱膨張係数b、熱変化量差cとの関係が、次式T={c/|a−b|}+Tc を満たすことを特徴とする吐出ヘッド製造方法。
  7. 前記吐出ヘッドは、前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の長さに対応したライン型ヘッドを含み、
    前記ベース基板除去工程では、前記圧電体の個別電極形成領域の外側となる前記ベース基板の前記被吐出媒体の移動方向と略平行方向の両端部を前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の全長にわたって残すとともに他の部分を除去することを特徴とする請求項6記載の吐出ヘッド製造方法。
  8. 前記熱変化量差cは、次式
    c≦5.0×10-3
    を満たすことを特徴とする請求項6又は7記載の吐出ヘッド製造方法。
  9. 前記振動板はエアロゾルデポジション法を用いて形成されることを特徴とする請求項1乃至のうち何れか1項に記載の吐出ヘッド製造方法。
  10. 被吐出媒体上に吐出させる液滴に吐出力を与える圧電体を有する吐出ヘッドであって、
    前記圧電体が形成されるベース基板と、
    前記ベース基板の少なくとも1つの面にエアロゾルデポジション法を用いて形成される圧電体と、
    前記圧電体の前記ベース基板と反対側の面に接合或いは成膜される振動板と、
    前記振動板の前記圧電体と反対側の面にエアロゾルデポジション法を用いて形成される圧力室壁と、
    液滴が吐出される吐出孔が設けられ、前記圧力室壁の前記振動板と反対側に接合される吐出孔板と、
    を備え、
    前記ベース基板は前記圧電体の個別電極形成領域に対応する部分が除去されるとともに他の部分が残され、前記圧電体の前記ベース基板側の面の個別電極形成領域に個別電極が形成され、
    前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが所定の範囲内であることを特徴とする吐出ヘッド。
  11. 前記吐出ヘッドは、前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の長さに対応したライン型ヘッドを含み、
    前記ベース基板は、前記圧電体の個別電極形成領域の外側となる前記ベース基板の前記被吐出媒体の移動方向と略平行方向の両端部を前記被吐出媒体の移動方向と直交する方向の全長にわたって残すとともに他の部分が除去されることを特徴とする請求項10記載の吐出ヘッド。
  12. 前記ベース基板の熱膨張係数a及び前記圧電体の熱膨張係数bの割合b/aが、次式
    0.6≦(b/a)≦1.4
    を満たすことを特徴とする請求項10又は11記載の吐出ヘッド。
  13. 前記ベース基板は、ステンレス鋼板或いは、結晶化ガラス、Fe-Ni 系合金のうち少なくとも何れか1つを含むことを特徴とする請求項10、11又は12記載の吐出ヘッド。
  14. 前記ベース基板は前記圧電体と同一材料で形成されることを特徴とする請求項10、11又は12記載の吐出ヘッド。
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