JP2006051815A - 吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度に集積された吐出ヘッドにおいて液滴吐出効率及び吐出異常検出効率を両立させた吐出ヘッド及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】圧電素子58は振動板56と平行な面内に、第1の組成材料を含み主にインクの吐出駆動を行う駆動用圧電体部58Aと、第2の組成材料を含み主に圧力室52の圧力検出を行う検出圧電体部58Bと偏在させた構造を有し、圧電素子58を吐出特性及び圧力検出特性に優れた圧電素子を偏在させて一体形成したので、吐出効率及び圧力検出効率を両立させ高密度化に適した圧電素子が得られ、駆動用圧電素子58Aと検出用圧電素子58Bとの境界は第1及び第2の組成材料の混合割合が連続的に変化する第3の組成材料を含む中間圧電体部58Cを備えたので境界部分での破壊を防ぐことができ長寿命化に寄与する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、吐出ヘッド及び画像形成装置に係り、特に、インクジェット記録装置などの画像形成装置に用いられる吐出ヘッドに用いる加圧素子の構造及び製造技術に関する。
画像形成装置の一例として、多数のノズル(吐出素子)を配列させたインクジェットヘッド(吐出ヘッド、印字ヘッド)を有し、このインクジェットヘッドと被画像形成媒体(被吐出媒体)を相対的に移動させながら、ノズルからインクを吐出することにより被画像形成媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。
このようなインクジェット記録装置のインクジェットヘッドにおけるインク吐出方式には、様々なものがある。例えば、圧電素子の変形によって圧力室の一部を構成する振動板を変形させて圧力室の容積を変化させ、圧力室の容積増大時にインク供給路から圧力室内にインクを導入し、圧力室の容積減少時に圧力室内のインクをノズルから液滴として吐出する圧電方式や、インク室(圧力室)内のインクを加熱して気泡を発生させ、この気泡が成長する際の膨張エネルギーでインクを吐出させるサーマルインクジェット方式などが知られている。
圧力室内のインクに吐出力を与える加圧素子に圧電素子を用いたインクジェットヘッドでは、圧力室内のインクに効率よく吐出力を与えることで、大きな吐出力を必要とする高粘度インクを用いた場合にも好ましいインクの吐出を確保できるように、多層構造の圧電素子に組成の異なる成分を有する層や複数の成分を混合した混合層を用いるなど、圧力室や圧電素子などの材料、構造、形状等に様々な工夫がなされている。
インクジェット記録装置では、空気の混入やインクの温度変化などによりインクジェットヘッド内部に気泡が発生すると、圧力室の容積変化がこの気泡に吸収され、インクに充分な吐出力を付与することができず、インク吐出が不完全となる吐出異常が起こることがある。また、ノズル近傍のインクの乾燥やゴミ等の異物によるノズル詰まりの場合や、インクが圧力室に未充填の場合には、ノズルからインク滴が吐出しない不吐出が発生することがある。
このような吐出異常や不吐出の発生はインクジェットヘッドの性能を低下させ、被画像形成媒体上に形成されるドット形状(大きさ、形)の異常やドットの欠落などが起こり、被画像形成媒体上に形成される画像品質を低下させる原因となってしまう。したがって、吐出異常や不吐出の発生を素早く検出して、吐出異常や不吐出が発生したノズルではパージ等のノズルのメンテナンスを実行し、各ノズルのインク滴吐出を好ましい状態に保つことで、画像品質を維持することができる。
従来、圧力室内の圧力 (振動)状態から上述した吐出異常や不吐出の発生を検出する方法や、被画像形成媒体上に形成された画像(ドット)から吐出異常や不吐出の発生を検出する方法など、様々な吐出異常及び不吐出を検出する方法が提案されている。
特許文献1に記載されたインク噴出装置では、インクタンクからインクが供給されるインク供給口とインクを粒子化して飛翔せしめるインク滴噴出口とを有するインク室を構成する壁面の一部が電気信号に応答して変位し前記インク室内の容積を変化せしめる振動子から成るインク噴出装置に於いて、前記振動子の変位状態を検出する検出手段を配設し、前記電気信号に対する前記振動子の変位状態の異常を検知するように構成されている。不吐出時は変位状態を検出する電気信号に高周波が重畳されるので、この電気信号に高周波成分が含まれる場合には異常と判断される。
また、特許文献2に記載された圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法では、上部電極膜及び下部電極膜の間に複数の圧電体薄膜を積層して圧電体素子を構成する。この圧電体素子は、各圧電体薄膜中には微結晶粒が散在している。また、各圧電体薄膜における微結晶粒の面密度が下部電極膜に接する圧電体薄膜から遠い順に減少する傾向にある。複数の層からなる圧電体の各層に本来の結晶とは異なる微結晶を成長させ、且つ、その密度を上側の層ほど少なくする該圧電体素子構成によれば、微結晶粒が内部応力を緩和するので、圧電体の厚膜化が可能となり、信頼性を向上させることができる。
また、特許文献3に記載されたインクジェットプリンターヘッドでは、インクジェットの駆動素子に最適な膜厚を短時間で精度よく製造するために、微粒子を微細なノズルから数百m/秒という高速で基板に吹き付けて成膜する方法(エアロゾルデポジション法、AD法)をインクジェットプリンタ用圧電素子の形成に応用する。
また、特許文献4に記載された圧電体薄膜素子では、該圧電体薄膜素子は上部電極と下部電極に挟まれる圧電体膜を備え、この圧電体膜は膜厚と垂直な方向(幅方向)に隣接する領域の組成が互いに異なるような複数の成分から組成される構造を有している。該圧電体膜を組成する各成分が圧電体膜を占有する割合を調整することで、圧電体膜の比誘電率と圧電g定数を調整でき、単一組成の圧電体膜に比べて圧電d31定数を向上させることができる。
特開昭55−118878号公報 特開平11−238920号公報 特開2001−129993号公報 特開2000−22233号公報
しかしながら、従来技術に係るインクジェットヘッドでは、効率よく圧電体から力を発生させて吐出効率を向上させることや、圧電体及び周辺部材の内部応力を低減させて信頼性の向上を図る技術が開示されているが、高密度に集積されたインクジェットヘッドにおいて、インクを吐出するための駆動素子(加圧素子)とインクの吐出状態を検出するための検出素子とを一体として形成し、吐出効率及び検出効率を共に高める技術は開示されていない。
特許文献1に記載されたインク噴出装置では、振動子(駆動素子)の一部は該振動子の変位を検出する検出素子を構成し(即ち、駆動素子と検出素子とを振動板上に並べる構造を有し)、電気的にはそれぞれ別の素子として接続されるので高密度化には適していない。
また、特許文献2に記載された圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法では、圧電体の厚み方向に組成等が異なる構造を有し、駆動性能(インクを吐出させる性能)を向上させるが、該圧電体が吐出のための駆動と吐出状態の検出を兼ねる場合の適切な方法については開示されていない。
また、上記特許文献3に記載されたインクジェットプリンターヘッドでは、AD法により駆動素子(圧電体)を形成する方法について開示されているが、吐出状態の検出については特に開示されていない。
また、特許文献4に記載された圧電体薄膜素子では、駆動素子の厚みと垂直方向に組成等が異なる構造を有し、特許文献2に記載された圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法と同様に、駆動性能(インクを吐出させる性能)を向上させるが、該圧電体が吐出のための駆動と吐出状態の検出を兼ねる場合の適切な方法については開示されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高密度に集積された吐出ヘッドにおいて液滴吐出効率及び吐出異常検出効率を両立させた吐出ヘッド及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1記載の発明は、被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出させる液滴を収容する圧力室と、前記圧力室の少なくとも1つの壁面を形成し、前記圧力室の体積を変化させるように変形する振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側面に備えられ、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を与える圧電素子と、を備え、前記圧電素子は、第1の組成材料及び第2の組成材料を前記振動板に平行な面内に偏在させて一体成形され、前記第1の組成材料から形成される第1の圧電体部は前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を付与し、前記第2の組成材料から形成される第2の圧電体部は前記圧力室に発生する圧力を検出することを特徴とする。
即ち、圧電素子の面方向に異なる特性を有する第1の組成材料と第2の組成材料とを偏在させて該圧電素子を一体形成させ、第1の組成材料から形成される第1の圧電体部は液滴の吐出に寄与し、第2の組成材料から形成される第2の圧電体部は圧力室の圧力検出に寄与する。したがって、液の吐出特性及び圧力検出特性が共に良好であり、高密度化に好適な圧電素子を形成することができる。
吐出ヘッドの構成例として、被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたってインク吐出用の複数のノズルを配列させたノズル列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。
この場合、被吐出媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドブロックを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として被吐出媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のヘッドは、通常、被吐出媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってインクジェットヘッドを配置する態様もあり得る。
「吐出ヘッド」には、インクジェット記録装置などの画像形成装置に用いられるインクジェットヘッド、印字ヘッドなどと呼ばれ得るものを含んでいてもよい。
「被吐出媒体」は、吐出ヘッドから吐出される液滴を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、吐出ヘッドによって配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記第1の組成材料は前記第2の組成材料に比べて等価圧電定数(d定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含み、前記第2の組成材料は前記第1の組成材料に比べて電圧出力係数(g定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含むことを特徴とする。
等価圧電定数(d定数)は、電気機械変換定数、圧電歪定数と呼ばれるものを含み、与えられる電界の強さに対して圧電素子に生じる歪みの大きさを示す。等価圧電定数が大きい第1の組成材料に適用される材料には、セラミック系材料などがある。
また、電圧出力係数(g定数)は、機械電気変換定数、圧電応力定数と呼ばれるものを含み、与えられる応力に対する生じた電界の強さを示す。電圧出力係数が大きな第2の組成材料に適用される材料にはフッ化樹脂系材料などがある。
圧電素子には共通電極と個別電極が備えられており、駆動信号が印加される個別電極と検出信号を得る個別電極とを共通の個別電極として形成し、該共通の個別電極に接続される信号線(配線)を共通化してもよい。このように信号線が共通化される場合には、信号分離手段を用いて駆動信号と検出信号とを電気的に分離する。
また、前記目的を達成するために請求項3記載の発明は、被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出させる液滴を収容する圧力室と、前記圧力室の少なくとも1つの壁面を形成し、前記圧力室の体積を変化させるように変形する振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側面に備えられ、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を与える圧電素子と、を備え、前記圧電素子は、第1の組成材料から形成され、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を付与する第1の圧電体部と、第2の組成材料から形成され、前記圧力室に発生する圧力を検出し、その周辺部に前記第1の圧電体部が配設される第2の圧電体部と、を有することを特徴とする。
即ち、主として圧力室の圧力検出に寄与する第2の圧電体部の外周部に、主として液吐出に寄与する第1の圧電体部を配設したので、振動板はその周辺部(辺縁部)でたわみが大きくなり、インク吐出のための振動板の変位量を大きく取ることができる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記圧電素子は、第1の組成材料及び第2の組成材料を前記振動板に平行な面内に偏在させて一体成形され、前記第1の組成材料は前記第2の組成材料に比べて等価圧電定数(d定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含み、前記第2の組成材料は前記第1の組成材料に比べて電圧出力係数(g定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含むことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記第2の組成材料は、主として前記振動板に略平行な方向の応力を用いて圧力検出を行う圧電素子を形成することを特徴とする。
主として前記振動板に略平行な方向の応力を用いて圧力検出を行う圧電素子には、g31方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子がある。この圧電素子では圧力を受ける方向と垂直な方向の歪み(伸び、縮み)に応じて発生する電圧(電界)から受ける圧力を検出することができる。
なお、g31方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子では、振動板の厚みを薄くするなど、振動板の剛性を低くして振動板の変位を大きくすることが好ましい。
請求項6記載の発明は、請求項3、4又は5記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記振動板は、前記第2の圧電体部が設けられている部分に前記第2の圧電体部の変位を妨げない剛性を有する低剛性部を備えたことを特徴とする。
一方、低剛性部は液吐出時に圧電素子から振動板に伝播される吐出力を損失しない程度の剛性を有している。
例えば、低剛性部として振動板の厚みを薄くする場合には、振動板の一部を薄くしてもよいし、振動板全体を薄くしてもよい。振動板の一部を薄くする場合、主として圧力検出を行う圧電素子が設けられている振動板の略中央部を薄くする態様が好ましい。
請求項7記載の発明は、請求項3乃至6のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記第2の圧電体部の前記圧力室側面に前記第1の圧電体部が積層される積層構造を有することを特徴とする。
主として圧力検出を行う第2の圧電体部の振動板側に、第1の圧電体部を積層させることで、本来、圧力検出素子として機能する第2の圧電体部が配設されている部分を液の吐出に寄与させることができる。
積層構造を形成する第1の圧電体部(第1の組成材料)と、第2の圧電体部(第2の組成材料)は略同一の厚みを持ってもよいし、異なる厚みを持ってもよい。第1の圧電体部と第2の圧電体部との間に個別電極層を備え、この部分を積層圧電体としてもよい。なお、この際に、分極電圧値を各圧電素体部で略同一とすることが好ましい。
また、前記目的を達成するために請求項8記載の発明は、被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、前記吐出孔から吐出させる液滴を収容する圧力室と、前記圧力室の少なくとも1つの壁面を形成し、前記圧力室の体積を変化させるように変形する振動板と、前記振動板の前記圧力室と反対側面に備えられ、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を与える圧電素子と、を備え、前記圧電素子は、第1の組成材料から形成され、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を付与する第1の圧電体部と、第2の組成材料から形成され、前記圧力室に発生する圧力を検出し、前記第1の圧電体部の周辺部に配設される第2の圧電体部と、を有することを特徴とする。
即ち、主として圧力室の圧力検出に寄与する第2の圧電体部を、主として液吐出に寄与する第1の圧電体部の周辺部に配設するので、液の吐出駆動特性に影響を与えずに圧力室の圧力検出を行うことができる。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記圧電素子は、第1の組成材料及び第2の組成材料を前記振動板に平行な面内に偏在させて一体成形され、前記第1の組成材料は前記第2の組成材料に比べて等価圧電定数(d定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含み、前記第2の組成材料は前記第1の組成材料に比べて電圧出力係数(g定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含むことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記第2の組成材料は、主として前記振動板に略直交する方向の応力を用いて圧力検出を行う圧電素子を形成することを特徴とする。
主として前記振動板に略直交する方向の応力を用いて圧力検出を行う圧電素子には、g33方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子がある。この圧電素子では圧力を受ける面に垂直な方向の圧縮歪みに応じて発生する電圧(電界)から受ける圧力を検出することができる。
なお、g33方向の変位を用いて圧力検出を行う場合には、該圧電素子の剛性を高くして、該圧電素子が変形してしまうことで生じる圧力の損失を抑制する必要がある。
請求項11記載の発明は、請求項8、9又は10記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記第2の圧電体部は前記圧力室と反対側面に前記第2の圧電体部の変位を規制する変位規制部材を備えたことを特徴とする。
主として圧力検出に寄与する第2の圧電体部が検出する圧力を受ける側と反対側に、第2の圧電体部の変位を規制する変位規制部材を備えることで、第2の圧電体部の剛性を等価的に高くすることができ、第2の圧電体部の変形を抑制できる。
該変位規制部材には、主として液の吐出に寄与する第1の圧電体部が配設される略中央部に、該圧電素子の変位を妨げない程度の剛性を有する空洞部等の低剛性部を備える態様が好ましい。
請求項12記載の発明は、請求項8乃至11のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記第2の圧電体部を前記吐出孔の近傍に配設することを特徴とする。
即ち、第2の圧電体部を吐出孔近傍に配設することで、圧力室内の吐出孔近傍で起こる圧力異常の検出精度を向上させることができる。
請求項13記載の発明は、請求項8乃至11のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドの一態様に係り、液供給系から前記圧力室へ液を供給する供給口を備え、前記第2の圧電体部を前記供給口の近傍に配設することを特徴とする。
即ち、第2の圧電体部を供給口近傍に配設することで、圧力室内の供給口近傍で起こる圧力異常の検出精度を向上させることができる。
なお、請求項12に記載の発明と請求項13に記載の発明を組み合わせて、第2の圧電体部を吐出孔近傍及び供給口近傍の両方に備えてもよい。
請求項14記載の発明は、請求項1乃至13のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記圧電素子は、前記第1の組成材料と前記第2の組成材料とを混合した第3の組成材料から形成される第3の圧電体部を含むことを特徴とする。
即ち、第1の組成材料と第2の組成材料とを混合した第3の組成材料から形成される第3の圧電体部を備えることで、異なる組成材料から形成される圧電体の境界に起こる破壊を防止することができる。
第3の組成材料は異なる第1の組成材料と第2の組成材料との混合割合が連続的且つなだらかに変化する傾斜構造組成を有する態様が好ましい。
請求項15記載の発明は、請求項1乃至14のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドの一態様に係り、前記圧電素子はエアロゾルデポジション法によって製造されることを特徴とする。
エアロゾルデポジション法を用いると、異なる組成材料を偏在させる構造を容易に形成可能であり、また、異なる組成材料を混合させる割合を連続的に変化させる傾斜構造を容易に形成することができる。
また、前記目的を達成するために請求項16記載の発明は、請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
画像形成装置には、印字媒体( 被吐出媒体)上にインク滴を吐出させて、該印字媒体にカラー画像を形成するインクジェット記録装置を含んでいてもよい。
請求項17記載の発明は、請求項16記載の画像形成装置の一態様に係り、前記圧電素子によって検出された前記圧力室の圧力から当該圧力室が有する吐出孔の吐出異常を判断する吐出異常判断手段を備えたことを特徴とする。
即ち、圧力室の圧力を検出することによって、当該圧力室の持つ吐出孔の異常や供給側の異常、圧力室内の気泡発生などによって起こる吐出異常を判断することができる。
吐出異常には、所定の圧力を付与しても液滴が吐出されない不吐出、液滴の吐出量異常などがある。吐出異常が発生した吐出孔(圧力室)では、パージ、吸引などのメンテナンス動作を実行するように制御が行われる態様が好ましい。
本発明によれば、圧電素子を形成する際に、前記振動板に平行な面内に第1の組成材料及び第2の組成材料を偏在させて一体成形するので、各部分で異なる特性を備えた圧電体を形成させることができる。
第1の組成材料には第2の組成材料に比べて圧電歪定数が大きな材料を用い、第1の組成材料から形成される第1の圧電体部は主として液の吐出駆動を行う。また、第2の組成材料には第1の組成材料に比べて圧電応力定数が大きな材料を用い、第2の組成材料から形成される第2の圧電体部は主として圧力室の圧力検出を行う。このように構成すると、液の吐出特性及び圧力室の圧力検出特性を共に兼ね備えた圧電素子を実現することができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置を用いたインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数の吐出ヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体(被吐出媒体)たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち、1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4(a) は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図3(a) 中の4a −4a 線に沿う断面図)、図4(b) は圧電素子58の平面構造を示す平面図である。なお、図4(b) では、図3(a) 〜(c) 及び図4(a) に示したノズル51及び供給口54は省略されている。
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a),(b) に示したように、インク滴の吐出孔であるノズル(吐出孔)51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が長方形や概略正方形、概略ひし形などとなっており、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、図3(a),(b),(c) には略正方形形状の圧力室52を例示したが、圧力室52の形状は、図4(b) に示すように長方形でもよい。また、これ以外にも三角形など四角形以外の多角形形状を適用可能である。更に、圧力室52の頂角部分には面取り加工(R加工、C加工)が施されていてもよい。
図4(a) に示すように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4(a) 中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、前記インクタンクから供給されるインクは図4(a) の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成し、共通電極と兼用される振動板56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されている。本例に示す圧電素子58は、その特性を部分的に異ならせるように形成されている。
即ち、圧電素子58は、第1の組成材料から成る駆動用圧電体部(第1の圧電体部)58A、第2の組成材料から成る検出用圧電体部(第2の圧電体部)58B、第1の組成材料と第2の組成材料とを混合した第3の組成材料から成る中間圧電体部(第3の圧電体部)58Cから構成さている。
圧電素子58を個別電極57側から見た平面透視図である図4(b) に示すように、振動板56と略平行な面内に駆動用圧電体部58A、検出用圧電体部58B、中間圧電体部58Cが偏在し、検出用圧電体部58Bの周辺を囲むように駆動用圧電体部58Aが設けられ、駆動用圧電体部58Aと検出用圧電体部58Bとの境界部分は、その組成がなだらかに(連続的に)変わる傾斜構造組成を有する中間圧電体部58Cが設けられている。
第1の組成材料には、等価圧電定数(d定数、電気機械変換定数、圧電歪定数)の絶対値が大きい駆動特性の優れた圧電素子を形成する材料が適用され、第2の組成材料には、電圧出力係数(g定数、機械電気変換定数、圧電応力定数)が大きい検出特性の優れた圧電素子を形成する材料が適用される。
第1の組成材料によって形成される駆動用圧電体部58Aは駆動信号に応じてインクに与える吐出力を発生し、主にインク吐出の駆動に対して機能する。また、第2の組成材料によって形成される検出用圧電体部58Bは加えられた圧力に応じた電圧を発生し、主に圧力室52の圧力検出に対して機能する。
即ち、個別電極57に駆動電圧を印加すると、圧電素子58(主として駆動用圧電体部58A)に発生する歪みに応じて振動板56が変形して圧力室52の容積が変化する。この圧力室の容積変化に伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。インク吐出後、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
一方、振動板56が圧力室52内のインクなどから圧力を受けると(圧力室52の圧力を受けると)、この圧力に応じて圧電素子58(主として検出用圧電体部58B)に歪みが生じ、この歪みに応じた電圧が個別電極57に発生する。個別電極57に発生した電圧から圧力室52の圧力(圧力変動)を検出することができ、検出された圧力室52の圧力から当該圧力室52が有するノズル51の吐出異常の有無を判断することができる。なお、上述した吐出異常検出の詳細は後述する。
一般に、第1の組成材料にはセラミック系材料が好適である。例えば、セラミック系材料にはチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr・Ti)O3 )があり、強誘電体のチタン酸鉛(PbTiO3 )と反強誘電体のジルコン酸鉛(PbZrO3 )を基本組成とし、この2成分の混合比を変えることによって圧電、誘電、弾性などの諸特性をコントロールでき、インク吐出効率及び圧力検出効率のより良い圧電セラミック材料を得ることができる。
また、第2の組成材料にはPVDF(Polyvinylidene fluoride 、ポリフッ化ビニリデン)やPVDF-TrFE (ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体)などのフッ化樹脂系材料が好適である。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
〔インク供給系の構成〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インクタンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。図6には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用の圧電素子58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
即ち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電素子58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド50のノズル面50Aに、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
但し、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
〔制御系の説明〕
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、メモリ82、ヘッド駆動部84、吐出検出部85等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。
メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッド駆動部84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッド駆動部84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80にはメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータがメモリ82に一時的に格納される。なお、図7においてメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッド駆動部84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yの圧電素子を駆動する。ヘッド駆動部84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データがメモリ74に記憶される。
メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、メモリ82に蓄えられる。
ヘッド駆動部84は、メモリ82に記憶されたドットデータに基づき、ヘッド50の駆動制御信号を生成する。ヘッド駆動部84で生成された駆動制御信号がヘッド50に加えられることによって、ヘッド50からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
吐出検出部85は、図4(a),(b) に示した圧電素子58(主として検出用圧電体部58B)によって検出された圧力室52の圧力変動に応じた電圧(検出信号)に所定の信号処理を施す信号処理部である。吐出検出部85によって信号処理を施された検出信号はプリント制御部80に送出され、当該圧力室52が有するノズル51の異常や圧力室52内の気泡発生などによる吐出異常の有無が判断される。
〔圧電素子の駆動制御及び圧力検出制御〕
次に、上述した圧電素子58の駆動制御及び圧電素子58を検出センサに用いた圧力検出(吐出異常検出)制御の詳細について説明する。
図8(a) は、図4(a) に示したインク室ユニット53を個別電極57側の面から見た平面図である。
個別電極57は、駆動用圧電体部58Aと検出用圧電体部58Bとを共通の電極 (1枚の金属薄膜)でつなぐ構造を有し、駆動信号と検出信号とは電極取り出し部59から共通の信号線(図8には不図示、図9に符号160として図示)を用いて伝送される。
もちろん、図8(b) に示すように、駆動用圧電体部58Aに駆動信号を印加する駆動用個別電極57Aと、検出用圧電体部58Bから検出信号を取り出す検出用個別電極57Bと、を別々に備え、駆動信号はヘッド駆動部84から駆動信号用信号線及び電極取り出し部59Aを介して駆動用個別電極57Aへ印加され、検出信号は検出用個別電極57Bから電極取り出し部59B及び検出信号用信号線を介して吐出検出部85へ送出される構成でもよい。
なお、駆動用個別電極と検出用個別電極を共通の個別電極57で構成し、共通の信号線を用いて駆動信号及び検出信号を伝送すると、配線の数を減らすことができ、ヘッドの高密度化に寄与する。一方、図8(b) に示すように駆動用個別電極57Aと検出用共通電極57Bとを別々に備える構成では、信号線から検出信号を分離する回路が不要になり、電装系及び制御系を簡易にすることができる。
ここで、検出信号とは、圧電素子58(検出用圧電体部58B)が圧力室52の圧力を検出するための圧力センサとして機能する際に、圧電素子58から得られる信号であり、インク吐出時の圧電素子58(駆動用圧電体部58A)による吐出駆動或いは吐出異常検出駆動が実行されたときにインク圧力の変化に相当する検出信号である。
即ち、該検出信号は、インク圧力の値(変化量)又は、駆動信号に対するノズル51、圧力室52、供給口54、共通流路55、圧電素子58、インク等の特性によって決まる共振状態(共振周波数)及び応答に相当する信号(インピーダンス変化)である。
図9は、図7に示したヘッド駆動部84、吐出検出部85の詳細を説明するブロック図である。なお、図9中図7と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
本インクジェット記録装置10は、ヘッド駆動部84は、ヘッドコントローラ100、ドットデータ生成プロセッサ102、駆動波形データ生成プロセッサ104及び、これらに備えられた記録手段であるROM106、108、110、駆動波形データ生成プロセッサ104によって生成される駆動波形を一時記憶するRAM112、D/A変換器114、駆動用アンプ116、ドットデータ生成プロセッサ102によって生成されるドットデータの一時記憶領域であるRAM120、パラレルシリアル変換器122、駆動用マルチプレクサロジック124、スイッチ回路126等から構成されている。
また、吐出検出部85は、不吐出検出コントローラ130、不吐出データ処理プロセッサ132、不吐出検出コントローラ130及び不吐出データ処理プロセッサ132に備えられた記録手段であるROM134、136、電圧変換増幅部138、バンドバスフィルタ(BPF)140、A/D変換器142、信号処理を施された検出信号の一時記憶領域であるRAM144、検出用マルチプレクサロジック146、スイッチ回路148等から構成されている。
なお、図9に示した、プロセッサ、コントローラ等は、ワンチップマイコンやMPUなどを用いて1又は2以上のデバイスに集約してもよい。また、ROM、RAMなどのメモリは1つのデバイス内の領域を分割して構成してもよい。
本実施形態は、図3に示すような2次元マトリクス状に圧力室52が配列された印字ヘッド50において、図8(a) に示すように、駆動信号が印加される個別電極と、検出信号を取り出す個別電極と、を共通の個別電極57で構成し、個別電極57は共通の信号線160を介してヘッド駆動部84及び吐出検出部85に接続される。なお、図示しないが、ヘッド50から制御系への配線にフレキシブル基板を用いる態様がある。
ここで、信号線160に用いられるフレキシブル基板とは、ポリイミドなどの樹脂シート上に銅などの配線が施された状態を示している。なお、該配線は樹脂シートに表面及び裏面の何れか一方の面に形成されてもよいし、表面、裏面の両面に形成されてもよい。
なお、図9では、表示を簡単にするために、各行5つずつ3行に並んだノズル51を有する圧力室52(インク室ユニット53)が配置された印字ヘッド50を示しているが、実際はこれより多数の圧力室52が配列されている。
各圧力室52に対して、インクを吐出するためにそれぞれの圧力室52の圧電素子58(駆動用圧電体部58A、図9では不図示、図4(a) に図示)に駆動信号を送るための信号線160が接続されており、この信号線160は駆動用マルチプレクサロジック124によって制御されるスイッチ回路126によって切り換えられるようになっている。
各圧力室52に設けられた圧電素子58に駆動信号が印加されると、圧電素子58のうち主として駆動用圧電体部58Aが駆動され、当該圧力室52(ノズル51)のインク吐出動作が行われる。
このときの圧力室52内に発生する圧力を圧電素子58のうち主として検出用圧電体部58Bが受け、この圧力に応じた検出信号が個別電極57に発生する。このようにして検出用圧電体部58Bから得られた検出信号は、検出用マルチプレクサロジック146によって制御されるスイッチ回路148を切り換えることによって圧力室ごとに取り出すことができる。
なお、吐出異常検出を行う際に、各圧力室52の駆動用圧電体部58Aを吐出異常検出駆動波形(駆動信号)を用いてインクを吐出しない程度の圧力検出用の駆動を行い、そのとき圧力室52内のインクに発生するインク圧力を検出用圧電体部58Bで検出してもよい。
ここで、吐出異常検出用波形とは、各圧力室52の駆動用圧電体部58Aを通常のインク吐出時とは別に吐出異常検出のためにノズル51からインクが吐出しない程度に駆動する波形のことであり、そのときのインク圧力を検出用圧電体部58Bで検出して吐出異常検出を行うものである。このように、吐出異常検出用波形は、インク吐出動作は起こさず、吐出異常検出に適した波形である。吐出異常検出用波形は、インク吐出時の駆動波形とは異なる波形であることが好ましく、このような波形の例としては、吐出に影響し圧力室52に混入する可能性の高い気泡のサイズに対し共振するような周波数での正弦波状の波形が好適に例示される。または、吐出異常検出用波形として、ステップ状あるいはインパルス状の波形を加え、圧力室52全体の応答を見るようにしてもよい。
システムコントローラ72は、外部より文字や画像等の印字データを受け取り、ヘッドコントローラ100、不吐出検出コントローラ130、その他図示は省略するが記録紙16の搬送を制御する搬送コントローラあるいはヘッドの吐出異常があった場合にその回復処理を制御するヘッドメンテナンスコントローラ等を制御し、印字処理をコントロールするものである。
ヘッドコントローラ100は、システムコントローラ72からの指示及びデータに基づいて印字ドットの生成をドットデータ生成プロセッサ102に指示するとともに、インク吐出用の駆動波形の生成を駆動波形データ生成プロセッサ104に指示するものである。
また、ヘッドコントローラ100は、ドットデータ生成プロセッサ102からの吐出異常検出動作をすべき圧力室52を駆動する圧電素子58の通知を不吐出検出コントローラ130に伝え、更に、不吐出検出コントローラ130からの吐出異常情報に基づいてドットデータ生成プロセッサ102へ生成ドットの変更を指示するものである。
駆動波形データ生成プロセッサ104は、ヘッドコントローラ100の指示及び温度・湿度条件、媒体条件等に従い、各サイズのドットの生成や吐出異常検出、メンテナンス動作及びノズル面でのインク揮発防止のための圧電素子58(駆動用圧電体部58A)を駆動する駆動波形を生成するものである。
この駆動波形データはRAM112に蓄えられ、該駆動波形データは、所定のクロック信号に合わせてD/A変換器114を用いてD/A変換され、駆動用アンプ116により所定電圧に増幅され、スイッチ回路126により切り換えられて駆動すべき圧力室52の駆動用圧電体部58Aに送られるようになっている。
ドットデータ生成プロセッサ102は、ヘッドコントローラ100の指示に従い、文字や画像情報からドットの配置情報を生成するものである。生成されたドットデータはRAM120に蓄えられる。RAM120に蓄えられたドットデータは、パラレルシリアル変換器122によってパラレルシリアル変換されることで、より多量のデータを少ない信号線で圧電素子58近傍まで送られるようになっている。また、所定のクロック信号に合わせて、上記波形データと同期して、駆動用マルチプレクサロジック124によりスイッチ回路126を切り換えて各圧力室52の圧電素子58(駆動用圧電体部58A)に駆動波形を送るようになっている。
不吐出検出コントローラ130は、システムコントローラ72からの指示とヘッドコントローラ100からの吐出異常検出動作をすべき圧力室52の情報に基づいて、該当する圧力室から検出信号を取得して吐出異常検出動作を行い、吐出異常を検出した場合には、上記ヘッドコントローラ100に通知するようになっている。
このようにして得られた検出信号は、不吐出検出コントローラ130によって制御された検出用マルチプレクサロジック146によってスイッチ回路148を切り換えて、電圧変換増幅部138によって順次電圧変換・増幅された後、バンドパスフィルタ140で低周波数のノイズ成分が除去され、A/D変換のサンプリング周波数に合わせた高周波数の不要成分が除去される。更に、A/D変換器142によってA/D変換された後にメモリ(RAM)144に蓄えられる。
不吐出データ処理プロセッサ132は、このメモリ144に蓄えられたデータを処理して、吐出異常を起こす状態であるか否かを判断するものである。その結果、吐出異常を起こす状態であるようなノズル51が見つかった場合には、その結果が不吐出検出コントローラ130に伝えられるようになっている。
なお、本実施形態に示した吐出異常検出は、画像形成のためのインク滴吐出時にも実行可能であるが、吐出異常検出波形を用いてインクを吐出させないように圧電素子58を駆動して行うことも可能である。
この場合、ドットデータ生成プロセッサ102は、ドットの配置(各圧力室52のノズル51の稼働状況)情報から吐出異常検出動作をすべき圧力室52(ノズル51)が決定されると、ヘッドコントローラ100に通知し、ヘッドコントローラ100の指示に従って駆動波形データ生成プロセッサ104が生成する吐出異常検出波形に対応する吐出されないドットを生成する。
ここで、図10(a) 〜(d) に、上述した吐出異常検出によって得られる検出信号の一例を示す。
図10(a) は、圧電素子58に入力される電気信号、即ち、電圧の波形である。図10(b) 、(c) 、(d) は圧力室52の圧力状態に対応した振動板56の変位Δxを表している。
図10(b) は、圧力室52、ノズル51及び共通液路55等にインクが充満し、空気が混入していない正常時の変位を示している。図6(c) は、供給側が詰まるなどにより圧力室52等にインクが充填されておらず空気だけの場合の変位を示している。また、図10(d) は、圧力室52にインクはあるが空気が混入している場合の変位を示している。図10(d) の場合は、混入した空気によって発生した気泡がダンパーの役割をして振動を吸収してしまい、加えた圧力がインクに正確に伝わらず正常にインクを吐出させることができない。
このように、圧電素子58を駆動させるときの圧力室52に圧力変化を検出することで各圧力室52が有するノズル51の吐出異常の有無を判断することができる。
〔圧電素子の製造方法〕
次に、上述した圧電素子58の製造方法について説明する。
本実施形態に係るヘッド50に搭載される圧電素子58は、図4(a) に示すように、ノズル51、圧力室52、供給口54等が形成される薄膜が積層された積層構造を有している。本例では、このような複数の薄膜を積層させた積層体を製造する方法にエアロゾルデポジション法(以下、AD法と記載)が適用される。
図11は、AD法による成膜装置を示す模式図である。この成膜装置は、原料の粉体251を収容するエアロゾル生成容器252を有している。ここで、エアロゾルとは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいう。
エアロゾル生成容器252には、キャリアガス導入部253、エアロゾル導出部254、振動部255が設けられている。キャリアガス導入部253から窒素ガス(N2 )等の気体を導入することによってエアロゾル生成容器252内に収容された原料の粉体が噴き上げられ、エアロゾルが生成される。その際に、振動部255によってエアロゾル生成容器252に振動を与えることにより、原料の粉体が攪拌され、効率よくエアロゾルが生成される。生成されたエアロゾルは、エアロゾル導出部254を通って成膜チャンバ256に導かれる。
成膜チャンバ256には、排気管257、ノズル258、可動ステージ259が設けられている。排気管257は、真空ポンプに接続されており、成膜チャンバ256内を排気する。エアロゾル生成容器252において生成され、エアロゾル導出部254を通って成膜チャンバ256に導かれたエアロゾルは、ノズル258から基板250に向けて噴射される。これにより、原料の粉体が基板250上に衝突して堆積する。基板250は、3次元に移動可能な可動ステージ259に載置されており、可動ステージ259を制御することにより、基板250とノズル258との相対的位置が調節される。
上述したAD法では、可動ステージ259を圧電素子58の組成を変化させる方向に往復させノズル258から噴出させるエアロゾルの成分を変化させながら調整することで傾斜構造組成が形成される。このようにAD法を用いることにより、図4(a) に示すような連続的に組成を変化させた構造を持つ圧電素子を製造することができる。
このようにして、連続的に組成を変化させると、図4(a) に示した中間圧電体部58Cが形成される。
この中間圧電体部58Cを有する圧電素子58は、特性の異なる2つの圧電素子を単に並べて接合 (接着)させた圧電素子58を駆動するときに、その境界に生じる歪みによって該接合部の接合不良などの破壊が起きることを防止できる。
即ち、中間圧電体部58Cは内部応力緩和に寄与し、中間圧電体部58Cを有する圧電素子58はその寿命にも有利に働く。
例えば、第1の組成材料にセラミック系材料を用い、第2の組成材料にフッ化樹脂系材料を用いるなど、特性が異なる2種類の組成材料を用いて、図4(a) に示す構造を有する圧電素子58を形成する場合には、傾斜構造組成部分となる中間圧電体部58Cを形成する態様が好ましい。
一方、類似および同一の特性を持つ2種類の組成材料を組み合わせる場合には中間圧電体部58Cを除いてもよい。
また、フッ化樹脂系の材料は熱に弱い性質を持っており、PVDFなどのフッ化樹脂系材料を用いた圧電素子58は、高温による処理を行わないAD法を用いて製造するとよい。
更に、AD法を用いて個別電極57や共通電極(本例では、振動板56と兼用)を形成してもよい。もちろん、蒸着、スパッタなどを用いて、個別電極57及び共通電極を形成してもよい。
AD法を用いて個別電極57を形成すると、図8(b) に示した同一面内に複数の個別電極(本例では、駆動用個別電極57A、検出用個別電極57B)を形成する場合に有効である。
本例では、AD法を用いて圧電素子58を製造する方法を例示したが、圧力室52やノズル51が形成されるノズル板、振動板56などインク室ユニット53の一部又は全部をAD法によって製造してもよい。
なお、本例に示した圧電素子58の製造方法はAD法に限定されず、スパッタ、蒸着など様々な薄膜製造方法、薄膜接合方法を適用可能である。
〔圧電素子の構造例〕
次に、本例に用いられる圧電素子58の構成について詳説する。
上述したように、ヘッド50に用いられる圧電素子58は、インク吐出駆動特性に優れた領域(駆動用圧電体部58A)と、圧力室52の圧力検出特性に優れた領域(検出用圧電体部58B)と、を備え、領域ごとにそれぞれの特性に合わせた組成材料が用いられる。
即ち、圧電素子58は、インク吐出駆動特性と圧力室の圧力検出特性と両方の特性(変換効率)に優れた性能を備え、高密度に集積されたヘッドに好適な構造を有している。
上記構造を有する圧電素子58は、インクジェットヘッドに求められる特性、寸法の制限、使用するインクの特性などによって、異なる特性の材料をどのように分布させるかが決められる。
図12には、図4(a) に示す、2種類の組成材料を圧電素子58の厚み方向と垂直成分を持つ面内(振動板56と略平行な面内)で偏在させて構成された圧電素子58の他の態様を示す。なお、図12中、図4(a) と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図12に示す圧電素子58は、第1の組成材料から成る駆動用圧電体部58Aの周囲を囲むように第2の組成材料から成る検出用圧電体部58Bが設けられ、駆動用圧電体部58Aと検出用圧電体部58Bとの境界部分には、その組成がなだらかに(連続的に)変わる傾斜構造組成を有する中間圧電体部58Cが設けられている。
即ち、図12に示す圧電素子58は、電圧出力係数が大きな組成材料である第2の組成材料から成る検出用圧電体部58Bが振動板56の周辺部分(辺縁部分)にドーナツ状に配置されており、図4(a) に示す圧電素子58と図12に示す圧電素子58とは、駆動用圧電体部58Aと検出用圧電体部58Bとの配置が入れ替わった構造を有し、それぞれの態様では、インク吐出の駆動特性及び圧力室52の圧力検出特性が異なっている。
図12に示す圧力室52は、振動板56の周辺部(即ち、圧力室壁52A近傍の振動板56)では、振動板56が変位 (変形) するときに圧力室壁52Aとの変形抵抗が大きいために変形させようとしても変形しにくい、即ち、変位を与えにくい構造になっている。しかし、この変形しにくい領域では、振動板56が圧力を受けた際の圧力伝搬は行われるので、振動板56の周辺部は圧力室52の圧力検出に好適である。
更に、不吐出などの吐出異常による影響が大きいノズル51の近傍(ノズル51側)及び、インク充填による影響が大きい供給口54の近傍(供給口54)側に検出用圧電体部58Bを配置し、圧力室52の圧力を検出するとよい。
即ち、圧力室52内を伝搬する圧力波が大きくなるノズル51近傍及び供給口54近傍で圧力室52の圧力検出を行う態様が好ましい。
図12に示す態様では、g33方向の変位(圧縮歪み)を用いて圧力検出を行う圧電素子(主として振動板56に略垂直方向の応力によって圧力検出を行う圧電素子)を検出用圧電体部58Bに適用するとよい。ここで、g33方向の変位とは圧電素子の圧力検出面に略垂直方向を示し、検出面に対して略垂直方向に加わる力が検出される。一般に、g33方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子は検出効率が高いので、比較的小さな圧力しか得られない場合に好適である。
また、検出用圧電体部58Bにg33方向の変位を用いる圧電素子を適用する場合には、図13に示すように、検出用圧電体部58Bの振動板56と反対側に、圧力室52内の圧力によって、検出用圧電体部58Bが図13における上下方向に変位しないように所定の剛性を持つ変位規制部材300を備えるとよい。
このように、検出用圧電体部58Bの圧力を受ける側と反対側に変位規制部材300を備えると、圧力を受ける側と反対側から検出用圧電体部58Bを押さえて検出用圧電体部58Bの図13における上下方向の変位を規制し、検出用圧電体部58Bの歪みを大きくすることができる。
即ち、剛性が低く比較的厚みが薄いg33方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子を検出用圧電体部58Bに適用する場合には、圧力を受ける面の反対側面を剛性の高い部材で固定するように構成する態様が好ましい。
一方、変位規制部材300は駆動用圧電体部58Aの上側部分に空洞部300Aを備えており、この空洞部300Aにより変位規制部材300が駆動用圧電体部58Aの変位を規制することがない。このように変位規制部材300に空洞部300Aを設けることで、駆動用圧電体部58Aから発生されるインクの吐出力を確保でき、より好ましい。
なお、空洞部300Aは、図13に示す貫通穴(開口)でもよいし、変位規制部材300の圧電素子58側に設けられた凹部(図13における下向きに凹形状)でもよい。また、空洞部300Aが設けられている部分を圧電素子58の変位を規制しない程度の低剛性部で構成してもよい。
一方、図4(a) に示した態様では、検出用圧電体部58Bに主としてg31方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子を適用するとよい。g31方向の変位とは、該圧電素子が圧力を受ける厚み方向と垂直な長手方向(振動板56と略平行方向)を示し、g31方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子を用いると、このg31歪み(縮み、伸び)を用いて圧力検出が行われる。
大きなインクの吐出力を確保するために大きな変位を必要とする場合、駆動用圧電体部58Aには高い電圧の駆動信号が印加され、駆動用圧電体部58Aには耐圧の高い圧電素子が用いられる。このような場合、検出用圧電体部58Bには、g31方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子を用いるとよい。また、g31方向の変位を用いて圧力検出を行う圧電素子を適用する場合には、図14に示すように、検出用圧電体部58Bに対応する振動板56の中央部に薄肉部56A(低剛性部)を設けて振動板56を低剛性化し、検出用圧電体部58Bの歪みを大きくすることが好ましい。振動板56に設けられた薄肉部56Aは検出用圧電体部58Bの変位を妨げない程度の剛性を有している。但し、振動板56の厚みをあまり薄くすると、駆動用圧電体部58Aから発生されるインク吐出力が逃げてしまうので、振動板56の薄肉部56Aはインク吐出力を減少させない程度の厚みを必要とする。なお、振動板56の厚みは駆動用圧電体部58Aの厚みと略同一程度が好ましい。
薄肉部56Aに代えて検出用圧電体部58Bの歪み(変位)を規制しない程度の剛性を持つ低剛性部を備えてもよい。例えば、SUSを用いた振動板56の略中央部(図14の薄肉部56Aに対応する部分)に、SUSよりも剛性が低い金属材料や樹脂材料を用いた低剛性部を備える態様がある。
ここで、図15及び図16に示すように、駆動用圧電体部58Aと検出用圧電体部58Bとを、積層させ、これらの接合部分に中間圧電体部58Cが設けられるように構成してもよい。
図15に示す圧電素子58は、インク吐出力を重視した構成であり、振動板56側から、駆動用圧電体部58A、中間圧電体部58C、検出用圧電体部58Bの順に積層されている。
一方、図16に示す圧電素子58は、圧力検出性能を重視した構成であり、振動板56側から、検出用圧電体部58B、中間圧電体部58C、駆動用圧電体部58Aの順に積層されている。
更に、図17に示すように、圧電素子58の厚み方向(振動板56と略直交方向)及び該厚み方向と略直交する(振動板56と略平行方向)に異なる組成材料を偏在させてもよい。図17に示す圧電素子58は、図14に示す圧電素子58の中央部に、振動板56側から、駆動用圧電体部58A、中間圧電体部58C、検出用圧電体部58Bを順に積層させた構造を有し、この駆動用圧電体部58Aの厚みは1〜10μm 程度である。
言い換えると、図17に示した圧電素子58は、図14に示す態様と図15に示す態様を組み合わせた構造を有している。
このように構成すると、図14に示す態様では主として圧力室52の圧力検出に寄与する圧電素子58の中央部もインク吐出に寄与し、圧電素子58には振動板56を台形状に変位させるような歪みが発生する。なお、圧電素子58の積層構造を有する部分では、各層間に電極を形成して積層型圧電素子としてもよい。
即ち、圧電素子58内で組成材料を偏在させる方向は、主として面方向であるが、該面方向に垂直な方向も考慮し、各組成材料を層状に重ねる構造を備えてもよい。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、インク吐出手段である圧電素子58は、その厚み方向に垂直方向成分を有する方向に組成材料を偏在させて構成される。主としてインク吐出に寄与する駆動用圧電体部58Aとなる第1の組成材料、主として圧力室52の圧力検出(ノズル51の吐出以上検出)に寄与する検出用圧電体部58Bとなる第2の組成材料と、を面方向に偏在させ、更に、第1の組成材料と第2の組成材料の境界部分は、これらの組成材料の割合がなだらかに変化する傾斜構造組成を有している。
したがって、インクの吐出性能と、圧力室52の圧力検出性能と、を両立させることができるように圧力室52及び振動板56の変位を考慮して組成材料の分布をなし、ヘッドの高密度化に好適な圧電素子58を得ることができる。
上述の説明では、液吐出装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、被吐出媒体上に液を吐出させて被吐出媒体上に立体形状を形成する様々な液吐出装置に適用可能である。
本発明の実施形態に係る画像処理装置を用いたインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 図1に示したインクジェット記録装置のヘッドの構成を示す平面透視図 図3に示したヘッドの立体構造を示す図 図3に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図 本例のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図 本例のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図4に示した圧電素子に備えられた個別電極の構造を示す平面図 図7に示したシステム構成の詳細を示すブロック図 本例のインクジェット記録装置に用いられる吐出異常検出の一例を示す図 AD法を説明する概念図 図4に示した圧電素子の一態様を示す断面図 図12に示した圧電素子を備えた吐出素子(インク室ユニット)の応用例を示す断面図 図4に示した圧電素子を備えた吐出素子(インク室ユニット)の応用例を示す断面図 図4に示した圧電素子の一態様を示す断面図 図4に示した圧電素子の他の態様を示す断面図 図4に示した圧電素子の変形例を示す断面図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、16…記録紙、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、54…供給口、56…振動板、57,57A,57B…個別電極、58,58A,58B,58C…圧電素子、300…変位規制部材

Claims (17)

  1. 被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、
    前記吐出孔から吐出させる液滴を収容する圧力室と、
    前記圧力室の少なくとも1つの壁面を形成し、前記圧力室の体積を変化させるように変形する振動板と、
    前記振動板の前記圧力室と反対側面に備えられ、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を与える圧電素子と、
    を備え、
    前記圧電素子は、第1の組成材料及び第2の組成材料を前記振動板に平行な面内に偏在させて一体成形され、
    前記第1の組成材料から形成される第1の圧電体部は前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を付与し、前記第2の組成材料から形成される第2の圧電体部は前記圧力室に発生する圧力を検出することを特徴とする吐出ヘッド。
  2. 前記第1の組成材料は前記第2の組成材料に比べて等価圧電定数(d定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含み、前記第2の組成材料は前記第1の組成材料に比べて電圧出力係数(g定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含むことを特徴とする請求項1記載の吐出ヘッド。
  3. 被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、
    前記吐出孔から吐出させる液滴を収容する圧力室と、
    前記圧力室の少なくとも1つの壁面を形成し、前記圧力室の体積を変化させるように変形する振動板と、
    前記振動板の前記圧力室と反対側面に備えられ、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を与える圧電素子と、
    を備え、
    前記圧電素子は、第1の組成材料から形成され、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を付与する第1の圧電体部と、
    第2の組成材料から形成され、前記圧力室に発生する圧力を検出し、その周辺部に前記第1の圧電体部が配設される第2の圧電体部と、
    を有することを特徴とする吐出ヘッド。
  4. 前記圧電素子は、第1の組成材料及び第2の組成材料を前記振動板に平行な面内に偏在させて一体成形され、
    前記第1の組成材料は前記第2の組成材料に比べて等価圧電定数(d定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含み、前記第2の組成材料は前記第1の組成材料に比べて電圧出力係数(g定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含むことを特徴とする請求項3記載の吐出ヘッド。
  5. 前記第2の組成材料は、主として前記振動板に略平行な方向の応力を用いて圧力検出を行う圧電素子を形成することを特徴とする請求項3又は4記載の吐出ヘッド。
  6. 前記振動板は、前記第2の圧電体部が設けられている部分に前記第2の圧電体部の変位を妨げない剛性を有する低剛性部を備えたことを特徴とする請求項3、4又は5記載の吐出ヘッド。
  7. 前記第2の圧電体部の前記圧力室側面に前記第1の圧電体部が積層される積層構造を有することを特徴とする請求項3乃至6のうち何れか1項に記載の吐出ヘッド。
  8. 被吐出媒体上に液滴を吐出させる吐出孔と、
    前記吐出孔から吐出させる液滴を収容する圧力室と、
    前記圧力室の少なくとも1つの壁面を形成し、前記圧力室の体積を変化させるように変形する振動板と、
    前記振動板の前記圧力室と反対側面に備えられ、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を与える圧電素子と、
    を備え、
    前記圧電素子は、第1の組成材料から形成され、前記振動板を変形させて前記圧力室に収容されている液に吐出力を付与する第1の圧電体部と、
    第2の組成材料から形成され、前記圧力室に発生する圧力を検出し、前記第1の圧電体部の周辺部に配設される第2の圧電体部と、
    を有することを特徴とする吐出ヘッド。
  9. 前記圧電素子は、第1の組成材料及び第2の組成材料を前記振動板に平行な面内に偏在させて一体成形され、
    前記第1の組成材料は前記第2の組成材料に比べて等価圧電定数(d定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含み、前記第2の組成材料は前記第1の組成材料に比べて電圧出力係数(g定数)の絶対値が大きい圧電体部を形成する組成材料を含むことを特徴とする請求項8記載の吐出ヘッド。
  10. 前記第2の組成材料は、主として前記振動板に略直交する方向の応力を用いて圧力検出を行う圧電素子を形成することを特徴とする請求項8又は9記載の吐出ヘッド。
  11. 前記第2の圧電体部は前記圧力室と反対側面に前記第2の圧電体部の変位を規制する変位規制部材を備えたことを特徴とする請求項8、9又は10記載の吐出ヘッド。
  12. 前記第2の圧電体部を前記吐出孔の近傍に配設することを特徴とする請求項8乃至11のうち何れか1項に記載の吐出ヘッド。
  13. 液供給系から前記圧力室へ液を供給する供給口を備え、
    前記第2の圧電体部を前記供給口の近傍に配設することを特徴とする請求項8乃至11のうち何れか1項に記載の吐出ヘッド。
  14. 前記圧電素子は、前記第1の組成材料と前記第2の組成材料とを混合した第3の組成材料から形成される第3の圧電体部を含むことを特徴とする請求項1乃至13のうち何れか1項に記載の吐出ヘッド。
  15. 前記圧電素子はエアロゾルデポジション法によって製造されることを特徴とする請求項1乃至14のうち何れか1項に記載の吐出ヘッド。
  16. 請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の吐出ヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
  17. 前記圧電素子によって検出された前記圧力室の圧力から当該圧力室が有する吐出孔の吐出異常を判断する吐出異常判断手段を備えたことを特徴とする請求項16記載の画像形成装置。
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