JP2007253363A - 圧力検出方法及び液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出信号と他の信号との配線間に存在する配線容量等による検出信号の変化が考慮された好ましい圧力検出が可能な圧力検出方法及び液体吐出装置を提供する。
【解決手段】圧電アクチュエータに駆動信号を与えて圧力室を加圧して圧力センサから検出信号202を取得し、検出信号202のピーク電圧V〜Vが計測された後に、検出信号202のピーク電圧V〜Vから検出信号に発生する電圧シフト量206(V(t))が求められる。検出信号202のピーク電圧V〜Vに電圧シフト量V(t)による補正を施し、検出信号204のピーク電圧VR1〜VR4が求められる。
【選択図】図7

Description

本発明は、圧力検出方法及び液体吐出装置に係り、特にノズルから液体を吐出させる液体を収容する圧力室の圧力検出技術に関する。
圧力室内のインクを加圧することによってインク液滴を吐出させるインクジェットシステムにおいて、インク液滴が収容される圧力室(加圧室)の圧力を圧力センサによって検出し、インク液滴の吐出状態を把握する方法が提案されている。例えば、圧力センサから得られた検出信号に基づいて圧力室の圧力波(ピーク値や周波数、周期)を求め、これらの値から吐出の状態を把握する方法がある。
特許文献1に記載された発明は、印字動作に先立って測定用パルスをピエゾ素子に印加し、圧力室内の圧力変動をピエゾ素子及び検出回路によって検出するとともに、その圧力変動に基づき、駆動波形を算出し、印字するときには算出された駆動波形に基づいて駆動電圧波形をピエゾ素子に印加するように構成されている。
特許文献2に記載された発明は、インク室内の容積を変化させる振動子の変位状態を検出し、振動子に与える電気信号に対する振動子の変位状態を検出するように構成されている。
特許文献3に記載された発明には、ピエゾ素子を短時間に複数回変形させることにより、インク室内のインクを徐々に噴出させてそれらのインクで1つのインク液滴を形成するマルチパルス駆動法において、インク室内の圧力変動を検出し、検出結果に基づいて所定のパルスに後続パルスを発生させるように駆動手段を制御する技術が開示されている。
特開平7−132592号公報 特開昭55−118878号公報 特開平6−155733号公報
しかしながら、インクジェットヘッドを高密度に形成すると、圧力センサから得られた検出信号を伝送する配線と駆動信号や他のセンサから得られる検出信号を伝送する配線が近接配置され、当該配線間には信号に影響を及ぼす配線容量が存在する。このような配線容量の存在によって検出信号の波形にズレが生じてしまい、検出信号波形(圧力波形)のピークを検出するような場合には、上述した検出信号の波形にズレが生じると正確なピーク値の検出が難しくなり、圧力室内の状況を正確に判断できなくなる。
上記特許文献1〜3に記載の発明には、検出信号を伝送する配線と他の配線との間に存在する配線容量について考慮されておらず、また、このような配線容量の存在について記載されていない。したがって、上記特許文献1〜3に記載の発明ではセンサから得られる検出信号に駆動信号を伝送する配線と検出信号を伝送する配線との間の配線容量に起因するノイズ成分の重畳や波形のシフトが起こっているために、本来得られるべき検出信号(圧力波形)を得ることができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、検出信号と他の信号との配線間に存在する配線容量等による検出信号の変化が考慮された好ましい圧力検出が可能な圧力検出方法及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る圧力検出方法は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドの圧力検出方法であって、前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する加圧工程と、前記圧力検出素子から検出信号を取得する検出信号取得工程と、前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測工程と、前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から前記検出信号に発生する電圧シフト量を求める電圧シフト量算出工程と、前記電圧シフト量算出工程によって求められた電圧シフト量に基づいて前記検出信号に補正処理を施す補正処理工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、検出信号を伝送する検出信号配線の配線容量などによって検出信号に発生する電圧シフトが補正されるので、圧力室に発生する圧力の検出精度(検出感度)が向上し、検出信号の微小変化を捉えることが可能になる。
極大値または極小値を合計4つ以上計測するが、極大値のみを少なくとも4つ計測してもよいし、極小値のみを少なくとも4つ計測してもよい。極大値と極小値を含むことで、電圧シフト量の計算上の誤差を小さくすることができるので、電圧計測工程における計測値には極大値と極小値を含むことが好ましい。極大値と極小値を同数計測する態様がより好ましい。
補正処理工程では、極大値及び極小値を計測したときの検出信号に補正処理を施してもよいし、極大値及び極小値を計測した後に取得した検出信号に補正処理を施してもよい。言い換えると、補正処理を施す度に極大値及び極小値を計測してもよいし、既に求められた電圧シフト量により補正処理を施してもよい。
複数の圧力室を備える場合、圧力室ごとに個別の検出素子を備える態様が好ましい。
検出素子には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などのフッ化樹脂系圧電素子が好適に用いられる。また、PZTなどのセラミック系圧電素子を用いてもよい。
圧力発生素子には、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などのセラミック系圧電素子(圧電アクチュエータ)が好適に用いられる。また、圧力発生素子が検出素子を兼ねてもよい。
検出素子及び圧力発生素子として複数の圧電素子を備える態様では、複数の圧力室に対して一体に圧電体を形成して圧力室に対応する部分に電極を設ける態様を適用してもよいし、各圧力室に対して圧電体を形成して各圧電体に電極を設ける態様を適用してもよい。
検出素子から得られた検出信号に増幅やノイズ除去など所定の信号処理を施す信号処理工程を含む態様がより好ましい。
加圧工程では、圧力検出用の加圧(ノズルから液体を吐出させない加圧)を行ってもよいし、液体吐出用の加圧を行ってもよい。圧力検出用の加圧では、圧力室を液体未充填状態にして液体吐出用の加圧を行う態様や、ステップ状の駆動信号(単一パルス等)によって加圧素子を駆動して圧力室をステップ応答させる態様がある。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の圧力検出方法の一態様に係り、タイミングtにおける前記検出信号の電圧V(t)は、前記圧力室に発生する圧力波の係数A、前記圧力室に発生する圧力波の減衰D、前記圧力室の共振周期ω、前記電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dを用いて、次式V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}で表され、前記検出信号の電圧V(t)は、t=(2×n−1)×{π/(2×ω)+t}(但し、tは初期位相)となるタイミングtで極大値或いは極小値となることを特徴とする。
t=(2×n−1)×{π/(2×ω)+t}(但し、tは初期位相)となるタイミングtでは、sin(ω×t)=1、−1となり、V(t)で表される検出信号は極大値または極小値となる。
ここで、加圧工程において先ず負圧を発生させる態様では、検出信号の電圧V(t)は負電圧から始まり、初期位相t=(3×π)/3のときにsin(ω×t)=1、−1となる。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の圧力検出方法の一態様に係り、前記電圧シフト量算出工程は、前記検出信号の電圧V(t)から前記電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dを求めるとともに、前記電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dから、次式V(t)=B×exp(D×t)で表される前記電圧シフト量V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求め、前記補正処理工程では、前記電圧計測工程で計測された前記検出信号の極大値または極小値V(t)と、極大値または極小値となるタイミングtにおける電圧シフト量V(t)と、から、次式V(t)=V(t)−V(t)で表される前記圧力室に発生する圧力のピーク値に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求めることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、検出信号V(t)に生じる電圧シフトV(t)が正確に求められるので、検出信号V(t)のピーク値を正確に検出することが可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の圧力検出方法の一態様に係り、前記電圧シフト量を予め記憶する記憶工程と、前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値または極小値と、前記記憶工程によって記憶された前記電圧シフト量と、に基づいて前記検出信号に補正処理を施す補正処理工程と、を含むことを特徴とする。
記憶工程では、圧力発生素子を駆動して検出信号の極大値及び極小値をそれぞれ2つ以上計測し、請求項2に示すV(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}から電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dを求めてこれを記憶してもよいし、請求項3に示す電圧計測工程及び補正処理工程を経てV(t)=B×exp(D×t)から電圧シフト量V(t)を求め、この値を記憶してもよい。
複数の圧力室を備える態様では、圧力室ごとに電圧シフト量の係数B及び前記電圧シフト量の減衰D、或いは電圧シフト量V(t)がデータテーブル化されて記憶されることが好ましい。
また、上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明に係る圧力検出方法は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドの圧力検出方法であって、前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する加圧工程と、前記圧力検出素子から検出信号を取得する検出信号取得工程と、前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測工程と、前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から、次式V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}で表される検出信号の電圧V(t)から前記圧力室に発生する圧力波の係数A、前記圧力室に発生する圧力波の減衰Dを求めるとともに、次式V(t)=A×exp(D×t)×sin(ω×t)で表される前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求めるピーク値算出工程と、を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値及び極小値から本来得られるべき検出信号(前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t))が直接的に求められるので、制御系及びシステム全体の制御負荷の低減化が見込まれる。
圧力室に発生する圧力波の係数A及び圧力室に発生する圧力波の減衰Dを予め所定の記憶手段に記憶しておき、圧力検出の際に当該圧力室に発生する圧力波の係数A及び圧力室に発生する圧力波の減衰Dを該記憶手段から読み出して、電圧V(t)の極大値或いは極小値となるタイミングtにおける値を求めてもよい。
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の圧力検出方法の一態様に係り、前記圧力室に発生する圧力のピーク値に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおけるピーク値に基づいて前記圧力室の圧力異常の有無を判断する圧力異常判断工程を含むことを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、精度よく検出された検出信号のピーク値に基づいて圧力室に発生する圧力の異常の有無が判断されるので、当該圧力室に発生する圧力異常の検出精度向上が見込まれる。
請求項7に記載の発明は、請求項3又は5記載の圧力検出方法の一態様に係り、前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t)のピーク値から前記圧力室に発生する圧力のピーク値を求める圧力換算工程を含み、前記圧力室に発生する圧力のピーク値に基づいて前記圧力室の圧力異常の有無を判断する圧力異常判断工程を含むことを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、圧力検出の検出感度が向上することで、当該圧力波の微小な変化を捉えることが可能になるので、液体の粘度上昇や圧力室内の気泡発生などの判断が可能である。
また、上記方法発明を具現化するための装置発明を提供する。即ち、請求項8に係る液体吐出装置は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する際に前記圧力室に発生する圧力に対応する検出信号を前記圧力検出素子から取得する検出信号取得手段と、前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測手段と、前記電圧計測手段によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から前記検出信号に発生する電圧シフト量を求める電圧シフト量算出手段と、前記電圧シフト量算出手段によって求められた電圧シフト量に基づいて前記検出信号に補正処理を施す補正処理手段と、を備えたことを特徴とする。
液体吐出装置には、ノズルからインクなどの記録液体を吐出させて記録媒体上に所望の画像(形状)を記録する画像記録装置(インクジェット記録装置)がある。また、ここで言う画像は、文字、記号や配線パターン、マスクパターンなどを含む広い意味の画像を示している。
液体吐出ヘッドには、記録媒体の全幅(記録媒体の画像形成可能幅)に対応した長さの吐出孔列を有するライン型ヘッドや、記録媒体の全幅に満たない長さの吐出孔列を有する短尺ヘッドを記録媒体の幅の方向へ走査させるシリアル型ヘッドがある。
ライン型の液体吐出ヘッドには、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の吐出孔列を有する短尺ヘッドを直線状や千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、記録媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
また、上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する際に前記圧力室に発生する圧力に対応する検出信号を前記圧力検出素子から取得する検出信号取得手段と、前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測手段と、前記電圧計測手段によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から、次式V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}で表される検出信号の電圧V(t)から前記圧力室に発生する圧力波の係数A、前記圧力室に発生する圧力波の減衰Dを求めるとともに、次式V(t)=A×exp(D×t)×sin(ω×t)で表される前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求めるピーク値算出手段と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、検出信号を伝送する検出信号配線の配線容量などによって検出信号に発生する電圧シフトが補正されるので、圧力室に発生する圧力の検出精度(検出感度)が向上し、検出信号の微小変化を捉えることが可能になる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(液体吐出装置)の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド、以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインク供給タンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙16を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録紙16の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図5中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向(紙送り方向)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが紙搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔液体吐出ヘッドの構成〕
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a),(b) 中の4−4線に沿う断面図である。
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a)〜(c) に示したように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
なお、本例では圧力室52の平面形状が略正方形である態様を示したが、圧力室52の平面形状は略正方形に限定されず、略円形状、略だ円形状、略平行四辺形(ひし形)など様々な形状を適用することができる。また、ノズル51や供給口54の配置も図3に示す配置に限定されず、圧力室52の略中央部にノズル51を配置してもよいし、圧力室52の側壁側に供給口54を配置してもよい。
図3(b) に示すように、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造や副走査方向に2列の千鳥配置されたノズル列を有する配置構造など様々なノズル配置構造を適用できる。
図4は、インク室ユニット53の立体的構成を示す断面図である。同図に示すように、圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される振動板56には個別電極57を備えた圧電アクチュエータ58(圧力発生素子)が接合されている。
また、圧力室52の底面の圧力室52の外部側には、第1の取出電極(共通電極)100を備えるとともに圧力室52と反対側の面に第2の取出電極(個別電極)102を備えた圧力センサ59(圧力検出素子)が接合され、更に、圧力センサ59の圧力室52と反対側には空間部104が形成され、圧力センサ59が圧力を受けたときにその変形を妨げないように変形領域が確保されている。
図4に示す構成において、圧電アクチュエータ58の個別電極57に駆動電圧(駆動信号)を印加することによって圧電アクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
圧電アクチュエータ58に印加される駆動信号は振動板56の圧電アクチュエータ配設面に形成される水平配線105を介して個別電極57に伝送される。言い換えると、個別電極57は振動板56の圧電アクチュエータ58配設面に形成される水平配線105と導通する配線構造を有している。なお、振動板56の圧電アクチュエータ58配設面のうち少なくとも水平配線105が形成される領域には絶縁処理が施され、振動板(共通電極)56と水平配線105とは非導通となっている。
駆動信号を生成する機能ブロック(例えば、図5のヘッドドライバ84)がヘッド50の外部に設けられる態様では、該水平配線105は不図示のフレキシブル基板を介してヘッド50の外部に引き出される。
また、インクの吐出やリフィルなど圧電アクチュエータ58の駆動により圧力室52に圧力(圧力変動)が発生すると、圧力センサ59にはこの圧力に応じた歪み(応力)が生じ、圧力センサ59の第2の取出電極102からこの歪みに応じた検出信号を得ることができる。即ち、圧力室52に生じる圧力(波形)に応じた検出信号を圧力センサ59から得ることができる。
詳細は後述するが、本インクジェット記録装置10では、圧力センサ59から得られる検出信号に基づいて圧力室52の圧力を検出し、吐出の様子(吐出異常の有無)や、圧力室52内部の様子、メニスカスの様子などを検知する。
図4に示すように、本例に示すヘッド50は複数のキャビティプレートを積層した積層構造を有している。即ち、ヘッド50は、ノズル51が形成されるノズルプレート110と、ノズル51と圧力室52とを連通させる吐出側流路112の一部が形成される流路プレート114と、圧力室52と吐出側流路112の一部が形成される圧力室プレート116と、吐出側流路112の一部及び供給口54の一部が形成される流路プレート118と、吐出側流路112の一部、供給口54の一部及び空間部104が形成される流路プレート120と、圧力室52の底面を構成し圧力センサ59が接合される流路プレート122と、圧力室52が形成される圧力室プレート124と、圧力室52の天面を形成し、圧電アクチュエータ58が接合される振動板56と、を順に積層した構造を有している。
この積層構造を構成する各プレート間の接合には、当該プレートの材質や形状に応じた接合方法が適宜用いられる。この接合方法には、接合部材による接合、加圧による接合、加熱による接合及びこれらを組み合わせた接合がある。
圧力センサ59の流路プレート122側(圧力室52側)の第1の取出電極100は、各圧力センサ59に共通の共通電極であり、圧力センサ59から得られる検出信号の基準電位となる。また、流路プレート118側(圧力室と反対側)の第2の取出電極102は各圧力センサ59に個別の個別電極となっている。
各センサに共通の第1の取出電極100は、圧力センサ59が配設される面(センサ配設面)で導通するように形成される。例えば、第1の取出電極100は流路プレート122のセンサ配設面に一体に形成される態様がある。
第2の取出電極102は、該センサ配設面に引き出され、該流路プレート118のセンサ配設面に形成される水平配線130と導通する。この水平配線130は、流路プレート122及び圧力室プレート124を貫通するように形成される垂直配線132と導通し、更に、圧力室プレート124の振動板56側に形成される水平配線134と導通する配線構造となっている。なお、振動板56と水平配線134との間には絶縁処理が施され、流路プレート122のセンサ配設面に一体に第1の取出電極100が形成される態様では、該第1の取出電極100と水平配線130との間には所定の絶縁処理が施される。
検出信号の処理ブロック(圧力検出部85、図5参照)がヘッド50の外部に設けられる態様では、水平配線134は不図示フレキシブル基板に形成された配線パターンと接合され、フレキシブル基板を介してヘッド50の外部に引き出される。なお、振動板56を貫通するように垂直配線132を形成し、水平配線134を振動板56の圧電アクチュエータ配設面に形成してもよい。上述した配線構造はあくまでも一例であり、各プレートに水平配線130,134及び垂直配線132が適宜設けられ、これらの配線を介して圧力センサ59から得られる検出信号はヘッド50の外部へ引き出される。
なお、第1の取出電極100及び第2の取出電極102とも各センサ個別に設け、第1の取出電極100から得られる検出信号と、第2の取出電極102から得られる該検出信号を反転した反転信号と、を出力するフローティング出力型のセンサを圧力センサ59に適用してもよい。
図4には図示しないが、圧電アクチュエータ58の振動板56と反対側に駆動信号や検出信号を伝送する配線パターン(不図示)が形成された配線部材(例えば、フレキシブル基板)を配設する態様がある。
上述した態様では、フレキシブル基板と振動板56との間には、圧電アクチュエータ58の変形を妨げないように空間部が設けられ、該フレキシブル基板を下側(振動板56側)から支持する支持部材が設けられる。
ここでいうフレキシブル基板は、エポキシやポリイミドなどの樹脂部材から成る支持層(絶縁層)に銅などの導電体層が形成された構造を有している。ヘッド50に多数の圧電アクチュエータ58及び圧力センサ59を備える態様では、3層以上の導電体層と複数の支持層とを交互に積層した多層構造を有するフレキシブル基板が好適に用いられる。
図4に示す圧電アクチュエータ58にはPZT(Pb(Zr・Ti)O3 、チタン酸ジルコン酸鉛)などのセラミック材料を用いた圧電素子が好適に用いられ、圧力センサ59には、PVDF(Polyvinylidene fluoride 、ポリフッ化ビニリデン)やPVDF−TrFE(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体)などのフッ化樹脂材料を用いた圧電素子が好適に用いられる。もちろん、圧電アクチュエータ58にフッ化樹脂系圧電素子を適用してもよいし、圧力センサ59にPZTなどのセラミック系圧電素子を適用してもよい。
一般に、圧力を発生させるアクチュエータには等価圧電定数(d定数、電気機械変換定数、圧電歪定数)の絶対値が大きく駆動特性に優れた圧電素子が好ましく、圧力を検出するセンサには圧電出力係数(g定数、機械電気変換定数、圧電応力定数)が大きく検出特性に優れた圧電素子が好ましい。即ち、駆動特性に優れた圧電素子にはPZTなどのセラミック系材料が好適であり、一方、検出特性に優れた圧電素子にはPVDFやPVDF−TrFEなどのフッ化樹脂系材料が好適である。セラミック系材料にはチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr・Ti)O3 )があり、強誘電体のチタン酸鉛(PbTiO3 )と反強誘電体のジルコン酸鉛(PbZrO3 )を基本組成とし、この2成分の混合比を変えることによって圧電、誘電、弾性などの諸特性をコントロールできる。
なお、圧力室52内のインクに吐出力を与える圧電アクチュエータ58及び圧力室52の圧力を検出する圧力センサ59との配置は図4に示す配置に限定されず、それぞれを圧力室52の同一壁面に備えてもよいし、異なる壁面に備えてもよい。また、圧電アクチュエータ58及び圧力センサ59を圧力室52の内部に備える態様も可能である。圧電アクチュエータ58及び圧力センサ59を圧力室52の内部に備える態様では、圧電アクチュエータ58及び圧力センサ59のインクと接触する部分には所定の耐インク処理(絶縁処理)が施される。
また、圧電アクチュエータ58と圧力センサ59とを同一素子が兼用し、圧電アクチュエータ58を駆動した後に該圧電アクチュエータ58を圧力センサ59として使用することも可能である。例えば、圧電アクチュエータ58の個別電極57と導通する配線にスイッチ素子などの信号切替手段を備え、圧電アクチュエータとして使用するタイミングでは駆動信号が伝送される配線と導通し、圧力センサとして使用するタイミングでは検出信号が伝送される配線と導通するように構成してもよい。
また、図示は省略するが、ヘッド50には以下に説明するような背面流路構造も適用可能である。振動板56の各圧力室52反対側に各圧力室52に共通の大きな共通流路(共通液室)55を備え、振動板56に形成された供給口54を介して圧力室52と共通流路55と連通させる。また、共通流路55の少なくとも一部を貫通するように、振動板56の圧電アクチュエータ配設面から垂直方向に立ち上がるように垂直配線部材が形成され、該垂直配線部材を介して個別電極57及び圧力センサ59の第2の取出電極102は共通流路55の上面(振動板56と反対側)に設けられるフレキシブル基板の配線パターンと導通するように構成される。
このような構造を適用することで、インク室ユニット53の配置を高密度化しても、図4に示す構造に比べて共通流路55の体積を大きくすることができるとともに、供給口54を含む供給側の流路長を最短化することで供給側の流路抵抗を低減することができ、リフィル特性の向上が見込まれる。なお、圧電アクチュエータ58には共通流路55内のインクと接触しないようにカバーが設けられ、共通流路55内に配設される垂直配線部材のインクと接触する面には所定の耐インク処理(絶縁処理)が施される。
〔メンテナンスユニットの説明〕
インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ(不図示)やノズル面の清掃手段としてのクリーニングブレード(不図示)などのメンテナンスユニット(不図示)が設けられている。
これらキャップ及びクリーニングブレード等を含むメンテナンスユニットは、移動機構(不図示)によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップは、昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップを所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップで覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、圧電アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(圧電アクチュエータ58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)圧電アクチュエータ58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、圧電アクチュエータ58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合にはヘッド50にキャップを当て、吸引ポンプ等の吸引装置で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンクへ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
本例に示すインクジェット記録装置10は、圧力室52に気泡が発生していると判断されると、上述した吸引などのメンテナンス処理(回復処理)が実行される。本例では、気泡除去処理の一例としてキャップをヘッド50に密着させて各ノズルからヘッド50内のインクを吸引する態様を示したが、もちろん、吸引以外の処理によって圧力室52内の気泡を除去してもよい。
クリーニングブレードは、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構(ワイパー)によりヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレードをノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。なお、該ブレード機構によりインク吐出面の汚れを清掃した際に、該ブレードによってノズル51内に異物が混入することを防止するために予備吐出が行われる。
〔制御系の説明〕
図5はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84、圧力検出部85等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal serial bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。
メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータなどのモータ88や後乾燥部42のヒータ等のヒータ89を制御する制御信号を生成する。
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。また、ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42やインクジェット記録装置10内、ヘッド50内の温度調整用ヒータなどのヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成された印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色のヘッド50の圧電アクチュエータ58を駆動する。即ち、ヘッドドライバ84では、プリント制御部t〜t80から得られたドットデータに基づいて圧電アクチュエータ58へ供給される駆動信号が生成され、該駆動信号は、所定の回路及び配線等を介して各圧電アクチュエータ58へ供給される。なお、ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
即ち、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データがメモリ74に記憶される。
メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータに基づき、ヘッド50の駆動制御信号を生成する。ヘッドドライバ84で生成された駆動制御信号がヘッド50に加えられることによって、ヘッド50(ノズル51)からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
圧力検出部85は、図4に示した圧力センサ59から得られる検出信号に所定の信号処理を施して圧力室52に発生する圧力を検出し、当該圧力室52の圧力情報として記憶するとともに該圧力情報を適宜プリント制御部80へ送出する制御ブロックである。
プリント制御部80では、該圧力情報に基づいて吐出の様子や圧力室52の内部及びメニスカス等の様子を検知する。例えば、圧力室52及びノズル51(インク室ユニット53内)に気泡が発生しているか否かを判断し、気泡が発生していると判断された圧力室52に対して所定の回復処理を実行するようにシステムコントローラ72等の各部に制御信号を送出する。
所定の回復処理の一例を挙げると、気泡が発生している圧力室52が存在すると、プリント制御部80はその情報(信号)をシステムコントローラ72に送り、上述したキャップをヘッド50のノズル形成面に密着させるようにキャップ移動機構を動作させ、吸引ポンプを動作させてノズル51側からヘッド50(圧力室52)内の気泡除去処理を実行する。なお、圧力検出部85の構成及び圧力室52の圧力検出制御の詳細は後述する。
図5のプログラム格納部90には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記憶媒体のうち、複数種類の記憶媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部90は動作パラメータ等の記憶手段(不図示)と兼用してもよい。
なお、本例では、機能ブロックとしてシステムコントローラ72やメモリ74、プリント制御部80などを個別のブロックとして図示したが、これらを集積化して1つのプロセッサとして構成してもよい。また、システムコントローラ72の一部の機能と、プリント制御部80の一部の機能と、を1つのプロセッサとして実現することも可能である。
〔圧力検出部の説明〕
次に、図5に示す圧力検出部85の詳細について説明する。図6は、圧力検出部85及びその周辺の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、圧力検出部85は、圧力センサ59から得られた検出信号の電圧を計測する電圧計測部140と、電圧計測部140で計測された電圧から該検出信号の波形を求める演算部142と、演算部142で求められた検出信号波形(または、該検出信号波形のパラメータ)を記憶する記憶部143と、含んで構成されている。
電圧計測部140では、所定のタイミングにおける検出信号のピーク電圧(検出信号の極大値及び極小値)を検知し、この検出信号のピーク電圧に基づいて圧力室52の圧力波の挙動を計測する。
なお、図6の記憶部143を図5のメモリ74や、画像バッファメモリ82などの記憶素子と兼用する態様(図6の記憶部及び図6のメモリ74、画像バッファメモリ82のうち複数の機能ブロックを1つの記憶素子で構成する態様)も可能である。もちろん、図6の記憶部143を図5のシステムコントローラ72やプリント制御部85を構成するプロセッサに内蔵されるメモリや、図5に図示しないメモリと兼用する態様も可能である。また、図6には図示しないが、圧力検出部85に、検出信号を増幅する増幅回路やノイズフィルタなどの回路ブロックを備える態様がある。
図6には圧力センサ59を1つだけ図示したが、本例では圧力センサ59はヘッド50に備えられる圧力室52のそれぞれに設けられている。また、N個の圧力センサ59を備える態様では、各圧力センサ59のそれぞれに対応するN個のスイッチ素子を有するスイッチアレイ(マルチプレクサ回路)によって、検出信号を取得する圧力センサ59を選択的に切り替えるように構成すると、検出信号に所定の信号処理を施す回路ブロックを共通化することができ、圧力検出部85の構成を簡略化することが可能である。
本例のヘッド50は、図3(a),(b)に示すように圧力室52が高密度に配置されているため、図6に示すように検出信号配線134(130,132)及び駆動信号配線105間には、検出信号に影響を及ぼす程度の静電容量を有する配線容量(浮遊容量)148が存在してしまう。なお、図6には配線容量148を1つだけ模式的に図示したが、実際には検出信号配線134(130,132)及び駆動信号配線105が配設される全領域にわたって配線容量148が存在していることになる。
また、図4において、振動板56をはさんで水平配線134(検出信号配線144)と水平配線105(駆動信号配線146)が形成される部分にも配線容量148が存在することになる。
図6に図示する駆動信号配線134には、図4に図示する水平配線130、垂直配線132を含む圧力センサ59から圧力検出部85への検出信号配線を示す。この検出信号配線134には、フレキシブル基板内に形成される検出信号を伝送する配線パターンも含まれる。また、図6に図示する駆動信号配線105には、ヘッドドライバ(駆動回路)84から圧電アクチュエータ58への駆動配線を示し、検出信号配線134と同様にフレキシブル基板に形成される駆動信号を伝送する配線パターン等を含んでいる。
次に、本発明に係る圧力室52の圧力検出について詳述する。図4に示す圧電アクチュエータ58に図7(a)に示す単一パルスの駆動信号200を与えると、圧力室52はステップ応答して、圧力センサ59の第2の取出電極102から図7(b)に実線で示す検出信号202が得られる。この検出信号202には図6に示す配線容量148に起因して(ノイズ成分が重畳され)電圧のシフトが生じてしまう。図7(b)には、圧力室52の圧力に比例した圧力センサ59から本来得られるべき検出信号204を破線で図示する。
例えば、図7(b)に図示するタイミングtでは圧力センサ59から圧力室52の圧力のピーク値(圧力波の極大値及び極小値)に比例した電圧V(t)が出力されるはずであるが、実際に圧力センサ59から得られる電圧はV(t)(|V(t)|>|V(t)|)となってしまう。
このような電圧のシフトは、図6の配線容量148が圧力センサ59に発生する電圧によって充電されるために起こり、配線容量148の充電が飽和状態に達するまでこの充電電圧分のV(t)(=|V(t)|−|V(t)|)の電圧シフトが検出信号に生じてしまうことによる。同様に、タイミングt〜tで圧力センサ59から本来得られる電圧はV(t)〜V(t)となるはずであるが、実際に圧力センサ59から得られる電圧はV(t)〜V(t)(|V(t)|<|V(t)|、|V(t)|>|V(t)|、|V(t)|<|V(t|)である。
また、この電圧シフト量V(t)は、時間経過とともに減衰する特性を有しており(即ち、|V(t)|>|V(t)|>|V(t)|>|V(t)|の関係を有する)、電圧シフト量V(t)の減衰特性は図7(b)の曲線206で表される。このような電圧シフトV(t)の存在により圧力センサ59から得られる検出信号のピーク値を正確に計測することが困難になるので、当該検出信号に生じる電圧シフト量V(t)を算出するとともに補正を施す必要がある。
本インクジェット記録装置10では、上述した圧力センサ59から得られる検出信号202に重畳される電圧シフト量V(t)(=V(t)−V(t))を補正するために、圧力センサ59から得られる検出信号202のプラス側のピーク電圧(検出信号202の極大値)とマイナス側のピーク電圧(検出信号202の極小値)とをそれぞれ2点以上ずつ計測し、検出信号202のプラス側減衰率(検出信号202の極大値側の包絡線)及びマイナス側の減衰率(極小値側の包絡線)を検出し、このプラス側減衰率及びマイナス側減衰率を求めることにより、この検出信号202のプラス側減衰率及びマイナス側の減衰率の差から検出信号202に重畳されている電圧シフト量V(t)(曲線206)が検出される。
言い換えると、検出信号202のプラス側のピーク電圧及びマイナス側のピーク電圧をそれぞれ2点ずつ計測し、検出信号202に重畳される電圧シフト量V(t)に対応する補正量が求められる。この補正量に基づいて検出信号202のプラス側ピーク電圧及びマイナス側ピーク電圧に補正処理が施され、圧力室52に発生する圧力波のピーク値が求められる。
なお、本実施形態では検出信号のプラス側のピーク電圧とマイナス側のピーク電圧をそれぞれ2点(合計4点)計測する態様を示したが、検出信号のプラス側のピーク電圧とマイナス側のピーク電圧を合計4点以上計測することで、検出信号202に重畳される電圧シフト量V(t)に対応する補正量を算出可能である。検出信号のプラス側のピーク電圧とマイナス側のピーク電圧をそれぞれ2点計測すると検出信号202に重畳される電圧シフト量V(t)に対応する補正量の算出誤差が最小となる。
次に、圧力室52に発生する圧力波のピーク値を求める具体例を示す。検出信号202のタイミングtにおける電圧V(t)は、次式〔数1〕で表される。
〔数1〕
V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}
上記〔数1〕において、Aは圧力室52に発生する圧力波の係数(検出信号204の電圧係数)であり、Dは圧力室52に発生する圧力波(検出信号204)の減衰(減衰率)である。また、Bは電圧シフト量V(t)の電圧係数であり、Dは検出信号202の減衰(減衰率)、ωは圧力室52の共振周期である。
上記〔数1〕は、次式〔数2〕〜〔数4〕のように表すことができる。
〔数2〕
V(t)=V(t)+V(t)
〔数3〕
(t)=A×exp(D×t)×sin(ω×t)
〔数4〕
(t)=B×exp(D×t)
即ち、上記〔数1〕で示す図1の検出信号202は、本来得られるべき検出信号204(V(t))と図7(b)の曲線206で表される電圧シフト量V(t)との和で表すことができ、上記〔数1〕の第1項{A×exp(D×t)×sin(ω×t}}は、上記〔数3〕に示すように検出信号204(V(t))であり、上記〔数1〕の第2項{B×exp(D×t)}は、上記〔数4〕に示すように電圧シフト量V(t)である。
圧力室52の共振周期ωが既知(圧力室52に発生する圧力波がピークとなるタイミングt〜tがわかっている)とすると、圧力室52に発生する圧力波がピーク値となるタイミングt〜tは(2×n−1)×{π/(2×ω)+t}(但し、tは初期位相であり、本例ではt=(3×π)/2、nは整数)と表すことができ、t=(2×n−1)×{π/(2×ω)+t}のタイミングではsin(ω×t)-=1、−1となるので、上記〔数3〕は、次式〔数5〕のように表すことができる。
〔数5〕
(t)=A×exp(D×t)
タイミングt〜tで計測された電圧値V(t)〜V(t)の値を上記〔数1〕に代入した4つの連立方程式から、検出信号204の電圧係数A、検出信号204の減衰D、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dが求められる。
このようにして求められた検出信号204の電圧係数A、検出信号204の減衰D、を上記〔数3〕或いは〔数5〕に代入すると、検出信号204のピーク電圧V(t1)〜V(t)を求めることができる。また、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dを上記〔数4〕に代入して電圧シフト量V(t)を求め、電圧シフト量V(t)と実測されたV(t)との演算によって、検出信号204のピーク電圧V(t1)〜V(t)を求めてもよい。このように、電圧シフト量V(t)を求める態様では、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dの2つのパラメータを求めればよく、電圧シフト量V(t)から検出信号204のピーク電圧V(t)〜V(t)を求める態様では、演算処理ブロックにおけるアルゴリズムの簡略化が可能であり、該演算処理ブロックの処理速度の向上が見込まれる。
圧力室52の共振周期ωは圧力室52の構造から理論的に求めてもよいし、実際に圧力室52に圧力波を発生させて実測して求めてもよい。なお、本例における圧力室52の共振周波数(1/ω)は数十kHzから数百kHzの範囲であり、図7(b)にはω=181kHzにおける検出信号の波形を示す。
検出信号202のピーク電圧計測における計測タイミングt〜tを検出信号202の第2波目から第5波目のピークのタイミングとしたのは(第1波目を除外したのは)、検出信号202の第1波目は駆動信号200(図7(a)に図示)のライズ(傾き)の影響を受け、理論上のピークタイミングと実際のピークタイミングとの間にずれが生じるためである。
上述した構成によって、圧力センサ59から得られる検出信号202のプラス側のピーク値(極大値)とマイナス側のピーク値(極小値)とをそれぞれ2点以上ずつ計測し、この計測結果から検出信号202の波形(即ち、〔数1〕)が求められ、この検出信号202の波形を決める検出信号204の電圧係数A、検出信号204の減衰D、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dが求められ、更にこれらのパラメータから検出信号204のピーク電圧V(t)或いは配線容量148に起因して検出信号202に生じる電圧シフト量V(t)が求められる。電圧シフト量V(t)を求める態様では、この電圧シフト量V(t)に基づいて検出信号202(タイミングt〜tにおける実測値)が補正される。
上述した圧力検出方法によれば、圧電アクチュエータ58を動作させたときに圧力室52に発生する圧力波のピーク値を高精度に検出することが可能になる。
本例の圧力検出では、図7(a)に示すような単一パルス信号から成る駆動信号200によって圧電アクチュエータ58をステップ応答させることが好ましい。圧力室52に発生する圧力の残留振動が収束する前に圧電アクチュエータ58が駆動されると、該圧力波の残留振動に次の駆動による圧力波が重畳されてしまい、正確な圧力検出が困難になる。また、駆動信号200の周期は圧力室52に発生する圧力波の残留振動の収束時間よりも長くすることが好ましい。
図8には、本実施形態に係る圧力検出のフローチャートを示す。図8に示すように、圧力室52の圧力検出が開始されると(ステップS10)、圧力検出用の駆動信号(例えば、図7(a)の駆動信号200)が圧電アクチュエータ58に与えられ、検出用駆動が実行されると(ステップS12)、圧力室52に圧力(圧力変動)が生じる。なお、この検出用駆動はノズル51からインクを吐出させる吐出駆動(画像形成時における吐出駆動)を適用してもよい。
検出用駆動の実行により圧力室52に圧力が発生すると、圧力センサ59から検出信号202が出力される。図6に示す電圧計測部140ではこの検出信号202のタイミングt〜tにおけるピーク電圧値V(t)〜V(t)が計測される(図8のステップS14)。
図6に示す演算部142では、電圧計測部140で計測された検出信号202のピーク電圧値V(t)〜V(t)から上記〔数1〕に基づいて本来の検出信号204を決める検出信号204の電圧係数A、検出信号204の減衰D、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dが求められる(図8のステップS16)。なお、ステップS16では上述したパラメータのうち電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dのみを求めてもよい。
ステップS16で求められた検出信号204の電圧係数A、検出信号204の減衰D、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰D(或いは、電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dのみ)から、上述した〔数3〕または〔数5〕を用いて、検出信号204のピーク電圧V(t)〜V(t)が求められ(ステップS18)、ステップS20へ進む。
なお、ステップS16において電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dを求める態様では、上記〔数4〕から図7に示す電圧シフト量V(t)が求められ、検出信号202のピーク電圧値V(t)〜V(t)と電圧シフト量V(t)との演算により検出信号204ピーク電圧V(t)〜V(t)が求められる。
ステップS20では、検出信号204のピーク電圧V(t)〜V(t)が圧力値(圧力波のピーク値)に換算され、当該圧力値に基づいて圧力室52に発生する圧力の正常/異常が判断される(ステップS22)。なお、ステップS20における検出信号204の圧力値変換を省略して検出信号204のピーク電圧V(t)〜V(t)に基づいて正常/異常の判定を行う態様も可能である。
ステップS22において、ステップS20で求められた圧力値が異常であると判断されると(NO判定)、圧力異常に対応した異常処理が当該圧力室52(または、ヘッド全体)に施され(ステップS24)、当該圧力室52(またはヘッド50全体)の圧力検出を再度実行するか否かが判断される(ステップS26)。ステップS26において、再検査を実施すると判断されると(YES判定)、ステップS12に進み、再検査の必要がないと判断されると(NO判定)、当該圧力検出は終了される(ステップS28)。また、ステップS22において圧力値が正常と判断されると(YES判定)、当該圧力検出は終了される(ステップS28)。
図9には、図8のステップS24の異常処理のフローチャートを示す。本例では、圧力異常の原因として、圧力室52やノズル51の気泡発生(気泡混入)、圧力室52(ノズル51)内のインクの増粘、その他の故障(例えば、圧電アクチュエータ58の故障)などを対象としている。
図9に示すように、異常処理が開始されると(ステップS100)、気泡混入による圧力異常であるか否かが判断される(ステップS102)。圧力異常の原因が気泡発生の場合には、圧力センサ59から得られる検出信号のピーク電圧が変化するので、これらに所定のしきい値を設定し、このしきい値との大小関係によって気泡混入の有無を判断することができる。
例えば、圧力室52に気泡が発生すると圧力波が圧力室52内を伝搬する際に圧力損失を生じるため、圧力センサ59から得られる検出信号のピーク電圧が低下する。したがって、駆動信号に応じて適宜しきい値を設定し、このしきい値よりも検出信号のピーク電圧が小さい場合には気泡発生による圧力異常と判断することができる。
ステップS102において気泡発生と判断されると(YES判定)、ヘッド50のノズル面にキャップ(メンテナンス部材)を密着させて、ノズル51から気泡発生したインクの吸引が実行され(ステップS104)、当該異常処理は終了する(ステップS106)。
図9には、インクの気泡発生に起因する圧力異常が発生すると、吸引によってヘッド50の外部に排出する態様を示したが、気泡サイズに応じてメンテナンス方法を変更するように構成してもよい。
即ち、圧力波のピーク変動は気泡サイズに依存し(気泡サイズが大きいと検出信号のピーク電圧が小さくなる)、上述したしきい値を複数設定し、検出信号のピーク電圧が何れのしきい値を超えるかによって気泡サイズを判断することが可能である。
気泡サイズに応じたメンテナンス方法の一例を挙げると、小サイズの気泡(例えば、φ10μm未満)の場合にはメンテナンスは実行されず、中サイズの気泡(例えば、10μm以上100μm未満)及び大サイズの気泡(100μm以上)の場合には上述した吸引が実行される。なお、大サイズの気泡の場合には中サイズの気泡の場合に比べて吸引時間が長く設定される。
一方、ステップS102において気泡発生ではないと判断されると(NO判定)、インクの増粘が発生しているか否かが判断される(ステップS108)。インクの粘度の上昇に比例して圧力センサ59から得られる検出信号のピーク電圧は大きくなるので、複数のしきい値を設定し、インクの粘度上昇の有無及びその程度を検出する。
ステップS108では、吐出に影響を与えるインクの粘度上昇が発生しているか否かが判断される。ステップS108において吐出に影響を与えるインクの粘度上昇が発生していると判断されると(YES判定)、ステップS110において増粘のレベル(増粘の程度)が判断される。
ステップS110における増粘レベルの判定では、増粘レベルに応じた複数のしきい値が設定され、該しきい値と検出信号のピーク電圧との大小関係によって増粘レベルが判断される。例えば、第1のしきい値と第2のしきい値(第1のしきい値<第2のしきい値)が設定されると、検出信号のピーク電圧が第1のしきい値を超え、第2のしきい値以下の場合には軽度の増粘と判断され、検出信号のピーク値が第2のしきい値を超えると重度の増粘と判断される。
ステップS110において重度の増粘と判断されると(NO判定)、予備吐出が実行され(ステップS112)、軽度の増粘と判断されると(YES判定)、当該圧力室52に対応する圧電アクチュエータ58の駆動信号(駆動波形)が変更される(ステップS114)。
即ち、本例の異常処理では、駆動信号の変更によって吐出異常を解消可能な程度のインクの粘度上昇を軽度の増粘とし、予備吐出が必要な程度のインクの粘度上昇を重度の増粘とする。なお、駆動信号の変更により圧電アクチュエータ58から付与される吐出力を20%程度まで大きくすることが可能である。
ステップS114に示す予備吐出及びステップS116に示す駆動信号変更が実行されると、当該異常処理は終了される(ステップS120)。
また、ステップS108においてインクの粘度上昇ではないと判断されると(NO判定)、ステップS122に進み、圧力異常がその他の原因によるものか否かが判断される。ステップS122に示す「その他の故障」には、圧電アクチュエータ58の故障、圧力センサ59の故障、ヘッド構造の接着部分のはく離、インク流路、フィルタの詰まり、気泡以外の異物混入、ヘッドの温度異常、ノズルの破損(ノズル穴の大きさ、形状の変化)などがある。
ステップS122においてその他の故障と判断されると(YES判定)、当該故障に対する故障処理が実行され(ステップS124)、当該異常処理は終了される(ステップS120)。一方、ステップS122においてその他の故障でないと判断されると(NO判定)、当該異常処理は終了される(ステップS120)。
例えば、ステップS122において、その他の故障が圧電アクチュエータ58の故障であると判断されると、故障と判断された圧電アクチュエータ58に対応するノズルに代わり他のノズルから代替打滴が実行される(異常ノズルによるインク打滴を隣接ノズルで補完する)ように画像データを変更する態様がある。また、故障と判断された圧電アクチュエータ58がある旨を報知する処理を実行するとともに、当該圧電アクチュエータ58の情報(例えば、ID)として記憶しておくとよい。
上述したように、本発明に係る圧力検出では、圧電アクチュエータ58を駆動した際に圧力室52に発生する圧力波のピーク値を精度よく検出することが可能になる。このような高精度の圧力検出における検出結果に基づいて吐出異常の有無が判断されると、吐出異常検出の精度が向上し、メニスカスの増粘による圧力室52の状態変化や微小気泡による圧力室52に発生する圧力絶対値の変動、ノズル51及びその近傍における異物付着による圧力室52に発生する圧力絶対値のわずかな変動を捉え、これらに起因する吐出異常による画像品質の劣化が防止されるとともに、正常範囲の圧力変動を異常と判断して無駄なメンテナンスを実行すること(吐出異常の誤検出)が回避される。
〔変形例〕
次に、図10を用いて上述した実施形態の変形例について説明する。本応用例では上記〔数4〕に示す電圧シフト量V(t)を補正値として予め波形データ(例えば、図7(b)の曲線206)或いは、ポイントデータとしてメモリ143(図6参照)に記憶しておき、各圧力室52の圧力検出では当該圧力室52に対応する補正値をメモリ143から逐次読み出し、圧力センサ59から得られた検出信号202に補正を施すように構成される。
図10には、本応用例に係る圧力検出の制御フローチャートを示す。なお、図10中図8と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図10に示す圧力検出では、検出用駆動が実行されると(ステップS12)、ピーク電圧検出が実行される(ステップS14’)。即ち、ステップS14では圧力室52に発生する圧力波がピークとなるタイミングt(i=1、2、…)における検出信号のピーク電圧V(t)が計測される。
ステップS14においてタイミングにおけるピーク電圧V(t)が検出されると、図7に示すメモリ143から当該圧力室52に対応する補正量が読み出される(ステップS15)。本例では、電圧シフト量V(t)が予めメモリ143に記憶され、この電圧シフト量V(t)が補正量として逐次読み出される。
電圧シフト量V(t)に代わり、初期状態における電圧シフト量V(t)の電圧係数B、電圧シフト量V(t)の減衰Dを予め計測してメモリ143に記憶しておく態様も可能である。つまり、補正値を計算結果として記憶してもよいし、補正値を計算するためのパラメータを記憶してもよい。
補正値或いは補正値を計算するためのパラメータは、各圧力室52に対応付けされデータテーブル化されて記憶される。なお、ここでいう初期状態とは、工場出荷時またはインクを圧力室52から抜いた状態で圧電アクチュエータ58を駆動した状態を示している。
ステップS15において電圧シフト量V(t)が読み出されると、データシフトが実行されV(t)が算出される(ステップS18’)。即ち、ステップS16では、上記〔数2〕を変形した、次式〔数6〕に基づいてタイミングtにおける検出信号204のピーク電圧V(t)が算出される。
〔数6〕
(t)=V(t)−V(t
ステップS22’では、ステップS18’で求められた検出信号204のピーク電圧V(t)(または、検出信号204のピーク電圧V(t)から換算された圧力波のピーク値)が正常であるかが判断され、ステップS22’において異常であると判断されると(NO判定)、ステップS24に進み、図9に示す異常処理が実行される。一方、図10のステップS22’において正常であると判断されると(YES判定)、ステップS28に進み、当該圧力検出は終了される。
本応用例に係る圧力検出によれば、演算処理ブロック(例えば、図6の演算部142)の処理負荷の低減化に寄与し、図5及び図6に示す制御機能ブロックの処理速度の向上や消費電力の低減化が見込まれる。
上記実施形態では、記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、短尺の記録ヘッドを往復移動させながら画像記録を行うシャトルヘッドを用いるインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
上記実施形態ではヘッドに備えられるノズルからインクを吐出させて、記録紙16上に画像を形成するインクジェット記録装置を示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、レジストなどインク以外の液体で画像(立体形状)を形成する画像形成装置や、ノズル(吐出孔)から薬液、水などを吐出されるディスペンサ等の液体吐出装置などにも広く適用可能である。
本発明に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 ヘッドの立体構造を示す断面図 図1に示したインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図5に示す圧力検出部の詳細構成を示すブロック図 検出信号の電圧シフトを説明する図 本実施形態に係る圧力検出のフローチャート 図8に示す異常処理のフローチャート 図8に示す圧力検出の応用例に係るフローチャート
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12K,12C,12M,12Y,50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…圧電アクチュエータ、59…圧力センサ、80…プリント制御部、85…圧力検出部、105…駆動信号配線、130,132,134…検出信号配線、140…電圧計測部、142…演算部、143…メモリ、148…配線容量、202,204…検出信号、206…減衰率

Claims (9)

  1. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドの圧力検出方法であって、
    前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する加圧工程と、
    前記圧力検出素子から検出信号を取得する検出信号取得工程と、
    前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測工程と、
    前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から前記検出信号に発生する電圧シフト量を求める電圧シフト量算出工程と、
    前記電圧シフト量算出工程によって求められた電圧シフト量に基づいて前記検出信号に補正処理を施す補正処理工程と、
    を含むことを特徴とする圧力検出方法。
  2. タイミングtにおける前記検出信号の電圧V(t)は、前記圧力室に発生する圧力波の係数A、前記圧力室に発生する圧力波の減衰D、前記圧力室の共振周期ω、前記電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dを用いて、次式
    V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}
    で表され、
    前記検出信号の電圧V(t)は、t=(2×n−1)×{π/(2×ω)+t}(但し、tは初期位相)となるタイミングtで極大値或いは極小値となることを特徴とする請求項1記載の圧力検出方法。
  3. 前記電圧シフト量算出工程は、前記検出信号の電圧V(t)から前記電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dを求めるとともに、前記電圧シフト量の係数B、前記電圧シフト量の減衰Dから、次式
    (t)=B×exp(D×t)
    で表される前記電圧シフト量V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求め、
    前記補正処理工程では、前記電圧計測工程で計測された前記検出信号の極大値または極小値V(t)と、極大値または極小値となるタイミングtにおける電圧シフト量V(t)と、から、次式
    (t)=V(t)−V(t)
    で表される前記圧力室に発生する圧力のピーク値に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求めることを特徴とする請求項2記載の圧力検出方法。
  4. 前記電圧シフト量を予め記憶する記憶工程と、
    前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値または極小値と、前記記憶工程によって記憶された前記電圧シフト量と、に基づいて前記検出信号に補正処理を施す補正処理工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1記載の圧力検出方法。
  5. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドの圧力検出方法であって、
    前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する加圧工程と、
    前記圧力検出素子から検出信号を取得する検出信号取得工程と、
    前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測工程と、
    前記電圧計測工程によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から、次式
    V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}
    で表される検出信号の電圧V(t)から前記圧力室に発生する圧力波の係数A、前記圧力室に発生する圧力波の減衰Dを求めるとともに、次式
    (t)=A×exp(D×t)×sin(ω×t)
    で表される前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求めるピーク値算出工程と、
    を含むことを特徴とする圧力検出方法。
  6. 前記圧力室に発生する圧力のピーク値に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおけるピーク値に基づいて前記圧力室の圧力異常の有無を判断する圧力異常判断工程を含むことを特徴とする請求項5記載の圧力検出方法。
  7. 前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t)のピーク値から前記圧力室に発生する圧力のピーク値を求める圧力換算工程を含み、
    前記圧力室に発生する圧力のピーク値に基づいて前記圧力室の圧力異常の有無を判断する圧力異常判断工程を含むことを特徴とする請求項3又は5記載の圧力検出方法。
  8. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する際に前記圧力室に発生する圧力に対応する検出信号を前記圧力検出素子から取得する検出信号取得手段と、
    前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測手段と、
    前記電圧計測手段によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から前記検出信号に発生する電圧シフト量を求める電圧シフト量算出手段と、
    前記電圧シフト量算出手段によって求められた電圧シフト量に基づいて前記検出信号に補正処理を施す補正処理手段と、
    を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
  9. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室を加圧する圧力発生素子と、前記圧力室に発生する圧力を検出する圧力検出素子と、を備えた液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子に駆動信号を与えて前記圧力室を加圧する際に前記圧力室に発生する圧力に対応する検出信号を前記圧力検出素子から取得する検出信号取得手段と、
    前記検出信号の極大値または極小値を合計4つ以上計測する電圧計測手段と、

    前記電圧計測手段によって計測された前記検出信号の極大値または極小値から、次式
    V(t)={A×exp(D×t)×sin(ω×t)}+{B×exp(D×t)}
    で表される検出信号の電圧V(t)から前記圧力室に発生する圧力波の係数A、前記圧力室に発生する圧力波の減衰Dを求めるとともに、次式
    (t)=A×exp(D×t)×sin(ω×t)
    で表される前記圧力室に発生する圧力に対応する電圧V(t)の極大値または極小値となるタイミングtにおける値を求めるピーク値算出手段と、
    を含むことを特徴とする液体吐出装置。
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