JP2016083929A - インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、及びプログラム - Google Patents

インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録装置の画像品質を向上させることを目的とする。【解決手段】複数のノズル20と、該ノズルに連通してインクを収容する複数の圧力室27と、を備え、画像データに基づいて、複数のノズルからインク滴を吐出させる液滴吐出ヘッドと、前記複数の圧力室内のインク粘度を取得する粘度取得手段240,216と、前記取得したインク粘度に基づいて、前記画像データを補正する画像処理部214と、を有する、インクジェット記録装置100。【選択図】図12

Description

本発明は、インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、及びプログラムに関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として、例えば、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、ノズルに連通する圧力室と、圧力室内のインクを加圧する圧電素子、等を有するインクジェット記録ヘッドにより、記録媒体(紙、金属、木材、セラミックス、等)に、画像(文字、図形、等)を形成する。
クロストークの発生有無の判定結果及びクロストーク量に基づいて、画像データを補正し、クロストークの発生を抑制することで、画像の劣化を抑制する液滴吐出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、インクジェット記録装置において、インク粘度に基づいて、画像データを補正できないと、液滴速度及び吐出量のばらつき、ノズル詰まり、等が発生し易くなるため、高精度に画質を安定させることが困難になる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、インクジェット記録装置の画像品質を向上させることを目的とする。
本実施の形態のインクジェット記録装置は、複数のノズルと、該ノズルに連通してインクを収容する複数の圧力室と、を備え、画像データに基づいて、複数のノズルからインク滴を吐出させる液滴吐出ヘッドと、前記複数の圧力室内のインク粘度を取得する粘度取得手段と、前記取得したインク粘度に基づいて、前記画像データを補正する画像処理部と、を有することを要件とする。
本実施の形態によれば、インクジェット記録装置の画像品質を向上させることができる。
本実施の形態に係るインクジェット記録装置を例示する図である。 本実施の形態に係る液滴吐出装置を例示する図である。 本実施の形態に係る液滴吐出装置を例示する図である。 本実施の形態に係る記録手段を例示する平面図である。 本実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドを例示する底面図である。 本実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドを例示する斜視図である。 本実施の形態に係る残留振動を示す動作概念図である。 本実施の形態に係る駆動波形印加期間及び残留振動波形発生期間を例示する図である。 本実施の形態に係る減衰振動を例示する図である。 本実施の形態に係る残留振動実測波形とインク粘度との関係を示す図である。 本実施の形態に係る減衰比ζとインク粘度μとの関係を示す図である。 第1の実施形態に係る液滴吐出装置を例示するブロック図である。 第2の実施形態に係る液滴吐出装置を例示するブロック図である。 本実施の形態に係る画像処理部を例示するブロック図である。 画像処理部の補正率算出部で求める予測特性について説明する図であって、(A)は時間と共に変化するノズルの特性を示し、(B)はページ間と印字期間におけるドット位置を示す。 本実施の形態に係る補正率を例示するテーブルである。 本実施の形態に係るバイキュービック法による画像補正を概念的に示す模式図である。 図11に示すインクジェット記録ヘッドを例示する回路図である。 発生した残留振動波形と図18の回路で検出した振幅値とを示す図である。 インクジェット記録装置におけるノズル特性判断及び画像データ補正のフローチャートについて説明する図である。
以下、図面及び表を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本明細書において、圧力室内のインクを加圧する圧力発生素子として、圧電素子を用いる場合について説明する。
<インクジェット記録装置>
図1は、本実施の形態に係るオンデマンド方式におけるライン走査型のインクジェット記録装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置100は、記録媒体供給部111と記録媒体回収部112との間に配置され、記録手段101、該記録手段101に対向して設けられるプラテン102、乾燥手段103、及び記録媒体搬送装置、等を含む。
連続する記録媒体(ロール紙、連続紙、等とも称される)113は、記録媒体供給部111から高速で繰り出され、記録媒体回収部112により巻き取り回収される。
記録手段101は、ノズル(印字ノズル)が印刷幅全域に配置されるライン状のインクジェット記録ヘッドを有する。カラー印刷は、クロ、シアン、マゼンダ、イエローの各色のインクジェット記録ヘッドにより行われる。各インクジェット記録ヘッドのノズル面は、プラテン102上に、所定の隙間を保って支持されている。記録手段101は、記録媒体搬送装置の搬送速度に同期してインク滴の吐出を行うことで、記録媒体113の印刷面に、カラー画像を形成する。乾燥手段103は、記録媒体113に印刷されたインクが、他の部分へ付着することを防止するために、インクの乾燥・定着を行う。乾燥手段103としては、非接触式の乾燥装置を用いても良いし、接触式の乾燥装置を用いても良い。
記録媒体搬送装置は、規制ガイド104、インフィード部105、ダンサローラ106、EPC(Edge Position Control)107、蛇行量検出器108、アウトフィード部109、プラー110、等を含む。
規制ガイド104は、記録媒体供給部111から供給される記録媒体113の幅方向の位置決めを行う。インフィード部105は、従動ローラ及び駆動ローラで構成され、記録媒体113の張力を一定に保つ。ダンサローラ106は、記録媒体113の張力に応じて上下し、位置信号を出力する。EPC107は、記録媒体113の蛇行を制御する。蛇行量検出器108は、蛇行量のフィードバックに使用される。アウトフィード部109は、従動ローラ及び駆動ローラで構成され、記録媒体113を設定速度で搬送するために一定速度で回転する。プラー110は、従動ローラ及び駆動ローラで構成され、記録媒体113を装置外に排紙する。記録媒体搬送装置は、ダンサローラ106の位置検出を行い、インフィード部105の回転を制御することで、搬送中の記録媒体113の張力を一定に保つ、張力制御型の搬送装置である。
ライン走査型のインクジェット記録装置100は、スターフラッシング動作、ラインフラッシング動作(例えば、A4用紙境界での空吐出動作)を行うことで、増粘インクを排出する。スターフラッシング動作は、低湿環境、印字デューティの小さい画像では、捨て打ち効果が十分に得られ難いというデメリットがある一方、損紙が発生しないというメリットがある。ラインフラッシング動作は、インク滴を吐出させた領域を、後に切断する必要があるため、損紙が発生するというデメリットがある一方、強力な捨て打ちができるというメリットがある。
<インクジェット記録ヘッドモジュール>
図2は、インクジェット記録装置100に搭載されるインクジェット記録ヘッドモジュールの一例を示す概略側面図である。図2(A)は、側面図であり、図2(B)は、斜視図である。
図2に示すように、インクジェット記録ヘッドモジュール(液滴吐出装置)200は、駆動制御基板210、インクジェット記録ヘッド220、ケーブル230、アジャストプレート270、等を含む。
駆動制御基板210は、制御部211、圧電素子に印加する駆動波形を生成する駆動波形生成部212、記憶手段213等が、インク粘度に基づいて、画像データを補正する画像処理部214等が搭載されるリジッド基板である。
制御部211には、駆動波形生成部212に駆動波形データを送信する駆動制御部215、インク粘度を算出する演算部216、及び画像データを補正する画像処理部214等が設けられている。
インクジェット記録ヘッド220は、ヘッド基板221、残留振動検知基板222、ヘッド駆動IC基板223、インクタンク224、剛性プレート225、等を含む。インクジェット記録ヘッド220は、駆動波形生成部212により生成される駆動波形に基づいて、圧電素子を駆動させ、複数のノズルからインク滴を吐出させる。
ケーブル230は、駆動制御基板側コネクタ231及びヘッド側コネクタ232と電気的に接続され、駆動制御基板210とヘッド基板221との間のアナログ信号通信、デジタル信号通信を担う。
ライン走査型のインクジェット記録装置において、1又は複数のインクジェット記録ヘッド220は、記録媒体113の搬送方向に対して垂直な方向に並べて配置され、印字ノズルは、印刷幅全域に配置される(図2(B)参照)。アジャストプレート270により固定されるインクジェット記録ヘッド220から、インク滴を吐出させることで、記録媒体113への高速な画像形成が可能となる。ライン走査型のインクジェット記録装置に、本実施の形態に係る液滴吐出装置を適用する場合、後述する往路復路データ並び替え部を搭載する必要が無いため、回路規模を低減することができる。
なお、1又は複数のインクジェット記録ヘッドを、記録媒体113の搬送方向に対して垂直な方向へ移動させて画像を形成するシリアル走査型のインクジェット記録装置に、本実施の形態に係る液滴吐出装置を適用することも可能である。シリアル走査型のインクジェット記録装置に、本実施の形態に係る液滴吐出装置を適用する場合、2つ以上のインクジェット記録ヘッドを使用しなくて済む。
図3は、シリアル走査型のインクジェット記録装置における内部の機械的構成を示す上面図である。
インクキャリッジ部301は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動し、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体309に対して、画像を形成する。インクキャリッジ部301は、主走査方向に沿って延設される主ガイドロッドにより支持される。また、インクキャリッジ部301には、連結片が設けられており、連結片は、主ガイドロッドと平行に設けられる副ガイド部材に係合して、インクキャリッジ部301の姿勢を安定化させる。
インクキャリッジ部301は、ギア304と加圧コロ305との間に張架されるタイミングベルト306に連結される。インクキャリッジ部301は、主走査モータ303の駆動力が、ギア304、加圧コロ305、タイミングベルト306、等を介して伝わることで、主走査方向に往復移動する。インクキャリッジ部301が、往復移動を開始すると、記録媒体309への記録が開始され、記録媒体309は、給紙部、搬送部、等を介して、プラテン310へと搬送される。加圧コロ305は、ギア304との間の距離を調整し、タイミングベルト306に対して所定のテンションを与える。
インクキャリッジ部301における主走査方向の移動は、主走査方向に沿ってインクキャリッジ部301に設けられるエンコーダセンサ307が、エンコーダシート308のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。エンコーダセンサ307は、主走査方向に沿って備えられるエンコーダシート308を読み取ることで、インクキャリッジ部301の位置を検知する。
インクキャリッジ部301には、イエロー(Y)インクを吐出するインクジェット記録ヘッド302y、マゼンタ(M)インクを吐出するインクジェット記録ヘッド302m、シアン(C)インクを吐出するインクジェット記録ヘッド302c、クロ(K)インクを吐出するインクジェット記録ヘッド302kが搭載される。記録手段302(302y,302m,302c,302k)は、吐出面が、記録媒体309側へ向くように設置される。各インクジェット記録ヘッドは、複数のノズルを備えており、搬送される記録媒体309にノズル列からインク滴を吐出させることで、記録媒体309に対して、画像を形成する。
記録手段302にインクを供給するインク供給体であるカートリッジは、インクジェット記録装置内の所定位置に配置される。記録手段302とカートリッジとは、パイプで連結され、パイプを介して、カートリッジから記録手段302へとインクが供給される。
インクジェット記録ヘッドの吐出面と対向する位置には、プラテン310が設けられる。プラテン310は、記録手段302から記録媒体309へとインクを吐出する際に、記録媒体309を支持する。図3に示すインクジェット記録装置は、インクキャリッジ部301における主走査方向の移動距離が長い広幅機であり、プラテン310は、複数の板状部材が、主走査方向に繋がって構成される。
記録媒体309は、搬送ローラにより挟持され、副走査方向に搬送される。又、記録媒体309は、副走査方向への搬送が停止されている間は、プラテン310の裏面(記録媒体が載置される面とは逆の面)側に設けられる吸引ファンにより吸引され、プラテン310の表面に保持される。記録媒体309として、はがき等の厚手の用紙、コート紙等のカールの強い用紙、マットフィルムのような表面にざらつきのある用紙、等を用いる場合は、記録媒体309とインクキャリッジ部301との間の距離を大きくすることが好ましい。
なお、シリアル走査型のインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドの信頼性を維持するための維持機構を備えていても良い。維持機構は、例えば、インクジェット記録ヘッドにおける吐出面の清掃やキャッピング、インクジェット記録ヘッドからの不要なインクの排出、等を行うことができる。又、駆動制御基板としては、ライン走査型のインクジェット記録装置に搭載される基板と、同様の構成・機能を有する基板を適用できる。
詳細は後述するが、本実施の形態に係る液滴吐出装置は、インク滴吐出後(圧電素子35を駆動後)に、圧力室内のインクに発生する残留振動に基づいて、インク粘度を取得し、取得したインク粘度に基づいて、画像データを補正する。これにより、液滴吐出装置は、気泡混入等による液滴速度及び吐出量のばらつきを抑え、不吐出ノズルに対する補間等を行うことができるため、インクジェット記録装置の画像品質を向上させることができる。
図4は、インクジェット記録装置100に搭載される記録手段101におけるヘッド部の一例を示す拡大平面図である。
記録手段101は、クロ用ヘッドアレー101K、シアン用ヘッドアレー101C、マゼンダ用ヘッドアレー101M、イエロー用ヘッドアレー101Yを含み、各色のヘッドアレーは、複数のインクジェット記録ヘッド220を含む。クロ用ヘッドアレー101Kは、クロのインク滴を吐出し、シアン用ヘッドアレー101Cは、シアンのインク滴を吐出し、マゼンダ用ヘッドアレー101Mは、マゼンダのインク滴を吐出し、イエロー用ヘッドアレー101Yは、イエローのインク滴を吐出する。
各色のヘッドアレー(101K,101C,101M,101Y)は、記録媒体113の搬送方向に対して平行な方向に配置される。複数のインクジェット記録ヘッド220は、記録媒体113の搬送方向に対して垂直な方向に、千鳥状に配置される。複数のインクジェット記録ヘッドを千鳥状に配置することにより、印刷領域の幅を広域化できる。
図5は、ヘッド部におけるインクジェット記録ヘッド220の拡大底面図である。
インクジェット記録ヘッド220は、複数のノズル20を含み、複数のノズル20は、記録媒体113の搬送方向に対して垂直な方向に、千鳥状に配置される。複数のノズルを千鳥状に配置することにより、印刷領域を高解像度化できる。
なお、図5の形態では、インクジェット記録ヘッド220を、1列につき3個、且つ2列の千鳥状に配置し、ノズル20を、1列につき32個、且つ2列の千鳥状に配置する構成を一例として示すが、列の数、各列に配置される個数は、特に限定されるものではない。
<インクジェット記録ヘッド>
図6は、インクジェット記録装置100に搭載されるインクジェット記録ヘッド220の一例を示す斜視図である。
図6に示すように、インクジェット記録ヘッド220は、ノズルプレート21、圧力室プレート22、リストリクタプレート23、ダイアフラムプレート24、剛性プレート225、圧電素子群26、等を含む。圧電素子群26は、支持部材34、複数の圧電素子35、圧電素子接続基板36、圧電素子駆動IC37、等を含む。
ノズルプレート21には、複数のノズル20が形成され、圧力室プレート22には、各ノズル20に対応する圧力室27が形成される。リストリクタプレート23には、圧力室27と共通インク流路28とを連通し、圧力室27へのインク流量を制御するリストリクタ29が形成され、ダイアフラムプレート24には、振動板(弾性壁)30及びフィルタ31が形成される。これらのプレートが、順次重ねられ、位置決めされて接合されることにより流路板が形成される。流路板は、剛性プレート225と接合され、フィルタ31と共通インク流路28の開口部32とが対向し、圧電素子群26は、開口部32に挿入される。インク導入パイプ33の上側開口端は、共通インク流路28に接続され、インク導入パイプ33の下側開口端は、インクを充填したヘッドタンクに接続される。
支持部材34の表面には、複数の圧電素子35が形成され、圧電素子35の自由端は、振動板30に接着固定される。圧電素子接続基板36の表面には、圧電素子駆動IC37が形成され、圧電素子35と圧電素子接続基板36とは電気的に接続される。圧電素子35は、駆動波形生成部により生成される駆動波形(例えば、駆動電圧波形)に基づいて、圧電素子駆動IC37により制御される。圧電素子駆動IC37は、上位コントローラから伝送される画像データ、制御部211の駆動制御部215から出力されるタイミング信号、等に基づいて、制御される。
なお、図6では、図面の簡略化のため、ノズル20、圧力室27、リストリクタ29、圧電素子35、等を実際より少ない個数で図示している。
<残留振動の検知>
図7乃至図11を用いて、本実施の形態に係る液滴吐出装置における残留振動検知の一例について説明する。
図7は、インクジェット記録ヘッド220における圧力室内に収容されたインクに発生する残留振動を示す動作概念図である。図7(A)はインク滴吐出中、図7(B)はインク滴吐出後であり、両図により圧力室内に発生する圧力変化が模式的に示されている。
図8は、駆動波形印加期間及び残留振動波形発生期間の一例を示す概略図である。横軸は時間[s]、縦軸は電圧[V]を示す。駆動波形印加期間は、図7(A)に対応し、残留振動波形発生期間は、図7(B)に対応する。
図7(A)に示すように、圧電素子35(具体的には、圧電素子接続基板36の電極)に、駆動波形生成部212より生成される駆動波形が印加されると、圧電素子35は、伸縮する。圧電素子35から、振動板30を介して、圧力室27内のインクへと伸縮力が働き、圧力室27内に圧力変化が生じることで、ノズル20からインク滴が吐出する。例えば、駆動波形の立ち下げ動作により、圧力室27内の圧力は低くなり、駆動波形の立ち上げ動作により、圧力室27内の圧力は高くなる(図8に示す駆動波形印加期間参照)。
図7(B)に示すように、圧電素子35に、駆動波形が印加された後(インク滴吐出後)、圧力室27内のインクには、残留圧力振動が発生し、圧力室27内のインクから、振動板30を介して、圧電素子35へと残留圧力波が伝播する。残留圧力波の残留振動波形は、減衰振動波形となる(図8に示す残留振動波形発生期間参照)。この結果、圧電素子35(具体的には、圧電素子接続基板36の電極)に、残留振動電圧が誘起される。残留振動検知部は、残留振動電圧を検知し、検知結果(例えば、ピーク値で固定された残留振動波形の振幅値をAD変換したデジタル信号)を残留振動検知部の出力として、制御部211へと出力する。
このように、本実施の形態に係る液滴吐出装置において、残留振動検知部は、圧電素子の伸縮に基づいて残留振動を検知し、制御部は、検知結果に基づいてインク粘度を取得する。なお、本実施の形態に係る液滴吐出装置は、残留振動検知部を用いずに、例えば、粘度計を用いてインク粘度を検知することも可能である。
ここで、残留振動波形は減衰振動であることから、残留振動検知部の出力として、減衰振動の減衰比に着目する。図9乃至図11を用いて、残留振動波形の振幅値から減衰振動の減衰比を算出する過程と、残留振動波形の減衰比とインク粘度との関係について、説明する。
減衰振動の理論式は、xを時刻に対する減衰振動変位、xを初期変位、ζを減衰比、ωを固有振動周波数、ωを減衰系の固有振動周波数、vを初期変化量、tを時刻として、[数1]で表せる。
Figure 2016083929
減衰系の固有振動周波数ωは、式(2)で表せる。
Figure 2016083929
対数減衰率δは、aをn番目の振幅値、an+mをn+m番目の振幅値として、式(3)で表せる。対数減衰率δは、減衰比ζを算出する為に必要なパラメータである。
Figure 2016083929
図9において、Tは1周期、mTはm周期、aはn番目の振幅値、an+1はn+1番目の振幅値、an+2はn+2番目の振幅値、an+mはn+m番目の振幅値である(但し、n、mは自然数)。
対数減衰率δは、振幅変化の割合を対数化し、mで除することにより、1周期分あたりで平均化した値であるため、減衰比ζは、対数減衰率δを用いて、式(4)で表せる。
Figure 2016083929
減衰比ζは、複数周期分の振幅値の減衰率を、1周期分で平均化した情報を有する。
従って、式(1)〜式(4)より、減衰振動の減衰比ζを算出する為には、対数減衰率δを求めれば良く、対数減衰率δを求める為には、少なくとも2箇所の残留振動波形の振幅値を認識すれば足りることがわかる。
図10に、残留振動実測波形とインク粘度との関係を示す。縦軸は電圧[V]、横軸は時間[s]、時間軸の0点は駆動波形印加期間から残留振動波形発生期間への切替タイミングを示す。各インク粘度の大小関係は、粘度A=1とした場合、粘度B=1.7、粘度C=3と表せる。
図10より、粘度A=1の残留振動実測波形における振幅値が最も大きく、粘度C=3の残留振動実測波形における振幅値が最も小さいことがわかる。即ち、インク粘度が低い程、減衰振動の振幅は大きく、又、減衰振動の減衰比は小さくなることがわかる。
図11に、残留振動実測波形に基づいて算出される減衰比とインク粘度との関係を示す。
図11より、インク粘度μが、μ、μ、μ、と大きくなる程、減衰比ζも、μ、μ、μ、と大きくなることがわかる。
液滴吐出装置200は、図11に示すように、各インク粘度に対応する駆動波形(例えば、μ用駆動波形、μ用駆動波形、μ用駆動波形)を生成し、各圧電素子に印加する。又、液滴吐出装置200は、実際のインクの状態(例えば、気泡混入、インク増粘)を考慮して画像データを補正する。
これにより、液滴吐出装置200は、吐出速度及び吐出量の変動を抑制し、各ノズルからインク滴を安定して吐出させることができる。更に、液滴吐出装置200は、ノズル詰まりを予防し、不吐出ノズルに対する補間を適宜行うこともできる。
なお、臨界減衰(減衰比ζ=1)の場合、液滴吐出装置200は、ノズルが完全に詰まっていると判断する。しかし、臨界減衰でない場合(減衰比ζ<1)であっても、ノズル径、ノズル形状、インクの構成成分、等に依存して、インク粘度が極端に大きくなることで、ノズル詰まりが発生することがある。この場合、液滴吐出装置200は、減衰比ζが1に近い程、ノズル詰まりが発生している確率が高いと判断する。
図12は、本実施の形態に係るインクジェット記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドモジュールの一例を示すブロック図である。
インクジェット記録ヘッドモジュール200は、駆動制御基板210、インクジェット記録ヘッド220、等を含む。駆動制御基板210には、制御部211、駆動波形生成部212、記憶手段213、及び画像処理部214、等が搭載される。インクジェット記録ヘッド220は、制御部226が搭載されるヘッド基板221、残留振動検知部240が搭載される残留振動検知基板222、圧電素子駆動IC37が搭載される圧電素子接続基板36、圧電素子35(圧電素子35a〜35x)、等を含む。残留振動検知基板222には、波形処理回路250、切替手段241、A/D変換器242、等が搭載される。波形処理回路250は、フィルタ回路251、増幅回路252、ピークホールド回路253、等を含む。
なお、駆動制御基板210に搭載される制御部211とヘッド基板221に搭載される制御部226とは、一部の機能、若しくは全ての機能を、いずれか一方に統一しても良い。又、残留振動検知基板222に搭載される一部の機能、若しくは全ての機能を、駆動制御基板210、又は、ヘッド基板221に統一しても良い。又、画像処理部214は、制御部211の内部に設けられていても良いし、制御部211の外部に設けられていても良い。
制御部211は、駆動波形生成部212を制御する駆動制御部215、画像処理部214、及びインク粘度を算出する演算部216を備える。
制御部211の駆動制御部215は、上位コントローラ260から受信した画像データに基づいて、駆動波形データを生成し、駆動波形生成部212、インクジェット記録ヘッド220、等へと出力する。駆動制御部215211は、シリアル通信により、タイミング制御信号(デジタル信号)を圧電素子駆動IC37及び切替手段241へと送信し、タイミング制御信号と同期させた切替信号を切替手段241へと送信する。駆動制御部215211は、タイミング制御信号と切替信号とを同期させることで、圧電素子接続基板36の電極に誘起される残留振動電圧を、残留振動検知基板222へ取り込むタイミングを、制御することができる。
制御部211の演算部216は、残留振動検知部240の出力(例えば、ピーク値で固定された残留振動波形の振幅値をAD変換したデジタル信号)から、少なくとも2つ以上のデジタル信号を選択し、式(1)〜式(4)を用いて減衰振動の減衰比を算出する。選択される振幅値の数が多い程、減衰比の算出精度は高まる。
さらに、演算部216は、算出した減衰比と、記憶手段213に記憶される減衰比データとを比較することで、圧力室内におけるインク粘度を取得し、取得したインク粘度を、画像処理部214へと出力する。
駆動波形生成部212は、駆動波形データをD/A変換し、電圧増幅、電流増幅を行って、駆動波形を生成し、圧電素子駆動IC37へと出力する。駆動波形生成部212は、ノズル20毎に、最適な駆動波形を適用して、圧電素子35(圧電素子35a〜35x)を駆動させる。
記憶手段213は、減衰比データ、及び画像処理における補正に用いる吐出特性データ(インク粘度予測データ)を予め記憶する。
画像処理部214は、上位コントローラ260から受信した画像データを、インク粘度に基づいて、補正する。具体的には、画像処理部214は、インク粘度に基づいて補正率を算出し、I/Fで受信した画像データに補正率を乗じ、補正率を乗じた画像データに階調処理、往路復路データ並び替え処理を施す。これにより、画像処理部214は、圧力室内への気泡混入、ノズル詰まり、インク温度、等を考慮して、画像データを補正することができる。
なお、往路復路データ並び替え処理とは、液滴吐出装置が、シリアル走査型のインクジェット記録装置(図3参照)に適用される場合に、シリアルヘッドに対して、画像データを往路と復路とで並び替える処理を指す。従って、液滴吐出装置が、ライン走査型のインクジェット記録装置に適用される場合には、画像処理部214は、往路復路データ並び替え処理を行う必要はない。
制御部226は、タイミング制御信号をデシリアライズし、圧電素子駆動IC37へと送信する。
圧電素子駆動IC37は、タイミング制御信号に基づいて、ON/OFF制御され、例えば、ON(OFF)の場合、駆動波形生成部212により生成される駆動波形を圧電素子35へ印加(非印加)する(図7に示す駆動波形印加期間参照)。駆動波形の立ち下げ動作、立ち上げ動作に基づいて、圧電素子35は伸縮し、圧電素子35の駆動に応じて各ノズルからインク滴が吐出する。
波形処理回路250は、フィルタ回路251及び増幅回路252により、残留振動波形にフィルタ処理を施して増幅し、ピークホールド回路253により、残留振動波形の振幅値のピーク値(例えば、最大値)を認識・抽出してピーク値で固定する。
切替手段241は、圧電素子35と波形処理回路250との接続/非接続を切り替える。例えば、圧電素子35と波形処理回路250とが、切替手段241により接続されると、圧電素子接続基板36の電極に誘起される残留振動電圧は、波形処理回路250に取り込まれる。
A/D変換器242は、波形処理回路250により固定された振幅値(アナログ信号)を、デジタル信号に変換し、制御部211の演算部216へと出力する(フィードバック)。演算部216は、制御部226に設けられてもよく、演算部216により、フィードバックされた残留振動検知部240の出力に基づいて、減衰振動の減衰比を算出することができる。
本実施形態において、残留振動検知部240と演算部216とで、粘度取得手段を構成する。
なお、図12では、圧電素子35a〜35xの残留振動電圧を、1組の残留振動検知部(切替手段241、波形処理回路250、A/D変換器242)を用いて順次切り替えて検知する構成としているが、残留振動検知部の構成は、特に限定されるものではない。例えば、全ての圧電素子に対応して、それぞれ、残留振動検知部を形成し、全ての圧力室内のインク粘度を、同時に検知する構成としても良い。又、例えば、圧電素子を、いくつかのグループに分け、グループ毎に残留振動検知部を形成し、グループ毎に順次切り替えて、圧力室内のインク粘度を、検知する構成としても良い。グループ化することにより、回路規模の増大を抑えつつ、同時に検知できるノズルの個数を増やすことができる。
また、インクジェット記録ヘッドモジュール200は、残留振動検知部を備えていなくても良い。例えば、図13に示す第2の実施形態のように、全ての圧力室に対応させて、粘度計312(粘度計312a〜312x)を設け、該粘度計により、各圧力室内のインク粘度を、検知する構成としても良い。
本実施形態において、粘度計312が粘度取得手段を構成する。この場合、残留振動を検知する必要が無いため、切替手段241とA/D変換器242との間に、波形処理回路250を設けずに済む。
図14は、本実施の形態に係る画像処理部の一例を示すブロック図である。画像処理部214は、例えば、制御プログラムに従って、下記の処理を実行する。
画像処理部214は、補正率算出部2141、補正部2142、階調処理部2143、往路復路データ並び替え部2144、及び吐出経過時間算出部2145等を含む。
吐出経過時間算出部(吐出間隔算出部)2145は、上位コントローラ260から受信した画像データ(例えば、[7:0])を受信する。吐出経過時間算出部2145は、画像データに含まれる画像形状に寄与する印刷形状液滴や印刷位置を基に、ノズル毎の吐出間隔を予め算出しておく。
補正率算出部2141は、インク粘度に基づいて、補正率α1〜α192(例えば、ノズルの個数が192個とする)を算出し、補正部2142へと出力する。
補正部2142は、上位コントローラ260から受信した画像データ(例えば、[7:0])に、補正率α1〜α192を乗じ、補正率を乗じた画像データを、階調処理部2143へと出力する。補正部2142は、ノズル毎に算出された補正率を利用することで、ノズル毎に画像データを補正する。
階調処理部2143は、補正率を乗じた画像データに、階調処理を施し、階調処理が施されたデータ(例えば、KD'[1:0])を、往路復路データ並び替え部2144へと出力する。
往路復路データ並び替え部2144は、階調処理が施された画像データに、往路復路データ並び替え処理を施し、往路復路データ並び替え処理が施されたデータ(例えば、SD'[1:0])を、インクジェット記録ヘッド220へと出力する。
なお、本実施の形態に係る液滴吐出装置が、ライン走査型のインクジェット記録装置に適用される場合には、画像処理部214に、往路復路データ並び替え部2144を搭載する必要はなく、不吐出ノズルを補間するためには、ヘッドを2つ並べれば良い。
ここで、図15を用いて、画像処理部214の補正率算出部2141で求める予測特性について説明する。図15(A)は時間と共に変化するノズルの特性、図15(B)はページ間と印字期間におけるドット位置を示している。
印字中、印字期間(画像領域)では、駆動波形を圧電素子35に印加しているため残留振動検知を行わず、ページ間(非画像領域)の位置Paにおいて残留振動検知(1回目)を行う。
そこで取得したノズル毎の特性(粘度、減衰比など)をaとすると、予め用意して記憶手段213に、記憶された吐出特性予測データから、吐出特性が時間とともに、どのように変化するのか予測ができる。図15(A)から分かるように、放置時間が増えると、吐出特性予測データ(インク粘度予測データ)の値が大きくなる。
この変化量に応じて各ノズルに補正を行うことで、高精度に画質を安定させることが可能となる。例えば、あるノズルに着目したときに印字期間での吐出位置がPb→Pc→Pdと3回あるとすると、1回目の残留振動を検知した位置PaからPbまでの経過時間Tを、画像データを基にして算出する。例えば、この画像データを基にした、残留振動検知位置Paから吐出Pbまでの経過時間Tは、吐出間隔算出部415から出力されるノズル毎の吐出間隔を参照して算出できる。
図15(A)より、1回目の残留振動検知で位置Paで取得した特性aの時刻Tを時間軸の原点(初期値)として、求めた経過時間Tと吐出特性予測データから予測特性cが決まり、予測特性cに応じて、適切な補正が可能になる。
時刻Tで吐出をしたノズルは、リフレッシングされた(画像形成時よりも振幅が大きい駆動波形を印加することによる、増粘インクの捨て打ち、空吐出をした)こととなり、特性は再びaに戻る。
次の吐出位置Pcでは、位置PbからPcまでの経過時間Tを画像データから算出ができるので、同様に、1回目の残留振動を検知した位置Paの時刻Tを時間軸の原点(初期値)として、吐出特性予測データから予測特性dが決まり、適切な補正が可能になる。
吐出位置Pc→Pd以後も同様である。
また、印字期間で行われる吐出でリフレッシング(捨て打ち、空吐出)されたこととしても、排出される滴量により、完全に増粘インクが排出されたとは限らない。そのため、次のページでは、より強力な捨て打ちを行うページ間でのリフレッシングの後に、2回間に残留振動検知の位置(例えば図15(B)のPe)で取得した特性bに基づいて、T'を時間軸の原点(次のページの初期値)と設定する。このように、次ページ間に、再び原点を設定する、即ち、非画像領域の期間で繰り返し吐出特性を判定することで、より正確な予測特性が求まる。
以上は全てのノズル個別に適応ができ、またシリアルヘッドのようなキャリッジのスキャン動作(往路復路間)においても、前回行ったフラッシングを元に、ページ間に限らず予測が可能となる。
ここで、例として、予測特性から補正率を求めて補正する方法を、テーブルと後述のアルゴリズム(バイキュービック法)を用いて示す。使用されるテーブルやアルゴリズムは、記憶手段213に記憶されている。あるいは、画像処理部214内に別の記憶手段を設けて、補正用いるテーブルやアルゴリズムを記憶してもよい。
残留振動検知部240で検知した残留振動が補正率算出部2141へ入力されている。あるいは、検知した残留振動を基に演算部216で算出したインク粘度(又は減衰比)が、補正率算出部2141へ入力されている。
補正率算出部2141は、検知により取得したインク粘度(又は残留振動、減衰比)を、記憶されたテーブルやアルゴリズムと照らし合わせることで、ノズル毎の吐出特性を判定する。ノズル毎の吐出特性の判定により、ノズル毎の吐出の補正率を決定する。さらに、ノズル毎の吐出特性の判定により、不吐出ノズルを特定することで、他のノズルで不吐出ノズルの位置を補間させることが可能になる。
図16は、ノズル及びインク粘度に対応する補正率を示すテーブルである。ノズルの個数は、192個とし、インク粘度は、アルファベット順に高くなるものとする。
例えば、3ノズル目のインク粘度がcである場合、補正率は+0.6dot、28ノズル目のインク粘度がeである場合、補正率は+0.3dotとなる。
また、例えば、全てのノズルのインク粘度がg以上である場合、ノズルからインク滴が吐出しない不吐出状態となるため、画像処理部214は、不吐出ノズルが有ると判断し、不吐出ノズルを他の吐出ノズルで補間する。
ライン走査型のインクジェット記録装置(図1)において、不吐出ノズルが発生した場合、ヘッドを2つ並べて、不吐出ノズルが存在するヘッドを、不吐出ノズルが存在しないヘッドで補間すれば良い。
一方、シリアル走査型のインクジェット記録装置(図3)において、不吐出ノズルが発生した場合、ヘッドが数スキャン(複数パス)をして、他のノズルからインク滴を吐出させることで補間すれば良い。
なお、画像処理部214は、減衰比から算出した温度毎に、補正率と対応するテーブルを有していても良いし、往路と復路とで補正量の正負が異なる別のテーブルを有していても良い。又、画像処理部214は、回路を利用して符号反転を行っても良い。
次に、補正部2142のアルゴリズムについて説明する。
補正量が1dotの場合、画像データに遅延をかけることで、インク滴の着弾位置を1dotずらせば良い。しかし、補正量が1dotに満たない場合(例えば、補正量が0.6dotの場合)、各dot間の距離は一定のため、各dot間に、インク滴を着弾させることができない。
従って、このような場合には、画像データの画素値を変更することで、疑似的にずらしたdotを再現する。これにより、インク滴の着弾位置が補正前と同じであっても、疑似的に、インク滴の着弾位置を0.6dotずらすことが可能になる。
図17は、バイキュービック法による画像補正を概念的に示す模式図である。
画像データにおいて、ある画素の画素値に対して、0.6dotの補正が必要な場合(補正率αが0.6dotの場合)を、一例に挙げて説明する。
補正前の画素値をn、補正後の画素値をn'、画素値nの近隣に存在する3点の画素値を(n−1)、(n+1)、(n+2)とする。
画素値nと画素値n'との間の距離をd=0.6dotとすると、画素値n'と画素値(n−1)との間の距離は(1+d)=1.6dot、画素値n'と画素値(n+1)との間の距離は(1−d)=0.4dot、画素値n'と画素値(n+2)との間の距離は(2−d)=1.4dotとなる。
この場合、補正前の画素値nと、画素値nの近隣に存在する3点の画素値(n−1、n+1、n+2)とを、次式に代入することにより、補正後の画素値n'を求めることができる。
n'=W1×(n−1)+W2×n+W3×(n+1)+W4×(n+2)
例えば、主走査方向及び副走査方向に、画像を2倍に拡大する倍密処理を行う場合、係数を固定値で、W1=W4=−0.125、W2=W3=0.625とすると、
n'=0.5(2n+1)となる。
即ち、バイキュービック法を用いた補間演算を行うことで、画像データにおいて、ある画素の画素値nを、疑似的に、例えば0.6dotずらした画素値n'を求めることができる。
なお、係数W1、W2、W3、W4の値を変更することで、画像データにおいて、ある画素の画素値nを、疑似的に補正率α分だけずらした、任意の位置の画素値n'を求めることが可能である。
例えば、このようなインク滴の着弾位置のタイミングのずれの位置補正は、制御部211の駆動制御部215において、生成されるタイミング制御信号のタイミングを調整することによって調整する。調整されたタイミング制御信号は、デシリアライズする制御部226を介して、圧電素子駆動IC37へと送信される、所定の圧電素子へ駆動波形が、調整されたタイミングで印加される。
また、このようなインク滴の着弾位置のタイミングの補間は、制御部211の駆動制御部215において、生成される駆動波形データの対象を追加することによって調整する。調整された(追加された)画像波形データ基づいて、駆動波形生成部212で駆動波形が生成され、該駆動波形が圧電素子駆動IC37へと送信され、補間されるノズルの近傍のノズルに対応する圧電素子へ印加される。
図18は、本実施の形態に係る残留振動検知部の一例を示す回路図である。
圧電素子駆動IC37は、複数のスイッチング素子を含み、圧電素子駆動IC37のON/OFFは、各圧電素子に対応して形成されるスイッチング素子のON/OFFにより制御される。インク滴吐出後(圧電素子駆動IC37がOFF)、切替手段241を介して、圧電素子35と波形処理回路250とが接続されることで、残留振動検知部240は、圧電素子35に誘起される残留振動電圧を検知し、残留振動波形の振幅値を認識できる。
波形処理回路250は、微小な残留振動波形を、高インピーダンスのバッファ部で受けることにより、検知回路が残留振動波形に及ぼす悪影響を抑制する。波形処理回路250に搭載される抵抗R1〜R5、コンデンサC1〜C3、等の受動素子定数は、インクジェット記録ヘッド220の特性に起因する固有振動周波数の違いに応じて、制御部211の駆動制御部215により可変制御されることが好ましい。
フィルタ回路251は、残留振動波形にフィルタ処理を施す。フィルタ回路251は、固有振動周波数を中心周波数として、所定の通過帯域幅を有し、例えば、通過帯域幅の両端から、それぞれ−3dBとなる帯域幅が、通過帯域幅の3倍程度に設定されることが好ましい。これにより、インクジェット記録ヘッド220の製造バラツキが原因で生じる固有振動周波数のバラツキを吸収できると共に、高周波ノイズと低周波のノイズとを、効率良く除去することが可能になる。
増幅回路252は、フィルタ処理が施された残留振動波形を増幅する(図18に示す点線参照)。増幅回路252において、増幅率は、A/D変換器242の入力可能範囲内で波形が増幅されるように、設定されることが好ましい。
なお、フィルタ回路251及び増幅回路252は、バンドパスフィルタ増幅型(サレンキ型)で構成されることにより、効率的なノイズ成分の除去及び信号成分の抽出が可能になるが、該構成は、特に限定されるものではない。少なくとも、ハイパス特性及びローパス特性を有するフィルタと、非反転増幅部又は反転増幅部とを組み合わせた回路で構成されていれば良い。
ピークホールド回路253は、残留振動波形の振幅値のピーク値を認識・抽出し、該ピーク値で固定する(図19に示す実線参照)。ピークホールド回路253において、抵抗R6及びコンデンサC3の放電時間は、残留振動周期の1/2以下となるように、設定されることが好ましい。ピークホールド回路253のリセットは、減衰振動波形の立ち上がりが基準電圧Vrefとクロスするタイミングで、制御部211の駆動制御部215がリセット信号を、スイッチング素子SW1へと出力することにより行われる。リセットタイミングは、ピークホールド回路253が、減衰振動波形の振幅値を認識できるタイミングであれば良く、リセットタイミングを、比較部等により検出することも可能である。なお、ピークホールド回路253の構成は、図18に示す構成に限定されるものではなく、少なくとも、残留振動波形の振幅値のピーク値を固定可能な回路で構成されていれば良い。
図19に、図18に示す回路を用いて、フィルタ処理が施され、増幅された波形(点線で示す)と、振幅値のピーク値で固定された波形(実線で示す)の一例を示す。
振幅値は、5箇所のピーク値で固定され、それぞれ、第1半波の振幅値を振幅値1、第2半波の振幅値を振幅値2、第3半波の振幅値を振幅値3、第4半波の振幅値を振幅値4、第5半波の振幅値を振幅値5とする。基準電圧Vrefより下側に見られる急峻な波形は、コンデンサC3を瞬時に放電したことによるアンダーシュートである。
減衰比ζは、振幅値1〜5の中で、少なくとも2つの振幅値を制御部211の演算部216により選択し、式(3)及び式(4)を用いて、算出することができる。図19では、上下振幅の上側の振幅値1から振幅値5までを検知した場合の波形を示しているため、4周期分を平均化した減衰比ζを算出することができるが、上下振幅の下側の振幅値を検知して、減衰比ζを算出することも可能である。減衰比ζの算出に、上下振幅の上側の振幅値を利用する場合、波形処理回路250には、増幅回路を適用すれば良く、減衰比ζの算出に、上下振幅の上側の振幅値を利用する場合、波形処理回路250には、反転増幅回路を適用すれば良い。
なお、制御部211の演算部216は、振幅値の選択を適切に行うことで、減衰比ζの算出精度を高めることが可能である。例えば、演算部216は、切替手段のバラつきの影響を受けやすい振幅値1を除いて、振幅値2、振幅値3、振幅値4、振幅値5の中から算出に用いる振幅値を選択しても良い。又、例えば、演算部216は、検知誤差が大きくなり易い最も小さな振幅値(例えば、振幅値5)を除いて、振幅値1、振幅値2、振幅値3、振幅値4の中から算出に用いる振幅値を選択しても良い。又、例えば、演算部216は、振幅値1及び振幅値5の両方を除いて、振幅値2、振幅値3、振幅値4の中から算出に用いる振幅値を選択しても良い。又、外乱影響やノイズが大きい半波を除いた周期分を平均化した減衰比ζを算出しても良い。
下記、インクジェット記録装置100における全体の制御方法について説明する。図20は、本発明の実施形態における画像形成装置の画像データのタイミング動作を説明するフローチャートである。
まず、補正率算出部2141において、予め記録しておいたノズル毎の残留振動予測データを読み込む(S1)。
そして、ページ間空吐出(S2)でノズルがリフレッシングされた後に残留振動検知を行う(S3)。
補正率算出部2141において、ノズル毎の特性判断で残留振動予測データの初期値(a、図15(A)参照)を求める(S4)。
吐出経過時間算出部2145は、元画像データ[7:0]を読み込み(S5)、ノズル毎に吐出から次の吐出までの吐出経過時間を算出する(S6)。
補正率算出部2141において。残留振動予測データに基づいて初期値からの経過時間により補正率算出をする(S7)。
補正部2142において、算出された補正率αと元画像[7:0]から、元画像[7:0]×αに補正を行う。
その後、階調処理部2143において、階調処理が行われデータKD'[1:0]を作成する(S8)した後、往路復路データ並び替え部2144においてデータSD'[1:0]と変換する(S9)。
このように補正されたデータSD'[1:0]に基づいて、記録ヘッド220の制御部226において、吐出タイミングが調整される(図17参照)。ならびに/あるいは、補正されたデータSD'[1:0]に基づいて、制御部211の駆動制御部215において駆動波形データを調整して、不吐出のノズルを補間するように、駆動波形生成部212で調整された駆動波形を生成する。
調整されたデータに基づいて、圧電素子35へ画像形成用の駆動波形が印加されて、印字が開始される(S10)。
印字終了判定(S11)により、2ページ目の印字となった場合も同様に繰り返す。
なお、図1で示した液滴吐出ヘッドがラインヘッド構成の場合は、往路復路データ並び替えのステップ(S9)は不要である。
本実施の形態に係る液滴吐出装置によれば、インク滴吐出後の、圧力室内のインクに発生する残留振動を利用することで、インク粘度を取得し、インク粘度に基づいて、画像データを補正する。これにより、液滴速度及び吐出量のばらつき、ノズル詰まり、等の発生を抑制し、高精度な補正を行うことができるため、インクジェット記録装置の画像品質を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
20 ノズル
27 圧力室
30 振動板
35 圧電素子
100 インクジェット記録装置
200 インクジェット記録ヘッドモジュール(液滴吐出装置)
211 制御部(取得部)
212 駆動波形生成部
214 画像処理部
215 駆動制御部
216 演算部(粘度取得手段)
240 残留振動検知部(粘度取得手段)
311 駆動用圧電素子
312 粘度計(粘度取得手段)
2141 補正率算出部
2145 吐出経過時間算出部(吐出間隔算出部)
特開2008−132658号公報

Claims (14)

  1. 複数のノズルと、該ノズルに連通してインクを収容する複数の圧力室と、を備え、画像データに基づいて、複数のノズルからインク滴を吐出させる液滴吐出ヘッドと、
    前記複数の圧力室内のインク粘度を取得する粘度取得手段と、
    前記取得したインク粘度に基づいて、前記画像データを補正する画像処理部と、を有する、
    インクジェット記録装置。
  2. 前記画像処理部は、ノズル毎に補正率を算出する補正率算出部、を備える、
    請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記画像処理部の前記補正率算出部は、前記インク粘度を基に吐出特性を判定し、不吐出ノズルを特定する、
    請求項2項に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記ノズルに対応したインク粘度予測データを記憶する記憶手段を有しており、
    前記補正率算出部は、前記取得したインク粘度を、前記記憶手段に記憶された前記インク粘度予測データと照らし合わせることで、吐出特性を判定し、不吐出ノズルを特定する、
    請求項3記載のインクジェット記録装置。
  5. 当該インクジェット記録装置は連続する記録媒体にインク滴を吐出することで画像を形成し、
    印刷された前記連続する記録媒体には、画像領域と非画像領域とが存在し
    前記ノズルが非画像領域に対向する期間に、前記粘度取得手段は、該ノズルに連通する前記圧力室内のインク粘度を取得し、
    前記補正率算出部は、前記非画像領域における前記インク粘度を基に、吐出特性を繰り返し判断する、
    請求項3又は4項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記憶手段は、前記画像データの前記補正率を、温度毎に、記憶する、
    請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記画像処理部は、前記画像データに基づいてノズル毎の吐出間隔を算出する吐出間隔算出部、をさらに備えており、
    前記画像処理部は、前記取得したインク粘度と画像データから算出したノズル毎の吐出間隔に基づいて、前記画像データを補正する、
    請求項1乃至5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 各圧力室にわたって配置された振動板と、
    前記振動板を介して前記複数の圧力室とそれぞれ対向するように配置された圧力発生素子と、
    前記圧力発生素子を駆動して前記圧力室を加圧して前記ノズルからインク滴を吐出させる、駆動波形を生成する、駆動波形生成部と、を有しており、
    前記粘度取得手段は、前記圧力発生素子の駆動後に前記圧力室内のインクの残留振動を検知する残留振動検知部、及び前記残留振動検知部によって検知された前記残留振動に基づいて、前記インク粘度を算出する演算部を備える、
    請求項1乃至6の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記演算部は、前記残留振動検知部によって検出された前記残留振動に基づいて、減衰比を算出し、該減衰比に基づいて前記インク粘度を取得する、
    請求項8項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記インク粘度を検知する粘度計を有しており、
    前記粘度取得手段は、前記粘度計の検知結果に基づいて、前記インク粘度を取得する、
    請求項1乃至7の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記複数のノズルを設けられた前記液滴吐出ヘッドは、ライン走査型のヘッド構成である、
    請求項1乃至10の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記複数のノズルが設けられた前記液滴吐出ヘッドは、シリアル走査型のヘッド構成である、
    請求項1乃至10の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
  13. 画像データに基づいて、複数のノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録装置の制御方法であって、
    インク粘度を取得するステップと、
    前記インク粘度に基づいて、前記画像データを補正するステップと、を有する、
    インクジェット記録装置の制御方法。
  14. 画像データに基づいて、複数のノズルからインク滴を吐出させる液滴吐出装置に実行させるプログラムであって、
    インク粘度を取得する処理と、
    前記インク粘度に基づいて、前記画像データを補正する処理と、を有する、
    プログラム。
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