JP2015044335A - 印刷装置、及び、印刷装置の制御方法 - Google Patents

印刷装置、及び、印刷装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷に要する時間を長期化させることなく吐出部における液体の吐出状態の検査を行う。【解決手段】記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置であって、M個の吐出部のうち少なくとも一部が記録媒体に液体を吐出可能な印刷動作期間において、M個の吐出部の中で印刷領域以外の領域に液体を吐出可能な吐出部のうちα個(αは、1≰α<Mを満たす整数)の吐出部について駆動信号に基づいて前記液体を吐出可能であるか否か判定する第1動作と、吐出部に液体を吐出させて印刷領域に画像を形成する第2動作と、M個の吐出部から第1動作における判定の対象となった吐出部を除いた吐出部の中で記録媒体の印刷領域以外の領域に液体を吐出可能な吐出部のうちβ個(βは、1≰β≰M−αを満たす整数)の吐出部について前記判定を行う第3動作と、吐出部に液体を吐出させて印刷領域に画像を形成する第4動作とを実行することを特徴とする印刷装置。【選択図】図25

Description

本発明は、印刷装置、及び、印刷装置の制御方法に関する。
長尺状のシート状台紙と、台紙上に配置されたラベルとを有するラベル用紙を所定の方向に搬送させつつ、ラベル用紙のラベル上に画像を形成する、インクジェット方式のプリンターが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2012−192599号公報
インクジェットプリンターは、内部にインクを充填した吐出部を駆動して、吐出部からインクを吐出させることによって印刷を行う。吐出部内のインクが増粘すると、吐出異常の原因となることがある。また、吐出部内のインクに気泡が含まれ、あるいは、吐出部のノズル近傍に紙粉が付着すると、吐出異常の原因となることがある。吐出異常となる場合、印刷される画像の画質が低下する。よって、吐出部におけるインクの吐出状態を検査することが好ましい。
インクの吐出状態を検査するためには、吐出部を駆動させてた場合に生じる吐出部内のインクの振動等の吐出部の動きを検出する必要がある。吐出部を駆動させる場合、インクを吐出させないように吐出部を駆動した場合であっても、吐出部からインクが吐出されてしまうことがある。そのため、吐出部からラベル用紙上にインクを吐出できない位置に吐出部を移動させたうえで、吐出部におけるインクの吐出状態を検査することが一般的である。
しかしながら、長尺状のラベル用紙に対する印刷にあっては、吐出部をラベル用紙にインクを吐出しない位置に移動させて吐出状態の検査を行う場合、ラベル用紙の搬送を停止して、印刷処理を中止する必要がある。この場合、印刷処理を再開させるにあたり、ラベル用紙の位置合わせ等を行うことが必要となり、印刷に要する時間が長期化してしまうという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、印刷に要する時間を長期化させることなく、吐出部における液体の吐出状態の検査を行うことを可能とする技術を提供することである。
以上の課題を解決するために、本発明に係る印刷装置は、記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置であって、駆動信号に基づいて駆動することで前記液体を吐出可能なM個(Mは、2以上の整数)の吐出部を具備するヘッド部と、前記液体を吐出しまたは非吐出とするように前記吐出部を駆動するための前記駆動信号を、印刷制御信号に基づいて生成する駆動信号生成部と、前記M個の吐出部のうち対象吐出部に対して前記駆動信号が供給された後に生じる、当該対象吐出部内の液体の振動を検出して検出信号を生成する検出部と、前記検出信号に基づいて前記対象吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、移動制御信号に基づいて前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を移動させる相対位置移動部と、前記印刷制御信号を前記駆動信号生成部に供給することで前記吐出部の駆動を制御し、前記移動制御信号を前記相対位置移動部に供給することで前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を制御するとともに、前記M個の吐出部の中から前記対象吐出部を選択する制御部と、を備え、前記制御部は、前記M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が前記記録媒体に対して液体を吐出可能となるように前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置が制御される印刷動作期間のうち、第1期間において、前記M個の吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、α個(αは、1≦α<Mを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、前記印刷動作期間のうち、前記第1期間の経過後に開始される第2期間において、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成し、前記印刷動作期間のうち、前記第2期間の経過後に開始される第3期間において、前記M個の吐出部から前記第1期間において前記対象吐出部として選択された前記α個の吐出部を除いた吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、β個(βは、1≦β≦M−αを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、前記印刷動作期間のうち、前記第3期間の経過後に開始される第4期間において、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する、ことを特徴とする。
この発明によれば、M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が記録媒体に対して液体を吐出可能な印刷動作期間において、対象吐出部における液体の吐出状態の判定を行う。このため、吐出部が記録媒体上に液体を吐出できないような位置にヘッド部を移動させたうえで当該判定を行う場合と比較して、液体の吐出状態の判定を行うことによる印刷速度の低下の程度を小さく抑えることができる。
また、この発明によれば、液体の吐出状態の判定を、印刷領域以外の領域に液体を吐出可能な吐出部、つまり、印刷領域には液体を吐出できない吐出部を対象として実行する。よって、当該判定が実行されるときに、判定の対象となる吐出部から印刷領域に液体が吐出されることを防止することができる。このため、液体の吐出状態の判定を実行することに起因して画質の低下が生じることを防止することができる。
また、本発明に係る印刷装置は、記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置であって、駆動信号に応じて変位する圧電素子と、内部に前記液体が充填され前記駆動信号に基づく前記圧電素子の変位により当該内部の圧力が増減される圧力室と、前記圧力室に通連し前記圧力室の内部の圧力の増減により前記圧力室の内部に充填された前記液体を吐出するノズルと、を有する吐出部をM個(Mは、2以上の自然数)具備するヘッド部と、印刷制御信号に基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記M個の吐出部のうち対象吐出部に対して前記駆動信号が供給された後に生じる、当該対象吐出部の圧力室内部の圧力の変化に基づく、当該対象吐出部が有する圧電素子の起電力の変化を検出して検出信号を生成する検出部と、前記検出信号に基づいて前記対象吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、移動制御信号に基づいて前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を移動させる相対位置移動部と、前記印刷制御信号を前記駆動信号生成部に供給することで前記吐出部の駆動を制御し、前記移動制御信号を前記相対位置移動部に供給することで前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を制御するとともに、前記M個の吐出部の中から前記対象吐出部を選択する制御部と、を備え、前記制御部は、前記M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が前記記録媒体に対して液体を吐出可能となるように前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置が制御される印刷動作期間のうち、第1期間において、前記M個の吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、α個(αは、1≦α<Mを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、前記印刷動作期間のうち、前記第1期間の経過後に開始される第2期間において、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成し、前記印刷動作期間のうち、前記第2期間の経過後に開始される第3期間において、前記M個の吐出部から前記第1期間において前記対象吐出部として選択された前記α個の吐出部を除いた吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、β個(βは、1≦β≦M−αを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、
前記印刷動作期間のうち、前記第3期間の経過後に開始される第4期間において、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する、ことを特徴とする。
また、上述した印刷装置において、前記制御部は、第1印刷速度で印刷を行う第1印刷モード、及び、前記第1印刷速度よりも速い第2印刷速度で印刷を行う第2印刷モードを、実行可能であり、前記第1印刷モードにより印刷が実行される場合の、前記第1期間において前記制御部が選択する対象吐出部の個数は、前記第2印刷モードにより印刷が実行される場合の、前記第1期間において前記制御部が選択する対象吐出部の個数よりも多い、ことを特徴とすることが好ましい。
第1印刷モードよりも高速な第2印刷モードにより印刷を実行する場合、記録媒体に対するヘッド部の相対位置に係る移動速度も速くなることがある。よって、第2印刷モードが実行される場合における第1期間の時間長は、第1印刷モードが実行される場合における第1期間の時間長よりも、短くなることがある。
この態様によれば、第2印刷モードが実行される場合に第1期間において選択される対象吐出部の個数を、第1印刷モードが実行される場合に第1期間において選択される対象吐出部の個数よりも少なくする。この結果、第2印刷モードが実行されることで印刷速度が速くなり、結果として第1期間の時間長が短くなる場合であっても、1つの対象吐出部に対して駆動信号を供給する時間、または、当該1つの対象吐出部における動作を検出するための時間等が、短くなることを防止することができる。その結果、第2印刷モードにより印刷を実行する場合であっても、第1印刷モードの場合と比較して、吐出部における液体の吐出状態の検出の正確さの程度が低下することを抑止することができる。
また、上述した印刷装置において、前記制御部は、前記第2期間において、前記第1期間における前記制御部が選択した前記α個の対象吐出部のうち、前記判定部が、前記駆動信号に基づいて液体を吐出できない状態にあると判定した対象吐出部からは、前記液体を非吐出として、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する、ことを特徴とすることが好ましい。
この態様によれば、液体の吐出状態が以上であると判定された吐出部を印刷に使用しないため、吐出部において吐出異常が生じた場合であっても画質の低下の程度を小さく留めることができる。
また、上述した印刷装置において、前記印刷動作期間において、前記制御部が選択する前記対象吐出部は、前記M個の吐出部の一部または全部の吐出部である、ことを特徴とすることが好ましい。
この態様において、例えば、第2期間または第4期間において画像の形成に寄与する吐出部のみを、液体の吐出状態の判定の対象としてもよい。この場合、画像の形成に直接関係する吐出部のみについて液体の吐出状態を判定することができる。
また、上述した印刷装置はラインプリンタである、ことを特徴とすることが好ましい。
また、本発明に係る印刷装置の制御方法は、駆動信号に基づいて液体を吐出可能なM個(Mは、2以上の整数)の吐出部を具備し、記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置の制御方法であって、前記M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が前記記録媒体に対して液体を吐出可能な印刷動作期間において、前記M個の吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、α個(αは、1≦α<Mを満たす整数)の吐出部について、前記前記駆動信号に基づいて前記液体を吐出可能であるか否か判定する第1動作を実行し、前記第1動作の終了後、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部に前記液体を吐出させて、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する第2動作を実行し、前記第2動作の終了後、前記M個の吐出部から前記第1動作における判定の対象となったα個の吐出部を除いた吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、β個(βは、1≦β≦M−αを満たす整数)の吐出部について前記判定を行う第3動作を実行し、前記第3動作の終了後、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部に前記液体を吐出させて、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する第4動作を実行する、ことを特徴とする。
本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成を示すブロック図である。 インクジェットプリンター1の概略的な構成を示す図である。 ラベル用紙Pの形状を説明するための説明図である。 第1実施形態に係るヘッド部30の概略的な断面図である。 ヘッド部30の構成を示す分解斜視図である。 駆動信号Vinの供給時におけるヘッド部30の断面形状の変化を説明するための説明図である。 吐出部35における残留振動を表す単振動のモデルを示す回路図である。 吐出部35における吐出状態が正常である場合の残留振動の実験値と計算値との関係を示すグラフである。 キャビティ141内部に気泡が混入した場合の吐出部35の状態を示す説明図である。 キャビティ141内部への気泡混入によりインクを吐出できなくなった状態における残留振動の実験値と計算値とを示すグラフである。 ノズル付近のインクが固着した場合の吐出部35の状態を示す説明図である。 ノズル付近のインクの固着によりインクを吐出できなくなった状態における残留振動の実験値と計算値とを示すグラフである。 ノズルの出口付近に紙粉が付着した場合の吐出部35の状態を示す説明図である。 ノズルの出口付近への紙粉の付着によりインクを吐出できなくなった状態における残留振動の実験値と計算値とを示すグラフである。 駆動信号生成部51の構成を示すブロック図である。 デコーダーDCのデコード内容を示す説明図である。 単位印刷動作期間Tpにおける駆動信号生成部51の動作を示すタイミングチャートである。 単位印刷動作期間Tpにおける駆動信号Vinの波形を表すタイミングチャートである。 単位検出動作期間Ttにおける駆動信号生成部51の動作を示すタイミングチャートである。 単位検出動作期間Ttにおける駆動信号Vinの波形を表すタイミングチャートである。 切替部53の構成を示すブロック図である。 吐出異常検出回路DTの構成を示すブロック図である。 吐出異常検出回路DTの動作を示すタイミングチャートである。 判定部56における判定結果信号Rsの生成を説明する説明図である。 インクジェットプリンター1の動作を示すタイミングチャートである。 対比例に係るインクジェットプリンターの動作を示すタイミングチャートである。 ラベル上位置Xpと単位動作期間Tuとの関係を説明する説明図である。 印刷処理及び吐出異常検出処理を説明するための説明図である。 印刷処理及び吐出異常検出処理を説明するための説明図である。 印刷処理及び吐出異常検出処理を説明するための説明図である。 第2実施形態に係るインクジェットプリンターの印刷処理及び吐出異常検出処理を説明するための説明図である。 変形例1に係るインクジェットプリンターの動作を示すタイミングチャートである。 変形例3に係るインクジェットプリンターの印刷処理及び吐出異常検出処理を説明するための説明図である。 変形例4に係るインクジェットプリンターの印刷処理及び吐出異常検出処理を説明するための説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<A.第1実施形態>
本実施形態では、印刷装置として、インク(「液体」の一例)を吐出してラベル用紙P(「記録媒体」の一例)のラベルLbが配置された領域に画像を形成するインクジェット式のラインプリンターを例示して説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成を示す機能ブロック図である。この図に示すように、インクジェットプリンター1は、内部に充填されたインクを吐出可能な吐出部35をM個(Mは、2以上の自然数)具備するヘッド部30と、ヘッド部30を駆動するヘッドドライバー50と、ラベル用紙Pに対するヘッド部30の相対位置を移動させるための給紙位置移動部4(「相対位置移動部」の一例)と、吐出部35において吐出異常が検出された場合に当該吐出部35の吐出状態を正常に回復させるための回復処理を実行する回復機構70と、を備える。
また、インクジェットプリンター1は、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等のホストコンピューター9から供給された画像データImgに基づいて、給紙位置移動部4、ヘッドドライバー50、及び、回復機構70の動作を制御することで、ラベル用紙Pに画像を形成する印刷処理、吐出部35の吐出異常を検出する吐出異常検出処理、及び、吐出部35の吐出状態を正常に回復させる回復処理等の各種処理の実行を制御する制御部6と、を備える。
制御部6は、CPU61と、記憶部62とを備える。
記憶部62は、ホストコンピューター9から図示省略したインターフェース部を介して供給される画像データImgをデータ格納領域に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を備える。また、記憶部62は、ラベル用紙Pの形状についての情報等の印刷処理を実行する際に必要なデータと、吐出異常検出処理により得られた結果を表す吐出異常検出結果データとを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理を実行するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)を備える。また、記憶部62は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMを備える。
CPU61は、印刷処理、吐出異常検出処理、回復処理等の各種処理の実行を制御する。より具体的には、CPU61は、ホストコンピューター9から供給される画像データImgを、記憶部62に格納する。また、CPU61は、画像データImg等の記憶部62に格納されている各種データ等に基づいて、給紙位置移動部4の駆動を制御するためのドライバー制御信号Ctr1及びCtr2と、ヘッドドライバー50の駆動を制御するための印刷信号SI、切替制御信号Sw、及び、駆動波形信号Com等の各種信号と、回復機構70の駆動を制御するための各種制御信号とを生成し、これらの信号をインクジェットプリンター1の各部に供給する。これにより、CPU61は、給紙位置移動部4、ヘッドドライバー50、及び、回復機構70の動作を制御し、印刷処理、吐出異常検出処理、及び、回復処理等の各種処理の実行を制御する。なお、制御部6の各構成要素は、図示省略したバスを介して電気的に接続されている。
ヘッドドライバー50は、駆動信号生成部51、吐出異常検出部52、及び、切替部53を備える。
駆動信号生成部51は、制御部6から供給される印刷信号SI、及び、駆動波形信号Comに基づいて、ヘッド部30が備える吐出部35を駆動するための駆動信号Vinを生成する。なお、詳細は後述するが、本実施形態において駆動波形信号Comは、駆動波形信号Com-A及び駆動波形信号Com-Bの2つの信号を含む。
また、印刷信号SI及び駆動波形信号Comを、「印刷制御信号」と総称する。つまり、駆動信号生成部51は、印刷制御信号に基づいて駆動信号Vinを生成する。
吐出異常検出部52は、吐出部35が駆動信号Vinにより駆動された後に生じる、吐出部35の内部のインクの振動等に起因する吐出部35内部の圧力の変化を残留振動信号Voutとして検出するとともに、残留振動信号Voutに基づいて、当該吐出部35に吐出異常があるか否か及び当該吐出部35におけるインクの吐出状態を判定し、判定結果を判定結果信号Rsとして出力する。
切替部53は、制御部6から供給される切替制御信号Swに基づいて、各吐出部35を、駆動信号生成部51または吐出異常検出部52のいずれか一方に接続させる。
給紙位置移動部4は、ヘッド部30を移動させるための(より正確には、ヘッド部30を搭載するキャリッジ32を移動させるための)キャリッジモーター41と、キャリッジモーター41を駆動するためのキャリッジモータードライバー401と、ラベル用紙Pを搬送するための給紙モーター42と、給紙モーター42を駆動するための給紙モータードライバー402と、を備える。なお、キャリッジモータードライバー401及び給紙モータードライバー402を、モータドライバー40と総称することがある。
図2は、インクジェットプリンター1の構成を示す概略図である。この図に示すように、インクジェットプリンター1は、ラベル用紙Pがロール状に巻き取られた構成のロール紙を収納するためのロール紙収納部43を備えており、このロール紙収納部43に収納からラベル用紙Pが繰り出される。そして、ラベル用紙Pは、給紙モーター42により回転駆動される駆動側紙送りローラー対443により、ガイドローラー441、従動側紙送りローラー対442、駆動側紙送りローラー対443、プラテン444などによって規定される搬送経路44に沿ってX軸方向に搬送され、用紙排出口46から搬出される。
なお、ラベル用紙Pは、長尺状のシート状の台紙PRと、台紙PRの表面に配置された複数のラベルLbと、からなる。
ヘッド部30を搭載するキャリッジ32は、ラベル用紙Pの搬送経路44を挟みプラテン444の反対側、つまり、プラテン444から見て(+Z)方向に配置されている。キャリッジ32は、X軸方向に延在する例えばボールネジ・ボールスプライン等からなるキャリッジガイド軸321と、キャリッジモーター41と、を含むヘッド部移動機構により、X軸方向に沿って所定の範囲内を直線往復移動することが可能である。
制御部6は、ヘッド部30を印刷位置(X=X0)に移動させた状態において、ラベル用紙PをX軸方向に搬送しつつ、同時にヘッド部30が備える複数の吐出部35からラベル用紙PのラベルLbが配置された領域に画像データImgに基づいてインクを吐出させることで、印刷処理を実行する。
また、制御部6は、吐出部35の吐出異常が発見された場合において、ヘッド部30を、回復機構70に対向する初期位置(X=Xini)に移動させて、回復処理を実行する。
また、図2においては図示省略するが、インクジェットプリンター1は、インクを充填した4個のインクカートリッジ31を備える。具体的には、4個のインクカートリッジ31は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のインクに1対1に対応して設けられ、キャリッジ32に搭載されている。
M個の吐出部35の各々は、4個のインクカートリッジ31のいずれか1つからインクの供給を受ける。これにより、各吐出部35からは、4色のうち何れか1色のインクを吐出することができ、フルカラー印刷が可能となる。
なお、インクカートリッジ31は、キャリッジ32に搭載される代わりに、インクジェットプリンター1の別な場所に設置されるものであってもよい。また、インクジェットプリンター1は、上記4色とは異なる色のインクを充填したインクカートリッジ31を更に備えるものでもよいし、前記4色のうちの一部の色に対応するインクカートリッジ31のみを備える(例えば、ブラックに対応するインクカートリッジ31のみを備える)ものでもよい。
図3は、インクジェットプリンター1を平面視したとき(つまり、+Z方向からインクジェットプリンター1を見たとき)の、ラベル用紙PにおけるラベルLbの配置位置、及び、ラベル用紙Pとヘッド部30との位置関係を、例示的に示す説明図である。
ラベル用紙P上には、複数のラベルLbが配置されている。この図では、横方向(Y軸方向)に2列のラベルLbが間隔Δyを有するように配置され、また、縦方向(X軸方向)に複数のラベルLbがそれぞれ間隔Δxを有するように配置されたラベル用紙Pを例示している。
以下では、ラベル用紙Pのうち、平面視してラベルLbが配置される領域を、印刷領域Apと称する。また、ラベル用紙Pのうち、平面視してラベルLbが配置されていない領域(つまり、印刷処理により画像が形成されない領域)を印刷外領域Axと称する。また、印刷外領域Axのうち、横方向に延在する領域を、印刷外領域AxHと称し、印刷外領域Axから印刷外領域AxHを除いた領域(つまり、印刷外領域Axのうち縦方向に延在する領域)を印刷外領域AxVと称する。
なお、図3に示すラベル用紙Pは、インクジェットプリンター1が画像を印刷可能な記録媒体の一例に過ぎない。インクジェットプリンター1により画像を印刷可能な記録媒体は、この図に例示するラベル用紙Pに限られず、ロール紙収納部43に格納可能なものであれば、どのような記録媒体であってもよい。
また、図3に示すように、ヘッド部30は、平面視したときに、ラベル用紙PのY軸方向の幅以上の幅を有する、上述のとおり、ヘッド部30は、M個の吐出部35を具備し、これらM個の吐出部35は、それぞれ1個のノズルNを具備する。すなわち、ヘッド部30には、M個のノズルN(N[1]、N[2]、…、N[M])が設けられている。
この図に例示するヘッド部30は、横方向(Y軸方向)に延在する複数個のノズルN(この図では22個のノズルN)からなるノズル列を4列有する。そして、4列のノズル列のうち、第1列のノズル列に含まれる各ノズルNからはイエロー(Y)のインクが吐出され、第2列のノズル列に含まれる各ノズルNからはマゼンダ(M)のインクが吐出され、第3列のノズル列に含まれる各ノズルNからはシアン(C)のインクが吐出され、第4列のノズル列に含まれる各ノズルNからはブラック(K)のインクが吐出される。
また、ラベル用紙Pは、図3において上方向(+X方向)に所定の速度Mvで搬送される。そして、ヘッド部30が、ラベル用紙Pの印刷外領域Ax(ラベルLb)に対向する位置に移動したタイミングにおいて、各列のノズルNから各色のインクを吐出することで、ラベルLb上にフルカラーの画像を形成することができる。
次に、図4及び図5を参照しつつ、ヘッド部30、及び、ヘッド部30が備える吐出部35の構成について説明する。
図4は、ヘッド部30が備える各吐出部35の概略的な断面図である。図4に示す吐出部35は、圧電素子120の駆動によりキャビティ141(「圧力室」の一例)内のインク(「液体」の一例)がノズルNから吐出するものである。この吐出部35は、ノズルNが形成されたノズルプレート150と、キャビティプレート242と、振動板121と、複数の圧電素子120を積層してなる積層圧電素子201とを備えている。
キャビティプレート242は、所定の形状(凹部が形成されるような形状)に成形され、これにより、キャビティ141およびリザーバ143が形成される。キャビティ141とリザーバ143とは、インク供給口142を介して連通している。また、リザーバ143は、インク供給チューブ311を介してインクカートリッジと連通している。
図4において積層圧電素子201の下端は、中間層244を介して振動板121と接合されている。積層圧電素子201には、複数の外部電極248および内部電極249が接合されている。即ち、積層圧電素子201の外表面には、外部電極248が接合され、積層圧電素子201を構成する各圧電素子120同士の間(または各圧電素子の内部)には、内部電極249が設置されている。この場合、外部電極248と内部電極249の一部が、交互に、圧電素子120の厚さ方向に重なるように配置される。
そして、外部電極248と内部電極249との間に、ヘッドドライバー50より駆動信号Vinを供給することにより、積層圧電素子201が図3の矢印で示すように変形して(図3において上下方向に伸縮して)振動し、この振動により振動板121が振動する。この振動板121の振動によりキャビティ141の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ141内に充填されたインク(液体)がノズルNより液体として吐出する。
インクの吐出によりキャビティ141内のインクが減少した場合、リザーバ143からインクが供給される。また、リザーバ143へは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311を介してインクが供給される。
なお、図4に示すノズルプレート150に形成されたノズルNの配列パターンは、例えば、図3に示すノズル配置パターンのように、段をずらして配置される。また、このノズルN間のピッチは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得るものである。
次に、吐出部の他の例について説明する。図5に示す吐出部35Aは、圧電素子120Aの駆動により振動板121Aが振動し、キャビティ141A内のインク(液体)がノズルNから吐出するものである。ノズルNが形成されたステンレス鋼製のノズルプレート150Aには、ステンレス鋼製の金属プレート254が接着フィルム255を介して接合されており、さらにその上に同様のステンレス鋼製の金属プレート254が接着フィルム255を介して接合されている。そして、その上には、連通口形成プレート256およびキャビティプレート257が順次接合されている。
ノズルプレート150A、金属プレート254、接着フィルム255、連通口形成プレート256、及び、キャビティプレート257は、それぞれ所定の形状(凹部が形成されるような形状)に成形され、これらを重ねることにより、キャビティ141Aおよびリザーバ143Aが形成される。キャビティ141Aとリザーバ143Aとは、インク供給口142Aを介して連通している。また、リザーバ143Aは、インク取り入れ口137に連通している。
キャビティプレート257の上面開口部には、振動板121Aが設置され、この振動板121Aには、下部電極263を介して圧電素子120Aが接合されている。また、圧電素子120Aの下部電極263と反対側には、上部電極264が接合されている。
ヘッドドライバー50は、上部電極264と下部電極263との間に駆動信号Vinを供給することにより、圧電素子120Aが振動し、それに接合された振動板121Aが振動する。この振動板121Aの振動によりキャビティ141Aの容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ141A内に充填されたインク(液体)がノズルNより吐出される。
インクが吐出されてキャビティ141A内のインク量が減少した場合、リザーバ143Aからインクが供給される。また、リザーバ143Aへは、インク取り入れ口137からインクが供給される。
次に、インクの吐出について、図6を参照しながら説明する。
ヘッドドライバー50から図4(図5)に示す圧電素子120(120A)に駆動信号Vinが供給されると、電極間にクーロン力が発生し、振動板121(121A)は、図6(a)に示す初期状態に対して、図4(図5)中の上方向へ撓み、図6(b)に示すようにキャビティ141(141A)の容積が拡大する。この状態において、ヘッドドライバー50により、駆動信号Vinの示す電圧を変化させると、振動板121(121A)は、その弾性復元力によって復元し、初期状態における振動板121(121A)の位置を越えて下方向に移動し、図6(c)に示すようにキャビティ141(141A)の容積が急激に収縮する。このときキャビティ141(141A)内に発生する圧縮圧力により、キャビティ141(141A)を満たすインクの一部が、このキャビティ141(141A)に連通しているノズルNからインク滴として吐出される。
各キャビティ141(141A)の振動板121(121A)は、この一連のインク吐出動作が終了した後、次のインク吐出動作を開始するまでの間、減衰振動をしている。以下、この減衰振動を残留振動とも称する。
振動板121(121A)の残留振動は、ノズルNやインク供給口142(142A)の形状、あるいはインク粘度等による音響抵抗rと、流路内のインク重量によるイナータンスmと、振動板121(121A)のコンプライアンスCmと、によって決定される固有振動周波数を有するものと想定される。
上記想定に基づく振動板121の残留振動の計算モデルについて説明する。
図7は、振動板121の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。このように、振動板121の残留振動の計算モデルは、音圧pと、上述のイナータンスm、コンプライアンスCm及び音響抵抗rとで表せる。そして、図7の回路に音圧pを与えた時のステップ応答を体積速度uについて計算すると、次式が得られる。
u={p/(ω・m)}e−γt・sin(ωt)
ω={1/(m・Cm)−γ}1/2
γ=r/(2m)
この式から得られた計算結果と、別途行ったインク滴の吐出後の振動板121の残留振動の実験における実験結果とを比較する。図8は、振動板121の残留振動の実験値と計算値との関係を示すグラフである。この図8に示すグラフからも分かるように、実験値と計算値の2つの波形は、概ね一致している。
さて、吐出部35において、前述したような吐出動作を行ったにもかかわらずノズルNからインク滴が正常に吐出されない現象、即ち液滴の吐出異常が発生する場合がある。この吐出異常が発生する原因としては、(1)キャビティ141内への気泡の混入、(2)ノズルN付近でのインクの乾燥・増粘(固着)、(3)ノズルNの出口付近への紙粉付着、等が挙げられる。
この吐出異常が発生すると、その結果としては、典型的にはノズルNから液滴が吐出されないこと、即ち液滴の不吐出現象が現れ、その場合、ラベル用紙Pに印刷した画像における画素のドット抜けを生じる。また、吐出異常の場合には、ノズルNから液滴が吐出されたとしても、液滴の量が過少であったり、その液滴の飛行方向(弾道)がずれたりして適正に着弾しないので、やはり画素のドット抜けとなって現れる。このようなことから、以下の説明では、液滴の吐出異常のことを単に「ドット抜け」と言う場合もある。
以下においては、図8に示す比較結果に基づいて、吐出部35に発生する印刷処理時のドット抜け(吐出異常)現象(液滴不吐出現象)の原因別に、振動板121の残留振動の計算値と実験値がマッチ(概ね一致)するように、音響抵抗r及びイナータンスmのうち少なくとも一方の値を調整する。
まず、ドット抜けの1つの原因である、(1)キャビティ141内への気泡の混入について検討する。図9は、キャビティ141内に気泡が混入した場合のノズルN付近の概念図である。図9に示すように、発生した気泡は、キャビティ141の壁面に発生付着しているものと想定される。
このように、キャビティ141内に気泡が混入した場合には、キャビティ141内を満たすインクの総重量が減り、イナータンスmが低下するものと考えられる。また、図9に例示するように、気泡がノズルN付近に付着している場合には、その径の大きさだけノズルNの径が大きくなったような状態となり、音響抵抗rが低下するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗r、イナータンスmを共に小さく設定して、気泡混入時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図10のような結果(グラフ)が得られた。図8及び図10のグラフから分かるように、キャビティ141内に気泡が混入した場合には、正常吐出時に比べて周波数が高くなる特徴的な残留振動波形が得られる。なお、音響抵抗rの低下などにより、残留振動の振幅の減衰率も小さくなり、残留振動は、その振幅をゆっくりと下げていることも確認することができる。
次に、ドット抜けのもう1つの原因である、(2)ノズルN付近でのインクの乾燥(固着、増粘)について検討する。図11は、図4のノズルN付近のインクが乾燥により固着した場合のノズルN付近の概念図である。この図11に示すように、ノズルN付近のインクが乾燥して固着した場合、キャビティ141内のインクは、キャビティ141内に閉じこめられたような状況となる。このように、ノズルN付近のインクが乾燥、増粘した場合には、音響抵抗rが増加するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗rを大きく設定して、ノズルN付近のインク乾燥固着(増粘)時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図12のような結果(グラフ)が得られた。なお、図12に示す実験値は、数日間図示しないキャップを装着しない状態で吐出部35を放置し、ノズルN付近のインクが乾燥、増粘したことによりインクを吐出することができなくなった(インクが固着した)状態における振動板121の残留振動を測定したものである。図8及び図12のグラフから分かるように、ノズルN付近のインクが乾燥により固着した場合には、正常吐出時に比べて周波数が極めて低くなるとともに、残留振動が過減衰となる特徴的な残留振動波形が得られる。これは、インク滴を吐出するために振動板121が図4中下方に引き寄せられることによって、キャビティ141内にリザーバ143からインクが流入した後に、振動板121が図4中上方に移動するときに、キャビティ141内のインクの逃げ道がないために、振動板121が急激に振動できなくなるため(過減衰となるため)である。
次に、ドット抜けのさらにもう1つの原因である、(3)ノズルN出口付近への紙粉付着について検討する。図13は、図4のノズルN出口付近に紙粉が付着した場合のノズルN付近の概念図である。この図13に示すように、ノズルNの出口付近に紙粉が付着した場合、キャビティ141内から紙粉を介してインクが染み出してしまうとともに、ノズルNからインクを吐出することができなくなる。このように、ノズルNの出口付近に紙粉が付着し、ノズルNからインクが染み出している場合には、振動板121から見てキャビティ141内及び染み出し分のインクが正常時よりも増えることにより、イナータンスmが増加するものと考えられる。また、ノズルNの出口付近に付着した紙粉の繊維によって音響抵抗rが増大するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、イナータンスm、音響抵抗rを共に大きく設定して、ノズルNの出口付近への紙粉付着時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図14のような結果(グラフ)が得られた。図8及び図14のグラフから分かるように、ノズルNの出口付近に紙粉が付着した場合には、正常吐出時に比べて周波数が低くなる特徴的な残留振動波形が得られる。
なお、図12及び図14に示すグラフから、紙粉付着の場合は、インクの乾燥の場合と比較して、残留振動の周波数が高いことが分かる。
ここで、ノズルN付近のインクが乾燥して増粘した場合と、ノズルNの出口付近に紙粉が付着した場合とでは、いずれも正常にインク滴が吐出された場合に比べて減衰振動の周波数が低くなっている。これら2つのドット抜け(インク不吐出:吐出異常)の原因を振動板121の残留振動の波形から特定するために、例えば、減衰振動の周波数や周期、位相において所定のしきい値を持って比較するか、あるいは、残留振動(減衰振動)の周期変化や振幅変化の減衰率から特定することができる。このようにして、各吐出部35におけるノズルNからのインク滴が吐出されたときの振動板121の残留振動の変化、特に、その周波数の変化によって、各吐出部35の吐出異常を検出することができる。また、その場合の残留振動の周波数を正常吐出時の残留振動の周波数と比較することにより、吐出異常の原因を特定することもできる。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、残留振動を解析して吐出異常を検知するものである。
次に、図15乃至図24を参照しつつヘッドドライバー50(駆動信号生成部51、吐出異常検出部52、及び、切替部53)の構成及び動作について説明する。
図15は、ヘッドドライバー50のうち駆動信号生成部51の構成を示すブロック図である。図15に示すように、駆動信号生成部51は、シフトレジスタSR、ラッチ回路LT、デコーダーDC、並びに、トランスミッションゲートTGa及びTGbからなる組を、M個の吐出部35に1対1に対応するようにM個有する。以下では、これらM個の組を構成する各要素を、図において上から順番に、1段、2段、…、M段と称することがある(図15においては、図示の都合上、シフトレジスタSRについてのみ段数を表示している)。
なお、詳細は後述するが、本実施形態では、M個の吐出部35は、K個の吐出部35を1つの群として、Q個の群に区分される(但し、K及びQは、M=K×Qを充足する2以上の自然数)。すなわち、1段〜K段を第1群、(K+1)段〜(2K)段を第2群、…、(M−K+1)段〜M段を第Q群と称する。また、駆動信号生成部51の各構成要素についても同様に、1段〜K段を第1群、(K+1)段〜(2K)段を第2群、…、(M−K+1)段〜M段を第Q群、と称することがある。
詳細は後述するが、吐出異常検出部52は、Q個の群に1対1に対応するようにQ個の吐出異常検出回路DT(DT[1]、DT[2]、…、DT[Q])を具備する。
駆動信号生成部51には、制御部6から、クロック信号CL、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動波形信号Com(Com-A、Com-B)が供給される。
ここで、印刷信号SIとは、画像の1ドットを形成するにあたって、各吐出部35(各ノズルN)から吐出させるインク量を規定するデジタルの信号である。
より詳細には、本実施形態に係る印刷信号SIは、各吐出部35(各ノズルN)から吐出させるインク量を、上位ビットMSBおよび下位ビットLSBの2ビットで規定するものであり、制御部6からクロック信号CLに同期して駆動信号生成部51にシリアルで供給される。この印刷信号SIにより、各吐出部35から吐出されるインク量を制御することで、ラベル用紙Pの各ドットにおいて、非記録、小ドット、中ドットおよび大ドットの4階調を表現することが可能となる。
シフトレジスタSRのそれぞれは、シリアルで供給された印刷信号SIを、各吐出部35に対応する2ビット毎に、一旦保持する。詳細には、M個の吐出部35に1対1に対応する、1段、2段、…、M段のM個のシフトレジスタSRが互いに縦続接続されるとともに、シリアルで供給された印刷信号SIが、クロック信号CLにしたがって順次後段に転送される。そして、M個のシフトレジスタSRの全てに印刷信号SIが転送された時点で、クロック信号CLの供給が停止し、M個のシフトレジスタSRのそれぞれが印刷信号SIのうち自身に対応する2ビット分のデータを保持した状態を維持する。
M個のラッチ回路LTのそれぞれは、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングで、M個のシフトレジスタSRのそれぞれに保持された、各段に対応する2ビット分の印刷信号SIを一斉にラッチする。図15において、SI[1]、SI[2]、…、SI[M]のそれぞれは、1段、2段、…、M段のシフトレジスタSRに対応するラッチ回路LTによってそれぞれラッチされた、2ビット分の印刷信号SIを示している。
ところで、インクジェットプリンター1がラベル用紙Pに画像を形成して印刷を行う期間である印刷動作期間は、複数の単位動作期間Tuからなる。
そして、制御部6は、単位動作期間Tuを、印刷処理を行うための単位印刷動作期間Tp、または、吐出異常検出処理を行うための単位検出動作期間Ttのいずれか一方に割り当てる。このため、印刷動作期間は、複数の単位印刷動作期間Tpと、複数の単位検出動作期間Ttとを含むことになる。すなわち、印刷動作期間に含まれる各単位動作期間Tuにおいて、印刷処理または吐出異常検出処理のいずれか一方が実行される。なお、以下では、単位印刷動作期間Tp及び単位検出動作期間Ttを、単に単位動作期間Tuと総称する場合がある。また、本実施形態において、単位動作期間Tuは、所定の時間長を有するものとする。
以下、単位印刷動作期間Tp、及び、単位検出動作期間Ttについて、詳述する。
単位印刷動作期間Tpとは、インクジェットプリンター1が印刷処理を行うために、M個の吐出部35のそれぞれが、ラッチ回路LTによってラッチされた2ビット分の印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[M]のそれぞれにより規定された動作(つまり、吐出または非吐出の動作)をして、ラベル用紙Pの印刷領域Apに、非記録、小ドット、中ドット、または、大ドットの4階調で表現されうるM個のドットを形成するための期間である。
各単位印刷動作期間Tpは、制御期間Tcp1とこれに後続する制御期間Tcp2とからなる。本実施形態では、制御期間Tcp1及びTcp2は、互いに等しい時間長を有する。
他方、単位検出動作期間Ttとは、インクジェットプリンター1が吐出異常検出処理を行うために、吐出部35が、ラッチ回路LTによってラッチされた2ビット分の印刷信号SI[m]により規定された動作を行う期間である。各単位検出動作期間Ttは、制御期間Tct1とこれに後続する制御期間Tct2とからなる。
本実施形態では、単位検出動作期間Ttは、単位印刷動作期間Tpと等しい時間長を有し、また、制御期間Tct1及びTct2は、制御期間Tcp1及びTcp2と等しい時間長を有する。
なお、以下では、制御期間Tcp1及び制御期間Tct1を制御期間Tc1と総称し、制御期間Tcp2及び制御期間Tct2を制御期間Tc2と総称することがある。
制御部6は、駆動信号生成部51に対して、単位動作期間Tu(TpまたはTt)毎に印刷信号SIを供給し、また、ラッチ回路LTは、単位動作期間Tu(TpまたはTt)毎に印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[M]をラッチする。
デコーダーDCは、ラッチ回路LTによってラッチされた2ビット分の印刷信号SIをデコードし、制御期間Tc1及びTc2のそれぞれにおいて、選択信号Sa及びSbを出力する。
図16は、デコーダーDCが行うデコードの内容を示す説明図(テーブル)である。この図に示すように、m段(mは、1≦m≦Mを満たす自然数)に対応する印刷信号SI[m]の示す内容が、例えば(MSB、LSB)=(1、0)である場合、m段のデコーダーDCは、制御期間Tc1(Tcp1またはTct1)において、選択信号SaをハイレベルHに設定するとともに、選択信号SbをローレベルLに設定し、また、制御期間Tc2(Tcp2またはTct2)において、選択信号SaをローレベルLに設定するとともに、選択信号SbをハイレベルHに設定する。
なお、単位検出動作期間Ttにおいては、印刷信号SI[m]の示す内容は、(MSB、LSB)=(1、1)または(0、0)の2種類に限られるが、ここでは、デコーダーDCの動作の理解を容易にするために(MSB、LSB)=(1、0)の場合を例示している。なお、単位検出動作期間Ttにおける印刷信号SI[m]の内容については後述する。
説明を図15に戻す。
図15に示すように、駆動信号生成部51は、M個の吐出部35に1対1に対応するように、M個のトランスミッションゲートTGa及びTGbの組を備える。
トランスミッションゲートTGaは、選択信号SaがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。トランスミッションゲートTGbは、選択信号SbがHレベルのときにオンし、Lレベルのときにオフする。
例えば、m段において、印刷信号SI[m]の示す内容が、(MSB、LSB)=(1、0)である場合には、制御期間Tc1(Tcp1またはTct1)においてトランスミッションゲートTGaがオンするとともにトランスミッションゲートTGbがオフし、また、制御期間Tc2(Tcp2またはTct2)においてトランスミッションゲートTGaがオフするとともにトランスミッションゲートTGbがオンする。
トランスミッションゲートTGaの一端には駆動波形信号Com-Aが供給され、トランスミッションゲートTGbの一端には駆動波形信号Com-Bが供給される。また、トランスミッションゲートTGa及びTGbの他端は、切替部53への出力端OTNに共通接続されている。
トランスミッションゲートTGaがオンする場合、出力端OTNには、駆動波形信号Com-Aが出力され、また、トランスミッションゲートTGbがオンする場合、出力端OTNには、駆動波形信号Com-Bが出力される。
この結果、m段の出力端OTNからは、m段のトランスミッションゲートTGa及びTGbにより制御期間Tc1及びTc2毎に選択された駆動波形信号Com-AまたはCom-Bが、駆動信号Vin[m]として出力され、これが、切替部53を介してm段の吐出部35に供給される。
図17は、単位印刷動作期間Tpにおける駆動信号生成部51の動作を説明するためのタイミングチャートである。図17に示すように、単位印刷動作期間Tpは、制御部6が出力するラッチ信号LATにより規定される。また、各単位印刷動作期間Tpは、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHにより規定される、互いに等しい時間長の制御期間Tcp1及びTcp2からなる。
図17に示されるように、単位印刷動作期間Tpにおいて制御部6から供給される駆動波形信号Com-Aは、単位印刷動作期間Tpのうち制御期間Tcp1に配置された単位波形PA1と、制御期間Tcp2に配置された単位波形PA2と、を連続させた波形である。単位波形PA1、及び、単位波形PA2の開始及び終了のタイミングにおける電位は、いずれも基準電位Vcである。また、この図に示す通り、単位波形PA1の電位Va11と電位Va12との電位差は、単位波形PA2の電位Va21と電位Va22との電位差よりも大きい。このため、各吐出部35が備える圧電素子120が単位波形PA1により駆動された場合に当該吐出部35が備えるノズルNから吐出されるインクの量は、単位波形PA2により駆動された場合に吐出されるインクの量よりも多い。
単位印刷動作期間Tpにおいて制御部6から供給される駆動波形信号Com-Bは、制御期間Tcp1に配置された単位波形PB1と、制御期間Tcp2に配置された単位波形PB2とを連続させた波形である。単位波形PB1の開始及び終了のタイミングにおける電位は、いずれも基準電位Vcであり、単位波形PB2は制御期間Tcp2に亘って基準電位Vcに保たれる。また、単位波形PB1の電位Vb11と基準電位Vcとの電位差は、単位波形PA2の電位Va21と電位Va22との電位差よりも小さい。そして、各吐出部35が備える圧電素子120が単位波形PB1により駆動された場合であっても当該吐出部35が備えるノズルNからはインクは吐出されない。同様に、圧電素子120に単位波形PB2が供給された場合にも、ノズルNからインクが吐出されることはない。
上述のとおり、M個のラッチ回路LTは、ラッチ信号LATの立ち上がりのタイミング、すなわち、単位動作期間Tu(TpまたはTt)が開始されるタイミングにおいて、印刷信号SI[1]、SI[2]、…、SI[M]を出力する。
また、m段のデコーダーDCは、上述のとおり、印刷信号SI[m]に応じて、制御期間Tc1(Tcp1またはTct1)及びTc2(Tcp1またはTct1)のそれぞれにおいて、図16に示すテーブルの内容に基づいて選択信号Sa及びSbを出力する。
また、m段のトランスミッションゲートTGa及びTGbは、上述のとおり、選択信号Sa及びSbに基づいて、駆動波形信号Com-AまたはCom-Bのいずれかを選択し、選択した駆動波形信号Comを駆動信号Vin[m]として出力する。
図15乃至図17加え、図18を参照しつつ、単位印刷動作期間Tpにおいて駆動信号生成部51が出力する駆動信号Vinの波形について説明する。
単位印刷動作期間Tpにおいて供給される印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(1、1)である場合には、制御期間Tcp1において、選択信号Sa、SbがそれぞれHレベル、Lレベルとなるため、トランスミッションゲートTGaにより駆動波形信号Com-Aが選択され、単位波形PA1が駆動信号Vin[m]として出力される。また、制御期間Tcp2において、選択信号Sa、SbがそれぞれHレベル、Lレベルとなるため、トランスミッションゲートTGaにより駆動波形信号Com-Aが選択され、単位波形PA2が駆動信号Vin[m]として出力される。
すなわち、図18に示すように、印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(1、1)である場合、m段の吐出部35に対して、単位印刷動作期間Tpにおいて供給される駆動信号Vin[m]の波形は、単位波形PA1及び単位波形PA2を含む波形DpAAとなる。
この結果、m段の吐出部35は、単位印刷動作期間Tpにおいて、単位波形PA1に基づく中程度の量のインクの吐出、及び、単位波形PA2に基づく小程度の量のインクの吐出がなされ、これら2度にわたり吐出されたインクがラベル用紙P上で合体するため、ラベル用紙P上には、大ドットが形成される。
単位印刷動作期間Tpにおいて供給される印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(1、0)である場合には、制御期間Tcp1において、選択信号Sa、SbがそれぞれHレベル、Lレベルとなるため、トランスミッションゲートTGaにより駆動波形信号Com-Aが選択され、単位波形PA1が駆動信号Vin[m]として出力される。また、制御期間Tcp2において、選択信号Sa、SbがそれぞれLレベル、Hレベルとなるため、トランスミッションゲートTGbにより駆動波形信号Com-Bが選択され、単位波形PB2が駆動信号Vin[m]として出力される。
すなわち、図18に示すように、印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(1、0)である場合、m段の吐出部35に対して、単位印刷動作期間Tpにおいて供給される駆動信号Vin[m]の波形は、単位波形PA1及び単位波形PB2を含む波形DpABとなる。
この結果、m段の吐出部35は、単位印刷動作期間Tpにおいて、単位波形PA1に基づく中程度の量のインクの吐出がなされ、ラベル用紙P上には、中ドットが形成される。
単位印刷動作期間Tpにおいて供給される印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(0、1)である場合には、制御期間Tcp1において、選択信号Sa、SbがそれぞれLレベル、Hレベルとなるため、トランスミッションゲートTGbにより駆動波形信号Com-Bが選択され、単位波形PB1が駆動信号Vin[m]として出力される。また、制御期間Tcp2において、選択信号Sa、SbがそれぞれHレベル、Lレベルとなるため、トランスミッションゲートTGaにより駆動波形信号Com-Aが選択され、単位波形PA2が駆動信号Vin[m]として出力される。
すなわち、図18に示すように、印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(0、1)である場合、m段の吐出部35に対して、単位印刷動作期間Tpにおいて供給される駆動信号Vin[m]の波形は、単位波形PB1及び単位波形PA2を含む波形DpBAとなる。
この結果、m段の吐出部35は、単位印刷動作期間Tpにおいて、単位波形PA2に基づく小程度の量のインクの吐出がなされ、ラベル用紙P上には、小ドットが形成される。
単位印刷動作期間Tpにおいて供給される印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(0、0)である場合には、制御期間Tcp1において、選択信号Sa、SbがそれぞれLレベル、Hレベルとなるため、トランスミッションゲートTGbにより駆動波形信号Com-Bが選択され、単位波形PB1が駆動信号Vin[m]として出力される。また、制御期間Tcp2において、選択信号Sa、SbがそれぞれLレベル、Hレベルとなるため、トランスミッションゲートTGbにより駆動波形信号Com-Aが選択され、単位波形PB2が駆動信号Vin[m]として出力される。
すなわち、図18に示すように、印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(0、0)である場合、m段の吐出部35に対して、単位印刷動作期間Tpにおいて供給される駆動信号Vin[m]の波形は、単位波形PB1及び単位波形PB2を含む波形DpBBとなる。
この結果、m段の吐出部35からは、単位印刷動作期間Tpにおいて、インクの吐出がなされず、ラベル用紙P上には、ドットが形成されない(非記録となる)。
図19は、単位検出動作期間Ttにおける駆動信号生成部51の動作を説明するためのタイミングチャートである。図19に示すように、単位検出動作期間Ttは、制御部6が出力するラッチ信号LATにより規定される。また、各単位検出動作期間Ttは、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHにより規定される、互いに等しい時間長の制御期間Tct1及びTct2からなる。
図19に示されるように、単位検出動作期間Ttにおいて制御部6から供給される駆動波形信号Com-Aは、単位検出動作期間Ttのうち制御期間Tct1に配置された単位波形PA1-Tと、制御期間Tct2に配置された単位波形PA2-Tと、を連続させた波形である。
本実施形態では、単位波形PA1-Tの電位は、単位波形PA1と同様に、制御期間Tcp1において、電位Va11から電位Va12に変化する。このため、各吐出部35が備える圧電素子120が単位波形PA1-Tにより駆動された場合、当該吐出部35が備えるノズルNからは中程度のインクが吐出される。
なお、単位波形PA1-Tの開始のタイミングの電位、及び、単位波形PA2の終了のタイミングにおける電位は、いずれも基準電位Vcである。また、単位検出動作期間Ttにおける駆動波形信号Com-Aの示す電位は、制御期間Tct1において電位Va12となった後、制御期間Tct2の終了の直前まで電位Va12に維持される。
単位検出動作期間Ttにおいて制御部6から供給される駆動波形信号Com-Bは、
単位印刷動作期間Tpにおいて制御部6から供給される駆動波形信号Com-Bと同一の波形である。
なお、図19に示す切替期間指定信号Scについては、後述する。
次に、図20を参照しつつ、単位検出動作期間Ttにおいて駆動信号生成部51が出力する駆動信号Vinの波形について説明する。
上述のとおり、単位検出動作期間Ttにおいては、制御部6から供給される印刷信号SI[m]の内容は、(MSB、LSB)=(1、1)または(0、0)の2種類に限られる。
単位検出動作期間Ttにおいて供給される印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(1、1)である場合には、制御期間Tct1及び制御期間Tct2において、選択信号Sa、SbがそれぞれHレベル、Lレベルとなるため、トランスミッションゲートTGaにより駆動波形信号Com-Aが選択される。この場合、m段の吐出部35に対して、単位検出動作期間Ttにおいて供給される駆動信号Vin[m]の波形は、図20に示すように、単位波形PA1-T及び単位波形PA2-Tを含む波形DpTとなる。そして、m段の吐出部35は、単位検出動作期間Ttにおいて、単位波形PA1-Tに基づく中程度の量のインクを吐出する。
単位検出動作期間Ttにおいて供給される印刷信号SI[m]の内容が(MSB、LSB)=(0、0)である場合には、制御期間Tct1及び制御期間Tct2において、選択信号Sa、SbがそれぞれLレベル、Hレベルとなるため、トランスミッションゲートTGbにより駆動波形信号Com-Bが選択される。この場合、m段の吐出部35に対して、単位検出動作期間Ttにおいて供給される駆動信号Vin[m]の波形は、図20に示すように、波形DpBBとなる。よって、m段の吐出部35からは、インクは吐出されない。
上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、単位検出動作期間Ttにおいて、波形DpTを有する駆動信号Vinにより吐出部35を駆動してインクを吐出させ、その結果生じる当該吐出部35のキャビティ141内部の圧力変化に基づく圧電素子120の起電力の変化を残留振動信号Voutとして検出する。そして、残留振動信号Voutに基づいて当該吐出部35に吐出異常があるか否かについての判定を実行する吐出異常検出処理を実行する。
なお、本実施形態では、吐出異常検出処理として、ノズルNからインクが吐出されるように吐出部35を駆動したときに当該吐出部35に生じる残留振動に基づいて吐出状態を判定する場合を例示して説明しているが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無く、吐出異常検出処理は、ノズルNからインクが吐出しないように吐出部35を駆動したときに当該吐出部35に生じる残留振動に基づいて吐出状態を判定するものであってもよい。すなわち、本実施形態では、非吐出での検査の場合を例示して吐出異常検出処理の説明を行うが、本実施形態は吐出での検査の場合についても同様にあてはまる。
なお、インクを吐出させずに吐出異常検出処理を実行する場合、図20に示す波形DpT(図19に示す単位波形PA1-T)において、電位Va11及び電位Va12の間の電位差を、波形DpTを有する駆動信号Vinにより吐出部35を駆動してもノズルNからインクが吐出されないような、吐出時に比べて小さい値に設定すればよい。
本実施形態では、制御部6(CPU61)は、各単位検出動作期間Ttにおいて、第1群〜第Q群のそれぞれについて、各群を構成するK個の吐出部35の中から1個の吐出部35を、吐出異常検出処理の対象として選択する。換言すれば、制御部6は、各単位検出動作期間Ttにおいて、M個の吐出部35の中から、Q個の吐出部35を、吐出異常検出処理の対象となる吐出部35(「対象吐出部」の一例)として選択する。
そして、制御部6は、各単位検出動作期間Ttにおいて、選択されたQ個の吐出部35には波形DpTを有する駆動信号Vinが供給され、それ以外の選択されなかった(M−Q)個の吐出部35には波形DpBBを有する駆動信号Vinが供給されるように、印刷信号SI(及び駆動波形信号Com)を生成し、これらの信号を駆動信号生成部51に供給する。
また、制御部6は、選択されたQ個の吐出部35から出力される残留振動信号Voutが、Q個の吐出異常検出回路DTのそれぞれに対して供給されるように、切替制御信号Swを生成し、これを切替部53に対して供給する。具体的には、制御部6は、第q群(qは、1≦q≦Qを満たす自然数)を構成するK個の吐出部35のうち、吐出異常検出処理の対象として選択された一の吐出部35から出力される残留振動信号Voutが、当該第q群に対応して設けられた吐出異常検出回路DT[q]に対して出力されるように、切替制御信号Swを生成する。
また、制御部6は、各群を構成するK個の吐出部35の全てが吐出異常検出処理の対象とされるように、各群を構成するK個の吐出部35を、単位検出動作期間Tt毎に1個ずつ所定の順番で吐出部35を選択する。本実施形態では、各群を構成するK個の吐出部35を、段数の番号が若い順番に、単位検出動作期間Tt毎に1個ずつ順番に選択する。この結果、各群を構成するK個の吐出部35は、K回の単位検出動作期間Ttが経過した時点で全て選択され、K回の単位検出動作期間Ttの間に、全ての吐出部35について吐出異常検出処理を行うことができる。
図21は、ヘッドドライバー50のうち切替部53の構成、並びに、切替部53と吐出異常検出部52、ヘッド部30、及び、駆動信号生成部51との電気的な接続関係を示すブロック図である。
図21に示すように、切替部53は、M個の吐出部35に1対1に対応する1段〜M段のM個の切替回路U(U[1]、U[2]、…、U[M])を備える。m段の切替回路U[m]は、m段の吐出部35(厳密には、圧電素子120)を、駆動信号生成部51が備えるm段の出力端OTN、または、吐出異常検出部52が備える吐出異常検出回路DTのいずれか一方に、電気的に接続する。
以下では、各切替回路Uにおいて、吐出部35と、駆動信号生成部51の出力端OTNとが、電気的に接続させている状態を、第1の接続状態と称する。また、吐出部35と、吐出異常検出部52の吐出異常検出回路DTとが、電気的に接続させている状態を、第2の接続状態と称する。
なお、M個の切替回路U[1]、U[2]、…、U[M]は、M個の吐出部35と同様に、K個の切替回路Uを1群とするQ個の群に区分される。
図21に示すように、吐出異常検出部52は、Q個の群と1対1に対応するように設けられたQ個の吐出異常検出回路DT[1]〜DT[Q]を備える。すなわち、第q群を構成するK個の切替回路Uの各々は、第q群に対応して設けられる吐出異常検出回路DT[q]に共通に電気的に接続される。
図21に示すように、制御部6は、m段の切替回路U[m]に対して、切替回路U[m]の接続状態を制御するための切替制御信号Sw[m]を供給する。
具体的には、制御部6は、単位印刷動作期間Tpにおいて、切替回路U[1]、U[2]、…、U[M]の全てを第1の接続状態とするような、切替制御信号Sw[1]、Sw[2]、…、Sw[M]を出力する。すなわち、単位印刷動作期間Tpにおいて、M個の吐出部35のそれぞれは、駆動信号生成部51の出力端OTNに電気的に接続され、駆動信号生成部51から駆動信号Vinが供給される。
他方、制御部6は、単位検出動作期間Ttにおいては、M個の吐出部35のそれぞれに対して、駆動信号生成部51から駆動信号Vinが供給されるとともに、吐出異常検出処理の対象として選択された吐出部35からの残留振動信号Voutが、吐出異常検出部52へと出力されるように、切替部53の動作を制御する。
より具体的には、制御部6は、m段の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象ではない場合、単位検出動作期間Ttの全期間において、切替回路U[m]を第1の接続状態とする切替制御信号Sw[m]を、切替回路U[m]に対して供給する。
他方、制御部6は、m段の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象とされている場合、図19に示す切替期間指定信号Scの示す電位がVHである間においては、切替回路U[m]を第1の接続状態とし、切替期間指定信号Scの示す電位がVLである切替期間Tdにおいては、切替回路U[m]を第2の接続状態とするような切替制御信号Sw[m]を、切替回路U[m]に対して供給する。
ここで、切替期間Tdとは、単位検出動作期間Ttにおいて、波形DpTを有する駆動信号Vinが供給された吐出部35において生じる残留振動を検出するための期間である。具体的には、切替期間Tdは、図19に示すように、単位検出動作期間Ttにおける駆動波形信号Com-A(つまり、波形DpT)が、電位Va11から電位Va12に変化した後に開始され、電位Va12から基準電位Vcに変化する前に終了するように定められた期間である。
吐出異常検出部52は、切替期間Tdにおける、吐出部35の圧電素子120の起電力の変化を残留振動信号Voutとして検出する。
また、図19に示す切替期間指定信号Scは、制御部6において生成される信号であり、切替期間Tdにおいて電位VLとなり、切替期間Td以外の期間において電位VHとなる信号である。
図22は、ヘッドドライバー50のうち吐出異常検出部52が備える吐出異常検出回路DTの構成を示すブロック図である。
図22に示すように、吐出異常検出回路DTは、残留振動信号Voutに基づいて、吐出部35の残留振動の1周期分の時間長を表す検出信号NTcを出力する検出部55と、検出信号NTcに基づいて、吐出部35における吐出異常の有無及び吐出異常がある場合におけるその吐出状態を判定して、判定結果を表す判定結果信号Rsを出力する判定部56と、を具備する。
このうち検出部55は、吐出部35から出力される残留振動信号Voutからノイズ成分等を除去した整形波形信号Vdを生成する波形整形部551と、整形波形信号Vdに基づいて、検出信号NTcを生成する計測部552と、を備える。
波形整形部551は、例えば、残留振動信号Voutの周波数帯域よりも低域の周波数成分を減衰させた信号を出力するためのハイパスフィルターや、残留振動信号Voutの周波数帯域よりも高域の周波数成分を減衰させた信号を出力するためのローパスフィルター等を備え、残留振動信号Voutの周波数範囲を限定しノイズ成分を除去した整形波形信号Vdを出力可能な構成を含む。
また、波形整形部551は、残留振動信号Voutの振幅を調整するための負帰還型のアンプや、残留振動信号Voutのインピーダンスを変換してローインピーダンスの整形波形信号Vdを出力するためのボルテージフォロアなどを含む構成であってもよい。
計測部552には、波形整形部551において残留振動信号Voutを整形した整形波形信号Vdと、制御部6が生成するマスク信号Mskと、整形波形信号Vdの振幅中心レベルの電位に定められた閾値電位Vth_cと、閾値電位Vth_cよりも高電位に定められた閾値電位Vth_oと、閾値電位Vth_cよりも低電位に定められた閾値電位Vth_uと、が供給される。計測部552は、これらの信号等に基づいて、検出信号NTcと、当該検出信号NTcが有効な値であるか否かを示す有効性フラグFlagを出力する。
図23は、計測部552の動作を示すタイミングチャートである。
この図に示すように、計測部552は、整形波形信号Vdの示す電位と閾値電位Vth_cとを比較して、整形波形信号Vdの示す電位が閾値電位Vth_c以上となる場合にハイレベルとなり、整形波形信号Vdの示す電位が閾値電位Vth_c未満となる場合にローレベルとなる比較信号Cmp1を生成する。
また、計測部552は、整形波形信号Vdの示す電位と閾値電位Vth_oとを比較して、整形波形信号Vdの示す電位が閾値電位Vth_o以上となる場合にハイレベルとなり、整形波形信号Vdの示す電位が閾値電位Vth_o未満となる場合にローレベルとなる比較信号Cmp2を生成する。
また、計測部552は、整形波形信号Vdの示す電位と閾値電位Vth_uとを比較して、整形波形信号Vdの示す電位が閾値電位Vth_u未満となる場合にハイレベルとなり、整形波形信号Vdの示す電位が閾値電位Vth_u以上となる場合にハイレベルとなる比較信号Cmp3を生成する。
マスク信号Mskは、波形整形部551からの整形波形信号Vdの供給が開始されてから所定の期間Tmskの間だけハイレベルとなる信号である。本実施形態では、整形波形信号Vdのうち、期間Tmskの経過後の整形波形信号Vdのみを対象として検出信号NTcを生成することで、残留振動の開始直後に重畳するノイズ成分を除去した精度の高い検出信号NTcを得ることができる。
計測部552は、カウンタ(図示省略)を備える。当該カウンタは、マスク信号Mskがローレベルに立ち下がった後、整形波形信号Vdの示す電位が最初に閾値電位Vth_cと等しくなるタイミングである時刻t1において、クロック信号(図示省略)のカウントを開始する。すなわち、当該カウンタは、マスク信号Mskがローレベルに立ち下がった後、比較信号Cmp1が最初にハイレベルに立ち上がるタイミング、または、比較信号Cmp1が最初にローレベルに立ち下がるタイミングのうち、早い方のタイミングである時刻t1において、カウントを開始する。
そして、当該カウンタは、カウントを開始した後において、整形波形信号Vdの示す電位が、2度目に閾値電位Vth_cとなるタイミングである時刻t2においてクロック信号のカウントを終了させて、得られたカウント値を検出信号NTcとして出力する。すなわち、当該カウンタは、マスク信号Mskがローレベルに立ち下がった後、比較信号Cmp1が2度目にハイレベルに立ち上がるタイミング、または、比較信号Cmp1が2度目にローレベルに立ち下がるタイミングのうち、早い方のタイミングである時刻t2において、カウントを終了する。
このように、計測部552は、時刻t1から時刻t2までの時間長を、整形波形信号Vdの1周期分の時間長として計測することで、検出信号NTcを生成する。
ところで、図23において一点鎖線で示すように整形波形信号Vdの振幅が小さい場合には、正確に検出信号NTcを計測できない可能性が高くなる。また、整形波形信号Vdの振幅が小さい場合には、仮に検出信号NTcの結果のみに基づいて吐出部35の吐出状態が正常であると判断される場合であっても、実際には吐出異常が生じている可能性が存在する。例えば、整形波形信号Vdの振幅が小さい場合、キャビティ141にインクが注入されていないことによりインクを吐出できない状態であること等が考えられる。
そこで、本実施形態は、整形波形信号Vdの振幅が、検出信号NTcの計測のために十分な大きさを有しているか否かを判定し、当該判定の結果を有効性フラグFlagとして出力する。
具体的には、計測部552は、カウンタによりカウントが実行されている期間、つまり、時刻t1から時刻t2までの期間において、整形波形信号Vdの示す電位が、閾値電位Vth_oを超え、且つ、閾値信号Vth_uを下回る場合に、有効性フラグFlagの値を、検出信号NTcが有効であることを示す値「1」に設定し、それ以外の場合には「0」に設定したうえで、この有効性フラグFlagを出力する。より詳細には、計測部552は、時刻t1から時刻t2までの期間において、比較信号Cmp2がローレベルからハイレベルに立ち上がった後再びローレベルに立下り、且つ、比較信号Cmp3がローレベルからハイレベルに立ち上がった後再びローレベルに立下る場合に、有効性フラグFlagの値を「1」に設定し、それ以外の場合に、有効性フラグFlagの値を「0」に設定する。
このように本実施形態において、計測部552は、整形波形信号Vdの1周期分の時間長を示す検出信号NTcを生成するのに加え、整形波形信号Vdが検出信号NTcの計測のために十分な大きさの振幅を有しているか否かを判定するため、より正確に吐出異常を検出することが可能となる。
判定部56は、検出信号NTc及び有効性フラグFlagに基づいて、吐出部35におけるインクの吐出状態を判定し、判定結果を判定結果信号Rsとして出力する。
図24は、判定部56における判定の内容を説明するための説明図である。この図に示すように、判定部56は、検出信号NTcの示す時間長を、閾値NTx1、閾値NTx1よりも長い時間長を表す閾値NTx2、及び、閾値NTx2よりも更に長い時間長を表す閾値NTx3のそれぞれと比較する。
ここで、閾値NTx1は、キャビティ141内部に気泡が発生して残留振動の周波数が高くなる場合における残留振動の1周期分の時間長と、吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期分の時間長との境界を示すための値である。
また、閾値NTx2は、ノズルN出口付近に紙粉が付着して残留振動の周波数が低くなる場合における残留振動の1周期分の時間長と、吐出状態が正常である場合における残留振動の1周期分の時間長との境界を示すための値である。
また、閾値NTx3は、ノズルN付近におけるインクの固着または増粘により、紙粉が付着する場合よりもさらに残留振動の周波数が低くなる場合における残留振動の1周期分の時間長と、ノズルN出口付近に紙粉が付着した場合における残留振動の1周期分の時間長との境界を示すための値である。
図24に示すように、判定部56は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、「NTx1≦NTc≦NTx2」を満たす場合には、吐出部35におけるインクの吐出状態が正常であると判定し、判定結果信号Rsに対して、吐出状態が正常であることを示す値「1」を設定する。
また、判定部56は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、「NTc<NTx1」を満たす場合には、キャビティ141に生じた気泡により吐出異常が発生していると判定し、判定結果信号Rsに対して、気泡による吐出異常が発生していることを示す値「2」を設定する。
また、判定部56は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、「NTx2<NTc≦NTx3」を満たす場合には、ノズルN出口付近に付着した紙粉により吐出異常が発生していると判定し、判定結果信号Rsに対して、紙粉による吐出異常が発生していることを示す値「3」を設定する。
また、判定部56は、有効性フラグFlagの値が「1」であり、且つ、「NTx3<NTc」を満たす場合には、ノズルN付近におけるインクの増粘により吐出異常が発生していると判定し、判定結果信号Rsに対して、インク増粘による吐出異常が発生していることを示す値「4」を設定する。
また、判定部56は、有効性フラグFlagの値が「0」である場合には、インクが注入されていない等、なんらかの原因により吐出異常が発生していることを示す値「5」を設定する。
以上のように、判定部56では、吐出部35において吐出異常が生じているか否かを判定し、判定結果を判定結果信号Rsとして出力する。このため、制御部6は、吐出異常が生じている場合には、必要に応じて、印刷処理を中断し(厳密には、印刷動作期間を中断させて)、ヘッド部30を初期位置(X=Xini)に移動させたうえで、判定結果信号Rsに示される吐出異常原因に応じた適切な回復処理を実行することができる。
なお、判定部56における判定は、制御部6(CPU61)において実行されるものであっても構わない。この場合、吐出異常検出部52の吐出異常検出回路DTは、判定部56を備えずに構成され、検出部55が生成する検出信号NTcを制御部6に対して出力するものであればよい。
次に、インクジェットプリンター1において実行される、印刷処理、吐出異常検出処理、回復処理の全体の流れについて説明する。
図25は、インクジェットプリンター1の動作を表すフローチャートである。このフローチャートは、インクジェットプリンター1の電源がオンの状態でホストコンピューター9から画像データImgが供給され、CPU61が記憶部62に記憶している制御プログラムを実行することで開始される。
ホストコンピューター9から画像データImgが供給されると、制御部6のCPU61は、キャリッジモータードライバー401にドライバー制御信号Ctr1を出力してヘッド部30を印刷位置(X=X0)に移動させるとともに、給紙モータードライバー402にドライバー制御信号Ctr2を出力して吐出部35がラベル用紙P上にインクを吐出可能となるようにラベル用紙Pの搬送を開始する(ステップS110)。
ヘッド部30が備えるM個の吐出部35のうち少なくとも一部の吐出部35がラベル用紙P(印刷領域Ap及び印刷外領域Ax)に対してインクを吐出可能となるような位置にラベル用紙Pが搬送されると、印刷動作期間が開始され、以下に説明するステップS120〜S160が実行される。
なお、CPU61は、ステップS120〜S160を実行する印刷動作期間において、ラベル用紙Pを所定の速度Mvで+X方向に搬送するように、モータドライバー40を制御する。
印刷動作期間が開始された後、CPU61は、現時刻の後の最初の単位動作期間Tu(以下、「対象単位動作期間Tu」と称する)において、ヘッド部30がラベル用紙Pの印刷領域Ap上(ラベルLb上)に位置するか否かについて判定する(ステップS120)。
具体的には、CPU61は、ステップS120において、ラベル用紙Pの搬送を開始してから対象単位動作期間Tuが開始されるまでのラベル用紙Pの移動距離を算出し、算出したラベル用紙Pの移動距離に基づいて、ラベル用紙Pに対するヘッド部30のX軸方向の相対位置(以下、「ラベル上位置Xp」と称する)を求める。ここで、ラベル上位置Xpは、例えば、ラベル用紙Pの所定の部位(例えば、ラベル用紙Pの端部)からヘッド部30までのX軸方向の距離である。
次に、CPU61は、ステップS120において、ラベル上位置Xpと、記憶部62に記憶されているラベル用紙Pの形状に係る情報と、に基づいて、対象単位動作期間Tuにおいてヘッド部30がラベル用紙Pにおける印刷領域Ap上に位置するか否かを判定する。ここで、ラベル用紙Pの形状に係る情報とは、例えば、ラベル用紙Pのサイズや、ラベル用紙Pにおける印刷領域Apの位置等についての情報である。
なお、本実施形態では、CPU61は、ステップS120において、対象単位動作期間Tuにおけるラベル上位置Xpを算出することで、対象単位動作期間Tuにおいてヘッド部30が印刷領域Ap上に位置するか否かの判定を行っているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、CPU61は、ステップS110において、印刷動作期間に含まれる複数の単位動作期間Tuについてのそれぞれのラベル上位置Xpを予め算出するとともに、当該算出結果に基づいて、複数の単位動作期間Tuのそれぞれにヘッド部30が印刷領域Ap上に位置するか否かの判定を行うものでもよい。この場合、CPU61は、ステップS120では、ステップS110で得た複数の判定結果の中から、対象単位動作期間Tuに対応する判定結果を取得することで、対象単位動作期間Tuにおいてヘッド部30が印刷領域Ap上に位置するか否かの判定を行えばよい。
また、単位動作期間Tuにおけるラベル上位置Xpを明示的に求める代わりに、画像データImgにおいて当該単位動作期間Tuに印刷すべきデータが存在するか否かを判定することで、当該単位動作期間Tuにおいてヘッド部30がラベル用紙Pの印刷領域Ap上に位置するか否かを判定してもよい。
図25に示すように、ステップS120における判定結果が肯定である場合、すなわち、対象単位動作期間Tuにおいてヘッド部30が印刷領域Ap上に位置する場合、CPU61は、対象単位動作期間Tuに単位印刷動作期間Tpを割り当てて、印刷処理を実行する(ステップS130)。
ステップS130におけるCPU61の具体的な処理内容は以下のとおりである。
まず、CPU61は、図17に示すように、対象単位動作期間Tu(単位印刷動作期間Tp)が開始される前に、対象単位動作期間TuにおいてM個の吐出部35のそれぞれから吐出すべきインク量を規定する印刷信号SIを、クロック信号CLとともに駆動信号生成部51に供給する。
また、CPU61は、対象単位動作期間Tuにおいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動波形信号Comを、駆動信号生成部51に供給する。なお、ステップS130においてCPU61が駆動信号生成部51に供給する駆動波形信号Comは、図17に示ように、単位波形PA1及びPA2を含む駆動波形信号Com-Aと、単位波形PB1及びPB2を含む駆動波形信号Com-Bと、を含む、印刷処理用の駆動波形信号Comである。
また、CPU61は、対象単位動作期間Tuにおいて、切替部53の有するM個の切替回路Uを全が対象単位動作期間Tuに亘って第1の接続状態となるような切替制御信号Sw[1]〜Sw[M]を、切替部53に供給する。
図25に示すように、ステップS120における判定結果が否定である場合、すなわち、対象単位動作期間Tuにおいてヘッド部30が印刷外領域AxH上に位置する場合、CPU61は、対象単位動作期間Tuに単位検出動作期間Ttを割り当てて、吐出異常検出処理を実行する(ステップS140)。
ステップS140におけるCPU61の具体的な処理内容は以下のとおりである。
まず、CPU61は、対象単位動作期間Tu(単位検出動作期間Tt)が開始される前に、吐出異常検出処理の対象となる吐出部35を、第1群〜第Q群に属するそれぞれの吐出部35の中からそれぞれ1個ずつ、合計Q個選択する。
次に、CPU61は、対象単位動作期間Tuが開始される前に、対象単位動作期間TuにおいてM個の吐出部35のそれぞれから吐出すべきインク量を規定する印刷信号SIを、クロック信号CLとともに駆動信号生成部51に供給する。
なお、CPU61は、吐出異常検出処理の対象として選択されたQ個の吐出部35に対しては、波形DpTを有する駆動信号Vinが供給され、選択されなかった(M−Q)個の吐出部35に対しては、単位波形PB1及びPB2を有する駆動信号Vinが供給されるように、当該印刷信号SIの内容を設定する。より具体的には、CPU61は、吐出異常検出処理の対象として選択された吐出部35に対応する印刷信号SI[m]を(MSB、LSB)=(1、1)とし、選択されなかった吐出部35に対応する印刷信号SI[m]を(MSB、LSB)=(0、0)とする。
また、CPU61は、対象単位動作期間Tuにおいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動波形信号Comを、駆動信号生成部51に供給する。なお、ステップS140においてCPU61が駆動信号生成部51に供給する駆動波形信号Comは、図19に示ように、単位波形PA1-T及びPA2-Tを含む駆動波形信号Com-Aと、単位波形PB1及びPB2を含む駆動波形信号Com-Bと、を含む、吐出異常検出処理用の駆動波形信号Comである。
また、CPU61は、対象単位動作期間Tuにおいて、吐出異常検出処理の対象として選択された吐出部35に対応する切替回路U[m]が、対象単位動作期間Tuの切替期間Tdにおいて第2の接続状態となり、切替期間Td以外において第1の接続状態となるとともに、選択されなかった吐出部35に対応する切替回路U[m]が、対象単位動作期間Tuに亘り第1の接続状態となるような、切替制御信号Sw[1]〜Sw[M]を、切替部53に供給する。
また、CPU61は、選択されたQ個の吐出部35から出力されるQ個の残留振動信号Voutに基づき吐出異常検出部52が生成したQ個の判定結果信号Rsの内容を、吐出異常検出結果データとして記憶部62に記憶させる。ここで、吐出異常検出結果データとは、吐出異常が発見された吐出部35の段数と、当該吐出部35に対応する判定結果信号Rsの示す値を、対応付けたデータである。この吐出異常検出結果データは、少なくとも、後述する回復処理が実行されるまでの間、記憶部62に記憶される。
図25に示すように、対象単位動作期間Tuにおける吐出異常検出処理が完了すると、CPU61は、記憶部62に記憶されている吐出異常検出結果データに基づいて、
回復処理が必要であるか否かについて判定する(ステップS150)。
具体的には、CPU61は、吐出異常検出結果データを参照し、吐出異常となっている吐出部35の個数が所定の許容数よりも多い場合には、回復処理が必要であると判定し、吐出異常となっている吐出部35の個数が所定の許容数以下である場合には、回復処理が不要であると判定する。
なお、本実施形態に係る、当該判定における判定基準は、一例であり、インクジェットプリンター1が行う印刷処理に求められる画質に応じて適宜決定された基準を用いて判定を実行すればよい。例えば、吐出異常となっている吐出部35が、X軸方向またはY軸方向に所定数連続して存在する場合には、回復処理が必要であると判定してもよい。
CPU61は、ステップS150において、回復処理が必要であると判定した場合、印刷動作期間を中断させて、処理をステップS180に進める。
一方、CPU61は、ステップS150において、回復処理が不要であると判定した場合、印刷動作期間を中断させることなく、処理をステップS160に進める。
なお、CPU61は、吐出異常となっている吐出部35が存在するのにもかかわらず、ステップS130の印刷処理を行う場合、画像データImgの内容にかかわらず、吐出異常となっている吐出部35からはインクを吐出させないように、印刷信号SIを生成してもよい。
この場合、CPU61は、吐出異常となっている吐出部35に対してX軸方向またはY軸方向に隣り合う同一色に対応する吐出部35からの吐出量を、画像データImgの指定する吐出量よりも多くするように、印刷信号SIを生成してもよい。これにより、吐出異常の吐出部35が存在する場合であっても、ラベル用紙PのラベルLbに形成される画像の画質の低下の程度を小さく留めることが可能となる。
図25に示すように、ステップS130において対象単位動作期間Tuにおける印刷処理が完了した場合、または、ステップS150における判定結果が否定である場合、CPU61は、処理をステップS160に進める。
ステップS160において、CPU61は、画像データImg等に基づいて、ラベル用紙Pに対する全ての印刷処理が完了したか否かを判定する。ステップS160における判定結果が肯定である場合、CPU61は、図25に示す一連の処理を終了させる。また、ステップS160における判定結果が否定である場合、すなわち、ラベル用紙P対する印刷が完了していない場合、CPU61は、次の単位動作期間Tuにおいて、印刷処理または吐出異常検出処理を実行できるように、ラベル用紙Pの搬送を継続させ(ステップS170)、処理をステップS120に進める。
他方、CPU61は、ステップS150における判定結果が肯定である場合、すなわち、回復処理が必要であると判定した場合、ラベル用紙Pの搬送を停止させるとともに、ヘッド部30を初期位置(X=Xini)に移動させる(ステップS180)。これにより、印刷動作期間が中断される。
その後、CPU61は、回復機構70を用いて、回復処理を実行する(ステップS190)。
より具体的には、CPU61は、回復機構70(及びヘッドドライバー50)の動作を制御することで、ノズルプレート150に付着した紙粉等の異物をワイパー(図示省略)により拭き取るワイピング処理、キャビティ141内の増粘したインクや気泡等をチューブポンプ(図示省略)により吸引するポンピング処理、吐出部35からインクを予備的に吐出させるフラッシング処理等の回復処理を実行し、吐出部35のインクの吐出状態を正常に戻す。
この際、CPU61は、吐出異常検出結果データに基づいて、フラッシング処理、ワイピング処理、ポンピング処理等から、吐出部35の吐出状態を回復させるのに適した1または2以上の処理を選択して実行してもよい。
回復処理が完了した後、CPU61は、処理をステップS110に進め、ラベル用紙Pの搬送を再開させるとともに、印刷動作期間を再開させて、印刷処理及び吐出異常検出処理を実行する。
このように、本実施形態では、印刷動作期間において、ラベル用紙Pの搬送を止めることなく(つまり、ヘッド部30が印刷位置(X=X0)にある状態のままで)、印刷処理及び吐出異常検出処理の双方を実行する。
インクジェットプリンター1が、図25に示すフローチャートに基づいて印刷を行うことによる効果を明確化するために、吐出異常検出処理を初期位置(X=Xini)で行うインクジェットプリンター(以下、「対比例に係るインクジェットプリンター」と称する)について説明する。
対比例に係るインクジェットプリンターは、記憶部62に記憶する制御プログラムが、インクジェットプリンター1と異なる点を除き、本実施形態に係るインクジェットプリンター1と同様に構成される。
図26は、対比例に係るインクジェットプリンターの動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、対比例に係るインクジェットプリンターのCPU61(以下、「対比例に係るCPU」と称する)が、ホストコンピューター9からの画像データImgの供給を受け、対比例に係るCPUが記憶部62に記憶している対比例に係る制御プログラムを実行することで開始される。
ホストコンピューター9から画像データImgが供給されると、対比例に係るCPUは、図25のステップS110と同様に、ドライバー制御信号Ctr1及びドライバー制御信号Ctr2を出力し、吐出部35がラベル用紙P上にインクを吐出可能となるようにラベル用紙Pの搬送を開始する(ステップS110t)。
印刷動作期間において、対比例に係るCPUは、最後に回復処理を実行した後に実行された印刷処理の回数が所定回数以下であるか否かを判定する(ステップS120t)。
ステップS120tにおける判定結果が肯定である場合、つまり、回復処理後に実行した印刷処理の回数が所定回数以下である場合、対比例に係るCPUは、図25のステップS130と同様に、各単位動作期間Tuにおいて印刷処理を実行し(ステップS130t)、その後、図25のステップS160と同様に、ラベル用紙Pに対する全ての印刷処理が完了したか否かを判定する(ステップS160t)。
対比例に係るCPUは、ステップS160tの判定結果が肯定である場合、図26に示す一連の処理を終了させ、また、ステップS160tの判定結果が否定である場合、次の単位動作期間Tuにおいて、印刷処理または吐出異常検出処理を実行できるように、ラベル用紙Pの搬送を継続させつつ(ステップS170t)、処理をステップS120tに進める。
また、図26に示すように、ステップS120tの判定結果が否定である場合、つまり、最後に回復処理を実行した後に、所定回数よりも多くの回数の印刷処理を実行している場合、対比例に係るCPUは、図25のステップS180と同様に、
ラベル用紙Pの搬送を停止させ、ヘッド部30を初期位置(X=Xini)に移動させる(ステップS200t)。これにより、印刷動作期間が中断される。
その後、対比例に係るCPUは、対比例に係るインクジェットプリンターが備える全ての吐出部35を対象として、吐出異常検出処理を実行する(ステップS210t)。
ステップS210tにおける吐出異常検出処理の終了後、対比例に係るCPUは、
図25のステップS150と同様に、回復処理が必要であるか否かについて判定する(ステップS220t)。対比例に係るCPUは、ステップS220tの判定結果が肯定である場合、図25のステップS190と同様に、回復機構70を用いて、回復処理を実行し(ステップS230t)、回復処理の終了後に、処理をステップS110tに進める。また、対比例に係るCPUは、ステップS220tの判定結果が否定である場合、回復処理を実行することなく、処理をステップS110tに進める。
以上に説明したように、対比例に係るインクジェットプリンターは、ラベル用紙Pの搬送を止め、印刷動作期間を中断したうえで、ヘッド部30を初期位置(X=Xini)に移動させて吐出異常検出処理を実行する。そのため、対比例に係るインクジェットプリンターは、印刷処理を所定回数実行する毎に印刷動作期間を中断する必要があり、ラベル用紙Pに対する印刷の開始から終了までの時間が、本実施形態に係るインクジェットプリンター1と比較して長くなる。
特に、ラベル用紙Pの搬送を止める場合、ロール紙収納部43にロール状に収納されている部分のラベル用紙Pの慣性力等により、ラベル用紙Pは、搬送を止めた後も、+X方向に移動を続ける。このため、吐出異常検出処理を実行するためにラベル用紙Pの搬送を停止した後、印刷動作期間を再開する場合には、ラベル用紙Pが搬送停止後に余計に移動した分だけラベル用紙Pを−X方向に戻す等の、ラベル用紙Pの位置合わせが必要となる。
対比例に係るインクジェットプリンターは、本実施形態に係るインクジェットプリンター1と比較して、ラベル用紙Pの搬送を停止して印刷動作期間を中断する回数が多くなる可能性が高いため、ラベル用紙Pに対する印刷の開始から終了までの時間が長くなる可能性も高い。
これに対して、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、印刷動作期間の中でラベル用紙Pの搬送を止めることなく、印刷処理及び吐出異常検出処理の双方を実行するため、対比例に係るインクジェットプリンターと比較して、ラベル用紙Pに対する印刷の開始から終了までの時間を短くすることができる。
以下、図27乃至図30を参照しつつ、本実施形態におけるインクジェットプリンター1の印刷動作期間における印刷処理及び吐出異常検出処理の動作イメージを説明する。
なお、図27乃至図30では、理解を容易にするために、ヘッド部30が12個の吐出部35を備え、吐出異常検出部52が3個の吐出異常検出回路DT[1]〜DT[3]を備える場合を例示して説明する。すなわち、この例では、12個の吐出部35が、4個ずつ第1群〜第3群に区分された場合、つまり、M=12、Q=3、K=4の場合を例示して説明する。
また、この例では、12個の吐出部35に対応する12個のノズルNを、N[1]〜N[12]という符号で表す。
図27は、ラベル用紙Pに対するヘッド部30に対する相対位置であるラベル上位置Xpと、単位動作期間Tuとの関係を示す説明図である。
この図は、ヘッド部30が印刷位置(X=X0)に位置しており、ラベル用紙Pが速度Mvで上方(+X方向)に搬送される結果、ラベル上でのヘッド部30の位置Xpが移動する場合を表している。但し、この図では、記載の都合上、ヘッド部30自身が図において下方に移動しているように表している。また、この図では、記載の都合上、複数の単位動作期間Tuのうち一部の単位期間におけるヘッド部30のみを表している。
また、この図では、印刷動作期間に含まれる複数の単位動作期間Tuを、順番に、Tu1、Tu2、Tu3、…、Tu10、…、等のように符号Tuに数字を付して表す。また、単位動作期間Tu1、Tu2、Tu3、…、Tu10におけるラベル上位置Xpを、それぞれ、Xp1、Xp2、Xp3、…、Xp10のように符号Xpに数字を付して表す。
この例におけるラベル用紙Pは、図27に示すように、ラベル上位置Xp1〜Xp10のうち、Xp2〜Xp3、Xp6〜Xp7、及び、Xp10に、それぞれ印刷領域Ap(ラベルLb)が配置されている。そのため、図に表された単位動作期間Tu1〜Tu10のうち、Tu2、Tu3、Tu6、Tu7、及び、Tu10のそれぞれが単位印刷動作期間Tpとなり、Tu1、Tu4、Tu5、Tu8、及び、Tu9のそれぞれが単位検出動作期間Ttとなる。
なお、この図では、5個の単位印刷動作期間Tpを、順番に、Tp1、Tp2、…、Tp5のように符号Tpに数字を付して表す。また、5個の単位検出動作期間Ttについても、順番に、Tt1、Tt2、…、Tt5のように符号Ttに数字を付して表す。
図28及び図29は、図27に表された単位動作期間Tu1〜Tu10のそれぞれにおける、インクジェットプリンター1(特に、吐出部35)の動作を説明するための説明図である。
これらの図において、「●」は、吐出異常検出処理の対象として選択された吐出部35に対応するノズルNを表し、「〇」は、吐出異常検出処理の対象とはされなかった吐出部35に対応するノズルNを表し、「△」は、印刷処理において使用される吐出部35に対応するノズルNを表す。
図28(A)は、印刷動作期間の最初の単位動作期間Tu1である単位検出動作期間Tt1におけるノズルN(吐出部35)の動作を表している。
単位検出動作期間Tt1においては、M個(12個)の吐出部35の中から、各群について1個ずつ、合計Q個(3個)の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象として選択される。
具体的には、第1群からはノズルN[1]に対応する吐出部35が選択され、第2群からはノズルN[5]に対応する吐出部35が選択され、第3群からはノズルN[9]に対応する吐出部35が選択される。
そして、これら3個の吐出部35には波形DpTを有する駆動信号Vinが供給され、それぞれのノズルN[1]、N[5]、N[9]からインクを吐出させ、その残留振動に基づいて吐出異常の有無についての判定がなされる。
図28(B)は、印刷動作期間の単位動作期間Tu2及びTu3(単位印刷動作期間Tp1及びTp2)におけるノズルNの動作を表している。単位印刷動作期間Tp1及びTp2においては、ノズルN[2]〜N[5]、及び、N[8]〜N[11]に対応する吐出部35が、駆動信号Vinに基づいて駆動されることで、印刷領域ApのラベルLb上に画像が形成される。
図28(C)は、単位動作期間Tu4及びTu5(単位検出動作期間Tt2及びTt3)におけるノズルN(吐出部35)の動作を表している。
単位検出動作期間Tt2においては、M個(12個)の吐出部35のうち単位検出動作期間Tt1で選択されたQ個(3個)の吐出部35以外の吐出部35の中から、各群について1個ずつ、合計Q個(3個)の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象として選択される。
具体的には、ノズルN[2]、N[6]、及び、N[10]に対応する3個の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象としてそれぞれ選択され、これらの吐出部35に対して吐出異常の有無についての判定がなされる。
同様に、単位検出動作期間Tt3においては、M個(12個)の吐出部35のうち単位検出動作期間Tt1及びTt2で選択された2Q個(6個)の吐出部35以外の吐出部35の中から、各群について1個ずつ、合計Q個(3個)の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象として選択される。
具体的には、ノズルN[3]、N[7]、及び、N[11]に対応する3個の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象としてそれぞれ選択され、これらの吐出部35に対して吐出異常の有無についての判定がなされる。
図29(A)は、印刷動作期間の単位動作期間Tu6及びTu7(単位印刷動作期間Tp3及びTp4)におけるノズルNの動作を表している。単位印刷動作期間Tp3及びTp4においては、ノズルN[2]〜N[5]、及び、N[8]〜N[11]に対応する吐出部35が、駆動信号Vinに基づいて駆動されることで、印刷領域ApのラベルLb上に画像が形成される。
図29(B)は、単位動作期間Tu8及びTu9(単位検出動作期間Tt4及びTt5)におけるノズルN(吐出部35)の動作を表している。
単位検出動作期間Tt4においては、M個(12個)の吐出部35のうち単位検出動作期間Tt1乃至Tt3で選択された3Q個(9個)の吐出部35以外の吐出部35の中から、各群について1個ずつ、合計Q個(3個)の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象として選択される。
具体的には、ノズルN[4]、N[8]、及び、N[12]に対応する3個の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象としてそれぞれ選択され、これらの吐出部35に対して吐出異常の有無についての判定がなされる。これにより、全ての吐出部35に対する吐出異常検出処理が実行されたことになる。
その後、単位検出動作期間Tt5において、再度、M個の吐出部35に対する吐出異常検出処理が開始される。
図30は、図28及び図29に示した単位動作期間Tu1〜Tu10における各ノズルNの動作をまとめた図である。
図30に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、単位動作期間Tu1において、ラベル上位置Xp1の印刷外領域AxH1で吐出異常検出処理を実行し、単位動作期間Tu2及びTu3においてラベル上位置Xp2及びXp3の印刷領域Apで印刷処理を実行し、単位動作期間Tu4及びTu5においてラベル上位置Xp4及びXp5の印刷外領域AxH2で吐出異常検出処理を実行し、単位動作期間Tu6及びTu7においてラベル上位置Xp6及びXp7の印刷領域Apで印刷処理を実行する、というように、吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位動作期間Tuと、印刷処理を実行するための1または複数の単位動作期間Tuと、を繰り返す。
すなわち、本実施形態における印刷動作期間は、吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位検出動作期間Ttである第1期間と、第1期間の経過後の期間であって印刷処理を実行する1または複数の単位印刷動作期間Tpである第2期間と、第2期間の経過後の期間であって吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位検出動作期間Ttである第3期間と、第3期間の経過後の期間であって印刷処理を実行する1または複数の単位印刷動作期間Tpである第4期間と、を少なくとも含む。
なお、第1期間における吐出異常検出処理を、「第1動作」と称し、第2期間における印刷処理を、「第2動作」と称し、第3期間における吐出異常検出処理を、「第3動作」と称し、第4期間における印刷処理を、「第4動作」と称することがある。
以上において説明したように、本実施形態では、印刷動作期間の中で、ラベル用紙Pの搬送を止めることなく印刷処理と吐出異常検出処理の双方を実行するため、ラベル用紙Pの搬送を止めて初期位置(X=Xini)等で吐出異常検出処理を実行する場合等と比較して、印刷の全体的な処理時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、印刷領域Apにおいて印刷処理を実行し、印刷外領域Axにおいて吐出異常検出処理を実行する。このため、吐出異常検出処理を行うためにノズルNから吐出されるインクがラベルLb上に着弾することを防ぐことができ、吐出異常検出処理を行うことによる画質の低下を防止することができる。
また、本実施形態では、単位印刷動作期間Tpと単位検出動作期間Ttとを時間的に分離し、単位印刷動作期間Tpにおいては印刷処理用の駆動波形信号Comが駆動信号生成部51に供給され、単位検出動作期間Ttにおいては吐出異常検出処理用の駆動波形信号Comが駆動信号生成部51に供給される。
このため、単位印刷動作期間Tpにおいて駆動信号生成部51に供給される駆動波形信号Comに、吐出異常検出処理のための波形を組み込む必要が無く、印刷処理の駆動波形信号Comの波形を印刷に適した波形とすることができ、画質の向上、または、印刷速度の向上等が実現可能となる。
また、本実施形態では、印刷動作期間において、吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位動作期間Tuと、印刷処理を実行するための1または複数の単位動作期間Tuとが、繰り返される。
このため、ある吐出部35に吐出異常が発生した場合に、当該吐出異常となった吐出部35が印刷処理において長時間にわたり使用され続けることを防ぐことができる。換言すれば、吐出異常が生じた場合であっても、その影響を最小限に留めることで、画質の低下を最小限に留めることが可能となる。
なお、図27乃至図30に示す例では、ヘッド部30に複数のノズルNが1列に配置されている場合を例示したが、例えば、図3に示すように、4列に配置されるものであってもよい。この場合、4列のノズル列の全てが印刷外領域AxHに位置する期間を、単位検出動作期間Ttとしてもよい。
また、本実施形態において、インクジェットプリンター1は1個の駆動信号生成部51を備えるが、複数の駆動信号生成部51を備えるものであってもよい。例えば、ヘッド部30が複数のノズル列を備える場合、当該複数のノズル列と1対1に対応する複数の駆動信号生成部51を備えるものであってもよい。この場合、制御部6は、複数の駆動信号生成部51に対して、それぞれ異なる駆動波形信号Comを供給してもよい。
例えば、インクジェットプリンター1が、4列のノズル列を具備するヘッド部30と、これら4列のノズル列に1対1に対応する4個の駆動信号生成部51を具備する場合を想定する。この場合、制御部6は、4列のノズル列の各々が、印刷領域Ap上に位置するか否かに基づいて、4個の駆動信号生成部51のそれぞれに、印刷処理用の駆動波形信号Comまたは吐出異常検出処理用の駆動波形信号Comのいずれか一方を選択的に供給してもよい。より具体的には、制御部6は、4列のノズル列のうち、印刷外領域AxH上に位置するノズル列に対応する駆動信号生成部51に対しては、吐出異常検出処理用の駆動波形信号Comを供給し、印刷領域Ap上に位置するノズル列に対応する駆動信号生成部51に対しては、印刷処理用の駆動波形信号Comを供給してもよい。つまり、制御部6は、ノズル列毎に単位動作期間Tuを設け、各ノズル列のラベル上位置Xpに応じて、各ノズル列における単位動作期間Tuに単位印刷動作期間Tpまたは単位検出動作期間Ttのいずれか一方を割り当ててもよい。これにより、印刷外領域AxH上に位置するノズル列に対する吐出異常検出処理と、印刷領域Ap上に位置するノズル列に対する印刷処理とを同時に実行することが可能となり、より効率的に吐出部35の吐出異常を検知することが可能となる。
<B.第2実施形態>
上述した第1実施形態では、横方向(Y軸方向)に延在する印刷外領域AxHにおいて吐出異常検出処理を実行するものであった。
これに対して、第2実施形態に係るインクジェットプリンターは、横方向に延在する印刷外領域AxHに加え、縦方向に延在する印刷外領域AxVにおいても吐出異常検出処理を実行する点で、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と相違する。
第2実施形態に係るインクジェットプリンターは、記憶部62に記憶する制御プログラムが第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と異なる点、及び、制御部6が出力する駆動波形信号Com及び切替期間指定信号Scが第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と異なる点を除き、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1と同様に構成される。
以下、第2実施形態に係るインクジェットプリンターの制御部6が出力する、駆動波形信号Com及び切替期間指定信号Scについて説明する。
第2実施形態に係る制御部6は、単位印刷動作期間Tp及び単位検出動作期間Ttの両方の期間において、図17に示す印刷処理用の駆動波形信号Com(Com-A、Com-B)を出力する。また、第2実施形態に係る制御部6は、単位印刷動作期間Tp及び単位検出動作期間Ttの両方の期間において、単位波形PA1が電位Va12となる制御期間Tc1の一部の期間に電位VLとなり、それ以外の期間に電位VHとなる切替期間指定信号Scを出力する。更に、第2実施形態に係る制御部6は、吐出異常検出処理の対象として選択された吐出部35に対して、図18に示す波形DpABを有する駆動信号Vinが供給されるように、印刷信号SIを生成する。
これにより、第2実施形態に係るインクジェットプリンターは、印刷領域Ap(ラベルLb)における中ドットの形成と、印刷外領域AxHまたは印刷外領域AxVにおける吐出異常検出処理の双方を、波形DpABを有する駆動信号Vinを用いて実行する。
このため、第2実施形態に係るインクジェットプリンターは、単位印刷動作期間Tpにおいて、印刷処理に加えて吐出異常検出処理を実行することができる(なお、単位検出動作期間Ttにおいては、吐出異常検出処理を実行する)。
図31は、第2実施形態に係るインクジェットプリンターの動作イメージを表す説明図である。図31では、図27と同様に、ヘッド部30が12個の吐出部35を備え、吐出異常検出部52が3個の吐出異常検出回路DTを備え、12個の吐出部35が第1群〜第3群に区分される場合、すなわち、M=12、Q=3、K=4の場合を例示している。
以下、図31に示す例を参照しつつ、第2実施形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
第2実施形態に係る制御部6は、単位検出動作期間Ttにおいては、M個の吐出部35の中から、各群から最大で1個ずつ、合計としては最大でQ個の吐出部35を、吐出異常検出処理の対象として選択する。
但し、この選択においては、第1実施形態とは異なり、単位印刷動作期間Tpが到来した場合に印刷領域Apにインクを吐出可能な吐出部35が優先的に選択される。
例えば、図31に示す例では、単位検出動作期間Ttである単位動作期間Tu1において、12個の吐出部35のうち、単位印刷動作期間Tpが到来した場合に印刷領域Apにインクを吐出可能な吐出部35の中から、各群から1個ずつ合計3個の吐出部35が、制御部6により選択される。具体的には、この例では、ノズルN[2]、N[5]、及び、N[9]に対応する吐出部35が、制御部6により選択される。つまり、図31に示す例は、図27に示す例とは異なり、単位動作期間Tu2において印刷領域Apにインクを吐出しないノズルN[1]の代わりに、単位動作期間Tu2において印刷領域Apにインクを吐出可能なノズルN[2]に対応する吐出部35が、単位動作期間Tu1において選択される。そして、選択された3個の吐出部35に対して、波形DpABを有する駆動信号Vinが供給されることで、当該3個の吐出部35に対する吐出異常検出処理が実行される。
次に、第2実施形態に係る制御部6は、単位印刷動作期間Tpにおいては、M個の吐出部35のうち既に選択された吐出部35を除いた吐出部35の中から、印刷外領域AxVにインクを吐出可能な吐出部35を、各群から最大で1個ずつ、吐出異常検出処理の対象として選択する。
例えば、図31に示す例では、単位印刷動作期間Tpである単位動作期間Tu2において、12個の吐出部35のうち、印刷外領域AxVに対してインクを吐出可能な吐出部35であり、且つ、単位検出動作期間Tt1で選択された吐出部35以外の吐出部35の中から、各群について最大で1個、合計としては最大で3個の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象として選択される。具体的には、この例では、ノズルN[1]、N[6]、及び、N[12]に対応する3個の吐出部35が、吐出異常検出処理の対象としてそれぞれ選択され、これらの吐出部35に対して吐出異常の有無についての判定がなされる。
以降、同様に、単位印刷動作期間Tpである単位動作期間Tu3では、それまでに選択されていない吐出部35であって、印刷外領域AxVにインクを吐出可能なノズルN[7]に対応する1個の吐出部35が選択される。
また、単位検出動作期間Ttである単位動作期間Tu4では、それまでに選択されていない吐出部35の中から、ノズルN[3]、N[8]、及び、N[10]に対応する3個の吐出部35が選択される。
このように、本実施形態における印刷動作期間は、吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位検出動作期間Ttである第1期間と、第1期間の経過後の期間であって印刷処理及び吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位印刷動作期間Tpである第2期間と、第2期間の経過後の期間であって吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位検出動作期間Ttである第3期間と、第3期間の経過後の期間であって印刷処理及び吐出異常検出処理を実行する1または複数の単位印刷動作期間Tpである第4期間と、を少なくとも含む。
以上において説明したように、第2実施形態では、単位印刷動作期間Tpにおいて印刷処理に加えて吐出異常検出処理を実行するため、単位印刷動作期間Tpにおいて印刷処理のみを実行する場合と比較して、M個の吐出部35の全てに対する吐出異常検出処理を行うために必要な期間を短縮することができる。
このため、第2実施形態では、吐出異常の検出を早期に行うことが可能となり、吐出異常による画質の低下が発生する可能性を低く抑えることが可能となる。
なお、第2実施形態では、単位印刷動作期間Tpにおいて、印刷外領域AxVにインクを吐出可能な吐出部35を、吐出異常検出処理の対象として選択するが、印刷領域Apにインクを吐出可能な吐出部35のうち、波形DpABを有する駆動信号Vinが供給される吐出部35を、吐出異常検出処理の対象として選択してもよい。この場合、当該選択された吐出部35は、印刷処理を実行するとともに、吐出異常検出処理の対象として選択されることになる。
<C.変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。
<変形例1>
上述した実施形態に係るインクジェットプリンターは、所定の時間長を有する単位動作期間Tuにおいて、1回の印刷処理または1回の吐出異常検出処理を実行するものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、1回の印刷処理を行うための時間長は可変であってもよい。
すなわち、インクジェットプリンターは、通常速度(第1印刷速度)での印刷を行う通常印刷モード(「第1印刷モード」の一例)と、高速(第2印刷速度)での印刷を行う高速印刷モード(「第2印刷モード」の一例)の、2つの印刷動作モードを実行可能なものであってもよい。
図32は、本変形例に係るインクジェットプリンターの動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、本変形例における以下の説明では、一例として、上述した実施形態と同一の速度で印刷を実行する動作モードを通常印刷モードとし、上述した実施形態よりも高速での印刷を実行する動作モードを高速印刷モードとする。
本変形例に係る制御部6は、インクジェットプリンターを高速印刷モードで動作させる場合、図32(A)に示すように、単位動作期間Tuよりも短い時間長を有する単位高速動作期間TuFを区画するようなラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHを出力する。単位高速動作期間TuFは、この図に示すように、チェンジ信号CHにより、互いに等しい時間長を有する高速制御期間TcF1及びTcF2に区分される。
また、本変形例に係る制御部6は、インクジェットプリンターを通常印刷モードで動作させる場合、図32(B)に示すように、単位動作期間Tuを区画するようなラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHを出力する。
なお、図32では、一例として、単位高速動作期間TuFが、単位動作期間Tuの半分の時間長を有する場合を示している。
また、本変形例に係る制御部6は、図32(A)に示すように、高速印刷モードにおいて、単位波形PA1、PA2、PB1、PB2(図17参照)を時間軸方向に圧縮した波形である、単位波形PA1F、PA2F、PB1F、PB2Fを有するような、駆動波形信号Com-A及びCom-Bを出力する。
具体的には、高速印刷モードにおいて、駆動波形信号Com-Aは、図32(A)に示すように、高速制御期間TcF1に配置された単位波形PA1Fと、高速制御期間TcF2に配置された単位波形PA2Fと、を連続させた波形となり、駆動波形信号Com-Bは、高速制御期間TcF1に配置された単位波形PB1Fと、高速制御期間TcF2に配置された単位波形PB2Fと、を連続させた波形となる。
更に、高速印刷モードにおいて、本変形例に係る制御部6は、ラベル用紙Pが、通常印刷モードにおける搬送速度Mvよりも高速な搬送速度MvFで搬送されるように、モータドライバー40を駆動する。この速度MvFは、単位高速動作期間TuF及び単位動作期間Tuの時間長の比率に応じて定められる。
なお、図32の例では、単位高速動作期間TuFが単位動作期間Tuの半分の時間長を有するため、速度MvFは例えば速度Mvの2倍の速度となる。
なお、高速印刷モードにより印刷を行う場合、各単位高速動作期間TuFにおいて1回の吐出異常検出処理を実行してもよい。すなわち、高速印刷モードにより印刷を行う場合、吐出異常検出処理についても同様に高速で実行してもよい(以下、高速で吐出異常検出処理を実行することを、単に、「高速印刷モードで吐出異常検出処理を行う」と表現する)。
例えば、第2実施形態に係るインクジェットプリンターのように、印刷処理用の駆動波形信号Comと、吐出異常検出処理用の駆動波形信号Comとが、同一の波形を有するような場合、単位波形PA1Fを有する駆動信号Vinを吐出部35に供給することで、高速印刷モードにより吐出異常検出処理を実行してもよい。
他方、第1実施形態に係るインクジェットプリンターのように、印刷処理用の駆動波形信号Comと、吐出異常検出処理用の駆動波形信号Comとが、
異なる波形を有するような場合には、図32(A)に示す高速印刷モードにより印刷処理を行い、図32(B)に示す通常印刷モードにより吐出異常検出処理を行ってもよい。
具体的には、制御部6は、印刷処理を行う場合にあっては、図32(A)に示すラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動波形信号Comを出力し、吐出異常検出処理を行う場合にあっては、図32(B)に示すラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、駆動波形信号Comを出力するものであってもよい。
但し、この場合であっても、ラベル用紙Pの搬送速度はできるだけ一定の速度を保たれることが好ましい。よって、本変形例に係るインクジェットプリンターは、高速印刷モードにより印刷処理を行い、通常印刷モードにより吐出異常検出処理を行う場合であっても、印刷動作期間においてラベル用紙Pを速度MvFで搬送する。
このため、高速印刷モードにより印刷を行う場合、通常印刷モードにより印刷を行う場合と比較して、吐出異常検出処理を実行する第1期間、印刷処理を実行する第2期間、吐出異常検出処理を実行する第3期間、及び、印刷処理を実行する第4期間は、それぞれ時間長が(Mv÷MvF)倍に短縮される。よって、この場合、第1期間において吐出異常検出処理の対象となる吐出部35の個数、及び、第3期間において吐出異常検出処理の対象となる吐出部35の個数も、(Mv÷MvF)倍に減少する。
しかしながら、高速印刷モードにより印刷を行う場合においても、通常印刷モードにより吐出異常検出処理を行うことで、1回の吐出異常検出処理において残留振動を検出するための期間、例えば、切替期間Tdの時間長を十分に長くすることができるため、残留振動を正確に検出し、正確な吐出異常の検出が可能となる。
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例では、吐出異常検出処理において、ノズルNからインクを吐出させるように吐出部35を駆動することで、当該吐出部35に生じる残留振動を検出して、吐出異常の有無を判定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、ノズルNからインクが吐出しないように吐出部35を駆動することで、当該吐出部35に生じる残留振動を検出して、吐出異常の有無を判定してもよい。
例えば、上述した第1実施形態においては、図19に示す単位波形PA1-Tにおける電位Va11及び電位Va12の間の電位差を調整することで、ノズルNからインクを吐出させないように、吐出異常検出処理の対象となる吐出部35を駆動してもよい。
また、例えば、上述した第2実施形態においては、吐出異常検出処理の対象となる吐出部35に対して、波形DpABの代わりに、波形DpBBを供給する(図18参照)ことで、ノズルNからインクを吐出させないように当該吐出部35を駆動してもよい。
インクを吐出させずに吐出異常検出処理を実行することで、吐出異常検出処理を行うためにノズルNから吐出されるインクがラベルLb上に着弾することを防ぐことができ、吐出異常検出処理を行うことによる画質の低下を防止することができる。
<変形例3>
上述した実施形態及び変形例では、M個の吐出部35は、K個ずつを1組としてQ個の組に均等に区分されるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、M個の吐出部35は、吐出異常検出回路DTの個数に応じて適宜区分すればよい。
例えば、Q個の組の中で、吐出部35の個数が異なる2個の組が存在してもよい。また、例えば、吐出異常検出部52が1個の吐出異常検出回路DTを備える場合等においては、M個の吐出部35を区分しなくてもよい(つまり、Q=1として、M個の吐出部35を1組に区分してもよい)。
例えば、吐出異常検出部52が1個の吐出異常検出回路DTを備える場合、図21に示す切替部53において、M個の吐出部35に1対1に対応して設けられるM個の切替回路Uは、M個の吐出部35の全てが、当該1個の吐出異常検出回路DTに電気的に接続可能となるように設けられる。
図33は、第1実施形態に係るインクジェットプリンター1において、吐出異常検出部52が備える吐出異常検出回路DTの個数が1個である場合の、印刷処理及び吐出異常検出処理の動作イメージである。なお、図33は、図27と同様に、ヘッド部30が12個の吐出部35を備える場合を例示している。
図33に示されるように、吐出異常検出部52が1個の吐出異常検出回路DTを備える場合には、各単位検出動作期間Ttに1個の吐出部35が吐出異常検出処理の対象として選択される。そのため、12個の吐出部35についての吐出異常検出処理は、単位検出動作期間Tt1〜Tt12において実行されることになる。
なお、ヘッド部30が備えるM個の吐出部35をどのように区分した場合(または、区分しなかった場合)であっても、印刷動作期間は、吐出異常検出処理を実行する第1期間、第1期間の経過後の期間であって印刷処理を実行する第2期間、第2期間の経過後の期間であって吐出異常検出処理を実行する第3期間、及び、第3期間の経過後の期間であって印刷処理を実行する第4期間を含むことになる。
そして、第1期間において吐出異常検出処理の対象となる吐出部35の個数を「α」とし、第3期間において吐出異常検出処理の対象となる吐出部35の個数を「β」としたとき、ヘッド部30が備える吐出部35の個数「M」と、上記「α」及び「β」との間には、以下の式が成立する(但し、α及びβは、いずれも1以上の自然数)。
M ≧ α+β
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例では、M個の吐出部35の全てを吐出異常検出処理の対象としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、M個の吐出部35のうち一部の吐出部35のみを吐出異常検出処理の対象としてもよい。
例えば、M個の吐出部35の中で、単位印刷動作期間Tpにおいて印刷領域Ap上にインクを吐出可能な吐出部35(つまり、印刷に使用する吐出部35)のみを、印刷動作期間における吐出異常検出処理の対象としてもよい。
図34は、図27に示す例において、印刷に使用する吐出部35のみを吐出異常検出処理の対象とする場合の、吐出異常検出処理の動作イメージである。
図34に示す例では、ノズルN[2]〜N[5]、及び、N[8]〜N[11]に対応する8個の吐出部35が、印刷に使用される。よって、この図に示す例では、当該8個のノズルNに対応する吐出部35のみが吐出異常検出処理の対象とされ、それ以外の4個のノズルNに対応する吐出部35は吐出異常検出処理の対象から除外される。この場合、これら印刷に使用する吐出部35の吐出異常検出処理を、単位検出動作期間Tt1〜Tt3において実行することができるため、例えば、図30に示すような全ての吐出部35(12個の吐出部35)を吐出異常検出処理の対象とする場合と比較して、吐出異常検出処理に要する期間を短縮することができる。これにより、印刷に使用する吐出部35における吐出異常を速やかに発見することが可能となる。
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例では、駆動波形信号Comは、Com-A及びCom-Bの2つの信号を含むが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動波形信号Comは、1つの信号(例えば、Com-A)からなるものでもよいし、3以上の信号(例えば、Com-A、Com-B、Com-C等)からなるものでもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、駆動波形信号Comは、1つの信号(Com-A)により、印刷処理用の波形及び吐出異常検出処理用の波形の双方の波形を表すが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、駆動波形信号Comは、印刷処理用の波形を表す信号と、吐出異常検出処理用の波形を表す信号とを、異なる信号として供給するものであってもよい。例えば、駆動波形信号Comが、Com-A及びCom-Bを含む場合、駆動波形信号Com-Aを印刷処理用の波形を表す信号とし、駆動波形信号Com-Bを吐出異常検出処理用の波形を表す信号としてもよい。
また、印刷信号SIのビット数は、2ビットに限定されるものでは無く、表示すべき階調や、駆動波形信号Comに含まれる信号の数により適宜決定すればよい。
<変形例6>
上述した実施形態及び変形例におて、インクジェットプリンターは、図3に示すようなラインプリンターであるが、シリアルプリンターであってもよい。例えば、図3に示すヘッド部30の代わりに、Y軸方向の幅がラベル用紙Pの幅よりも狭いヘッド部を備え、キャリッジの主走査方向がY軸方向となるようなインクジェットプリンターであってもよい。シリアルプリンターにおいても、ラベル用紙P上の印刷領域Apにおいて印刷処理を実行し、且つ、印刷外領域Axにおいて吐出異常検出処理を実行することで、吐出異常検出処理に起因して印刷速度が低下することを防止することができる。
また、上述した実施形態及び変形例において、インクジェットプリンターは、圧電素子120の振動板121を振動させることによりノズルNからインクを吐出するものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ141に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることによりキャビティ141内に気泡を生じさせてキャビティ141内部の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。この場合、吐出異常検出部は、吐出部からのインクの吐出の有無を、例えば光学的な方法により検出するものであってもよい。サーマル方式のインクジェットプリンターにおいても、ラベル用紙P上での吐出異常検出処理を行う場合には、吐出異常検出処理に起因して印刷速度が低下することを防止することができる。
要するに、インクジェットプリンターは、ラベル用紙P上で吐出異常検出処理を実行可能なものであればよく、吐出異常検出部は、駆動信号Vinが供給された後の吐出部の動作の物理量を検出することができるものであれよい。
1……インクジェットプリンター、4……給紙位置移動部、6……制御部、30……ヘッド部、32……キャリッジ、35……吐出部、40……モータドライバー、41……キャリッジモーター、42……給紙モーター、50……ヘッドドライバー、51……駆動信号生成部、52……吐出異常検出部、53……切替部、55……検出部、56……判定部、551……波形整形部、552……計測部、70……回復機構、120……圧電素子、121……振動板、141……キャビティ、Ap……印刷領域、Ax……印刷外領域、DT……吐出異常検出回路、Lb……ラベル、N……ノズル、P……ラベル用紙、U……切替回路。

Claims (7)

  1. 記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置であって、
    駆動信号に基づいて駆動することで前記液体を吐出可能なM個(Mは、2以上の整数)の吐出部を具備するヘッド部と、
    前記液体を吐出しまたは非吐出とするように前記吐出部を駆動するための前記駆動信号を、印刷制御信号に基づいて生成する駆動信号生成部と、
    前記M個の吐出部のうち対象吐出部に対して前記駆動信号が供給された後に生じる、当該対象吐出部内の液体の振動を検出して検出信号を生成する検出部と、
    前記検出信号に基づいて前記対象吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、
    移動制御信号に基づいて前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を移動させる相対位置移動部と、
    前記印刷制御信号を前記駆動信号生成部に供給することで前記吐出部の駆動を制御し、
    前記移動制御信号を前記相対位置移動部に供給することで前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を制御するとともに、
    前記M個の吐出部の中から前記対象吐出部を選択する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が前記記録媒体に対して液体を吐出可能となるように前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置が制御される印刷動作期間のうち、
    第1期間において、
    前記M個の吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、α個(αは、1≦α<Mを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、
    前記印刷動作期間のうち、前記第1期間の経過後に開始される第2期間において、
    前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成し、
    前記印刷動作期間のうち、前記第2期間の経過後に開始される第3期間において、
    前記M個の吐出部から前記第1期間において前記対象吐出部として選択された前記α個の吐出部を除いた吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、β個(βは、1≦β≦M−αを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、
    前記印刷動作期間のうち、前記第3期間の経過後に開始される第4期間において、
    前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する、
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置であって、
    駆動信号に応じて変位する圧電素子と、
    内部に前記液体が充填され前記駆動信号に基づく前記圧電素子の変位により当該内部の圧力が増減される圧力室と、
    前記圧力室に通連し前記圧力室の内部の圧力の増減により前記圧力室の内部に充填された前記液体を吐出するノズルと、
    を有する吐出部をM個(Mは、2以上の自然数)具備するヘッド部と、
    印刷制御信号に基づいて前記駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
    前記M個の吐出部のうち対象吐出部に対して前記駆動信号が供給された後に生じる、当該対象吐出部の圧力室内部の圧力の変化に基づく、当該対象吐出部が有する圧電素子の起電力の変化を検出して検出信号を生成する検出部と、
    前記検出信号に基づいて前記対象吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、
    移動制御信号に基づいて前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を移動させる相対位置移動部と、
    前記印刷制御信号を前記駆動信号生成部に供給することで前記吐出部の駆動を制御し、
    前記移動制御信号を前記相対位置移動部に供給することで前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置を制御するとともに、
    前記M個の吐出部の中から前記対象吐出部を選択する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が前記記録媒体に対して液体を吐出可能となるように前記記録媒体に対する前記ヘッド部の相対位置が制御される印刷動作期間のうち、
    第1期間において、
    前記M個の吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、α個(αは、1≦α<Mを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、
    前記印刷動作期間のうち、前記第1期間の経過後に開始される第2期間において、
    前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成し、
    前記印刷動作期間のうち、前記第2期間の経過後に開始される第3期間において、
    前記M個の吐出部から前記第1期間において前記対象吐出部として選択された前記α個の吐出部を除いた吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、β個(βは、1≦β≦M−αを満たす整数)の吐出部を、前記対象吐出部として選択し、
    前記印刷動作期間のうち、前記第3期間の経過後に開始される第4期間において、
    前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部を、前記液体を吐出させるように駆動して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する、
    ことを特徴とする印刷装置。
  3. 前記制御部は、
    第1印刷速度で印刷を行う第1印刷モード、及び、前記第1印刷速度よりも速い第2印刷速度で印刷を行う第2印刷モードを、実行可能であり、
    前記第1印刷モードにより印刷が実行される場合の、前記第1期間において前記制御部が選択する対象吐出部の個数は、
    前記第2印刷モードにより印刷が実行される場合の、前記第1期間において前記制御部が選択する対象吐出部の個数よりも多い、
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記制御部は、
    前記第2期間において、
    前記第1期間における前記制御部が選択した前記α個の対象吐出部のうち、
    前記判定部が、前記駆動信号に基づいて液体を吐出できない状態にあると判定した対象吐出部からは、前記液体を非吐出として、
    前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の印刷装置。
  5. 前記印刷動作期間において、
    前記制御部が選択する前記対象吐出部は、
    前記M個の吐出部の一部または全部の吐出部である、
    ことを特徴とする、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の印刷装置。
  6. 前記印刷装置はラインプリンタである、
    ことを特徴とする、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の印刷装置。
  7. 駆動信号に基づいて液体を吐出可能なM個(Mは、2以上の整数)の吐出部を具備し、
    記録媒体に液体を吐出して、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する印刷装置の制御方法であって、
    前記M個の吐出部のうち少なくとも一部の吐出部が前記記録媒体に対して液体を吐出可能な印刷動作期間において、
    前記M個の吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、α個(αは、1≦α<Mを満たす整数)の吐出部について、前記前記駆動信号に基づいて前記液体を吐出可能であるか否か判定する第1動作を実行し、
    前記第1動作の終了後、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部に前記液体を吐出させて、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する第2動作を実行し、
    前記第2動作の終了後、前記M個の吐出部から前記第1動作における判定の対象となったα個の吐出部を除いた吐出部の中で、前記記録媒体の印刷領域以外の領域に前記液体を吐出可能な吐出部のうち、β個(βは、1≦β≦M−αを満たす整数)の吐出部について前記判定を行う第3動作を実行し、
    前記第3動作の終了後、前記印刷領域に液体を吐出可能な吐出部のうちの一部または全部の吐出部に前記液体を吐出させて、前記記録媒体の印刷領域に画像を形成する第4動作を実行する、
    ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
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