JP2007185804A - 液体吐出装置及び圧力検出方法 - Google Patents

液体吐出装置及び圧力検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】センサー信号に重畳されるノイズ成分を低減し好ましいセンサー信号を得ることができる液体吐出装置及び圧力検出方法を提供する。
【解決手段】第1の電極及び第2の電極を有し、第1の電極から第1のセンサー信号を出力し、第2の電極から第1のセンサー信号と極性が反転した第2のセンサー信号を出力する静電容量型圧力センサー59を用いた圧力室の圧力検出において、圧力センサー59のインピーダンス(静電容量)に基づいて圧力センサー59から得られた第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との間に生じる位相差を補償し、差動増幅処理部212で第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号に差動増幅処理を施すように構成されるので、第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号の同相ノイズが除去される。
【選択図】 図8

Description

本発明は、液体吐出装置及び圧力検出方法に係り、特にノズルから液体を吐出させてメディア上に画像等を形成する液体吐出装置における圧力検出技術に関する。
多数のノズルを有するインクジェットヘッドを備え、このインクジェットヘッドからメディアに向けてインクを吐出することにより、メディア上に画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。
インクジェット記録装置では、インク流路内に気泡が発生すると正常な吐出ができなくなり、結果として印画物にスジが入るなどの画像劣化が生じ、高品質で安定した印画物が得られなくなるといった問題が発生する。このようなインク流路内に発生した気泡を印画する前に確認することは非常に難しく、インク吐出が正常であるか否かを判断するために、テストパターンを印画して、該テストパターンに基づいてインク吐出の状態が判断されていた。
特許文献1に記載された発明では、ヘッドの圧電素子の任意の周波数におけるインピーダンスを測定し、インピーダンスの周波数特性を作成し、その周波数特性により圧電素子に気泡が付着しているかを判断するように構成されている。
また、インクが収容される圧力室に圧電素子などの静電容量型の圧力センサーを備え、該圧力センサーから得られるセンサー信号に基づいて圧力室に発生する圧力を検出して吐出異常の有無を判断する方法が提案されている。圧力センサーから得られるセンサー信号は微小信号であり、外来ノイズや配線間に発生するクロストークノイズなどの影響を受けやすく、これらのノイズに本来検出すべきセンサー信号が埋もれてしまうことがある。このような系のS/N特性を改善してセンサー信号に重畳されるノイズ成分を除去する方法が知られている。例えば、静電容量型圧力センサーを用いる場合、該圧力センサーから極性が反転関係にある2種類信号を取得し、差動アンプを用いた増幅回路でこれらの信号を増幅することで、これらの信号に重畳されるノイズの同相成分を除去するとともに当該センサー信号を増幅し、S/N特性の向上と実質的な圧力センサーの感度の向上を実現する方法がある。
特開平11−334102号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、圧電素子のインピーダンスを測定するには、圧電素子から得られる微小電流及び微小電圧を精度よく測定しなければならない。このような微小電流や微小電圧は外来ノイズや配線間に生じるクロストークノイズ、他のセンサー信号のノイズなどのノイズ成分に埋もれてしまい、精度のよい検出を行うことは非常に困難である。
また、圧力センサーから極性が反転関係にある2種類信号を取得し、差動アンプを用いた増幅回路でこれらの信号を増幅する方法では、圧力センサーから得られた2種類の信号には圧力センサーの厚みに起因する位相差が生じてしまい、その結果ノイズの同相成分が完全に除去することができず、かえってS/N特性を悪化させてしまう可能性がある。特に、多数のノズルが高密度に配置されたヘッドでは、多数の圧力センサーが高密度に配置され、センサー信号を伝送する多数の配線もまた高密度に配置され、このような高密度に配置された多数の配線間では、外来ノイズなどのノイズだけでなく他のセンサー信号によるノイズの影響も受けやすくなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、センサー信号に重畳されるノイズ成分を低減し好ましいセンサー信号を得ることができる液体吐出装置及び圧力検出方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生素子と、前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力発生素子によって発生させた圧力室の圧力に応じた第1の検出信号を出力する第1の電極と前記第1の検出信号の極性を反転した第2の検出信号を出力する第2の電極とを具備する静電容量型の検出素子と、を有する液体吐出ヘッドと、前記検出素子のインピーダンスに基づいて、前記検出素子から得られる第1の検出信号或いは第2の検出信号の何れか一方に位相補償処理を施す位相補償処理部と、前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施された信号及び前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施されていない信号に差動増幅処理を施す差動増幅処理部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、当該検出素子のインピーダンスに基づいて検出素子から得られる第1の検出信号と第2の検出信号との間の位相差を補償したのちに、差動増幅部によって差動増幅処理が施されるので、第1の検出信号及び第2の検出信号に重畳される同相ノイズが除去されるとともに該検出信号が増幅された好ましい検出信号を得ることができる。
検出素子には、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などのフッ化樹脂系圧電素子が好適に用いられる。また、圧力発生素子には、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などのセラミック系圧電素子(圧電アクチュエータ)が好適に用いられる。検出素子及び圧力発生素子として複数の圧電素子を備える態様では、複数の圧力室に対して一体に圧電体を形成して圧力室に対応する部分に駆動信号印加電極を設ける態様を適用してもよいし、各圧力室に対して圧電体を形成して各圧電体に駆動信号印加電極を設ける態様を適用してもよい。
静電容量型の検出素子のインピーダンスには、静電容量(成分)が含まれる。検出素子の静電容量は第1の電極及び第2の電極間の距離に反比例し、この静電容量から第1の電極及び第2の電極間の距離に比例する第1の信号及び第2の信号の位相差を求めることができる。
液体吐出ヘッドには、記録媒体の全幅(記録媒体の画像形成可能幅)に対応した長さの吐出孔列を有するライン型ヘッドや、記録媒体の全幅に満たない長さの吐出孔列を有する短尺ヘッドを記録媒体の幅の方向へ走査させるシリアル型ヘッドがある。
ライン型の液体吐出ヘッドには、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の吐出孔列を有する短尺ヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、記録媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記差動増幅処理部から得られた信号に基づいて、前記圧力室の圧力異常の有無を判断する圧力異常判断部を備えたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
請求項2に係る発明によれば、位相補償処理及び差動増幅処理が施された好ましい検出信号によって圧力室に発生する圧力波を精度よく検出することができ、圧力室の圧力異常を正確に判断することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記検出素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、装置内において検出素子のインピーダンスを測定(検出)することができるので、検出素子の経時変化や装置内の環境変化による検出素子のインピーダンス変化に対応可能である。
インピーダンス検出部には、検出素子に所定の電圧を印加する電圧供給部と、電圧供給部から所定の電圧が印加された状態で検出素子の第1の電極及び第2の電極間の電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部によって検出された電圧と所定の参照電圧とを比較した比較結果から当該検出素子のインピーダンスに対応する電圧値を求める比較処理部と、を備える態様がある。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記検出素子のインピーダンスを記憶する記憶部を備えたことを特徴とする。
請求項4に記載したインピーダンス検出部を備える態様では、検出素子のインピーダンスを検出するたびに、記憶部内に格納されている情報を書き換える(更新する)ように構成するとよい。
記憶部に付随して、該記憶部への情報の書き込み及び記憶部からの情報の読み出しを制御する記憶制御部を供える態様が好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記液体吐出ヘッドは、複数の前記ノズル及び複数の前記圧力室を備えるとともに該複数の圧力室のそれぞれに対応する複数の前記検出素子を備え、前記記憶手段には、前記複数の検出素子ごとにインピーダンスが記憶されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、検出素子ごとのインピーダンスのバラつきに対応することができ、何れの検出素子でも好ましい圧力検出が可能である。また、信号の遅れ時間が改善されるため、複数の検出素子の検出を同時に行うことができ、検出速度の向上(計測時間短縮化)が見込まれる。
また、本発明は上記目的を達成する方法発明を提供する。即ち、請求項6に係る吐出異常検出方法は、液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生素子と、前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力発生素子によって発生させた圧力室の圧力に応じた第1の検出信号を出力する第1の電極と前記第1の検出信号の極性を反転した第2の検出信号を出力する第2の電極とを具備する検出素子と、を有する液体吐出ヘッドの圧力検出方法であって、前記検出素子のインピーダンスに基づいて、前記検出素子から得られる第1の検出信号或いは第2の検出信号の何れか一方に位相補償処理を施す位相補償処理工程と、前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施された信号及び前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施されていない信号に差動増幅処理を施す差動増幅処理工程と、を含むことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項6記載の圧力検出方法の一態様に係り、オフライン時に前記検出素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出工程を含むことを特徴とする。
オフライン時とは、実画像の記録を実行しない非印字時を示し、電源投入時、イニシャライズ実行時、リセット実行時などが含まれる。
本発明によれば、当該検出素子のインピーダンスに基づいて検出素子から得られる第1の検出信号と第2の検出信号との間の位相差を補償したのちに、差動増幅部によって差動増幅処理が施されるので、同相ノイズが除去されるとともに増幅された好ましい検出信号を得ることができる。
また、位相補償処理及び差動増幅処理が施された好ましい検出信号によって圧力室に発生する圧力波を精度よく検出することができ、圧力室の圧力異常を正確に判断することができる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(液体吐出装置)の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインク供給タンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙16を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録紙16の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向(紙送り方向)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが紙搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔インクジェットヘッドの構造〕
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a),(b) 中の4−4線に沿う断面図である。
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a),(b) に示したように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列 を有するラインヘッドを構成してもよい。
なお、本例では圧力室52の平面形状が略正方形である態様を示したが、圧力室52の平面形状は略正方形に限定されず、略円形状、略だ円形状、略平行四辺形(ひし形)など様々な形状を適用することができる。また、ノズル51や供給口54の配置も図3に示す配置に限定されず、圧力室52の略中央部にノズル51を配置してもよいし、圧力室52の側壁側に供給口54を配置してもよい。
図3(b) に示すように、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度配置されたノズルを有するヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
図4に示すように、圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される加圧板56には個別電極57を備えた圧電アクチュエータ58(吐出力発生素子)が接合されており、個別電極57に駆動電圧(駆動信号)を印加することによって圧電アクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
一方、インクの吐出やリフィルなどによって圧力室52の加圧板56と対向する面(圧力室52の底面)に設けられた圧力センサー59が圧力を受けると、圧力センサー59にはこの圧力に応じた歪み(応力)が生じ、圧力センサー59からこの歪みに応じたセンサー信号(検出信号)を得ることができる。
本例の圧力センサー59には静電容量型の圧力センサーが適用され、圧力室側と圧力室の反対側の面にそれぞれセンサー信号の取出電極である第1の電極100及び第2の電極102が設けられており、第1の電極100及び第2の電極102から圧力センサー59に与えられた応力に比例した第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号を出力するように構成される。
即ち、第1の電極100から第1のセンサー信号が出力され、第2の電極102から第1のセンサー信号を反転した第2のセンサー信号(反転信号)が出力されるフローティング出力型のセンサーが適用される。
なお、第1の電極100の圧力室52側及び第2の電極102の圧力室52と反対側の面には絶縁処理が施される。また、圧力センサー59の変位を妨げないように圧力センサー59の第2の電極102の圧力室52と反対側には空間部を設ける態様が好ましい。
また、圧電アクチュエータ58の加圧板56と反対側には、圧電アクチュエータ58に与える駆動信号や圧力センサー59から得られたセンサー信号を伝送する配線パターンが形成されたフレキシブルケーブル(フレキシブル基板)110が配設される。フレキシブルケーブル110と加圧板56との間には、圧電アクチュエータ58とフレキシブルケーブル110との間に空間部112を形成するとともに、フレキシブルケーブル110を図4の下側から支持する支持部材114が設けられている。
圧電アクチュエータ58の上部側(圧電アクチュエータ58とフレキシブルケーブル110との間)に空間部112を設けることで、圧電アクチュエータ58を駆動させる際に圧電アクチュエータ58の変位を規制することなく、該圧電アクチュエータ58の発生圧力の損失を抑えることができる。
フレキシブルケーブル110は、エポキシやポリイミドなどの樹脂部材から成る支持層(絶縁層)に銅などの導電体層(配線パターン)が形成された構造を有している。本例では、3層以上の導電体層と複数の支持層とを交互に積層した多層構造を有するフレキシブルケーブルが適用される。
圧電アクチュエータ58の個別電極57は、加圧板56の圧電アクチュエータ配設面56Aに形成される水平配線(不図示)と導通する。言い換えると、個別電極57は加圧板56の圧電アクチュエータ配設面に引き出されて該水平配線と接合される。
この水平配線は、支持部材114を貫通するように形成される垂直配線120(破線で図示)と導通する。更に、垂直配線120はフレキシブルケーブル110に形成される配線パターンと導通するように構成される。
即ち、圧電アクチュエータ58に与えられる駆動信号は、該駆動信号が生成されるブロック(図7に示すプリント制御部80及びヘッドドライバ84)からフレキシブルケーブル110と、ヘッド50に形成される垂直配線120及び不図示の水平配線と、を介して圧電アクチュエータ58の個別電極57へ伝送される。
また、圧力センサー59の第1の電極100及び第2の電極102から得られるセンサー信号は、それぞれに導通する水平配線122,124と、圧力室52や共通流路55などが形成される流路構造体50Aの一部と、加圧板56及び支持部材114を貫通するように形成される垂直配線126,128と、フレキシブルケーブル110と、を介して、該センサー信号の信号処理ブロック(図7に示す信号処理部85)へ伝送される。
即ち、駆動信号が伝送される駆動信号配線(図8に符号146−iで図示)は、フレキシブルケーブル110の配線パターンと、垂直配線120と、不図示の水平配線と、を含んで構成され、センサー信号を伝送するセンサー信号配線(図8に符号140−i,142−i(但し、i=1、2、…、N)で図示)は、フレキシブルケーブル110の配線パターンと、垂直配線126,128と、水平配線122,124と、を含んで構成される。
図4に示す圧電アクチュエータ58にはPZT(Pb(Zr・Ti)O3 、チタン酸ジルコン酸鉛)などのセラミック材料を用いた圧電素子が好適に用いられ、圧力センサー59には、PVDF(Polyvinylidene fluoride 、ポリフッ化ビニリデン)やPVDF−TrFE(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体)などのフッ化樹脂材料を用いた圧電素子が好適に用いられる。
一般に、吐出力を発生させる圧電アクチュエータ58には等価圧電定数(d定数、電気機械変換定数、圧電歪定数)の絶対値が大きく駆動特性に優れた圧電素子が好ましく、圧力を検出する圧力センサー59には圧電出力係数(g定数、機械電気変換定数、圧電応力定数)が大きく検出特性に優れた圧電素子が好ましい。即ち、駆動特性に優れた圧電素子にはPZTなどのセラミック系材料が好適であり、一方、検出特性に優れた圧電素子にはPVDFやPVDF−TrFEなどのフッ化樹脂系材料が好適である。セラミック系材料にはチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr・Ti)O3 )があり、強誘電体のチタン酸鉛(PbTiO3 )と反強誘電体のジルコン酸鉛(PbZrO3 )を基本組成とし、この2成分の混合比を変えることによって圧電、誘電、弾性などの諸特性をコントロールできる。
なお、圧力室52内のインクに吐出力を与える圧電アクチュエータ58及び圧力室52の圧力を検出する圧力センサー59との配置は図4に示す配置に限定されず、それぞれを圧力室52の同一壁面に備えてもよいし、異なる壁面に備えてもよい。
図5には、ヘッド50の他の構造例を示す。図5に示す構造例では、各圧力室52に対応して配設される圧電アクチュエータ58の個別電極57から垂直方向に立ち上がるように垂直配線120が形成される。
また、センサー信号が伝送される垂直配線126,128は、圧力センサー59の第1の電極100及び第2の電極102から立ち上がり、圧力室52などが形成される流路構造体50Aの一部及び加圧板56を貫通し、更に、垂直配線120が立ち並んだ空間を貫通するように(垂直配線120が配設される空間に立ち並ぶように)形成される。なお、図5に示す符号130,132は、圧力センサー59の第1の電極100の圧力室側に形成された絶縁層(保護層)及び、第2の電極102の圧力室と反対側に形成された絶縁層である。
このように、加圧板56とフレキシブルケーブル110との間に柱状の垂直配線120,126,128が立ち並んだ空間は、該空間から供給側流路54A及び供給口(供給絞り)54を介して各圧力室52にインクを供給するための共通流路(共通液室)55となっている。
図5には、インク室ユニット53を1つだけ図示し、共通流路55及びフレキシブルケーブル110の一部を図示したが、本例における共通流路55は、図3(a)に示すすべての圧力室52にインクを供給するように、圧力室52が形成された全領域にわたって形成される1つの大きな空間となっている。なお、共通流路55の構造はこのように大きな1つの空間として形成されるものに限定されず、いくつかの領域に分かれて複数形成されてもよい。
図5に示す垂直配線120、126,128は、フレキシブルケーブル110を下側から支え、共通流路55となる空間を形成している。この柱のように立ち上がった垂直配線120をエレキ柱と呼ぶことがあり、また、垂直配線126,128はセンサー柱と呼ぶことがある。本例では、垂直配線120は各圧電アクチュエータ58に対して1つずつ形成され、垂直配線126,128は各圧力センサー59の第1の電極100及び第2の電極102のそれぞれに対して1つずつ形成される。配線数を削減するために複数の圧電アクチュエータ58に対応する配線をまとめて1つの垂直配線120としてもよいし、複数の圧力センサー59に対応する配線をまとめて1つの垂直配線126,128としてもよい。
〔インク供給系の説明〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
インク供給タンク60はインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図6に示すように、インク供給タンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図6には図示しないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面の清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、圧電アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(圧電アクチュエータ58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)圧電アクチュエータ58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ64(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
また、ヘッド50内(圧力室52内)のインクに気泡が混入した場合、圧電アクチュエータ58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合にはヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構(ワイパー)によりヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。なお、該ブレード機構によりインク吐出面の汚れを清掃した際に、該ブレードによってノズル51内に異物が混入することを防止するために予備吐出が行われる。
〔制御系の説明〕
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84、信号処理部85(信号処理手段)等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal serial bus)、IEEE1394、イーサネット(商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。
メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータなどのモータ88や後乾燥部42のヒータ等のヒータ89を制御する制御信号を生成する。
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。また、ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42やインクジェット記録装置10内、ヘッド50内の温度調整用ヒータなどのヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成された印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yの圧電アクチュエータ58を駆動する。即ち、ヘッドドライバ84では、プリント制御部80から得られたドットデータに基づいて圧電アクチュエータ58へ供給される駆動信号が生成され、該駆動信号は、所定の回路及び配線等を介して各圧電アクチュエータ58へ供給される。なお、ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
即ち、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データがメモリ74に記憶される。メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータに基づき、ヘッド50の駆動制御信号を生成する。ヘッドドライバ84で生成された駆動制御信号がヘッド50に加えられることによって、ヘッド50からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
信号処理部85は、図4に示した圧力室52の圧力変動に応じて圧力センサー59から得られるセンサー信号にノイズ除去や増幅などの所定の信号処理を施す信号処理ブロックである。インクジェット記録装置10では、信号処理部85によって所定の信号処理を施されたセンサー信号に基づいて圧力室52の圧力異常の有無が判断される。なお、信号処理部85の詳細は後述する。
図7のプログラム格納部90には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記憶媒体のうち、複数種類の記憶媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部90は動作パラメータ等の記憶手段(不図示)と兼用してもよい。
なお、本例では、機能ブロックとしてシステムコントローラ72やメモリ74、プリント制御部80などを個別のブロックとして図示したが、これらを集積化して1つのプロセッサとして構成してもよい。また、システムコントローラ72の一部の機能と、プリント制御部80の一部の機能と、を1つのプロセッサとして実現することも可能である。
〔圧力検出の説明〕
次に、圧力室52の圧力検出について説明する。図8は、図7の信号処理部85の圧力検出に関する回路ブロックの構成を示すブロック図である。上述したように、インクジェット記録装置10(ヘッド50)はN個の圧力室52(ノズル51)を有し、該圧力室52のそれぞれに圧力センサー59−i(i=1、2、…、N)を備えている。
この圧力センサー59−iの第1の電極100には第1のセンサー信号を伝送する配線140−i(i=1、2、…、N)が接合され、第2の電極102には、第2のセンサー信号を伝送する配線142−iが接合される。なお、図8には、ヘッドドライバ84から駆動信号配線146−iを介して送出される駆動信号によって駆動されるN個の圧電アクチュエータ58のうち1つだけを図示し符号58−i(i=1、2、…、N)で表している。
ヘッドドライバ(駆動回路)84から駆動信号配線146−iを介して所定の圧電アクチュエータ58−iに駆動信号が印加されると、圧力室52が変形してノズル51からインクが吐出される。このとき圧力センサー59の第1の電極100及び第2の電極102から圧力室52に発生する圧力に比例した第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号が出力される。この第1、第2のセンサー信号は、センサー信号配線140−i,142−iを介して信号処理部85に送られる。
なお、図8に図示する第1のセンサー信号配線140−i及び第2のセンサー信号配線142−iには、図4の垂直配線120やフレキシブルケーブル110に形成される配線パターンを含み、各圧力センサー59−iから信号処理部85までの配線を表している。また、図8に図示する駆動信号配線146−iには、図4の水平配線122,124や垂直配線126,128、フレキシブルケーブル110に形成される配線パターンを含み、ヘッドドライバ84から圧電アクチュエータ58−iまでを表している。
図8に示す信号処理部85は、N個の圧力センサー59−iから第1、第2のセンサー信号を取得するセンサーを選択するN個のスイッチ素子200−iを有するマルチプレクサ回路(スイッチIC)202と、該マルチプレクサ回路202を介して取得した第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号の送出先を切り替えるスイッチ素子204、206と、マルチプレクサ回路202によって選択された圧力センサー59−iのインピーダンス(静電容量)を検出するインピーダンス検出部208と、第2のセンサー信号に位相補償処理(進み位相処理)を施す位相補償処理部210と、第1のセンサー信号と位相補償処理が施された第2のセンサー信号の差分を求める差動増幅処理部212と、インピーダンス検出部208と位相補償処理部210との間に設けられたスイッチ素子214と、を有して構成される。
なお、図8に示すスイッチIC202が有するスイッチ素子200−iは、各圧力センサー59から得られる第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号に対応した2回路を含んで構成されている。
図3に示すように、ヘッド50が有する圧力室52は2次元状に高密度に配置されており、各圧力室52に備えられた圧力センサー59及び、該圧力センサー59−iから得られる第1のセンサー信号を伝送する第1のセンサー信号配線140−i及び第2のセンサー信号を伝送する第2のセンサー信号配線142−iもまた高密度に配置される。
このような高密度配線では、他の圧力センサー59−iから得られたセンサー信号のノイズ(クロストークノイズ)が重畳されやすくなり、このような第1のセンシング信号及び第2のセンシング信号における同相ノイズは、第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との差分を求めることで除去が可能である。また、第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との差分を求めることで第1、第2のセンサー信号を2倍に増幅したセンサー信号を得ることができ、実質的な圧力センサー59−iの感度を向上したことになる。
しかしながら、図4、図5に示す静電容量型の圧力センサー59は、第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との間に、その厚みD(図9参照)に起因する位相差(図12(a)のΔt)が生じてしまい、第1のセンサー信号と第2のセンサー信号に重畳される同相ノイズの除去が困難になり、S/N特性を劣化させてしまう恐れがある。
ここで、図9を用いて圧力センサー59の厚みDと第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号間に生じる位相差について説明する。
図9は、圧力センサー59の概略構造を示す斜視図である。図9に示すように、圧力センサー59は、第1の電極100側から圧力を受けると第1の電極100から第1のセンサー信号が出力され、更に、その圧力は樹脂層59Aの内部を伝搬して第2の電極102側に達し、第2の電極102から第2のセンサー信号が出力される。
言い換えると、第1の電極から第1のセンサー信号が出力されてから圧力が樹脂層59Aを伝搬する時間だけ遅れて第2の電極102から第2のセンサー信号が出力されることになる。例えば、樹脂層59A内を圧力が音速(水中の場合1500m/s)で伝搬されるとし、樹脂層59Aの厚みDが40μmの場合には、第1のセンサー信号が出力されてから第2のセンサー信号が出力されるまでの時間(位相差)Δtは、t=(40×10−6)/1500≒27×10−9(sec)となる。
図9に示す圧力センサー59は、2つの対向する電極(第1の電極100及び第2の電極102)間に誘電体(樹脂層59A)がはさまれた構造を有しており、電気的にはコンデンサと等価である。したがって、樹脂層59Aの誘電率をε、第1の電極100及び第2の電極102の面積をS、樹脂層59Aの厚みをDとすると、圧力センサー59−iの静電容量Cは、C=(ε×S)/Dで表すことができる。
即ち、圧力センサー59の静電容量Cを検出(測定)し、その検出結果から圧力センサー59の厚みDを求めることができ、位相差Δtを求めることができる。
本例の圧力検出は、各圧力センサー59の静電容量Cを測定して位相差Δtを求め、各圧力センサー59から得られる第2のセンサー信号に所定の位相補償処理を施すように構成される。
図8に示すインピーダンス検出部208では、マルチプレクサ回路202によって選択された圧力センサー59−iのインピーダンス(静電容量C)が検出される。インピーダンス検出部208によるインピーダンス検出は、該インクジェット記録装置10の工場出荷時や、メンテナンス時、電源投入時(イニシャライズ実行時、リセット実行時)などのタイミングで行われる。
インピーダンス検出を実行するときには、図8のスイッチ素子204、206及び214をA側に設定し(破線で図示)、マルチプレクサ回路202によって選択された圧力センサー59−iの第1、第2のセンサー信号をインピーダンス検出部208に送出する。また、インピーダンス検出部208と位相補償処理部210との接続は遮断する。インピーダンス検出はN個のすべての圧力センサー59−iについて行われ、所定のメモリ(記憶素子)に記憶される。
インクジェット記録装置10の稼動時(画像記録時)には、図8のスイッチ素子204,206及び214をB側に設定し(実線で図示)、第1のセンサー信号は差動増幅処理部212に送出され、第2のセンサー信号は位相補償処理部210に送出される。
また、第1及び第2のセンサー信号を取得した圧力センサー59−iのインピーダンス情報がインピーダンス検出部208から位相補償処理部210に読み出される。なお、図8に示したスイッチ素子204、206及び214には、アナログスイッチなどの電気的スイッチ素子を適用可能である。
図10には、図8のインピーダンス検出部208の構成例を示す。図10に示すように、インピーダンス検出部208は、所定の電圧Vccを有する電圧供給源220と、その一方の電極が電圧供給源220に接続され、他方の電極が圧力センサー59(静電容量Cx)の第1の電極100に接続される既知の静電容量C1を有するコンデンサ222と、所定の参照電圧(Vref)を有する参照電圧発生部226と、該参照電圧Vrefと電圧供給源220の電圧Vccをコンデンサ222及び圧力センサー59(C)で分圧した電圧とを比較して、参照電圧Vrefに対する差分を出力する電圧比較部228と、電圧比較部228から得られたアナログ信号をデジタル信号変換するADコンバータ(ADC)230と、ADコンバータ230でデジタル変換された信号(情報)をメモリ232に記憶し、メモリ232に記憶された情報を読み出し、図8の位相補償処理部210に送出するCPU(メモリコントローラ)234と、を有して構成されている。
コンデンサ222の一方の電極222Aは電圧供給源220に接続され、他方の電極222Bは、圧力センサー59の第1の電極100に接続される。このコンデンサ222の電極222Bと圧力センサー59の第1の電極100は、電圧比較部228の入力部228Aに接続される。
電圧比較部228は差動アンプを含んで構成され(図10には差動アンプを表す記号で電圧比較部228を図示)、その一方の入力部228Aには、電圧供給源220の電圧Vccをコンデンサ222と圧力センサー59で分圧した電圧(圧力センサー59に電荷が充電されて飽和状態になったときの圧力センサー59の第1の電極100及び第2の電極102間の電圧)が入力され、他方の入力部228Bには圧力センサー59の理論上(設計上)の基準静電容量に対応する参照電圧Vref(直流電圧)が入力される。
電圧比較部228では、参照電圧Vrefと圧力センサー59の第1及び第2の電極間に発生する電圧が等しい場合には0Vを出力し、参照電圧Vrefよりも圧力センサー59の第1及び第2の電極間に発生する電圧が大きい場合には、参照電圧のVrefとの差分電圧に対応する電圧値が出力される。この電圧値が圧力センサー59の静電容量情報としてメモリ232に記憶される。
圧力センサー59の静電容量Cが設計値(または規格値)よりも大きい場合には、電圧比較部228の入力228Aに入力される電圧が参照電圧Vrefよりも大きくなり、差分電圧に対応する電圧が電圧比較部228から出力される。電圧比較部228の出力電圧は、圧力センサー59の静電容量Cに比例して大きくなる。
電圧比較部228の出力信号は、A/Dコンバータ(ADC)230によってデジタル変換され、圧力センサー59ごとの静電容量情報(厚み情報、位相差情報)としてCPU(メモリコントローラ)234を介してメモリ232に記憶される。なお、図10に示す電圧比較部228の出力を該差分電圧に対応するデジタルパルスとすることで、図10のA/Dコンバータ230を省略する態様も可能である。また、図10に示すメモリ232は、図7に示す他のメモリや、制御系に用いられるプロセッサ類に内蔵されるメモリなどと兼用可能である。
画像記録時には、インク吐出が行われたノズル51に対応する圧力室52の圧力検出が逐次実行される。図8に示すスイッチ素子204、206及び214をB側(実線で図示)に設定し、マルチプレクサ回路202を逐次切り替えてインク吐出が行われたノズル51に対応する圧力室52の圧力センサー59−iから第1及び第2のセンサー信号を取得する。
第1のセンサー信号は差動増幅処理部212の一方の入力に送られ、第2のセンサー信号は位相補償処理部210で位相補償処理が施された後に、差動増幅処理部212の他方の入力に送られる。
図11には、図8に示す位相補償処理部210の構成例を示す。図11に示すように、位相補償処理部210は、第1のアンプ242(AMP1)及びその周辺回路を構成する抵抗器244(R)、246(R)、248(R)、コンデンサ250(C)、252(Cver)を含む前段回路と、第2のアンプ260(AMP)を含む後段回路と、から構成される。
図11に示す前段回路では、コンデンサ252はその静電容量を可変可能な可変容量コンデンサ(バリアブルコンデンサ)が用いられ、コンデンサ252の静電容量を可変させて、入力部Vinに入力される信号(本例では、第2のセンサー信号)に対して所定の時間だけ位相を進める進み位相処理(移相処理)が施される。
即ち、入力部Vinに入力される第2のセンサー信号に対応する圧力センサー59の静電容量の情報が図8に示すメモリ234から読み出され、この静電容量の情報に基づいてコンデンサ252の静電容量が決められる。
後段回路では、ユニティゲイン(ゲイン1)の反転増幅回路を含み、前段回路で極性が反転した第2のセンサー信号を反転し、入力部Vinに入力された第2のセンサー信号と極性を合わせる信号処理が施される。なお、後段回路による時間遅れは、前段回路を構成するコンデンサ250によって前段回路で補償される(後段回路の時間遅れを見越して前段回路で予め位相を進めておく)。このようにして、出力部Voutから位相補償処理が施された第2のセンサー信号が出力される。
図11に示す位相補償処理部210では、アンプ242を含む反転増幅回路をベースに、抵抗248(R)及びコンデンサ250(C)、可変容量コンデンサ252(Cver)によって決められる+入力の時定数に対応する周波数近傍での入出力関係の位相のみが大きく変化する。この位相補償処理部210における入力電圧Vinと出力電圧Voutとの関係はR=Rの場合、次式〔数1〕で表される。
〔数1〕
A=Vout/Vin
={1−j×ω×Cver×R}/{1+j×ω×Cver×R
但し、Aはアンプ242の電圧利得、ωは上述した+入力の時定数で決まる周波数である。上記〔数1〕では、電圧利得Aの絶対値はωに依存せず1となるが、ω=Cver×Rの近傍で位相が1(0°)から−1(180°)へ変化する。なお、図11の前段回路のコンデンサCは、後段回路の位相遅れを補償するために設けられており、第2のセンサー信号の位相補償処理には直接的に関与しないので、上記〔数1〕ではCを省略した。なお、図11に示す位相補償処理部210において、可変容量コンデンサ252に代わり電圧可変容量ダイオードを適用してもよい。
即ち、圧力センサー59の静電容量が大きい場合には検出信号間の進み位相差が大きくなるので、この進み位相差をキャンセルするように可変容量コンデンサ(電圧可変容量ダイオード)の値が決められる。
本例では、遅れ位相となっている第2のセンサー信号に進み位相を発生させる態様を示したが、進み位相となっている第1のセンサー信号に遅延(ディレィ)回路などの回路ブロックを付加して遅れ位相を発生させる態様も可能である。
図12(a)には、図11に示す入力部Vinに入力される第2のセンサー信号300の一例を示し、図12(b)には、図11に示す出力部Voutから得られる位相補償された第2のセンサー信号302を示す。
図12(a),(b)に示すように、位相補償処理部210によって移相遅れΔtが補償された第2のセンサー信号302を得ることができる。
このようにして得られた位相補償処理が施された第2のセンサー信号(図12(b)の符号302)及び第1のセンサー信号は、図8の差動増幅処理部212に送られる。差動アンプ及びその周辺回路を含む差動増幅処理部212では、第1のセンサー信号及び第2のセンサー信号の同相ノイズが除去されるとともに、その振幅が2倍に増幅されたセンサー信号が得られる。
このようにして得られたセンサー信号は図7のプリント制御部80に送出され、該センサー信号(圧力室52の圧力情報)に基づいて圧力室52の圧力異常の有無(言い換えると、当該圧力室52と連通するノズル51の吐出異常の有無)が判断される。
ここで、圧力検出結果に基づく吐出異常判断の一例を説明する。圧力室52の圧力異常の原因には、圧力室52内における気泡発生(気泡混入)や、ノズル51内及び圧力室52内のインクの物性変化(増粘)などが考えられる。このような原因によって圧力室52に圧力異常が発生すると、圧力室52に発生する圧力波のピーク値や周波数が変化するので、図8の信号処理部85から得られたセンサー信号(検出信号)に基づいて該圧力波のピーク値や周波数を求め、圧力室52の圧力異常を判断することができる。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10は、圧力センサー59の厚みに起因する第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との位相差を補償するように構成されるので、第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との信号時間遅れが改善され、同相分ノイズが差動アンプを用いた差動増幅処理によって除去可能になるとともに、センサー信号が増幅されS/N特性の向上に寄与する。
また、第1のセンサー信号と第2のセンサー信号との位相差を解消することで、複数の圧力センサー59の略同時検出が可能になり、計測時間の短縮化が見込まれる。また、圧力センサー59の製造上の厚みバラつきによる検出精度の低下を抑制することが可能になる。
上記実施形態では、記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、短尺の記録ヘッドを往復移動させながら画像記録を行うシャトルヘッドを用いるインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
上記実施形態ではヘッド50に備えられるノズル51からインクを吐出させて、記録紙16上に画像を形成するインクジェット記録装置10を示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、レジストなどインク以外の液体で画像(立体形状)を形成する画像形成装置や、ノズル(吐出孔)から薬液、水などを吐出されるディスペンサ等の液体吐出装置などにも広く適用可能である。
本発明に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 ヘッドの立体構造を示す断面図 図4に示すヘッドの他の態様を示す断面図 図1に示すインクジェット記録装置のインク供給系の概略構成を示すブロック図 図1に示したインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図7に示す信号処理部の構成例を示すブロック図 図4に示すセンサーの構造例を示す斜視図 図8に示すインピーダンス検出部の構造例を示すブロック図 図8に示す位相補償処理部の構成を示すブロック図 位相補償処理による第2のセンサー信号の変化を説明する図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…圧電アクチュエータ、59…圧力センサー、80…プリント制御部、85…信号処理部、100…第1の電極、102…第2の電極、140,142…検出信号配線、208…インピーダンス検出部、210…位相補償処理部、212…差動増幅処理部、232…メモリ、242…アンプ、252…可変容量コンデンサ

Claims (7)

  1. 液体を吐出させるノズルと、
    前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、
    前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生素子と、
    前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力発生素子によって発生させた圧力室の圧力に応じた第1の検出信号を出力する第1の電極と前記第1の検出信号の極性を反転した第2の検出信号を出力する第2の電極とを具備する静電容量型の検出素子と、
    を有する液体吐出ヘッドと、
    前記検出素子のインピーダンスに基づいて、前記検出素子から得られる第1の検出信号或いは第2の検出信号の何れか一方に位相補償処理を施す位相補償処理部と、
    前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施された信号及び前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施されていない信号に差動増幅処理を施す差動増幅処理部と、
    を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記差動増幅処理部から得られた信号に基づいて、前記圧力室の圧力異常の有無を判断する圧力異常判断部を備えたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記検出素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出部を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出装置。
  4. 前記検出素子のインピーダンスを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体吐出装置。
  5. 前記液体吐出ヘッドは、複数の前記ノズル及び複数の前記圧力室を備えるとともに該複数の圧力室のそれぞれに対応する複数の前記検出素子を備え、
    前記記憶手段には、前記複数の検出素子ごとにインピーダンスが記憶されることを特徴とする請求項4記載の液体吐出装置。
  6. 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルに対応して設けられた圧力室と、前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力室に圧力を発生させる圧力発生素子と、前記圧力室を構成する壁面に設けられ、前記圧力発生素子によって発生させた圧力室の圧力に応じた第1の検出信号を出力する第1の電極と前記第1の検出信号の極性を反転した第2の検出信号を出力する第2の電極とを具備する検出素子と、を有する液体吐出ヘッドの圧力検出方法であって、
    前記検出素子のインピーダンスに基づいて、前記検出素子から得られる第1の検出信号或いは第2の検出信号の何れか一方に位相補償処理を施す位相補償処理工程と、
    前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施された信号及び前記第1の検出信号或いは前記第2の検出信号のうち位相補償処理が施されていない信号に差動増幅処理を施す差動増幅処理工程と、
    を含むことを特徴とする圧力検出方法。
  7. オフライン時に前記検出素子のインピーダンスを検出するインピーダンス検出工程を含むことを特徴とする請求項6記載の圧力検出方法。
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