JP3838309B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に装着される車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車に装着される車両用空調装置は、エンジンよって駆動されて冷媒ガスを圧縮するコンプレッサと、コンプレッサによって圧縮され高温、高圧となったガス状の冷媒を外気によって強制的に冷却して液化するコンデンサと、コンデンサで液化した冷媒を一時的に貯留するとともに冷媒に混入した水分を除去するレシーバドライヤと、レシーバドライヤからの高温・高圧の液化された冷媒を小孔から噴射させることにより、急激に膨張させて低温、低圧で霧状の冷媒にするエキスパンションバルブと、エキスパンションバルブからの霧状の冷媒をチューブ内に通過させ、この気化の際にチューブ間のフィンを介して周囲の空気から潜熱を奪うことにより冷却空気を得るエバポレータと、これらの各機器間を接続する管路とによって概略構成されている。
【0003】
従来、このような車両用空調装置を自動車に装着する場合、例えば、エンジン組立ラインにおいて、エンジン側にコンプレッサ等を取付け、車両総組立ラインにおいて、車体側にコンデンサ、レシーバドライヤ、エキスパンションバルブ等を取付け、エンジンを車体に搭載した後、各機器間を接続するパイプおよびホース類を組付けるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、車両総組立ラインにおける作業工程が多く、また、車体にエンジンを搭載した後のエンジンルーム内の狭い空間において、各機器間を接続するパイプおよびホース類を取付けることになるため、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、車両への組付作業性を改善した車両用空調装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明の車両用空調装置は、エンジンと変速機とが左右に並べて連結されて前記変速機の前方に前記エンジンのラジエータが配置されたパワーユニットに、前記エンジンの前部の前記変速機とは反対側の端部に取付けられるコンプレッサと、前記ラジエータの前方に配置されるコンデンサと、前記変速機の前方の前記エンジンとは反対側に配置されるレシーバドライヤと、前記コンプレッサと前記コンデンサとを接続するディスチャージホースと、前記コンデンサと前記レシーバドライヤとを接続するパイプと、前記レシーバドライヤの出口に接続されるレシーバ出口ホースとを組み付けてサブアセンブリとし、
左右両側に配置されたサイドフレームと、前方に配置されたクロスメンバと、後方に配置されたダッシュパネルとで囲まれたエンジンルームが前部に配置された車体に、エキスパンションバルブ及びエバポレータを組み付け、前記エキスパンションバルブの入口及び前記エバポレータの出口を前記変速機の後方の前記ダッシュパネルから前記エンジンルーム内に突出させ、前記エバポレータの出口に接続されるサクションホースを前記ダッシュパネルに沿って前記サイドフレームの外側に配置されたストラットタワー側へ延出させると共に前記ダッシュパネルに取付けられたマスタシリンダの近傍を通して前記ストラットタワーにクランプし、更に、前記サイドフレームに沿って前方へ延ばし、
前記サブアセンブリを前記エンジンルームに搭載する際、前記レシーバ出口ホースを前記エキスパンションバルブの入口に接続すると共に前記サクションホースを前記コンプレッサの入口に接続して冷凍サイクルを形成して、前記ディスチャージホースと、前記レシーバ出口ホースと、前記サクションホースとで前記パワーユニットを取囲むようにしたこと特徴とする。
【0007】
このように構成したことにより、サブアセンブリを車体に搭載する際、サブアセンブリ側に組み付けられたコンプレッサ及びレシーバ出口ホースと車体側に組み付けられたサクションホース及びエキスパンションバルブの入口との2か所のみをそれぞれ接続することによって冷凍サイクルが形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1および図2に示すように、自動車の車体前部の左右両側に配置されたサイドフレーム1,2およびサイドエプロンパネル3,4と、車体前端部の上下にそれぞれ配置されたロワクロスメンバ5およびアッパクロスメンバ6と、車室7との隔壁であるダッシュパネル8とで囲まれたエンジンルーム9内に、エンジン10とトランスアクスル11(変速機)とを連結したパワーユニット12が搭載されている。図1中、13,14はストラットタワーである。
【0016】
エンジン10のサイドフレーム2側の前部には、コンプレッサ15が取付けられている。ロワクロスメンバ5とアッパクロスメンバ6との間のサイドフレーム1側の部位には、ラジエータ16が取付けられ、その前部にコンデンサ17が取付けられている。ラジエータ16のサイドフレーム1側の側部には、レシーバドライヤ18が取付けられている。ダッシュパネル8のサイドフレーム1側には、車室7側にエキスパンションバルブ19およびエバポレータ20を備えたクーリングユニット21が取付けられており、エキスパンションバルブ19の入口19a およびエバポレータ20の出口20a がエンジンルーム9内に突出されている。
【0017】
そして、コンプレッサ15の出口は、ディスチャージホース22(管路)によってコンデンサ17の入口に接続されている。コンデンサ17の出口は、コンデンサ17と一体に設けられパイプ23(管路)によってレシーバドライヤ18の入口に接続されている。レシーバドライヤ18の出口は、レシーバ出口ホース24によってエキスパンションバルブ19の入口19a に接続されている。エキスパンションバルブ19に接続されたエバポレータ20の出口20a は、サクションホース25を介してコンプレッサ15の入口に接続されている。このようにして、各機器間が管路によって接続されて冷凍サイクルが構成されている。
【0018】
ディスチャージホース22は、図3に示すように、可撓性を有する成型ホース26の両端部に、それぞれコンプレッサ15側およびコンデンサ17側に接続されるジョイント部27a ,28a を有する適宜形状に折曲されたパイプ27,28が結合されており、エンジン10に取付けられたコンプレッサ15の出口から車体に取付けられたコンデンサ17の入口まで延びる形状に形成されている。図3中、29はプロテクタである。
【0019】
レシーバ出口ホース24は、図4に示すように、可撓性を有する成型ホース30の両端部に、それぞれレシーバドライヤ18側およびエキスパンションバルブ19側に接続されるジョイント部31a および32a を有する適宜形状に折曲されたパイプ31,32が結合されており、ラジエータ16に取付けられたレシーバドライヤ18の出口からダッシュパネル8に取付けられたエキスパンションバルブ19の入口19a まで延びる形状に形成されている。エキスパンションバルブ19側のジョイント部32a には、後述するサクションホース25のエバポレータ20側のジョイント部を固定するためブロック部32b が一体に形成されている。図4中、30a はプロテクタ、33は高圧チャージングバルブ、34はサイトグラス、34A はデュアルプレッシャスイッチである。
【0020】
サクションホース25は、図5及び図7に示すように、可撓性を有する成型ホース35の両端部に、それぞれエバポレータ20側およびコンプレッサ側15に接続されるジョイント部36aおよび37aを有する適宜形状に折曲されたパイプ36,37が結合されている。パイプ36は、ダッシュパネル8に取付けられたエキスパンションバルブ19の入口19aに並設されたエバポレータ20の出口部から、略水平方向に延ばされ、ダッシュパネル8に取付けられたマスタシリンダ 49 の近傍及びストラットタワー14の上部を通り、クランプ38によってストラットタワー14に結合されるようになっている。サクションホース25は、さらに、サイドフレーム2に沿ってエンジン10に取付けられたコンプレッサ15の入口まで延びる形状に形成されている。図5中、39は低圧チャージングバルブ、40はプロテクタである。
【0021】
次に、エンジン側の各機器のサブアセンブリ工程について、図6を参照して説明する。なお、図6には、エンジン本体は図示していない。図6に示すように、アッパホース(図示せず)およびロアホース(図示せず)によってエンジン10に接続されたラジエータ16の前部に、コンデンサ17をブッシュ41を介してボルト42によって取付ける。ラジエータ16の側部に、レシーバドライヤ18をボルト43によって取付け、コンデンサ17のパイプ23をボルト44によってレシーバドライヤ18の入口に接続する。ディスチャージホース22のジョイント部27a をボルト45によって、エンジン10に取付けられたコンプレッサ15の出口に接続し、ジョイント部28a をコンデンサ17の入口に接続する。レシーバドライヤ18の出口にレシーバ出口ホース24の一端部のジョイント部31a をボルト47によって接続する。
【0022】
このようにして、トランスアクスル11と結合されてパワーユニット12としたエンジン10に、コンプレッサ15、ラジエータ16、コンデンサ17、レシーバドライヤ18、ディスチャージホース22およびレシーバ出口ホース24を組み付けてサブアセンブリとする。このとき、ラジエータ16およびレシーバ出口ホース24は、搬送および車体への搭載時の便宜を考慮して、適当な治具等によってエンジン10(パワーユニット12)と共に支持するとよい。
【0023】
次に、車体側の各機器の組付工程について、図7を参照して説明する。図7に示すように、ダッシュパネル8の車室7側に、エキスパンションバルブ19およびエバポレータ20を備えたクーリングユニット21を取付けて、エキスパンションバルブ19の入口19a およびエバポレータ20の出口20a をエンジンルーム9内へ突出させる。サクションホース25のジョイント部36a をエバポレータ20の出口20a に挿入し、クランプ38をナット48(スタッドボルト)によってストラットタワー14に取付けて、ホース25を車体側に固定する。図7中、49はマスタシリンダ、50はワイパモータである。
【0024】
エンジン10(パワーユニット12)の車体への搭載工程について、主に図7を参照して説明する。なお、図7には、エンジン本体は図示していない。パワーユニット12を適宜の方法(通常は下方から)によってエンジンルーム9内に移動させ、図1および図2に示す位置に位置決めし、エンジンマウント、サブフレーム等を介して車体に搭載するとともに、コンデンサ17およびレシーバドライヤ18をサブアセンブリしたラジエータ17をロワメンバ5とアッパメンバ6との間に装着する。
【0025】
そして、エンジン10側にサブアセンブリされたレシーバ出口ホース24の他端部のジョイント部32a をボルト51によってエキスパンションバルブ19の入口19a に接続するとともに、ブロック部32b によって、エバポレータ20の出口20a に挿入されたサクションホース25のジョイント部36a を固定する。また、車体側に組み付けられたサクションホース25の他端部のジョイント部37a をエンジン10側にサブアセンブリされたコンプレッサ15の入口にボルト52によって接続する。ホースおよびパイプ類は、適宜、車体およびパワーユニット12にクランプしてもよい。
【0026】
このようにして、エンジン10(パワーユニット12)を車体に搭載し、コンプレッサ15、コンデンサ17、レシーバドライヤ18、エキスパンションバルブ19およびエバポレータ20をディスチャージホース22、パイプ23、レシーバ出口ホース24およびサクションホース25によって接続して冷凍サイクルが形成される。
【0027】
このとき、コンプレッサ15、コンデンサ17、レシーバドライヤ18、ディスチャージホース22およびレシーバ出口ホース24をエンジン10にサブアセンブリするようにしたことにより、これらの組付作業を狭いエンジンルーム内で行う必要がなくなるので、組付作業性を向上させることができる。一方、サクションホース25をエンジン搭載前にエンジンルーム9内に取付けることにより、広い作業スペースを確保することができ、組付作業性を向上させることができる。これにより、エンジン10(パワユニット12)を車体に搭載する際には、エンジン10側のレシーバ出口ホース24およびコンプレッサ15の入口と、車体側のエキスパンションバルブ19の入口部19およびサクションホース25との2か所のみをそれぞれ接続することによって、空調装置を車両に組付けることができるので、組付作業性を向上させるとともに、車両総組立ラインの作業工程を少なくすることができる。
【0028】
また、ディスチャージホース22、レシーバ出口ホース24およびサクションホース25は、それぞれ可撓性を有するホース26,30,36を用いているので、接続作業を容易に行うことができ、さらに、運転時の振動、騒音を吸収することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明の車両用空調装置によれば、エンジンにコンプレッサ、コンデンサ、レシーバドライヤおよびこれらの間を接続する管路を組み付けたサブアセンブリを車体に搭載する際、サブアセンブリ側に組み付けられたコンプレッサ及びレシーバ出口ホースと車体側に組み付けられたサクションホース及びエキスパンションバルブの入口との2か所のみをそれぞれ接続することによって冷凍サイクルを形成することができ、組付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空調装置を装着した車両のエンジンルームの平面図である。
【図2】図1のエンジンルームの側面図である。
【図3】図1の装置のディスチャージホースの斜視図である。
【図4】図1の装置のレシーバ出口ホースの斜視図である。
【図5】図1の装置のサクションホースの斜視図である。
【図6】図1の装置のエンジン側にセブアセンブリされる機器を示す分解斜視図である。
【図7】図1の装置の車体へのエンジン搭載時のエンジン側の部品と車体側の部品との接続を示すエンジンルーム内の斜視図である。
【符号の説明】
9 エンジンルーム
10 エンジン
15 コンプレッサ
16 ラジエータ
17 コンデンサ
18 レシーバドライヤ
19 エキスパンションバルブ
19a 入口
20 エバポレータ
20a 出口
22 ディスチャージホース(管路)
23 パイプ(管路)
24 レシーバ出口ホース
25 サクションホース

Claims (1)

  1. エンジンと変速機とが左右に並べて連結されて前記変速機の前方に前記エンジンのラジエータが配置されたパワーユニットに、前記エンジンの前部の前記変速機とは反対側の端部に取付けられるコンプレッサと、前記ラジエータの前方に配置されるコンデンサと、前記変速機の前方の前記エンジンとは反対側に配置されるレシーバドライヤと、前記コンプレッサと前記コンデンサとを接続するディスチャージホースと、前記コンデンサと前記レシーバドライヤとを接続するパイプと、前記レシーバドライヤの出口に接続されるレシーバ出口ホースとを組み付けてサブアセンブリとし、
    左右両側に配置されたサイドフレームと、前方に配置されたクロスメンバと、後方に配置されたダッシュパネルとで囲まれたエンジンルームが前部に配置された車体に、エキスパンションバルブ及びエバポレータを組み付け、前記エキスパンションバルブの入口及び前記エバポレータの出口を前記変速機の後方の前記ダッシュパネルから前記エンジンルーム内に突出させ、前記エバポレータの出口に接続されるサクションホースを前記ダッシュパネルに沿って前記サイドフレームの外側に配置されたストラットタワー側へ延出させると共に前記ダッシュパネルに取付けられたマスタシリンダの近傍を通して前記ストラットタワーにクランプし、更に、前記サイドフレームに沿って前方へ延ばし、
    前記サブアセンブリを前記エンジンルームに搭載する際、前記レシーバ出口ホースを前記エキスパンションバルブの入口に接続すると共に前記サクションホースを前記コンプレッサの入口に接続して冷凍サイクルを形成して、前記ディスチャージホースと、前記レシーバ出口ホースと、前記サクションホースとで前記パワーユニットを取囲むようにしたこと特徴とする車両用空調装置。
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