JP3838112B2 - 浄水カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水などに含まれる残留塩素やトリハロメタン等を除去・浄化したり、さらには水中のミネラル等の金属成分を調整する浄水カートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水道水には、塩素消毒による残留塩素いわゆるカルキや、トリハロメタン等の様々な成分が含まれる。生活者が水道水を利用、特に飲用に使用する際には、前記成分やその他の成分について味覚や健康の点で不満または不安を持っている。そこで、一般的には活性炭等からなる吸着浄化材と中空糸膜フィルター等からなる濾過材とを備えた浄水カートリッジを装備したアルカリイオン水生成器等の浄水器を使用し、この浄水カートリッジにより浄化した浄水を飲用等に利用している。
【0003】
この浄水カートリッジでは、そのろ過あるいは浄化能力はろ材(吸着浄化材及び濾過材)の大きさや量によりその優劣が決まってくるものである。例えば水道水中からトリハロメタン等を除去するためには、活性炭に代表される上記吸着浄化材を内包する浄水カートリッジを利用するが、その除去能力は浄水カートリッジの吸着浄化材の内容量により決まるものである。
【0004】
また、長期に亘りアルカリイオン水生成器等の浄水器の除去能力を維持するためには、一般的に浄水カートリッジを交換する、大量の吸着浄化材を備えた大型の浄水カートリッジを利用する、あるいは吸着浄化材を再生させることが考えられてきた。吸着浄化材を再生させることは水蒸気や熱水の利用が必要になることからエネルギの消費が増長されるものであって非効率であり、また、大量の吸着浄化材を内装した大型の浄水カートリッジを利用することは浄水カートリッジのろ過部分における摩擦損失により浄水カートリッジに流れる流量を少なくさせてしまって非効率であり、また、浄水カートリッジを頻繁に交換することは吸着浄化材の浪費と浄水器の利用者の経済的な負担を増長させるものであることから、適度の量の吸着浄化材を備えると共に交換し得る浄水カートリッジを浄水器に備えたものが実用化されている。
【0005】
このアルカリイオン水生成器等の浄水器に内装される浄水カートリッジには、例えば、図6及び図7に示すようなものがある。この浄水カートリッジは、有底筒状の外部ケーシング本体11と上記外部ケーシング本体11の開口を閉塞する外部ケーシング蓋体12とで外部ケーシングを構成し、吸着浄化材3を収納した内部ケーシングを上記外部ケーシングの内部に配置して構成されたものである。外部ケーシング本体11の底面には水を外部ケーシングの内部に流入させる流入口1が設けられており、また、外部ケーシング蓋体12の中央部には浄水を吐出させる流出口2が設けられている。内部ケーシングも外部ケーシング同様に有底筒状の内部ケーシング本体4と上記内部ケーシング本体4の開口を閉塞する内部ケーシング蓋体5とで構成されており、内部ケーシング本体4の筒側面に亘って外部ケーシングの流入口1から流入した水を内部ケーシング内部に導入し得る透水性壁面部6を形成させ、また、内部ケーシング本体4の内部には上記透水性壁面部6に沿って筒状の吸着浄化材3を配置させている。この吸着浄化材3の筒内部には内部ケーシング蓋体5の中央を貫通して終端を外部ケーシングの流出口2に位置させた連通管7が設けられている。なお、この連通管7はその終端部分で内部ケーシング蓋体5及び外部ケーシング蓋体12にパッキン25を介した水密保持構造で連結されている。つまり、この連通管7は吸着浄化材3を通過した浄水を外部ケーシングの流出口2に至らしめる機能を有している。また、内部ケーシング本体4の開口を閉塞した内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3の間には弾性板20及び押さえ板21を介在させてある。上記弾性板20及び押さえ板21は内部ケーシング蓋体5によって吸着浄化材3を内部ケーシング本体4の底面に押し付けて固定させているものである。また、内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との間にはOリング19を介在させている。このOリング19は内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との間に水密保持構造を形成させるものであって、この水密保持構造により、内部ケーシング内の吸着浄化材3を通過しないで連通管7を経て流出口2に至り、浄水カートリッジに流入させた水が浄水されないで吐出されてしまう(ショートパスまたはチャンネリングと言う)ことを避けることに成功しているものである。つまりは、流入口1から外部ケーシング内部に流入した全ての水は、透水性壁面部6を通って内部ケーシング内に導入されると共に吸着浄化材3を通過して浄水され、連通管7を通って流出口2から外部ケーシングの外に吐出されるものである。
【0006】
なお、図8に示すように、上述した活性炭等からなる吸着浄化材3を収納した浄水カートリッジ(以下、第1浄水カートリッジ)に中空糸膜フィルター等からなる濾過材24を収納した第2浄水カートリッジを連設させ、上記第1浄水カートリッジの吸着浄化材3を通った水が第2浄水カートリッジの濾過材24を通って更に程度の高い浄水を提供できるようにした浄水カートリッジもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記浄水カートリッジにおいて、内部ケーシング蓋体5と内部ケーシング本体4との間のOリング19で形成した水密保持構造がなかった場合には、外部ケーシングの流入口1から外部ケーシング内部に流入した水の一部は、内部ケーシング蓋体5と内部ケーシング本体4との間から内部ケーシング内に流入すると共に吸着浄化材3を通過しないで連通管7に至り、外部ケーシングの流出口2から吐出されてしまうものであり、つまり、ショートパスまたはチャネリングが生じてしまい、浄水カートリッジが生成する浄水の質を下げてしまうものである。
【0008】
しかして、上記内部ケーシング蓋体5と内部ケーシング本体4との間の水密保持構造は上記構造の浄水カートリッジにおいては必要な構造であるが、上記内部ケーシング蓋体5と内部ケーシング本体4との間の水密保持構造は浄水カートリッジの容積に対してやや大きな割合を占めてしまうものであり、その分、浄水カートリッジの容積に占める吸着浄化材3の割合を下げてしまい、浄水カートリッジのろ過能力(吸着浄化能力)を低下させてしまうものであった。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、従来と同じ大きさの浄水カートリッジであっても、比較して浄水カートリッジの容積に占める吸着浄化材の割合を上げ、そのろ過能力(吸着浄化能力)が高くできる浄水カートリッジを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る浄水カートリッジにあっては、流入口1と流出口2を設けた外部ケーシングの内部に内部ケーシングを配設し、上記内部ケーシングが吸着浄化材3を内部に収納した有底筒状の内部ケーシング本体4と上記内部ケーシング本体4の開口を閉塞する内部ケーシング蓋体5とを有し、上記外部ケーシングの流入口1から外部ケーシング内に流入した水を内部ケーシング本体4の内部に導入する透水性壁面部6を上記内部ケーシング本体5の少なくとも筒側面部分に設け、内部ケーシング本体4内部の吸着浄化材3を通って浄化した浄水を外部ケーシングの流出口2に至らしめる連通管7を上記内部ケーシング蓋体5を貫通して設け、上記内部ケーシング本体4の開口を閉塞した内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3との間に上記吸着浄化材3を固定する押さえ部材8を介在させると共に、上記押さえ部材8が吸着浄化材3を含有してシート状に形成されたことを特徴とする。これにより、内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との間から内部ケーシング内に流入した水も、上記吸着浄化材3を含有してシート状に形成した押さえ部材8を介して浄水となって連通管7に至るものであって、つまり、浄水カートリッジに流入させた水の全てが浄水されて流出口2から吐出されるといった浄水カートリッジの本来の機能を確保できるものであり、また、これによって本発明の浄水カートリッジは従来の浄水カートリッジの内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との間にあった水密保持構造を備えなくて済むものであり、上記水密保持構造を備えないことで、浄水カートリッジの構造を簡易化することができると共に、浄水カートリッジの容積のうち上記水密保持構造が占めていた容積分余計に吸着浄化材3を内部ケーシング本体4内に詰めることができて浄水カートリッジの容積に占める吸着浄化材3の割合を上げることができ、つまり、従来と比較して浄水カートリッジの大きさはそのままに浄水カートリッジの吸着浄化能力を向上させることができるものである。更に言うと、押さえ部材8にも吸着浄化材3を含有させていることは、浄水カートリッジ内の吸着浄化材3の占める割合の向上に資するものであって吸着浄化能力の向上が図られているのである。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る浄水カートリッジにあっては、請求項1において、上記押さえ部材8が、少なくとも内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3との対向方向に弾性を有してなることを特徴とする。これにより、内部ケーシング蓋体5が内部ケーシング本体4の開口を閉塞した際に、内部ケーシング本体4に配置した吸着浄化材3と内部ケーシング蓋体5との間で上記押さえ部材8が圧縮されて弾性変形をし、上記弾性変形をして吸着浄化材3に略隙間無く当接した押さえ部材8が内部ケーシング蓋体5から受ける内部ケーシング本体4の底面方向の荷重を吸着浄化材3に略一様に作用させるものであって、つまり、吸着浄化材3を漏れなく確実に内部ケーシング本体4の底面方向に押し付けることができるものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る浄水カートリッジにあっては、請求項2において、上記押さえ部材8を不織布9に吸着浄化材3を混入させて形成したことを特徴とする。これにより、上記不織布9によって押さえ部材8には弾性及び透水性が備えられると共に、上記不織布9に吸着浄化材3を混入したことでより多くの吸着浄化材3を押さえ部材8に含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材3の占める割合を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る浄水カートリッジにあっては、請求項2において、押さえ部材8を活性炭素繊維で形成した不織布9で構成したことを特徴とする。これにより、不織布9によって押さえ部材8には弾性及び透水性が備えられると共に、活性炭素繊維で不織布9を形成させたことでより多くの活性炭(吸着浄化材3)を押さえ部材8に含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材3の占める割合を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る浄水カートリッジにあっては、請求項2において、押さえ部材8を弾性多孔体10と吸着浄化材3とで形成したことを特徴とする。これにより、弾性多孔体10によって押さえ部材8には透水性及び弾性が備えられるものであり、上記押さえ部材8を吸着浄化材3で構成したことで押さえ部材8に吸着浄化材3を含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材3の占める割合を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の請求項6に係る浄水カートリッジにあっては、請求項2において、押さえ部材8を弾性多孔体10で形成し、上記弾性多孔体10の内部に吸着浄化材3を添着したことを特徴とする。これにより、弾性多孔体10によって押さえ部材8には透水性及び弾性が備えられるものであり、更に上記弾性多孔体10の内部に吸着浄化材3を添着したことで押さえ部材8に吸着浄化材3を含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材3の占める割合を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1には浄水カートリッジを模式的に表した側面断面図、図2には押さえ部材の斜視図、及びその部分拡大図、図3には浄水カートリッジの側面断面図を示すものである。
【0017】
浄水カートリッジは、外部ケーシングの内部に内部ケーシングを配設した構成を有するものである。外部ケーシングは有底筒状の外部ケーシング本体11と上記外部ケーシング本体11の開口を閉塞する外部ケーシング蓋体12とから構成されるものである。この外部ケーシング本体11と外部ケーシング蓋体12とは水密的に固定されている。外部ケーシング本体11の底部にはその中央部に外部ケーシング本体11を貫通して形成した流入口1を設けている。また、外部ケーシング蓋体12にはその中央部に外部ケーシング蓋体12を貫通して形成した流出口2を設けている。なお、上記流入口1及び流出口2とも外部ケーシングの外部方向に管状の立上り形状を有している。上記流入口1の位置する外部ケーシング本体11の底面の内面部分には外部ケーシング蓋体12方向に立上った水拡散部13が設けられている。この水拡散部13は、流入口1から外部ケーシング内に流入した水を上記水拡散部13に衝突させて外部ケーシング本体11の底面に沿わせて放射状に流すものである。
【0018】
上記外部ケーシング内に配置される内部ケーシングも、上記外部ケーシング同様に、有底筒状の内部ケーシング本体4と上記内部ケーシング本体4の開口を閉塞する内部ケーシング蓋体5とで構成されている。内部ケーシング本体4はその内部に微細粒子状の活性炭等で構成される吸着浄化材3を収納配置させるものであり、その筒側面に亘って透水性壁面部6を形成している。この透水性壁面部6は、流入口1から外部ケーシング内に流入した水を浄水カートリッジ内に導入させるものであると共に内部ケーシング本体4内に配置される吸着浄化材3の外方への漏れを防ぐものであり、不織布や網状のものや焼結体などから形成されている。具体的に、本例の内部ケーシング本体4は、筒側面に亘って網状壁を備えた筒状のかごで構成されている。つまり、透水性壁面部6は網状壁で構成されている。(図3)
上記内部ケーシング本体4の中央部には連通管7が設けられている。この連通管7は、始端を内部ケーシング本体4の底面部分に設けると共に終端を外部ケーシングの流出口2に位置させた直管状の管体であって、吸着浄化材3を通過した浄水を外部ケーシングの流出口2から吐出させるものである。また、この連通管7は、内部ケーシング内に位置する管側面のうち吸着浄化材3に隣接する位置に透水性壁面部6'を形成しているものである。この透水性壁面部6'は吸着浄化材3を通った浄水を連通管7内部に導入する部分である。具体的に本例では、連通管7は、内部ケーシング本体4の筒側面から内部ケーシング内部に導入された水をスムーズに連通管7に移動させることを図って、始端部分に行くにつれてその径が細くなるような形状に形成されており、また、この上記連通管7の始端部分は、内部ケーシング本体4の底面の中央部に設けた連通管嵌合凹所17に嵌合されている。(図3)
上記連通管7の透水性壁面部6'は内部ケーシング本体4の内部に位置すると共に、内部ケーシング本体4の透水性壁面部6と全面に亘って対向しているものであるが、この透水性壁面部6、6'の間の筒状空間に吸着浄化材3が収納される。ここで、吸着浄化材3は微粒子状の活性炭に限定されるものではなく、イオン交換樹脂やモルキュラーシーブやセラミックス、ミネラル鉱石などや二酸化チタン等の触媒などのいずれかまたは少なくとも2種類以上を混合したものを利用してもよいものである。
【0019】
上記内部ケーシング本体4の開口を閉塞するような内部ケーシング蓋体5とはかしめ等の加工作業で一体化されるものであるが、このとき、内部ケーシング蓋体5の中央部には連通管7が挿通され、また、上記内部ケーシング本体4の開口を閉塞した内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3との間には押さえ部材8が介在される。この押さえ部材8は、吸着浄化材3を含有してシート状に形成されたものである。具体的に、本例の押さえ部材8は、図2に示すように、粉末状活性炭からなる吸着浄化材3が添着されると共に弾性を有した織布14で中心に中空部8aを有した円盤シート状に形成されたものである。詳述すると、上記押さえ部材8は、通常の状態(内部ケーシング本体4に圧入されていない状態)では、その外径は内部ケーシング本体4の開口よりも大きい径を有すると共に、その厚みは約3mm程の厚みを有して形成されている。内部ケーシング本体4の開口を内部ケーシング蓋体5により閉塞させた際に、この押さえ部材8をその中空部8aに連通管7を挿通させて内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3との間に介在させると、内部ケーシング蓋体5により、上記押さえ部材8は内部ケーシング本体4の開口内に圧入挿入され、内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3との間で弾性変形をし(押さえ部材8の厚みは通常の状態の半分の厚みになる程に圧縮される)、吸着浄化材3を内部ケーシング本体4の底面に一様に押し付けて固定させることができるものである。後述するが、この押さえ部材8は、上述した吸着浄化材3を押さえつける目的の他に、浄水カートリッジ内部で吸着浄化材3を通過しないような水も浄化させる目的があり、適度な透水性と吸着浄化材3の含有を必要とする。しかして、押さえ部材8は適度な弾性と透水性及び吸着浄化材3の含有を備えていればいいものである。
【0020】
上述した内部ケーシングは外部ケーシングの内部に配置されるものであるが、このときには、内部ケーシング本体4の底面外面は外部ケーシング本体11の水拡散部13に当接され、対向する内部ケーシング本体4の底面外面と外部ケーシング本体11の底面内面、また、内部ケーシング本体4の筒側面外面と外部ケーシング本体11の筒側面内面、との間には隙間16が形成される。なお、内部ケーシング蓋体5から突出した連通管7の先端は外部ケーシングの流出口2に臨むものである。更に言うと、模式図である図1には表われていないが、内部ケーシング蓋体5は外部ケーシング蓋体12及び連通管7とパッキン25を介した水密保持構造を有している。(図3)
以下、上記浄水カートリッジにおける水の流れを示す。外部ケーシングの流入口1より外部ケーシング内に導入された水は、水拡散部13により外部ケーシング本体11の底面に沿って放射線状に拡散されると共に上記隙間16に流れるものであり、上記隙間16に流れる水のうちその大部分は、透水性壁面部6を通過して内部ケーシング内部に導入され、透水性壁面部6から吸着浄化材3を通過して浄水されるものである。そして上記浄水は透水性壁面部6'から連通管7に導入され、連通管7を通過して連通管7の出口、すなわち外部ケーシングの流出口2から吐出されるものである。ここで、上記隙間16に流れる水のうちその一部は、内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との間から内部ケーシング内部に導入されるものであるが、この水も吸着浄化材3または押さえ部材8を通過して浄水されるものである。そして、上記浄水も透水性壁面部6'から連通管7に導入され、外部ケーシングの流出口2から吐出されるものである。すなわち、外部ケーシングの流入口1より外部ケーシング内に流入した水は、吸着浄化材3または吸着浄化材3が含有された押さえ部材8を通って全ての水が浄水になるものであって、外部ケーシングの流出口2から全て浄水として吐出されるものである。つまり、この浄水カートリッジでは、内部ケーシング蓋体5に沿わせて配置した押さえ部材8に吸着浄化材3を含有させていることから、いわゆるショートパスあるいはチャンネリングと呼ばれる現象は生じないものである。
【0021】
上述したように本例の浄水カートリッジでは、内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との間から内部ケーシング本体4内部に流入する水も浄化できるものなので、ショートパスあるいはチャンネリングを防止する意味で従来の浄水カートリッジに設けられていた内部ケーシング本体4と内部ケーシング蓋体5との水密保持構造なるものは本例の浄水カートリッジには備えなくて済むものである。上記水密保持構造を備えないことで本例の浄水カートリッジは、従来の浄水カートリッジに比べて、浄水カートリッジの構造を簡易化することができるものであり、また、浄水カートリッジの容積のうち上記水密保持構造が占めていた容積分余計に吸着浄化材3を内部ケーシング本体4内に詰めることができるものである。更に、内部ケーシング本体4内に詰めた吸着浄化材3を押さえる押さえ部材8においても上記吸着浄化材3を含有させて形成したことから、従来の浄水カートリッジに比べて、浄水カートリッジの容積に占める吸着浄化材3の割合を上げることができ、つまり、従来と比較して浄水カートリッジの大きさはそのままに浄水カートリッジの吸着浄化能力を向上させているものである。
【0022】
なお、連通管7の透水性壁面部6'は吸着浄化材3に隣接する位置、つまり、少なくとも内部ケーシング蓋体5や押さえ部材8よりも内部ケーシング本体4の底面方向に近い位置において形成されていることから、上記内部ケーシング蓋体5を内部ケーシング本体4と同様に網状壁で形成させてもよく、つまり、内部ケーシング蓋体5に透水性壁面部6を設けてもよいものである。これによると内部ケーシング蓋体5部分からも内部ケーシング本体4内に水が導入されるようになるが、上記水は押さえ部材8を通過して連通管7の透水壁面部6'に至ることから、浄水カートリッジに流入した水は全て浄水にされて流出口2から吐出され、浄水カートリッジの本来的な浄水機能は確保されるのである。
【0023】
また、先の実施の形態の例の項で先述したように、押さえ部材8は適度な透水性を有すると共に、少なくとも内部ケーシング蓋体5と吸着浄化材3との対向方向、つまり、シート状に形成した押さえ部材8の厚さ方向に適度な弾性を有し、また、吸着浄化材3を含有したものであればよいものであり、押さえ部材8により多くの吸着浄化材3を含有させて浄水カートリッジの吸着浄化能力を向上させることを期して、以下の本発明の実施の形態の他例に列挙する押さえ部材8を先の実施の形態の例における押さえ部材8の代わりに用いてもよいものである。
【0024】
図4には、ポリウレタンなどの樹脂で連続気泡を有したスポンジ状の弾性多孔体10の内部に吸着浄化材3を添着させて形成した押さえ部材8を示す。これは、弾性多孔体10によって押さえ部材8には透水性及び弾性が備えらえ、更に上記弾性多孔体10の内部に吸着浄化材3を添着したことで弾性多孔体10に吸着浄化材3を含有させるものであり、弾性多孔体10、つまり押さえ部材8の内部を通過する水を浄化させるようにしたものである。ここで、弾性多孔体10としては樹脂製スポンジでなくても金属や繊維を綿状に形成したものでも好ましい。
【0025】
また、上記弾性多孔体10に替えて弾性を有した不織布9を用い、上記不織布9に吸着浄化材3を混入させて押さえ部材8を形成したものも好ましい。これも、弾性多孔体10同様に不織布9によって押さえ部材8には弾性及び透水性が備えられ、上記不織布9に吸着浄化材3を混入させて吸着浄化材3を含有するものであり、不織布9、つまり押さえ部材8の内部を通過する水を浄化させるようにしたものである。なお、弾性を有すると共に吸着浄化材3を混入させた不織布9として、活性炭素繊維で形成した不織布9を用いることも好ましい。これによると活性炭素繊維で不織布9を形成したことでより多くの活性炭(吸着浄化材3)を押さえ部材8に含有させることができるのである。
【0026】
図5には、弾性多孔体10の層と吸着浄化材3の層とを積層配置して形成した押さえ部材8を示す。ここで、吸着浄化材3の層は粒状、粉状または繊維状の活性炭で形成したものである。これも、上記弾性多孔体10によって押さえ部材8には透水性及び弾性が備えられるものであり、吸着浄化材3の層により押さえ部材8の内部を通過する水を浄化させるようにしたものであって、更に言うと、弾性多孔体10の層と吸着浄化材3の層とを積層配置したことはあらかじめ弾性多孔体10と吸着浄化材3を密着させて形成することになり、また、上記押さえ部材8の吸着浄化材3は内部ケーシング本体4に配置した吸着浄化材3となじみ易いものであることから、押さえ部材8と吸着浄化材3との間のわずかな隙間におけるろ過効率が悪い部分が生じるのを防ぐものであり、浄水カートリッジの吸着浄化能力の向上が実現可能となるものである。
【0027】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の浄水カートリッジにあっては、叙述したように、内部ケーシング本体の開口を閉塞した内部ケーシング蓋体と吸着浄化材との間に上記吸着浄化材を固定する押さえ部材を介在させると共に、上記押さえ部材が吸着浄化材を含有してシート状に形成されたので、内部ケーシング本体と内部ケーシング蓋体との間から内部ケーシング内に流入した水も、上記押さえ部材を介して浄水となって連通管に至るものであって、つまり、浄水カートリッジに流入させた水の全てが浄水されて流出口から吐出されるといった浄水カートリッジの本来の機能も確保できるものであり、また、これによって本願の浄水カートリッジは従来の浄水カートリッジにおける内部ケーシング本体と内部ケーシング蓋体との間にあった水密保持構造を備えなくて済むものであり、上記水密保持構造を備えないことで、浄水カートリッジの構造を簡易化することができると共に浄水カートリッジの容積のうち上記水密保持構造が占めていた容積分余計に吸着浄化材を内部ケーシング本体内に詰めることができて浄水カートリッジの容積に占める吸着浄化材の割合を上げることができ、つまり、従来と比較して浄水カートリッジの大きさはそのままに浄水カートリッジの吸着浄化能力を向上させることができるものである。更に言うと、押さえ部材にも吸着浄化材を含有させていることは、浄水カートリッジ内の吸着浄化材の占める割合の向上に資するものであって、浄水カートリッジの吸着浄化能力の向上が図られているものである。
【0028】
また、本発明の請求項2記載の浄水カートリッジにあっては、請求項1の効果に加えて、上記押さえ部材が、少なくとも内部ケーシング蓋体と吸着浄化材との対向方向に弾性を有してなるので、内部ケーシング蓋体が内部ケーシング本体の開口を閉塞した際に、内部ケーシング本体に配置した吸着浄化材と内部ケーシング蓋体との間で上記押さえ部材が圧縮されて弾性変形をし、上記弾性変形をして吸着浄化材に略隙間無く当接した押さえ部材が内部ケーシング蓋体から受ける内部ケーシング本体の底面方向の荷重を吸着浄化材に略一様に作用させるものであって、つまり、吸着浄化材を漏れなく確実に内部ケーシング本体の底面方向に押し付けることができるものである。
【0029】
また、本発明の請求項3記載の浄水カートリッジにあっては、請求項2の効果に加えて、上記押さえ部材を不織布に吸着浄化材を混入させて形成したので、上記不織布によって押さえ部材には弾性及び透水性が備えられると共に、上記不織布に吸着浄化材を混入させたことでより多くの吸着浄化材を押さえ部材に含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材の占める割合を向上させて浄水カートリッジの吸着浄化能力の向上を図ることができる。
【0030】
また、本発明の請求項4記載の浄水カートリッジにあっては、請求項2の効果に加えて、押さえ部材を活性炭素繊維で形成した不織布で構成したので、上記不織布によって押さえ部材には弾性及び透水性が備えられると共に、活性炭素繊維で不織布を形成させたことでより多くの活性炭(吸着浄化材)を押さえ部材に含有することができる。更に言うと、弾性体として活性炭そのものを使用することとなり、請求項3よりも大きく浄水カートリッジの吸着浄化能力の向上を図ることができる。
【0031】
また、本発明の請求項5記載の浄水カートリッジにあっては、請求項2の効果に加えて、押さえ部材を弾性多孔体と吸着浄化材とで形成したので、弾性多孔体によって押さえ部材には透水性及び弾性が備えられるものであり、上記押さえ部材を吸着浄化材で構成させたことで押さえ部材に吸着浄化材を含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材の占める割合を向上させることができる。更に言うと、弾性体として弾性多孔体を用いたことで押さえ部材には大きな弾性が備えられるものであり、これによって内部ケーシング本体に配置した吸着浄化材をより強く圧縮することができ、上記吸着浄化材を密に充填させることで浄水カートリッジの吸着浄化能力の向上を図ることができる。
【0032】
また、本発明の請求項6記載の浄水カートリッジにあっては、請求項2の効果に加えて、押さえ部材を弾性多孔体で形成し、上記弾性多孔体の内部に吸着浄化材を添着したので、弾性多孔体によって押さえ部材には透水性及び弾性が備えられるものであり、更に上記弾性多孔体の内部に吸着浄化材を添着したことで弾性多孔体に吸着浄化材を含有することができ、ひいては、浄水カートリッジの容積のうち吸着浄化材の占める割合を向上させて浄水カートリッジの吸着浄化能力の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例の浄水カートリッジを模式的に示す側面断面図である。
【図2】(a)は押さえ部材の斜視図であり、(b)は(a)のA部の部分拡大図である。
【図3】同上の浄水カートリッジの側面断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の他例を示すもので、弾性多孔体(不織布)の内部に吸着浄化材を含有させてなる押さえ部材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の更に他例を示すもので、弾性多孔体と吸着浄化材とを積層配置してなる押さえ部材の斜視図である。
【図6】従来技術の浄水カートリッジを模式的に示す側面断面図である。
【図7】同上の浄水カートリッジの側面断面図である。
【図8】従来技術の他例の浄水カートリッジを示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 流入口
2 流出口
3 吸着浄化材
4 内部ケーシング本体
5 内部ケーシング蓋体
6 透水性壁面部
7 連通管
8 押さえ部材
Claims (6)
- 流入口と流出口を設けた外部ケーシングの内部に内部ケーシングを配設し、上記内部ケーシングが吸着浄化材を内部に収納した有底筒状の内部ケーシング本体と上記内部ケーシング本体の開口を閉塞する内部ケーシング蓋体とを有し、上記外部ケーシングの流入口から外部ケーシング内に流入した水を内部ケーシング本体の内部に導入する透水性壁面部を上記内部ケーシング本体の少なくとも筒側面部分に設け、内部ケーシング本体内部の吸着浄化材を通って浄化した浄水を外部ケーシングの流出口に至らしめる連通管を上記内部ケーシング蓋体を貫通して設け、上記内部ケーシング本体の開口を閉塞した内部ケーシング蓋体と吸着浄化材との間に上記吸着浄化材を固定する押さえ部材を介在させると共に、上記押さえ部材が吸着浄化材を含有してシート状に形成されたことを特徴とする浄水カートリッジ。
- 上記押さえ部材が、少なくとも内部ケーシング蓋体と吸着浄化材との対向方向に弾性を有してなることを特徴とする請求項1記載の浄水カートリッジ。
- 上記押さえ部材を不織布に吸着浄化材を混入させて形成したことを特徴とする請求項2記載の浄水カートリッジ。
- 押さえ部材を活性炭素繊維で形成した不織布で構成したことを特徴とする請求項2記載の浄水カートリッジ。
- 押さえ部材を弾性多孔体と吸着浄化材とで形成したことを特徴とする請求項2記載の浄水カートリッジ。
- 押さえ部材を弾性多孔体で形成し、上記弾性多孔体の内部に吸着浄化材を添着したことを特徴とする請求項2記載の浄水カートリッジ。
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