JP3836220B2 - 電動三輪運搬車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動運搬車に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニールハウスの普及により、寒冷地でもメロンの栽培が盛んに行なわれるようになってきた。大型のビニールハウスは、大収穫を見込むために50m〜100mの長大なものとなり、肥料、苗、作物の移動には機械力が必要となる。
作業者の負担を軽くするために、例えば実公昭51−31502号公報の「電動運搬機」を用いることを検討した。
【0003】
この電動運搬機は、同公報の第1図に示されるとおりに、下部フレーム2及び縦枠3,3’からなる荷台フレーム1に、電動機4,4’、前輪11’及び後輪17を取付けたものである。そして、第2図に示されるとおり、前の左輪11をチェーン及びスプロケットを介して電動機4で駆動し、前の右輪11’をチェーン及びスプロケットを介して電動機4’で駆動し、後の左右輪17,17’を備え、前後輪間にバッテリ15,15’を備えた電動車両である。前記電動機4,4’はハンドル18上のスイッチ箱16(同公報の第1図)を操作することで、左右独立して制御し、機体を旋回させることができるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記電動運搬機は、電動四輪車であるため大量の荷物を安定的に運搬するには適している。その反面、旋回半径は大きく、小回りがよいとはいえない。
一方、ビニールハウス内では畝と畝との間(畝間という)を走行することになり、畝間が狭い上に路面に凹凸があるため、運搬機の方向を頻繁に調整する必要がある。この用途には前記電動四輪車は不適当である。
そこで、本発明の目的は狭い作業エリアで使いやすい電動運搬車を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、複数個の車輪を備えた車体フレームの上に荷台を置き、この荷台から後斜めへ操作ハンドルを延ばすとともに、前後輪の一方が左右2輪であって、この左右2輪を電動モータで軸直結駆動系を介して直接的に駆動し、他方が車体中央に配置した1輪であり、前後輪間にバッテリを配置した電動三輪運搬車において、
車体フレームにメインフレームを含み、このメインフレームの前部又は後部に、電動モータを支えるモータマウントベース及び軸直結駆動系を構成するギヤケースを支えるギヤケースマウントベースを、モータマウントベースがギヤケースマウントベースより上位になるようにして備え、モータマウントベースには、電動モータの出力軸が下へ縦向きに延びるように且つモータケースがメインフレームの上に位置するようにして電動モータを取付けたことを特徴とする。
【0006】
電動運搬車であるから、排気ガスが出ずビニールハウスに好適である。左右2輪を駆動輪とし、これを電動モータで直接的に駆動するので、チェーンやベルトの延びを心配する必要は無く、保守費用を大幅に削減することができる。そして、残りの1輪を空転可能な非駆動輪としたので、この1輪を接地させ駆動輪を地面から僅かに浮せてた状態で、操作ハンドルを右又は左へ振れば、1輪を中心に運搬車を旋回させることができ、容易に方向を微調整することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【0008】
図1は本発明に係る電動運搬車の斜視図であり、電動運搬車1は左右の前輪2L,2R、車体中央の後輪3を備えた三輪車であり、前後輪間にバッテリ4L,4R(右のバッテリ4Rは不図示)を備え、前後に延びた荷台5の前部に枠フレーム6をボルト7・・・(・・・は複数個を示す。以下同様。)で固定し、この枠フレーム6と荷台5の後面とに柵8,8を取付け、後輪3から後斜め上へ操作ハンドル9L,9Rを延ばし、左のハンドル9Lにブレーキレバー11、右のハンドル9Rに変速レバー12を取付けたものである。
【0009】
図2は本発明に係る電動運搬車の下部構造の分解斜視図であり、車体フレーム20はメインフレーム21の前部に、上から下にモータマウントベース22、外筒23、ギヤケースマウントベース24を一体的に備え、中央にバッテリ支持ピース25,26を備え、後部に後輪3を挟むフォークフレーム21a,21aを備え、このフォークフレーム21a,21aに鳥居型の後部フレーム27を備えたものである。この後部フレーム27は後輪車軸28を支える左右一対の縦フレーム29L,29Rと荷台を直接受ける横フレーム31とからなる。
【0010】
前記後輪車軸28は非回転軸であり、操作ハンドル9L,9Rの基部32,32(一方は不図示)を差込んだ後、座金33,33及びボルト34,34で後輪3を取付けることができる。後輪3は自由回転輪である。ハンドル9L,9Rは後輪車軸28を回転中心に傾動可能であり、途中のピース35,35(一方は不図示)を図示せぬ荷台にボルト固定するようにした一種のチルトハンドルである。
【0011】
バッテリ支持ピース25に孔25a,25bを開け、同様にバッテリ支持ピース26に孔26a,26bを開け、前側の孔25aと孔26aとにバッテリケージ37の一端を差込み、バッテリケージ37を孔25a,孔26aを支点に傾動できるようにした。孔25bと孔26bには右のバッテリケージ(不図示)を取付けることができる。
【0012】
次に前輪駆動系統の説明をする。
本発明の電動運搬車は電動モータ38で軸直結駆動系40を介して前輪2L,2Rを駆動することを特徴とする。チェーンやベルトを使用しないので、始動ショックがなく、大きなトルクを前輪2L,2Rへ伝えることができ、滑らかで且つ強力な走行が図れる。
そのための軸直結駆動系40は、詳しくは図5で説明するが、出力軸38aを差込むことのできる中継軸41と、この軸41の下端に取付けたピニオンベベルギヤ42と、このピニオンベベルギヤ42に噛み合う大径ベベルギヤ43と、この大径ベベルギヤ43にスプライン結合した前輪車軸44と、車輪連結金具45,45とからなる。
【0013】
車輪連結金具45はパイプ46に角フランジ47を取付け、この角フランジ47に前輪2L又は2Rをボルト48・・・にて取付け、前記パイプ46を前輪車軸44の一端に嵌合してボルト49で固定するアタッチメントであり、例えばパイプ46に複数のボルト孔46a・・・を開けておくことにより、パイプ46の差込み深さを変更して、前輪2L,2R間隔(前輪トレッド)を変更することができる。
なお、図では軸受、オイルシールは省略した。
【0014】
図3は本発明に係る電動運搬車の側面図であり、荷台5を前上りに緩やかに傾斜させたこと、荷台5を直接的に電動モータ38のモータケース38bで受けることで車体フレーム20の一部を兼ねさせたこと、バッテリケージ37の自由端を掛けるためのハンガボルト51を荷台5に取付けたこと、操作ハンドル9Lのピース35を荷台5から延びたハンドルブラケット52にボルト53で固定したことを示す。図示せぬ操作ハンドル9Rについても同様である。
前記ブラケット52に複数のボルト孔52a・・・を開けたことで、ボルト53を差し替えることにより、ハンドル9L,9Rの取付け角を変更してグリップの地面からの高さを調整することができる。
【0015】
図4は本発明に係る電動運搬車の平面図であり、前輪2Lの中心(接地点中心)をP1、前輪2Rの中心をP2、後輪3の中心をP3とし、且つバッテリ4Lの中心(重心)をP4、バッテリ4Rの中心をP5としたときに、P4及びP5を三角形(P1−P2−P3)の内部に配置したことを特徴とする。重量物であるバッテリ3L,3Rが前記三角形の内部にあるため、いわゆる転倒モーメントが発生しにくくなり、運搬車の左右の安定性が増し、安定走行が図れる。
【0016】
なお、荷台5は、前輪2L,2Rの一部、バッテリ4L,4R及び後輪3をカバーする細長い平板であり、枠フレーム6及び柵8,8で積載可能面積を拡大したものであり、底付きケースや箱を載せるのに適した形態である。積載可能面積に対して荷台5の面積を大幅に小さくしたので荷台5の重量を小さくすることができる。しかし、荷台5を柵8,8で囲う面積まで拡大することは差支えないので、荷台5、枠フレーム6及び柵8,8の取合いは用途に応じて任意に決定すればよい。
【0017】
荷台5の後縁に作業者に臨む計器板55を取付け、この計器板55にメインスイッチ56、前後進切換スイッチ57、バッテリ残量メータ58を取付けたことを示す。
また、59・・・は荷台5とモータケース38bとを連結するボルト、61,61は荷台5と図2の横フレーム31とを連結するボルトであり、62,62はバッテリ4L,4Rの点検孔である。詳しくは説明しないが、本実施例のバッテリ4L,4Rにはバッテリ残量に応じて色彩が変るバッテリ残量表示機能が付いており、その色彩を点検孔62,62を通して上から見ることができる。
【0018】
図5は本発明に係る軸直結駆動系の詳細図であり、図2でも述べたが軸直結駆動系40は、出力軸38aを差込むことのできる中継軸41と、この軸の下端に取付けたピニオンベベルギヤ42と、このピニオンベベルギヤ42に噛み合う大径ベベルギヤ43と、この大径ベベルギヤ43にスプライン結合した前輪車軸44と、車輪連結金具45,45とからなる。22はモータマウントベース、24はギヤケースマウントベース、63はギヤケース、64,64,64はベアリング、65,65はオイルシールである。
【0019】
モータケース38bに想像線で示した荷台5をボルト59・・・で固定するが、荷台5の底にチャンネル66を渡し、このチャンネル66を介してボルト59・・・を締めるため、ボルト59・・・の頭が荷台5の上面から突き出ることはない。
また、ギヤケース63の図左の機構はブレーキ機構70である。
【0020】
図6は本発明に係るブレーキ機構の分解斜視図であり、ブレーキ機構70は拡径式ドラムブレーキであり、ギヤケースマウントベース24の上面にボルト71で取付けた取付け金具72、この取付け金具72に固定したブラケット73、このブラケット73にブッシュ74を介して取付けるブレーキパッド付きブレーキシュー75,75、このブレーキシュー75,75を拡径するカム76、このカム76を回転するカムレバー77、このカムレバー77を引くブレーキワイヤ78、前記ブレーキシュー75,75を囲うブレーキドラム79及びブレーキシュー75,75を縮径するスプリング81,81とからなる。
82はブレーキスイッチ、83はストライカである。
【0021】
ブレーキドラム79を図5の前輪車軸44に取付け、その他のブレーキシュー75,75やブラケット73などを車体側に取付けることにより、静止側のブレーキシュー75,75で、回転側のブレーキドラム79を制動し、電動運搬車を止めることができる。
【0022】
以上に述べた電動運搬車の作用を次に述べる。
図7は電動運搬車の作用説明図であり、運搬車の方向を修正するには、操作ハンドル9L,9Rのグリップを白抜き矢印の様に押し下げて、前輪2L,2Rを地面からδ1だけ浮せる。この状態で、操作ハンドル9L,9Rを作業者の手で右又は左に寄せることにより、後輪3を中心に運搬車を矢印▲1▼又は▲2▼の如く旋回させることができる。後輪3は1輪であるから、いわゆるワンポイントターン、ピボットターンと称する一点旋回が可能となり、切れのよい操向操作が容易に可能となり、運搬車の作業性が高まる。
【0023】
図8は本発明に係る電動運搬車の別実施例の平面図であり、この電動運搬車1Bは、前輪2が1輪で、後輪3L,3Rが2輪の三輪車である。
すなわち、荷台5の下方に前輪2、バッテリ4L,4R、後輪3L,3Rを配置するとともに、電動モータ38及び軸直結駆動系40で後輪3L,3Rを直接的に駆動するようにした電動運搬車である。
【0024】
図9は本発明の別実施例の作用図であり、運搬車の方向を修正するには、操作ハンドル9L,9Rのグリップを白抜き矢印の様に押し上げて、後輪3L,3Rを地面からδ2だけ浮せる。この状態で、操作ハンドル9L,9Rを作業者の手で右又は左に寄せることにより、前輪2を中心に運搬車を矢印▲3▼又は▲4▼の如く旋回させることができる。前輪2は1輪であるから、いわゆるワンポイントターン、ピボットターンと称する一点旋回が可能となり、切れのよい操向操作が容易に可能となり、運搬車の作業性が高まる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、複数個の車輪を備えた車体フレームの上に荷台を置き、この荷台から後斜めへ操作ハンドルを延ばすとともに、前後輪の一方が左右2輪であって、この左右2輪を電動モータで軸直結駆動系を介して直接的に駆動し、他方が車体中央に配置した1輪であり、前後輪間にバッテリを配置した電動三輪運搬車において、車体フレームにメインフレームを含み、このメインフレームの前部又は後部に、電動モータを支えるモータマウントベース及び軸直結駆動系を構成するギヤケースを支えるギヤケースマウントベースを、モータマウントベースがギヤケースマウントベースより上位になるようにして備え、モータマウントベースには、電動モータの出力軸が下へ縦向きに延びるように且つモータケースがメインフレームの上に位置するようにして電動モータを取付けたことを特徴とする。
【0026】
電動運搬車であるから、排気ガスが出ずビニールハウスに好適である。左右2輪を駆動輪とし、これを電動モータで直接的に駆動するので、チェーンやベルトの延びを心配する必要は無く、保守費用を大幅に削減することができる。そして、残りの1輪を空転可能な非駆動輪としたので、この1輪を接地させ駆動輪を地面から僅かに浮せてた状態で、操作ハンドルを右又は左へ振れば、1輪を中心に運搬車を旋回させることができ、容易に方向を微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動運搬車の斜視図
【図2】本発明に係る電動運搬車の下部構造の分解斜視図
【図3】本発明に係る電動運搬車の側面図
【図4】本発明に係る電動運搬車の平面図
【図5】本発明に係る軸直結駆動系の詳細図
【図6】本発明に係るブレーキ機構の分解斜視図
【図7】電動運搬車の作用説明図
【図8】本発明に係る電動運搬車の別実施例の平面図
【図9】本発明の別実施例の作用図
【符号の説明】
1,1B…電動三輪運搬車(電動運搬車)、2,2L,2R…前輪、3,3L,3R…後輪、4L,4R…バッテリ、5…荷台、9L,9R…操作ハンドル、20…車体フレーム、40…軸直結駆動系。

Claims (1)

  1. 複数個の車輪(2L、2R、3)を備えた車体フレーム(20)の上に荷台(5)を置き、この荷台(5)から後斜めへ操作ハンドル(9L、9R)を延ばすとともに、前後輪(2L、2R、3)の一方が左右2輪(2L、2R)であって、この左右2輪(2L、2R)を電動モータ(38)で軸直結駆動系(40)を介して直接的に駆動し、他方が車体中央に配置した1輪(3)であり、前後輪(2L、2R、3)間にバッテリ(4L、4R)を配置した電動三輪運搬車(1)において、
    前記車体フレーム(20)にメインフレーム(21)を含み、このメインフレーム(21)の前部又は後部に、電動モータ(38)を支えるモータマウントベース(22)及び前記軸直結駆動系(40)を構成するギヤケース(3)を支えるギヤケースマウントベース(24)を、モータマウントベース(22)がギヤケースマウントベース(24)より上位になるようにして備え、
    前記モータマウントベース(22)には、電動モータ(38)の出力軸(38a)が下へ縦向きに延びるように且つモータケース(38b)がメインフレーム(21)の上に位置するようにして電動モータ(38)を取付けたことを特徴とする電動三輪運搬車。
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